本部

バトルマッチ 最強のリンカーは誰だ

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 4~15人
英雄
12人 / 0~15人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/07/03 16:47

掲示板

オープニング

● これは演習兼初心者への到達点指示

 さぁ、始まりました。第一回リンカーバトル。
 主催はグロリア社。解説はこの私『ハットマン』がお送りします。
 先ずは今日初めて、ふらっとこの闘技場を訪れた皆さん向けに大会趣旨を説明いたしましょう。
 今回は世界各地で活躍する有名リンカーの方々に集まっていただき、トーナメント戦を行っていただきます。
 対戦カードは全部で16枚。十六人のリンカーたちに優勝を目指して戦っていただく、いたってシンプルなものとなっております。
 ただ、この大会の目的としてはただ、リンカーたちを戦わせようというやばんなものではなく、若手リンカーにリンカーたちの戦いかた、戦略、そしてその矜持を知っていただき、今後の自身の糧にしていただこうという教育的企画になります。
 なので、大会本選とは別にエキシビジョンマッチとして三対三のチーム戦もご用意しております。
 そしてこの大会の目玉、優勝賞金ですが、なんとグロリア社食堂一年分の商品券。
 さぁまだまだ席は余っております気軽にご参加ください。

 そう言った旨のアナウンスがH.O.P.E.東京海上支部に隣接した運動施設から響いている、この日のために町には広告のビラが貼りだされ、目玉となるリンカーたちの顔写真も町に散布された。
 まるでお祭りの様な賑わいで複数の屋台も出ている。
 ここで行われようとしているのはリンカーたちの競い合い。もといトップリンカーたちの戦いがどの様なものであるかを新米リンカーに教えるための教導訓練。
 この戦いではより派手なもの、そして戦略的なものが求められる。
 この大会は二日にかけて行われ、それなりの義援金と出資者を集めた。
 そんな大会の最初のカードとはいったい。それは参加者の皆さんで決めることになる。




● NPCリンカーについて

 NPCリンカーは四人いますが、大会本選に全員出場するつもりです。
 もしそれが難しければエキシビジョンに参加します。
 このエキシビジョンには大会本選に参加したNPCリンカーも混ざる可能性があります。 
 エキシビジョンにもNPCが参加できない場合今回の戦いには参加しません。

 また大会参加資格はPCが優先されますのでNPCを戦闘相手に指定していただいても、PCが優先され戦うことになる可能性もありますのでよろしくお願いします。

・参加NPC一覧
 
1 『三船 春香』
 最近わけわって戦闘ができずにいたために体がなまっていた、今回は戦線復帰を目指した模擬戦のつもりで挑む。
 クラスはカオティックブレイドだが、その武器は独特。ピアノ線を周囲に張り巡らせて広範囲攻撃を狙う。
 春香自身は機動力が高く、回避力、イニシアチブに秀でるが。攻撃力が低いという欠点を持つ。
 春香の装備構成は広範囲高射程の攻撃で確実に体力を削りながら。自分は攻撃を回避、防御してじりじりと体力に差をつける長期戦を得意としているようだ。


2 双槍の『ゲロニカ』

『お気に入りの武器を教えて』で初登場した槍を愛するリンカー。
 短槍を二本使う。それぞれに特殊な効果があるらしいが今回は単純なステータス重視の二槍。
 見た目はうら若き少女、十三歳。縦巻ロールが特徴的なおてんば娘だが……性別は男である。
 女の子でいる自分の方が好きらしい、恋愛対象は女性である。
 正確は苛烈にして挑発によわいが。
 獣か! というレベルで第六感が鋭い。
 クラスはのカオティックブレイド。
 槍を召喚して射撃してくる。強い(確信)
 残念だが自害はしない。



3 『クルシェ・アルノード』
 
 今回客寄せパンダとして呼ばれた戦闘できる系アイドル。
 戦っている最中にも歌を謳ってほしいと頼まれ、それに対してはキレた。
 今回人数があふれて本選に出られない場合は普通にライブする。
 ディスペアのダンス担当。今回もドレッドノートで参戦。
 持っているは巨大スパナという名の鈍器。攻撃力がバカみたいに高い代わりに他のステータスはそれなりである。


4『字名 明日葉』 

 燃えるような赤い髪はウエーブし腰まで届く、日本人。
 ドレッドノートで獲物は今回は長剣。
 戦闘経験が豊富な実践派。防御適性ドレッドノートなので、ステータスはバランス型である。
 相手の戦い方に合わせる器用な立ち回りが得意で、遠距離戦闘のために投げナイフも装備している。
 かつてアルマレグナスとの戦闘や相棒の結婚式で迷惑をかけたリンカーが対戦相手の場合萎縮する。
「あ、あの時は、ほ、本当にすまなかった」
 そんなことを言いながら、戸惑いと共に若干弱くなる。

解説

目標 リンカーたちの参考になるような戦闘をみせる。


●大会ルール

・本選
 16人のリンカーが集う本選ですが。大人の事情で一回戦しか描かれません、残念。
 対戦したい人を指名した場合その人と戦いになりますが。
 対戦相手が被った場合。もしくは対戦希望者がいない場合はランダムです。
 この対戦希望者にはNPCも選択できます。
 模擬戦だと思って気楽にやってください。
 より若手リンカーにとって参考になりそうな戦い方をした人がMVPを獲得できます。

