本部
掲示板
-
NPC質問卓
最終発言2018/04/19 20:18:08 -
狩りの時間だ(相談卓)
最終発言2018/04/21 12:34:54 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/04/17 18:45:59
オープニング
● 私を呼んでくれてありがとう。
それはとある少女からの急ぎの依頼。
先日の悪性愚神、ガデンツァとの戦いで救出された英雄がいた。
彼女の名はルネという。
ルネは戦場から連れ帰られるとしばらく療養していたのだが、今改めて皆の前に姿を現して。
そしてこうやって仕事を頼んでいる。
今回の戦いは極めて判断が難しい内容のため、説明するルネも気が気ではないのだ。
「一刻も早く伝えたいことがあって。それが。悪性愚神、そしてヴィランズの事なの」
ルネは告げた。自分の中にガデンツァの記憶が残っていること、彼女は多数の愚神と協力、もしくは支配下において活動していたこと。
そしてその全てが悪性愚神だということ。
「社会に根強く、隠匿されて目につかない潜伏が上手な愚神とヴィランズばかりよ。これらの情報を私は、H.O.P.E.に流すことにしたわ」
ガデンツァの記憶の流用それは同時に、自身がガデンツァという存在と切っては切れない関係であるということを証明している。
「でも、やるべきだと思った。被害が出るくらいなら私が疑われて、H.O.P.E.から放逐された方がまし」
そう目に光を宿してルネは告げる。
「みんなにはこの悪性愚神やヴィラン達を倒す方法を考えてほしいの」
何か対策を講じなければガデンツァが倒れたことを知った愚神たちは雲隠れしてしまうだろう。
その前に愚神やヴィランズを叩きたい。そう言う話だった。
ただ対処すべき数が多い。
今回はいかに取捨選択をし、適切な作戦を選ぶかが重要そうだ。
● 悪性愚神、ヴィラン一覧。
1 ケントゥリオ級愚神 トリアイギスメギストス
2 ???級愚神 エンヴァーミング
3 デクリオ級愚神 サバナ
4 ケントゥリオ級愚神 ミラルタ
5 ドクターD
● 性能解説。
1 ケントゥリオ級愚神 トリアイギスメギストス
蒼い炎を操る全身鎧の愚神です。体長は三メートルで、火焔を纏った大剣とその肩に宿った炎の塊を叩きつけることでダメージを与えてきます。
驚異的なのはその耐久力で、鎧を破壊しないことにはダメージが20%カットされます。
その戦闘能力のほとんどがスキルではなく、基礎ステータスに割り振られたような愚神ですが。
たった一つだけ特殊な能力があります。
彼を中心とした火山のドロップゾーン。
このドロップゾーン内に集まってきた愚神たちはトリアイギスメギストスの霊力を受け、従属する代わりに大幅なパワーアップを受けるのです。
この能力を彼は王国と言いました。
彼は現在南アメリカの自身のドロップゾーンに閉じこもっていますが、内部構造や配下の戦闘力など不明な点が多いです。
2 ???級愚神 エンヴァーミング
女性型の美しい愚神ですが肌の色が浅黒く悪魔っぽい見た目です。
薄着で、豊満な体をネグリジェ同然の衣装で覆っています。
その戦闘力は大したことはないのですが、夜に発動する死に化粧というスキルが厄介です。
この死に化粧は簡単に言うとゾンビを作成する能力であり。一般人の脳を壊死させ操り人形にしてしまいます。
ただ、まだ決起の時ではないらしく、能力をかけても発動はさせずエンヴァーミング自身も潜伏しているようです。
理知に強く他の悪性愚神と連携する可能性も高いため、優先的に倒しておきたいところです。
3 デクリオ級愚神 サバナ
日本に神出鬼没で現れる愚神です。
そのほとんどが人をさらうために人気の少ないところに現れます。
今回はルネの情報によってサバナの出現を予測、先回りすることができたのでこれに対処できます。
能力は瞬間移動と高速移動。
回避力に長けている以外は攻撃力は高くない。
一応長剣を持っている。
ただし瞬間移動と言っても瞬時に移動できるのは40SQ程度らしい。
何度も瞬間移動を繰り返してその場から離れるのが彼のスタイル。
見た目は白いうどんの乾麺がスーツを着て歩いているような、都市伝説めいた姿のようだ。
できれば彼が連れ去った人間がどこに行ったのかを知りたいところだ。
4 ケントゥリオ級愚神 ミラルタ
自身を中心にドロップゾーンを発生させ当たりの生態系を作りかえる愚神です。
その能力のほとんどをドロップゾーンのポテンシャルに割り振っているため戦闘力は高くありませんがとにかく巨大です。
全長十七メートル。蛇の下半身に女性の上半身ですが、女性部分が人間の五倍程度の大きさを持つのでそれが怪獣並みの大きさであるとわかっていただけるでしょう。
