本部

エイプリルフールIFシナリオ

【AP】家族になっちゃった!?

紅玉

形態
イベントショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2018/04/28 21:28

掲示板

オープニング

 この【AP】シナリオは「IFシナリオ」です。
 IF世界を舞台としており、リンクブレイブの世界観とは関係ありません。
 シナリオの内容は世界観に一切影響を与えませんのでご注意ください。

●例えば甘い夫婦生活
「お帰りなさいませ、アナタ」
 玄関のドアを開けたら、白いフリフリエプロン姿のティリア・マーティスが笑顔で出迎える。
 一瞬、目を丸くするアナタは「そういえばティリアと結婚してた!」と思い出すと、朝より軽くなった鞄を差し出した。
「ふふ、お疲れでの様ですわね。あ、これ言ってみたかったのですけど……お風呂にする? ご飯にしますか? それとも……」
 鞄を受け取ったティリアは、アナタの耳元で恥ずかしそうに言う。
『それはまだ早いのよー母は許さないのー』
 と、言いながら二人の間にアラル・ファタ・モルガナが入る。
「でも、夫婦なのですからこれくらいは……」
 顔を真っ赤にさせながらティリアは、ちらっと視線をアナタに向けた。
『母からしたら二人はまだ子供なのよ?』
 子供の様に見えるが、アラルは既に成人しておりアナタとティリアの母親でもある。
「だって、早く子供の顔を見たいって思うじゃありませんか、ね。アナタ」
 そう言ってティリアは、旦那であるアナタの頬にキスをした。

●例えば父と子
『ねぇ、パパ……不服なんだけど~』
 圓 冥人と一緒に歩く真神 壱夜は頬を膨らませていた。
「何がだい? 壱夜」
『もうちょい、こう、恋人がよかった!』
 中学生になる冥人の息子の壱夜は、カフェでケーキを食べながら話す。
「だーめ。壱夜とは親子だからね」
 と、温かいコーヒーを口に運ぶ冥人。
『世界で一番愛してるよ。パパ♪』
「うんうん、世界で一人しかいない壱夜、愛してるよー」
 やや棒読みの返事をする冥人に対し壱夜は、笑顔で二人だけの世界に入って行く……事は出来なかった。
『兄上、不敬』
 弩 静華が壱夜の後頭部をハリセンでパーンと叩く。
『妹だか弟だか分からない静華……せめて、せめて、娘だったら合法的に』
「親子だから合法も何も……無理だよ」
 笑顔で答える冥人に、現実を叩き付けられた壱夜はちょぴっり塩の味がするカフェ・ラテを口にした。
『子供、最高』
 その隣で静華は、予約していた特別なホールケーキを食べてご満悦。
「そろそろ仕事だから、二人はゆっくりしててね」
 冥人は席を立つと、壱夜と静華に優しい笑みを向けた。

 もし、恋人と夫婦になったら?
 もし、子供が大人になって結婚していくとしたら?
 もし、元の世界に居る片割れがコッチで家族になったら?
 そんな『家族になったら』アナタはどんな『IF』になるのだろうか?

解説

英雄、友人等が『本当の家族になったら』の話となります。
未来の想像図でも良し、ネタに走っても良しのシナリオとなっております。
希望があればNPCも家族として参加可能です。
※関係性のプレイングが無ければ、他のPCとの絡みは描写されません。

リプレイ

●それはそれなりに幸せな日常で
 八十島 文菜(aa0121hero002)は、アンジェリカ・カノーヴァ(aa0121)の口から発せられた“ママ”と呼ばれて目を丸くした。
(ってうち、十代で子供産んだって事かいな)
 文菜と首を傾げながら思いつつ、アンジェリカの呼ぶ声に答える。
『まぁええわ。所でアンジェリカちゃん、学校の宿題はちゃんと終わりましたんか?』
「まだだよー、あははははっ!」
 居間のテレビでバラエティー番組観て笑い声を上げるアンジェリカを見て、文菜はリモコンを手にしてテレビの電源をオフにする。
「宿題が終るまでテレビ見たらあきまへん! さ、早くやりなはれ!」
 と、文菜はアンジェリカをひょいと抱き上げ、立たせると勉強部屋の方へと向かうように背中を押して誘導する。
(あれ? ママって意外と教育ママ?)
 部屋に入るとアンジェリカは、うーんと首を傾げながら勉強机に座る。
 学校から帰って机の上に置かれたランドセルから、宿題ノートと筆箱を出して渋々と宿題をやり始めた。

