本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 6人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/02/19 19:00
- 完成予定
- 2017/02/28 19:00
掲示板
-
作戦会議所
最終発言2017/02/19 14:44:27 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/02/15 21:57:37 -
質問卓
最終発言2017/02/16 05:22:44
オープニング
●感傷
「ヒョルドが死んだ」
薄灰の無表情を雪原に向け、人の形をとったヴルダラク・ネウロイはよれたコートの襟を首筋に巻きつけた。
「自分には鋼の心がない……中尉は常々そう言っていました」
傍らに立つ女がベイプ――さまざまな香りをつけたリキッドを蒸気化させて吸う器具――の吸い口に赤い唇をつけ、煙を吹いた。
「私たちは弱い。だから、生き延びて果てを見るよりも、死ぬことで逃げ出すよりないのです」
蒸気の香りはカスタードクリーム。
どれほどの昔話か、英雄だったころはヘビースモーカーだった彼女も、人狼となってからはタールのにおいとニコチンの味が苦手になった。正直、こんな甘いだけの煙で心の苦みをごまかせるはずもなかったが……なにもないよりは、まだましだ。
「感傷だな」
ネウロイが短く、色のないしゃがれ声で応えた。
こんなときですら、あなたは心を鋼で鎧うのですね。
女はカスタードを深く吸い込んで吐き出し、表情を締めた。
「感傷は事が成るまで忘れたことにしておきます。迷わないふりをして、愚神としての任務を適当に全うします」
ヒョルドはオムスクという、無関係な者を誰ひとり巻き込まずにすむ場所を戦場に選んだ。英雄だったころの彼はいつも、守るべき誰かを助けることばかり考えて突撃する、優しくてまっすぐな男だったから。
「卑怯未練に戦います。叶うなら、最後まで見届けるために」
ヒョルドに劣らず優しくて、それゆえに酒と煙草が手放せなかった彼女は、その優しさゆえに誓う。
「――甘ったるい匂いだが、ハッカよりはいい。ハッカは、目に染みるからな」
鋼の心で鋼の声音を紡ぐネウロイの心へ報いるために。
●卑怯未練
「本作戦の総指揮を執ります、ジェーニャ・ルキーニシュナ・トルスタヤ大尉です。私たちの目的は、ヴァルリア様の本隊が至る前にモスクワ東部を掃除することとなります」
ベルミの廃墟の一角、急ごしらえで用意したブリーフィングルームの中で、彼女――ケントゥリオ級愚神のジェーニャが声を張った。
「どう、動く、で、あります、か?」
くもぐった声音を紡ぐのは、デクリオ級愚神のアラムである。少尉の階級を与えられた彼は、人でも人狼でもなく、灰色狼の姿を保つことを好む。ゆえに言葉がおぼつかないわけだが、まるで気にしていない様子だ。
「隊を5つの小隊に分けます。それぞれの目標を達成した後は順次合流し、撤収。深追いは必要ありません。先陣としての役割を、文句をつけられない程度に果たせればいい」
と、デクリオ級愚神ミーシャ准尉が「はいはい!」と手を挙げた。
「大尉! あっち側のライヴスリンカーどうするんですか? ヒョルド中尉殺すヤツらにあーしら勝てるわけないんですけど!?」
彼女は銀行を襲撃して立てこもり、人質を盾に敵ライヴスリンカーの行動を引きつける役割を与えられている。
「……人質、残しとかなくていいんですよね?」
ミーシャとは双子の姉妹であり、同じデクリオ級愚神であるミーリャ准尉がぽつり。
「撤退を含めて適当にあたりなさい。――リュミドラ嬢」
「はい」
部屋の隅に控えていたリュミドラが応えた。
「貴官の任は遊撃となります。各員の援護を頼みます」
「了解しました」
「アヒルちゃんマジ頼むし!」
「うちらの命、お嬢に預けたから」
リュミドラを拝む双子にとろりと濃厚な横目を投げ、大きなため息をついてみせた美青年はケントゥリオ級愚神、レオン中尉だ。
「リュミドラ様はわたくしたち全員のバックアップなのですから、あなたがたにばかりにかまっていられないのよ。こちらが早めに片づいたら助けに行くから」
