本部

調査

吹雪の惨劇

布川

形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/02/06 19:00
完成予定
2018/02/15 19:00

掲示板

オープニング


 視界が真っ白だ。
 スキーに来ていた観光客の大学生二人は、突然の猛吹雪により道を見失ってしまった。吐く息は白く、体温は冷えていく。友人はがたがたと震えている。
 唇は真っ青だ。おそらく、自分も。
 寒い。
 死ぬ。
 もうだめかもしれない、と思い出した時、友人が吹雪の中を無言で指さした。
 ロッジの明かりが見えた。

 それは、確かに救いに思えた。


「遭難ですか。外は寒かったでしょう。ゆっくりしていってください」
 ロッジのオーナーは優しかった。温かいカップスープを飲み干すと、体が温まっていく。客はほかにもいた。同じように吹雪で立ち往生していたらしい。
「ざっけんなよ、僕は明後日大事な商談があるんだよ。道がふさがってるってどういうことだ?」
 一言もしゃべらない不愛想な老人。高慢な態度をとる青年実業家。旅行中の3人のOL。
 老若男女、奇妙な取り合わせだが、吹雪の中同じようにひどい目に遭ったという共通の話題があった。
「あなたたち大学生? 頭が良いのね」
「えへへ、はい、まあ、それほどでも」
「まあまあ、食料は十分にありますから」
「酒は飲むか?」
「ああ、飲みます飲みます」


「あの、××さん見ませんでしたか?」
「え?」
 最初にいなくなったのは寡黙な老人だった。
「いや。見てないですよね。風呂が空いたんですが、どこにもいなくて……」
「ねえ、なんか寒くない? どこかから冷気が入ってくるみたい……」
「おおい、××さん。いますか? 開けますよ?」
 ロッジのオーナーがガチャリと、マスターキーを回した。
 扉を開ける。
 一同は凍り付いた。
 部屋の窓が無残に壊れていた。吹雪が吹き込んでいる。ここは2階だ。外に出たというのか? こんな天気の日に?
 そして、部屋の窓の下には、赤い……これは血だ。
「い、いやあああああーーー!」
 OLの一人が悲鳴を上げてその場から駆け出していく。
「おい、待てって!」
「こ、これはいったい……」
「わかりません……と、とにかく、通報を。通報をしましょう」
「無線機は?」
「だ、だいぶ昔のなので……ああ、どうしよう、どうしよう、ああ」
「こんなところにいられるかよ! 俺は部屋に戻らせてもらう!」
「ちょっと! お客さん、それが一番……」
「うるさい!」
 男は壁に掛けてあったショットガンを手にしていた。
「お客さん!」
「俺は部屋にいる! 一人でいる!」
「今、今H.O.P.E.に通報をしますから。大丈夫です。明日になったら……きっと助けが……」
 どうしてだ。
 たしかに助かったと思ったのに。

「お前は大丈夫だよな」
 この騒ぎを知らず、少し前にガレージに薪を取りに行くといった友人が戻ってこない。部屋で待つ、ことにした。見に行く勇気はなかったから。
「だいじょうぶだよな。な?」
 とんとん、とノックの音がした。よかった。化け物がノックをするはずはない。
「え?」
 ノックの音がした。ノックの音が、窓をたたく音が。ここは2階だった。窓には白いもやがかかっていた。窓が割れる。
 悲鳴を、あげる暇もなかった。

