本部
リンブレ夢十夜
- 形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 9人 / 4~9人
- 英雄
- 9人 / 0~9人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/22 12:00
- 完成予定
- 2017/05/31 12:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/22 03:46:06
オープニング
●第零夜
こんな夢を見た。華奢な女が街を破壊している。白い肌、白い髪、つぎはぎの白いローブ。血の気の失せた唇は深く笑んでいる。手にした金属の杖が冷え冷えとした光を放つ。空は太陽を雲の背に隠して、まだらの灰白色。色彩のかけらを端々に残して、街は雪に覆われている。景色はことごとく白い。頭は鉄の粒でできた濃霧にでも巻かれたように、ひどく重かった。
遅れて気が付いた。殺戮の限りを尽くしているのは――自分だ。普段の共鳴時の姿とは細部が違っていたが、見間違えようがない。一見女のようにも見える顔は、まぎれもなく17年間連れ添った己のものだった。
自分は邪英化したのか。いやに冷静な頭で理解した。
「ユキ」
邪英が自分を呼んだ。
「そんなカッコじゃ寒いだろ」
少女の声が何事か呟くと、大きな火炎が街を丸呑みした。なるほど。邪英化した己は英雄の声で話すらしい。計算しつくされた絵画のように点在する赤い色彩。こんなにも美しい色が命を奪うのだ。
「わりぃ、ユキ」
なぜ謝るのだろうと思うが声が出ない。そもそも共鳴した自分を見ている今の己は何なのかと考えて――目が覚めた。
「おはよ」
ベッドのそばに立つのは、褐色の肌に白い髪の少女。英雄の陽(ヒカリ)である。
「で、悪ぃなユキ。お前の分の卵焼き、炭にしちまった」
血色の良い唇があっけらかんと言う。背筋が寒いのは蹴り落してしまった布団のせいではない。
「……料理するときは声かけてって、いつも言ってるのに……」
台所から母の悲鳴が聞こえてきた。
「うわ、こげくさ」
●小説家の息抜き
「まぁ、オチはついたけどさ」
入鹿 雪人(いるか ゆきと)はエージェントである。ついでにいうと現役高校生で、趣味は小説を書くこと。今ネットで連載しているのは弱小バスケ部を描いた青春モノだ。文化系一直線の彼だが、スポーツ好きの英雄からネタをもらいつつ執筆を続けてきた。彼らに邪英化の経験などないのだが、今朝の夢に心当たりはあった。
「もー、反省してるってー」
「してない。してたら、母さんからの『キッチン使用禁止令』は無視しない」
英雄と喧嘩中なのである。おかげで連載も滞ってしまっている。同年代でありながら小学生のような行動をする相棒には、困らされっぱなしだ。つまり英雄とのささいなトラブルがライブス制御への不安を生み、悪夢になったのだろう。
「気持ちはわかるかも」
赤須 まこと(az0065)が言った。学年は一つ上、HOPEエージェントとしてはほぼ同期にあたる友人だ。「依頼で体を動かしたい」とヒカリに引っ張られて来たところに偶然出くわし、談話室で話し込んでいたのだ。
「邪英化は極端だけど……。共鳴中って現実感がないというか、違う自分になっちゃった気分と言うか……ちょっと怖いときあるよねぇ」
まことは苦笑した後、自分が昨日見た夢の話を始める。ゆうべ読みながら眠った愛読書が頭に浮かんで、つい小説風に同時通訳してしまった。
●第一夜
こんな夢を見た。おつかいをしている。森の奥に住む祖母にパンとワインとを届けねばならない。頭にはなぜか赤い頭巾をかぶっている。
家に行くと祖母は床に伏していた。ベットから毛むくじゃらの足がはみ出している。えらく窮屈そうだ。
「おばあちゃん、なんだか大きくなってない?」
「お前を食べるためだよ!」
「早っ! ちょっと文字数全然足りないって!」
盛大なメタ発言ごと呑み込むように、狼が大きく口を開ける。もうおしまいかと目を瞑る。
「俺に任せとけ!」
言葉と共に現れたのは、立派な銃を抱えた猟師であった。
「ダメだよ! 私たちの誓約は『犬を大事にすること』だから、狼さんは殺せないって!」
「あ、やべ」
二人は食べられてしまったとさ。
続けてこんな夢を見た。自分は嘘を吐くことに楽しみを覚える人間である。
「狼が出たぞー!」
一声上げれば大人も子供も泡を食って逃げ惑う。それが楽しくて仕様がない。
ある日、本物の狼が自分の前に現れた。
「狼が出たぞー! 今度は本物だぞー!」
しかし今や自分は、嘘吐きで有名なオオカミ少女。誰も信じない。
「今度こそ、俺に任せとけ!」
通りすがりの猟師と共鳴したオオカミ少女に、本物の狼が迫る。しかし少女は余裕の表情だ。
「ふっふっふ、私はリンカーだよ? 噛みつけるもんなら噛みついてみなさーい!」
のどを反らして得意げに笑う少女に、狼が『言った』。
「俺、愚神なんで」
オオカミ少女は――ライヴス的な意味で――食べられてしまったとさ。
解説
HOPEの談話室で、雪人に夢の話をしてください。
【内容の例】
☆未来の自分に対する予想、または願望
☆過去の出来事:英雄との出会い、英雄と馴染んでないころの思い出や失敗談、小さい頃の思い出など
☆悩みが具現化したもの:日常的なものからシリアスまで
☆パラレル設定の小話:童話パロディ、年齢や性別の変化、英雄との関係変化(親子、恋人、主従逆転etc)など
※パロディの場合、版権に引っかかる内容は大幅にマスタリングすることになってしまいますのでご注意ください。
【補足】
・2種類以上の夢を書いても構いません。その場合は『第一夜』のように合わせて一夜(一話)と数えることになります。描写の濃さはそれなりになりますのでご注意ください。
・夢へのコメントやNPCたちとの会話は、入れても入れなくても構いません。
・このシナリオに参加していないPCの描写はできませんのでご注意ください。エキストラが必要な場合、雪人の脚色としてNPCたちが出演するかもしれません。
マスターより
大きな戦いや難しい戦いが続きますが、皆さま調子はいかがでしょうか。よかったらお茶でも飲みながら、談話室でおしゃべりしていってください。
シナリオの元ネタは夏目漱石の小説です。が、ご覧の通りOPからふざけています。バッドエンドや俺TUEEEEな展開なんかもご自由に。気軽にifを楽しんでいただければ幸いです。それでは良い夢を。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/05/29 20:56
参加者
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最終発言2017/05/22 03:46:06