本部
滅ぼされるべきは過去の
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~10人
- 英雄
- 6人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/31 15:00
- 完成予定
- 2018/06/09 15:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2018/05/31 13:57:39 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/29 23:42:28
オープニング
「懐かしいな」
男は、窓の外から雨を見つめる。初恋の少女と出会った日も、雨の日であった。兄のお下がりだという黒い大きな傘を握り締めて、町を歩いていた少女ミナモ。そんな彼女に、男は恋をした。もう十年以上も前の話である。
そのころの男は、荒れていた。
他人はおろか自分の親でさえ信じられずに、夜の街を一人の悪党としてさまよっていた。そんな男を――サトルを変えたのは、黒い傘を持っていた少女ミナモであった。
「本当に懐かしい」
ヴィランとしてH.O.P.Eに追いかけられ、怪我をしていたサトル。ミナモは、偶然街で出会っただけの彼の手当てをした。最初こそミナモを疑ったサトルであったが、すぐに彼女が愚かしいほどに優しいだけだと気がついた。
そして、いつのまにか彼女に恋をしていた。
サトルはヴィランとしての生活から、足を洗った。ミナモのために更生し、職にもついた。やっと人並みの生活を送れるようになったサトルは、ミナモを探し回った。彼女に思いを伝え、自分と一緒になってほしかった。
だが、ミナモはすでに家庭を持っていた。彼女は、町でボロボロになった悪党――つまりはサトルのことを覚えていた。覚えていて、それでもサトルを旧友のように扱った。サトルは、それで十分だと思った。
優しい夫、可愛い娘。
ミナモは、すでに幸せを手にしている。
ならば、自分は身を引こう。
なのに――。
サトルは、タバコを握りつぶす。
ヴィランとして活動していた頃の知り合いに声をかけられた。もう一度組まないかという内容であったが、サトルは断った。そのとき、かつての知り合いがミナモそっくりの少女を連れまわしていることに気がついたのだ。
少女はいやいや連れまわされているようではなく、知り合いの仲間として振舞っていた。きっと多感な年頃にはヴィランは、恰好がいい悪に映っているのだろう。だが、実際は違うことをサトルは知っている。
悪であるということは、他人を傷つけ、自分を傷つけるということだ。そして、周囲の信頼を失い、更生までは長い時間がかかる。初恋を失うぐらいに長い時間が。
「ミナモ。僕は君に助けられた。君の娘を救うのは、恩返しだ」
サトルは、かつてのツテをつかってミナモの娘ナナの情報を得ていた。ナナは学校では優等生の仮面を被っているが、放課後は鬱憤を晴らすかのように悪い仲間とつるんでいる。そしてリンカーでもあったナナは、かつてサトルが属していた組織に目を付けられたのだ。そして、サトルはその組織が近々H.O.P.Eの摘発を受ける情報も得ていた。
「ナナ。悪なんて、お母さんを困らせるだけの組織なんだ」
H.O.P.Eがナナを逮捕し、彼女の経歴に傷が付く前に……自分と同じ苦労を初恋の少女の娘にさせないために。
「組織を潰してしまおう」
●かつて悪の組織があった場所
「なんだこりゃ」
リンカーたちは、破壊されたビルに目を見開く。ここでは若者を使い捨ての悪党に仕立てあげていた組織があったはずだが、今はもう見る影もない。リンカーたちは警察と共に建物に入るが、見つかるのは激しい戦闘の痕ばかり。
「ビルのなかを確認しましたが、無傷なのは未青年ばかりです。おそらくは、この組織に利用されていた不良少年少女たちだと思われます。彼らの証言によると、鍵爪の男が突然やってきて組織の大人たちを倒していったと……病院に運ばれた組織の人間たちは、しばらくは入院でしょう」
その話を聞いた古株の職員が、もしやと口を開く。
「レックスなのか……死んだと思っていたが」
「レックスって、恐竜のですか?」
リンカーの言葉に、職員は首を振った。
