本部

WD~対面するE~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2017/10/20 14:00

掲示板

オープニング

● 命の代償

 H.O.P.E.の日本内に存在する小さな支部。その施設内拘留室。
 そこにはぼろぼろの男が収容されていた。包帯と絆創膏、ガーゼだらけの男はDという。
 かれは卑劣なヴィランで人身売買を生業としていた、そんなDを先日叩きのめし捕縛したのは、リンカーたちの活躍があってこそ。
 そんなDと『OHANASI』をした結果。面白い情報がいくつか手に入った。
 Dとは自分だけではないという事である。
「公になってるのは、ドクター・Dだろうね。一度H.O.P.E.と接触しているはずだ」
 ドクター・DはこれまでもH.O.P.E.を相手に自分の試作品を試すような行動を繰り返していたが、少し前についに自分の存在を明かしたという。
「彼は我々の中で発言権が高い方だ。当然彼が君たちと遊びたいというなら優先される、我々は、どうやったら君たちと遊んでも有利でいられるか考える。そう言うお仕事さ」
 尋問官はじゃらりと金属音を鳴らし威嚇しながら彼にさらに問いを投げる。
 彼は近日中にH.O.P.E.本部に輸送される予定だったが。その前に大体の情報を聞き出しておきたかった。
 ききだせなくとも、彼がどの様な態度で我々と接してくるのか、それを見る必要があったのだ。
 だから少し脅すつもりで、強気に出たが彼は思いのほかすらすらと話しだしてくれた。
「組織にはね、売る人間がいれば、買う人間がいて、創る人間がいれば統率する人間がいるのは当然のこと」
 売ったり買ったりするのがバイヤー・D。そして研究開発するのがドクター・Dという事だった。
「ああ、病み上がりなのに話しすぎて疲れたね。私は明日長旅なのだろう? 休ませてくれないか?」
 面接官はその言葉に首を振る。


 最後に、彼はこんなことを話してくれた。
「私がこんなにも口軽く話す理由? ああ、それはね、生きたいからだよ」
 にやりと笑い、Dは足を組み。そして大仰に告げる。
「私には野望がある、それは生きていないとかなえられない、生きるというのは最低条件だ。そしてH.O.P.E.とは犯罪者であっても殺さないのだろう? 不慮の事故以外では」
 正義の組織であるH.O.P.E.は無用な拷問、命を奪いかねない仕打ちはどんな悪人に対しても行わない。
「なので、取引だ。私が生きられるだけの情報をあげるから。彼から守っておくれよ」

「時期に、奴が来る。予定より早くお披露目になってしまって、おかんむりのリーダーが差し向ける。exhaust・D。彼は私を殺すために命の危険を顧みずに、H.O.P.E.相手に戦いを挑んでくるはずだよ」


● まず手始めの手土産『exhaust・D』について。

 彼は、組織Dにおける荒事専門の人間らしい。
「ここで注意なのは、荒事専門だけどちゃんと社員という点だよ。われわれの商品ではなく、れっきとして考え、動き、会社に貢献する一人の人間という点だ」
 バイヤー・Dは続けざまに告げる。
「だが、私は彼が苦手でね」
 曰く、残酷。曰く……下劣。
「なんていうんだろうね。人を殺すことに特化した生き物なのさ。彼は」
 彼は愚神と、さらに英雄と契約したリンカーであると教えてくれた。
「英雄のクラスはかなり高レベルのドレッドノート。ドクターの研究成果によって英雄の質が変容しているから、レベル50程度のドレッドノートスキル。およびレベル30程度のカオティックブレイドスキルをつかえるはずだよ。この前逢った時まではね」
 ただし、英雄はほとんど自我を失ってしまっているという。
「次に愚神だが。これは彼の英雄が邪英化した果ての果てでね。もともとのクラスは……なんだったかなぁ、覚えてないよ。すでに意味がない情報だからね」
 その後の情報もまとめると、こんな風になる。

・exhaust・D
英雄:ドレティックブレイド(ドレッドノートLV50&カオティックブレイドLV30)
愚神:不明
 近接攻撃主体の羅刹のような男。幅の狭い長剣と、レイピアを同時に使用する、戦闘技術においてはかなり器用なことができる。
 一ターンに二回攻撃することができるスキルは常に装備。
 軽装のため、防御力はほとんどないが、ペインキャンセラーによる痛覚削除で、ひるみ防止。HPが0になってもある程度活動できる。
 さらにリンクバーストをほとんどの確率で使用。重体になることもお構いなしのバーサーカー。
 さらに指揮官としても優れており。彼の恫喝。脅迫によって指揮される兵士は死を超越した神風を行う。
 つまり、自爆覚悟で働くためにステータスが高くなりがち。

exhaust・Dの私兵について。
 彼が好むのはリンカー少年によって構成された神風特攻部隊である。
 行きのガソリンしか積んでいない、飛行機に乗せられるがごとく、リンカーに汲みついて自爆することなどわけもない連中だ。
 さらにクラスも万弁なく調達されており。
 直近で補充した。ソフィスビショップを含め。
 今回は能力者レベル50前後。英雄レベル25前後の。
 ソフィスビショップ、ジャックポット。カオティックブレイド三種の中から、合計五人ほど選び、連れてくるだろうという事だ。
 ちなみに、ジャックポットに関しては自分が改造を施した銃身の少女たちよりは、スペックでは下回るはずだという事。
 あとは、前回の戦いのようにALブーツを持ち出す可能性はあるが、飛行装備は作れていないという事。ただ空路だとしても、陸から離れた水路だとしても射程に含めることができるくらいの超長距離射撃武器は存在するとのこと。