・チーム戦
 エキシビジョンで三対三のチーム戦をします。
 相手チームはNPCを選んでもいいですし、PCでの戦いもあり。NPCを混ぜてもいいです。
 このエキシビジョンは本選に参加したリンカーでも参加可能ですが、使える文字数に気を付けてください。
 勝敗はチームの全滅か、ギブアップで判定されます。


・戦闘場所
 戦闘場所については四つの中から選択できます。
 もし選択しなかった場合、もしくは選択が一致しない場合ランダムです。
 どれも50M四方の空間でその両端からスタートします。


・岩場
 むき出しの岩場です、高低差が激しいのですが木々が無いため遮蔽物は少ない方です。

・火葬場
 燃え盛る砂漠での戦いです。砂が灰なので足をとられがちですが、灰は軽いので目くらましに使えるでしょう。
 
・密林
 木々が多いしげるジャングルです。見晴らしが悪い上に、木々がたくさん生えているので動きにくいです。

・闘技場
 外が壁に囲まれた円形の戦闘フィールドで平坦です。

リプレイ

プロローグ

 大会はH.O.P.E.の施設を間借りする形で行われる。
 試合会場の周辺には出店が立ち並び、とおりは人であふれていた。
 見たところH.O.P.E.関係者半分。一般市民半分といったところで。若いリンカーが特に多いようだった。
 大会の注目度は高い。
 その中で。『零月 蕾菜(aa0058)』は団子の串をプラプラさせながら人の流れを眺めていた。
 その隣には『十三月 風架(aa0058hero001)』が佇んでいる。
 彼女たちの出番はチーム戦なのでそれまで時間があるのだ。
「個人戦には?」
 風架が問いかける。
「私達の戦い方って1対1だとなかなか決まらないか一瞬で終わるかで参考にはならないじゃないですか」
「ならニロと参加すれば良いでしょうに」
「そのつもりだったんですがニロは友達と約束があるって遊びに」
 そう蕾菜が苦笑いをした。
 そうこうしている間に会場では最初の大戦が行われようとしていた。
「んー、春香さんや明日葉さんと戦えるかと思ったんだけどなー」
 そう顔をあげる『イリス・レイバルド(aa0124)』
「明日葉さんの方は久しぶりに会うね。まぁ挨拶くらいはただなのだし」
 そう『アイリス(aa0124hero001)』は眼前の闘技場を見下ろす。
 たまにはリンカー同士で腕を競い合うのも悪くはないよね。
 そんな具合でいそいそと準備をしていたイリスは見事重体になっていた。
「ははは、油断したね」
 そうアイリスが快活に笑う。
「でもまったく出番がないかと思ってひやひやしたよ」
 そんな二人に与えられたのは実況と解説である。
 こういう時くらいは大人しくしててと友人に言われているイリスである。
 それ故にこの見晴らしのいい席で実況と解説。
 これも重要な仕事である。
「クルシェさんに歌いながら戦ってほしいと依頼があったそうだね」
「それ本人に断られたって聞いたけど」
「イリスがこんな状態で私だけがパフォーマンスをしてもねぇ」
「ボクが、元気でも、やらないよ?」
 告げるとイリスはマイクのスイッチをオンにする。
 選手が入場した。
 その名前をさっそく読み上げていく。
 