防御力と攻撃力に秀で。その巨体を叩きつけて攻撃するのですが恐るべきはそのドロップゾーン。
周囲1000SQの生態系を作り替え、周囲100SQの霊力を組み替えて無力化します。
周囲100SQにいる限り若干のステータスダウンを受けるでしょう。
さらに周囲10SQに接近すると体が水晶化します。
特殊抵抗で一定時間ごとに判定を行い、失敗すると、物理攻撃に対してダメージを多く受けてしまう状態。そしてスキル封印状態を受けます。
このドロップゾーンを何とかできれば倒す手立てがありそうなものですが。
5 ドクターD
彼はヴィランズです。
愚神ではなく、戦闘力も低レベルリンカー程度です。
ただ、彼自身ではなく、彼が潜伏している研究所には貴重なデータが山ほどあるでしょう。
今回は奇襲なので、リンカーの襲撃はほぼうまくいくでしょう。
ただ気を付けてほしいのは、研究所の内部構造が謎という点と。彼にはワイスキャンセラーという薬があります。
摂取すると一般人を愚神に変える薬です。
今回はこの五体のターゲットにどのようにアプローチするか考えていただきます。
いきなり戦いに出る必要はありません。
ただ、倒せるなら早めに倒してしまった方がいいのは事実です。
解説
目標 一体でも敵を撃破する。
今回はこの五つの対象に対して。
戦闘・調査・弱体化・部隊投入のどれかのアプローチをとることができます。
《戦闘》
戦闘は現在ある情報のままに対象に対して戦闘を挑み、これと戦います。
戦闘は同時多発的なので二体以上の愚神と戦う場合は、リンカーは手分けしないといけません。
《調査》
調査は、その愚神の影響や弱点と言った情報をさらに引出し、次回の襲撃に関しての情報を得ます。
これによって新たな発見があるかもしれません。
また、ピンポイントで知りたい情報がある場合。弱点や施設、ドロップゾーン内の構造、性格、戦闘力等々。
それを記入していただくことで次回の戦闘ではそれがわかるようになります。
《弱体化》
、その愚神への対策を考案することによって次回、戦うまでに愚神の力を弱めることができるかもしれません。
この場合、リンカーが考案した対策はほとんどの確率で実行されるでしょう。
機材や設備は投入し放題ですが、できるのは、トラップを仕掛ける、迎撃装置での攻撃や、流通操作、愚神の霊力確保の妨害など、遠隔的なものに限られます。
《部隊投入》
部隊投入はレベルの低いリンカー八名、一部隊を組織して愚神の対処に当らせます。
皆さんが戦うように自由度は高くありませんが。リンカーの指示が的確であれば彼らだけでも愚神を倒すことができるでしょう。
部隊投入を選択する場合は、リーダーとなるリンカーを決めてください。
リーダーは、部隊のリンカーのクラスや能力者敵性を加味して自由に部隊を組むことができ、このように戦ってくださいと指示を出すことによって、部隊を愚神と戦わせます。
現地にリンカーが赴いて、直接指揮をし、自身も戦闘に加わることは可能ですが。その場合、戦闘に参加できないので注意してください。
リプレイ
プロローグ
『藤咲 仁菜(aa3237)』は箱から大量のアンプルを取り出し幻想蝶にしまい込む。
その箱が空になれば『九重 依(aa3237hero002)』が新しい木箱にバールを突き刺した。
アンプルはあってもあっても足りない可能性がある。
今から向かうのはそう言う場所だ。仁菜はスカートに発信器を縫いつけた。体バランスが狂うほどの重さではない、大丈夫。
そう装備を確認すると、仁菜はその時小さな歌が聞こえてふと振り返る。
そこにはいつの間にか水晶の乙女、ルネが鎮座している。
「ルネさん」
そう歩み寄るのは『イリス・レイバルド(aa0124)』。ルネはイリスを抱き上げて膝に乗せると、一緒に小さく歌を謳い始めた。それを『アイリス(aa0124hero001)』は静かに眺めている。
「ルネちゃん復活おめでとう」
そう声をかけたのは『餅 望月(aa0843)』。かざす両手に戸惑いながら『百薬(aa0843hero001)』と「いえーい」とハイタッチを決めると、ルネはくすくすと微笑んだ。
「さっそくお仕事とは、確かに愚神の記憶はすぐなくなっちゃうかもしれないし、大変だけどお話聞かせてね」
「うん、こちらこそ、望月さんのお話し聞きたいな、従魔って美味しいの? とか」
その時仁菜の肩が叩かれる。『煤原 燃衣(aa2271)』が視線で先を促すと仁菜はそれにならってルネに歩み寄り、『ネイ=カースド(aa2271hero001)』が後ろに続いた。
「ルネさん。改めて……これがボクの仲間……小隊【暁】です」
告げると『阪須賀 槇(aa4862)』と『阪須賀 誄(aa4862hero001)』が手を振る。
