本部

アドバンスドDD

鳴海

形態
ショートEX
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
13人 / 4~15人
英雄
13人 / 0~15人
報酬
多め
相談期間
4日
完成日
2018/03/20 14:00

掲示板

オープニング

● 愚神パーティー
 『個人のアヴァラエル』および『全域のスローン』が倒された。
 スローンは地面に足をつき、霊力となって消え去りそうな体を静かに抱き留める。
「おお、おおお私が、まけた……」
 しかしその表情は晴れやかで、望みを達した少年のように明るかった……のだが。
 次の瞬間スローンの表情は驚きに見開かれる。
「なぜ、なぜだ! なぜ私の体が塵とならない」
 明らかにスローンは致命傷を受け、核となるべき心臓も貫かれた。なのにもかかわらずスローンは意識を保っている。
 しかし力はない。誰かに奪われている。
「そ、そう言うことか。じふぇいたすぅううう」
 次の瞬間、研究所全域に光が灯った。途端に唸りだす研究所内の機器。
 古ぼけ、埃をかぶり、偽装されていはいたがれっきとした何らかの装置だった。
 それがジフェイタスの力と連動して死んだ愚神の力を集めている。
「服役者は誰だったのかって話よ」
 そう妖艶に微笑むジフェイタスはリンカーたちに向き直る。
 実を言うとリンカーたちはこの研究所から撤退できるし、増援も紛れることができた。
 この張られた檻は愚神に対する檻だとわかった。
「私はまだあきらめてはいない」
 そう告げて立ち上がったのはAD。その身に一撃受けてはいたが、愚神たちの霊力を吸収することで力を取り戻しつつある。
「異世界からの侵略を阻むために、すべての人類が強くなる。自分の命は自分で守れる世界を目指したのだが、それでは駄目だったようだ」
 ADはうなされたように告げる。脈絡もない、彼の中でのみつながった言葉を。
「リンカーたちよ、悪いことはいわない。ここで戦いを終えるのだ。この先絶望しかない」
 ふらつく指先で持ち上げたのは、一本の薬液。そして物陰から引きずり出したのは裸の少女。
「戦い続けるだけではだめだ、それでは絶望から抜け出せない。Dendそれが君たちに約束された未来だ」
 その薬液を少女に打ち込むと、少女は悲鳴をあげながら姿を変えた。
「ペインキャンセラー改めワイスキャンセラーの完成だ。皆協力ありがとう」
 告げると少女が変容した黒い靄に囁きかける。
「奴らを殺せ」
 新たに生まれた『暗夜のベスペファロ』は残る二体の愚神と共に君たちに襲い掛かった。

● 愚神たち
『暗夜のベスペファロ』
 その体は暗闇が人形に集合したふわりとした存在。
 物理的接触は不可能であり、物理攻撃無効の特性を有する。
 魔法攻撃に関しては弱いため、それで攻撃するしかない。
 その存在は恐怖の体現であり、夜の申し子である。攻撃手段は零レンジによるまとわりつきだけだが。
 ベスペファロと接触すると精神に介入される。具体的には、仲間を敵だと認識するようになり、1ラウンドキャラクターが乗っ取られたような状態になる。

「………………」
 暗く闇に閉ざされた一人の夜は心が寂しくなるものだ。
 やさぐれた心は誰かを傷つけるまで収まらず、痛みを世界に叫ぶだけ。

『囚役のジフェイタス』
 その身は軍服に包まれた女性、身長は低めだが常にサディスティックな笑みを浮かべている。
 その手のウィップと短刀が武器。
 鞭で拘束し、短刀で切り裂くのが基本スタイル。
 さらに彼女は拘束することに長けている。
 動きを封じられて接近を許せばいつの間にか手錠がされている。
 手錠の能力は単純に両手をつかわせない……以外に自分と手錠を繋いで遠ざかることを防ぐ能力もある。
 地味だが真の能力はそのドロップゾーンにあるため仕方ないだろう。

「私が管理する監獄に脱獄は許されないわね」
 囚役とは彼女自身をさす言葉ではない。
 彼女は永遠に囚人を繋いでそれを眺めることを至上の幸福とするが。
 はたして彼女にとって、どこまでが監獄なのだろう。

『天啓のアグロ』
 アグロは背中に翼をたたえた天使として降臨する。
 もっとも戦闘能力が高く、自身の天才的なひらめきによって、幸運を引き寄せたかのように致命的、あるいは奇跡的行動を起こす。
 つまり判定で有利な愚神である。
 通常攻撃は手に携えた槍の刺突。および槍から発射する熱光線である。
 飛行能力を有する。

「神を信じるか、ならば授けよう、貴様の生きる道だ。私を崇めよ」

 天啓とは天上の神から教えが降ることをさす。
 アグロはそれを誰にでもやってしまうのだ。
 正しい行動、間違っている行動に限らず、他人の直感に干渉する。
 人の脳内に直接情報を埋め込むことによって、瞬間的判断を誤認させるのだ。


● 愚神の門
 ADという存在は確かに以前この世界に存在していました。
 彼は愚神と同じ力を得ることによってこの世界を守ろうとした一派です。
 英雄の力だけでは力不足。なので愚神の力をそのまま使おう。そう言う算段ですね。
 しかしそれは失敗しました。
 彼が愚神研究の果てに何を見たのかはわかりません。 
 しかし、彼の行いは愚神勢力を助ける結果に終わり。さらに、このまま戦い続けても勝てない。
 そう察してしまったのです。
 失意と絶望に飲まれた彼は自らを愚神へと変貌させることを誓います。

解説

 成功目標  三体のデクリオ級愚神討伐。
 大成功目標 ???

 今回は登場した愚神三体が同時に襲ってきます。
 前回と違い好戦的なのが気になるところですが、ADをとり逃さないためにここは相手をするしかないようです。 
 できればADも野放しにしたくないところですが、ADは施設の中を逃げ回っており、捕えることは容易ではありません。
 さらにADは瞬時に自分の手もとに愚神をワープさせる力を持ちます。


●状況説明
 AD戦二戦目です。愚神ラッシュですが、おそらく対策を講じなければまた新たな愚神を生成されることでしょう。
 ただ、ここで引けばADを取り逃し、今後愚神を大量生産されるのでいったん引いて体制を立て直すわけにもいきません。
 さらに前回シナリオに参加しているリンカー。
 つまり撤退せずに、研究所で戦い続けることを選んだリンカーですが。
 問答無用で生命力が75%の状態でシナリオがスタートします。
 連戦という設定なので。
 増援で来ていただけるリンカーに期待するしかないでしょう。
 

●戦場について

 研究所は広く、皆さんは任意の場所にいることができます。
 ただし、前回地下室の天井に大穴があけられているので注意です。
 一つの階層が六つの部屋、大ホールという形で構成されていて。
 三階建てです。
 一つの部屋は学校の教室程度、大ホールは体育館程度を想定してください。
 ただし、撃ち捨てられた機材、弾薬、爆薬など、軍事施設、研究施設におかれてそうな物が無造作に投げ捨てられているので、それにも注意が必要でしょう。
 戦うにしても、皆さんがスタートする地下大ホールは二体の愚神を相手取るには狭いと思うので移動する必要があるでしょうか。

