本部

戦闘

幻影蝗と貪食蛙

影絵 企我

形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/09/15 19:00
完成予定
2017/09/27 19:00

このシナリオは3日間納期が延長されています。

掲示板

オープニング

●デブじゃないデブ

「あっちにいたぞ!」
「こっちに隠れてた!」

 夜の街にエージェント達の声が響き渡る。武器を担ぎ、彼らは連絡を取り合いながら駆け回る。物陰に潜んでそんなエージェント達の様子を窺っているのは、一匹の痩せに痩せた、毛むくじゃらのカエルであった。
「クソクソクソッ。オレは食べたいだけなのに。どうして寄ってたかって邪魔するんだ」
 目をぎょろぎょろとさせて、カエルはひっそりと喉を鳴らす。一月ほど前の一件以来、プリセンサーに片手間にマークされるせいで食事をろくに取れないでいた。今夜もそうであった。夜中にひっそりと穀物倉庫に侵入しようとした矢先、エージェントの待ち伏せに遭ったのである。
「クソ……だんだん眩暈までしてきた……あいつらのせいだ……あいつらが……」

「随分と困ってるようだな」

 不意にカエルの頭上で声がする。見上げると、杖を片手に黒いローブを纏った老人がふわりふわりと降りてくる。
「随分とエージェント達に目を付けられているようじゃないか。一体何をしたというのだね」
「何もしてない……ただ食べたいから食べてただけだ」
 カエルは呻く。彼にしてみれば、エージェントが勝手に怒って襲い掛かってきたようなものだった。老人はカラカラと笑い、カエルの背を叩く。
「そうかそうか。それは災難だったな。……時にカエル君よ。私には君に、エージェントに囲まれてもなお好き放題物を食べられるだけの力を貸してやることが出来るんだが……貸してほしいかね」
「何だって? くれ。貸してくれ! オレはもう腹が減って減って仕方ないんだ!」
「勿論タダというわけにはいかない。まずはお前が集めたライヴスの一部を私に拠出すると約束したまえ。そうでなくては私も力を貸す意味がないというものだ。そしてもう一つ……」
 老人はくるりと振り返る。路地に響く蹄鉄の音。
「お前は世界の食べ物を食べ尽くせ。こいつも助けに出してやるのでな」
「世界の食べ物を、食べ尽くす……」
 老人の視線を追い、カエルは見た。

 夜空にはためく黒い旗を。

「大仕事になるぞ。この世には棄てるほど食べ物が溢れているらしいからなぁ」

●広場に響く悲鳴
 翌日、街の中央の広場は大盛況であった。日本各地のB級グルメを集めた”食の展覧会”が開催されていたのである。数え切れないほどのテントが広場にひしめいて互いに味を競い、またわざわざ地方から遠出してやってくる客もいて会場はごった返している。また要所要所にはエージェント……君達の姿も見える。プリセンサーが察知したのである。例のカエル――”アバドン”が出ると。守備は万全、熱気も十分、展覧会は間違いなく成功裏に終わるはずだった。

 のだが。

「あ、あああああっ!」
 テーブルに料理を広げ、いざ食べようとしていた一人の男が悲鳴を上げる。彼だけではない。会場の至る所で悲鳴が上がった。彼らは弾かれたように立ち上がり、料理から逃げ出す。
「バッタ! バッタが! バッタがあああッ!」
 悲鳴はすぐさま会場全体へと広がっていく。慌てて会場に飛び込んだ君達は愕然とする。会場の上空を埋め尽くすほどの規模で、大量の蟲が、飛蝗が飛んでいる。巨大な翅を広げたそれは次々食べ物に向かって舞い降り、肉だろうと野菜だろうと構わず食いつき始める。これでは食の展覧会どころではない。店主も客も我先にと逃げ出した。
「ぐふ、ぐふふ……メシ、喰う!」
 そこへ突っ込んできたのが、だぶだぶに肉を付けたカエルである。テントを体当たりで薙ぎ倒し、カエルは煮込まれていた鍋を手に取ると、いきなり中身を全て口の中へとぶち込む。その間僅か一秒の出来事である。そのままカエルは隣のテントを吹き飛ばし、舌を伸ばして仕込み前の鶏肉も今まさに炭で焼かれていた焼き鳥も纏めて呑み込んでしまう。これもまた一秒もかからぬうちの出来事であった。
 虫はキモイ。視界も遮られるレベルだ。しかしカエルを放っておくわけにもいかない。武器を闇雲に振って虫を薙ぎ払いながら、カエルを目指して走り出す。
「……」
 だが、そんな彼らの前に一人の騎士が立ちはだかる。虫の羽のような光沢を放つ黒い鎧を纏い、その右手には秤を持った騎士が、黒い馬に跨り旗を掲げている。その黒い布地は至る所を虫に喰われ、また季節外れの霜が纏わりついていた。