これだけではないが中核メンバーだ。今は頼もしい仲間がいるということをルネに知っていてほしかった。
「頑張ったんだね、燃衣さん、人と人を繋ぐことは素晴らしいことだよ」
「だったら、素晴らしいのはルネさんです。知ってます?【暁】は貴方の死から生まれたんです」
「知らなかったけど、私の想いも誰かを繋ぐ材料になったんだね、嬉しい」
そうルネがはにかむと『月鏡 由利菜(aa0873)』が言葉を噛みしめるように告げる。
「ガデンツァは倒れたと聞きましたが…………まだ、影響は残っています」
「…………今までは序章に過ぎないのかもしれん。むしろ、本当に大変なのはこれからではないか?」
『リーヴスラシル(aa0873hero001)』がそう問いかけるとルネはその言葉に頷いた。
「ガデンツァの恐ろしさは心を歪めてしまう事。歌は人を繋ぐけど。時に人を切り裂くの。それはとても申し訳ないと思うわ」
その言葉に燃衣は異を唱えた。
「……ボクは初めは、世界を憎んでいた。でも貴方が居たから……ボクは《夜明け》を見た」
その言葉に仲間たちは頷いてくれる、それが燃衣は無性にうれしかった。
「ルネさんが帰ってくる奇跡だって起きたんです。ここから徐々に救っていきましょう」
「うん、一緒にがんばろうね」
「力になりたいんです。荒事は任せて下さい」
告げるとネイが一歩前に出た。
「……思えば、俺はお前に散々なセリフを吐いたな」
告げるとネイは燃衣と共鳴した。
――そのツケを返す。《敵》は全て俺たちで狩り尽くそう。
「うん、誰もかれも悲しい。けど驚異的な存在ばかりだよ、だから。滅ぼして」
「哀しい存在」
その言葉を受けて『鬼灯 佐千子(aa2526)』は眉根をひそめ、愛銃の薬室に殺意を送り込んだ。
「私たちはDDとの《戦闘》を受け持つ」
――肯定だ、サチコ。
すでに佐千子は『リタ(aa2526hero001)』と共鳴済み。
彼女が向かうのは事件の渦中。作戦目標はDDの捕縛。
また状況に応じDDの潜伏場所の罠や警備能力・戦闘員の無力化、拉致被害者の保護、DDの研究成果や材料と言った証拠物件の押収とH.O.P.E支部への運搬支援も行う。
用は臨機応変に……である。
――…………それと、いいか。
リタが言葉を続けた。
――作戦中、従魔や愚神を発見しても交戦を避け、DDの確保を優先する。従魔、愚神の排除はその後だ。
それには槇たちも同意する。
「ワイスキャンセラーがある限りは、従魔も愚神も無尽蔵だお。やってらんねぇお」
「DDの事は……必ず、お願いします……武くん達の為にも……ッ!」
そう拳を握りしめる燃衣。
燃衣は今回DDには向かわない。民間人への被害が現在もあるサバナを優先した。
「ええ、必ず、そしてあなた達にも彼にモノ申す機会を絶対に与えるわ」
告げた佐千子の眼光は鋭くとがっていた。
全員の装備が整う中。一行とは離れた車の中で『榊原・沙耶(aa1188)』がロクトと話をしている。
『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』は車の外で見張りだった。
「ペインキャンセラーがワイスになったのはADとジフェイタスの能力があって完成したもの。そして、ADはH.O.P.E.に確保されていて、ワイスが外に出回る可能性は無かったはずよねぇ?」
「状況からみるとそうね」
「筈が、DDがワイスを所持しているというのは…………」
「もしかして所持していない可能性も考えられるわ」
「けど、ないかもしれないって想定はきけんよぉ。だから私はかんがえてみたんだけどね。DDとCDが別途に完成にこぎたけたか、もしくはグロリア社が回収品を横流ししたか、のどちらかになると思うの」
「そんなに容易く完成できるなら、ADはなぜ囮にも似た行動をとったのかしら。そしてリーダーであるADを見捨てた理由って…………いったい」
「私としては前者よりも後者の方が現実的だと思うのだけど、どうなのかしら?」
「流出したとなると、誰かが押収品を横流ししたということになるわ、BDのリークで内通者は一斉検挙されているはず。H.O.P.E.は限りなくクリーンよ」
思わず黙る沙耶である。
「けどAD逮捕からDDの行動がつかめるまでの間に、H.O.P.E.に加入したメンバーが一人、いるわね、私の心当たり上だけど」
沙耶は眉根をひそめた。
「何を言ってるのかしらぁ」
「ねぇ、沙耶さん。私がいなくなったあと、遙華をお願いできるかしら」
第一章
「この水晶…………、ああ! あの愚神か」
そうアイリスはドロップゾーンに入るなり手を叩いた。
「お? アイリスたん、何かわかったんだお?」
