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【白刃】赤い悪魔

mister

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
2人 / 6~10人
英雄
2人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/10/21 07:30
完成予定
2015/10/30 07:30

掲示板

オープニング

●H.O.P.E.
「……老害共が、好き放題に言ってくれる」
 H.O.P.E.会長ジャスティン・バートレットが会議室から出た瞬間、幻想蝶より現れた彼の英雄アマデウス・ヴィシャスが忌々しげに言い放った。
「こらこらアマデウス、あまり人を悪く言うものではないよ」
 老紳士は苦笑を浮かべて相棒を諌める。「高官のお怒りも尤もだ」と。

 愚神『アンゼルム』、通称『白銀の騎士(シルバーナイト)』。

 H.O.P.E.指定要注意愚神の一人。
 広大なドロップゾーンを支配しており、既に数万人単位の被害を出している。
 H.O.P.E.は過去三度に渡る討伐作戦を行ったが、いずれも失敗——
 つい先ほど、その件について政府高官達から「ありがたいお言葉」を頂いたところだ。

「過度な出撃はいたずらに不安を煽る故と戦力を小出しにさせられてこそいたものの、我々が成果を出せなかったのは事実だからね」
 廊下を歩きながらH.O.P.E.会長は言う。「けれど」と続けた。英雄が見やるその横顔は、眼差しは、凛と前を見据えていて。
「ようやく委任を貰えた。本格的に動ける。——直ちにエージェント召集を」
 傍らの部下に指示を出し、それから、ジャスティンは小さく息を吐いた。窓から見やる、空。
「……既に手遅れでなければいいんだけどね」
 その呟きは、増してゆく慌しさに掻き消される。


●ドロップゾーン深部
 アンゼルムは退屈していた。
 この山を制圧して数か月——周辺のライヴス吸収は一通り終わり、次なる土地に動く時期がやって来たのだが、どうも興が乗らない。
 かつての世界では、ほんの数ヶ月もあれば全域を支配できたものだが、この世界では——正確には時期を同じくして複数の世界でも——イレギュラーが現れた。能力者だ。
 ようやっと本格的な戦いができる。そんな期待も束の間、奴らときたら勝機があるとは思えない戦力を小出しにしてくるのみで。弱者をいたぶるのも飽き飽きだ。

「つまらない」
「ならば一つ、提案して差し上げましょう」

 それは、突如としてアンゼルムの前に現れた。異形の男。アンゼルムは眉根を寄せる。
「愚神商人か。そのいけ好かない名前は控えたらどうなんだ?」
 アンゼルムは『それ』の存在を知っていた。とは言え、その名前と、それが愚神であることしか知らないのであるが。
「商売とは心のやり取り。尊い行為なのですよ、アンゼルムさん」
「……どうでもいい。それよりも『提案』だ」
 わざわざこんな所にまで来て何の用か、美貌の騎士の眼差しは問う。
「手っ取り早い、それでいて素敵な方法ですよ。貴方が望むモノも、あるいは得られるかもしれません」
 愚神商人の表情は読めない。立てられた人差し指。その名の通り、まるでセールストークの如く並べられる言葉。
「へぇ」
 それを聞き終えたアンゼルムは、その口元を醜く歪める。
 流石は商人を名乗るだけある。彼の『提案』は、アンゼルムには実に魅力的に思えた——。

