本部

コンビニ飯パーティー!

落花生

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
4人 / 4~10人
英雄
4人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2019/01/26 14:46

掲示板

オープニング

 冬はアイスが美味しくなる季節である。
 アイスは夏であろう、と思う人間もいるかもしれないが現在は違う。夏はさっぱりとしたアイスが美味しいが、冬はこってりとした重厚な味のアイスが美味しいのである。それに注目したメーカーが満を持して売り出したのが「冬だけのご褒美」という冬限定のアイスである。一つ五百円というコンビニで売っているアイスとしては高めの値段設定。だが、こってりとした味は他の追随を許さない。そういうふうに話題になるはずだった。
「美味しいんやけどな」
 正義はコタツでアイスを食べる。
「冬だけのご褒美」は、こってりとした味のアイスである。だが、このこってり味は食べているうちに飽きてしまうのだ。
「一口目は美味しいのに、残念ですぅ」
 小鳥も、むすっとアイスを舐める。
『そうだ。こんなときは、アレンジですぅ! コンビニに行って、他のものでアイスをアレンジしちゃうですぅ』
「なんや、楽しそうやな。ついでに、夕飯もコンビニですませてかまへんな」
『でも、こういうのはルールを決めないと楽しくないですぅ。アイスのトッピングは三百円まで、夕飯は八百円までですぅ』
「遠足みたいになってきなぁ」
 笑いながら、正義と小鳥はコンビニへと向う。


「今日は、コンビニ飯でもいい?」
 エステルは、サラダを手に取る。
 今日は仕事があり、忙しかった。たまには、手抜きをしたい。
「最近は栄養バランスを考えた弁当があるのがありがたいな」
 アルメイヤが弁当を選んでいると、コンビニにやってきた正義と小鳥と鉢合わせした。
『おひさしぶりですぅ! そうだ、せっかくだからウチでコンビニ飯パーティーをやるですぅ!!』
 ハイテンションな小鳥に、エステルはちょっとばかり怖気づく。
「コンビニ飯パーティーですか?」
『そうです! ご飯は八百円まで、おやつは三百円までのパーティーをするのです!!』
 コンビニで売られているものでならアレンジは可ですぅ、と小鳥は楽しそうに説明する。
 そのとき、仕事帰りのリンカーたちがコンビニにやってきた。
 そして、エステルたちと共に小鳥の話を聞く。
「面白そうだな」
 誰かが言った。
 コンビニで買えるものだけのパーティーが始まった。

解説

・コンビニで買えるもので、パーティーをしましょう。
コンビニで売っているもの同士ならば、「ちょいタシ」などしてかまいません。

小鳥が設けたルール
ご飯もの――八百円まで購入可能
おやつ――三百円まで購入可能(※ただし、アイスを購入していなければ八百円まで購入可能)

コンビニ(18:00)……どこにでもある普通のコンビニ。定番のお弁当や電子レンジで温めて食べる野菜たっぷりのスープなどが売られている。季節限定のカップラーメンや高めのコンビニスイーツ、おでんの種類も多い。