「うーん……」
 鉛筆を動かす手は止まり、難問とにらめっこしながら唸るアンジェリカ。
 部屋のドアをノックする音がすると、ジュースを片手に文菜がドアを開けて入る。
『がんばってますか?』
 と、言って文菜はジュースを差し出すと、アンジェリカは歓喜の声を上げながらジュースを受け取り、ゴクゴクと飲む。
「……アンジェリカちゃん? 答え書いてあるのはええけど、ほとんど間違ってるやおへんか?」
 飲んでいる間に宿題ノートを見た文菜は、小さくため息を吐きながら問う。
 ジュースを飲み終えたアンジェリカは、文菜を上目遣いで見上げながら少し不満そうな表情になる。
『ここはこうやってこう解くんどす』
 嘆息すると文菜は、宿題ノートを解説すると『後は自分でちゃんと解きなはれ』と言って、部屋から出た。
「どうせなら最後まで教えてくれたらいいのに。ママなんて大っ嫌い!」
 膨れっ面のアンジェリカは、ドアに向かってイーっとすると宿題ノートに鉛筆を走らせた。
 ぶつぶつと不満を漏らしながら宿題を終え、未だに腹を立ててるアンジェリカが居間に戻るとテーブルに夕食が用意されていた。
『アンジェリカちゃん頑張ったから、今日の晩御飯はハンバーグにしましたで』
 と、アンジェリカに優しい笑み向けながら文菜は、お茶碗に炊きたてのご飯をよそう。
『それとさっき見てたバラエティー、ビデオ録っときましたからな。ご飯食べながら見ましょか』
 そう言って文菜がテレビの電源をオンにすると、アンジェリカは駆け出すとその腰に抱き付いた。
「ママ大好き!」
 先程までの怒りはすっかり無くなり、満面の笑みでアンジェリカは声を上げた。
 好物を用意し、労いの優しい言葉をくれる母親は心の底から嫌いになれない。
 いや、逆に互いが大好きだから出来る事なのかもしれない。
「ところでパパはまだ帰ってこないの?」
 ハンバーグを頬張りながらアンジェリカは問う。
『パパは残業。ほんまに残業しとるんか解らしませんけどな』
 文菜はため息を吐くと、アンジェリカに笑みを向けながら答えた。
『ママ、そんな魅力ないやろか?』
 残業と言って他の女性の所に行ってるらしい事を察しながら文菜が、首を傾げながら問う。
「ママは綺麗だよ。思い過ごしだよきっと」
 と、アンジェリカは首を振った。
 そんな複雑な家庭だけど、それなりに幸せな1日を二人は過ごした。

●姉妹で行く花見は久しぶりで
 どたどた、と廊下を走るウィリディス(aa0873hero002)は、バーン! と姉である月鏡 由利菜(aa0873)のドアを開けた。
『由利菜お姉ちゃん、起きて! 今日は二人でお花見行くってお姉ちゃんが計画立てたんじゃない!』
 お日さまぽかぽか、春の陽気に負けて何度寝したか分からない由利菜をウィリディスは揺らして起こそうとする。
「んんっ……あと5分……」
 と、言って由利菜はぎゅっと布団を抱き締めた。
『ほわっ! おーきーてー!』
 ウィリディスがけたたましく声を上げ、お日さまでぬくぬくになったかけ布団を取り上げた。