●春香の泣き言。
「うわーん、わたしお話しする人向いてないよ~。あの人私が部屋に入った時絶対安心してたもん。だれかかわってよ~」
 お話しが終わり次第、拘留室からすがたをみせたのは春香、三船 春香だった。
 彼女はバイヤー・Dが話したことを必死に紙にまとめながら、内容の精査を行っていた。
 春香は、支部に君たちが姿を見せると泣きつく。
 なんでもバイヤー・Dと交渉するためにリンカーを派遣しろというオーダーで送られたのが春香らしかったのだが。
「不敵材にもほどがあるよ! 遙華に言ったら『あなたがあまりに何も聞きだせなくて、気の毒になって相手から話し始めるのを待つ戦法なのね』とか言われちゃうしさ! 失礼じゃない? 失礼だよ!」
 遙華との会話を思い出して地団太を踏む春香である。
「だから、輸送中のOHANASIを誰かにまかせたいと思うんだけどどうかな」
 告げると春香は自分のカバンを漁り始める。
「H.O.P.E.的に聞き出してほしい情報の一覧はここにあるから……」
 その瞬間青ざめる春香。
「あ…………」

「ごめん、家に忘れてきた」

 君たちにどうか春香のしりぬぐいをしていただきたい。
 本当に申し訳ないのだが、春香が家にききださなければならない内容の紙を忘れてしまったので、皆さんに確認内容は任せることになる。

解説

目標 バイヤーDをH.O.P.E.まで輸送する
 
 それをなすためには参つ注意すべき点があります。
1 輸送方法をどうするか。
2 襲撃をどうするか。
3 輸送中のOHANASIをどうするか

 護送は大体300キロの道のりを行くことになります。

 順を追って説明しましょう。

1 輸送方法。

 今回は輸送方法が護送車。船。ヘリを一台ずつ皆さんに貸し出せます。
 そのほか、車とバイクはそれぞれ、人数分配布できるので、うまく使ってください。
 先ずこの空路、陸路、水路。どれでH.O.P.E.東京海上本部に輸送するかが問題です。
 当然H.O.P.E.へ到着する速さは空路≧水路≧陸路です。
 妨害を受けない方法、妨害を受けた場合どうするか。それをまず考える必要があります。

2 襲撃に対する対抗策。
 
 exhaust・DがBuyer・Dを護送中に襲撃してくることは確定です。彼の戦略や戦闘能力についてはカタログ的なものしかわかっていないので、彼の戦い方を推察し、効果的に今回の作戦メンバーを配置する必要があります。
 中継地点を設けて、そこにリンカーを待機させたり。常に警戒したりといろいろです。
 あとは襲撃方法の想定も大切です。
 空路の場合、水路の場合、陸路の場合。敵はどうやって攻撃してくるのか。
 どれが一番襲撃に対抗しやすいのか。等考えてどれをどうするか選んでください。
 ちなみに、護送に使用しなかったからと言って、船とヘリが使えなくなることはありません。

3 輸送中のOHANASI
 これは優先順位が低いと思われます。
 というのも、H.O.P.E.東京海上本部に到着してからゆっくりお話しすればいいと思うからです
 ただ、移動中にお話しするメリットもあります。
  また、護送が途中で失敗する可能性を考えての情報の絞りだしなのです。
  この行動が必要ありかどうかから議論ははじめないといけないと思います。 


