本部
闇に消えた礎
- 形態
- シリーズEX(続編)
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,800
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~10人
- 英雄
- 7人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/09/19 07:30
- 完成予定
- 2018/09/28 07:30
掲示板
-
Per la speranza
最終発言2018/09/19 04:27:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/09/18 22:34:43
オープニング
●黒幕の名は
「トリノの神父がしくじりました。今頃、H.O.P.E.に情報が流れているでしょう」
「……そうか。彼らも中々に動きが早い――いや、実際は遅すぎるくらいなのかな?」
イタリアのシチリア島にある、とある海運会社の一室。
筋骨隆々なスーツ姿の男に頭を下げられている、紳士風の初老男性は小さく苦笑を漏らす。
「いや~、僕らも運が悪い。いつもなら無能の口封じを依頼するマガツヒが、清十郎様の意志で多くが活動中の身だろ? それなりに長い付き合いでも、そんな状況じゃ零細ヴィランの尻拭いなんて頼めないよ」
茶目っ気をうかがわせながら肩をすくめた初老男性だが、スーツの男からの反応は小さい。
「いかがしますか、ボス?」
「ん~、とはいってもね。腰が重い彼らだってバカじゃないよ? 僕の読みじゃ、数日後にはここの存在もバレるだろうから、今さらもみ消そうったってムリムリ」
愉快そうに笑って手を振るボスと呼ばれた男は、スーツの男から向けられる険しい視線に一切動じない。
……いや、それどころか自身の危機を面白がってさえいる。
「ちなみに、このことを知ってるのは?」
「私を含め、幹部には伝達済みですが構成員にはまだ」
「そっか。それならいいよ、何もしないで。『競り』の準備だけさせておいて」
「しかし――っ!」
あまりにも適当な指示を出すボスに、さすがの幹部も意見しようと口を開く。
「聞こえなかった?
僕は
何も
するなと
言ったよ?」
が、一言ずつゆっくりと区切られた台詞と、冷然とした笑みを前にした幹部は呼吸の仕方を忘れた。
「適当に集めた構成員とは違ってさ、君たち幹部には僕の意向を飲み込んだ上で誓ったはずだろう?
この組織はヘマさえしなきゃ基本的に自由だけど、逆を言えばヘマをすれば終わりなんだ。
マガツヒの下部組織として好き勝手してきたんだから、幕引きくらい筋は通すべきだよ。
ほら、首に触れた死神の鎌ばかり気にしてないで、上を見てごらん?
――今まで殺してきた子供たちが、手ぐすね引いて待ってるよ?」
顔がひきつり、足が思わず一歩下がった幹部の様子を見たボスは、直後唇をとがらせ吹き出した。
「ぷっ、あはは! ちょっと怖がらせる言い回しをしてみただけなのに、汗すごいよ、君?」
からかうように指を指すボスだが、幹部が笑みを浮かべることはない。
「ま、ずいぶんサビが浮いた組織になったんだから、頃合いといったら頃合いじゃない?
だから、最後はド派手に在庫一掃セールだ。
今までの顧客全部に声かけてさ、H.O.P.E.を歓迎してやろう。
喜ぶよ、きっと」
なぜなら、ボスは一言も『冗談だ』とは口にしていない。
敵対者を殺すようにあっけなく、客ごと自分たちの未来を手放せと平気で命じる姿に確かな狂気が見える。
『組織の最期は、後腐れなくみんなで心中だよ』
組織発足時にボスが冗談のように告げたルールが、幹部の記憶から這い出てきた。
よくある裏切りへの牽制だと誰もが思っていたそれは、ボスにとってのみ言葉通りの意味だったのだ。
「あ、別に逃げてもいいよ。清十郎様には僕からケジメを伝えとくから」
「っ!! し、しつれい、します……」
そして、最後はプラプラと振られた手で退室を促され、幹部の男は顔を青くして部屋から出ていく。
「……まったく、10年も経つと我が身かわいくなるのかなぁ? それとも、10年以上無事だったから勘違いしてたのかも。ずっと暴力の庇護下にいられるなんて、あるはずないのにさ」
1人になったボスはひとしきり笑った後、ガラス玉のような瞳を天井へ向けた。
「さて、僕の首はどこまで飛ぶかな、死神さん?」