『ほら、朝食食べて!』
 どうにかして起きた由利菜に朝食を出すウィリディス。
「お隣の日暮さん一家も誘おうかと思ったんだけど……」
『お隣さんはお隣さんの用事があるでしょ。また機会があったら、ね?』
 出来立てのフル・ブレックファストを前に紅茶を飲みながら由利菜が言うと、ウィリディスはバスケットにお弁当や行楽品を入れながら答える。
「そうね。早くお誘いしとけば良かった」
『由利菜お姉ちゃん、食べ終わったら直ぐに行けるように準備出来てるからね?』
 朝食を食べながら呟く由利菜に、ウィリディスも食べながら笑顔で言った。
 4月にもなると、桜等の木々以外の春の花も咲き乱れていた。
 木の根元近くにシートを広げて、由利菜とウィリディスは紅茶を飲みながらピンク色に染まった木々を見上げた。
「私も英雄と契約できたら、自分を変えられるかな……」
 と、由利菜はH.O.P.E.のエージェントに視線を向けた。
『そんな都合よく英雄が現れるわけないでしょ。大体あたし、英雄がいなくても別に困らないし』
 ウィリディスは首を横に振ると、紅茶の中に花弁が落ちて波紋を作りゆらゆらと揺れる。
「リディスは凄いよね、何でもできて……」
『パパやママはお仕事でいつも家を開けるし、お姉ちゃんがだらしないんだから、あたしがしっかりするしかないじゃない』
 大きくため息を吐く由利菜に対し、ウィリディスは姉の鼻先を指しながら言った。
 ある研究所に所属しているリンカーでもある両親は、よく家を空けたままにするのでのんびりで少々頼りない姉である由利菜の事を世話していた。
『……お姉ちゃんの友達にだって、お姉ちゃんは取られたくないし……』
 と、小さく口にするウィリディス。
「リディス、何か言った?」
『な、何でもないからっ!』
 由利菜が顔を覗きこむと、ウィリディスは内心びっくりしつつも首を横に振った。
『ふぁ~……朝、早かったから……なんか、眠い……』
 大きな欠伸をするとウィリディスは、重たい瞼を閉じると寝息をたてはじめた。
 ウィリディスが目覚めた時に、由利菜の顔が目の前にあった。
「リディス、どうしたの? お昼寝していたみたいだけど」
 由利菜は小さく首を傾げながら微笑んだ。
『……? ほわっ? なんか夢を見ていた気がするんだけど気のせい?』
 目を擦りながらウィリディスは上半身を起こすと、腕を組むと先程まで見ていた夢を思い出しながら首を傾げた。
「そう言えば今日はエイプリルフールだったわね……どんな夢だったの?」
 部屋に飾られた卓上カレンダーに視線を向けた由利菜は、今日が“4月1日”だという事を思い出した。
『んーと、それはねー……』
 少し考える素振りを見せつつもウィリディスは、夢の中で起きた事を由利菜に楽しそうに話した。

●2つの家庭の日常は賑やかで
 父親である辺是 落児(aa0281)こと不知火 落児、長女の不知火あけび(aa4519hero001)、次女の氷鏡 六花(aa4969)そして長男の琥烏堂 為久(aa5425hero001)の四人家族である。
 由利菜達とは反対側にある家は日暮家。
 母親である構築の魔女(aa0281hero001)こと日暮 咎女、長男の琥烏堂 晴久(aa5425)に次男の日暮仙寿(aa4519)、そして長女のアルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)でコチラも四人家族だ。
「みんな揃ってるわね。忘れ物もないかしら?」
 と、咎女が子供たちに言っていると、隣の家からウィリディスの大きな声が響いた。
「準備は出来てるぞ」
 内心嬉しい仙寿は、表情に出さずに答える。
「もちろん! バッチリだよ!」
 晴久がサムズアップしながら嬉しそうに言った。
『ええ、私も準備万端よ』
 穏やかな笑みで言うアルヴィナは、咎女に向かってこくりと頷いた。

「準備は整ってるか?」
 あけびが六花の着替えを手伝ってると、落児が部屋のドアをノックしながら問う。
『お父さん、もうすぐ約束の時間だよー!』
 ふと、あけびが時計を見ると集合予定の時間10分前だった。
「……ん。準備、だいじょぶ……だよ。苺、たくさん持って帰れるように……みんなの分、袋も、用意しておいた…から。みんなでお出掛け……楽しみ、なの」
(どっちもしっかりしてるから大丈夫だよね、流石!)
 着替え終えた六花の頭を軽く撫でると、あけびは妹と一緒に荷物を持って玄関に向かう。
「それじゃぁ、出発しようか」
 全員居るのを確認すると、落児は家のドアに鍵を掛けた。
「あけびたちも準備は出来たかい? 日暮さんのところと一緒にいってきなさい」
『バッチリだよ。やった! 行こう六花、為久』
 あけびは、六花と為久を引き連れて日暮家の皆と合流する。
『これは……どういう状況だ?』
 違和感に気が付きつつも為久は、流されるがままに見知った顔の“家族”と出掛けるが。
「為久様ー!!」
『ハル? お前ハルだな?』
 嬉しすぎて晴久は為久に抱き付くが、当の本人は困惑した様子で問う。
「どうしたの急に? あ! もしかして、今日の為に気合い入れて来たから美人になりすぎちゃった?!」
 困惑してしまうのも仕方がない。
 晴久は何処からどう見ても美少女(男)にしか見えないのだから。
『仙寿、お前の兄だろう。なんとかしてくれ』
 と、為久は助けを求めるが、仙寿は視線を合わせぬように反対側に視線を向けた。
 日暮家と不知火家の両家が集まり、苺狩りにへと向かうのであった。

