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無し

【屍国】其が人ば愛しき君でなし

東川 善通

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/10/16 12:00
完成予定
2016/10/25 12:00

掲示板

オープニング

●君に会いたいのは本心
『ある―日、森の中―、クマさんにー、出会ーった』
『そこでなんで、オレに抱き着く』
『あら、だって、森家さんはクマさんじゃない』
 そうじゃれ合いながら、木漏れ日の中歩くのは、まるで美女と野獣を体現したかのような男と女。男の名は熊王森家。女はのちに熊王の妻となる。ただ、そんな二人の穏やかな時間は熊王三十歳、妻二十歳の時に終わりを告げる

 懐かしい夢を見た。そうぼんやりと思い、目を開けた熊王は痛む体をゆっくりと起こした。出会って四年、別れて十年。
 熊王は暫く、ぼーっとした後、出かける準備をし始めた。
「クマ、そのからだでどこにいくのです?」
「嫁さんにくらい、会いに行ってもいいだろうが」
 熊王は腰に手をあてぷりぷりと怒るビーを尻目に寝台横に置いた松葉杖を手に取る。
「そんなからだであいにこられても、むこうもこまるのですよ」
「……不安なんだよ。あいつはどんなに願っても夢にすら会いに来なかった。それなのに今日に限って、会えたなんておかしいだろうが」
 胸騒ぎがするというと熊王はビーの隣を通り過ぎる。ビーははぁと一つ大きな溜息を落とすと「しょうがないのです。あちきもついていってあげるのです」と彼を支えるようにその横を歩き始めた。

 とある山奥の寺院。痛む体を引き摺って訪れた熊王は併設されている墓地を見て、目を大きく見開いた。
「どういうことだ!?」
『……よめさんのおはかがあばかれているのです』
 なぜ、暴かれたのか訳が分からない熊王はとにかく納骨棺を覗き込む。しかし、そこには何も残っていない。
「……湖(うみ)が、いない」
「よめさん、いなくなってるのです? でも、骨なんて盗ってどうするというのです?」
「知るかよ! そんなのオレが知りてぇ!」
「……それもそうなのです」
 なぜなぜと首を傾げたビーに混乱と怒りからいつになく声を荒げ、拳を地面に叩きつけた熊王。それにビーはいつもの喧しさは消え、しゅんとする。
「ああ、クマさん、来てたんですか」
「住職、これはどういうことだ」
「それは私らにもわからんのですよ。突然のことで」
 熊王の叫び声に気づいた住職。住職に気づいた熊王の問いかけに住職もよくわからないようで申し訳ないと首を振った。しかし、何が起こったのか知りたい熊王に「一先ず、あちらに行って話しましょう」と彼の体を支え、お堂へと移動する。
「本当に突然やったんですよ」
 住職の話によれば、早朝に墓地の方から何かが壊れるような音が聞こえたらしい。そして、何かと訪れてみれば、そこには熊王の妻である湖をはじめとする死者たちが蘇っていたそうだ。青白いその肌の色はどこかのホラーを連想させるも、湖とは知り合いだったため、声をかけることにしたらしい。しかし、近づいた瞬間、右腕を力いっぱい噛まれ、その痛みから後ろに転がった。湖たちは痛みで転がる住職に興味はないようで、ぼーっとした後、ゆっくりとした足取りでどこかに歩き去ったとのことだった。
「まぁ、私はこの程度で済みましたがね。大事をとって、この後病院に行く予定なんですよ」
 右腕をさすりながら、そういった住職の言葉は熊王には届いてなかった。
「……湖」
「クマ」
「……一瞬、また会えると思った自分が浅ましい」
「でも、それはひととしてとうぜんのことなのですよ。あいしたひとにあえるわけだし」
「住職、この件はオレが預からせてもらう」
「ええですけど、大丈夫なんで?」
「ああ」
 力なくいう熊王にビーは心配の表情を変えることができない。それは住職も同じだったようでビーと同様に心配そうな顔をしている。
「ビー、帰るぞ。すぐにでも、連絡をせないかん」
「わかったのですよ」
 力ない声。しかし、目はしっかりと意志を持っていた。それにビーは頷き、住職には「おだいじなのです」と告げ、寺院を後にした。