ご飯を食べる会場……正義の部屋。片付けられており、二人暮らしにしては若干広い部屋。コタツが置かれている。基本的な調味料なども用意されているが、酒類はない。

正義・小鳥……アイスにチョコレート菓子と砕いた煎餅(醤油味)をちょい足ししている。

アルメイヤ・エステル……サラダとペペロンチーノ、温泉卵のちょい足しをしている。

リプレイ


「す、好きなものを、なんでも……! コンビニで!」
 紫 征四郎(aa0076)は、目をキラキラさせていた。何でも買っていい、の一言でありふれたコンビニが宝箱のように見えてくる。
『好きなものを何でも。今日は煩い大型犬も居らぬのでな。たまには良かろう』
 コンビニのヘビーユーザーとなっていたユエリャン・李(aa0076hero002)は、すました顔で商品をぽいぽいとカゴに入れていく。
《パーティですわ!! わたくし、パーティ大好きですの!》
 シルフィード=キサナドゥ(aa1371hero002)もはしゃぎながら、放送中のアニメのお菓子を買い物カゴへと放り込んでいた。食玩付きのお菓子はあくまでメインが食玩なので、腹の足しにはならなそうだが本人は幸せそうである。
《いつもはレジ前に置かれてるスタンプラリーとか、広告とか、漫画の立ち読みをしていたので、じっくり商品を探したことはないのですわ。こういうものもたくさん売っているなら、コンビニ飯は楽しいですわね》
 ご機嫌なシルフィードだが、彼女はまだ飯を購入していない。
『コンビニのおでんはとても美味しいですよ。特に出汁が好きです』
 食事になるものとして時鳥 蛍(aa1371)は、おでんを購入する。大根や卵といった定番の具材と卵焼きや牛筋といった子供はコンビニでしか食べられないようなものも注文する。
《あと、カラシとわさびと七味もつけてください》
 店員は笑顔で「お父さんへのプレゼントかな?」と尋ねる。どうやら一緒にきた男性面子の誰かが、蛍のお父さんだと思っているらしい。自分の分です、と言おうとするが他に買おうとしているものを見て、蛍はしばし黙った。
 おでん、塩辛、ピーナッツ、あたりめ、辛い系のスナック菓子……ビールがないのが不思議なぐらいのおつまみ系のラインナップである。
『酒飲みでもおじさんでもないです……』
 塩辛美味しいじゃないですか、と呟きながら蛍は会計を済ませた。
「おでんは、征四郎も好きです。暖まります!」
 といいつつ、征四郎が購入しているのは肉まん類である。
「おやつの肉まんは1人1つの決まりでしたので、こんなにたくさん……夢のようなのです……!!」
 にこにこしながら、季節限定のカスタードアップルまんも購入する。ちなみに、肉まんとピザまんはすでに購入済みである。
「お、奇遇だな……っと、ここまで集まるとは珍しいこともあるもんだ」
 ユフォアリーヤ(aa0452hero001)と共にコンビニにやってきていた麻生 遊夜(aa0452)は、ユエリャンからコンビニ飯ルールを聞く。
『……ん、なんだか……楽しそうだねぇ』
 ユフォアリーヤは興味津々というふうに、耳を小刻みに動かしていた。遊夜は、目をキラーンと輝かせた。予算内で買い物というのが、なんだか童心に帰れるような気がする。遠足のオヤツ選びみたいで楽しいではないか、と。
「ふむ、限られた予算から選ぶのは面白いな」
『……んー、色々あるから……迷っちゃうねぇ』
 限られた予算となると目移りしてしまうのが、人間の性である。アイスのトッピングを選んでもいいし、季節限定のカップラーメンも棄てがたい。定番のおでんだって好きだし、若者気分でキチンにかぶりつくのだって大好きだ。だが、どれも圧倒的にボリュームがたりない。
「よし、これにするか」
『……ん、それなら……これが良いね』
 選ばれたのは、サラダチキンのホットチリ味とバターチキンカレー。肉と肉の夢の競演である。
「500円のアイス+お菓子300円、又はお菓子を沢山、どっちが良い?」
 荒木 拓海(aa1049)が笑顔で尋ねると、レミア・フォン・W(aa1049hero002)は自分のカゴに山のようなお菓子をつめて駆けてきた。
『……アイス……と……おかし……りょうほう、たくさん……』
「それは、ルール違反だね。あと、その量は八百円でも買えないよ」
 レミアは難しい顔をして、数個の菓子を棚に戻す。だが、棚に戻ったのは三個だけであった。カゴのなかには、未だにどっさりと詰まれた菓子の山。合計で三千円分ぐらいはありそうである。
「だから……もうちょっと減らしてね」
 こんなことをいつまでもやっていたので、特別ルールとして御菓子は合算OKとなった。その結果、アイス、プリン、蕨餅、モンブラン、ロールケーキを買えてレミアはご満悦である。
『皆、会計はすんだですぅ? なら、正義の部屋へレッツゴーなのです!!』

