本部

広告塔の少女~ハック、奴を見つけ出せ~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
7人 / 4~10人
英雄
6人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2018/05/13 17:53

掲示板

オープニング

● 侵入された!
 遙華はスーパー機械に強いウーマンである。最初の内はハードの方が好きだったが今ではプログラムもできるようになっている。
 そんな遙華はたまにグロリア社のセキュリティなんかを見て遊んでいることがあるのだが。
「ああ、この文字配列さすがね、美しいわ」
 そんな遙華のひとみに、メガネに、毒々しい色の文字が映し出されることになる。
 warning!!
 侵入者である。
「グロリア社のサーバーに不正アクセス! どんな命知らずよ」
 グロリア社は扱っている物が物だけに世界最高レベルのセキュリティを誇る。並のハッカーではwarningの文字が表示される前にはじき出されるか、身元を探知されてとっ捕まってしまうだろう。
 だがこのハッカーはその数々の先例に流されることなく、グロリア社のシステムにアクセスしてきた。
「そんな、防壁が突破されてる。この速度、まずい」
 グロリア社のシステム階層は24層。対抗プログラムは56。常時システム警備員が三人存在し、その誰もが凄腕。
 なのにもかかわらずwarningと表示されてから五分で第一層が突破された。グロリア社のデータが不正に閲覧されている。
「15階層以下はまずい……2層目も突破? 人間じゃないみたい……まさかこれ?」
 遙華は素早くアルスマギカにアクセス。
「何か知ってることはない?」
 尋ねるとアルスマギカはすぐに答えを出す。
 そう、この襲撃は従魔由来のものである、と。

● すごいぞアルスマギ化

 今回グロリア社がハッキングされている問題に関して、リンカーの出動が必要となってきたのでお知らせします。
 今回もまた、プログラムという電子世界に張られたドロップゾーンのようで、皆さんには、ここにダイブしていただき、ウイルス従魔の駆逐をお願いしたいと思います。
 皆さんはアルスマギカのサポートによってステータスそのままの防衛システム『アイス』として動くことができます。
 さらにアイスにはタイプによってボーナスが有るので選択してください。
 アイスはいわば皆さんの分身で、この世界での死は、この任務中の記憶の破壊を意味します。重体にもならず肉体ダメージも受けませんが、生命力が0になればあなたの分身は死亡します。

 では今回のみなさんの任務目的をまず説明しましょう。

Aグロリア社内、研究室棟階層データ。
Bグロリア社研究資料ABBFGTRPEEA(宇宙関連)
Cハッキング地点の探知(ハッカー探知妨害クラスター)
Dグロリア社計画情報のクラッキング
E遙華の秘密写真
FエリザAIのハッキング

 この仕事それぞれを担当してる、クラスターという従魔が存在し、この従魔を倒す。もしくは逆ハッキングを行うと目標達成することができます。

 遙華のお言葉。
「うう、たしかに、確かに優先度は低いけど、ロクトがいってたのよ『ゴメーン遙華、あのフォルダ、あなたの部屋を隠しどったのもはいってる』って、うう、下着写真とか流出したら生きていけない。うう」

● タイプ別ボーナス

1 ブラックアイス
 攻撃的なアイスです。あなたはクラスターに攻撃する時、攻撃力を1.2倍で算出。スキルを使用した場合さらに0.2攻撃倍率が増加します。

2 カウンターアイス
 自身の生命力が一度に5以上減ったタイミングで、任意の対象に生命力10点の固定ダメージを与えます。これは自身の周囲50SQにいる対象にのみ効果があり、味方の攻撃でも作用します。
 
3 ハッキングアイス
 リビルドアイスはクラスターの生命力を20削るか、もしくはウイルスを撃破するたびに、周囲にログと呼ばれる従魔を生成します。
 正しくは敵のデータを利用して、敵の情報を引き出す窓口にしているのですが、詳しいことはアルスマギカに聞いてください。
 さらにハッキングアイスのみクラスターを戦闘以外の方法で無力化できます。
 それが逆ハッキングなのですが。
 クラスターの周囲1SQ内にいる時に手番を消費して行えます。
 特殊抵抗を用いて判定し成功すると、ハッキング度が10~20上がります。100になれば成功です。
 このハッキングは相手の特殊抵抗より数値が5多い場合からハッキング度が10を超えはじめ10高い場合20になります。

