本部
跳ねて、撥ねて、果てる
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/31 07:30
- 完成予定
- 2017/06/09 07:30
掲示板
-
トランポリン競技準備室
最終発言2017/05/31 02:18:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/29 02:15:01
オープニング
●
ただ、『僕』は誰かと遊びたいだけなんだ。
●
とある休日の昼下がり。
近所に住んでいる子供たちの多くが、自分たちの親を連れ出して朝から友達と遊んでいた。ブランコ、鉄棒、砂遊び、おままごと、鬼ごっこ、ボール遊び。本当に子供というのは無尽蔵の体力と想像力があると大人たちに呆れ交じりのまなざしを向けられるほど、彼らはよく動き、よく笑った。
若い親たちは始めこそ彼らについて行けていたものの、だんだんとベンチのほうに後退していくのが慣例になっていた。それを見て扱いに慣れてきた先輩親たちが同情を込めた笑みとともに会話の輪を広げていくのだ。
実に、よくある光景だ。
どこにでもある、平穏で平凡で平和な日常のワンシーンだ。
だが。
「ねえねえ、僕も仲間に入れてくれないかな?」
ボール遊びをしていた男の子数人に声をかけたのは、彼らと年恰好が近い少年だった。動きやすい半そでと短パン、活発そうな瞳に短いスポーツカットで切りそろえた黒髪。顔つきも年相応な幼さを宿している。
そして、彼らはこの少年の呼びかけに快く応じた。
「うん、いいよ!」
「やった! さっきまで何してたの?」
「ボール鬼。じゃあこいつも入れてまた鬼決め直そうぜ」
数回のじゃんけんの後、少年が鬼になった。
少年はバレーボール大のよく弾むボールを何回か手で押してみたのち、不意にこんなことを言い出した。
「うーん……これを、君たちにぶつけるんだよね?」
「そう。それで当たったやつがまた鬼になって、すぐあて返すのはなし。やったことない?」
「ううん、そうじゃなくて、ちょっとそれだとつまらないかなって」
「?」
「だからさ」
『少年』はパチンと右手の指を何の気なしに打ち鳴らす。
直後に異様な変化が訪れた。
「こうしたほうが、面白いんじゃないかな?」
――地面が、少年たちをはじき返した。
「うわっ、なんだこれ!?」
「トランポリン!?」
「なんだこれ、どうやったの!?」
男の子たちが口々に歓喜と疑問を口にする。その顔に恐れはない。いつだって子供は未知のものに興味がわくものだし、このアミューズメントパークじみた仕掛けに興奮しないはずがなかった。
周りで他の遊びをしていた女の子や男の子も同様に、突然跳ねだした地面に驚いていた。だがすぐに、これは遊べると思ったのか、次々と新しい遊びを考案しだしていた。遊具も弾力を持っていたので、跳ねながらブランコをこぐ、といった具合に。
大人たちのほうが節操なく慌てる事態に、すべてを仕掛けた『少年』は疑問に答えることなくこう口にした。
「じゃあみんな遊ぼうよ! 僕が鬼だよー!」
「わー、逃げろー!」
「すっごい跳ねんだけど!たのしー!」
――それは少々の異常をはらんではいたが、まあ、おおむね平和だった。
夕暮れになって、その公園は静寂に包まれた。
それは子供たちが遊び疲れて引き揚げたから、『ではない』。
確かに子供たちはいる、この中に。もっと言えば彼らに付き添っていた親たちもちゃんといるし、おもちゃも遊具も確かにそこにある。ただ異様な弾力を持っていることを除けばすべて元のままである。
ただし。
「あれー、みんなどうしちゃったの? もうギブアップなの?」
あの『少年』がスーパーボールのように跳ねながら、周囲の男の子たちに首をかしげて疑問を投げかけた。しかし、返事はない。
子供たちは皆、生気を失って、ただ跳ねるままになっていた。
大人たちも同様だ。すでに生命の源は底をつき、指一本動かすことすらままならない。おそらく自分が跳ねるままになっていることすら気づいていないだろう。
『少年』は、自分の体にライヴスが満ちていることに気づき、ぽんと手を叩いた。
「そうだ! じゃあみんな、これをあげるよ!」
