本部
純悪
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/07/11 09:00
- 完成予定
- 2018/07/20 09:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/07/11 08:12:37 -
質問卓
最終発言2018/07/08 11:12:54 -
相談卓
最終発言2018/07/11 03:13:17
オープニング
●
つい最近経ったマンション同士が隣り合う路地裏の、不法投棄された箪笥に腰掛けてロマニが言った。
「生前、俺たちはどんな風に生きてたか覚えてるか」
箪笥が暴れている。扉から激しく衝突音が聞こえる。アリサは腕を組んで、首を横に振った。
「まったく。ただ、仕方ないわ。こうなる事は分かってた。ならもう自分の運命を受け入れるしかないの」
「お前ならそう言ってくれると思ってた。お互いに、運命を受け入れるんだな」
二人は紛争の絶えない地域でヒーローだった。
政府軍に敬服を示し、人々のために戦っていた。マフィアや、殺し屋の跋扈した国は彼らの戦績で明らかに減少していた。たった二人の人間が為せる業ではない。人々は彼らの事を現代に生きるチェ・ゲバラだと語った。とりわけ二人には名前が無かったから、ロマニ・アリサと合わせて呼ばれていた。
紛争も佳境に差し迫った時に、二人は忽然と姿を消した。
今は日本で、死んだまま生きている。
政府軍は、マフィアと何ら変わりなかった。自分らが優勢になると、マフィアと全く同じ行動を取った。それが正義たる者が下す報いなのだと、殺人を簡単に肯定した。ロマニは抵抗した。政府軍は抵抗を一蹴し、殺人は繰り返された。人々はその情報を快く受け入れ、パーティすらした。人の首を掲げ、楽しげに会合する。
アリサは、人は人なのだと言った。マフィアも国も変わらない。
では俺たちは何なのだと、ロマニは問う。
英雄でも人間、蘇った革命家も人間。二人とも、首をパーティの肴にする者共と同じ人間なのだと。
箪笥のドアを開けてアリサは中に入った。出てきた時、服の胸元がはだけていた。ロマニは苦笑して、彼女を見つめた。
「男は黙ったか」
「簡単よ。男は自分より強い女性に弱いの。フロイトはその事を、エディプス・コンプレックスとして語ってるわ。広義的に見ればだけどね」
「色気を使うのも程々に」
「最期くらい、いい夢を見させてあげましょうよ」
箪笥の中に入っていた男は善たる市民だった。中年で、家族のために窮屈な箱に閉じ込められながら会社に通い、疲れた顔をして帰ってくる男だった。彼が二人の運命とも呼べる生命体の生贄になったのは偶然ではない。
ロマニは二本の剣を取り出し、無作為に刺した。
もう正義漢気取りはやめだ。
祖国を出る時、ロマニはボートの上で言った。波と、アリッサだけが声を聴いていた。人を殺した時、ロマニはいつも自分に言い聞かせている言葉がある。
「俺たちは悪の性を持って生まれてきた。殺人衝動という物。英雄だった頃は、たまたま英雄だっただけのこと」
例によって、アリサは頷いた。
人間、誰も変わらない。心の中にはイドが住んでいて、邪悪な考えを持っている。警察も、特殊部隊も、リンカーも絶えず何かを壊しているが、それは一時的にイドを解放させているに過ぎない。直前で殺人ではなく拘束で終える者もいるだろう。
善民ではない。それも結局、相手にとっては同じ意義を持つからだ。殺人も、降伏も。
ロマニとアリサは、自我を失っていた。国に服従することによって、殺人の正当性を心に植え付けられて、それが当然であると何年も言い聞かされていたからだ。二人はマフィアを殺す時、悪を討つという正義感ではなく、イドが解放される快感に酔っていた。
これからも延々と殺人を続けるだろう。自分達だけのために。
「次は派手な事をしよう。大丈夫、人なんて簡単に死ぬ」
大統領でも、社長でも、市民でも。心臓に剣が刺されば死ぬ。
――俺たちはリンカーじゃない。だから分からない。だから問う。リンカーはどうして生物を殺す? イドの解放は快楽だと、それは認めなければならない。イドは常に抑圧され続けているから。自分の愛する者のためとか、正義のためではないだろう。
時に、どうしようもなく殺したい相手がいるだろう。俺たちでよければ、どうしようもなく殺したい相手を殺すために手伝ってもいい。
解説
●目的
二人を擁護するか、倒すか。
二人は昼間、銀行を襲う。金目的ではない。特殊部隊が来て二人を制圧する中、エージェント達にも召集がかかる。
エージェント達を見つければ、二人は様々な問いを掛ける。だろう。特に、イドについて。更に、復讐を手伝うとも語る。リンカーは自ら決断を下し、二人の処遇を決める必要がある。
リンカー同士で意見が決裂する場合もあるだろう。復讐を遂げたいリンカー、彼ら二人を止めたいリンカー……。話し合って意見を纏めるか、二人と一時的に協力者になるか。それはリンカー自身が決めることだ。
最終的に二人がどうなるかは、全てリンカーにかかっている。
●ロマニ
金髪で、二十八歳。長い髪は後ろで纏められ、貴公子に似た美貌と姿だ。
彼は普通の人間だが、祖国にいた頃リンカーから貰った愚神の腕と自身の腕を交換し、生きた愚神同様の力を持っている。愚神の手で剣を使い、卓越した捌きで攻撃を仕掛けてくるが、腕以外の防御力は人間と変わらない。
急所をつけば一撃で倒れるだろうが、愚神の腕やアリサの護衛によってダメージを与えることは極端に難しくなっている。
●アリサ
銀の髪で、短く切られた髪は所々跳ねている。白い肌と顔立ちの整った綺麗さと、黒いミニドレスが彼女の容姿を美しくしている。
彼女は愚神と眼を交換している。彼女の視界の中にロマニがいる限り、彼の身体は常に鋼鉄のように硬くなる。彼女の武器は眼から放つ光線と、ナイフである。
●状況
昼間の銀行はお年寄りが多く、二人は無差別に攻撃する。店員が非常のコールを警察にかけ、リンカーが到着する頃には銃撃戦となっているだろう。二人は銀行の二階に立て籠もり、警察の申し出には応答しない。
警察や、市民の遺体が様々な場所に横たわっている。どれも心臓だけを狙われていて、即死させられている。
●師
二人に愚神の一部を与えたリンカーは既に、二人に殺されている。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
後先考えない、というのはこういう事です。
物語の結果によればシリーズになるかもしれないし、ならないかもしれない。皆さんのプレイングが届くまでは全く分からない一作となってます。
なので私は今非常に楽しみです。ロマニとアリサの命運は全て、私の手ではなく皆さんの手に握られているのですから! ここまでのシナリオが書けるとは、最初思っていませんでした。まだOPの段階でそう言うのもなんですが。
皆さんの参加と、プレイングお待ちしてます。
リプレイ公開中 納品日時 2018/07/18 20:51
参加者
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/07/11 08:12:37 -
質問卓
最終発言2018/07/08 11:12:54 -
相談卓
最終発言2018/07/11 03:13:17