本部
ムシバミ
- 形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 5~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/08/07 19:00
- 完成予定
- 2016/08/16 19:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/08/07 15:18:08 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/08/05 00:49:48
オープニング
●逃げ惑う者
「はあ……はあ……はあ……」
男は逃げていた。野良猫から逃げるドブネズミのように必死の思いで逃げていた。その頬も服も足下も泥に酷く汚れていたが、そんな事はどうでもいい程必死の思いで逃げていた。死にたくない。死にたくない。死にたくない死にたくない死にたくない。男の願う事はただそれ一つだけだった。
「大丈夫だ……まだ間に合う……大丈夫大丈夫だいじょうぶ。お、俺はそんな酷い所に行っちゃいない。まだ戻れる。マガツヒが一体なんだってんだ。あんな頭のイカレた犯罪者集団……」
「簡単に逃げられるって? 甘い、甘いね、飴玉よりもゲロ甘だね」
突然、空から声が降ってきて、同時に少年が男の前に降り立った。高校生ぐらいの少年、顔は面で隠している。その瞳が泥を煮詰めて腐らせたような黒である事を男はとうに知っている。
「あ……な、なんで……」
「なんでって、説明したじゃん。マガツヒは情報を洩らさないために捕まった構成員さえ殺す超絶秘密主義だって。まあ情報を洩らさないためじゃなくて単にソウシタイだけかもしんないけど。ヒヒ」
「た、頼む、見逃してくれよ。一生のお願いだ。俺は真っ当に生きたいんだ。やっと分かったんだよ。だから」
「萎えるよなあ」
少年は、ぽつりとそう呟いた。冷たい声ではない。むしろ熱過ぎる程に熱い声だ。さながら激情だけを一つに集めてさらに煮立たせでもしたかのような。
「フィクションの悪役とか見てうわ萎える、とかアンタ思った事はない? 特に追い詰められたら情けなく正義の味方に命乞いとかしちゃうヤツ。生きる事に執着するとか、死にたくないって縋っちゃうとか、見苦しいよね。狂うならもう生きる事なんか度外視する程狂っちまえって感じだよね。安穏とした生活が欲しいとか、真っ当に生きていたいとか、人間としてどうたらこうたら、んなのどうでもいいんじゃない? 脳味噌が腐ってトロけて狂っちゃう程イカれるだけでサイコーじゃん。それ以外なんていらないのに、ねえ、何なのそのファッション狂気」
少年は面を少し上げ、口に何かを放り込んだ。がり、がりっと噛み砕きながら、黒よりもおぞましい色でじっとりと男を見据える。
「今更背広着て至極真面目にリクルート活動でもしようって? 甘ェんだよ。後戻りなんて出来ねえよ。頭の先まで浸かっちまえよ。脳味噌ジンッとシビレちまえよ。トロけそうだろ? 腐りそうだろ?
最高だろ?」
●蝕まれる者
よたり、よたりと酔ったように歩く男の姿に、道行く人々は汚いものにそうするように道を開けた。いや、比喩表現ではなく、浮浪者然とした男の姿に誰もが自然にそうしていた。スマホを眺めていたサラリーマンはしかしその光景に気付く事なく、画面に夢中になったまま浮浪者にドンとぶつかった。失礼、と言いながら再び歩き出そうとしたが、誰かに腕を掴まれサラリーマンは視線を向ける。
「……うわ、なんだアンタは」
「……」
「ああ、失敬。悪いが手を放してくれないか。ぶつかった事は謝るよ。それじゃ」
「助けてくれ」
蚊の鳴くような声だった。浮浪者の男はじっとサラリーマンを見つめていた。男の言葉より服が汚れていないか気になっているサラリーマンに浮浪者は必死に言葉を紡ぐ。
「助けてくれ。助けてくれ。助けてくれ。し、知らなかったんだよ。あんな所だったなんて思わなかったんだよ。助けてくれ。助けてくれ。たすけてくれ」
「おい、いい加減にしてくれよ! これ以上付き纏うなら警察に……」
その時、浮浪者の顔からぼこりと何かが噴き出した。小さな箱、と思う間もなく、数多の箱は浮浪者の全身をあっという間に覆い尽くした。無数の赤黒い箱に全身を囚われた浮浪者の男は、箱の隙間からへたり込むサラリーマンに瞳を向ける。