槇はミラルタによって作り替えられてしまった木々。その結晶を採取しては幻想蝶にしまい込む。
幻想的な光景だが命の息吹は全く感じられず恐ろしいの一言である。
「以前からあたりを水晶に変える愚神が存在していたんだ、しかし…………こんなところで出会えるとは」
そう驚きながらアイリスは周囲を見渡した。
そのドロップゾーンは今まで潜り込んだ水晶の森の中でも一層霊力が強い気がした。
その影響を緩和するためにアイリスはリンクバリアを試みる。
「モスケールに反応は、ないけど…………どうしよう」
仁菜がそう槇に言葉をかけると、槇は進むことを決断した。
モスケールはスマホにつなぎ随時観測データを仲間に送信している。注意は決して怠らない、何せ相手はケントゥリオ級。トップリンカーであっても三名での討伐は難しいだろう。
「DZを維持するには一定距離ごとに核となる物がある…………はずですよね?」
「ああ、そのはずだね」
仁菜の言葉にアイリスは頷く。
「どういう原理なのでしょうか」
「変質は不可逆なんだと思うよ。いったん水晶になればもう戻らない」
過去の事例がそうだった。そうアイリスは述べた。
「夜愛も大きな幻術を作った時は核があったし、何か仕掛けがあると思うの」
「そうだおね」
出なければ、そう槇は思う。相手はどれほど強大な力を持っているというのか。
「いた、目標だお」
槇はスコープを除いて、百メートル先の愚神を確認した。
その巨体は縮尺がめちゃくちゃになるほどの巨体で、並の攻撃力ではびくともしないように見えた。
「近づいてみましょう」
そう告げたのは仁菜。槇の静止もきかずにミラルタへ接近する。
ミラルタは睡眠をとっているようだった。
忍び足で歩み寄ると、仁菜は振り返って二人に告げる。
「この程度の特殊抵抗で防げるなら楽勝じゃない?」
――……あいつと共鳴の時もそのくらい強気だったらいいが。
「も…………もどってくるお」
そう慌てふためく槇がジェスチャーで告げると、仁菜はそろそろと帰還した。
「体に異常はないかな?」
アイリスが問いかけると、仁菜は首を振った。
「うん、大丈夫!」
「私もこの距離では全く影響を受けない。私が行ってもおそらくは影響がないだろう」
つまり、アイリスまでの特殊抵抗であれば、接近して戦闘しても水晶化しない。もしくはしづらいということだ。
「俺はだめだお。この距離でもなんだか」
槇は胸を掴む。先ほどから感情が外に流れ出すように、何も、心が動かなくなっている。
よく言えば冷静に、悪く言えば冷徹に、効率だけを考えている自分がいる。
「もっと詳しくデータをとってくる」
そう仁菜が歩みを寄せる、ミラルタの大きな頭、その前を横切った瞬間。
ミラルタの巨大な瞳がぎょろりと仁菜を見た。
目玉だけでも姿見の鏡程度ありそうな大きさ。それに見すえられたときでも、仁菜の足はすくまなかった。
「ウサギは蛇に睨まれると動けなくなると、人間は言ったがね」
「それはカエルじゃない?」
ミラルタの言葉に仁菜は平然と言葉を返す。
「ふむ、一人で戦いに来たわけでもないだろう? 見逃そう」
「そんなこといっていいの?」
「わたしもね、戦うことは不本意だよ。だってこの世界を白で塗りつぶすこと、それが私の使命、お前たちの討伐ではない」
「っ」
その時、槇が痛みに呻いた。見れば槇の指先が透明になっている。皮一枚程度だが水晶化の兆しが見えた。
「報告と違うね」
アイリスがつぶやくと仁菜に撤退の合図を出す。
「愚神も成長する。次に会う時はか弱き者達…………君らも白で塗りつぶしてあげよう」
そう巨体を動かすと、ミラルタは仁菜に背を向けた。
その後槇は救助に来たリンカー部隊の治療を受けた。
そのご槇の申請によってトラップや機器が仕掛けられる。
「たぶん人が多いところはさけるはずだお」
その読みは当たり、仕掛けられたトラップによって一悶着発生するのだが、それはまた未来の話。
* *
その小さな集落はとっくに死に飲み込まれていた。
情報の多くが謎に包まれた愚神。エンヴァーミング。
その死に化粧によって変わり果てた人々が、頭だけ、上半身だけで『黛 香月(aa0790)』に襲い掛かってきた。それを香月は切り捨てる。
「この手合いは、やはり黙っていられんな」
香月は告げると、ひき肉状になった従魔を踏みつけるとあたりを見渡す。石造りの街並みは腐臭が漂っている。
香月はエンヴァーミングを一刻も早く倒してしまいたいと思っている。
この愚神のように人間を改造したり操ったりするタイプは彼女が最も敵愾心を持つタイプだからだ。
「ゾンビ化と言えば四国で猛威を振るったな。神門に通じるものもあり、放置しておくのは危険なタイプだ」
香月が告げると、同じく路地に身を隠す望月が頷く。
――キョンシーかな?