第一章 タイマン


「はははっ 急遽選手から転向、解説の席を分捕ったアイリスだよ」
「え、えと……イリス、です?」 
 そう軽快な音楽を背景に二人の声が闘技場全体に響く。
「ハットマンさんはどうしたの?」
「オーディオコメンタリーに乞うご期待」
 解説役交番の珍事である。
「むしろそここそがボクらの位置じゃないの!?」
「イリスが怪我で戦えないからね。こうでもしないと暇で暇で……つい出店でも開いてしまいそうなのだよ」
「それでいいじゃん!?」
「自分で言うのもなんだが、折角のトップアイドルが隅に行くのは勿体無いと思うのだよ」
 そんな賑やかしをきいているのはクルシェ。 
 その控室にいる遊夜はひたすらにクルシェの戦闘想定につきあっていた。
「よ、久しぶり。客寄せに呼ばれたんだって?お疲れさんだ」
 そう唐突に楽屋に顔をみせられたときは唖然として頭撫でられても呆けていた。
「余裕があるんだな?」
 そうクルシェは戦術ノートを閉じると遊夜に告げる。
「そうでもないさ」
――……ん、人気者は……辛いねぇ。
 そうユフォアリーヤが告げる。
「一戦したり肩並べて戦ったりしたかったが……本気で行かなきゃならない相手だからな」
「……ん、終わったら……余力なくなってそう、だからね」
「ま、全力でやるから応援してくれると嬉しい」
 その言葉に頷くクルシェ。
「……ん、ちゃんと見てて……ね?」
 そして遊夜が楽屋を離れるとちょうど一回戦が始まるところだった。
「では第一回リンカーバトル、刮目したまえ」
 アイリスが告げると闘技場左右のゲートが開く。
「西側から登場するのは『風神の加護』白金 茶々子」
 アイリスが告げると会場が沸き立った。
「東側から出てきたのは『おもちも…………』蒼天をその翼に宿した戦士。雨宮 葵さんです」
『雨宮 葵(aa4783)』と『白金 茶々子(aa5194)』はステージの端から武装を整え開始のゴングを待っている。
 その間にイリスとアイリスが普段の彼女たちの戦闘スタイルを説明した。
 茶々子は刀を握り深呼吸する。
 今回は茶々子から願いいれる形で実践型の訓練ということにしてもらった。
 葵も熟練のリンカーであるが。そのリンカー相手にどれくらい立ち回れるか。
 自分の技が通用するのか。知りたかったのだ。
(雨宮お姉ちゃんはドレッドノート)
 であればスキルが比較的効きやすい、そう予測した。
 先制で『縫止』そして。
(刀でペチペチしてからモフちゃんと一緒に逃げる!)
 そう決意した。
 隠れられるところを縫い止めの効果が切れるまでに探しそして潜伏、奇襲。
 それを繰り返す。
「いきます」
 直後開始のゴングが鳴った。
 弾丸のように葵は走り出す。
「コーチかぁ。どうしたらいいかなー」
 葵が頭を悩ませながら走る。
 ステージは密林ステージ。
 見通しが悪く走りづらい。地に落ちたときには少し不利か。
――ん。私が、葵にやるように?
 そう悪戯っぽく告げた『燐(aa4783hero001)』
「それは駄目!! 強くなるか死ぬかの二択じゃん!」
――効率的なのに…………。
 その声に引き寄せられるように物音がこちらにかけてくる。
「密林なら隠れやすいと思って密林にしたんだろうけど……」
 この草で足音がしないようにするのは難しいし
「……茶々子ちゃん足音たてたら見えなくてもバレバレだよー」
 そして初撃。木の上からの奇襲。
 真っ向から走り寄るのではなくいったん木の上に上ったのだ。
 相手の裏をかこうという気持ちは有るらしい。
 しかし、その程度では葵から一本取ることはできない。
 今回は二人の希望でルールに変更が加えられていた。
 葵が茶々子を捕まえたら葵の勝ち。
 茶々子が一発でも葵に入れられれば茶々子ちゃんの勝ちというルール。
「私は茶々子ちゃんの優しいとこ大事にしたいと思ってるんだよ」
 葵は空中で刃越しに茶々子の体重を受け止めつつ、そう告げた。
「皆が荒んでいく戦場で変わらずに居てくれる彼女の強さをさ」
――でも、このままじゃ…………戦場で生き残れない。
 無情に告げる燐。
「敵を倒す術じゃなく、戦場から生きて帰ってくる術を学んでもらおうか」
 葵が茶々子を弾くと、茶々子は森の中へ。
 追う葵。その動きに合わせて茶々子はジェミニストライクで反撃してきた。
 それを葵は鞘つきの刃で応戦する。
「刀の握りが甘いよ」
 告げると葵は茶々子の武装をからめ捕るようにはじく。地面に転がった刃を茶々子はあわてて拾った。
「こう持って、振り方はこう、かな」
 滑らず、力の込めやすい握り方を実践して見せる。
「じゃあ一発狙ってどうぞ?」
「うう、優しさはありがたいのですが」
 茶々子は踵を返す。
「真っ向勝負はごめんです!」
 小柄を生かしてスルスルと密林を駆け抜けていく葵である。
「じゃあお姉さん捕まえにいくから全力で逃げてね!」
 そう爪を立てるようなジェスチャーをして追い立てる葵。
 茶々子はその間に木のうろへと隠れることに成功した。
 茶々子は冷静に状況を分析する。
 葵の攻撃を受ければ甚大な被害となるだろう。ただ、あちらは積極的に攻撃してくるつもりはないようだ。
 追いかけてくるが防戦。
 これは彼女からの挑戦状だろう。
 縫止は今のところはじかれてしまっている。
 であれば。そう茶々子は耳を澄ませる、近くにいる。
 葵がこちらを探している。
 うろの隙間から外を覗く、葵の背が見えた。
 その葵の注意が、森の奥にずれた時茶々子は拳を構えた。
「ロケットパーンチ」
 放たれた拳は葵の肩に命中。
 体勢を崩した。
 そして、木から滑り降りてのジェミニストライク。
 葵の懐に刃を押し当てる茶々子。それは模擬刀で、斬れるものではないのだが、茶々子はその刃を振りぬけない。
「模擬戦でもインコのお姉ちゃんを切るのは無理です」
 そうへなへなと座り込んだ茶々子の頭を撫でる。葵。
「お見事。それにそう言う優しいところは茶々子ちゃんのいいところだよ」
 告げると葵は茶々子を抱きしめるのであった。