リプレイ

プロローグ
 H.O.P.E.本部から離れた施設、留置所。
 その一室に収容された犯罪者。バイヤーDを名乗る男は項垂れピクリとも動かない。
 そんなDを眺め見て『ソーニャ・デグチャレフ(aa4829)』は首をひねる。
 そんな中『雪室 チルル(aa5177)』は思わず『スネグラチカ(aa5177hero001)』に問いかけた。
「今回は変なやつの護送ね! アルファベット一文字の名前って変なのー!」
「多分あれじゃない? 最近流行りの中二病とかいうやつじゃない?」
「まあ、あれよ。変なやつだけど命を狙われているのは確かだしね」
「うんうん。今後を考えるとちゃんと目的地まで護送しないとね」
 そう、護送。
 ここに集められた十組のリンカーたちはこの大犯罪者を護送するために集められた。全てはバイヤーDが予言した五番目のDの襲撃に備えて。
「ヴィランの護送……こんな映画、最近耳にした気がするわねぇ」
『榊原・沙耶(aa1188)』は作戦指示書に目を通しながらそう告げる。
「とにかく貴重な情報源な訳だし。みすみす殺されないようにしなくちゃねぇ」
『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』は今回は沙耶の中で眠りについている。
「変なところで正義感が強いから、面倒なのよねぇ」
 今回は少々穏やかではない手段の行使が予想される、それに沙羅が耐えられるとも思わなかったためだ。
「気に食わねえ、気に食わねえが」
『彩咲 姫乃(aa0941)』は腕を組み指で肌を叩きながら顔をあげた。その視線の先には
『藤咲 仁菜(aa3237)』や『阪須賀 槇(aa4862)』をはじめとした小隊【暁】のメンバーが鎮座している。
「膿をごっそり吐き出させるためにも壊れ物在中注意で護送デスニャ」
 姫乃の言葉には新たな相棒である『朱璃(aa0941hero002)』がそう答えた。
「OHANASHIは専門家に任せるか――俺も三船と同じタイプだしな」
「気の抜けない時間デスがそれでも時間はあるニャ。春香はだいぶ落ち着いたと思うデスニャ」
 朱璃が告げると春香は弐が割を返す。
「えへへへ、その節はお世話になりました」
「ん、落ち着いたならよかったよ」
 そんな少女たちの小話を遮って『煤原 燃衣(aa2271)』が姿を現した。全ての手はずが整ったのでこれから作戦決行だと告げに来たのだ。
 燃衣はすでに『ネイ=カースド(aa2271hero001)』と共鳴済み。
 燃衣は暁メンバーを見渡して声をあげた。
「小隊【暁】……打って出ましょう」
 その言葉に拳を突き上げる面々。姫乃に、春香。
「お? 三船も暁メンバーなのか?」
「え? 私もだよね? 隊長? っていうか姫乃ちゃんも?」
「当たり前だろ、どんだけ作戦を一緒してると思ってんだよ」
 そんな賑やかな暁部隊の背後で、バイヤーDの交流室、その扉が開かれた。
『鬼灯 佐千子(aa2526)』と『リタ(aa2526hero001)』が両脇を固める。特殊な手錠をかけ、彼の体を引く。
「逃げようったって、そうはいかないわ」
 リタは、記憶は無くとも身体に沁みついた軍人としての、佐千子はヴィランによる能力者犯罪を追うエージェントとしての、それぞれの経験を基に思考。
 今回も敵に勝ちを譲る気はなかった。
 最後に『無月(aa1531)』が部屋の中を確認し、無月が出ると『ジェネッサ・ルディス(aa1531hero001)』が部屋に鍵をかける。
 そんな無月が、冷えた気を帯びていることに気が付いてジュネッサは足を止めた。
「君にしては珍しいね」
 研ぎ澄まされた刃のような無月は、戦いを待つ者だ。
 今回は戦闘に専念するらしい。
「……闇に堕ちた者、か」
 無月はここではないどこかを見ながら視線を巡らせる。時期に夜が来るだろう。
 そうすれば作戦開始となる。