百薬がそう首をかしげる。
「フランケンの方が近いんじゃない?」
望月が蠢く上半身を挿して告げた。
「でも生きたままゾンビを作るということならかなりタチが悪いね」
この死体に意志があるのか。それは同じ死に化粧をほどこされなければわからないだろう。
「…………望月さんと薫さんもいらっしゃるとは言え、3人だけでは討伐は難しそうです。それに今回の私達の装備やスキルは、本来ドクターD用のものですし……」
そう由利菜が不安げに告げながら戻ってきた。その刃には血がべったりこびりついている。
安全は確保されたようだ。
「愚神の姿は周囲にありませんでしたが、この町を放っては置けません」
ライブスゴーグルで確かにエンヴァーミングの影響下にある従魔たちの存在はわかる。しかしそれだけだった。
――ミイラ取りだね、天使はミイラにはならないよ。
「確かに聞いたことはないね」
件のミイラの戦闘力は、五体でやっとリンカーにダメージを与えられる程度の粗末なもの、さらに人数も大したことはない。
――望月も死んだことがないから大丈夫だよ。
「その通りなんだけど何か違うような」
告げながら望月は状況を分析する。
「幸運とか生還とかは得意分野かも」
エンヴァーミングの術に回復スキルは有効なのかと。
「ここには、いないか」
香月が割れたガラスの飲食店を覗き込み苦々しそうに告げた。
「どこにいる」
――ワタシならお友達を探しに行くと思うよ。
百薬が告げると望月が答えた。
「愚神の気持ちになって考えられるとは、成長したね」
「愚神の気持ち」
由利菜もふむと考え始めた。
「仲間探しはあるかもね、パワータイプの愚神で、如何にもエンヴァ能力付与されたゾンビみたいな配下が増えた奴とかだね」
――そんな雑魚愚神はどうする?
「エンヴァにいいように使われてるにしても愚神だよ、雑魚ってことはないけど、倒すよ」
告げると望月は振り返る。
「黛ちゃんが一緒なら行けるでしょ、槍で相手してる間に後方から一撃で決めてね」
「ああ、そうだな」
冷えた口調でつぶやく香月。その手の刃を強く握りしめる。
その時だ。
「うわ、なんだ全部ばれてんじゃん…………つまんな」
告げると闇から浮上するように一人の少女が現れた。
肌は褐色というよりグレー。角と淫魔を思わせる衣装。彼女がエンヴァーミングだろう。
それが望月のすぐ背後に現れた。
「エンヴァーミング!」
香月は強襲の隙を与えることなく刃を振るう。
「おっかしーなぁー。活きがいい、けどよわっちいリンカーを送ってくれるんじゃなかったの?」
「何を言っている」
(歌?)
その時由利菜は聞きなれた声を聴いた。それはどこかで、何度もきいた。邪悪な響き、それは。
「由利菜ちゃん、どうしたの?」
望月が告げると我に返る由利菜。
エンヴァーミングは距離を取り、いつの間にか周囲に集まっていた奴隷たちを侍らせて微笑んだ。
――容姿には自信があるようだが……私達にとっては特段珍しいものではないな。
リーヴスラシルが告げると、エンヴァーミングは小さく笑う。
「……私にとって、女性の美しさはラシルが基準です。チェックは厳しいですよ?」
「あらそう? でも女の魅力はようしだけじゃないよん」
告げると、長い舌を垂らしてそれを指で撫でた。
「愛嬌と愛情」
「『屍国』のウィルスと似ていますね、まさかそこから派生した愚神ですか?」
であれば同じワクチンが使えるが…………。
「ちょっと、無粋。あんなのと一緒にしないで。これは愛。献身、私に命をささげた。いつ死んでも構わないって意思表明」
告げると、エンヴァーミングは踵を返す。
「逃がすと思ってんの?」
その前方に素早く回ったのは望月。
その槍の一撃で多数の人間を薙ぎ払う。
――操っている人を影武者にしたりもすると思うよ。
百薬が告げる。
直後背後から刃を突き立てた由利菜。
血を口からこぼしながらエンヴァーミングは笑う。
「すごい、何であなた達私の事がわかるの? 素敵。すごくあなた達が欲しくなっちゃった」
告げるとエンヴァーミングは腹を自分で切り裂いて上半身だけ分離。背中から翼を生やして由利菜に襲い掛かるも香月が放った弾丸で粉々に撃ち飛ばされた。
「あー、生きてる人間なのに殺しちゃったね」
「なんてひどいことを…………、頭脳系愚神なら絶対やると思ってたけど」
「まあ、私に命をささげた時点で戻らないけどね」
「そうだと思ってたよ」
