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【絶零】連動シナリオ

戦闘

【絶零】短剣も楽園も引っ込んでろ

岩岡志摩

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
7人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/11/25 19:00
完成予定
2016/12/04 19:00

掲示板

オープニング

●凍る集落と軋む軍
 この時期、北極圏各地で異常に強い寒波が発生し、孤立した複数の集落に残された人々を救うべく、ロシア連邦軍が奔走していた。
 そんな中、とある集落から『異常に大きな氷柱の群れに取り囲まれた』との連絡が飛び込んできた。
 降りしきる雪が吹雪となり、渦巻く白い嵐が視界を遮る中、ロシア軍各車両の群れが無限軌道を軋らせ、凍りついた荒野を疾駆する。
 やがて連絡のあった集落へと到着したロシア軍の前には、尋常でない規模の氷柱の林が形成され、一つの集落を丸ごと包み込んでいた。
「あんな氷柱が自然現象で作れるはずがない。愚神か従魔達の仕業だな」
 展開した無人偵察機ごしに状況を確認したロシア軍指揮官はそう呟くと、戦車部隊に向け発砲を命じる。
 折り敷いた戦車群の砲塔が一斉に灼熱の牙を剥き、重みのある飛翔音が大気を震わせ、閃き飛んだ戦車砲弾の群れが巨大な氷柱を乱打するも、いずれも鈍い音をあげて弾かれた。
「ライヴスを伴う攻撃でなければ突破できんというわけか」
 自身の推測が正しかったと判断した現地指揮官は、直ちに司令部を介し、H.O.P.E.へ集落の人々を救援する緊急要請を打診したが、通話機越しに届いた上層部からの命令に耳を疑った。
「H.O.P.E.に救援を求めるのはいいが、支援を控えろとはどういう事ですか?」
 そう現地指揮官が反論したが、上層部の言い分は、指揮官を納得させるには不十分なものだった。
 緊急事態につき、H.O.P.E.に提示する報酬の増額も、上層部は認めようとしない。
(そういえば都市スルグトを守っていた同僚達にも、上層部から『H.O.P.E.に肩入れするな』と命令があったな)
 何かが上層部で起きていると判断した現地指揮官は、それ以上の上層部との実りのない押し問答を止め、上層部とは別の情報経路を経てH.O.P.E.に対し密かに追加情報を送る。
 ――なお、ロシア軍上層部内にH.O.P.E.との連携を妨げる不穏な動きあり。注意されたし。

●命令の裏側
 現地指揮官との連絡を終えたロシア軍上層部要員は苦悩を押し殺し、不本意な命令を発した張本人に現地からの連絡を報告する。
「結構だ。ロシアの大地を守るのは我々ロシア軍でなければならん。よそ者であるH.O.P.E.をあまり活躍させるわけにはいかんのだ」
 そう応えたのは最近ロシア軍上層部の中で台頭してきた、ロシアが他国よりも優れているとして、それを守り発展させようとするロシア国粋主義を掲げるロシア軍高官オレグ・ベルマンだった。
 よく言えば愛国主義者だが、世界情勢を見通せる能力がある者達から見れば、愚神や従魔といった脅威への危機意識に欠けている。
 だが、それを口にしたり反対の姿勢を見せた高官達は『既に全員何者かの手で殺され、彼が黒幕と疑う態度を見せた者達も次々と姿を消している』。
 そしてこの男がやったという証拠はない。
 次に消されるのは自分かもしれないという見えざる恐怖がロシア軍上層部を支配し、オレグの意向が幅をきかせていた。
 自室に戻ったオレグは誰もいない空間に『ご苦労』と告げると、部屋の空気が一瞬揺らぎ、気が付くと部屋の片隅に黒地に金銀の意匠を纏う人の姿をした災厄――ニア・エートゥスが片膝をつき、頭を垂れていた。
「次はこいつらだ。『全ては世界の調和のために』」
 オレグがメモに何かを書いてニアに放ると、メモを受け取ったニアは一陣の風と共に、ふわりと姿を消した。