「仙寿、苺狩りの手配ご苦労! よくやった!」
 と、意気揚々と言いながら晴久は、手拭き用のウェットティッシュ、ゴミ入れ用のビニールを配る。
 褒められた事に対し仙寿は、表情1つも変えずに視線を晴久に向けるだけだが、内心嬉しい。
「アルヴィナも休みが合ってよかった♪」
 晴久は手渡しながら言う。
『ええ、明日からまた遠征だし……今日は思いっきり楽しみましょうね、兄さん』
 受け取りながらアルヴィナは笑顔で頷いた。
『それじゃ、いきましょうか。汚さないように気を付けるのよ?』
 咎女が子供たちに苺を入れるカゴを配りながら一人一人に言う。
「あぁ、咎女さん。お疲れ様、ゆっくりされていますか?」
 子供たちがビニールハウスに行くのを見届けると、落児が笑顔で咎女に声を掛ける。
『えぇ、なんとか。荷物も見てくださっててありがとうございます。しかし、思った以上に広いですね、ここ。あの子たちはなんであんなに元気なのかしら』
 と、言いながら声を上げる子供たちに視線を向けたまま、咎女は小さく首を傾げた。
「全員で出かけるのも久しぶりだからかもしれませんよ」
 落児は頷きながら答えた。
『喋ってる……』
 為久が驚きの声を上げる。
「何時も喋ってるじゃないですか」
 落児がきょとんとした表情で為久を見つめる。
『あ、いや……父さんと一緒にいるのは、なんだか久しぶりだと思って』
 と、慌てて別の話に切り替えた為久に、落児は「そうですね」と笑いながら言った。
『たまにはリフレッシュしないとですよ! あ、練乳使いますか?』
 あけびは摘んだ苺を、咎女と落児に差し出しながら言う。
『あけびちゃん、ありがとう』
「何時も気を使わせて悪い」
 咎女は微笑みながら苺を受け取り、落児は申し訳なさそうに言った。
『お父さんももっと食べて!』
 と、言ってあけびは更に苺を落児のカゴにどさどさと入れる。
「た、食べきれるかな」
『持ち帰る分は、アルヴィナと一緒に考えるから大丈夫!』
 嬉しそうに落児が言うと、あけびは胸を張りながら言った。
「母様! 奥の方にたくさん生ってるよ!」
 と、晴久が咎女言う。
『あけびちゃんが持ってきてくれたから、晴久ちゃんは皆と行ってらっしゃい』
「うん!」
 咎女の言葉に晴久は笑顔で頷いた。

「食う時はヘタ側から食べた方が良いんだ。先端の方が甘いからな」
 と、兄と姉に熱く苺の知識を語るのは仙寿だ。
『あら……そういうものなのね。仙寿は苺博士ね。分かったわ、食べる時はヘタ側から……ね』
 弟の話を楽しそうに聞くアルヴィナ。
「ふふ、仙寿お兄ちゃん、苺、大好き……だもんね。苺狩り……一番、嬉しそう」
 と、六花が微笑みながら仙寿を見上げた。
「さすが仙寿、よく知ってるね♪弟可愛いなー。あ、これも食べ頃かな?」
 仙寿の話を笑顔で聞きながら、晴久は苺を指しながら問う。
「あぁ、それは食べごろだろうな。六花、この苺甘いぞ。食ってみろよ」
 そう言って仙寿が苺を取ると、六花の小さな手に乗せた。
 ヘタを取り、六花は大きな苺を両手に持ってパクっと口に入れた。
「……ん。ほんとだ、苺、美味しい……」
 みずみずしく、とても甘い苺に六花は嬉しそうに微笑んだ。
「仙寿~苺が摘み難いよ~」
「晴久、苺はこう摘むんだ」
 晴久が可愛い弟に向かって言うと、仙寿は少し嬉しそうに「ヤレヤレ」と呟きながら摘み方を教える。
『六花、一人で遠くに行くなよ』
 ビニールハウス内を歩く六花に為久が声を掛けると。
「ん、じゃあ……為久お兄ちゃんも、一緒に、行こう?」
 六花は為久の手をぎゅっと握りながら言った。
『そ、そうだね』
 妹から構って貰える為久は、握られた小さな手をぎゅっと握り返した。