告げると望月は最後の一刀を振りあげる。
「たとえH.O.P.E.の情報網から逃げられようと、私の目から逃げられると思うな」
香月は告げる。
「貴様らが何を企もうと同じことだ。せいぜい私に首を狩られぬよう必死にもがくがいい」
「それはこっちのセリフだよ、あなた達覚えたから、絶対手に入れて見せる」
告げると淫魔は笑いながら夜の闇に消えていった。
第二章
「来ましたね」
告げると突き出した岩から腰を下ろした、ここは戦場、その最前線。
その背後にはマグマを轟々と吹きだす火山地帯があった。
「遅くなったお」
槇の背後には数名の調査員が控えている。
「このあと戦闘が控えてますから仕方ないです」
告げると槇は大きなボストンバックを担ぎ直した。
「ではいきましょう、トリギスメギスアイギスを倒しに」
――違う、隊長…………トリ、アイギ……メギ」
「よっし! トリギスアイギスメギアイストスギスの…………名前なげーお!」
――…………OK。《アイギス》と略称しようか。
告げる誄に頷く二人である。
火山での調査は愚神との接触はなるべく控える方向だった。
イメージプロジェクターで、いわばの迷彩やゾンビの姿をとって潜伏する。
「……ア、アンタの王国は……イイナァ……奪り甲斐が……アル……」
燃衣がぼそりとつぶやいた。
その間オートマッピングでドロップゾーン内の地形を調査。
槇はルネの力を頼って対策をとってもらうために、霊力のサンプルなど持ち返るために、八方向に霊力を吸い上げる機器を設置した。
そして調査員に霊力測定をしてもらう。霊力波長パターンを解析し対抗策を練るために使う。
「槇ですお!」
――誄です。
「二人揃って……」
――芸人じゃないぞ俺ら。話は聞いてます。
告げると誄は冷気を放出する爆弾など提案していく。
この暑さでは自然と体力が削られるし、愚神は炎を媒体としている可能性が高いからだ。
その間燃衣とネイは休憩している。
――……ふむ、随分と居心地が良い場所だ。
「ネーさんは、でしょ……ボクはもう地獄ですよ……多分」
調査もそこそこに切り上げる一行。今回の遠征の目的は愚神の首だからである。
* *
愚神サバナは神出鬼没の愚神である。
その性質は人さらい、目的は不明。
その動向を離れた事務所で観測しているリンカーがいた。『ヴァイオレット メタボリック(aa0584)』。そして『ノエル メタボリック(aa0584hero001)』。
「ふむ」
いまだ愚神、囮共に動きはない、その時間を使ってヴァイオレットは各愚神の考察も行っていた。
「我らと変わらぬものよのぉ、利害関係故の協力関係とは。ぢゃから、許しはせぬ。物扱いされた命を弔うためにものぉ」
そう目を細めると、少女の背後に迫る影を見た。
仁菜は其れに振り返る。
「だれ?」
今、彼女は非共鳴状態。能力者の身体能力がいくら高いと言っても愚神相手では手も足も出ないだろう。
その恐怖を演じて走り出す。
「来ないで」
それは闇に隠れ少女に迫る。楽しむように、追い立てるように。
やがて愚神は少女を捕える。
ここからが作戦の肝だ。
「愚神の映像をスローで再生するお」
人型の愚神、武装は携帯していなかった。
その能力はおそらく、ワープ。
愚神が移動する際に小さなドロップゾーンの入り口のようなものが壁に開いている。それを通じて移動しているのだろう。
それを確認してから槇はコンソールを叩いた。
「……仁菜たんっ!」
「OK兄者、妹分を救助にいこうか」
誄は小さく拳を握った。あまりに危険過ぎる囮作戦、何せ連れ去られた人々がどうなるか全く分からないのだ。
場所によってはかなり遠い場所の可能性もある。一時間、地球の裏であれば一日。
その時間彼女は一人なのだ。
「彼女を信じましょう、訓練で攻撃してもケロッとしている人ですよ。大丈夫です」
燃衣が肩を叩くとヴァイオレットが声をあげる。
「反応がでたんじゃ。うむ、近い。ここから一時間」
「30分でたどり着きます、飛ばしますよ」
燃衣はバックアップとして部隊投入を支持、敵が潜伏している施設。
始まりの家。グロリア社社員の息子が監禁されていた家に向かう。
「Dのアジトじゃと?」
ヴァイオレットが問いかける。燃衣はDDへと向かったメンバーに連絡を試みている最中だが、通じない。
「きな臭いですね」
「隊長、瞬間移動と言っても、距離が限られているみたいだお。街中の監視カメラにそれらしい姿と、あと女の子の声を聴いたって人がいるお」