第一章 護送
 
『九字原 昂(aa0919)』は車両に乗り込むと車にキーを刺した『ベルフ(aa0919hero001)』は助手席に座りナビを起動する。
「まぁ、口封じ位は当然だろうしね。」
「それだけ重要な情報を握ってるんだ。思惑があるにせよ、情報を吐くまではこっちで確保だ」
「なんにせよ、まずは鉄砲玉の排除が第一かな」
 これから見えない敵との騙し合いが始まる。
「作戦内容を確認します」
 昂がインカム越しに全員に告げる。
「僕らは基本方針としては、ヘリと車を乗り継ぎして護送しつつ、敵を迎え撃ちます」
「で、今回は複数のルートがあるみたいだけど、どうするかなー」
 チルルが後部座席から注釈をいれた。
「今回は陸海空の3ルートが選べるし」
 車が発進する、同時にヘリがプロペラを回す音も聞こえる。作戦開始である。
「はいそれは夜間にヘリで中継地点まで移動し、事前に手配した車に乗り換えて深夜うちの護送。運転手は三船さんにお願いしました」
 告げるとややノイズ交じりの声で春香が応答する。
「うん、こっちは任せて、そっちも移動気を付けてね」
 先ずは中継地点までのバイヤーDの輸送をしなければならない、ヘリに乗れるだけの人間を詰み込んで、残りは陸路で移動する。
「その後はヘリで偵察しつつ、護送車含む複数の車で陸路で進むよ」
 そうチルルは地図をなぞりながら全員をオペレートする。
「そして問題は次の行動です」
「中継地点からは、護送対象と護送役はあえて普通の車に乗って、護送車を囮にするよ」
「車列は先頭に囮の普通車配置して、100m程度距離を開けて囮の護送車と、単車をそれに並走させます。
 そして100m後方に護送対象を乗せた普通車両を配置します」
「つまり残りの車両に囮役が乗る感じね」
 チルルがそう告げると、スネグラチカが声をあげた。
「相手が仕掛けてくる場所は何処かな? 有り得そうなのは中継地点か目的地直前って感じだけど」
「だが、本命はH.O.P.E.本部付近だ」
 リタが告げる。足りない言葉を佐千子が継いだ。
「敵の索敵能力や機動力にもよるけど、敵が最も襲撃しやすいのは目的地周辺だとおもう」
「我々は必ず海上支部に向かうからな。次点でこちらの行動開始直前・直後だが、これは警戒し反撃するだけの話だ」
「うん、敵の襲撃」
 チルルのトーンが一つ落ちる。
「敵の襲撃が有れば、護送対象の輸送を最優先として敵を足止めをお願いします」
 昂が告げた。
「敵が仕掛けてきたら敵陣突破を優先して行く形がベストね。敵の戦力も強そうな感じだし、確実な作戦完了を目指すよ」
「車両が無事ならばそのまま、損傷していれば無事な車両に護送対象の乗せ換えて戦域を突破してください、そして敵が護衛対象を追っていくなら、一人でも多く足止めして分断を試みましょう」
 一通りの作戦確認を終えるとヘリ内ではバイヤーDに視線が集まった。
 バイヤーDは外を眺めていたのだが、視線が痛くなってきたのか声を上げる。
「なんだ? そんなに見つめて逃げやしないよ。共鳴状態で高度……千メートル程度かな? ここから落下なんて目も当てられないじゃないか、嫌だよ。私はね」
 燃衣が眉をひそめた。
 彼をヘリに乗せる前に一通りの身体検査を担当したのだが、その時から態度が気に食わない。
「万が一、敵の手に落ちる場合……」
 燃衣は重たく口を開く。
――……俺たちは纏めて撃つぞ。咎めはあるだろう、だが。
 ネイが言葉を継いだ。そして燃衣が顔を寄せてDの表情を間近で見つめる。
「貴方の様な大悪党を野放しにする方とどちらがマシか……です」
――あとは……光ある所、影ありだ。お前の所にフロント企業がある様に、な。
 ネイが言葉を告げ終ると槇および『阪須賀 誄(aa4862hero001)』による記録機器設置が完了する。
 全て自前の一品だ。
「とんでる間の時間も有効活用だお、個人的に気になることもありますよっと」
「気になること?」
「襲撃すると分かるが何故ですか、何故位置や時間、作戦がバレてるのですか? 偵察員? 衛星? 内通者?」
「いやいやいや、そんなに早口でまくしたてられても困るよ」
「本部周辺に張ってる?」
「この動き君たちは正解を導き出していると思ったんだけどね。君たちはもう少し自信を持つべきだよ、自分たちの頭脳に。何せ私を打ち取ったのだからね」
「つまりは、本部周辺で張っていると?」
「あいつらにH.O.P.E.の内情なんてわかるもんか、この私ですら知りえなかった情報だ。だからH.O.P.E.からこの身をひた隠しにしてきた。けれどリーダーがね。H.O.P.E.と争ってみたいというのだからたまらない。結果がこれさ。まったく頭が悪いと手足が苦労をする」
 そう朗々と語るバイヤーD、その態度が気に食わなくて『リオン クロフォード(aa3237hero001)』は声をあげた。
「殺されそうな割には余裕だな?」
「それはexhaust・Dが6人目じゃないから?」
 仁菜が問いかける。
「それはそうだろう? 彼はEなのだから」
「あんたが本当に怖いのは誰?」
 そのリオンの言葉に初めて顔をしかめた。
「Dの変貌って何? 6人目が意味する事って何?」
「うちのリーダーは君たちがお気に入りらしい、全く腹立たしいね」
「此方が命かけてるのだから、貴方も命をかけた情報を出して!」
 仁菜が立ち上がる。そんな仁菜をDはせせらわらった。
「きみが命をかけるのは勝手だ、そうして一人死んでくれ、私に関係あることではない」
「長話はいいんですよ」
 そんなDの言葉を遮ったのは燃衣。
――そもそもお前等の『会社』とは何だ? 社員構成と規模、支部、アジト。更に……スポンサーは何処だ。安心しろ、内々に留める。
「話すデメリットもないかもしれないが、話すメリットもない」
 燃衣は拳をヘリの壁に叩きつけた、揺れる船体。
「で、貴方ですが。《クローン》……かなとボクは思ったんですが」
「君たちはガデンツァの影響を受けすぎなんだよ。クローンがいたって私の思い通りに動かないと意味がない。あれはアンドロイドだよ。ロボットさ。遠隔操作のね」
 燃衣は思い至る、粉砕したと思ったバイヤーD。しかしトランクから彼が現れたのはそう言う絡繰りだったのかと。
「次は商品に関して、話してもらうお」
 何処の国、どんな出身の連中を仕入れてるのか。どうやって従わせてるのか、薬か、金か、人質か。
 様々なことを尋ねたがDの言葉は全て、黙秘と変わらないような言葉の羅列ばかり。
「なぜそんなに知りたがる?」
「……そんなの聞いてどうするって? 根絶やしにするんだよっと」
「ほう」
「言っただろっと、俺らはその場の感情で動く、天下無敵の」
「「一般人だぞっと」」
 兄弟は声をそろえて告げると拳をぶつけ合った。
「OK。流石だよな俺ら」
「そうだね、流石に最低だ。君たちは。何せ私から自由を奪ったのだから」
 Dが窓から視線を投げる、ヘリの飛行音が変わったのに反応したのだ。
 見れば中継基地へヘリが下りようとしている場面だった。
――さて……最後にだが。奴は《殺す行為に最適化した存在》……だったな?
「エグゾーストのことかな?」
 直後、燃衣、ネイ共に殺気が膨れ上がる。
「……どちらが、格が上か……楽しみだな?
「最低具合ならどっちもどっちさ。私も一般人だけどね。お前たちみたいな人種は反吐が出る」
 基地に降りた後は手はず通りに車両への乗り換えを行う。
 暁部隊は散開、周辺を警戒しつつ。作業を行った。
 夜はまだ深い。この闇の中にどんな化け物が潜んでいるか、まだ分からない。