 その旗を見た途端、君達は背筋がぞくりと冷えた。舌が痺れ、胃が押し潰されるような感覚を覚える。今にも胃の腑の中身を全て吐き出してしまいたい気分だ。

 しかしそんな事をしている場合では無い。本能が叫んでいる。


 この騎士は、少なくとも”この騎士”だけでも、倒さなければならないと。

解説

メイン 黒騎士を撃破する
サブ アバドンを交戦などで追い返す

エネミー
ケントゥリオ級従魔ファメース
 虫のような光沢を放つ鎧を纏った黒騎士。ライヴスで出来た蝗をばら撒きイベントを大混乱に包んだ。
ステータス
 魔防B、その他D~E
スキル
・死の舞踏
 虫に集られた凍れる黒旗が掲げられる時、飢餓が起きる。
 [接敵中回復アイテム使用不能。また、このキャラクターの周囲1000sq以内にいる限り、食事を行う事が出来ない]
・アイスローカスト
 夢か現かもわからない、冷たい蝗の大軍が襲い掛かる。
 [自身を中心に半径50sqの攻撃。魔防の対抗判定を行い、勝利した場合(15-特殊抵抗)の固定ダメージを与える]

ケントゥリオ級愚神アバドン
 前回の出現以来、エージェントの警戒のためにろくな食事をとる事が出来なかった食いしん坊。突如現れた老人の口車に乗せられ、力と黒騎士を借り受けた。
ステータス
 物攻C 物防F 魔攻C 魔防F 命中A 回避A 生命S 移動S イニS 抵抗A(十割ガリ)
 物攻A 物防A 魔攻C 魔防A 命中A 回避F 生命S 移動F イニF 抵抗A(十割デブ)
スキル
・でぶでぶ…鯨飲馬食を行う。[回避・移動・イニ減少。物攻・物防・魔防・体重増加]
・がりがり…脂肪を燃焼させる。[生命力回復orBS回復。物攻・物防・魔防・体重減少。回避・移動・イニ増加]
・大跳躍…緊急離脱。[シナリオ中一回のみ使用。戦闘から離脱する。(10-イニシアティブで上回られた値)割の確率で妨害を回避する]

フィールド
●B級料理イベント会場
 ご当地グルメがこれでもかと集められた大イベント。デブと蝗はとにかく目に付いたものを食べている。
●障害物
 テントが多く張り巡らされている。デブが薙ぎ倒しているが長物(1.5m以上)を扱う際には注意。
●幻影蝗
 蝗が飛び回っている。きもい。

マスターより

Tips
・アバドンは10kgまでなら任意のタイミングで、30kgまでならサブアクションで、50kgまでならメインフェイズ消費で食べる事が出来る。
・アバドンのステータス増減は体重の増減と連関している。今回のシナリオ開始時は五割デブくらい。

影絵企我です。
今回のシナリオは蟲がキモイというシナリオです。
メディックの人が居なくて詰みという事にはならないと思いますが、来なかった場合は少し厄介になるかもしれません。
アバドンはそもそも蝗の方ですけど気にしないようにお願いします。放置した場合はどんどん太っていきます。逆に太っていくだけで戦いに加勢したりはしません。

以上です。よろしくお願いします。

リプレイ公開中 納品日時 2017/09/21 11:04

参加者

  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 光旗を掲げて
    フィアナaa4210
    人間|19才|女性|命中
  • 翡翠
    ルーaa4210hero001
    英雄|20才|男性|ブレ
  • Be the Hope
    杏子aa4344
    人間|64才|女性|生命
  • トラペゾヘドロン
    テトラaa4344hero001
    英雄|10才|?|カオ
  • 悪食?
    逢見仙也aa4472
    人間|18才|男性|攻撃
  • 死の意味を問う者
    ディオハルクaa4472hero001
    英雄|18才|男性|カオ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ

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