リプレイ

プロローグ~増援~

 研究所を光が覆う、膨大な霊力が膨れ上がるがそれを抑え込むように障壁が展開された。
 それこそ囚役の本当の力、霊力を外に漏らさない檻の完成である。
 それを静かに眺めている者達がいた。
「怪しげな装置に」
「怪しげな愚神の群れ」
「まずは物理的に黙らせる」
 告げたのは内部に潜入した工作員から最後の情報を受け取った『イリス・レイバルド(aa0124)』。そして『アイリス(aa0124hero001)』。
(状況判断、その為に情報を貪欲に集める)
 アイリスはこの状況に対して試案を巡らせる。
「なるほど、人間もここまで蠢動していますか」
 そう告げたのは『構築の魔女(aa0281hero001)』。すでに『辺是 落児(aa0281)』とは共鳴済み。
「愚神を一足飛びに作り上げますか……研究内容にはとても惹かれますね」
 そう構築の魔女が張り巡らされたバリアに手をかけると、そのバリアはやすやすと構築の魔女を受け入れた。
 中に入るのは自由のようだ。
「てはず通りに。私はADを」
 その言葉に頷くイリス。アイリス。二人を共鳴の光が包んだ。
「いくよお姉ちゃん」
――ああ、イリスが望むなら。
――自業自得、本末転倒、表す言葉は色々あるが…………。
 『ベルフ(aa0919hero001)』が静かに告げる。
「何にせよ、このまま野放しにはできないね。」
――だが、一筋縄でいかない相手なのは確かだ。気を引き締めてかかれ。
 『九字原 昂(aa0919)』はその言葉に頷くと前傾姿勢をとる。そして研究所に突入。作戦が開始された。


第一章 開戦

 変貌していく肉体。その表情は苦悶で彩られ、うめき声を垂れ流す口からピンク色の水が噴き出した。 
 泡立ち異臭を放つそれは、内臓と血をかき交ぜたような生々しいにおいがする。
 その光景に『無月(aa1531)』は殺気を抑えきれなかった。
「お前は! 追い詰められてなお、罪を重ねるつもりか!!」
――落ち着くんだ無月。
 『ジェネッサ・ルディス(aa1531hero001)』がそう無月を制する。その姿が目の前にあったなら無月はジュネッサをきつく睨んでいただろう。
 それと同じ気持ちなんだろう『阪須賀 槇(aa4862)』は歯を噛み砕く勢いで食いしばり銃を構える。
――兄者……。ここは任せてくれないか。
 『阪須賀 誄(aa4862hero001)』が告げると、槇は銃を下ろす。
「どうするつもりだお」
――このまま戦っても負ける。引くこともできない、だったら。
 誄は信じているのだ。この檻の外にいる仲間の存在を。
――あんたさ。生まれは何処? 兄弟は何人? 奥さんは?
 突如語りかける誄。それに対して驚きの視線を向ける無月。
――いやね、こんな痛い奴が育った環境ってどんなかなとね。教えてよ、両親の屑さ加減とか。
「それを聞いてなんになる? 答える義務はないと思うが」
――話を変えるなよ。アンタは誰にも愛されず、必要とされなかったんだ。
 その言葉に視線を細めるAD。
――だから人間が嫌いになった。