●正義の家
『コンビニ飯といえど、野菜は取っておいた方が美容にいい故』
 ユエリャンは際よくサラダチキンを崩し、サラダに混ぜ込む。そこにドレッシングをかけて、仕上げに細かく砕いたポテトチップスを散らした。もちろん、ドレッシングはカロリー控えめのタイプである。
『家で火を使うなと言われておるだろ……この辺りの工夫は慣れたものよな』
《さすがの女子力ですわ。カロリーを押さえつつ、見た目もおいしそう》
 目を輝かせるシルフィードに、ユエリャンは胸をはる。どうやらシルフィードは、ユエリャンのことを女性だと思っているらしい。だが、ユエリャンも女子力を褒められて胸を張るタイプなので指摘しなくてもよいだろうと蛍は考えた。
『そして、たりないボリュームはこれで補うのだ』
 鮭のおにぎりを茶碗にうつし、ホットのほうじ茶を上からかける。あらかじめ外しておいた海苔を千切って上から降りかければ、ちょっとお洒落なお茶漬けである。
『ほうじ茶の香ばしい香りと鮭の塩っけが癖になるぞ。我輩は、もう一工夫するが』
 ユエリャンは、お茶漬けに唐辛子を振り掛ける。
「へー、唐辛子派なんだ。わさびでもおいしそうだけ……ど」
 拓海の言葉が止まった。
 ユエリャンは、唐辛子を山ほど振りかけていたのだ。お茶漬けは、真っ赤に変色している。
『カプサイシンはダイエットに効果的であるのだぞ?』
 知らないのか、とユエリャンは言うが、拓海は苦笑いするしかない。
「それ、味ちゃんとわかってるのです……?」
 征四郎は、正義に台所を借りることにした。
「聞いてください! 征四郎はフライパンが使えるようになりました! なので今日は台所をお借りして、焼き肉まんを作ろうと思います。ごま油で両面をカリッと焼く焼き肉まんは人をダメにする味であるとか……! ふふー。一度やってみたかったのです」
 興奮しながら、フライパンにたっぷりのごま油を敷く。しっかりと熱したら、三個の肉まんをフライパンのなかへと落とした。香ばしい香りが、食欲をそそる。いつもの肉まんやピザまんの味を思い出し「これは、本当に間違いないはずなのです!」と征四郎は笑顔になった。
「では、いただきます!」
 熱いので、箸で肉まんを持ち上げる。
 普段はフワフワの皮がカリッとしあがって、まるで中華街で食べるような本格的な味に変化している。肉まんというよりは、焼き小龍包に近いかもしれない。
「ピザまんもチーズがより熱くなって、美味しいです。ホタル。デザートにこれいかがですか? 新作だそうです」
 カスタードまんを友人たちと分けて、征四郎は口に放り込んだ。ごま油とカスタードの相性は悪くはないし、砂糖を追加したカフェオレとも喧嘩していない。だが、ちょっと方向性が違ったような気がしないでもなかった。
「カフェオレとあわせるなら、ごま油ではなくてバターのほうがよかったでしょうか?」
 それとも飲み物を烏龍茶にすべきだったか。
 征四郎は頭を捻る。
《でも、暖まったカスタードは美味しいですわ》
 シルフィードの言葉に、蛍は頷く。
『ごま油が定番とはちょっと違って……ちょい足しって感じがしていいと思います』
《わたくしたちでは、ちょい足しはなかなか思いつかないですからね。でも、おでんの卵焼きにカスタードっていうのは、おいしそうですわね》
 蛍のおでんの具材であった卵焼き。
 それに乗っているものをカスタードだと思い込んだシルフィードは、ドキドキしながらソレを口に運ぶ。
《カスタードも元は卵ですわ。きっと、喧嘩はしないはず……》
『それは……』
 蛍が止める前にシルフィードは卵焼きを口のなかに入れて悲鳴を上げる。
 カスタードだと思ったものは、蛍がたっぷりと塗っていたカラシだった。
《綺麗な色してるから……カスタードと思ったのですわ……》
 その様子を見ながら、拓海は苦笑する。実は、拓海もちょい足しはあまりやったことはない。入れても薬味程度だ。だから、今回はコレを購入してきたのだ。
「特別なお奨めチョイ足しは無いが……でも、これを入れると、どんなものパーフェクト」
 取り出されたのは、唐辛子である。
 コンビニ飯は万人受けを狙っているので、辛味が足りないことが多い。そんなときにお世話になる調味料である。だが、少し辛味を足すことでものすごく美味しくなるのも確かなのである。拓海はそう熱弁していた。その隣で、レミアはアイスに唐辛子を振りかけていた。
『ぱーふぇくと……』
「ちょーーっ止め、ご飯系に掛けるんだ!!」
 ほら、カップめんとかスープとかにと拓海は説明する。
 だが、レミアは首を振った。そして、ユエリャンの赤くなったお茶漬けを指差す。
『いれると……ぱーふぇくと……』
 どばっと、唐辛子がアイスにかかった。
 拓海は、それを見て思わず真顔になる。唐辛子アイスという未知なるものが完成してしまったからである。辛いのか甘いのか、味の予想がまったくつかない。