「レックスっていうのは、この街に昔いたヴィラン御用達のフリーの用心棒だ。ヴィラン同士の抗争なんかにも雇われていたらしくて、あいつが暴れた跡には鍵爪で引っかいたような痕が残っていたからレックスって呼ばれるようになったんだ。正体不明だが、もう何年も現れていなくて――てっきり死んだもんだと思っていたが……生きてたなんて」
「大変だ!」
警官の一人が口を開く。
「倉庫街に、レックスらしき男が目撃されたらしい。女の子を人質に連れているようだ!!」
●絶滅の場所
赤いレンガの倉庫がならぶ、どこか薄暗い一角。まるで観光地のような概観だが、住民ならここがただ「それっぽく」作られた安っぽい町並みだと知っている。バブル期に観光の目玉として作られた建物たちなのだが、今では倉庫など利用する企業も人もおらず、周囲はしんと静まり返っていた。一つの倉庫のなかで、少女の声が響き渡る。
「放してよ!」
「騒いでも人はこないよ。僕が若いときは、もうちょっと人もいたんだけどね」
サトルは、ぼそりと呟く。
「ちょっと、放してよ!なんで、皆はほうっておいたのに私だけ連れてきたのよ!!」
倉庫のなかで縛られている少女は、ナナである。
「君を母親のもとに連れて行くまでは、絶対に放さない」
「まさか、ママに頼まれたの!?」
ナナの顔が、驚愕に染まる。
親には悪事がばれたくないらしい。サトルは人知れず「そうであったらいいのに」と思った。
「違うよ。僕は、そんなに君のママと親しくはない。僕は、レックス。ただの肉食恐竜さ」
周囲が、突然明るくなる。
ナナは、悲鳴を上げた。
そこにいたのは、武器を構えた組織の男たちだったからである。
「レックス……てめぇ、突然復活したと思ったら、なに組織を壊滅させちゃってるの? 昔は一緒に戦っただろうが」
男の言葉に、サトルはにやりと笑った。
とても冷たい、爬虫類のような笑みであった。
「もう、恐竜の時代は終りだ。だから、絶滅させにきたんだよ」
これから戦いになる。
そうなれば、H.O.P.Eや警察は騒ぎを聞きつけるだろう。
ナナは、レックスという殺人鬼に人質にされた可愛そうな女の子として保護されて――母親の腕に抱かれることになる。彼女の経歴は傷つかないし、ミナモの涙も見なくてすむ。
「さぁ、過去の遺物たち。かかってこいよ」
食い殺してやる、とサトルは鍵爪を構えた。
解説
・人質の少女(ナナ)の保護
・レックスおよび組織の残党の確保
倉庫(22:00)――使われてはおらず、雑然とした倉庫。物はあまりないが、広々としている。身を隠すには、あまり向いていない。電気がついているため中は、光源が十分にある。
サトル(レックス)――四十代後半の男性。両手に鍵爪を装着し、接近戦での戦いを得意とする。狂った殺人鬼を演じるため、リンカーにも組織の残党にも本気でかかってくる。素早さと攻撃力が高いが、ブランクが長いため体力低い。ナナを人質にとっているヴィランと断定されている。
・王の顎――両手を合わせて、敵の肉体の一部分を挟むワザ。強力な破壊力を持つ。
・王の爪――鋭い鍵爪で引っかく攻撃。
・隠し爪――鍵爪を飛び業具として使用する。滅多に使うことがない。
・王の皮膚――自身の皮膚を強化して、防御力をあげる。持続がなく、そのつど発動させなければならない。
・恐竜王の宴(PL情報)――自動的に発動。自分あるいは他人の血を浴びるたびに、攻撃力がぐんと跳ね上がるが自我を失う。使いすぎるとナナに襲い掛かる。
組織の残党――サトルが壊滅させた組織の残党。ナナがサトルに情報を流していると思っているため、ナナとサトルの双方を狙う。武器は銃器。十人出現。攻撃力は低いが、体力が高い。
・人間の英知――複数の同時射撃によって、攻撃力を上げる。
・人間の文明――タバコを吸って体力を少しだけ回復させる。
・人間のともらい――仲間が倒されると使用していた武器を利用できる。攻撃力が上がる。
ナナ――サトルに縛られている少女。リンカーではあるが戦いは苦手。自分が不良であったことを隠そうとする。
マスターより
こんにちは、落花生です。
今回はヴィランVSヴィランの抗争(?)の話になります。
ついでに、恐竜王も大暴れです。
リプレイ公開中 納品日時 2018/06/02 16:41
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相談卓
最終発言2018/05/31 13:57:39 -
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最終発言2018/05/29 23:42:28