――だから人外を目指した。

――だから裏社会を選んだ。

――だから破綻した妄想を弱いガキ相手に押し付けた。

――発想が手遅れなヒキヲタなんだよ。違うなら普通の思い出の一つでも語れっての。
「だれが、人間を嫌いだと?」
 その言葉に誄は答えない視線だけ持って答えとした。
「私か? 私は愛してやっているだろう? 人類を。人が生きられるように愚神に勝てるように、愚神の力を得ようとしたのだろうが」
 ADの言葉に天啓のアグロ。囚役のジフェイタスは面白くなさそうな顔をしてふりかえった。
「それも全ては失敗に終わったがな」
「失敗に終わったって。お前が負けたって思うなら、もうこんなことやめるお」
 そう口をはさんだのは槇。
「お前があがくだけで、すげー数の人が死んで。スゲー数の人が悲しむお。それを失敗だったって言葉で片付けられたく……ねぇお」
――兄者……。
 その槇の言葉に誄は何も言えなかった。真っ暗な部屋で膝を抱える彼を見ているから。
「犠牲も何も背負おうとしねぇ奴はなにもすんじゃねぇお! 迷惑だお!!」
 その言葉にADは目を見開いた。
――あんたは正義を全うしてきたのかもしれない。俺達にはそんなの欠片も正義だと思えないけど。でもつけは払ってもらう。ここでこんな悲劇も終わらせる。
 告げると槇は銃口をADに向けた。
――……《惨めでサイコでコミュ障の負け犬》……それがアンタの正体だ。
 次いで放たれる弾丸。
 先端が開かれた愚神三体が動く。
「い、言い杉だお弟者……」
 ジフェイタスの鞭を回避しながら槇は叫んだ。
「けど、間違ってもねーお!」
 弟を称賛した。
「漏れだって弱ぇーお! 人間だものォ!」
 うち放たれる弾丸はベスペファロの中に消え。
「でも漏れは一人じゃねーお! だから勝てるんだお!」
 アグロがいつの間にか槇の背後にいた。
 そのアグロの槍を無月が巻き上げる。
「もう、これ以上罪なき命が捻じ曲げられて失われていくのを見るのはたくさんだ!」
 槍の柄に掌底を当ててそらすと、愚神を蹴り槇の手を取って距離をとる。
「だからこそ、私は命をかけて愚神にされた少女を助ける。彼女を助けずして、この一連の戦いに真の勝利など訪れはしないのだ……!」
 それとスイッチするように入ってきた少女。尻尾の様な髪の毛が揺れた。
――……二連戦か、きついな……。
 『北条 鞠也(aa5420hero002)』は思う。
「でも、ここで私だけ引き下がるわけにはいきませんよ」
――……分かっている。とにかく私達もADを追うぞ。これ以上敵を増やさせないためにも。
 次の瞬間『楠 セレナ(aa5420)』はアグロの槍を杖で絡め捕り、バックステップしながら霊力をチャージ。
「だが、無茶だけはするなよ」
 杖を構え狙うのはアグロではなくAD、それを察し素早く立ちふさがるのはジフェイタス。放たれた光弾はジフェイタスの短剣ではじかれ天井を穿つ。
 その隙にジフェイタスを左右から襲うのが『彩咲 姫乃(aa0941)』と『煤原 燃衣(aa2271)』である。
 二人は持ち前の機動力で連携。ジフェイタスを素早く落としにかかる。
「乱戦だと厳しいですね」
「なんだ? 体長。もう疲れたのか? 年じゃねぇの?」
「僕まだぴちぴちの……」
「その言い方がもう、ふるくせぇって!」
 ノッている姫乃。彼女は連戦の疲れなど感じさせず、壁を駆け上がりジフェイタスの鞭をかいくぐる。
 燃衣の二連続パンチは短剣を捨てることで徒手空拳で対処。
 上空をとった姫乃のかかと落としが迫るがそれも手の甲で滑らせてダメージを最小で抑えると。
 二人は幻想蝶からAGWを抜き放つ。燃衣はウコンバサラ、姫乃は雪華。二つの刃は二人の霊力の性質を受けて赤く燃えたつように。
 その苛烈な連撃を受けて、ジフェイタスは出血しながら後方に吹き飛ばされた。
「俺がへばってた間に隊長たちも大変だったんだよな」
 姫乃は勢いを殺すために四つん這いで地面を掴む。ゆっくり立ち上がると背中に燃衣の熱気を感じた。
――デスねー。子供を使っての人体実験だとか聞いてますかニャー。
 『朱璃(aa0941hero002)』が告げると、燃衣は困ったように後ろ髪をかく。
「取り乱しました、お恥ずかしい」
「はずかしいことなんてねぇよ」
 姫乃は胸の前で拳を握る。あの時の光景を思い出していた。
 それでも姫乃が歩むのを止めないのは。ひとえに、止まってられねぇ。
 そう思うからだ。
「助けたいからってのは知ってる。それで血を流すような苦い思いをしたのも聞いた。――なのに、今こいつは何をしやがった?」
――少女をお薬で愚神に変えましたニャ。服を着てねーってのも消耗品として使いました感が出てやがりますニャ。
 ADを睨む姫乃。
「許せるか? 許せねえよな?だったら、今までのようにやさしくは出来ねえぞ!」
 その足元から。奇襲めいた速度で黒い闇が迫る。
 新しく登場したベスペファロ。不浄の闇。精神に手を差し込む。無情の存在。
 哀れな犠牲者。それを見下ろす姫乃。
 だが、その闇にからめられようと慌てふためくことはなかった。
 姫乃の傍らに氷塊の様な塊が落下する。
 正しくはクリスタルフィールドの反射がそうみせていただけだが。
「あたい参上!あたいが増援として来たからには勝利は確約されたようなものね!」
 『雪室 チルル(aa5177)』が告げるとその盾で闇を払って高らかに名乗りを上げる。
――でも状況は逼迫してるみたいだよ? 大丈夫?
 『スネグラチカ(aa5177hero001)』がそう問いかけた。
「問題にもならないわ! これから全部ひっくり返すんだから!」
――やるしかないか!頑張ろう!
 次いで暗夜を盾で払うべく突撃したのは『無明 威月(aa3532)』。
「あ……、よか。あの……みなさぁん」
 姫乃に抱き着くとそのまま引きずるように燃衣の元へ。
 すると燃衣の周りにセレナや槇も集まってきた。
「助けに来てくれたんですね」
 そう燃衣が告げると、燃衣の胸に威月が飛び込んだ。
 鼻水をだらだら流しながら涙を流す彼女。
――うお~い、ウチの娘を泣かすんなよなぁー?
 『青槻 火伏静(aa3532hero001)』が茶化すように告げると。威月は居ずまいを正す。
「ご、ごめん…………なさい…………あの…………」
 一生懸命、仲間たちの顔を見ながら、威月は言葉を紡ぐ。
「…………あ、あの人も…………少年たちも…………みんな、悲しい人で…………」
「大丈夫でしたか? 彼に酷い事、されませんでした!?」
 燃衣がそう威月に声をかけると、威月は威月で何事かを思い出して暗くなっていた。
「……わ、わたし…………わけが、分からなくなって、しまって……」
「あ、ダイジョブじゃなさそうですね。あ~。それは全部終わった後に話しましょうか。まずはあいつを……くっ」
 告げると燃衣は脇腹を抑えて蹲る。
「隊長……」
「……ボクは、もう大丈夫…………です。次も、戦え…………ぐッ……」 
 威月が燃衣を治療する。
「わたしも……頼ってください」
 告げると威月は燃衣の手を取った。
「わたしは…………【暁】隊員…………です」
 そう威月は涙をふくと、戦うときの表情になって刃を構える。
「み、皆さま…………となら…………戦えます…………っ!」
――よく言った。
 告げたのは『ネイ=カースド(aa2271hero001)』。そして燃衣の体を膨大な霊力が包む。
――…………半端ものめ。まぁ良い。戦う意志があるのならな。
「あ、これやばいやつだ」
――ひとまず俺がやる、体を貸せ。
 次の瞬間抗議の声を上げる間もなく燃衣はネイに体を奪われた。
「そろそろいいですか?」
 そう暁一向に声をかけたのは昂。死ぬほど驚いた槇は飛び上がって距離をとる。
「アイエ! ニンジャ! ニンジャなんで!」
「これから作戦を説明します」
「基本方針としては、ADへの追跡を主軸にしつつ愚神を削っていきます」
 チルルがその腕を鞭で拘束されながらも告げた。
「愚神3体を数名で足止めしている間に追って!」
 その視線の先ではADが扉の向こうに姿を消した矢先だった。
「あのやろう」
 静かに怒りを燃やす姫乃である。
「愚神は僕たちで負います」
 昂は姫乃を見つめると姫乃はそれに頷きを返した。
「愚神担当は、AD追跡の妨害や愚神同士が連携できない様、相互に分断しながら足止めしてください」
 その言葉にチルルが補足をくわえる。
「ADは愚神を召喚できる能力を持っているみたいだから、なるべくなら3体の愚神とADの位置はある程度近い場所になるようにしてね」
「なかなか無茶言うな」
 姫乃が苦笑いを浮かべた。
「可能であれば入り組んだ場所や愚神担当から離れた場所に逃げ込まれない様、足止めや誘導をお願いします」
 そして追跡中は現在位置を味方に連絡、相互の位置や状況を確認できるように努めること。
 途中ADが愚神を自分の元に呼び寄せたら、追跡担当のうちの誰かが愚神の足止めを行い、残りの面子はそのまま追跡を続行する事。
 愚神担当は相手をしていた愚神が消えたら、無線の情報を頼りにAD、又は足止めしていた愚神の元へと移動する事を昂は一同に言い含めた。
「愚神召喚で担当が再び対応に戻るためにも、各班への連絡用に無線機を必ず用意していくよ」
 チルルが告げると、昂がかけた。それに姫乃も続く。
「但しAD逃走阻止に注力しすぎて愚神に各個撃破される可能性が出てきたら、思い切ってある程度の人員を愚神に割り振る形にするよ。無理はしないでね」
 そのチルルの言葉をスネグラチカが継いだ。
――戦闘エリア内はいろんな武器とかが散らばっているみたいだし、余裕があればそれらを使用不能にするとかしておきたいところだね。
「了解」
 姫乃は静かにインカムの向こうへ言葉を投げると、朱璃が声をかけてきた。
――跳ね回る分周りに目が行くんですから警戒デスよご主人。
「ここは敵の本拠地だ。何があるか分からないからな」
――どんな罠がお待ちかねなのやらデスニャ。
「ついに大詰め……なのかしら」
 そう仲間の増援と共に逃げ出したADを追う『榊原・沙耶(aa1188)』と『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』。
「まだ謎が多い部分もあるとは思うけど、とりあえずはADを何とかしなくちゃね」
 不安要素も多い、だがそれを考慮しても彼を逃がす選択肢は存在しない。
 これで戦いを終わらせる。そう沙耶は胸に抱いて廊下を走った。

