本部

戦闘

白鯨と船と

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/08/20 07:30
完成予定
2017/08/29 07:30

掲示板

オープニング

●海の魔物
 空は晴れ渡り、海も穏やかに凪いでいて、航海は平和と言ってよかった。
「何だ、あれは?」
 水中に何か大きなものがいるのが見える。
 次第に近付いて来るその何かはクジラだろうと誰もが思っていた。
 太平洋を航海している間にクジラに出会うことはそれ程多くは無く、今回の航海では初めての遭遇であった。
 船に護衛として乗り込んでいたエージェント達もクジラを見ようと甲板に出てくる。
 その頃には水中の何かはだいぶ大きく見えるようになっていた。
 ようやく船員達が異常に気が付いた。
 水中から上がって来るその何かは大きすぎるのだ。
 最大の哺乳類と言われるシロナガスクジラでも三十メートル以上の個体は滅多に存在しない。
 だが、海中の影はそれよりも遥かに大きい。
 水面に近づくにつれ次第に真珠のような光沢をもつ皮膚が陽光を受けて水中で輝くのが分かるようになる。
 俄かに船上が騒がしくなる。
 この海域では少し前から不審な影が水中で目撃されていた。
 今の所、被害報告は無いがH.O.P.E.も警戒をしていて、海域を航行する船には護衛としてエージェント達も雇い入れられるようにもなっていた。
 すぐに機関の音が大きくな船が加速を始める。
 水上にそれが姿を現した。
 
 真珠の様な光沢をもつ皮膚。
 血を固めたかのような赤黒い硬質の輝きを放つ左右三対、六個の瞳。
 翼のように水中に大きく広げた幅二十メートル近い左右の胸鰭。
 そして、五十メートル以上の巨体。

 今まで誰も正体を見た事の無かった影の正体はクジラ型の従魔だった。
 姿を現した敵が加速し始めた船の横に並ぶ。
「掴まれ!」
 誰かが叫んだ。
 咄嗟に近くに有った物に掴まらなければ海へと投げ出されていたかもしれない。
 ドォオンという大きな音と同時に横向きの強い衝撃が船を襲う。
 クジラ型従魔が船に横から体当たりしたのだ。
「被害は!?」
「航行に支障ありません!」
 叫び交わす声が響く。
 航行に支障はなくても船へダメージが無い訳では無い。
 積み上げられたコンテナが今の衝撃で荷崩れしなかったのはただ運が良かっただけのように思える。
 体当たりの後、一度海中に姿を消したクジラ型従魔が今度は船の背後に現れる。
 僅かに開いた口には鋭い牙が並び、その隙間から洩れる赤い光がまるで鼓動のように海中で明滅している。
「あ!」
 突然のその声に全員の視線が集まる。
 声の主は船尾に立っていた船員だった。
 その手に有った道具箱が船尾の手すりをすり抜けて海へと落ちていく。
 
 丁度その落下する先にクジラ型従魔がいた。

 それは不可思議な行動であった。
 クジラ型従魔がたった三十センチメートルほどの大きさの道具箱を避けるように速度を落として進路を変える。
 この巨体である。避けたところで体のどこかには当たるのだ。
 それに、AGWでないただの道具箱がぶつかったところでクジラ型従魔が傷つくことは無い。
 実際、道具箱がぶつかった頭部には傷一つ付いていない。
 それでもクジラ型従魔は道具箱を避けようとした。
 理由が分からなくともその行動のおかげで追いかけてくるクジラ型従魔との距離が開いたのは事実だ。
 未だ背後から迫るクジラ型従魔にエージェント達がそれぞれの武器を抜き攻撃を放つ。
 攻撃が届く瞬間、クジラ型従魔は少しだけ避けるように体を動かすが今度は距離が開くような大きな動きは無い。
 避けるというよりは受けたといった印象の方の方が強いかもしれない。
 当然攻撃はクジラ型従魔の体に命中し、その真珠色の肌を傷つける。

 攻撃によりついた傷の大きさは場所によって違うように見える。

 避けられたと思われる攻撃は別として正面の硬そうな頭部と良く動く柔らかそうな胸鰭の近くの傷は明らかに大きさが違う。
 さらにいえば、物理攻撃よりも魔法攻撃の方がダメージを与えやすい様にも見える。
 だが、それぞれの攻撃力は同じではない。
 確信を得るため次の攻撃を準備するエージェント達を嫌がるようにクジラ型従魔が水中へと身を隠す。
 だが、逃げたわけではない事は明らかだ。
 平穏さとは程遠い静けさが海の上を今も支配しているのだから。