 苺狩りを終えた一行は、園内にあるカフェで一息付くことにした。
『持ち帰った苺でお菓子を作りたいなー。何が良いかな?』
 と、あけびはアルヴィナに話をふる。
「そうねえ、こないだヨーロッパ大会に遠征した時に食べたタルトはとても美味しかったわ。帰ったら、一緒に作りましょうか」
 アルヴィナがメニューから視線を反らし、遠征した時の事を思い出しながら笑顔で言う。
『あ、いいなー。うん、作ろう!』
 テーブルにメニューをぱたんと置き、あけびは両手を胸元で合わせると元気よく言った。
「六花も楽しんでるかい? 注文が決まったらみんなと一緒に頼もうか」
 落児は六花を頭を撫でながら話す。
「うん、みんな一緒で……嬉しい……の。毎日、こうだったらいいのに……
ん。ごめん……なさい。パパが、いつも、お仕事、がんばってくれてるの……知ってる……から。六花……さびしく、ないよ。だいじょぶ……だから」
 六花は落児にそう言うと、はにかんだ笑顔で言った。
「りっちゃん可愛い。膝に乗せたい……じゃなかった。何頼む?」
 晴久が六花の隣に座りながらメニューを開いた。
「……ん。膝に乗るのは……乗りたいけど……恥ずかしい……の。ん……六花……冷たいアイス、食べたい……」
 冗談を間に受けつつも、六花はメニュー一覧に載ってる「アイス」を指した。
「あーもーダメ、仙ちゃん可愛い~!!」
 堪えきれなかった晴久は、仙寿に抱き付いて頬擦りしながら頭を撫でる。
『仙寿は楽しめた? パンケーキとかもあるみたいだけど気になるものあるかしら? パフェも美味しいわよ? 晴久。あと、帰ったら今日は一緒に料理でもしましょうね』
「はい、すみません。兄さんがとても邪魔で……」
 メニューを見る余裕の無い仙寿は、咎女にメニューを見せて貰いながら苺パフェを指した。
「はーい、母様!」
 無邪気に返事をしながら晴久は手を上げた。
『ハル、仙寿って部活の試合で勝ったんだよね? じゃあご褒美に皆で頭を撫でてあげよう!』
 と、提案するあけび。
「試合で勝った? ボクまだ聞いてな……あけびに真っ先に報告したね?」
 ぴたっと、頬擦りと手を止める晴久は仙寿を穴が空くくらい見つめる。
「姉さん、未だにガキ扱いしてくるあいつをどうにかしてくれ……!」
 と、アルヴィナに助けを求めるがーー……
『アルヴィナも楽しんでる? それ、ちょっともらっていいかしら?』
 咎女が頼んだスウィーツを手にアルヴィナに声を掛ける。
『ええ、楽しいし美味しいわ。母さんも食べてみて? あ……ねぇ、母さんのも一口頂戴』
 アルヴィナは頼んだスウィーツを差し出し、咎女のスウィーツを楽しそうに食べていた。
「……ん。おめでと……。仙寿お兄ちゃん、いつも、稽古がんばってるから……その成果……だね。勝った時の仙寿お兄ちゃん、すごくカッコよかった……の」
 六花は椅子の上で膝立ちし、仙寿の頭に頑張って手を伸ばして撫でる。
『おめでとう。姉さん、ご褒美にハグもしてあげたら?』
 為久がニヤニヤと笑いながら言うと、仙寿とあけびは何故か大慌てで視線を反らした。

 春の陽気に当てられたのかいつの間にか寝しまっていたエージェント達は、夢から覚めた瞬間に目を丸くした。
「………ロロ?」
『……違和感がなかったのがびっくりですね?』
 構築の魔女は落児の言葉を聞いて苦笑した。
「母さ……魔女! これは一体……!?」
 仙寿は夢の内容に赤面しつつ声を上げた。
『楽しかったー! 皆可愛かったよ! お父さんもね! 』
 一方、あけびは満足げに微笑みながら声を上げる。
『仙ちゃん可愛いー』
 狐の仮面を被ってる為久が楽しそうに、仙寿を指しながら声を上げた。
「なんだ夢か……母様と料理したかったなぁ」
 と、少し寂しそうに構築の魔女に寄り添いながら、晴久は青い空を見上げた。
「でも楽しかったー!」
 直ぐに笑顔に戻ると、晴久は“家族”だった友人達を抱き締めた。

 4月1日
 午前に“ウソ”を言って、午後に“ウソ”だとバラせば実現しないとも言われる日
 この“ウソ”は“IF”の話
 楽しい“ウソ”でしたか?

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 希望を胸に
    アンジェリカ・カノーヴァaa0121
    人間|11才|女性|命中
  • ぼくの猟犬へ
    八十島 文菜aa0121hero002
    英雄|29才|女性|ジャ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 花の守護者
    ウィリディスaa0873hero002
    英雄|18才|女性|バト
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 奪還屋
    琥烏堂 晴久aa5425
    人間|15才|?|命中
  • 思いは一つ
    琥烏堂 為久aa5425hero001
    英雄|18才|男性|ソフィ
前に戻る
ページトップへ戻る