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日常

【時計祭】占い屋

玲瓏

形態
イベントショート
難易度
易しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2017/07/31 22:00
完成予定
2017/08/09 22:00

掲示板

オープニング

●ティックトック・フェスティバル
 ロンドン支部長キュリス・F・アルトリルゼイン(az0056)は頭を悩ませていた。
 世界蝕のもたらした技術革新によって通称『ビッグ・ベン』の改修工事はもうすぐ終わる。
 けれども、昨年末の愚神との戦いの直後に警戒態勢の上で改修工事に入った為、ビックベンには陰気な噂が流れていた。
 いわく、ビックベン周囲にはハロウィンの亡霊が彷徨う──といったような。
「これではいけませんね」
 七組のエージェントたちがロンドン支部に集められたのは数日後のことだった。


「あたしたちエージェントで作る、学校の文化祭のようなものだと思う」
 戸惑いながら、ミュシャ・ラインハルトは依頼内容を伝えた。
「文化祭、やる。やりたい」
「なかなか粋なことをするじゃないか」
「うんうん。スッゴク楽しそう!」
 弩 静華と布屋 秀仁、米屋 葵のポジティブな反応にエルナーが笑った。
「できそうかな?」
「勿論。文化祭だなんて何年振りかしら。今回くらいは童心に戻って楽しんでも悪くないわよねー」
「そうだね。だけど年相応って言葉もしっかり覚えておかないとね?」
 乗り気の坂山 純子だったが、ノボルの一言に言葉を詰まらせた。
「文化祭、ね。やっぱり、するなら喫茶店かな?」
「なら、和風にしようよ。徹底的にね」
 圓 冥人へ真神 壱夜が提案する。
「和服とか割烹着、素敵ですわね」
「母は、割烹着を着たいのよ」
 ティリア・マーティスとアラル・ファタ・モルガナのやり取りに、トリス・ファタ・モルガナが静かに首を横に振った。
「いいえ、ティリアには着物を着てもらいますよ」
 秀仁も同じく何か思いついたようだった。
「器具なんかは家のものを持ってきて、カップとかドリンクは自腹で買うか……」
 一方、ハロウィンから続いた事件を思い出した呉 亮次はしみじみと呟いた。
「あん時は新人中の新人で、しかも二回ほど死にかけたっけな」
「みんなが暗い気持ちになってるなら、また歌の力を借りるのはどうかな?」
 赤須 まことの期待に満ちた視線を受けて、椿康広とティアラ・プリンシパルが顔を見合わせた。
「季節外れの仮装ライブなんてどうっすか」
「ハロウィンの悪い思い出を、楽しい記憶に変えられればいいわね」
 ティアラの言葉にエルナーは軽く手を叩く。
「決行決定ってことかな。なら、僕たち以外にも参加してくれるエージェントを募らないとね」


 その少年には好きな女の子がいた。同じ学校でクラスは違うが、目を合わせるといつも手を振って挨拶をしてくれた。少年も小振りに挨拶を返すが、いつもそれだけで終わっていた。
 最初はほんのりとした淡い恋心だった。実るはずもないただの片思いで終わるのだと諦観していたが少年には好機が生まれた。その日はバレンタインで、チョコレートを想い人から貰ったのだ。自作の小さなブロック型のショコラで、赤い包み紙に入って。淡い口溶けは、女の子は何を表したかったのだろう?
「でも、もしただの義理だったらって思うと……」
 今日はただ友達と文化祭を楽しみにきただけなのに偶然にも「占い屋」という看板を見つけてしまってから、足が自然と方向を変えた。
「その子の事を思うとなんか、いつもと違うんです」
「なら立派な恋の病よ」
 坂山は言い切った。
「最初に言っておくけれど、占いっていうのはあくまでも勇気付けに過ぎないの。どんな結果が出ても自分の解釈で、都合良く理解してくれればそれでいいわ。あなたはその女の子と結ばれるかどうかを知りたいのね」
「はい」
 占い屋のベースはプライバシーに考慮してカーテンで包まれている。少年は他の目を気にせず首を縦に振ることができた。こんな相談、恥ずかしくて友達にも親にもできない。
 大きめな鞄の中から坂山は本を取り出した。本と一緒に月の形をしたエメラルド色の石を取り出した。
「この石はね、私のお婆ちゃんから貰った石なの。よく私もお婆ちゃんに悩み事とか言って、そうするといつもこの石を私の手に握らせて、占いじみた事をしてくれたわ。するとね、大体良い方向に向かっていったの。毎日、大切に持ち歩いているのよ」
「へえ……。すごい石なんですね」
「胡散臭いものじゃないって、それだけは確かよ」
 坂山は少年の手を握って、石を一緒に握り締めながら本を開いた。
「他にもクラスの中に女の子とかいると思うけれど、その子以外には何とも思わない?」
「可愛いな、とは思う人達は何人もいるのですけど……僕が思う人は違う感情なんです。恋心なのかどうかも、言われるまで分かりませんでした」
「オーケイ。告白は急がないで。少なくとも夏の間は告白しないで、今まで通りの関係を保ちながら少しずつ距離を近づけていって。例えば、夏休みの宿題を教えてもらうとか」
 真面目な表情で少年は占い結果を聞いていた。
「秋になったら思い切ってみるの」
「こ、断られちゃったら」
「断られたら一週間はヘコんでいいわ。長引くなら二週間、一ヶ月でも。ちょっと回復したなと思ったらもう一度周りの女の子を見て、告白したいなという子を探す。でも見つからないならもう一度同じ女の子に告白してみて。二回目はちょっと違ったやり方でさ。二回目がだめなら三回目を試してもいいわ」
「ウザく、ないんですか?」
「好きでもない男に告白されるのは確かに、そう思われるかもしれないわね。でも諦めたくないんでしょ」
「……はい」
「君はとりあえず、当って砕けなさい。頑張って、大丈夫。この石、本当にすごい効き目なんだから」
 悩める少年を、その後は何度も励ましながら見送った。彼に良い青春が訪れるようにとただ願うばかりだ。
 恋の悩みは一日二日で解決できるような問題ではない。坂山はただ、天国にいる祖母に向けて両手を合わせた。神様はちょっと残酷だから、祖母に合わせるのが良いのだ。

解説

●目的
 人生相談。

●占い方法
 生年月日や星座等から占う占星術と、坂山独自の占い法。悩み事を言って、占ってもらってその占い結果から導き出される答えを元に今後どうしていくかを一緒に考えよう。
 恋の悩み、仕事の悩み、夢の悩み。色んな問題を色んなエージェントが抱えているはず。必ずしも良い方向に人生が向かっていくとは限らないが、この機会を使って自分の本音を全て吐き出してしまったらどうだろう。
 プライバシーは完備されているから問題はない。

●その他
 お好みなら、占い方法をリクエストしてくれれば適宜応じる。

マスターより

※当MSはアドリヴ成分が多めですが、このシナリオでは控え気味です。

 生きとし生けるもの、悩みは抱えてしまうものです。
 本当なら家族や友人、はたまた恋人に相談するのが良いのでしょうが、そのどれにもできない相談はあるはず。赤の他人だからこそ言えることです。
 良い機会だと思って、ご相談してください。勿論坂山を知っているエージェントからの相談も大歓迎です。お待ちしてます。

リプレイ公開中 納品日時 2017/08/08 21:24

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ

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