本部
我ら五影、一切の不法を赦さず
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/14 19:00
- 完成予定
- 2016/06/23 19:00
掲示板
-
質問も先手必勝っしょ☆
最終発言2016/06/13 08:35:46 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/09 23:19:37 -
相談卓
最終発言2016/06/14 02:14:17
オープニング
●誅すべし
夜の帳も落ち、人々が寝静まった深夜二時。道路を行き交う車もまばらなこの夜中に二つの人影が、人目を避けるように、とある会社の駐車場に蹲っていた。
「よし、一応一通り見てきたが人が残ってる様子はねぇ」
「大丈夫そうだな。じゃあ、行きますか」
片方の人影が時計を確認し立ち上がる。
「セキュリティが来るまで……まあ、2、30分ってところか?」
「それだけあれば十分よ。金庫の場所も調べてある」
次いでもう一人の人影も立ち上がり、右手に持ったナイフの柄を相方に向ける。
「全ての富を我が手に」
タバコを咥えていた方はその柄に手を乗せると、合言葉のような台詞を呟き、そしてたちまちの内にその姿は消え、その後にはナイフを持った男のみが残された。
いや、残された方の男の姿もよく見れば今までとは様子が違っている。背は一回り大きくなり、服装は全身をぼろ布のような黒いマントで覆った恰好へと変化していた。
彼らはH.O.P.E.に所属せず、自らの欲望に従って能力を使うことを選択したリンカー、即ち一般的に『ヴィラン』と呼ばれる存在である。
「さて、それじゃあ、早速始めるか」
共鳴状態となった彼は身を低くし足早に目の前の会社へと近づく。3階建ての中小企業の自社ビルである。一応セキュリティ会社とは契約しているが警備員を雇っているほどではない。それくらいの会社だ。
「よっと」
男は慣れた様子で手に持ったナイフで窓を丸く切り取り、中に入るための穴を作る。共鳴したリンカーにはわけもない事である。
するりとその穴に身を滑らせビルの内部に侵入する。窓を切る際にも入る際にも大きく窓を揺らしたりはしない。そうすればセキュリティが反応するからだ。未だこの会社のセキュリティは侵入者に気付かず沈黙していた。
「楽勝、楽勝……」
うまく侵入できたことにニヤリと笑う。後は金庫を盗んで持ち帰るだけである。どこかのタイミングでセキュリティに引っかかる事はあるかもしれないが、警備会社が来る頃にはまず間違いなく。逃げられる算段だった。
しかし、彼の侵入にセキュリティの機械よりも先に気付いた存在があった。
「――誅すべし」
「ん?」
急に聞こえた声に男の足が止まる。同時に太ももに走る激痛。
「鼠族、誅すべし」
声の先を振り返ると暗闇の中からそれは現れた。黒装束を身にまとい、顔も覆面で目元以外はすべて覆われている――一言で言ってそれは『忍者』だった。 痛みの元の太ももを見ると手裏剣が突き刺さっている。間違いなく目の前の忍者の仕業だろう。
『やばいぞ、逃げろ……』
彼の中の英雄が頭の中で語り掛ける。
こんな恰好をした奴が尋常な相手であるはずがない。エージェントやヴィランであればまだ大分マシだ。
だが、この忍者は本来誰もいるはずのない場所に急に現れた。おそらく従魔か――あるいは愚神だ。
「くそっ!」
痛みを我慢して、その忍者から離れるように駆け出す男。
向かうのは忍者の出てきた方とは逆側にある窓。突き破ってしまえばセキュリティに引っかかるが、そんな事を考えている暇はない。今は何より一刻でも早くこの場から逃げ出すのが先決だった。
――だが、
「禁を犯す者、誅すべし」
「!?」
その進路を阻むように再び忍者が立ちふさがる。
(追いつかれた!?)