第二章 強さのひけつ

 続いての対戦カードは双槍のゲロニカそして『エスト レミプリク(aa5116)』
 ゲロニカについてもイリスはあったことがあった。
「と言っても遠目から見ていただけなので、どんな戦いをするのかはちょっと気になりますね」
「確かめたい事があるんだ」
 そう闘技場の石壁を撫でて告げるエスト。
――……へぇ?
 そう『シーエ テルミドール(aa5116hero001)』は首をかしげた。
 エージェント登録当初はがむしゃらに突き進んでいたエストが、ある依頼から変化をみせている。
 それにシーエは気付いていた。
 エスト自身も。
 ただエスト自身はこの変化が『成長』なのか『停滞』なのか判断できずにいた。
 だから今日は。
「胸を借りさせてもらいますゲロニカさん」
 告げるとゲロニカは長槍の切っ先をエストに向けた。
「武器はどうするつもり?」
 そう、いまだにAGWを取り出していないエストにゲロニカは問いかける。
「近接武器のみで戦いませんか?」
「ボクは構わないけど? でも全力じゃなくても勝てると思われてるみたいで面白くはないな」
 その言葉にエストは首をかしげた。
「あ、あれ……怒ってる?」
――あのねエスト、それ聞き方によっては「そっちの土俵で戦ってやるよ」って聞こえないかしらぁ?
 シーエがため息をついた。
「あ」
 直後ゴングが鳴りゲロニカは駆けてくる。
――すごい勢いで向かってくるわよぉ?
「ま、まあ結果オーライってことで……勝負だ! ゲロニカさん!」
 引き抜いた影殺剣でゲロニカの短槍をうけてそらす。
 轟音と火花が二人の本気具合を示していた。
「片方を防いでもこの槍からはにげられない……よ?」
 そう可愛くウインクするとゲロニカは長槍を薙ぐ。
 だがそれをエストはバックステップして回避、素早く側面に回り込む。
「はやい」
 イリスが驚きの声をあげた。
 それもそのはず。エストは今回装備を1対1用に突き詰めている。
 今までで一番の機動型装備で、機動力は1.5倍近い。
 一撃離脱戦術を極めてきた。
「く」
 あわてて振り返り、槍を投擲。
 エストはあわてて急ブレーキを踏むも直後反転。ゲロニカに切りかかる。
 ゲロニカはその衝撃をそらすように槍の柄で回避。
 おかげでそのままエストは駆け抜けるようにまた距離をとることができた。
 反転。
 ゲロニカの飛びかかっての刺突を剣の腹でそらし。
 懐に潜り込んで刃の柄でゲロニカの腹部を殴打。
 そのまま距離をとる。
「いける」
「くそ、お前……」
 ぎらつく瞳のゲロニカ。スカートを翻してヒールで地面を突き刺す。
 そのまま投槍の構えに入るが、ゲロニカの周囲に同じ槍が無数に展開されていく。
 面射撃。
「近接戦闘だけって言ったのに」
「お題は近接武器でしょ?」
 あっけらかんと告げるゲロニカ。その笑顔はしっかり可愛かった。
「ならルールにはのっとってるよね」
 雨あられと降り注ぐ槍。
 それを避けながら、体をかすめながら。
 時にははじいてダメージを最小限に抑える。
 そのエストの視界の下の方。姿勢を低くしながらゲロニカが突っ込んだ。
 ここは引くか。それとも……。
「ここはひかない!」
 エストはその刺突を受ける。脇腹を刃がかすめるが痛みに耐えてその柄を腕で挟むように固定。
 ロストモーメント。
 自身の上空に無数の剣が召喚される。
 それが降り注いだ。
「がは」
 ぼろぼろになりながらエストは離脱。
 そのまま距離をとって様子を見る。
 すると立ち込める砂埃の向こうから投げられる槍。
 それを弾くと空中で回転するそれを手に取ってゲロニカは追撃。
「それは読めてる」
 エストは切り上げるように槍を打った。弾かれたゲロニカは吹き飛ばされるように後退。
「見える」
 そうエストはつぶやいた。
 動きになれてきた頃、自分の変化が明確に気づけてきたのだ。
 戦闘中でも冷静に思考が出来、視野が広がっていく感覚。
――それはゆとりよ。
 告げたのはシーエ。
「ゆとり?」
――あなたは強くなっているわぁ、しかもその強さはある領域にまで到達しないと得られないものよぉ。
 告げるとゲロニカが飛び込んできた。
 その攻撃の派生形は三パターン。全部わかる、全部に対処可能だ。
――だから、安心して進みましょう?
「……そうだね」
 エストは二槍による刺突を半歩下がって回避。クロスした槍の交差点でエストを鋏。壁まで押し付けようとするゲロニカ。
「……最後に大技を試してみようか!」
 告げるとエストは両足をふんばる。そのまま剣を叩きつけると、前のめりに倒れたゲロニカの肩を踏むように跳躍。
 背後に降り立つと反転してもう加速。
 これが全身全霊の一撃。
「イノセンスブレイド……全ての力を僕にかして」
 そのまま背後から全身全霊の斬撃を。
 その斬撃は見事ゲロニカを捕え。あまりの勢いにゲロニカは地面を転がった。
「まけたね」
 そうゲロニカはいつもの穏やかな口調を取り戻すとそのままの姿勢でエストを見あげた。
「あの、パンツが見えてるよ」
 そう視線をそらしながら手を差し出すエスト。
「ボク、男だから気にしなくていいよ」
 告げるとゲロニカはその手を取った。
「おめでとう。君の勝利だ」
 告げるゲロニカにエストは微笑み返す。
「ありがとう」
 それはシーエが久しぶりに見る子供らしい笑みだった。

