本部
閉鎖都市からのSOS
- 形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/04 09:00
- 完成予定
- 2016/11/13 09:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/11/04 01:36:25 -
アーヴィンさんに質問!
最終発言2016/11/04 01:46:50 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/03 00:41:03
オープニング
●飛び出してきた男
深夜。
公道に、クラクションとブレーキ音が響き渡る。
道に飛び出してきた男を避け、トラックの運転手は急ハンドルを切る。トラックは、一回転しつつかろうじて男をかわした。
「おい、気をつけろよ!」
「す、すみませ」
飛び出してきた男は、心ここにあらずといったように短く謝ると、雪に足を取られながら、一目散にその場を去って行った。
あまりにあっさりとしていて必死な様子だったので、運転手は呆気にとられた。
男にとっては、今自分の身に起こった危機は、些末なことだったのだ。
そう。先ほど知ってしまったことに比べれば。
『――ノリリスクの市長は、愚神と取引している。』
●通報者
ノリリスク市長の第二秘書エレメイは、早鐘を打つ心臓を押さえながら、必死の思いで道を走っていた。
(嘘、だ……)
それは、つい先ほどのことだった。
夜も遅く、やり残した仕事を思い出し、資料を取りに戻ったエレメイは、市長の執務室に明かりがついていることに気が付いた。
声が聞こえる。部屋の中には、とっくに帰ったはずの市長と、第一秘書のマラートが居た。
市長は、誰かと電話をしているようだった。
「ああ、私だ……そうだ。問題ない。指揮官は私の古い友人だ。何も疑われてはいない……」
――取引?
その内容の不穏さに、エレメイは、二人の前に姿を現さず、じっとその場に立つことしかできなかった。
「ああ。……そうだな。早速だが、明日、私は指揮官を尋ねる。だから次は……3日後、こちらから詳細な情報を渡す。そちらにとっても大いに役に立つはずだ。だから、……”条件”の方はなんとしても、守ってくれ……それじゃあ」
通信が終わったようだったった。
「要求は?」
「軍隊のデータだ、幸いなことに人命ではない。直接的には……な」
市長は自嘲気味に言った。
「分かっている、あんな連中と取引をすることが、どれだけ愚かかということは。だが私は……どんなに愚かであろうと、この町を守りたい。自分の命よりもこの町が大切だ」
「……」
「マラート、私は、ノリリスクの市長だ。ノリリスクの市民とほかの町の住民の命を天秤にかけたなら……どちらが傾くかは自明だ。この町には、豊かさは何もない……。だから、だから私は……」
「市長。それがノリリスクのためというならば……何も言うことはありません」
「そうか……喋りすぎたな」
市長は深く深くため息をつくと、思い出したように言った。
「エレメイは知っているのか?」
名を呼ばれたエレメイは、心臓を鷲づかみにされたような気分になった。
「彼は知りませんね。彼には、耐え切れないでしょう。愚神と、市長が取引をしているということは……」
カタン。
エレメイが立ち上がると、小さな音が立った。
「誰だ?」
マラートは迷うことなく壁から猟銃をはずした。
そこには、エレメイの姿はなかった。
「誰か……いたのか?」
「分かりませんが、……気のせいかもしれませんね」
風が雪を吹き上げて、窓を叩いている。雪が屋根から滑り落ちて、どしゃりと音を立てた。
それから。
エレメイはどうやって家に帰ったのか、覚えていない。とにかく必死で、走って逃げた。
誰かに見られたかもしれない。見られていないかもしれない。足跡は、痕跡は、ノリリスクの強い風が、雪を吹き散らしている。
自宅に戻ったエレメイは、受話器を取った。しかし、その動きは止まった。盗聴――エレメイの頭に、その2文字がよぎった。
知ってにしろ知らずにしろ、市長と駐屯軍の指揮官が親しいのは事実だ。どうするべきか。頼れない。いや、もしかすると、自分が消される可能性すらあった。
「どうしたの?」
恋人が、エレメイに声をかけた。
「いや、……なんでもない」
どうするべきか。どうするべきなのか。エレメイの頭に、様々な思いが去来する。
「ほんとうに、なんでもないんだ……」
エレメイは腹をくくった。
すぐには助けはこない。助けを求めて、助けが来るまでは、すがたを見られていないと信じて、――いつも通りに振る舞うしかない。
●この黒煙上げる黒い町では
並び立つコンビナートが、今日も空に黒煙を吐き続けている。降り注ぐ煤が、白い雪を黒く染め上げている。
ロシア連邦クラスノヤルスク地方、ノリリスク。
ノリリスクは、いわゆる閉鎖都市である。たとえ同国人であろうとも、ノリリスクを旅行するには旅行許可が必要となる。