●救う者達
 部屋のスクリーンに、北極圏に近いとある集落の地図と、現地から送られてきた、巨大な氷柱の林に包囲された今の集落の映像が映し出される。
「現地のロシア軍部隊からの連絡では愚神の仕業だという話だけど、僕もそう思うんだよね」
 機械を操作していたジョセフ・イトウ(az0028)はそう言いながら、別の映像をスクリーン上に展開する。
 それは無数の砲弾をことごとく弾く氷柱達や、人型従魔が集落の屋根を跳躍しては、小銃の機銃弾を周囲にばら撒く映像だった。
「見ての通り、この氷柱は通常攻撃では歯が立たない。AGWで攻撃すれば破壊できるはずだ。そして集落への道をこじ開けて、中に閉じ込められた人達を救い出すのが今回の依頼内容になる」
 集落内に取り残された人達は、現在暖房器具をフル稼働させて辛うじて寒さを凌いでいるが、このままでは氷柱の群れに集落が飲みこまれてしまう、というのが現地にいるロシア軍兵士達の話だ。
 今回ロシア軍部隊は救出に向かう『あなたたち』に、住民達を収容し移動させる為の雪上車や、防寒具一式などを貸与してくれる。
 ただ周囲は従魔達が各家屋の屋根の上を飛び回っている危険な状況だ。
 『あなたたち』は住民達を雪上車に収容し、安全な場所まで搬送する間、従魔達の攻撃から守り抜く必要がある。
 なお『あなたたち』が集落に突入後、ロシア軍部隊が展開中の場所まで住民達を乗せた雪上車を護送してくれれば、後の住民達の搬送はロシア軍部隊が引き受けるという話だ。
 その代わり、現地のロシア軍部隊は、住民達をその後安全な場所へ避難させたり、従魔達を今いる場所に釘付けにすることで手一杯になるため、追加の援軍要請や何かの行動への支援要請には応じられない。
「この光景を見てわかると思うけど、現地はすごい吹雪で飛行機も飛ばせず、従魔達が飛び回る危険な場所と化している」
 そんな場所で救出活動ができるのはH.O.P.E.のみ。
 そこまで言い終えた後、ジョセフは思い出したようにこう付け加えた。
「現地の指揮官から、2つ興味深い情報があった。1つはロシア軍の上層部がH.O.P.E.に対し妙に態度を硬化させているって。そっちのほうは僕の方で探ってみるから、皆さんは住民救出を優先してほしい。もう1つは集落広場に1本巨大な氷柱があるという話だけど」
 ジョセフは『あなたたち』にこう助言する。
「住民達の安全が確保されるまでは、不用意に手出ししない方がいいんじゃないかな?」

●立ちはだかるは
 ジョセフの懸念は正解だった。
 吹雪で形成される白い嵐が集落に吹き荒ぶ中、広場に屹立した巨大な氷柱の中から2体の愚神が現れ、周囲を見据えていた。
「あのオレグという人間、今度は誰を『救え』と言ってきたの?」
 振袖のような装束を纏う女性の形をした愚神が傍らにいる『上司』に問う。
「ここにいる人間達はこの先起こる出来事に耐えられそうですか、ソク?」
 『上司』は答えることなく問いで返し、ソクと呼ばれた愚神は緩く首を横に振り、こう応じる。
「無理ね。きっと全員ひどい目に遭って苦しむわ。だからその前に私が殺して『救う』」
「今回は『直接手を出されるまでは』何もせず動かないで下さい。『楽園』はその時にお願いします」
 『上司』――ニア・エートゥスの言葉にソクは頷くと、再び氷柱の中に姿を消し、ニアの姿も嵐に溶けて消えた。