第二章 毒を持って毒を


 ADを追うメンバーが散開して研究所内に散ったのを見計らい。
 燃衣とイリスは分断作戦を開始した。
 イリスは暁ではないが共にした戦場は数多く、息を合わせるのに不足はない。
 ADを追ったメンツを就役するためにドアへと走ったジフェイタスを、イリスが遮り背後にネイが立つ。
――……罪人が看守とは、笑わせるな。
 告げるとネイはその身を鞭や短剣が裂くのもかかわらず、喉笛を拳で握りこみ壁にこすりつけるように運んで扉に叩きつけると、ジフェイタスは思わず苦痛で唸った。
 そのまま別の部屋の扉を蹴り破ったネイはジフェイタスのナイフを鎖骨で受けつつ。ジフェイタスの背を地面にこするような低い姿勢のままにその部屋まで運び、最後は天上に叩きつけるように投げ上げた。
 肺から空気を叩きだされたジフェイタス。
「くぅ、乙女の肌になんてことしてくれてんのよ」
 そんなうめき声と、共に真っ赤に濡れた背中をさすり立ち上がるとイリスがいた。
「ボクを捕らえた?」
――違うな。
 アイリスが反射的に告げる。
「お前がボクから逃げられなくなったんだ」
 イリスは起き上がろうとする囚役の足のすねを盾で攻撃。けつまずいたジフェイタスを切り裂こうと剣を振るうも短剣で受けられてしまう。衝撃で吹き飛んだジフェイタスは荒く息をつきながら、破れてしまった服がずり落ちるのを止める。
「かは……リンカーたちがここまで強いなんて」
 呻くとジフェイタスは反撃としてイリスの手に鞭をまきつける。
 しかし、イリスは腕力だけでジフェイタスをひきつけて見せた。
 そして腰を回転させるように突き出された刃『煌翼刃・螺旋槍』。
 それをギリギリナイフで受けたジフェイタスは反動で床に転がった。
「全く、リンカーってのは化物ね」
「化物はお前だ。外道が」
 着地を狙ったのは、ネイ。
 その蹴り、つま先が、背をそらしたジフェイタスの鼻っ面をかすめる。
 そのままバク天のように後ろにそるジフェイタス。
 ジフェイタスはそのまま追いすがるイリスをサマーソルトで、牽制。側面に回り込んだネイへとナイフを振り牽制。
 バックステップしようとするがその背は壁に阻まれる。
「もらった」
 ネイの掌底。口にたまったジフェイタスの唾液が、泡となって飛び散る。
 次いでイリスがその大盾でもって足を砕くように抑える。
「煌翼刃・天翔華!!」
 四枚の羽が刃と共にのびる。ジフェイタスを天上へ蟲の標本のように磔にすることに成功した。そして。
「無様に死ねよ」
 ネイは渾身の力で飛びあがり、その顔面に拳を叩き込んだ。
 天井が粉砕されそのまま巻き上がり。二階へ。
 ジフェイタスは呻きながら瓦礫と共に転がった。
「話はそれだけか?」
 軽い脳震盪、明滅する視界の中、ジフェイタスは割れた二階の床に。しなやかな指がかかるのを見た。
 それだけで本能が警鐘を鳴らす。
 ここにいてはいけない。ここにいては……。
「お前、何を勘違いしている? 俺が、断罪者だ」
 そのまま体をギリギリと持ち上げてネイが這い出てきた。それはまさに地獄から這い出る鬼のように。
「……燃衣、見ていろ。怨念とはこう使うものだ」
 ネイが血を吐くジフェイタスに四つん這いで這いよる。
 ネイはそのままジフェイタスの髪を掴みあげて、そして。
「俺は蛇…………憤怒の蛇。お前の犠牲者の為に。悲鳴をあげろ、豚みてぇに」
「イカレテルゥ、あんた最高にクールね、でもあんたみたいなの救われないよ。いつかどっかで壁のシミになるのがお似合いだ」
「そうか、それもそうかもな、お前もそうだがな」
 ………………。
「あー、ネイさん」
 その後イリスが数分遅れて登場した。
 その翼で飛び上がり、二階へ。しかし。
 その二階は凄惨に塗装された後だった。
「僕の分。何で残して置いてくれなかったんですか?」
 ネイが立っている。顔面がぐしゃぐしゃにつぶれた女を片手に。
 床に天井に。壁に足元に。判で押したような丸い血痕がダムダムと何個も押されている。
 イリスは歩み出す。まだ息があるかもしれない、そう期待した。
 二歩目で踏みつけたジフェイタスの腕は蹴り飛ばした。
 切断されて転がった腕だ。
 しかし、切断されたというには断面が不自然だ、袋を絞ったような形をしている。
「もうADを探しに行った方がいいかもしれませんね。ネイさ……」
 そうネイに歩み寄ったときだった。
 いつの間にか、手錠がされていた。それもネイの足とイリスの腕に。
「あはははは! これでまともに動けないでしょ!」
 そう肉塊となった愚神はひび割れた声で笑う。
「あははははは、捕えてやった。私の監獄だ」
 それに対してネイ、イリスは、冷たく告げた。
「なんだ、これは」
「面白くない冗談です」
「…………テメェ、殺る気あるのか?」
――戦場で随分と悠長な手を打つものだよ。
「やる気がないなら死んでいけ」
 吹き荒れる暴力。
「え?」
 ウコンバサラで絡みあげるようにジフェイタスの体は持ち上げられた。
 ざっくりと鎖骨を砕いて肺に至る刃。それで磔になっているジフェイタスへ。
 イリスがその輝きを向ける。
「ばいばい」
 煌翼刃・崩蓮華。
 刃を突き刺し、霊力を爆発。光の刃でジフェイタスを内部から、ズタズタに切り裂いた。
「あ………………脱獄者。一名アーガサス・ダイナー」
 転がる首。血肉は霊力に分解されるが。不気味に、口のありかだけわかる首だけが言葉を生みだし続ける。
「接近、クリストファー・ダイナー。あははははは、あんたたちは後悔しろ。もう愚神でも、リンカーでも止められない。悲劇は止められないぞ」
 その言葉にアイリスが問いかける間もなく。
 ジフェイタスの頭部はさく裂し。あたりに血をまき散らした。


   *   *


 『鬼灯 佐千子(aa2526)』は研究所全体に散った破壊音を漠然と耳で聞いていた。
 狭い通路、体はほこりまみれ、何日風呂に入っていないのか。それを思うと頭がかゆくてたまらなくなる。
 しかし。ここで辞めるつもりもない。
――ここだな、探し求めていた部屋は。
 『リタ(aa2526hero001)』が告げると、佐千子は指だけ通風孔の格子から出し、器用にボルトを外していく。
 今のところ佐千子の存在は愚神たちにばれているわけではない。
 口に食わえたSMGリアール、その肩掛け部分を垂らしながら、佐千子は身軽にその部屋に降り立った。
「人間の尊厳を踏みにじり、社会秩序に唾する。…………人を人でなくして何を守るというのかしら」
 そこは資料保管室。
 それだけではない。Dにとってこの施設を管理するための心臓部。
 調べによるとやはり、重要な機器は持ち出されており、研究成果も運び出された後だったが。
 愚神を束ねる装置が起動している今。
 どこかにそれを制御する部分があるはずだと、佐千子は睨んでいた。
 DDが管理していた研究所のように。
「ここからなら……」
 そう佐千子はPCの電源を入れる。
 パスワードやセキュリティーについてもばっちり暴き出している。
 PCを掌握するのは難しいことではなかった。
 そして。
「榊原さん、聞こえる?」
 その双眸に研究所の見取り図を映しながら、カメラの映像を漁る佐千子。
「これからオペレートする。こちらと連携して」
 こうして、狼狩りが始まる。

