本部

戦闘

【記憶の本】白い本とヴィラン

茶茸

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
1人 / 4~8人
英雄
1人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/05/20 22:00
完成予定
2018/05/29 22:00

掲示板

オープニング


「あなたの役目は犯罪の被害者の記憶を集める事。分かっていますね?」
「はい……」
 しょんぼりと肩を落とすのは白い肌に白い髪、目だけが鮮やかな赤をした十歳程の子供。
 その子供を叱っているのはラバースーツとコートが合わさったような服を着た女性だった。三角帽子から垂れた髪は白、瞳の色は赤。顔立ちもどことなく子供と似ており年の離れた姉弟と言われたら納得しただろう。
「あなたは今ひとつ責任感と確実性に欠け突飛な行動が目立ちますが、ボスは承知の上で役目を与えた。だからこれ以上私からは何も言いません」
 説教はこれで終わったと悟った少年が笑顔になったのを見ると、女性はただしと釘を刺す。
「本の回収を急ぎなさい。ボスの今期のマイブームは『傷心物』なんですから」
「はい!」
 背筋を伸ばしての返事によろしいと頷き、女性は一つの鍵を取り出した。
 子供が手にした鍵束の物と同じ銀色でそれより大きく凝った装飾が施されている。
「例の約束が果たされたらこれを渡しなさい」
「いいの?」
「約束が果たされたかどうかは私が判断します。あなたの判断は気紛れでかつグダグダなので信用なりません。当日は私と監視役に徹し、よしとなれば私から許可を出します。いいですね?」
「はい!」
 子供は元気よく返事をすると、それじゃお手紙かかなきゃと鞄から紙とペンを取り出した。


「人の記憶を奪う本と言う物があります。H.O.P.E.には被害者の本を八冊保管していますが、現状では本に奪われた記憶を元に戻す事はできていません」
 職員はその本に関わる事件の内容をエージェント達に要約して話す。
 記憶を奪う本は図書館の体を成したドロップゾーンと思われる場所に保管され、その管理を『司書』と名乗る愚神が行っていた。
 その時は被害者八人分の記憶を記した本を持ち出す代わりに四名のエージェントが『本』に記憶の一部を奪われる事になった。
 別件で現れた子供の姿をした愚神は『本』を人間の盗人に与え、記憶の回収を手伝わせていたらしい。
 しかし本が目的と異なる使い方をされた事に気付き回収ついでに盗人を殺そうとした。エージェントが介入しなければ確実に殺されていたのだが。
「その時の予知で愚神が持つ『銀の鍵』が本から記憶を排除する機能を持っている事が分かりました。排除された記憶は持ち主の元に戻る事も確認済みです」
 当時事件を担当したエージェント達は鍵の入手を狙ったが、愚神は鍵が欲しいならと条件を出して来た。
「本の回収を手伝えと言う事でしたが、その件は持ち帰って協議すると言う事で収まりました」
 しかしH.O.P.E.に愚神からと思われる手紙が届いた。
「それがこれです」
 職員は縁に銀の箔押しを施した紙と封筒を並べた映像を表示した。

 前に鍵が欲しいなら本の回収を手伝ってって話をしたよね。
 僕が本を渡した人から勝手に本をとったやつがいるんだ。
 そいつらから本を取り戻してくれたら君達の所にある八冊分の鍵をあげる。
 僕は「約束」はちゃんと守るよ。受けてくれるならこの日までにこの場所に来てね。
 受けてくれなかったら「約束」はなかったことになるから鍵はあげない。

「被害者の記憶を奪った本を盾にした脅迫のようなものです」
 件の愚神は予知の中で盗人を躊躇いなく殺していたが「約束」に拘る一面があった。
 当の盗人も愚神との「約束」を破った制裁として殺されていたようなのだ。
「愚神の言う『約束』がどこまで果たされるかは分かりませんが、『鍵』を手に入れられるチャンスではあります」
 手紙にはヴィランの拠点とその大雑把な見取り図まで同封されており、調査を行ってヴィランも拠点も実在している事は分かっている。
 どこまで愚神の言い分を信じるかは難しい所だが、かと言って今回を逃せば記憶を収めた本を集めた『図書館』の場所も、関わっている二体の愚神の行方も掴めていないまま次の機会を得られるかどうか分からない。
「本を奪ったと言うヴィランですが、窃盗で得た資金で人員を集め組織を作ろうとしているようです」
 このヴィランだが、当初はチンピラに毛が生えたような置き引きや強請をしておりヴィランとすら思われていなかった。
 しかしある時期からセキュリティを掻い潜って高級宝石店や銀行から金品を盗み、次々と手下を集めて犯罪グループを作った。
「本を悪事に利用できるのは以前の事件で金庫のパスワードを入手した男の件からも分かっています」
 このヴィランも本を利用して力を付けて行ったのかも知れない。
 成長具合から考えてこのまま放置しておくわけにもいかないだろう。
「ヴィランを含む犯罪グループを捕獲して『本』の場所を聞き出すか、密かに潜入して『本』を見つけ出すか、どちらが有効かは分かりません。相談した上どちらを選ぶか決めて下さい」

解説


●目的
・『本』をヴィランの犯罪グループから奪取する(複数あると思われる)

●状況
・荒野/晴れ:
 街から離れた荒野にバラックが建っている
 バラック周囲にはトラックやジープ等の車輛、木箱やドラム缶等が数か所纏まっていたり適当に置かれていたり雑然としている
 荒野全体は見通しがよく警備をしている人員が昼夜問わず5人ほどいる

・『東棟』
 12×6m。外にある物以外の車輛と整備器具等の器具が主に置かれ、整備担当者や暇な人員が数名いる事が多い
・『西棟』
 12×6m。拠点にいる人員の多くがここに詰めている。仮眠室と武器庫
・『中央棟』
 8×8m。東棟と西棟の真ん中にある。事務所兼警備室と言った所。あちこちに散らばっている構成員の様子を監視カメラの映像で確認しており、異常があれば各所にあるスピーカーや連絡機器で伝達できるようにしている

●敵
・『構成員』×30
 アサルトライフルやハンドガンで武装した一般人~訓練した軍人級の戦闘力
 見張り5人以外はいつどこに何人いるかはバラバラ

・『ヘンドリック』/ヴィラン
 拠点にいる時は中央棟に特別に作った自室で過ごしているか事務所の方で構成員と打ち合わせをしている
 ドレッドノートのスキルを使用する。欲はあるがあまり強い方でないと自覚しているため大きな犯罪は避けていた
 それが手下を集め派手な盗みを犯す様になったのは『本』を手に入れたからだろうか   

●不明
・『謎の子供』/愚神
 「【記憶の本】銀の鍵と白い子供」にて、本の回収を手伝えばH.O.P.E.が保管している本から記憶を取り戻せる『鍵』を約束した
 エージェントの働きをどこかで監視している
 「約束」は守り信賞必罰を旨としているが、かなり行き当たりばったりで思い付きで行動する所がある

・『謎の女性』/愚神?
 子供と同じ色と似た容姿を持つ女性
 エージェントの働きをどこかで監視している

マスターより

こんにちは、茶茸です。五月も半ばに入ろうとしているのになかなか暖かくなりません。
当シナリオはシリーズの続編ですが前作を知らなくてもあまり問題はないのでお気軽に参加して下さい。
目的達成のためにどんな手段を選ぶか、そのためにどう行動するかは皆様次第。よろしくお願いします。

参加受付中 プレイング締切日時 2018/05/20 22:00


参加にはSC1,000が必要です。

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