4 サーバー
 これのみアイスではありませんが、一応選択できるタイプです。
 アイスは防壁の意味を持ちますが、サーバーはデータを管理する図書館の様なものです。
 サーバーはそのラウンド攻撃を受けていない限り永続的に自身周囲25SQ内の中のステータスを1.2倍(各アイスのボーナスと乗算)にし、さらに今回参加しているリンカー誰かのスキルをコピー、一度だけ誰かに使わせる権利を自分の行動終了時に得ます。
 戦術の要となれるでしょう。

●敵について。
 ちなみに今回の従魔は、皆さんの負傷の危険が無い反面、べらぼうに強いです。
 なので、目的を絞り込んで何を優先的に行うかを決めた方がいいでしょう。
 敵の種類は三種類。

1 クラスター
 データをハッキング、クラッキングする従魔です。ケントゥリオ級の実力があり、ステータスに優れます。ただ、ステータスにはかなりバリエーションがあり。
 長い腕が付いた、回せる方のコマみたいな形をしていて、ポリゴンチックです。
 ステータスはまばらです。魔法防御が高いかと思えば、回避力が低かったり。攻撃力が全然なかったり、命中力が優れていたり。
 まともに倒そうと思うなら、リンカー八人は必要でしょう。
 ただし特殊な能力はなく。3SQの範囲攻撃ができる腕で殴るか。ウイルス従魔を3体生成し投げつけてくることしかできません。
 投げつけは射程5~25SQで着弾点にウイルス従魔を生みます、これを3回行います。 
 特殊抵抗は10~20程度のようです。
 
 
2 ウイルス
 ウイルス従魔はシステムの防壁を食い破る従魔です、攻撃手段はとりつくことしかなく、取りつかれると手番終了時に2生命点を失います。
 生命力が10固定で、防御力は200から300程度しかないのでレベルが十分なら倒せるでしょう。

3 ログ
 常にクラスターの周囲を徘徊していて、作業状況をアナウンスしてくれます。
 片手で持てるタブレット型の従魔で羽が生えていて、飛びます。
 このログのみ、リンカーの能力で生み出される、敵だけどお助け従魔でして。
 敵の次の攻撃を予測してくれたり。あと何ラウンドで作業が完了するか教えてくれます。
 そしてクラスターのステータスも分かります。
 さらにログは優先的にウイルスをひきつけ、ウイルスと接触すると自爆しますので注意してください。

解説

目標 なるべくハッキングを止める。



● 戦闘フロアについて

 今回は500SQ×500SQの広大な戦場で戦っていただきます。
 ここに初期配置でウイルス従魔が50同感覚で配置。
 A~Fの六体のクラスターが。30SQ×30SQ。の等間隔で戦場中央に配置されています。


□□□A□□□B□□□C□□□
□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□
□□□C□□□D□□□E□□□
       □
       □
       □
       F