第三章 追跡。

 姫乃と昂は逃げたADを追って廊下を疾走していた。
 しかし、ADはどこにそんな体力があるのか、二人の追跡能力をもってしても追いきれない。
 それどころか。彼はジフェイタスの能力を獲得しているのだろうか。
 壁をはって通路を封鎖したりして、二人を迂回させ、なかなかたどり着けないようにしていた。
「てめえええええ! AD!」
 ハングドマンで立体的に天井や壁を飛び回る姫乃。
 その壁を刀で切りつけても、手がしびれるように痛むだけ。
「僕が向こうから回り込みます」
「上に上に逃げてる。下に降りるルートはなかったはずだ!」
 姫乃と昂は頷くと二手に分かれた。
 昂は最高速度で壁を走る。
 地不知は障害物をものともしない走破力を彼に与えた。壁や天井、資機材等を足場に最短距離を突っ切る。
 その時だ。研究所が大きく揺れた、轟音、爆発音。
 そして瓦礫が崩れる音。
 その音に沙耶はいつもの微笑みで天井を見る。
 次いで。彼女はネクロノミコンにて天井を破壊。そのままゲシュペンストの馬力で飛び上がり、見事敵の眼前をとることに成功した。
「く……」
「残念ねぇ」
 歯噛みするAD、沙耶から放たれるロケットアンカー。
 それをADは長剣で打ち払うと、沙耶の脇を走りぬけようとする。
 次の瞬間、パージされてあたりに散らばった沙耶のゲシュペンストがADの足をとった。 
「ナイスタイミングねぇ」
 そう沙耶は通信機越しの佐千子に賛辞を送る。
 彼女の仕掛けたトラップが効いたのだ。階段を爆破し、多数の瓦礫で行く手を遮った。
 沙耶は次いでレイジ・マトリクスを装備。
「だが、こちらには最後の手段が有る」
 その足元に刻まれたのは魔法陣。その魔方陣から姿を見せたのは暗夜のベスペファロ。
 その召喚に集中力を持って行かれた最中、昂と姫乃が背後と沙耶の空けた穴から一気に距離を詰めた。
 昂の女郎蜘蛛での移動阻害。
「前回の戦いでADの吸収が集中力依存だってわかってたからな、狙ってたんだよ」
 姫乃はハングドマンでADの腕に伸びるが、ADはそれを地面に転がるように回避。かわりにほとんど身動きが取れなくなった。
「つまり、こちらを意識せざるを得ない」
――食事どきの羽虫よりもうざったく思わせてやりましょうかニャー。
「虫に例えるのはやめろ」
 スキル使用をちらつかせる姫乃。
 だが本命は猫だまし、一瞬だけ意識を刈り取る、前回の縫止とは別手段で勝ち取りに行く結果は同じもの。
 戦場において一瞬の空白さえあれば沙耶がロケットアンカー砲で彼を固定するだろう。
 問題は登場したベスペファロ。
 沙耶はそれを攻撃できない。
 まだ彼女を助けることを諦めない。誰かがいるから。
 そのベスペファロが消えた戦場は混乱していた。
 戸惑いを見せる、無月、威月。
 そのまま暗夜を追おうとするがその隙を見て威月にアグロが槍を投げつけた。
 それを弾いたのは『藤咲 仁菜(aa3237)』。
――神様を信じた事なんてないから、崇める必要はないな!
 『リオン クロフォード(aa3237hero001)』が告げると仁菜は頷く。
「信じるのは神様じゃなくて仲間だよ!」
 仁菜は告げて威月と無月に頷きを返す。
「行ってください! ここは私達が食い止めます」
 告げると構築の魔女が悠々と二人に歩きよった。
 にらみ合うアグロと仁菜は一歩たりとも動けない。
 そんな静寂を、構築の魔女の銃声が切り裂いた。
 双銃による高機動戦闘。壁に足をかけはねあがり、上空からの乱射。
 その隙に仁菜は姿勢を低くしてアグロに盾でタックルを。
 アグロはその盾を槍で払いのけると、前に一歩踏み出した。
 構築の魔女が放つ弾丸、それがまるでアグロを避けるように飛び交い、弾丸が当たらない。
「これが神が認めた奇跡」
「そうですか、なら当たる距離まで近づきましょう」
 アグロの槍を銃身でそらす構築の魔女。そのままトリガーを向けるも、アグロは首を振るだけで回避してしまう。
 それどころか左手の銃にガキィと衝撃が走る。ジャムったと呼ばれる現象。
 玉づまり、スライドが弾丸を噛むように固定されピクリとも動かない。
 それを一瞥するとにやりとアグロは笑い槍を振り上げた。
 その槍から膨大な熱量が放たれるとその熱の刃は壁を焦がしながら構築の魔女に振り下ろされて。
「私に対する最適な行動は、後ろに回り込んだ彼女に対しては下策ですよ?」
「なに?」
 仁菜はその盾で打ち上げるように槍を払う、光線がそれたことで構築の魔女は地面すれすれまで姿勢を落しつつ其の場を離脱。
「どきなさい」
 アグロは戦闘能力も高かった。
 その刺突はベテランリンカーのそれにも劣らない。
 攻撃に対して防戦一方になる仁菜。
 しかし、構築の魔女にアグロが意識を向けるとすかさずその視線の先に入り込み盾を構えて見せる。
「あなたに構っている暇はない」
 空に飛びあがる愚神。その槍の矛先は構築の魔女を向いている。
「すみません、戦線復帰します」
 伸びきったスライドをトリガーを引いて戻す構築の魔女。リロード。
 その瞬間放たれたレーザーへ、構築の魔女は銃口を構えたまま待機。
 放つ弾丸。
「私に通ずると思うか」
 焼き斬られる弾丸。
「危ない!!」
 仁菜が構築の魔女を庇って転がった。
 その豊かな髪が焦げるにおいが仁菜の鼻をくすぐる。
「許せない……」
 こんなきれいな髪を、乙女の髪の毛を何だと思っているのか。
 そう立ち上がると、目の前にアグロがいた。
 アグロは亡霊のように立ち上り、そして真上から仁菜に槍を突き刺そうとする。
 それを仁菜は全身全霊で耐えた。
「あああああ!」 
 アグロは仁菜を攻撃しながらその瞳で構築の魔女を見つめている。
「何を見ている?」
「……」
 構築の魔女は何も語らない。
「信じぬのか。神を」
――だから神なんて。
「信じるつもりはないんだから!」
 仁菜が渾身の力で槍を跳ねあげた。
「そんな力どこに」
 仁菜は敵の攻撃に耐えているあいだ。自力で再生を続けていたのだ。
 盾が蒸気をあげ、陰炎を立ち上らせるくらい熱されても。
 肌が溶け、盾に張り付いても、激痛に耐えて盾を握り続けた。
「私達は天才的なひらめきも幸運もないけど……!」
――運に頼らなくても守れるように強くなったんだ!
 運命だとか。神だとか。そんなものに惑わされてたまるか。
 そう仁菜は瞳で語る。
 仁菜は思うのだ。本当の強さは、運命を越えて行ける意志の力。
 そしてそれは自分自身にも宿っている。
「何か守れなかったとき」
――運が悪かったなんて言葉で諦めたくないから。
「どんな不運も弾き飛ばすくらいじゃないと」
――回復職なんて務まらないな!
 霊力が増した。その瞬間仁菜は其れこそウサギの脚力で盾を構えて飛び上がり。空に浮いていたアグロを大きく跳ね飛ばした。
「ぐあっ! この……八つ裂きにして……」
「いえ、それはもう無理です」
 構築の魔女が銃口をアグロに向けていた。
「状況の再構築はすみました。その運を攻略して見せましょう」
 構築の魔女は計算する。
「藤咲さん」
「え?」
 仁菜は振り返る、そこには柔らかに微笑む構築の魔女がいた。
「私の言うとおりに動いてください」
 その言葉に仁菜は頷いた。
「うん!」
 射角。敵の位置。速度。仁菜の耐久力。壁。そして自身の精度。
「加速、七時の方向。盾を構えて」
「はい」
 まず、億地区の魔女はアグロ自身も状況に対する最適解を選択させられると思考した。
「私の銃弾に対して、盾の角度を、そのまま後方にバックステップ」
 失敗や揺らぎがあるからこそ多様性に富み戦略に柔軟性が生まれると仮定。
 瞬間的な最適解を積み上げた終端にある袋小路に追い込む。
「私を守るためにこちらへ」
「はい」
 そして。
「常に最適な行動がとれるということは常に行動を予測することも可能ということでもありますよ?」
 アグロは目を見開いていた。
 信じられないものを見た。
 確実に自分の幸運は発動していて。今までほとんど無傷だった。
 なのに今。なぜアグロは。
 構築の魔女の目の前でひざまずき。額に銃口を押し当てられているのだろうか。
「しかし、幸運が介在する余地を残した……」
 アグロは勝ち誇ったように告げる、より目になって銃口を見すえる。
「ええ、弾丸が詰まってしまえばそうですね」