   *   *

 第三回戦控室。
「ああ、楽しみですじゃ。楽しみですじゃ」
『天城 初春(aa5268)』は刀を片手に妖艶な笑みを浮かべている。
 そんな初春を眺めて『辰宮 稲荷姫(aa5268hero002)』はぽつりと告げた。
「お初よ、楽しみなのはわかるが、少し抑えよ。正直少しドン引きじゃぞ?」
 その言葉に涼やかな笑みを返すと初春は立ち上がる。
「ふふふ、このやる気は止められぬ、さぁいざ出陣」
 もはや殺る気をたぎらせて獲物を担ぐ初春は光のさす闘技場へと歩みを進めた。
 展開されるのは密林。
 そしてゴングが鳴ると同時に二人ともかけた。
『畳 木枯丸(aa5545)』は木々の間を撥ねるように移動している。
「お春ちゃんとずっと闘いたかったんだぁ〜。お春ちゃんとの剣客勝負が楽しみで仕方ないよぉ」
 そうにやついた笑みを浮かべるのは畳も同じ。
 対して初春はジャングルランナーを装備、木の上に駈けあがると潜伏を使用。装備を通常の物に戻して息をひそめる。
 耳を澄ませば森を騒がす殺気の塊を感じられる。
「やぁやぁやぁ〜我こそは千刃山狸の木枯丸なりぃ〜。いざ尋常にぃ〜……」
 それどころか名乗りすらあげている始末。
 それを狙って初春は飛んだ。
 らんらんと輝く眼で畳の背中を捕えて抜身の刃で襲う。
 必殺の一太刀、それを振り返ることもなく畳は受けてしまう。
「……わぁ〜もう来たぁ〜」
 しかし畳は表情を痛みで曇らせることなく反転。
 続くジェミニストライクは刀で受ける。
「さぁ、畳殿! 今日は存分に死合うでござるよ!」
 刃を交差させる二人の斬撃は傍から見るとまるで舞を踊るように鮮やか。
「刀と刀のぶつかり合うこの響き、実に心地よい音色じゃ、テンション上げていかせていただくでござる!」
 その中でも二人は冷静さを崩さない。
「ところで菜葱さん、勝率おしえてぇ〜?」
『菜葱(aa5545hero001)』が反射的に答える。
――9対1じゃな。ちなみにお主が1じゃ。
「へぇ、面白いね」
 畳は自分の血で足を滑らせながらもバックステップ。
 茂みの向こうに隠れた。
 それを追う初春。
 木の葉や地面についた血を頼りに畳の捜索を続けるが、その転々と続く痕が途切れていることに気が付く。
「ということは、木のうえ……」
 そう、その予想は正しい。だが一手遅い予測だった。
 初春は点々と続く血の跡のきれた場所で空を見上げてしまったがそこではない。
 畳は自分の傷口から血を採取。それを投げることで潜伏する位置を誤認させた。
 次に背後をとったのは畳だった。
 さらに畳はカオティックブレイドである。
 複製した無数の武器がまず逃げ道をふさぐようにはなたれ。そして前段が初春に命中した。
 その距離を保つように容赦なく畳は刀の雨を降り注がせていく。
 剣山の様なオブジェクトが密林の中に構成されれると畳は薄く笑って告げる。
「あれぇ〜スキルなくなっちゃった〜じゃあこれだねぇ。じゃじゃ〜ん悪滅ぅ〜」
 投げ捨てるとそれは血の様な真紅となって広がり、その血が再び刃の形をとる。
 その時である。
 背後から初春が迫った、いつの間にあの鉄の雨を抜けていたのだろう。
 驚く畳だったがそうでないと、と思い直す。
 刃をぶつけ合い、畳は地面に降りる。
「でも普通にやってお春ちゃんと勝てるわけない〜お春ちゃん強い〜勝てない〜やだ〜……」
――しっかりせい坊、お春ちゃんにかっこいいトコ見せるんじゃろがいっ!!
「…………! うん〜!」
 その言葉に頷くと。畳は反転。
 そして木々の上を移動する初春を撃ち落とすようにストームエッジ。
 陸に降りた初春へ真っ直ぐ突っ込んで刃を交差させる。
 すると。
 お互いの体から血が噴き出した。
「やっぱり、つよいねぇ」
 倒れたのは畳。出血量の差だった。
 その後仲良く医務室に運ばれた二人は、初春の言うことを畳が聞くという罰ゲームを消化する。
 罰ゲームの細かい内容と。それが後日どのようになされたかは、また別のお話し。