「助けてくれ」
「あ……ああ……」
「助けてくれ、助けてくれ、たすけてくれぇッ!!」
悲鳴が辺りに響き渡った。誰もが必死に走り出した。浮浪者の男は、箱の隙間から必死に逃げる誰かの背中に腕を伸ばす。
「嫌だ、俺も連れて行ってくれ! 誰か、誰か、だれかぁぁアッ!」
●牙を剥く者
「K区駅前に従魔が現れた。数は二体。小さな箱が寄り集まって集合体を為しているようだ」
オペレーターの言葉に、李永平(az0057)は身を翻し何処かに出て行こうとした。その意図に気付き咄嗟にオペレーターが呼び止める。
「待て永平! 現場にはバスを出す。行くならそれに乗って皆と行け! 二体の内一体には一般人が取り込まれている。助けを求めているそうだからまだ意識はあると思うが……長期化するとライヴスを吸い尽くされ死亡、従魔化する恐れもある。大至急従魔を討伐してくれ」
「箱……今度こそパンドラの仕業か……あの野郎、一体何が目的なんだ……」
永平はオペレーターの言葉を聞きながらギリッと奥歯を噛み締めた。エージェント達に見せるようになった表情とはそぐわない、荒れ狂う獣のような瞳。牙のように歯を剥く永平を一先ず宥め、エージェント達はバスに乗り目的地へと向かっていった。
●嗤うモノ
「あっはははははは!」
ビルの屋上のヘリに座り、少年はひとしきり声を上げて爆笑すると、面を上げて口の中に飴を一つ放り込んだ。眼下には従魔に身を蝕まれみっともなく泣き叫ぶ男。少年はがり、がりっと甘い塊を砕きながら、泣き叫ぶ男の姿を熱く、激しく、嘲笑する。
「いいね、いいね、いいね、いいね! その鼻水と涎垂らしてみっともなく叫ぶ様、最ッ高にセクシーだぜアンタ!」
解説
●目標
従魔討伐・浮浪者の救出
●場所
K区駅前
10×10sq。日中。曇り。従魔に囚われている男以外の一般人は退避済み
●NPC
李永平&花陣
マガツヒの愚神パンドラを倒すためHOPEに留まっている。ドレッドノート。武器:釘バット「我道」。従魔討伐を優先するつもりはあるようだが……
・ヘヴィアタック
ライヴスを込めた重い一撃を繰り出す
・オーガドライブ
防御を捨てた猛攻を仕掛ける
浮浪者の男
従魔に囚われ、助けを求め叫んでいる
【PL情報】
従魔に呑み込まれているだけで生身の人間。従魔に呑み込まれた状態で4ターン経過すると発狂し、8ターンでライヴスを吸い尽くされ死亡する
●敵情報【PL情報】
奇箱・蝕×2
赤黒い小さな箱が寄り集まった形の従魔(集合体を1体の従魔と考えて差し支えない/HPが0になると全ての箱が一斉に消滅)。全長4m。手足のようなものを生やしておりムカデのように移動する。攻撃力が低く防御力が高い。何故か浮浪者以外の一般人は襲わなかった模様。浮浪者を取り込んでいない箱は浮浪者を取り込んでいる箱を守るように行動する/浮浪者を取り込んでいる箱が先に倒された場合浮浪者を殺そうとする
・塵穿ち
前方5sqに突進する
・蝕液
半径2sqにライヴスを乱す体液を撒き散らす。【封印】付与
・壊音
全体に悲鳴のような音を発する。距離・精神状態によって影響度が変化する。【衝撃】付与
・禍の狂持
パッシブスキル。二回連続で攻撃を行う 例:塵穿ち後蝕液
面を被った少年
何処かのビルの屋上から事を眺め、事態が収まったと見ると人ごみに紛れ逃亡する
●使用可能物品
装備品・携行品
マスターより
・OPは「牙を剥く者」以外PL情報です。
・PL情報はPCが知らない情報です。利用するためにはPC情報に落とし込むためのアクションが必要となります。
・申し訳ありませんが各自BSなどの詳細の確認をお願い致します。
・プレイングの出し忘れにご注意下さい。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/08/13 16:47
参加者
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相談卓
最終発言2016/08/07 15:18:08 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/08/05 00:49:48