●ただ、死者は起こしてはならない
『……はい、風じゃ』
「おー、坊か」
 熊王は自宅に戻り、すぐさま連絡を取る。それは、以前、知り合ったエージェントの風 寿神(az0036)。普通を装って電話する熊王の姿にビーは何かを言いかけては口を閉じる。
「実はな、湖――十年前に死んだオレの嫁さんが従魔になっちまったらしい」
『……っ』
「十年間の想いが積もったせいでそうなっちまったのかわからねぇが、一瞬喜んじまった。ただな、やっぱり、違うんだよな。死者は蘇ったりしねぇんだよな。蘇ったように見えて、それは違うものなんだな」
 電話口では静かに寿神が話に耳を傾けている。それに段々と熊王の声が震える。
「だから、なんだって思うだろう。だが、頼む、湖をまた眠らせてくれ! 今のオレは情けねぇことに嫁さんを助けられる状態じゃねぇ。頼れるのは坊達くらいなんだ」
 ゴツンと床に頭を打ち付け、そういう熊王。例え、寿神にその姿が見えないとしても、頭を下げざるを得なかった。
『……知り会っとった縁じゃ。協力しよう。勿論、俺だけじゃ不安しかないからの、他の連中にも声をかけさせてもらう』
「あぁ、構わねぇ。よろしく頼む」

 後ほど、寿神の元には熊王から状況などがかかれたメールが届けられ、寿神は呼びかけに応じてくれた君たちにそれを提示した。

解説

死者たちに再び安らかな眠りを

●NPC
・くまんばち
 熊王とビーは別の従魔との戦闘により負傷。更に今回のことで傷が開いたため、戦闘に参加不可。

・風 寿神&ソロ デラクルス
 くまんばちに頼まれて、死者(主に湖)に再び眠りを与えるため、武器を手に取った。

●従魔
・湖(うみ)
 突然、蘇った熊王の妻。病により二十歳という若さで亡くなった。ショートヘアが似合う可愛らしい女性。攻撃方法は悲鳴による超音波。

・その他無縁仏 ×?
 湖同様に突然蘇った人々。かつてお遍路さんだったようで……。ひっかく、かみつくなどの攻撃を行ってくる。尚、湖を囲むようにして、移動している模様。

●その他
 スタート地点は山奥の寺院。近くに45番札所があるらしく、間違ってお遍路さんが訪れることもあるという。目的地は不明。ただ、大きな町の方に向かって歩いている様子。町などに到達してしまうとパニックになることは必至である。大きな町までは約30km。

マスターより

【屍国】始まりましたね。いや、正直、楽しみでしょうがなかった東川です。
体調に若干の不安が残りますが、頑張りますよ!
だって、自分だけ盛り上がれないなんて嫌じゃないですか!!

とりあえず、今回は起きてしまった死者たちに再び眠りを与えてください。おまけですが、多くはお遍路さんだからもしかしたら、目的地は次の札所かも?? なお、決めつけは厳禁ですよ。

さぁ、【屍国】で盛り上げていきますよ!

関連NPC

  • 赦しを乞うめでたき死神
    風 寿神az0036
    人間|24才|?|回避適性

リプレイ公開中 納品日時 2016/10/26 08:35

参加者

  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
    人間|15才|女性|生命
  • 守護の決意
    輝夜aa0175hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • エージェント
    鯨間 睦aa0290
    人間|20才|男性|命中
  • エージェント
    蒲牢aa0290hero001
    英雄|26才|?|ジャ
  • クラッシュバーグ
    エリカ・トリフォリウムaa4365
    機械|18才|男性|生命
  • クラッシュバーグ
    ダレン・クローバーaa4365hero001
    英雄|11才|女性|カオ
  • エージェント
    霰屋 知春aa4485
    人間|18才|女性|回避
  • 天儀の英雄
    音野寄 朔aa4485hero001
    英雄|22才|女性|バト

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