第三章 トップ

「さて、対戦カードもだいぶ消化されてきたけれど。次の試合は誰と誰かね」
 そうアイリスが解説席でオレンジジュースに口をつけるとイリスが手元の票をさかさかめくりながら選手のデータを探す。
「あったよ、お姉ちゃん、次はこの人たちの戦い」
「ああ、すさまじいカードだね、これは見ものだ」
 アイリスはその選手の名を高らかに読み上げる。
「どちらもトップリンカーの試合だ。シャドウルーカーの迫間 央、そしてジャックポットの麻生 遊夜」
 会場が湧く、その歓声を受けながら『迫間 央(aa1445)』と『マイヤ サーア(aa1445hero001)』は戦場に姿を現した。
「……彼等の技量はH.O.P.E.で並び立つ者の居ないレベル。私達でもアレを凌ぎ切るのは恐らく不可能」
「あの人が居たから限界など振り切ってこれた……その恩返しだ。今日、2人であの人に勝とう」
 後進リンカーに見せられるものはキットあるはず。
 そう刃をとって、戦場の対岸で佇む遊夜をまっすぐ見据える。
 戦場はいわば。足元から切り立った崖がズズズと起き上がっていく。
「俺のようなリンカーは稀だろうが我が矜持を全力で披露しよう」
『麻生 遊夜(aa0452)』が告げると会場が沸き立った。
 最高峰の回避、最高峰の命中。さぁどちらが上か。
「ようやく実現した一戦だ、無様な戦いは見せられん!」
 選手はかたずをのんで見守る。
 そんな中ゴングが響き渡る。
「『さぁ、狩りの始まりだ……!』」
『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』と声を合わせると遊夜はそのリーチを生かして狙撃を始める。
 ただこの距離まともにあたるわけが無い。
 そう央は高所を選び岩場を登っていく。
「相手は対面端、今の内に射線を確保だ」
――……ん、相手はルーカー……移動と索敵は、相手が上。
 遊夜は牽制射撃を行いながら高所をとる。
「遮蔽物が少ない分、高低差を利用して射線を切ってくる筈……」
――……ん、見つけれなければ不利……見つけたら有利、ドキドキだね。
 そう遊夜は空をいったん確認、すぐに周辺を警戒しながら狙撃ポイントを変えに走った。
 それを見て央は高所をとるのが無理だと判断岩場に姿をかくし体制を立て直す。
――あの狙いから逃れるのは不可能……小細工で接敵を遅らせる位なら最短距離で。
 告げたのはマイア。それに頷いて央はその手の刃に力を込める。
 叢雲の雲状オーラで自身の精密座標を幻惑。
 だが側面に回ってきた遊夜に発見され穴倉から追い立てられる。央はそれを好機に岩場を駆け上がる。
 機動力を殺されぬよう低姿勢で足を狙われぬよう走り。最短距離で間合いを詰め遊夜に迫る。
 一旦高所に上がってしまえばテレポートショットやダンシングバレットは使いにくくなる。
 銃弾は所詮二次元の攻撃、一直線に放たれる弾丸の弾道さえ捕えてしまえば回避は容易。
 そして距離を詰めればこちらが勝てる。
 そう央は判断し。回避は最小限にとどめた。
「回避型は脚を潰すに限る」
――……ん、自分に都合よく……相手の嫌がることをする、戦いの基本。
 かすめた弾丸で血が噴き出すが構わない。
「来るか」
 遊夜が後退しながら銃を撃つ。引き打ちというやつである。
 その逃げの姿勢に入った状態で央は繚乱。影が華とちり、黒い花弁があたりを包む。
 だがそれも遊夜は承知の上。
 むしろ下。高所という優位を捨て去って落下することで敵を誘う。
 遮蔽物が多ければ央が有利、しかし。空中にいる敵を央は攻撃できない。
「く……」
 央はそのギャンブルに乗ることを決める。
 追撃とばかりに側面を走って遊夜を追う。
 そして放たれたのはダンシングバレット。弾丸に込められたベアリング弾が空中でさく裂し、鋼の檻となって央に襲い掛かる。
「く……」
 その攻撃を完全に回避せず最小限のダメージを負うことで機動力への影響を減らす。
 擦り傷だらけだが、逆に言うと擦り傷しか追ってない。
「多少の被弾は覚悟の上!」
――素戔嗚尊には奇稲田姫の加護ぞ在り……央は私が守る。
「さすがだな。だったらこれはどうだ」
 放ったテレポートショットが横っ面に央の顔面にぶち当たる。
 だがそれは分身。
 ジェミニストライクのもう片方、央の本隊が空中の遊夜を狙うが、銃をたてに回避。遊夜は銃をとりこぼすとともに地面に体を強く打ちつける。
――そう……貴方達ならこの動きにも対処してくる。その目の良さが狙い。
 素早く央は岩場に身を隠すと視界から迫りザ・キラー。
 首を刈ろうと腕を伸ばす。
 その時だ。
 遊夜が跳ね起きる。その手に武器はない、しかし視線は央に注がれていて。
 央の腕にレーザーが放たれる、ビームコンタクトレンズだ。
「サニーサイドアップ、ってな」
――……ん、最終兵器……ただじゃ、負けない……よ?
 だが反射能力は央が上。
 遊夜の狙いに気が付いたと同時にその手の苦無を放っていた。
 遊夜の太ももにそれは突き刺さり、転がる遊夜。
 同時に体勢を崩して転がる央。
 転がるように遊夜は落ちた愛銃を掬い取り。構える。
 だくだくと流れる血を見ないふりをして。地面に転がる央を見た。
「いや、降参しよう」
 央がそう手をあげる、この距離では逃げる前にハチの巣にされてしまう。
 死ぬ気で行けば遊夜の首も取れないことはないだろう。
 だが、それは玉砕を意味する。
「あと一手だったな」
 央の言葉に頷くと遊夜は共鳴を解いた。駆けつけた救護班に担架に乗せられ。ユフォアリーヤが足の止血をする。
 振り返ると夫妻は言った。
「「次も勝つ」」
 その姿を見送り央はその場にへたり込む。
「……終わったか」
 そんな央を見下ろしてマイアは告げた。
「これからも……私は、貴方と共に在る」