 そこでも構築の魔女は不敵に笑って見せた。
「ですが、私がこの銃であなたを倒すと言った覚えはありません」
 次の瞬間、狭い一室に響いたのはぶみゃぁあああという鳴き声。それと共にアグロは炎に包まれた。
「おはぎが……はたらいてるよ」
 仁菜は燃え盛るアグロを眺める。痛みを感じるのも久しぶりなのだろう。アグロは地面をのた打ち回り火を消そうともがいていた。
「確かに経験と経験の記憶は等価で脳が認識すれば区別はつかないでしょう……」
 そして最後にと、構築の魔女はアグロに銃口を向ける。
「しかし、それでも情報は私が認識して私が作り出した情報ではないのですよ?」
 そうトドメの弾丸を放つも。
 その弾丸はコンクリートを射抜くにとどめた。
「逃しましたか」
 緊急召喚。
 ADがピンチのようだった。


第四章 指先に灯る火

 黒焦げのアグロが召喚されたのは場がベスペファロによって混沌に陥れられたあたりだった。
 暗夜はその精神干渉で。ほぼすべてのリンカーを圧倒している。
 具体的には仲間割れ。
 乱戦でこそ真価を発揮する愚神と言えるだろう。
 そして、その中心に呼ばれたのはアグロ。
 彼も戦闘に向いた愚神である。
「俺が死ねば困るだろう?」
 そう不敵に笑う。AD。
 しかし、アグロはそれに首を振った。
「いや、もはや動ける愚神は私一人、そしてお前の野望は捨て置けない」
「なに?」
「ここで始末させてもらおう」
 アグロが槍を振り上げると、ADは長剣を構えた。
「何が起きてるんだぞっと」
 遠回りの末戦場に到着したのは槇。
 槇はあっけにとられる沙耶や昂を一瞥すると。
「あ。姫乃たん、そこマジでやばいから」
 いつの間にか背後に迫っていた姫乃。密着状態で槇の首にハングドマンをからめ手を遊ばせている。
「あぶなああああい!」
 突如、脇腹にタックルを受けて転がる姫乃。
「え? な……俺。一体どうして」
 正気に戻った姫乃へ手を差し伸べたのはチルルだった。
「で。これどういう状況なの?」
 チルルにひとしきり説明する槇。話し終えると、とりあえずと銃を構える。
「一網打尽だお」
 槇が放った弾丸は空中で無数に分裂する、ダンシングバレットは壁に跳ね返り、愚神たちをへと降り注ぐ。が。
 それで足を止めたのはAD。
「くぅ!」
 障壁を周囲に張り巡らせ。弾丸を防ぐが。暗夜はもともと物理攻撃が非常に効きづらい。
 対してアグロはそれを平然と避けて見せる。
「くっ! 止まるお! 動くと当たらないだろJK!」
「じゃまだ!!」
 放たれるレーザー。
 それから槇を守ったのは威月。
「おくれ……ま、した」
「メイン盾きた! これで勝つる」
――兄者っていっつも女の子の影に隠れてるよな。
 その言葉への言及は今はしないと心に決め。槇は射撃姿勢をとる。
 それにしても場が混沌とし過ぎだ。
 ADはアグロの攻撃をそらすので精いっぱい。アグロはレーザービームをふんだんに使って。周囲のリンカーごと薙ぎ払ってくる。
 それに追いすがろうと、昂と姫乃が飛び回るが、ベスペファロに邪魔をされる。
「フラッシュ行くおッ! 目ぇつむるお!」
 そう小細工で敵の注意をひきつけようとしても誰もきいていない。
 さすがに槇もイラッと来たので。
 ADの足を打ち抜いて見せた。
「ぐお!」
 なぜ! という顔を向けるAD。
「いや、逃げられたくないし」
 振り下ろされるアグロの槍。
 それを止めるのは無月と仁菜。
「まだこの人をやらせるわけにはいかない」
 無月は告げるとアグロを引き離すため、仁菜と連携。
 その間ADの面倒を見るのはチルルである。
 放たれたロケットアンカー砲はADの腕に巻きつき。それを引っ張りながらチルルは徐々にADへと近寄った。
 そして左手に構えるウルスラグナ。その剣は霊力を強く纏っている。
 ライブスリッパーで昏倒させる狙いだろう。
「くっそ。あたんねぇお!」
 そうチルルの背後から唐突に悲鳴が聞こえた。
 槇の声だが。狙っても狙っても当たらない。
 こんなこと初めてである。 
――せめて隊長がいてくれたら。
 告げる誄。
「まだ集まってないメンバーがいるみたいだね」
 ADと綱引き中のチルルが額の汗をぬぐいながら告げた。
「今なら」
 そうアグロと、ADに対応できている状況を見て無月は駆けだす。
 それは当然ベスペファロへ向けて。
「あ、忍者さん忍者さん」
 そう無月に駆け寄るのは槇。
 その手に握られた錠剤を無月は指でつまんだ。
「これ、俺らの研究の成果だお」
 従魔化を阻害する薬だが。完全に愚神となった人間にそれが聞くのかは未知数だ。
 そして、その未知数というのも。
 希望的観測である。
 しかし無月は。
「ありがとう、必ず助ける」
 そう告げて駆けた。霞のような存在になってしまった彼女へ。
「彼女を覆うのは薬で作られた偽りの闇、闇に生きる私がまがい物の闇に負ける訳には行かない」
「手伝い……ます」
 その動きに威月は合わせた。威月は立ち止まりダズルソードによる斬撃で行く手を遮った。
 それに合わせて無月は武装をオーラルスウィップに持ち替える。
 実態のない体を捕えるには、魔法を介した武器でないとダメだ。
 その点オーラルスウィップであれば申し分ない。その鞭の動きで無月はその影を捕える。
 すると何を思ったのか、無月はその体に鞭をまきつけながらベスペファロに密着してしまった。
 驚きの声を上げたのはジュネッサ。
――まさか……無月、君はチキンレースに持っていくつもりなのか!?
 強い、混濁した意識が流れ込んでくるのを感じる。様々な感情が一挙に押し寄せるが、それはどれも、辛い、寂しい。痛い。
 そんな負の感情ばかり。
 それを無月は顔をしかめながら真っ向から受け止める。
「彼女の闇が晴れるのが先か、私の闇が消えるのが先か。お願いだ、ジェネッサ、私と共に命を賭けてくれないか」
――解っているさ。ボクもそろそろ負け続きの戦いを終わらせたいからね。
 告げると二人は霊力を高める正気に戻すために、全力で彼女を抱きしめる。
「ヤラセはしない」
 アグロが、仁菜を振り切って槍を伸ばした。
 しかし、威月がその槍をアンキレーで叩く。
 同時に動いたADは沙耶とセレナで壁を作って通さない。
「邪魔は……」
「させない!」
 仁菜と威月は盾をL字型に合わせると、アグロが飛び立つ前にその体を抑え込む。
「ぜったい、たすける!」
「絶対守る!」
 威月の高らかな声に仁菜は嬉しくなって少し微笑む。
 威月は必死にアグロを押さえつけた。
 ここで邪魔をされてはもう二度とチャンスは巡ってこないかもしれない。
 それは絶対いやだった。
 彼女の想いは自分も良く分かる、だって、こんな終わりでは余りに悲しいから。
「御願いします!」
 暴れるアグロの手が威月の肌に爪痕を作っていく。
 その背後で無月はマスクを外した。
「今までは命をただ奪われるだけだった。それは私達の敗北に他ならない。だから、今回は必ず助け、勝つ!」
 すでに縫止にて自由を奪っている。
 その拘束が解けるまでが勝負だ。
 無月は、その意志の力を信じてベスペファロ、いや。少女のの心に語りかける。
「君をもう苦しませも悲しませもしない」