●生き残る術
「あんた達に頼らねばならん」
 船長の言葉にエージェント達は頷いて見せる。
 元々エージェント達は不審な影からの護衛として船に乗り込んでいるのだ。
 ならば、あのクジラ型従魔と戦うことになるのは当然だ。
「さっき、H.O.P.E.から連絡があった。プリセンサーにより奴はケントゥリオ級と確認されたそうだ。さらにこの付近に救援に向かえる船は存在しないことも伝えて来た」
 つまりはこのメンバーだけでケントゥリオ級の従魔と戦わなければならないという事だった。
「倒す必要はない。無事に船が逃げられればそれでいい」
 船長がエージェント達にそう声をかける。
 今回の任務は船をと積み荷を無事に港まで送り届けることである。
 クジラ型従魔を倒せても積み荷を失ったり、船が壊れたりしてしまえば依頼は失敗となってしまう。
「幸いにも奴は足が遅い。この鈍足の貨物船よりもほんの少し早いだけだ」
 通常のクジラと同じ速度で泳げるならばもうこの船は浮かんでいないだろう。船長はそう付け加えて視線を再び背後に姿を現したクジラ型従魔に向ける。
「アレはもしかしたらクジラではないのかもしれない。大きな胸鰭に頼って尾鰭をまともに使えていない」
 確かにクジラ型従魔は大きな胸鰭を翼のように使い水中を進んでいて、その尾鰭はピンと伸ばされあまり使われている様子は無い。
「アレは船なのかもしれんな。あの動き、まるでオールで水を掻くようだ……それにあの背、まるで船の甲板のようではないか」
 船長の言う通り追ってくるクジラ型従魔の背は乗り移ることさえ出来れば安定した足場になると思われるほどに平らで広い。
 自らの思考を追い払うように首を横に振って船長は視線をエージェント達に戻す。
「何にしろ、脅威であることは事実だ。互いの速度が近い事も有り横に並ばれさえしなければ攻撃を受けることも無いだろうが、あの体当たりをもう二発喰らえば船は限界だろう」
 さっきと違い船は全速で走っている。
 これ以上の速度を出すことは出来ないが、クジラ型従魔が横に並ぶにはそれなりの時間が必要となる。
 その間にクジラ型従魔をどうにかしなければならない。
 間に合わず横に並ばれてしまえばあの大きな体の体当たりを止める術は無いだろう。
「何とかして奴を引き離してほしい」
 距離を稼ぐ事さえ出来れば逃げ切ることも不可能ではない。
「我々に出来る事ならば何でも行う。救命艇も必要ならば使ってもらって構わない」
 船長はそう言ってエージェント達に頭を下げる。
「我々の命はあんた達に託した」

解説

●目標
・船と積み荷を失わず逃げ切る
(以下記載の作戦成功条件を達成する)

●ルール詳細
作戦成功条件
・従魔側距離カウンターが【0】になる

作戦失敗条件
・敵の攻撃が二回発生

距離カウンター初期値
・船側【10】(船側は固定値で変動しません)
・従魔側【5】

従魔側の距離カウンターの変動
距離カウンター【+1】の条件
・ラウンドの開始時
・あらゆる判定で従魔側がクリティカル、PC側がファンブルする
・クジラ型従魔がそのラウンドにダメージを受けずにクリンナップフェーズを迎える

距離カウンター【-1】の条件
・あらゆる判定で従魔側がファンブル、PC側がクリティカルする
・PCによるクジラ型従魔の動きを妨げるプレイングの成功
・そのラウンドの累積ダメージが規定値以上になる

敵の攻撃
・ラウンド終了時に従魔側距離カウンターの値が【10】の場合に攻撃が発生して従魔側距離カウンターが【-5】されます

●特殊判定
射程
・距離カウンターの差が必要射程となります
・射程の足りない武器での攻撃はクジラ型従魔に乗り移ることで可能となります
※判定上の都合での設定です。実際の距離は異なります

乗り移り
・距離カウンターの差を修正値として移動力で判定を行い、成功すれば跳躍でクジラ型従魔に乗り移れた事になりそのラウンドから攻撃できます
・判定に失敗、又は跳躍以外の方法で移動した場合は次のラウンドから攻撃となります
・乗り移り状態での攻撃は防御・回避されません

命中
・指定がない限り攻撃は頭部に命中します
・クジラ型従魔は体の部位によりダメージ計算が違います。部位狙いの場合はその難易度に応じて修正値が加わります
 ※例:胸鰭・命中補正【-10】ダメージ10%増
・他の部位は隠し要素としますOPなどから予測してプレイングに反映してください

●船の装備
・船は一般的な貨物船です
・水上水中活動用の道具は一通り揃っています

●敵は船以外を攻撃対象にすることはありません

マスターより

 皆さまこんにちわ。
 今回はチェースルールをアレンジした特別ルールを使っています。
 長々と解説にルールが書いてありますが今回の私の方針の表明くらいと考えてください。
 判定はこちらで判断しますので、

 いつも通りのプレイングで問題ございません。

 とりあえずはどうやってクジラ型従魔を引き離すかを考えていただければ問題無いようになっています。
 無事逃げ切れば勝ちなので当然ですが討伐しても任務は成功です。
 ただし、積み荷を捨てると成功度は下がりますのでご注意ください。
 どうするにしろ無事の帰港を祈っております。

リプレイ公開中 納品日時 2017/08/26 04:25

参加者

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • 『星』を追う者
    ルビナス フローリアaa0224hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • エージェント
    アシュラaa0535hero002
    英雄|14才|女性|ドレ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 明日に希望を
    ナイチンゲールaa4840
    機械|20才|女性|攻撃
  • 【能】となる者
    墓場鳥aa4840hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ

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