第四章 エキシビジョン

 試合も後半戦に差し掛かったところ、トーナメントとは関係のないエキシビジョンが行われる。
 チーム戦は派手なこともあり、会場も盛り上がっている。
 特に目を引くのは中央に陣取って敵チームの意識をひきつけ続けている蕾菜。
 蕾菜は持ち前の防御力を生かして央の攻撃をさばいていた。
 その背後から恭也が隙あらば央に一撃加えようとするも。央は素早い身のこなしで捕えさせない。
 かといって恭也に手を出そうとすると蕾菜が前に出て庇う。
 それを妨害するのが『藤岡 桜(aa4608)』と『鴉守 暁(aa0306)』の役目。
 二人はこの後の対戦相手であるが央とチームを組んでの連携をみせる。
 暁は央の動きを制限するように射撃。
 またテレポートショットで恭也を牽制分断しようと動いた。
 桜がその隙に央に奇襲。背後からの大鎌で斬撃。多少の攻撃を受けても自分で回復できる。
 距離が離れれば暁の射撃に合わせて弓で応戦。
 徐々に追い詰めていく。
 その遠隔射撃を担当する暁を葵が襲った。
 最初は蕾菜の相手をしていたが路線を変更したようである。
「正面からパワーでぶつかるのも、ロマンたっぷりでテンション上がるね!」
 至近距離からの銃撃を避けながら暁へと圧迫をかける。
 そんなこともあろうかと暁は干将莫邪に装備を変更。剣で受け止めつつ暁は確保していた逃走経路で逃げの一手。体勢を立て直した。
 負担が減った蕾菜は一気に攻勢に出る。
 薙ぐような央の一撃にたいして懐に入って攻撃を受け止める。
 至近距離からの幻影蝶、目くらましにしかならないが、驚かせるには十分だ。
 そのままブルームフレアで王の動きを止めると桜へ支配者の言葉。
 共鳴解除の命令は弾かれてしまったが自身に注意をひきつけることはできた。
 戦場において単独で敵に立ち向かうことはない。
 そのためのチーム戦はリンカーたちに大きな気づきを与えたようだ。

    *    *

 その試合が終われば休憩をはさんだうえで暁と桜の試合が行われる。
 異端なヒーラー桜。
 桜は自分の力がどこまで通じるのか見定めに来た。
――皆さん、今日はよろしくお願いしますね」
『ミルノ(aa4608hero001)』が告げると桜は頭を下げる。
「……ん……お手柔らか……よろしく……」
 それに応じるのは暁。
「他のリンカーに比べると実の所、そーんなに強くないんだよね私らー」
――的に当てるのダケは一人前デスネー。
 そう『キャス・ライジングサン(aa0306hero001)』が気軽に告げた。
 先ず動いたのは桜。
 その手に握る大鎌を振りかぶって跳躍、暁まで一気に距離を詰める。
 しかしフィールドが形成。
 場所は密林。
 障害物が多く彼女を見失ってしまう。
「どこに」
 がさがさと草木をかき分ける音ばかりが響く。
 それを頼りに桜は敵を追った。 
 弓を装備。
 リジェネをかけて敵を探す。
 その背後から暁が奇襲した。
 サイトの向こうに桜を捕え二発。
 逃げる桜を追って木の上を移動した。
 だが、距離を詰め過ぎた。
 やや開けた地点に出ると桜はジェットブーツで逆に木の上の暁に突貫してきたのだ。
 その突撃をかわして暁は距離をとる。
 暁は自分に言い聞かせた。
 逃走は恥ではない。これは最終的に勝つ為の行動。戦力差見極めろ。敵を観察しろ。そもジャックポットが真正面から戦うわけがないだろー。
 しかし体制の立て直しの時間を与えると今度は桜が有利である。
 スキルによって自身を回復、また暁を追う。
「今度こそは……」
 告げると大鎌で木を切り倒しながら進んだ。遮蔽物を減らす構えだ。
 戦闘意欲たくましいヒーラーである。
 それもそのはず。
 ソロであれば自身のようなバーサークヒーラーもありなんだと思ってもらえるような立ち回りを心がけているのだ。
 その足を森の中から狙う人物がいる。 
 暁だ。
 しかし矢が当たっても桜はものともせずに走り寄ってくる。
 一進一退の攻防が続く戦いだった。


