リンクブレイブ

探究心、知的好奇心、それが彼を構成する全てのものだ。人間を、英雄を、愚神を、世界を、此の世を、彼の世を、理を、概念を、運命を、偶然を、理論を、過去を、未来を、現在を、全てを、全てを知りたい、それが彼の求める唯一の価値だ。然し彼には何もなかった、力が足りない、地位も、コネクションも、何もかもが足りない。私は未だ何も知らない、誰も、彼も、何も知らない、そんな世界に価値はあるのか、否、ある、この世界には私が知らないだけの事が沢山ある、其れ等は私以外の誰かが知り、持ち得ている知識だ。ならば。私は其れを集めればいい、手の届く範囲から、少しずつ、少しずつ。そして何時の日か全てに辿り着けばいい、私が、私の後の私以外の誰かが、その為に私は居るのだ、きっと。私は私の周りの世界を解き明かし、その世界を少しずつ拡張していけばいい、そう、それならば。手始めに、私が知るべきは――君だ。　　　「君を、私に教えてくれ」

生身の体はエージェントを続けていくうえで徐々に貴重なものになっていく。この生身の体を守り続けたい。

「全てを知りたい」途方も無い夢だ、全く馬鹿げて、狂気じみている。然しそれでも、男はただ其れだけを求め続けた、何時から、何の理由があって、ああ、そんなものは目的の前では些細な事だ。男は求める、全てを。

地位、金、名誉を得るための良い機会だと考えたため

フィールドワークは、研究のための有効な手段だ。だが然し、有効だとはいえ誰もがそれをできる訳ではない、一般人では入れない場所、一般人では出会えない人、そういうものが、確かにこの世界には多く存在するのだ。

私は君を知りたい。僕は貴方に知られたい。私は君を解明したい。僕は貴方に解明されたい。君が一体何者なのか、僕が一体何者だったのか。一人では生きていけない貴方と。一人で生きていく他なかった君。その関係は。

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