第二章 襲撃

「協力感謝する」
 リタは基地の司令官にあたる人物と握手を交わす。
「襲撃、何もなかったわね」
 佐千子が資材をチェックしながら告げる。
「ああ、だという事は私達の想定が正しいという事だ」
 ここからは陸路。ただし住宅地、住宅に近い場所は避ける必要があり海沿いを走っていくことになる。
 夜間の高速道路だったが、そこは仁菜があらかじめ申請を通して、護送中の時間帯は封鎖するように指示してある。
 ただ、その偽装には手間取ったが。
「よく、考え付いたねリオン」
「そう? 結構スタンダードだと思うよ? 事故を装うっていうのは」
 そう仁菜とリオンは言葉を交わしながら車両に乗り込んだ。
「0100時。作戦決行だ」
 リタの号令と共に護送車が発進それを囲うように複数の車両があたりに展開する。
 そしてバイヤーDを乗せるのは手はずから普通車両。
 共に乗り込むのは沙耶、チルル。春香そして佐千子。
「朱璃は暴走するから俺が運転な」
――残念デスニャ。
 そう姫乃は護送車に乗り込んだつまりは囮。危険な役回り。
「おら、しっかり捕まってろよ」
 そのドライビングテクニックは少女ながら神業、一体どこで習ったのだろう。
――流石まるちぷれいやぁひめのんデスニャ。
「誰が器用貧乏か!」
 その護送車隣を駆け抜けていくのは無月の駆るバイク。
「無月さん、寒くないの?」
 春香がインカム越しに問いかける。
「ライダースーツの断熱性は優れている、大丈夫だ」
――車に乗っているよりかは気配が感じやすいからね。
 そうジュネッサが告げた。
 その時である、チルルが声をあげた。
「あ! 海上支部が見えたよ」
 そのシルエットと重なる黒い点。月明かりに照らされて異様に見えるその点は、ムクリと起き上がると何かをこちらに向けた。
「あれ……太いコードが、何かの充電装置かお? ん? いや、あれ」
 思わず素に戻る槇。彼の視力であればよく見えた。
 黒い外套を纏った小柄な人物が、身の丈以上の武装を抱えている。
 その武装からはコードが伸びて少年二人に繋がっている。
 その少年が苦悶の表情を浮かべると、夜に悲鳴が響き渡った。
 直後高エネルギー反応、それは護送車に真っ直ぐ向けられており。たった今トリガーが引き絞られた。
 夜の闇を引き裂いて交戦が発射される。
 それを。
「囚われの仲間を救出にくるのは一種のお約束であるな。そこは我らもヴィランも同じ人間と言う事であるな」
 遮るためにソーニャが動いた。車両から飛び降りると同時に共鳴。空中に躍り出ると目と鼻の先を前車両が通過していく。
 次いでコンクリートについた足を軋ませて前に飛ぶ。自らレーザーに突撃し。その熱戦を。真っ向から砲撃で打ち破る。
「おおおおお!」
 威力としてはなかなかだ、それこそかつてH.O.P.E.が作戦で使った兵器のように。
「殺しに、来ているか」
 ソーニャは顔をしかめ着地。すぐさま後続の車両、その天井に飛び乗る。
――おお! 兄者、前! 前!
 阪須賀弟の叫び声で兄は視線を前方に向ける。
 その視線の先には男。
 大剣と細身の件を振りかざし、重量数百キロの鉄の塊を前に恐れもしない。
「どどどどど! どうしよう」
 慌てふためく春香。
「虎の子いきますお!」
――OK! 三船さん突っ切って!
 直後瞬くフラッシュバン。
 本命車両が男の脇を通り過ぎる。
 その時だ。聞こえるはずのない男の声が妙にはっきりと聞こえた。
「あ~、そうかい行くのか。だったらこの少年たちは要済みだなぁ。殺すしかねぇな、役立たずは」
「お前!!」
 無月がバイクごと斬りかかる。
 エグゾーストはそれに対し瞬時に対応、バイクを大剣で押しとどめながらレイピアで無月の一撃を食い止める。
 爆炎が二人を覆った。
 それを合図に待機していた少年兵が姿を見せる。
 少年兵は常に二人一組となり、片方が大型の銃。もう片方が体にコードを繋がれていて。
 トリガーを絞れば。ケントゥリオ級にすら致命傷を与えられる一撃が降り注ぐ。
「おおおお! なんだお。あれ!」
「人間を電池にした、ライブスプラズマカノン」
 昂は茫然とつぶやくと走行中の車両のドアを開けた。
「護送班はそのまま行ってください! 僕らが彼らを足止めする」
――ええ! そう言えば今回は子供達が敵に回っているみたいだけど、どうするの?
 昂のアグレッシブさに驚きながらスネグラチカはそう口にする。