「ふむ、それを逆手にとりたいですね」
燃衣は部隊配置を検討する。
対して仁菜は、硬い床に転がされた。
そこには意識はあるが体は動かない。そんな表情をした人間が老若男女8名ほどが転がされていた。
衰弱しているようだ。
「大丈夫ですか」
仁菜は愚神の目を盗んでヒールアンプルにて一般人たちを回復していく。
仁菜に拘束は通用しなかったのだ。体の動きにまだ違和感はあるがなんとかなった。
全員が動けるようになるまではまだしばらくかかるようだった。
「私が、護る」
そう決意を胸に仲間たちの到着を祈った。
「うむ、愚神による拉致と思われる被害者は全部で九名じゃ」
告げるとヴァイオレットは無線機の電源を落とす。
「ただ、下準備も何も無しに拉致をしたゆえに、かなりの大騒ぎになっておる」
「ふむ、問題として表面化するのは時間の問題でしたか」
燃衣はそう分析する。
「なにかを焦っている?」
しかも被害者人数は、こういってはなんだが。
「すくないのう、愚神被害としては」
「霊力の補てん、それとも」
「隊長。ついたお」
懐かしい一件や、あの時の戦闘でぼろぼろになってはいたが、確かにまだ人が隠れるには十分そうに見えた。
槇はイメージプロジェクターで迷彩を施し。潜入。
――罠がない。それに。
「他のリンカーの気配がありますね」
燃衣が誄の言葉を補足した。
ここで一体何が起こっているのか。
それはすでに仁菜が目にしていた。
「もう一人、いたはずです! 女の子。どこにやったんですか!」
その鋭い言葉を向けられて、その男は髪を振り乱し叫ぶ。
「それはこちらのセリフだ! H.O.P.E.! 奴をどこにやったのだ。奴には大切な愚神のデータが詰まっていたのだぞ」
槇は家の中から漏れ聞こえる音に驚き、即座に扉を開ける。
笑ってしまうくらいに警戒はなかった。
次いで言い争いが聞こえる一階居間へと歩みを進める。
背を向ける初老の男。そして仁菜。
その目は槇を見つけると見開かれる、明らかに様子がおかしい。
しかしここで戸惑っているわけにはいかない。
槇はフラッシュバンを投げる。
そして突入しようとした瞬間。
「あぶない!」
壁から伸びた腕から守るために燃衣は槇を弾き飛ばした。
そして壁の穴が消えると、居間でのた打ち回る男を見る。
「あなた……その声。聞き覚えが」
「よっくも仁菜たん攫ってくれたお!」
――……結構、派手にやってるなぁ。
「ゆるさぇお」
「「OK、覚悟はいいか」」
霊力が湧きあがりそれが弾丸として放たれようとした瞬間。
槇が男に向けた銃を……。それを佐千子が下ろさせた。
「まって、彼は……」
それを見て燃衣は理解する。
「そう。なんですね、つまり彼が」
DDがそこにいた。
第三章 悪意の果て
――こちらマークスマン、目標の家屋周辺に人影はない、どうぞ。
告げるとリタは茂みの中で身を起こして武装を抱える。
リタは長らくポイントマンとして周囲を観察していた。
だが様子がおかしいことに気が付く。
「家の中に人質がいる様子だ、一刻も早い突入を要請する」
その言葉を受けて突入準備を整える沙羅。そして由利菜。
「私はカデンツァと一緒に、化け物同士くたばるものかと思っていたけど、存外死なないものね」
沙羅は共鳴状態でそう告げた。ここはDDの潜伏先と目されるアジト。かつてDが拠点として使っていた空家である。
「せっかく拾った命だし、これも奴が残した負の遺産って感じだものね。綺麗に片付けちゃわないと……」
告げて窓から中の様子をうかがう沙羅。
その背後には銃を構える佐千子と、光量をおとしたアイリスが続く。
今回はリンカーのみの突入である。それはワイスキャンセラーを警戒しての行動。
「見える範囲には、研究所に設置されていた機器はないようだが」
そうリタがメンバーにおいつくと、由利菜を先頭として突入姿勢に入る。
――予想以上に静かね。
佐千子の予想としてはDという組織が事実上壊滅状態、そしてBDの身柄をH.O.P.E.で抑えている現状から、自身の能力と研究成果を元手に他の組織又は愚神勢力へ売り込みをかけ、後ろ盾を得ているのではと予測していた。
しかしそれもなく、この施設にCDが出入りしていた形跡もない。
ルネ自体もCDには話を触れなかった。
「罠……」
DDは爆発物の扱いも心得ている。それを佐千子は知っている。
「従魔や戦闘員による襲撃か機雷の類か、いずれにせよ何らかの罠を仕掛けられていると見るべきだ」