「今君が受けている痛みも寂しさも全て私が引き受ける……だから」

「戻って来て欲しいんだ。私は」

「君を救いたい!!」

「助けて」
 その時声がした、つながった精神の奥底で、泣きじゃくる少女の助けを望む声が。
「見えた!」
 彼女の闇に綻びが。
 その時身無月は体の支配権をジェネッサに与え、そして硬直するその身を強引に動かす。
 そしてベスペファロの口元へ顔を近づける。
――キスならボクの方が適任だからね。
 それは誓いの口づけ、救済を約束する慰め。
 強く抱きしめ。その体に実体が戻ってくるのを無月はただ感じていた。
 ただ、その慰めは手向けとなる。
「ありがとう、でも、もう遅いの」
 次の瞬間、人間にもどりかけていた彼女の体を再び闇が包んだ。
 無月の目の前で今度こそ、彼女の心。か細く残っていたその心が消えていく。
「ああ……あああ」
「彼女は……自分からADへと体をさしだしたそうよ」
 沙耶が佐千子の読み上げる資料。それを一言一句逃さず聞き取り、無月に告げる。
「彼女はもともと、身寄りがなくて、社会からつまはじきにされて。それで愚神になりたいって願ったみたい」
 人が嫌いで、愚神になりたくて、実験動物みたいな扱いをされて。
 彼女は思ったに違いない。
 ああ、やっぱり人間はこんなものかと。
 残虐で、非道で。
 ただ、最後の最後に彼女は温もりを得た。
「だが、彼女はありがとうと言っていた」
 ジュネッサは無月に体を返すと。無月は目蓋を強く瞑りながら噛みしめるように言葉を吐く。
「あと少し、早ければ」
「それは、あなたの心を苦しめるためだけの呪文よぉ」
 沙耶も思ったことがあった。あと少し、早ければ。あと少し足りていれば。
 次の瞬間。ベスペファロが無月の体に乗り移った。痛みと絶望に疲れ果てたその一瞬を狙われた。
 無月は雷霧を喉元につきつける。
 その手は滑らかに動いて喉笛を切り裂く、はずだった。
 だがその刃は喉に突き刺さらない。無月が瞑っていた目を開けば、そこには威月がいて、両手でその刃を握っていた。
「…………それで、良いのですか……」
 血が滴るのも構わず、体重をかけて刃を静止する威月。
「そんな形で、終わってしまって良いのですか!?」
 無月はその言葉に目を見開いた。
「聞こえませんか! 貴方を呼ぶ声が…………!」
 ベスペファロは無月を見つめている。悲しそうに、何かを諦めたように。
「こんな所で、諦めてんじゃねぇです! ……ぁ……」
 そこで小声になって無月から視線をそらす威月。
――大事なとこで照れんじゃねぇよ……。
 そんな威月のかわりに火伏静が言葉を継いだ。
――思い出せよ! 何の為に戦ってたのか!
「ああ、すまない。約束したな」
 告げて無月は刃を握り直す。
「必ず救い出すと」
 しかし光明はまだ見えない。暗夜を突き進む苦行は続く。