「突破口は開けたから私はこのままDを送るよ」
 春香が告げると沙耶はその言葉に頷いた。
――どうする? チルル?
 スネグラチカが不安そうな声を上げる。
「相手が自爆も躊躇しないって事だけど、出来ることなら助けたいから、気絶させたり手足を狙って戦闘力を奪う形を取るよ」
 告げるとチルルは昂の後を追うように飛んだ。
「でも……取り返しのつかない自体になりそうであれば仕方ない……かな」
――……うん。ベストは尽くそうね。
 そう戦場に残ることを選んだリンカーたちは各々の目的を果たすため駆ける。
 まず、エグゾーストに飛びかかたのは姫乃とソーニャ。
 直進するソーニャと、ハングドマンにより、空中を飛び回りながら奇襲を狙う姫乃。
「わざわざ危険を冒してまで殺しに来ると言うのはよほどこいつが秘密を握っているのか、単に殺しが好きなだけなのか、そこのところはどうなのかな?」
 その超重量のカギヅメを叩きつけるとエグゾーストは呻くが。すぐさまレイピアで反撃してくる。
「俺はあいつの事なんか知らねぇよ。だが俺はまだ知らねぇ。仲間を殺すってのがどんな感覚なのかしりてぇ。だからよ、お前らを先に殺して。メインディッシュにはゆっくりありつくぜぇぇぇな。ふうううううううう」
 甲高い声をあげながらソーニャを吹き飛ばしたエグゾースト。
 ソーニャはそのまま射撃体勢へと入る。
「やはり、単なる殺し好きか。まあいい!」
 直後Eへと姫乃が奇襲。
 背後からの斬撃を難なくかわし、振り返りざまの斬撃を姫乃は潜り抜ける。
「意外と、技術派か?」
――うう、あんまり話さないでいると口がムズムズするにゃ。
「受け答えくらいはしていいんだぞ?」
 姫乃は一短距離をとり。後続の無月にバトンタッチ。
 直後浴びせられる砲撃。
 Eは大剣を盾としてその砲撃を防ぎ、無月へはレイピアで対応する。
「貴方がeDさんか……闇の冥き輝きに魅せられたか……」
「そーいーの。やめようぜ。闇とか光とか反吐がでる。殺したいから殺す。殺せないから殺したい、それでいいじゃねぇか」
 Eと鍔迫り合う無月。その悪逆非道な面を胸に刻みつけようと肉薄する。
「貴方の闇は恐怖と絶望、それで少年達を支配しているのだな。だが、それは闇の一面にすぎない。闇は同時に安らぎと静寂をももたらす存在だ」
「ああ、知ってるぜ! それを死っていうんだよな? ししししししし」
 まるで臓物が腐ったような口臭。虚ろな瞳。だがなぜだろう、その剣技だけは冴えわたりとどまることを知らない。
「私も闇の住人、だが、私と貴方の闇は対極にある……eDさん、貴方の冥き闇を放置する訳にはいかん。闇は力で支配する為の道具ではない!」
「あ? だったらあの小僧どもを助けるってか? ほお、H.O.P.E.ってのは誰でも助けるらしいな。くそ食らえだ。死ね」
 夜空に響く絶叫。直後Eの周囲に張り巡らされる熱戦の格子、それを受けて三人は距離をとるしかなかった。
「くそ、少年たちと一緒にしておくと面倒だ」
――だったらDだけ引きはがす!!
「無様に死ねよ。そこに転がれ」
 夜の闇を切り裂く暁の光。
 姫乃が糸で釣り上げたネイが空中からの奇襲を浴びせる。
 ブローを一発、アッパーを一発。長い得物が得意なEは超近距離戦に対応できない。
「かっとべ! 水きりだ」
 ネイはそのままEの腹部を連打。足がアスファルトから離れたところで渾身の回し蹴り。
 吹き飛んだEはガードレールをぶち破って浜辺に転がった。
「のがさん」
 跳ね起きるE、その動きを封じるべく闇に潜むことをやめた忍びが肉薄する。
「しつけぇ!」
「だが、これで少年たちの方へはいけないはずだ」
「助けてどうする? 壊れた小僧たちだぜ、ありゃ」
 無月は思い出す。ヴィランに心をいいようにされた少女を。
 だが彼女は今元気に毎日を過ごしている。
 先日無月とジュネッサに、ありがとうと花をくれた。
 だから無月は胸を張って言える。
「やり直せないことなどあるものか!」
 Eの渾身の一振りを止めた無月。その髪を熱風がさらう。
 Eに直撃するソーニャの砲撃。
 だがその攻撃をものともせず、すぐさま受け身をとってリンカーたちへとEは向かってくる。
「……チッ……痛覚遮断、か」
 ネイは苦虫をかみつぶしたような表情で告げた。 
「だが、最低限の目的は果たした」
 そうネイは握りしめていた拳を開くとばらばらと機械の破片がその場に転がった。