排他的な町。
一言でいえば、ノリリスクはそんな街だった。
「匿名の通報が入っています。ロシア連邦のクラスノヤルスク地方の都市、ノリリスクの市長が愚神と取引をしているというものです。詳細は現地にて……通報者は、市長の関係者とのことですが、情報や発信元と合わせて考えるに、発信者は市長の秘書と思われます」
H.O.P.E.の職員は、緊急招集されたエージェントたちに向かって早口で告げる。
「あなた方の任務は、通報の真偽を確かめ、もし、それが本当であれば、ノリリスク市長からの情報流出を防ぐことです。また、その確証が得られるのであれば、市長の身柄を拘束した上でロシア当局に引き渡してもらいたいと考えています。
さしあたりのところ、プリセンサーはノリリスク周辺で大きな危険を感知しておりませんが、ノリリスクは非常に閉鎖的な都市です。軍部の動きも不明。どう動けば何がどうなるか予想が付きません。
……もしも、こちらの動きを相手方に悟られれば、とくに通報者には危険が及ぶでしょう」
別の職員が、エージェントたちに防寒着やその他の物品を支給する。
「我々は、あなた方に、ノリリスクを訪れる身分を用意しました。ノリリスクは閉鎖的な鉱山の町です。ノリリスクの鉱山に投資を検討している投資家とその付き添いの身分を用意しました。
軍部の動きが不明ですから、くれぐれも、能力者、とくにエージェントであることは、基本的には隠したほうが良いかと思われます。ノリリスクは閉鎖的な町ですから、調査がやりづらくなる可能性があります。もしを身分を明かす場合は、相手をよく見極めて、市長側の人間でないかどうかに注意してください。
難しい任務になるかと思いますが、どうか……」
H.O.P.E.の職員は、ふと通報者の言った一言を思い出した。奇しくも、その言葉は、今自分が言おうとしている言葉と同じだった。
「どうか、ノリリスクを救ってください」
解説
●目標
・2日後までに愚神への情報流出を断つ(第一)。ほか、通報者の保護など。
●場所
ノリリスク。
重工業的な趣のある閉鎖都市。平均気温が極めて低く、強風が吹き荒れる。
●状況
「市長が愚神と取引している」との通報。
市長及び関係者を連行し、ロシア当局に引き渡す。
●登場
・市長
ノリリスクの市長。険しい顔つきの男。
「有能で痛みを伴う政策も市民のためとなれば実行する」という評判。
忙しい人物。妻と現在は国外留学中の娘が一人。
・マラート(第一秘書)
市長の長年の秘書。
独身。郊外の施設に年老いた母親が一人。
・エレメイ(第二秘書)
通報者。秘書になって半年。雑務ほか。
肝は据わっているがただの人。近々結婚を考えている恋人がいる。
・指揮官
ロシア軍の指揮官。個人的に市長と親しい。
評判は、情に厚く義理堅い。
●主な施設
・市長官邸
部外者に対しては厳重な警備だが、日中の許可のある立ち入りはそれほど制限されない。夜間の警備は厳重。
・ロシア軍駐屯地
一般人の立ち入りは厳しく制限。
・その他、鉱山、ノリリスク町内
●市長側の動き
調査開始から2日目に市長は愚神と接触、情報を引き渡す。
場所、取引の詳細は調査開始時点で不明。
市長側の人間が勘づくと取引を変更・中止することも考えられる。
市長:
一日目~執務、夕方ごろに料亭の個室で指揮官との会食
二日目~執務、施設視察
マラート(第一秘書):
主に市長に同行。
エレメイ(第二秘書):
市長に同行するがしばしば雑務などで席を外す。
指揮官:
市長と会食の他は駐屯地にいる。
●その他(PL情報)
・市長、秘書二人、その家族ら、指揮官は人間。愚神ではない。
・市長側に「エレメイに二人きりで会いたい」と言えば、意外なほどすんなり受け入れられる上に見張りもつかない。
・登場人物の家族は人質などにはされていない。彼らは特に事情を知らない。話の展開よっては危険。
なにか質問があれば、アーヴィン(az0034)がお答えします。
マスターより
こんにちは。MSの布川です。
今回のシナリオは閉鎖都市での情報戦です。
難易度は「難しい」。失敗まで想定される任務です。
今回はH.O.P.E.の権限が薄く、なかなか、操作にも難航すると思います。
PL情報の取扱いと、関係者の安全にご注意下さいね!
素敵なロールプレイがあれば大いに補正しますので、いろいろと試してみてくださいね。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/11/13 14:09
参加者
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相談卓
最終発言2016/11/04 01:36:25 -
アーヴィンさんに質問!
最終発言2016/11/04 01:46:50 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/03 00:41:03