否、そうではない。
「境界を犯す者、誅すべし」
「招かれざる者、誅すべし」
「我ら五影、闇夜に一切の不法を赦さず」
前後左右から次々と声が聞こえる。
囲まれている。それに気付いた次の瞬間には彼の意識は闇に飲まれた。
異常に気付き駆け付けた警備会社の社員が見たものは、物言わぬ骸となった侵入者の姿だった。
●立チ入リヲ禁ズ
愚神や従魔が関わっていると思われる事件といえども、一先ず現場に入るのは警察だ。彼らは当然のようにあたりを立ち入り禁止にし、現場の検証にあたっていた。
「従魔か愚神ですかね……」
「多分な。普通の人間にはここまで鮮やかに殺れねぇよ」
一般人が見たら卒倒しそうな仏の写真を見ながら刑事の一人が呟く。
朝から始まった調査は既に十時間以上に及び、空は日が沈みかかっていた。
「H.O.P.E.に連絡は付けてんだな?」
「ええ、夜には来れると」
「それまで何も起きなきゃいいがな……。一旦車に戻って報告するぞ」
「はい」
玄関から外へ出て空を見ると外はすっかり暗くなっていた。
「もう夜じゃねぇか。H.O.P.E.はまだか」
「あ、警部補! ちょうど良かった!」
ちょうど外に出たタイミングで彼に声をかける警官が一人。彼は小走りに刑事に駆け寄り、「立ち入り禁止」と書かれた黄色いテープを跨いだ。
「一つご報告が――」
あります、という声は続かなかった。何故なら彼の喉にはどこからか飛んできた手裏剣が突き刺さり、それ以上声を出すなくその場に倒れ伏したからだ。
「なっ――!」
「境界を犯す者、誅すべし」
耳に届いた声に上を見上げる。
屋上に一つの影が直立していた。
「我ら五影、闇夜に一切の不法を赦さず」
それだけを言い残して、影は後ろに飛び退き姿を隠す。
「ひぃ! 逃げ――」
「待て! 落ち着け!」
この建物の中に愚神がいる。その恐怖におののき逃げようとする若い部下の肩を急いで掴む。
「あのテープに近づくな!」
「えっ?」
「やべぇんだよ。何も考えずに動くと死ぬぞ!」
言いながら自分の周りを警戒して見渡すが、どこにも異常はない。どうやら自分たちは命を狙われていないらしい。
「殺そうと思えば俺達一般人なんて一瞬だ。だが、奴は俺たちは殺さなかった。ルールがあるんだよ」
この稼業を長年続けていれば事件の延長で愚神と遭遇するのはそう珍しい事ではなかった。その彼の経験が現在の危機に対する対処を浮かばせていた。
「とにかく今はセーフだ。これを維持するんだ。特にあのテープに近づくのは一番危険だ」
警官が襲われたのはあのテープを跨いだ瞬間だ。それと同じ行動をするのは逃げるためとはいえ得策ではなかった。
「とにかく、H.O.P.E.だ。H.O.P.E.の連中が来るまでここを一歩も動いちゃならねぇ」
時計を見る。午後七時四七分。夜は始まったばかりだった
●緊急収集
「というわけで、予定が変わりました」
現場に向かう車内でリリイ レイドール(az0048hero001)がハンドルを握ったままそう告げた。
「調査の予定でしたが、愚神の討伐任務に変更です。あ、降りるのはもちろんOKです。いいよって方だけこのまま現場にお連れしますよ。あと、緊急収集もかけたので現場で合流するエージェントも多分いると思いますので、各自連携をとって任務遂行お願いしますね」
解説
●敵 デグリオ級愚神『五影』(ごかげ)
全部で5人の忍者の姿をした愚神。昼間は警察の調査に一切引っかからなかった。一人一人の力はデグリオ級だが、5人で力を合わせてドロップゾーンを形成している。実質的にはケントゥリオ級の愚神と考えるべきである。
・『一乃影』
接近戦を得意とし、攻撃力と回避に優れる。武器には毒が付着しており、確率で減退を付与する。
・『二乃影』
手裏剣と苦無による遠距離戦を得意とし、不意打ちを担当することが多い。テレポートショット相当の忍術を有している。
・『三乃影』
攻撃系の忍法に優れる。炎や雷の忍法を操り、魔法攻撃、魔法防御に優れる。フラッシュバン相当の忍術を有している。
・『四乃影』
大蛙や忍者犬や大亀などの召喚系の忍法に優れる。大蛙の舌は確率で拘束を付与する。
・『五乃影』
五人のリーダー的存在で全体的にバランスのいい能力を有しています。武器に毒が塗ってあるのは『一乃影』と同様。
●場所と状況
三階建てのビジネスビル。どの階も廊下に階段とトイレ、そこそこの広さのオフィスという構造は変わりません。エレベーターは存在せず、階段は両端に一個ずつです。
玄関は正面と裏の二か所。正面玄関には刑事がOPの刑事がおり、中には若干名の人が残されていますが生死は不明です。
●ドロップゾーン
デグリオ級従魔でありながらドロップゾーンを形成している。範囲はビル敷地内部。このドロップゾーンの中では「夜の間、ルールを破った者」に対し五影が「誅」を発動する。形成されたドロップゾーンは愚神を倒してもすぐには消えない。
「誅」:五影の内、いずれか一体が近くに召喚され、不意打ちを仕掛けてくる。仮に5人全員を拘束していたとしても、その場から一度消えて拘束されていない状態で別の場所に召喚される。ただし、既に死んだ、あるいは意識を失っている愚神は召喚されない。「誅」の間は攻撃に命中補正が掛かる。
マスターより
ちょっと特殊なルールの存在する愚神戦です。
ちなみに、こちらはこの会社が張り紙として貼ってある標語のコピーとなります。
『社内五訓
一、廊下を走るべからず
一、無駄な電気を点けるべからず
一、居眠りをするべからず。
一、ポイ捨てをするべからず
一、物を壊すべからず』
なお、解説のほとんどがPL情報でありPC情報ではない事はご注意ください。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/06/21 19:06
参加者
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最終発言2016/06/13 08:35:46 -
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最終発言2016/06/09 23:19:37 -
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最終発言2016/06/14 02:14:17