   *   *

 「これでどうかな!」
 リオンがその小柄に見合わない大きさの車を両腕で持ち上げて、地面に叩きつけるとEをサポートしようと走った少年たちを吹き飛ばし。その行く手を阻んだ。
「助かるお! 仁菜たん」
――やっぱ俺らの天使だお。
「元気ですね、回復いらなそうですね?」
「俺らに回復は不要、隊長の方へ」
――止まるんじゃねぇぞ。
「お二人も気を付けて」
「「GJ」」
 そう手を振る槇は少年たちと向き直る。
 スッと息を吸い込むとその場で戦う全少年兵たちに告げた。
――待った! あんた等のリーダーは既に落ちた。もう戦う意味は無い。
「ちょっと話聞けお、地獄みたいな毎日から抜け出せるチャンスだお?」
「そんなわけあるか! ご主人様が負けるわけないんだ」
 その少年兵の言葉に視線を下ろす槇だったが、続けて誄が告げる。
――選択肢が二つある。この話を聞いて投降。地獄から抜け出すか……ただ死ぬか。
「あのDも怖いけど、死ぬのはもっと怖いお? そこのスマホ、見て見ろだお」
 そう槇が投げ捨てたスマートフォン。その画面には人が爆死する映像が映し出されていた。
「……信用出来るのかって? OK」
 その言葉に少年兵は首を振って銃口を槇に向ける。
 だが、別の少年兵に繋がるコードを昂が断ち切り。そして二人とも拘束してしまった。
「おいたはそこまでです」
 昂は車から逃れるとすぐに身をひそめ。あたりを警戒。
 少年たちの背後をとって動きを封じたというわけだった。
 他の少年兵たちも同じく、ハングドマンの鋼線でがんじがらめになっている。
「くそ! 離せ! 僕たちは生きたいんだ」
「死ぬのなんてやだ」
「お前らを殺せないと、僕らは死ぬんだ」
「いやだ! 怖い」

「うるせーーーお!」
 
 そんな少年たちを一括する槇。
 鶴の一声よろしく周囲が静まり返った。
「漏れも、兄ちゃんやってんだお。子供が死ぬなんて嫌なんだお……」
 そう項垂れた槇は銃を投げだした、両手が震えている。そんな彼の仕草に少年たちは見入ってしまう。
――……エージェントは金も稼げて楽しいぞっと。
「だからこっちにくるお」


   *    *

 走行中の車は作戦の甲斐あってほとんどが抜けることができた。東京海上支部まであと少し。
 だが海上からの狙撃もやまない。
 何度目かの熱光線を春香は車体に巻きつけたピアノ線を弾くことによって何度か防いだ。
 別車両に乗り込み、移動しながら少年兵を牽制する佐千子は冷や汗をうかべていた。
「攻撃があたりの車両に集中してる。やはりこちらの行動が漏れてる?」
「鬼灯さん、もう少しもつかしらぁ?」
 そう佐千子のインカムを震わせたのは沙耶の声。
 敵からの攻撃を自身の車両と、自身を盾に防ぐと路上にオレンジ色の花が咲く。
 爆風に春香の車両が煽られるも佐千子は健在。別の車両の天井に乗り移って迎撃を続ける。
「ええ、絶対持たせてみせるわ。だからOHANASIお願いね、榊原さん」
 インカムの向こうから伝わる爆音を聞き流し沙耶はバイヤーDへと言葉をかける。
「あなた、野望の為に生き永らえたい、だったかしら?」
 顔をあげ、沙耶を見つめるD。
「それは拘置所にいながらでも達成出来る類のものなのかしらねぇ……」
「どうだろうね、だが生きている限りチャンスはある。だろ?」
「ええ、生きている限りね。そうねぇあなたはほとぼりが冷めるまでH.O.P.E.に守ってもらおうとしているのだと思うけど。私達が手を加えて、すぐに釈放なんてどうかしらぁ?」
 沙耶は頬に手を当てて穏やかな笑みのまま続けた。
「どのみち刑期満了でお天道様の下に出れたとして、貴方の元お友達に殺されるのが関の山よねぇ。
 なら全てを話して貴方のお友達、壊滅させた方が後の憂いを絶てるんじゃなぁい?
 私達も腹立たしい存在がいなくなれば万々歳、貴方も晴れて自由の身。世はこともなし。ってね」
「ふふふふ、はははははは。なんだ、ネゴシエーターなど存在しないのかと思ったよH.O.P.E.には」
 そうひとしきり笑い終えるとDは戦闘時のような鋭い視線を沙耶に向けた。
「H.O.P.E.の中の内通者に二人ほど心当たりがある。顔を見ればわかるよ。協力しよう。私達が買い付けてくる子供たちはアジア。と思いきや人口が多い発展しきった都市でねぇ。貧富の差が激しい国ほど、低価格で高品質な人間をうってくれる。例えばアメリカ」
 スルスルと情報を漏らすDに沙耶は驚きの視線を向ける。
「なに、手付金だよ。君たちを護衛として雇うためのさ。だがこれで全てじゃない。僕の有用性を証明しよう。取引だ」
「まだよ、まだたりないわぁ」
「足元を見る人だ」
「何故襲撃をしてくるのが分かるのか、そして発信器の場合、ライヴスが関連しているものか」
「いや、その予測は外れているね。発信機だった場合、勝ち目など無くなっている、君たちの場合ね。だから予測能力だよ。うちのリーダーは千里眼を持つのさ」
 そう告げるとバイヤーDは先ほどのふざけた調子を取り戻した。
「さて、あとは何が入用かな? 洗脳術? 子供たちに施した術式? ペインキャンセラーのレシピ? 交換物次第でなんでも承るよ」
「ええ、嬉しいわ。けれどそれはまたあとで」
 告げると沙耶はロケットアンカー砲のロープをDにぐるりと巻きつける。次いで沙耶は車両のドアを開けると少年たちを睨んだ。
「わたしが防御をかわるわよぉ」
 次いで自分にリジェネをかけて車の上に躍り出た。
 車体に足をめり込ませ攻撃を全て受けきるその様は、闇に輝いて見えたそうだ。