     *    *
 トーナメント予選。最後の試合のカードはこれまた意外な組み合わせだった。
『御神 恭也(aa0127)』は対戦相手を見て微笑む
「良い修練になりそうだ」
「恭也もだけど、みんな新人さん達のためって覚えてるのかな?」
『伊邪那美(aa0127hero001)』が首をかしげた。
 対戦相手は三船春香。
 ピアノ線を武器として使う範囲攻撃重視型のカオティックブレイドだ。
 戦場闘技場。遮るものなど無い戦場。
「春香さんの武装はピアノ線だけど、あれって強いの?」
 イリスがアイリスに問いかける。
「どうやらあのピアノ線を媒体に音で攻撃するみたいだ。攻撃範囲がとんでもなく広い代わりにカオティックブレイド特有の凡化が顕著のようだよ」
「つまり?」
「両攻撃力がまんべんなくなって突破力が無い」
 そう解説の仕事をこなすアイリスである。
「にしてもお姉ちゃん、今日はよくしゃべるね」
 告げるとアイリスは笑った。
「これは建前上は新人の教材用なのだし」
 そしてイリスに告げる。
「ついでに重体中でも意識や感覚、集中力を鈍らせないための訓練だよ。
 安心したまえ、戦術的な狙いなどの細かい部分は私が受け持とう。そのための解説だよ」
 そしてイリスに微笑みかけた。
「イリスはただ思ったままを言葉にすればいい」
 その言葉にイリスが頷くとさっそくこう告げる。
「春香さんから動いたみたいだよ」
「病み上がりの試運転だけど、よろしく!」
「舐められたものだな」
 春香はダガーを投擲すると、恭也にはじかせた。追撃で拳を伸ばして一撃加える、それを恭也は空いた手で受けて、掴み。ひねって落そうとするが。そこで動きが止まる。
 恭也の腕にピアノ線が絡みついてうっすらと血が浮かんでる。
「つかまえた」
 告げると春香は腕についているワイヤー付きガントレットを撫でた。
 減のようにはじかれると音が増幅されて恭也にダメージを与える。
「ガデンツァの攻撃技術を応用しているそうだね」
 アイリスが告げると春香は距離を取り。
 さらにワイヤーを引っ張ったり緩ませたりして恭也をがんじがらめにする。
 だが。
「確かに凶悪だ。だが仕留めきるまでにこれほど時間をかけていては……」
 告げると恭也は器用に手首の動きだけで刃を回転ワイヤーを一本きり。それを地面にうまく突き刺して。体をこするように別のワイヤーも切った。
 張り詰めていたおかげで斬りやすかった。
「だったら」
 距離を放そうとした春香を追って。斬撃。
 一気呵成に攻め込む。
 腕のモジュールを狙って剣の腹で叩くと機能が封じられた。
「武装に頼り過ぎだな」
 告げると恭也は喉元に刃を突きつける。
 勝負ありだった。

 エピローグ
 
 予選は無事つつがなく終了した。
 ベスト8となったメンバーは明日からまた戦っていく予定だが。
 その中にクルシェは含まれていなかった。
「お疲れ様だな」
 そうクルシェを慰める遊夜。
「くやしい、なんでまけたんだろ」
「……おれがおもうに、火力特化の鈍器持ちだし~」
――……ん、あそこは~。
 そう遊夜の持ち寄ったお菓子を食べながら反省会をするのだった。


結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783

重体一覧

参加者

  • ひとひらの想い
    零月 蕾菜aa0058
    人間|18才|女性|防御
  • 堕落せし者
    十三月 風架aa0058hero001
    英雄|19才|?|ソフィ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • ようへいだもの
    鴉守 暁aa0306
    人間|14才|女性|命中
  • 無音の撹乱者
    キャス・ライジングサンaa0306hero001
    英雄|20才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 薄紅色の想いを携え
    藤岡 桜aa4608
    人間|13才|女性|生命
  • あなたと結ぶ未来を願う
    ミルノaa4608hero001
    英雄|20才|女性|バト
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 広い空へと羽ばたいて
    aa4783hero001
    英雄|16才|女性|ドレ
  • 決意を胸に
    エスト レミプリクaa5116
    人間|14才|男性|回避
  • 『星』を追う者
    シーエ テルミドールaa5116hero001
    英雄|15才|女性|カオ
  • 希望の守り人
    白金 茶々子aa5194
    人間|8才|女性|生命
  • エージェント
    モフaa5194hero002
    英雄|6才|女性|シャド
  • 鎮魂の巫女
    天城 初春aa5268
    獣人|6才|女性|回避
  • 天より降り立つ龍狐
    辰宮 稲荷姫aa5268hero002
    英雄|9才|女性|シャド
  • 闇を暴く
    畳 木枯丸aa5545
    獣人|6才|男性|攻撃
  • 狐の騙りを見届けて
    菜葱aa5545hero001
    英雄|13才|女性|カオ
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