本部
すべては誰かを救うため
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/27 09:00
- 完成予定
- 2018/05/06 09:00
掲示板
-
正義とは何か。(相談卓)
最終発言2018/04/26 21:11:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/04/23 23:31:55
オープニング
●
子供のころ、正義のヒーローに憧れた。
人々を傷つける悪い奴を倒し、みんなを救うヒーロー。僕はその背中に焦がれ、慕った。
僕もあんなふうになりたい。
そうして、努力して努力して努力して、とうとう僕はヒーローになった。
僕は、みんなを救う。そのために悪い奴を一人残らず倒す。
それが、僕の――――
ふむ。ならばその願い、我が余さず叶えて見せよう。
●
従魔とか愚神というものは、その攻撃力や身体能力に反して本当に際限なく湧き出てくる。ある時は山に、ある時は川に。海に森に浜に竹林に田畑に崖に、まさしく神出鬼没という具合に。
しかし法則性がないわけではない。彼らの目的はライヴスを得ることで、そのためには動物を――特に人間を襲う必要がある。
なので、もっぱら人類の敵は市街地に現れるのだ。
「きゃあああああああああああっ!!」
たくさんの人でにぎわう休日のショッピングモール。そこに突如として絹を裂くような悲鳴が響き渡った。
声の主である若い女性の前には、ぼさぼさの体毛を持つ黒い狼が三匹、荒い息を吐いて女性をにらみつけていた。無論自然界の存在ではない。突如として彼女の前のコンクリートが泡立ち、そこからせり上がってきたのである。
黒い獣が吼える。たったそれだけで、ショッピングモールは恐慌状態に陥った。誰もがこの災厄――従魔の脅威を理解していたからだ。聞こえなくても耳でわかる。悪夢とはそういうものである。
「あ、ああ……」
女性がへたり込む。従魔は血走った眼をそちらに向け、今まさに獲物へととびかかる。
その瞬間。
「……ハッ!」
女性と従魔のあいだに何者かが割り込み、持っていた太刀で従魔を一閃した。三匹の黒い獣は体躯を二つに引き裂かれ、現れた時と同じように空に溶け消える。
あまりにもあっさりとした幕引き。逃げまどいかけた人々はようやく落ち着きを取り戻し、そして現れた謎の救援に惜しみない拍手を送った。ありがとう、リンカー、と。彼らは知っている。従魔に対抗できるのライヴスを操るリンカーであることを。
「あ、ありがとうございます。私、もう少しで死んでしまうところでした」
女性が体を起こせないまま、目の前のリンカーに感謝を述べた。
リンカーが振り返る。黒い目をした、色素の薄い肌の少年は女性を一瞥すると、表情を変えることなく女性に右手を差し出した。女性が笑顔を作ってその手をつかむ。
「ありがとうございます。本当に……ありがとうございます」
だが、少年は答えない。女性の目をえぐり取るようにじっと見つめ、それから周囲を見渡してから、誰に語るでもなくぽつりとつぶやいた。
『…………臭うのう』
「え?」
一瞬。女性は自分に何が起こったのかを理解できなかった。
だが自分の腹に目を落とし、そこに真一文字の傷跡を目にした瞬間、すべての感情を爆発させた。
「いや、あ、あああああああああああああああああああああ!?」
再びの悲鳴。それに周りの人々が何か反応を返す前に、もう一度変化が現れた。
広場。休憩所。服飾店。レストラン。カフェ。玩具屋。小物店。ショッピングモールのいたるところから、先ほどのものと同じ従魔が群れをなして現れたのである。
少年は着々とこちらに向かってくる従魔を眺め渡して、わずかに熱のこもった声でつぶやいた。
『やはりまだ隠れておったか』
くつくつと笑う少年。そこには少年と呼ぶにはあまりにも場違いな、熟れた果実のようなぐずぐずとした妖気がにじみ出ていた。
『ふむ。我の言う通りであったであろう、ユイ。人間の絶望は従魔を引き寄せるのにちょうどいい。お前はこの所業に怒るやもしれぬが……この程度の犠牲で平和が守られるなら安いものよ。さあ、殺して潰して叩き斬ろうではないか』