第三章 決戦

 Eの眼前に砲弾が迫る。それを左手で受けると煙が彼の顔を覆った。
 その直後背後から刃振るうのは姫乃。
 駆ける速度は神の風のごとし。だがこれでもそこそこ余裕があるらしい。
「それでもメルトと共鳴くらいの速度は出るから違和感ないんだけどな」
「あたしは純粋な速度特化デスニャ。これくらい余裕ニャ」
 その刃がEの腹部を貫く。普通の人間なら致命傷。
 だがEは呻きもしない。足を振り上げ姫乃を蹴り飛ばそうとする。
 だが。
「悪いな、俺はその薬が大嫌いなんだ」
 強引に動こうとしたところを姫乃のワイヤーが縛りとめた。
 姫乃が一短距離をとる。その時が好機とばかりにソーニャは攻め立てた。
 そしてその隙に仁菜が一直線に迫る。
「はぁ!」
 咄嗟の斬撃をかいくぐり敵の懐へ。その体の中の従魔めがけてパニッシュメントを放つ。
「くおおお」
――そんなにペインキャンセラーを使ってて対策取られてないと思ってた? 甘いな!
 リオンの言葉によってEは自分の切り札一つが封じられたことを悟る。
 ならばと新たな薬を投与しようとポケットをまさぐるが。その腕が雁字搦めに縛り上げられ。
――速く、高く、深く、果てしなく――反応すら、認識すら許さない領域。
 その手の赤い薬液は姫乃に奪われた。
――これがあたしの神域よ。
 さらに追撃。残された分身がEに連撃を叩き込む。
「おおおおおおおお、くそがあああああ!」
 全ての拘束からやっと逃れたEは痛みで呻きながら大剣を振りかざし仁菜へと向かう。
――まず俺達を倒してからじゃないと、他の仲間は倒せないぞ? やれるもんならやってみろ!
 そう挑発するリオン。その怒りに曇った眼を嘲笑うように無月がEに足をかけた。
 倒れ伏す先にはさらに燃衣が待機している。
――……痛みを無にしてる時点で二流なんだよ、雑魚が。
「闇とは奪うだけではない。それをあなたに伝えたかった」
 一撃必殺の攻撃が前後から迫る。
 その時である。
「餓える。乾く!」
 直後、エグゾーストDの体から闇が噴出する。
 その光景を春香はバックミラー越しに見ていた。
 強大な闇の柱。
 それに追い立てられるように春香が運転する車両が海上支部に到着する。
 しかし……。
「みんな……」
 とんでもない不吉の扉を開いてしまった。
 そんな予感が春香にはあった。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧


  • 九字原 昂aa0919
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
  • 我らが守るべき誓い
    ソーニャ・デグチャレフaa4829

重体一覧

参加者


  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 疾風迅雷
    朱璃aa0941hero002
    英雄|11才|?|シャド
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 夜を切り裂く月光
    無月aa1531
    人間|22才|女性|回避
  • 反抗する音色
    ジェネッサ・ルディスaa1531hero001
    英雄|25才|女性|シャド
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
    機械|21才|女性|防御
  • 危険物取扱責任者
    リタaa2526hero001
    英雄|22才|女性|ジャ
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • 我らが守るべき誓い
    ソーニャ・デグチャレフaa4829
    獣人|13才|女性|攻撃
  • 我らが守るべき誓い
    ラストシルバーバタリオンaa4829hero002
    英雄|27才|?|ブレ
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
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