第五章 愚神圧縮

「何が起きている……」
 アグロは一連のベスペファロへの人間達の行動、そしてベスペファロの反応を見て唖然としていた。
「なぜあれほどに不毛な行為をする?」
 愚神には理解できないのだ。かかわりのない誰かを助けようとする心が。
「それがあなたの限界です」
 声に反応してみて見れば構築の魔女が立っていた。
「もう逃げられませんよ」
 その言葉を証明するように、逃げようとしたADの前へ天井をぶち割ってネイが登場する。
 次いでパタパタ羽を羽ばたかせてイリスが降り立った。
 場に緊張感が走る。ネイは先ほど信じられないほどの暴虐を体現していたと言うが、今は。
「…………みんな…………ッ! これ以上…………仲間をやらせるかぁああッ!」
 燃衣だった、ネイは飽きたのか何なのか引っ込んでいたが。
 燃衣は燃衣として力を出し惜しむつもりはないらしい。
 一直線にADめがけて走る。
――おう威月、いまだ!
 その火伏静の掛け声で威月はケアレインを使用。
 全員の傷を癒していく。
 それでも回復が足りないものがいればエマージェンシーケア。
 ここが正念場だと、味方を鼓舞する。
「他の愚神をお願いします」
 燃衣が告げると、暁はそれぞれ、アグロと暗夜を抑えにかかった。
 アグロのレーザーが燃衣の背に放たれる。
 それをセレナがフィールドを展開して盾となる。
「燃え尽きて堕ちろ!《火乃銛》ッ!!」
 紅蓮に燃える拳を振りかぶり、渾身の一撃をADに叩き込む燃衣。
「く……かくなる上は」
 直後大爆発。
 しかしだ。燃衣の拳はADにとどいたわけではなかった。
 代わりにその胸をぶち抜いたのはアグロ。
「きさまああああああ!」
 直後、膨大な熱力が周囲に発せられると共にアグロは爆発四散。
「煤原さん!!」
 その地獄の業火にも似た温度の中に飛び込む仁菜。
 その首根っこをつかまえて、安全圏まで引きずり出した。
「馬鹿なことばっかりしないでください!! 防御出来ないし、避けれないでしょうが!」
 仁菜のお説教が燃衣に突き刺さる。
「う、否定はできませんね」
「一人で突っ込まなくとも仲間がいるでしょう。防御は私達に任せてくれればいいんです」
「はい、そうでした」
 立ち上がると、ネイは槇やセレナを見渡す。
「隊長や兄者さんはこちらが守ってる間に最高の一撃を決めるのが役目でしょう?」
 告げると仁菜は威月とイリスの手を引いて防衛線を構築した。
「あなたはもう逃げられないわぁ」
 そう沙耶がADに歩み寄る。
 ベスペファロは健在だが、あれ一個体ではどうしようもないほどに戦力差が開いている。
「く……」
 じりじりと後退するADだがそれも無意味ここに逃げ場なんてないのだから。
 唯一の壁や天井の穴から逃げられないようにリンカーたちがポイントを押さえており、唯一の出入り口には佐千子が寄りかかっている。
 次いでADは懐から注射器を取り出した。
 それも佐千子の魔弾によってはじかれる。
 テレポートショットである。
 その転がった薬液、ワイスキャンセラーを沙耶は拾って懐にしまった。
「最後に、仕上げが残っているわぁ」
 素早く、燃衣と槇がADに歩み寄ると、その腕に腕をかけて立ち上がらせた。
 沙耶は拳に霊力を込めると、ADの腹部めがけてパニッシュメントを。
「ぐは……」
 あたりに血を吐き散らすAD。
「愚神の反応ねぇ」
 ADはこの施設内で散っていた愚神たちの霊力を徐々に分解して体に流し込んでいたのだ。それが愚神になるためなのか、何の目的なのかはわからないが。
 
エピローグ

 暗夜のベスペファロは駆けつけたH.O.P.E.の舞台によって拘束処理が施された。
 これからどうするかは技術班との相談で決めるらしい。
 人間をたちまち愚神化させてしまう溶液。ワイスキャンセラーについても解析に回された。
 佐千子はこの施設の心臓部にH.O.P.E.職員を案内して。
 丁寧に説明するという仕事をこなす中。
 ほかのメンバーは、過酷な戦いの疲れのためか、屍のようにそこらへんに横たわっていた。
「うう、怖かった……」
 そんな中仁菜は威月の頭をよしよしと撫でまわしている。
 怖いことが立て続けに起こったのだ、無理はない。
「大丈夫だよ」
 そう仁菜は威月の頭を撫でながら思い出していた。
 自分が泣いている時に威月がそうしてくれたことを。
 そんな疲れている一同にセレナは紅茶を振る待っていく。
 と言っても彼女自身フラフラで、足元もおぼつかない感じだったので。燃衣の分の紅茶は燃衣の頭にプレゼントしていた。
 共鳴を解いていたために、暴れるほどに熱かった。
 そんな一連の後日譚。
 沙耶はH.O.P.E.の収容所を訪れていた。
 目的はBDに会うため。
 今回の事の顛末を話しておくためだ。
 前回も、身内に随分と無茶をされたその詫びもかねて、菓子折り持参である。
「終わった? この事件が本当に?」
 全ての話を聴くとBDは嘲笑うようにつげた。
「確かに、Dが瓦解した今。組織だって動くことはないだろう。しかしDDもCDも曲者であることには変わりない」
「ねぇ、そんな事よりあなた達はアルター社とどういう関係だったのかしらぁ?」
 告げるとBDは視線を伏せる。
「そうさな、我々を滅ぼしたのはアルター社だと考えているよ。私はね」
「へぇ」 
 沙耶は思案にふける。
 そんな中BDは告げた。
「一つ言っておこう、彼らは信用に足るし、信頼もできるだろう。ただ、君たちと目的が交わることはない。そう断言しておくよ」
「善性愚神という存在は知ってる?」
「今話題だね」
「あなた達それと何か関係は」
「くだらない。君たちはこの一連の事件で学んだばかりだろう? 善と悪は相対的なものに過ぎない。人間を滅ぼす事は世界にとって正義かもしれないし、愚神を滅ぼすことは世界にとって悪かもしれない。要は定義の問題だ」
 その問答に飽きていた沙耶は立ち上がりBDに背を向ける。
 仕事は山積みだった。
 ペインキャンセラーの後遺症・薬物依存に悩む若年層への相談・治療窓口を設置する必要がある。
「あ。そうだ。あなた相談役になってくれないかしらぁ」
 その言葉にBDは思わず笑いを漏らしてしまった。
「なにを相談するんだ? この悪党に」
「私は技術や知識そのものは正当に評価するたちよぉ」
 告げるとBDは話を聴く体勢に入ったので沙耶は語り始める。
「見返りとしては……社会貢献を通して、裁判で好印象を与え情状酌量で極刑だけは回避出来る可能性が高まる、辺りかしら」
「ではもう少し詳しく話を詰めよう」
 そうビジネスマンの顔になったBDと沙耶の取引は続く。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
  • 夜を切り裂く月光
    無月aa1531
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
  • 暁に染まる墓標へ、誓う
    無明 威月aa3532

重体一覧

  • 朝日の少女・
    彩咲 姫乃aa0941
  • 夜を切り裂く月光・
    無月aa1531
  • エージェント・
    楠 セレナaa5420

参加者

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 疾風迅雷
    朱璃aa0941hero002
    英雄|11才|?|シャド
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 夜を切り裂く月光
    無月aa1531
    人間|22才|女性|回避
  • 反抗する音色
    ジェネッサ・ルディスaa1531hero001
    英雄|25才|女性|シャド
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
    機械|21才|女性|防御
  • 危険物取扱責任者
    リタaa2526hero001
    英雄|22才|女性|ジャ
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • 暁に染まる墓標へ、誓う
    無明 威月aa3532
    人間|18才|女性|防御
  • 暗黒に挑む"暁"
    青槻 火伏静aa3532hero001
    英雄|22才|女性|バト
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • エージェント
    楠 セレナaa5420
    人間|16才|女性|防御
  • エージェント
    北条 鞠也aa5420hero002
    英雄|22才|男性|ジャ
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