「まぁ、こういうのもちょい足しの醍醐味だよね……たぶん」
 レミアが他の人々の食事にまで唐辛子をかけるのはさすがに止め、自分のカップめんを差し出す。
「オレのに、掛けて」
『……うん、まかせて……』
 いやな予感はしていた、とそのとき居合わせた全員は語った。
 案の定レミアは手を滑らせて、唐辛子の小瓶はカップめんのなかにダイブする。バター醤油味のラーメンが、バター唐辛子ラーメンへと進化した瞬間であった。
「う……せめて、アイスの唐辛子はちょっと避けよう」
 こんもりと乗ったアイスの唐辛子を脇に避けつつ、それでも唐辛子が残るアイスを拓海は口に運ぶ。
「どうだ?」
 肉多めの食卓を夫婦で囲んでいた遊夜の言葉に、拓海は「うーん」と悩んでいた。
「意外と食べれる。それどころかアイスの濃さに唐辛子が負けているような気さえする……」
 どれだけ濃いアイスだったのだろうか、と遊夜は思った。
「良田さんの煎餅とチョコのちょい足しは、どうだ?」
「……みたらしにチョコを混ぜた味がするんや。正直、くどい」
 ちょい足し失敗で少しばかりへこんでいた正義だったが、大人たちは「そういえば醤油+バニラアイスでみたらし団子の味になるって昔あったなぁ」と盛り上がる。いつの時代もちょい足しというのは楽しいのである。
 自分たちの分を食べながら、ユフォアリーヤはご機嫌であった。
『……ん、お肉が多いのは……良い事』
「藻塩やプレーンで口直しも悪くなかったんだがなぁ」
 こうしてみると自分たちのご飯は、わりと普通のような気がする。
「思ったより選択肢が多いから迷いに迷ったが、これは俄然他の人達の組み合わせが気になる。……今度試してみよう。美味かったら子供達にも振舞わねばならないな」
「……喉の奥が熱い」
 カップラーメンを食べた拓海は、暗い顔をしていた。
『……のどのおく……あまい』
 お菓子を食べ過ぎたレミアも同じ顔をしていた。
 しょうがないと笑いつつ、拓海はレミアにお茶を勧める。その顔には、笑顔が戻っていた。なんだかんだで、娘と一緒に食事を取れるのが嬉しいのである。親ばかだな、とそれを見ていた遊夜は微笑んでいた。
「塩ものを食べるか、お茶飲んで暫く食べるのを休もう。あと、明日になったらレミア用のパーフェクトアイテムを買いに行こう。ふりかけっていって、それならご飯にかけていいからね」
 拓海の言葉に、レミアが目を輝かせる。
『さらさら……』
 食後の茶を飲みつつ『ふりかけは、カップ焼きそばに入れても美味いものだぞ』とユエリャンは呟く。「パスタにも意外と合うのです!」と征四郎。
『わさび風味のふりかけ……も美味しいと思います』
 蛍の主張に、シルフィードは《いいえ、シール付きのものが最高ですわ》と言い返す。
『ん……お弁当なら、梅風味かな。腐りにくくなるし』
 ユフォアリーヤは『ソレが一番大事』と頷く。
 それぞれのお勧めに、遊夜は思わず苦笑いする。
「まっ、今時はふりかけもたくさんあるってことだな。自分が一番好きなふりかけが見つかるといいな」
 レミアはたくさんのお勧めふりかけの話を聞いていたが、突然目を輝かせる。そして、ドアの向こう側を指差した。
『……たくみ……ここも、ぱーふぇくと』
「パーフェクト……だな」 
 外では、大粒の雪が降っていた。
 クリスマスもお正月も過ぎ去ったが、空から振る雪は穏やかだ。そして、それはここ最近の世界の情勢とはかけはなれたもののようにユエリャンには思われた。
『小鳥殿のことも心配していたが……杞憂であったようだな』
 彼らは、いつだって何時もどおりだ。
「あの……皆さんすみません」
 エステルが、全員に声をかける。
「この雪で電車が止まったようです……他に足がない方は、ここに泊まるしかないみたいです」
 その言葉に、一同の目は点になった。
 ちなみに、正義の部屋にこの人数分の食料はない。
 つまりは――明日の朝もコンビニ飯。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 全てを最期まで見つめる銀
    ユエリャン・李aa0076hero002
    英雄|28才|?|シャド
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 願い叶えて
    レミア・フォン・Waa1049hero002
    英雄|13才|女性|ブラ
  • 暗夜の蛍火
    時鳥 蛍aa1371
    人間|13才|女性|生命
  • 優しき盾
    シルフィード=キサナドゥaa1371hero002
    英雄|13才|女性|カオ
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