 こんな感じです。

リプレイ

プロローグ

 
「グロリア社にハッキングが……?私達に止めろ、と?」
 会議室で『月鏡 由利菜(aa0873)』は目を白黒させながら遙華の言葉に問いを返した。『リーヴスラシル(aa0873hero001)』がそんな由利菜に告げる。
「……従魔のウィルス技術も日進月歩か……。例え世界最高のセキュリティだろうと、油断すれば一瞬で陥落する」
 現在グロリア社のサーバーは襲撃を受けているという。内部からの犯行の可能性が高いということだが、ハッキングを行っている物の特定は未だできていない。
「グロリア社にハッキングだって」
 そう『餅 望月(aa0843)』は『百薬(aa0843hero001)』と顔を見合わせる。
「グロリア社のお庭でハイキングは楽しそうだよ」
「お花見は前回の話だよ、そこまで直球のボケは珍しいね」
 告げる二人は和やかだが、メンバーはあまり和やかではない。
 エリザという人工知能に対して思い入れがあるメンバーもそうだが、純粋に今回の依頼の難易度故でもある。
 『氷斬 雹(aa0842)』はあたりを見渡して一人ごちる。
「ヤッベー。人手足りてなくネ?」
 だがそうも言ってられないのが現状である。
「また色々と探りを入れて来たもんだな」
 『赤城 龍哉(aa0090)』は告げると『麻生 遊夜(aa0452)』が拳を握りしめた。
「敵も中々やる……だがこれ以上は許さん、お引き取り願おうか」
「……ん、エリザには……指一本、触れさせない……よ?」
 『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』が尻尾を揺らめかせ妖艶な笑みを浮かべると、『ヴァルトラウテ(aa0090hero001)』が言葉を続けた。
「仕掛けて来そうな相手は想像できますが、証拠を掴まない事には追及も出来ませんわね」
「まぁそうだが、関わってる途中の依頼絡みもあるしな。余計な手出しは遠慮願うとしようぜ」
 そう言った龍哉に『桜小路 國光(aa4046)』がパッチを手渡す。
「これで電脳世界内でもお互いの言葉が相互通信されるそうですよ」
 『メテオバイザー(aa4046hero001)』は望月達に使い方をレクチャーしていた。
 今回は敵のハッキングの阻止と、こちらからのハッキング、両方をこなさなくてはならない。
 最優先はF。
 どうすれば一番効率が良いか國光は思案を巡らせる。
 そんな様子をメテオバイザーは眺めていた。
 彼はFのクラスター…………エリザを破壊しようとする愚神を倒しに行くだろうか。
(サクラコは嫌がるでしょうけど……きっと、一緒に会いに行くのです……)
 そう心に誓うメテオバイザーだった。
 遊夜はそんな中、自身をハッキングアイスに指定。
「どれも大事な情報だが優先順位はつけないとな」
「……ん、乙女の危機……優先順位、上げないと」
 Eが気になる様子の麻生夫妻。全員がポットの並んだ部屋に案内されると、戦いまでの秒読みが開始されるのだった。