解説

●目標
 孤立した集落の住民達を救出し被害拡大を防ぐ
 
●登場
 カルリク×12
 異形の脚を持った身長1.8m前後の人型従魔。ミーレス級。通称長脚。空高く跳躍し、素早い動きで射程24sqの自動小銃を撃ち放つ。

 ニア・エートゥス
 シーカ幹部フランツに仕えている愚神。トリブヌス級。現在付近に姿は見当たらない。
 PL情報
 現地の近くで身を潜め、動向を観察中。

 ソク
 愚神組織『パラダイス・メーカーズ』(楽園の作り手達。略称PM)所属の愚神。ケントォリオ級。集落を包囲する氷柱を形成した後、集落中央の氷柱で待機。全てPL情報。

 ロシア軍
 孤立した集落の救助に駆け付けた軍隊。現地にいる部隊は砲撃を受けても壊れない氷柱の列に阻まれ集落に突入できない中、周囲から突如現れた上記従魔達と交戦中。『あなたたち』への防寒具一式と雪上車(全長4.7m。全幅2.3m。全高2.4m。10人乗り。最高時速45km)を人数分用意してくれる。

 住民達
 異常な寒波に襲われ孤立した集落にいる人々。1家屋につき平均8人が身を寄せ合い、自力での脱出はまず不可能。
 
●状況
 シベリア北部の都市ノリリスクにほど近い集落の1つ。現在集落は下記の状況で閉じ込められ、強烈な寒波と猛吹雪に周囲は包まれ視界不良。無線貸与済。
 1マスあたり縦横10m。

   1234567
 A氷氷軍軍軍軍軍氷氷
 B氷氷氷氷氷氷氷氷氷
 C氷■□□□□□■氷
 D氷■□□氷□□■氷
 E氷■□□□□□■氷
 F氷■□□□□□■氷
 G氷氷■■■■■氷氷
 H氷氷氷氷氷氷氷氷氷
 
 ■:住民達のいる家屋。
 □:雪原。『あなたたち』の移動や行動を阻害しない。
 軍:ロシア軍
 氷:氷柱。高さ4m以上。

マスターより

 岩岡志摩です。トリブヌス級愚神ニア・エートゥスが動き、ロシア軍上層部もきな臭いですが、今回皆様のやる事は住民救出と被害拡大の防止です。
 何をもって被害拡大を防ぐかや、ロシア軍をどうするかのご判断は皆様にお任せします。
 OPの●命令の裏側、●立ちはだかるは、の部分はPL情報です。PL情報はPC情報に落とし込む作業をしないとPCの知り得る情報にはなりません。
 また装備品、携帯品にないアイテムやコンビニで3000円以内で購入できる範囲外のアイテムを用いたプレイングは基本的に採用しません。目標にない何かを達成しようとする場合、難易度が1段階上がります。
 わからない事があればジョセフが答えます。

関連NPC

  • エージェント
    ジョセフ・イトウaz0028
    アイアンパンク|16才|男性|生命適性

リプレイ公開中 納品日時 2016/12/01 11:49

参加者

  • 夢ある本の探索者
    努々 キミカaa0002
    人間|15才|女性|攻撃
  • 短剣の調停を祓う者
    ミュー・イーヴォルaa0002hero002
    英雄|65才|男性|ジャ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • シャーウッドのスナイパー
    ゼノビア オルコットaa0626
    人間|19才|女性|命中
  • 妙策の兵
    レティシア ブランシェaa0626hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 共に在る『誓い』を抱いて
    メグルaa0657hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • HOPE情報部所属
    百目木 亮aa1195
    機械|50才|男性|防御
  • 生命の護り手
    ブラックウィンド 黎焔aa1195hero001
    英雄|81才|男性|バト
  • 死を殺す者
    クレア・マクミランaa1631
    人間|28才|女性|生命
  • 我等は信念
    アルラヤ・ミーヤナークスaa1631hero002
    英雄|30才|?|ジャ
  • 危急存亡を断つ女神
    ファリンaa3137
    獣人|18才|女性|回避
  • 君がそう望むなら
    ヤン・シーズィaa3137hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 守りもてなすのもメイド
    Гарсия-К-Вампирaa4706
    獣人|19才|女性|回避



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