わからない。女性が言葉も出せないまま叫ぶ。なぜ私が斬られなくてはならないのか。この少年は何者なのか。何が目的なのか。だけどそれらのすべては彼に届かず、女性は力なく真後ろに倒れこんだ。
女性の意識が薄れていく。ぼやけた視界の先で、太刀を構えた少年が先ほどよりは緩んだ表情でこちらを見て言った。
『安心するがいい。ぬしの絶望と引き換えに、我はすべての敵を殺し尽くそうぞ」
●
「揃ったな。それではブリーフィングを始める。
今回君たちが戦う相手は、邪英化した英雄だ。この両名を無力化し、元の状態に戻してほしい。
能力者の名前は神白ユイ、英雄は千間院カンナだ。彼らは数か月前、とある愚神の戦闘任務に赴いた際にライヴスの運用を誤り暴走、邪英化したと考えられる。その愚神自体は撃破したもののすぐに二人は行方をくらまし、各地を転々としていたようだ。
それだけならまだ何とかなったんだが……奴は各地で無実の人々を殺傷し、そのたびに漏れ出たライヴスに魅かれて集まった従魔を倒して回っていたらしい。彼らによると思われる死傷者は七人に上る。
今回彼らが現れたのは関東のショッピングモール。同時刻に従魔の反応も観測されている。どうやら彼らと戦っているようだ。つまり君たちの目的は、邪英化した千間院カンナの無力化、並びに確認されている従魔の撃破ということになる。
おそらく厳しい戦いになるだろう。彼らは戦闘経験も多く、何より暴走しているがゆえに容赦がない。殺すな、というのは酷かもしれないが……貴重な戦力であり仲間だ。彼らを助けてやってくれ。
ブリーフィングは以上だ。諸君の健闘を祈る」
解説
目的:千間院カンナの無力化、および従魔の撃破
登場人物
神白ユイ
・英雄『千間院カンナ』と誓約を交わした能力者。日本人、人間、十八歳。攻撃適性。
・現在は千間院カンナに肉体を乗っ取られ、意識は凍結されている。彼との外部からの意思疎通は不可能。
・以下、ステータスとスキル。
物攻:B 物防:C 魔攻:D 魔防:D 命中:B 回避:B 移動:C 抵抗:E INT:B 生命:C
スキル
一閃
・太刀を横に大きく振って対象複数名に物理ダメージを与える。
オーバーギア
・体内のライヴスの性質を変え、超高速で駆動する。回避値に補正がかかり、次ラウンドで必ず最初に行動する。ただし一度使うと三ラウンド発動できない。
トワイライトドーン
・太刀による連続攻撃。対象一名に特大ダメージ(物理)。
・生真面目かつ素直。『正義のヒーロー』に憧れていたと語り、市民を守ることに対し積極的だった。社交的ではなかったが、戦友と呼べる間柄の者は多かった。
千間院カンナ
・能力者『神白ユイ』の英雄。外見年齢十三歳。女性。ブレイブナイト。本当の年齢は不明。
・十二単に似た着物を着こなす少女。口下手なユイに代わり対外業務を行っていた。
・他人を唆して破滅する様を見て楽しむような精神破綻者。現世に来てからは多少おとなしくなったが、それでも性質自体が消えているわけではない。他人に対してドS、ユイには超ドS程度で収まっている。ただ、彼女なりにユイのことは大切に思っているらしい。
・誓約は、ユイが『人々を救う』、カンナが『従魔と愚神を殺す』であった。
従魔『黒狼』
・野生の黒い狼のような従魔。すばしっこいが力を込めた一撃を与えれば倒せる。カンナがいる限り数限りなく現れる。
ショッピングモール
・三階に分かれたショッピングモール。縦に長い構造で、ユイたちは二階中央で戦っている。
・市民はすでに避難している。
マスターより
山川山名です。
今回のテーマは『守護』。人々を守るために何をするべきかを突き詰めすぎた少年と、彼に協力していたロリのじゃ英雄が今回の敵であります。要は敵を先にブッ潰せばいい、そのためには市民の犠牲もいとわない、ということですね。それをどうとらえるかは皆様、そして皆様のPC次第です。
今回は無力化、ということでそちらも作戦を考えてください。それではー。
リプレイ公開中 納品日時 2018/05/05 21:22
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正義とは何か。(相談卓)
最終発言2018/04/26 21:11:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/04/23 23:31:55