●H.O.P.E.本部
 それから。3日。
 事件はいまだに解決していない。
「スキー場、ロッジでの集団失踪事件。これは……事件ですね。ええ、事件です。我々の出番であるということは間違いがないとは思いますが」
 H.O.P.E.本部。プリセンサーである相馬は難しい顔をしていた。
「通報があってからすぐ、別のリンカーたちらの班が現場に向かいました。残されていたのは血痕と、争いの跡……。何かが起こったのは間違いがありません。ですが、いったい何が起こったのか、誰にも分かりません。
派遣されたリンカーたちはたっぷりと武装して、一晩。敵を待ち構えましたが、しかし、何も起こりませんでした。よほど警戒心の強い従魔なんでしょうか。
一応、目撃情報がないわけではないんですが、「白い影を見た」とか。その程度です。
山を徹底的に捜索、といきたいところですが……今は大規模な山狩りに回す人数もありません。また、生存者の目撃報告がないことから、敵の情報も乏しいと言えます。難しい任務ではありますが……よろしくお願いします」

解説

●目標
 従魔『シュプール』の撃破。

●場所
 日本某所の雪山。

・ロッジ……スキー客が宿泊する雪山。
 1Fはロビーや厨房、風呂、2Fは個別の部屋がある。
 薪や食料品、寝具など最低限の設備がある。
 血痕などのショッキングなものは、派遣部隊が片付けたようだ。
 現在は従魔の出現により営業を停止している。

★雪山洞穴(PL情報)……シュプールの巣食う洞窟。
 ゼロからの発見は非常に難しい。
 この洞窟を発見するには、逃走するシュプールのあとを追うなど、何らかの工夫が必要だろう。
 一本道の洞穴で、シュプールの逃走先になる。
 洞窟自体は袋小路。

 なお、ロッジでシュプールを迎え撃ち、全滅させることができれば必ずしも洞窟に行く必要はない。

●登場
シュプール×参加PC人数
 白い布をまとった従魔。三日月のような口から鋭い牙が生えている。体長は2mほど。
 個々としては強くはないが、行動パターンが厄介。

 また、H.O.P.E.ではシュプールに関する情報を集められておらず、「敵はおそらく1体の従魔」と認識している。

(推測できる情報)
・個別襲撃
 シュプールは獲物が1人になったところや、ターゲットが負傷しているなど、有利な状況でターゲットを襲撃する。あまりに不利だと出現すらしない。
 弱っているもの、防御力の弱いものを優先して狙う傾向がある。

(PL情報)
・逃走本能
 シュプールは相手の人数が多かったり、負傷すると逃げようとする。加勢が多いと逃げようとする。

・復活?
 シュプールたちは雪山に身を潜め、ロッジを取り囲むが、襲撃には一体ずつ出現する。
 個体同士の外見は同じで見分けがつかない。まるでダメージを受けていないように見えることもあるだろう。

●天候について
 昼から夜にかけて雪。
 昼は何も起こらない。
 夜が更けるにつれて猛吹雪となり、シュプールが出現する。リンカーは寒さで死ぬことはないが、視界は悪く動きにくい。

マスターより

こんなところにいられるか! 私は部屋に戻るぞ!
インドア派の布川です。
調査シナリオですが、おそらく戦闘になることでしょう。
従魔が犯人なので、トリックはとくにありません。
実は生きている誰誰が黒幕、ということもありません。だいじょうぶです。
何かあれば質問卓ではアーヴィン(az0034)がお答えしますが、あまり情報は持っていません。

関連NPC

  • エージェント
    アーヴィンaz0034
    人間|67才|男性|命中適性

リプレイ公開中 納品日時 2018/02/14 21:53

参加者

  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 共に在る『誓い』を抱いて
    メグルaa0657hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • 絶望へ運ぶ一撃
    黛 香月aa0790
    機械|25才|女性|攻撃
  • 反抗する音色
    清姫aa0790hero002
    英雄|24才|女性|カオ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 死を殺す者
    クレア・マクミランaa1631
    人間|28才|女性|生命
  • ドクターノーブル
    リリアン・レッドフォードaa1631hero001
    英雄|29才|女性|バト
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 守りもてなすのもメイド
    Гарсия-К-Вампирaa4706
    獣人|19才|女性|回避
  • 抱擁する北風
    Летти-Ветерaa4706hero001
    英雄|6才|女性|カオ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ

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