第一章 電子戦

 開幕の狼煙として爆炎が上がった。地面を塗りつぶすように配置されていたウイルスたちは皆砕かれてバラバラになり、焼け野原の中央を銃を構えた女性が闊歩する。
 その双銃は戦場を舞うウイルス型従魔を打ち抜いていく。
 空薬きょうが雨のようにまい、射手は滑るように移動していく。
 音を聞き、視線を向け、三次元的に敵を把握するとクラスターBに一撃を加えた。
 その攻撃を『構築の魔女(aa0281hero001)』はすんでのところで回避する。目算が甘い。
 ただ投げつけられたのはウイルス従魔でゆっくり立ち上がると構築の魔女に向かって突進してくる。
「制限時間と現状把握は忘れないようにしないといけませんね」
 告げると構築の魔女の脇を龍哉と由利菜が駆けた。
 由利菜はブラックアイスを選択。
――もしリディスが出るなら、ハッキングアイスの方が相性が良いのだろうが……瞬間的に打撃を与えられる手段が少なく見えた。
「サーバーの能力も興味はあったのですけど、相談時間が取れませんでしたからね……」
 告げると由利菜は地面をえぐるように深くフロッティを振るうと、従魔は空中を舞って霧散した。望月の進む道を作る。
 見据えるクラスターはE。
「こうも広いと、剣や槍もなかなか届きませんね……」
 由利菜はそう歯噛みする。
――弓の練習は怠っていないか、ユリナ?
 告げるとリーヴスラシルが一瞬主導権を握る。バックステップと同時に飛び滞空しながら弓を構え。
「腕が鈍っているようなら私に任せよ。射抜け、レインディアボウ!」
 射る。それは空を裂いてEのクラスターに突き刺さると衝撃波が周囲に広がった。
 そう、サイトからその状況を覗くのは遊夜。
「どれも大事な情報だが優先順位はつけないとな」
――……ん、乙女の危機……優先順位、上げないと。
 告げるユフォアリーヤ。
 彼は國光の端る先、クラスターFまでの道のりを切り開いている。
 距離を適度に調節しながら援護射撃、吹き飛んでいくウイルスの残骸を避けながら國光は走った。
 その國光の周囲でウイルスがログに再構成されていく。
 そのログがてちてちと逃げ惑うより早く遊夜はログを掴みとり中身を確認する。
 どのクラスターが一番作業が早く進んでいるのか、阻止は可能なのか。残りの体力は。
 最高効率でクラスターを叩くなら、ログを利用することは必須。
「ウイルスはログに引き付けられる……ならログを生成すればするほどウイルスは他に分散して数を減らす訳だ」
――……ハッキングの、邪魔はさせない……徹底的に、排除する。
 その情報はすぐさま味方に共有される。
 構築の魔女は確認。
 作業の進行速度はFが高いが、アクセスしているデータ量が膨大なのだろう。進行度は一番遅れている。
 それよりEやBの進行度が高い。
 遙華のデータは申し訳ないが重要な情報ではないと判断。
 ただCは物理防御が高い。構築の魔女ではどうにもならないだろう。
 ウイルスの撃破でCLのハッキングの速度が低下する場合仲間と共有し掃討を並行し実施しなければならないと視野に入れる。
「とはいえ、掃討用の準備をして来ましたから攻撃が通らない場合のみですね」
 そして構築の魔女は作業が一番速そうなクラスターBへと攻撃を仕掛ける。
 ついでに一番ステータスが低いのだ。これは倒すしかない。
「ふむ、電子化されるのは久しぶりですが……面白い感覚ですよね」
 そう一人ごちる構築の魔女。
 そんな構築の魔女の上空をウイルスが通過した。目標は雹だ。
 だが雹は身を翻してウイルスをかわした。
 彼が担う役割はサーバー。
 常に後方で控えつつ、味方からは距離を離さない。 
 そんな彼には他のリンカーにない特権がある。一度だけ誰かのスキルを誰かに使わせる能力だ。
 対象は龍哉。
 龍哉は現在、ショットガンで全方向から襲ってくるウイルスを駆除しているところだった。
 余裕ができればクラスターにフリーガーファウストG3で爆撃をくわえる。
 するとクラスターは重たい響きを滲ませて傾き、元に戻る。
 ウイルスをさらに龍哉に投げつけた。
「きりがねぇな」
 直後龍哉の体に湧きあがる力。
「付与されたようですね」
 告げたのは構築の魔女。
「私の力です、お手本をみせましょう」
 構築の魔女はSVL-16に装備を換装。放たれた弾丸は空中で炸裂し、無数の弾丸を周囲にばらまく。
 周囲のウイルスが跡形もなく吹き飛ぶ。
「そういうことか」
 龍哉はそれを見て、フリーガーファウストG3を再度構えた。
 霊力によって無尽蔵に装填されるミサイル。
 それが、トリガーを引くと濁流のようにあふれ出し。
 ウイルス、クラスター双方を爆撃で包んだ。
 すると龍哉はフリーガーを投げ捨ててザンバーを構えて突撃する。
「西大寺さん、様子はどうですか」
 その龍哉の背中を見送って構築の魔女は遙華に通信をとる。
「だめね、どんどんデータが吸い出されてるけど、完了しない限りは大丈夫だから、早く処理して」
「優先順位を繰り上げるべきものが出るかもしれません」
 告げると由利菜と並んで遠隔射撃をクラスターに見舞う。
 その後由利菜もクラスターに突っ込んだ。
 デストロイヤーに装備を換装し従魔ごと斬りつける。
「スィエラ、浄化の風を以て電子の従魔を除去せよ!」
 