●日本の車窓から
 現地に向かう車内で、窓の外の景色を見ながら男は呟いた。
「……ふ、『白銀の騎士』か。俺のライバルに相応しい名だ。そうは思わないか、タオ?」
「だったら、ゼファー君一人で行けば? ライバルを名乗るなら多勢はよくないでしょ」
 溜め息混じりで冷たく言い放つタオ・レーレ (az0020)に、顔を蒼くしたゼファー・ローデン(az0020hero001)は頭を深く下げて謝罪した。
「すみません、見栄です、わたくしが悪かったです。見捨てないでください、タオ様」
「まったく、わたしのパートナーなんだからそんな情けない声出さないでよ。それに、今回の任務はその周囲の従魔の殲滅だからね。それでも、『白銀の騎士』のドロップゾーンに誘われてやってきてるの強力な従魔も居るらしいよ」
 物々しく言うタオに、ゼファーは顔を引き攣らせながらも威勢を取り戻し、言い放った。
「……お、俺が着いてやるから安心しろ、タオ」
「はいはい、頼りにしてるわよ」
 そして、二人は生駒山の見える土地に降り立った。
「こ、これは?!」
 並々ならぬ様子のゼファーに、タオも緊張を隠せなくなっていた。
「え、英雄だから解るような、特別に異様な空気とか感じるの?」
 恐る恐る問うタオに、ゼファーは真剣な表情のまま返した。
「……この禍々しくも強さを隠さないオーラ、いや、隠しきれないと言った方が正解か? この中に居る奴は中々出来る奴のようだな」
 酔いしれながら言うゼファーに、タオは冷めた視線を送っていた。
「ち、違うんだ、タオ! 何か言わないといけないと思って」
「でも、そんな言葉は期待していなかったわよ。まったく、心配して損した」
 プンプンという表現が似合うような怒り方で腕組みをするタオに、ひたすらゼファーは謝っていた。そのまま、徒歩で生駒山に近付いていくが、従魔も見当たらず、木々も生い茂る山道のあまりに穏やかな雰囲気の中、ゼファーはタオより先行しながら歩いていた。
「ククク、俺達の力に恐れをなしたか? 『白銀の騎士』も大した事無いんじゃないのか?」
 腕を真横に広げ、天を仰ぐように見上げるゼファーだが、ふと足元が膨れ上がる錯覚に襲われた。すると、勢いよく地面から出てきたそれに、ゼファーは顎を撃ち抜かれていた。
「ぶはっ!」
「あっ! もうバカ、何やってんのよ!」
 気持ちいいくらいにまともに決まったそのアッパーカットに、ゼファーは斜め後方1メートル程吹き飛ばされた。更に、追撃で二ヶ所から交差するように伸びてきたそれを、駆け付けたタオはゼファーを受け止めつつ、蹴りを繰り出し、反動で更に後方へと跳ねた。
「……た、タオ、どうやら俺はここまでのようだ。お前だけでも逃げてくれ」
「オッケー、そんな事が言えるなら当分は大丈夫よね?」
 そう言って、タオはゼファーを攻撃した地面から現れたモノを睨んでいた。
「赤い棒状の……って、もしかして、あれカエンタケ? とんでもないモノに取り付いたのね」
「か、カエンタケ?」
 意識も朦朧としているゼファーは、タオの腕の中でぜぇぜぇと息を切らしながら問うた。
「うん、猛毒のキノコ。しかも、ライヴスにもその毒が侵食しているのか、君にも有効みたいね」
 現れたカエンタケは、これ以上動く気配はなく、タオは周囲を窺っていた。
「もしかして、この従魔の本体は別に居る?遠隔操作で分身を攻撃に使っているとしたら、幾らも出てくるやつを叩いても終わらないじゃない」
 言いながら、タオはゼファーとの同化を試みた。
「うわ! やっぱりゼファー君のダメージが酷い」
 ふらふらと立ち上がると、タオは自分の頬を両手で二回軽く叩いて気合を入れた。
「よし、それじゃみんな! あのカエンタケ従魔の討伐頑張ろ!」
 同行してきた貴方達は、少しふらつくタオを護るように前へ出て、その場のカエンタケとおぼしき従魔を遠巻きに構え始めた。

解説

●目標
 カエンタケ従魔の討伐

●登場
ミーレス級従魔、カエンタケ
 毒能力は厄介だが、足が生えての移動等はない。
 攻撃手段は主に地面から飛び出しての体当たり。勢いがよすぎると地面から抜け出すかも。
 食べる事はおろか、触れるだけでも皮膚が炎症を起こすカエンタケ。従魔化する事でライヴスを介して、英雄や同化した者にも皮膚へ大きな炎症を起こす事が出来、当たりどころが悪いと、ゼファーのように意識が朦朧とする場合がある。つまり、頭付近への攻撃は要注意。
 本来カエンタケは、木の根元に生えるが、トラップの如く、ところ構わず生えてくる。
 本体が存在するようだが、範囲は絞り込めていない。ゼファーのやられた位置から数メートル離れた辺りは攻撃してこないので、本体の居る中心位置からの射程範囲はその辺りまでと推測される。後は周囲の怪しい箇所を散策するしかない。

●状況
 軽い傾斜の山道。
 天候は、ドロップゾーンの影響が遠いおかげか、たまに日が陰るくらいの晴れでまだ日の高い日中。
 敵ドロップゾーンはまだ遠く、木々等に影響はなく普通に生えている。が、森や林と言う程生い茂っていない程度の場所。
 ドロップゾーンの影響もあり、周囲に人は居らず、地図を見ると、近くにはさびれた神木のある神社や遊具も色々ある大きい公園跡地、野生の動物が集まりそうな小さな湖等がある。
 任務を受けた本人、タオとゼファーはあまり役に立てそうにない。

マスターより

 どうも、マスターしてますmisterです。
 遂に始まりました、大規模作戦!
 私の扱うNPCはちょっと(大分?)濃ゆいかもしれませんが、最初っからやられたゼファー君に文句でも言ってあげてください。ですが、彼が傷付きすぎない程度にお願いしますね……
 しかも、敵は厄介な猛毒のキノコ。彼のように調子に乗りすぎず、冷静な判断で相手をしてください。
 では、皆様のご協力お待ちしています。

関連NPC

  • 武道乙女
    タオ・レーレaz0020
    人間|19才|女性|命中適性

参加受付中 プレイング締切日時 2015/10/21 07:30


参加にはSC1,000が必要です。

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