己の首にそっと触れ、ボスは組織の看板でもありスローガンでもある言葉を口にする。
「Sia la luce!」
――『光あれ』、と。
●裏オークションを潰せ
『皆さん、準備はいいですか?』
通信機越しに聞こえるH.O.P.E.職員の声に、各々が短く返事をする。
子供の万引きから明らかになった人身売買事件は、ついにヴィラン組織のアジトへ踏み込む段階に至った。
『警察の方々はヴィラン以外の関係者や子供たちの確保を、エージェントの方々はヴィランの拘束をしてください。エージェントの方々は人数から負担が大きいですが、よろしくお願いします』
以前に逮捕した神父の供述から調査を進め、この日にオークションが開かれることを知った。
警察は現地の協力を得られ大勢集まったが、エージェントは召集がうまくいかず少数精鋭の形となる。
『敵戦力に特筆すべき点はないようですが、10年以上も地下で活動してきた組織です。決して油断しないよう、速やかに制圧しましょう』
あえて職員も口にはしなかったが、ここに至る流れがスムーズ過ぎて不気味さが拭えない。
まるでここまで誘われたような感覚だけで、敵の罠を警戒するには十分な根拠といえる。
しかし、ここで引くわけにはいかない。
多くの幼い未来が、この作戦にかかっているのだから。
『それでは――突入開始!』
そして、職員の号令で全員が倉庫へ走っていった。
解説
●目標
人身売買ヴィラン組織の摘発
孤児の救出
●登場
ウーゴ…少なくとも15年以上前から活動している、マガツヒ傘下の中規模ヴィラン組織『Sia la luce』を統率するボス。仕草や口調はお茶らけた初老の紳士だが、比良坂清十郎の思想に賛同したサイコパス。
護衛ヴィラン×100…数だけは多いが、実力はほとんどが格下のチンピラ。内、警戒すべき実力者は5人いる幹部クラスで、チンピラを指揮しつつウーゴの護衛として周囲を固めている。
孤児…イタリアを中心にヨーロッパの国々から商品として集められた。現場にいる数百人は全員睡眠薬(人体に無害)を投与され意識はないが、何故か健康状態がいい。
●組織情報
イタリアのシチリア島にあるダミー海運会社が本拠地
表向きは小規模ながら運送業としての活動記録もあり、複数の倉庫を所有
裏では各地で協力者を得て誘拐した子供を商品として売買
主な顧客はヴィランとの繋がりがある医療機関で、個人よりも企業との取引が盛ん
●状況
情報は教会の調査で発見された書類や、逮捕された神父やヴィランの証言が中心
神父の取引に介入し、調査で行き着いた先がシチリア島
襲撃当日、PCは警察と連携しオークションが行われる倉庫へ突入→戦闘・逮捕
組織の持つ販路の全容がいまだ不明のため、少なくともリーダー格は殺さず逮捕が望ましい
(PL情報)
過去に売られた子供は解剖・薬物治験・改造手術などによりほぼ全員死亡
『世界触』以降に認知された種族を研究対象とみなし、残虐非道な方法もいとわず多くの子供を犠牲にした
ただし、一部の実験により社会貢献を果たした側面もある
・能力者・英雄→『過感覚』など、誓約で生じる希少事例の発見と治療法の研究
・ワイルドブラッド→動物の因子による種族特有の傷病に有効な治療法の確立
・アイアンパンク→人体を機械化する技術の発展(神経接続時の拒絶反応データなど)
マスターより
前回からすでに怪しかったですが、さらに物騒な話に膨らみました……
今回は人身売買の大本と判明したヴィラン組織の摘発と孤児救出という大捕り物をしてもらいます
主戦場はオークション会場である倉庫内で、逃げる参加者は警察に任せてヴィラン鎮圧を優先しましょう
敵ヴィランとの戦力差は10倍以上ですが、敵のほとんどはミーレス級程度と想定してください
幹部クラスでも危険度はおおよそデクリオ級の中位程度と考えてもらってかまいません
ボスのウーゴは戦闘要員ではありませんが、何をしでかすかわからない不気味さがあります
なるべく人的被害を出さず、速やかに無力化をお願いします
リプレイ公開中 納品日時 2018/10/04 20:13
参加者
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最終発言2018/09/19 04:27:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/09/18 22:34:43