リタの言葉に由利菜は頷き一行は裏口から侵入を果たした。
すると今から響く怒声。少女の声。何事かと向かってみれば、そこには地面に転がるDDとそれに銃を向ける槇。
「みなさん、愚神がいます」
由利菜は即座にライヴスシールドを展開。
壁に穴をあけ長剣を伸ばしてきた愚神の剣の腹を殴って払い上げる。
「そうか、そう言う事だったんですね」
「藤咲殿、ここにいる被害者たちは全員でなんにんじゃ?」
ヴァイオレットが問いかけると仁菜は八と言った。
つまり。
「九人目がサバナ、ですか」
燃衣が重苦しく告げる。
次の瞬間、DDが自身の腕に何かを突き立てようとした。それを由利菜は殴り飛ばし、薬を確保。
ワイスキャンセラーだ。
「みんな、こっちよ」
沙羅はケアレインで衰弱した一般人を治療。
立てる状態まで無理やり回復させ、窓を割った。
そこから脱出を支持する。
「サバナの能力で逃げられないように注意して!」
沙羅は安全圏まで一般人を送るために殿を務める。
残った仲間にそう言葉を投げた。
「また私から研究材料を奪うのかね!! CDのように」
その言葉に沙羅は眉根をひそめる。
CDがここにいない。
だとすれば、CDはどこに。
「そう言えば、CDっていつから存在を確認できていないのかしら」
次の瞬間、DDの隣に現れたサバナ、それがDDを連れ去る前に、槇、そして燃衣が動く。
サバナの肩を射抜く弾丸。
そして部屋自体を両断する勢いでふられる燃衣の斧。
点火爆撃炉の撃鉄を引き。
「これ以上はやらせません」
犠牲者の想いを胸に炉と憎悪を燃やす。
「あなたのせいでどれだけの人間が泣いたと思ってる」
「……裂けて砕けて消え失せろッ!《虐鬼王斧》ッ!」
愚神の体を引き裂く刃。
そしてDDの動きを縛る仁菜。女郎蜘蛛で逃げないように捕える。
その顎をアイリスの黄金パンチで砕いた。
それでも愚神は呻きながらDD救出に向かうが佐千子はDDの足を打ち、逃走を妨害。
反撃にとアイリスに叩きつけられたDDの拳、その注射器は当然リンカーであるありイリスに届かない。
「まぁ霊力の加護がなくとも、どれほど効果的な薬だろうが毒だろうが。私相手だと体内に入れるのがまず困難だ」
そのままアイリスはDDを地面に横たえてサバナの眼前に立つ。構えた盾を無造作にふって壁にサバナを叩きつけると、燃衣は斧を投げてその体を壁に固定した。
「あああああ、私を救って」
その声にアイリスは優しい笑みを向ける。
「いや、救えなくて、申し訳ない。少しでも安らかな眠りを」
次いでアイリスはありったけの霊力をその聖なる盾に込めた。
「レディケイオス、CODE:000」
そしてその盾を。
「グランドクロス」
愚神に叩きつけた。
轟音と共に半分吹き飛ばされる家屋。
愚神は光の粒子の中に消えていった。
「ああああああああ! ちくしょおおおおおおおおお」
DDの鳴き声がフロアに木霊する。
エピローグ
「CDが……奪われた」
その言葉に沙羅は思わず絶句した。
「奴の中にはこれまで採取した愚神の遺伝子というべきものが保管されていた。まどろみ、アルマレグナス、ガグンドューラ、ラジェルドーラ。それに、ガデンツァ。それを、それを奪われてしまえば私の研究はおしまいだ」
その泣き言にしびれを切らした佐千子はDDの胸ぐらをつかみあげる。
「アンタの研究はどうでもいい。それより、ワイスキャンセラーはどこで手に入れたの。他の愚神たちとの関係性は」
その時、DDのポケットで電話が震えた。
スマートフォンは数回コール音を鳴らした後に留守番電話に切り替わり、そして。
電話の向こうから歌が聞えた。
その歌は。
「く……」
「鬼灯さん! 共鳴して」
佐千子の心を蝕んでいく。次いでリタが共鳴、事なきを得たが、この場で唯一の一般人DDは。
「ぐ、あ……こころが。こわれ」
そう虚空を見つめ、体から力がぬけて。やがて、その体はゆっくり倒れた。
「脈はあるのに」
沙羅が駆け寄る。生命活動はしている、しかし睡眠しているわけではない。
まるで、心が抜き取られてしまったかのようになっている。
その後、DDは二度活動することはなかった。生きながらに死に続けるそのマッドサイエンティストは今もH.O.P.E.の医務室に寝かされている。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
---|