ここでリュミドラとは逆の隅にいた少年が静かに手を挙げた。
「大尉。申し訳ないですけど、僕は僕でやらせてもらいます」
デクリオ級愚神のニキータ軍曹。歳こそ最年少だが、その勇猛且つ冷徹な闘いぶりから本作戦に抜擢された。
「兄貴分の仇、弟分が放っておけるはずないですよね」
ヒョルドの一番弟子と兄弟分を自称してきた彼にとって、この作戦は復讐戦となるだろう。
「……単独で勝利できるほど、敵は甘くありませんよ」
あえてヒョルドと彼との力量差には触れず、ジェーニャは諫めたが。
「手段は選びません。大尉がいつもおっしゃってるとおり、適当にやります」
適当とは手を抜くことならず、事に対して適切に当たることを指す。
ジェーニャはベイプをふかしてため息を隠し、一同を見渡した。
「各員、全力をもって適当にあたりなさい。出動します」
●選択
『モスクワ東部に人狼群が襲来! 待機中の各員はロシア陸軍と協働して迎撃お願い!』
礼元堂深澪(az0016)の緊急連絡が、各員の部屋の固定電話、通信機、スマホ……機器を問わずに起動させた。
『敵は5隊に別れて市街の破壊にあたってる! ただ、そのうちの2隊、1隊は銀行に立てこもってて、もう1隊は大通りの裏にいて……どっちも人質、盾にしてる』
深澪は続けて。
『今回はロシア軍が主導の作戦だから、みんなは5隊のうちの1隊にあたって! どれに当たるかはみんなで決めていいって』
〈モスクワ東部簡易地図(ノンスケール)〉
アイウエオカキクケコサシスセソ
A□□□□□□□□■■■□■■■
B■□〓〓〓〓〓□□中□□□□□
C■□〓〓准〓〓□■■■□■■■
D■□〓〓〓〓〓□■■■□■■■
E□□□□□□□□□□□□□□大
F★□□□□□□□□□□□□□□
G■■■□■■■□■■■少■■■
H■■■□■■■□■■■□■■■
I□□□曹□□□□□□□□□□□
J■■■□■■■□■■■□■■■
□=道路 ■=建造物 〓=銀行 ★=エージェントのスタート位置 大=ジェーニャ 中=レオン 少=アラム 准=ミーシャ&ミーリャ 曹=ニキータ
深澪は転送した簡易地図に敵の位置を示した。
『人質の救出は、任務に含まれないってことなんだけど……戦力を割って戦える相手じゃないから、こっちで勝手に助けに行くとしてもどっちかひとつだね。とにかく敵の本隊も近づいてるから、無茶はダメだよ!』
解説
●依頼
大尉、中尉、少尉、准将×2、軍曹、いずれかが率いる部隊と交戦し、愚神を撃破ないし撃退してください(人質の生死は、このシナリオの結果には影響しません)。
●状況
・大尉、中尉、少尉の部隊はそれぞれ50の人狼を率いて破壊活動を行っています。
・准尉ふたりの隊は銀行に立てこもり、人狼(数不明)と共に10名の人質を抑えています。
・軍曹は6の人狼と共に30名の人質をとり、道路上にいます。
・リュミドラは戦場のどこかにおり、条件を満たすことで姿を現わします(その際の会話は自由)。
・みなさんが選ばなかった愚神群へはロシア軍が向かいます。
・みなさんの選択や状況により、愚神群同士が連携することもあります。
・市街には多数の市民が取り残されています。大尉、中尉、少尉の隊は市民に関心を持っていませんが、巻き込むことをためらいません。
●敵愚神
・ケントゥリオ級2名とデクリオ級4名。
・能力は不明ですが、それぞれがなんらかの英雄の能力を有しています。
・会話は自由。愚神それぞれが、自分の立ち位置によって情報を語ることもあります。
●備考
・このシナリオでは、乱戦ルールの適用がありえます。
・敵本隊との決戦直前であるため、重傷以下の傷はシナリオ終了後にHOPEの治療班に治療され、全快します。
マスターより
電気石八生と申します。
当シナリオはシリーズ的に展開中の、人狼愚神ヴルダラク・ネウロイに関係する物語となっております。
この物語もそろそろ佳境。ネウロイの“群れ”が戦場に本格参戦してきました。戦いと言葉で彼らが隠している真実を解いていただけましたらば幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/02/23 15:38
参加者
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