声とともに、『少年』の体から流れ出たライヴスが地面を通して子供たちに分け与えられる。濁ったライヴスを受け取った子供たちは死人のような顔で『少年』を見やった。
「みんな、遊びの続きをしようよ! まだまだ、僕は全然遊び足りないんだ!」
死人のような子供たちはみな一様にうなずき、青ざめた無表情のままボール遊びをし続ける。
トランポリンじみた大地は公園の垣根を超え、一般の街路にも浸食し始めていた。
「ああ、楽しいなあ! やっぱりみんなで遊ぶのって本当に楽しいや!」
『少年』は、落ち行く夕日を背にそんなことを、本当に無邪気な笑顔で叫ぶのだった。
●
「無辜の人々が人質に取られた。あの忌々しい愚神に、最悪の形でな。
……あいつは前から観測されていた存在だったんだ。半年前にも同じような能力を使って町の一区画の地面を丸ごとゴム状にして、そこにいた人間のライヴスを吸い上げていた。あの時も討伐隊が出撃したんだが、結局取り逃がした。以降は行方知れずとなっていたんだが……とうとう姿を現しやがった。しかも今度の人質は子供もいる。ムカつくこと限りない。
あいつの能力は自分のライヴスを地面に干渉させて自分に有利なフィールドにする、ドロップゾーンに近い原理だ。今はまだそこまで頭が回っていないようだが、力をつけられると厄介なのは変わりない。何としても、ここで止めるんだ。
愚神の名は『スプリット』。……中途半端な勝ち逃げなんてさせねえ。まとめてゲームから引きずりおろせ」
解説
目的:デクリオ級愚神『スプリット』の完全撃破
登場人物
『スプリット』
・デクリオ級愚神。外見は六歳前後の男児。
・過去にも観測されている存在だったが、先の討伐作戦で逃亡。半年後の現在姿を現し一般市民からライヴスを奪い取っている。
・戦闘データは以下の通り。
スプリング・スパークル
・常時発動型。自身のライヴスを地面に送り込みゴム状に変質させ、強制的に体を跳ねさせる。現時点でのフィールド範囲は公園全域。触れた人間のライヴスを吸収する副次効果もあり、能力者ならともかく一般人ではどんなに長くとも一時間でライヴスが枯渇する(死にそうになる空腹状態が永遠に続く)。
パペット・マペット
・地面から自分と同じ背格好の分身を出現させ攻撃する。この分身は一ラウンドで消滅する。
タグ・ボール
・自分のボールを敵に思いきり投げつける。ダメージに加え確率でバッドステータス[衝撃](―20)付与。
ゲーム・オーバー
・体力低下時のみ使用。自身を二つに分割する。この状態になると片方が逃走し、もう一方が引き付け役を担うため、今作戦の目的を果たすためには片方の逃走を阻止する必要がある。
子供たち
・たまたま公園で遊んでいただけの子供。『スプリット』からライヴスを再注入され使役されている。
・『スプリット』は彼らを『悪意なく』利用する。盾にもするし、攻撃もさせる。
・全部で十八人おり、十分こちらの攻撃が当たる可能性が出る。
戦場
公園
・とある町のはずれにある大きい公園。現在は『スプリット』出現のため全域が封鎖されている。
・地面は極めて反発性が高くなっている。まともに立つ事も出来ないうえ、跳ねる高さも不規則なせいで『スプリット』以外にはまず慣れることはない。命中率に補正(-30)がかかる。
・公園に進入せずとも遠距離から狙撃も可能だが、『スプリット』自身も跳ね回っているため同様の命中率補正はかかる。
マスターより
山川山名です。
今回のテーマは『無垢』。子供というのは時に残酷です。その理由は、おそらく感情に体がすべて引っ張られるからでしょう。悲しいから、怒ったから、嬉しいから。それだけで簡単に行動を起こせてしまう。理性では止められることが彼らには難しい。
今回の敵は『楽しいから』に傾きすぎました。被害も出ました。皆様の手で一発、特大のお灸をすえてやってください。
リプレイ公開中 納品日時 2017/06/05 21:40
参加者
掲示板
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トランポリン競技準備室
最終発言2017/05/31 02:18:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/29 02:15:01