第二章 不可侵領域

 データの採掘作業は順調に行われているようだ。クラスターたちはまるでガリガリと地表を削るドリルのように確実に防壁を削り取っていく。
 少女の悲鳴が聞こえてくるようだ。
 なぜならFはかつてリンカーたちと時間を共にしたエリザというAIの少女。そのデータのすべてをハッキングしているからである。
 そんなFクラスターに望月が攻撃を放った。
――敵の攻撃をホームランするよ。
 百薬が告げると群がってきたウイルス一体を撃ち飛ばす。
 右手に移動して、左足を軸に。ウイルスをクラスターに向けて槍でぶっ飛ばした。
 そして失った体力は自分で回復して補てんする。
「Fの作業が七割を越えました」
 銃声の合間に構築の魔女の声が響くと、他のリンカーはFに殺到する。
――大事な秘密も優先順位に従うのね。
 百薬の声に頷いて望月は目の前のウイルスたちを槍で吹き飛ばした。
 國光が強引に突き進むべく道を作る。
 高速で國光が近付いたかと思うと、その掘削作業を行っていたクラスターの足とも言うべき部分に取りついて、盾でその巨体を押し上げようとした。
「なにを!」
 それを観測していた構築の魔女は驚きの声をあげる。
――……え? サクラコ!? 突然……っ
 メテオバイザーがその行いを止めさせようと告げると、構築の魔女は手元のログを見る。信じられないことに、作業がいったん停止した。エラーをはいている。
 代わりにクラスターは國光のデータを吸い上げている。
 感情や、思考、様々なデータ。それは複雑で、クラスター程度の知性では読み取れない。しかし。
「……さわるな」
 盾の表面に火花を散らせて、血に濡れた瞳をまっすぐクラスターに向ける國光。
「これに、触るな……っ!」
 これ、とはエリザだろうか。
 メテオバイザーは思う。
 少し、少しだけだが、安心の様な、嬉しいような。そんな感情がメテオバイザーの胸に湧きあがりそして。
――はい! もう二度と触らせません。
 二人は逆にクラスターにアクセスしていく。
「行けそうか?」
 それを見た龍哉はいったんFから離れる。F方面にウイルスを投げようとしていた手近なクラスターに襲い掛かった。
 たとえばすでに遊夜のハッキングで蟲の息の、クラスターEなどである。
――作業内容中断、接続先をサクラコに変更。データ同期。ウイルス注入。作業進展率60%。
 クラスターの動きが徐々に鈍くなる。それにしたがって國光はクラスターの体を押し返していく。
 そしてついにその体が宙に浮いた。
――おお、すごーい。
「感心してる場合じゃないよ」
 百薬に釘を刺して望月はDに向かった。Dはグロリア社計画情報の『クラッキング』である。
「しかしまあ従魔にしろ侵入許したり、正規ルートにしろあたしたちまでサーバーに潜り込んだりできるのは簡単すぎないかな」
――情報を取られても偽物掴ませるのかもね。
「それは、アルマギがあなた達を介してサポートしてるからよ」
 遙華からいらん注釈が飛ぶ。
 すでにDでは龍哉が交戦していた。
 CとEの対処は別働隊にまかせる。幸いDの防御が薄いことは構築の魔女のハッキングで解っている。
 その巨大な刃で木でも伐り倒すかのように龍哉はクラスターへ一撃加えた。
―愚神死すべし、慈悲はありませんわ。
 ヴァルトラウテが告げた。
「今回命の危険はなくとも、下手打つとこの後の依頼に確実に影響が出るからな」
 龍哉は刃を振りぬくと反転。群がるウイルスをものともせず返す刃でクラスターに斬撃を加える。
「前も、お嬢の研究成果(パワードスーツとか)がアルター社にパクられたりしてるんだよな」
 告げると龍哉はかつての戦闘を思い出す。
「今回グロリア社の内情のより深い所を抜かれるのはかなり危険だろうってのはわかる」
 グロリア社も何を開発しているか分からない。宇宙で出会った愚神の長刀も相当にやばかったのだ。
「人の家の内情を覗き見ようなんざ下種の所業ってもんだしな」
――遥華さんの写真データをここに置いておく辺り、ロクトさんの狙いが垣間見える気がしますわ。
 そう苦笑いを浮かべるヴァルトラウテ。
「いや、さすがにそれは…………なぁ」
 まさか囮用に入れてあったのだろうかと、思い至る龍哉。
「最悪仕掛けた相手の正体が掴めなくても、データ流出を最低限に留めるべく仲間と適宜連携を取って動こう」
 そう告げた矢先Aが陥落したとの報告が入る。
「Aはグロリア社の階層データ、つまりどの研究室で何の研究がおこなわれてるかってデータよ。他のデータと比べると致命的ではないわ」
 ただしこちらはFのクラスターを無力化した。
 Eも簡略間近そして。
「Dもこれで終りだ!」
 龍哉の斬撃にてDも切り倒された。
 これで残るはBとCである。

第三章 黒幕は
「Fが終わったか」
 そう告げながら遊夜は構築の魔女と移動を開始していた。
 目指すはBのクラスターである。
 Bのクラスターは一番作業が遅い。現在四割。今ならまだ間に合う可能性があった。
 道中のウイルスを撃ちながらできるだけの速度を維持しつつ進む。
 ウイルスに囲まれれば厄介この上ないからだ。
 常に360度気を配っている必要がある。
 そんな遊夜たちをまずいと思うのか、クラスターはあえてウイルスを自分たちの周囲に固め始めた。
 だがそれは悪手である。
「何ともお誂え向きな状態だな」
――……ん、集まったら範囲攻撃……一気に楽になる。
 放たれるアハトアハト、着弾地点から大きくウイルスたちが吹き飛び無力化される。
 正しくはハッキングアイスなのでログに生まれ変わり、それを消そうとウイルスが群がった。
 遊夜はその脇をすり抜けてクラスターを見あげる。
 するとその巨大な腕が振りかぶられる。
 遊夜はバックステップでそれを回避。
 そして周囲のウイルスを減らし始めた。
 攻撃力が低ければ命中力も低いのかもしれない。
「この程度ならまだまだ耐えられる、問題ない」
――……ん、今は他の所が大事……敵の思い通りには、させない。
 対して雹はCクラスターの一体に攻撃を仕掛けていた。
 雹は遠隔射撃で由利菜や國光の行動をサポートする。
 フリーガーファウストG3をあたりにばらまいての爆発からM110など攻撃へ。
 ウイルスの自爆攻撃には気をつけながら。エージェントに近いログへの接触狙うウイルスは優先的に退治していく。
 すると國光がCクラスターに取りついた。しかしこのクラスターの防御機能は優秀でFのようにはいかない。
 攻撃を回避しながらの無理やりなハッキングが続く。
「このログに逆ハッキングを仕掛ければ犯人が特定できるかもしれない……挑戦して損はない……けど」
――Cも復旧させればもっと詳しくわかるかもしれないのです。
 なんとしてでも終わらせたい。そう思う国光だが、ここでリンカーたちがばててきた。
 最後はBのハッキングを終えることができず、お役御免のクラスターたちは機能を停止。
 リンカーたちは現実世界に戻された。

   *   *

 依頼終了後、国光は椅子にもたれかかって糖分を補給していた。その目はどこか虚ろで黙々と食料を口に運ぶ姿はなんだか、幽霊のようにも見える。
(心配したわけじゃなく……このところの騒動に対する八つ当たりですね、あれは)
 そうメテオバイザーは呆れてため息をつくのだった。
 それを持て百薬が声をあげる。
「ところでアイスクリームが食べたいです」
「直球だね」
 望月が告げた。
「そろそろ暑くなってきたしね、生還したら頭を休める意味でもいただきたいね」
 その言葉を受けてか知らずか、リンカーの休憩室に遙華が入室したときにはアイスの入った籠をぶら下げていた。
「みんなお疲れ様」
 告げると遙華は遊夜にアイスを一個さしだす。他の面々にも一つずつ。
「さて、守り切れた……か?」
 遊夜が問いかけるとユフォアリーヤは遙華の頭をなでる。
「秘蔵写真は最悪……加工ですと誤魔化しましょう、えぇ」
 構築の魔女が告げると遙華は言った。
「大丈夫! みんな頑張ってくれたから大丈夫だったわ」
 そう遙華は『辺是 落児(aa0281)』にアイスを手渡す。 
 そんな中リーヴスラシルは深刻な顔で佇んでいた。全てが電子化されていく社会へ疑問を持つリーヴスラシル。
「リアルタイムに変化する膨大な情報を管理するのは、書類では無理です。でも、便利なものに頼りすぎると……」
「いくら便利だからと言って、全てを電子化する必要はないと思うが……。機密情報の保持に、あえてアナログな記録手法を使ってはどうか」

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 冷血なる破綻者
    氷斬 雹aa0842
    機械|19才|男性|命中



  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
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