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広告塔の少女~響け魂の旋律~
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相談卓
最終発言2017/09/16 14:56:46 -
仮プレ用
最終発言2017/09/16 10:32:54 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/09/16 11:25:57
オープニング
● シミュレーションRPG
皆さんはこのロボットゲームを知っているだろうか。
内容としては、多数アニメ作品のクロスオーバー。
無数のロボットとその世界感設定が入り乱れ、ひとつの作品の中で戦うというお祭り作品。
名前を『ウルトラロボットウォーズ』
根強い人気があり、二十年以上前から定期的にシリーズが発表されるロングセラー作品である。
この作品の主題歌のオファーが『赤原 光夜』に来た。
「つーわけで、恒例のPV作成依頼だぜ!」
そう会議室にギターをかき鳴らしながら入室する光夜。アンプに繋いでいないのに爆音である。
「お前等さいこーだっぜ!」
いつにもましてテンションの高い光夜。そんな光夜から皆さんにお礼があるらしい。
「サマーフェス、参加してくれたみんなも、手伝ってくれたみんなもありがとな! おかげで大好評だったぜ!」
閑話休題。
赤原が落ち着くまで一通り演奏を聞いてあげると、三十分くらいしてからやっと本題に入ってくれた。
内容は、何度かお願いしているPV撮影。
今回はシナリオ要素は薄く、戦闘シーンをメインでとりたいとのことだ。
場所は宇宙。
「宇宙!!」
遙華がそのワードに素っ頓狂な声を上げる。
「なんだよ、グロリア社ならできんだろ?」
そうサングラスをぎらつかせて赤原は告げた。
「20億、払えるならね」
現実(金額)を突きつけられて突如大人しくなる赤原光夜。
「と、とにかくだ。お前たちには俺の歌をバックにド派手に暴れて貰いてぇ。そこに独自の設定を付け加えたりするのはありだ、うまくやってくれ」
そして自分の歌の説明に入る光夜だった。
● 曲名『SOUL』
勇者たちの魂は死してもなお抗戦を続ける。
敵の繊維をくじくように、味方を鼓舞するように歌となる。
これは、戦場で散っていた誰かが、戦場で戦う者へ残す歌。
その道は間違っておらず、自分たちが守る。だから生き延び、必ず世界に平和を。
そんな思いが込められている。
● 今回のシチュエーション。
皆さんは一騎当千の戦士です。
舞台は宇宙空間ですが、皆さんには地平線を埋め尽くす悪の軍団から地球を守っていただきます。(ちなみに舞台は宇宙のように見せていますが、VBSルームでそれっぽい背景と、飛行装置などで飛べるようにし演出しているので宇宙まではいきません)
そして皆さんはアニメの主人公よろしく、世界にたった一つしかない能力の持ち主だったり、重たい運命だったりを背負っている気分で、侵略者たちに立ち向かってほしいのです。
背後には皆さんの母艦。そこから出撃したリンカーとして目の前の敵を打ち破ってください。
ちなみに、装備やスキルは架空の物でもOKです、現代の演出技術、編集技術はすごいので皆さんが望むとおりに動画を作ることができるでしょう。
さらに敵の中には名前の知れた凶悪なスターキャラクターが存在します。
彼らとの激闘を繰り広げてください。
もしくは、敵側についてPC同士での戦闘を演出するのもありです。
そして毎回恒例お話の流れですが。
今回はシンプルです。
《起》
敵が押し寄せるので敵を倒してください。
《承》
敵の中でも強い個体が出始め徐々に不利になっていきます
《転》
それでも逆転して敵を撃退してください。
《結》
皆さんがある程度戦い疲弊すると、空間を引き裂いて敵の船団がワープしてきます。
その船団に対して、怯えつつも戦うことを選択するような演出をしていただいて。
その後船団に向かっていく姿を映し、映像を終了します。
みなさんの戦闘シーンは個別に撮影、繋ぎ合わせてPVにさせていただきますので思う存分力を振るってください。
● 映像方針
今回映像を撮影すると言ってもただただ撮影するだけでは面白くないので。下記の条件を満たすように演技してみてください。
やってほしいこととしてはこちら。全てやろうとすると難しいので、チョイスしてやってみてください。
・ド派手な必殺技
モーションを自分で考えて、一撃にて多数の敵を吹き飛ばしたり。ものすごい強い敵を一撃のもと吹き飛ばしたりしてください。
必殺技には自身の技術の全て、武装のすべてを使った。連撃系。
( 例文 両手の刃を突き刺し敵を固定、そのまま幻想蝶から大剣を取り出し振りぬきざまに切り裂いて吹き飛ばす)
全ての力を集約した一撃結殺系。
( 例文 全ての霊力を拳に集め加速、それを敵に叩きつける)
に別れるでしょうか、カッコいい演出をお願いします。
・仲間との友情。
皆さんは多勢に無勢です、終わりなき戦いに心折れそうになるでしょう。
それか、もっとはっきりとピンチに陥るかもしれません。
そのピンチを救ったり、救われたり。戦いの中で問答をかわしたり、挑発し合って見たりして。絆を演出してほしいのです。
たとえば、ライバルという設定の二人ならお互い軽口を言い合いながら敵を殲滅したり。
恋人設定なら合体攻撃をしてみたり。
師弟という関係なら、師匠が弟子を助けて見たりしてもいいでしょう。
・撃墜されてみる
敵は強大です。なかなか思うように戦況を動かせないかもしれません。
それどころか倒されてしまうこともあるかも。
ですが、戦場に置いて散ること以上に華々しいことがあるでしょうか。
あなたの死を持って皆さんは奮起し。戦う力を高めるのです。
欲を言えば、死んだ後にも仲間の回想や、諦めかけた時に幻影が登場し、叱咤激励するとカッコいいと思いますがどうでしょう。
・ 困惑してみる
撃墜されてみる。仲間との友情に少しかぶってくるのですが。
敵の強さや強大さに困惑してみて弱気になってみるのもいいかもしれません。
そんな中でも戦うというのが人間らしさを演出し、PVがよりリアルになるでしょう。
・再出撃してみる。
撃破された後、もしくは一度撤退した後。パワーアップして戻ってきてください。その時皆さんの装備は無駄に煌びやかでも構いません。現実に存在しないスキルを所持していても構いません、天下無双の力を振るってもかまいません。
なぜならこれは撮影なのですから。
後は、再出撃とはちょっと違いますが、その場でパワーアップしてみるのもまた面白いでしょう。
解説
目標PV撮影を成功させる。
最後に裏の花形、敵役を紹介しましょう。
●敵データ。
もし使用する場合は番号で、データの呼び出しが可能です。皆さんの演出の肥やしにしていただいて構いません。
また、好みの敵がいない場合は自分でデータを作り作成することができます。
プレイイングに記載してください。
当然VBSで再現されているだけなので皆さんには無害です。
1インベーダー(雑魚系)
タコのような従魔です。触手で絡め捕って来たり溶解液を吐きかけたりしてきます。
2有象無象ちゃん(雑魚系)
さまざまな見た目をした従魔で今回は隕石に化けている様子。別の姿にも変化できる。攻撃方法は体当たり程度。
近づくと襲ってくる。物体に(―_―)こんな顔がついている
3宇宙騎士(雑魚系)
機械の馬に乗って、未来的な鎧に身を包んだ騎士。強そうだが雑魚。
4ラジェルドーラ(ボス系)
機械の鎧甲冑姿の戦士。武装は旗と二丁拳銃。一番の脅威は龍形態に変形し高速で移動、襲ってくること。
5アルマレグナス(ボス系)
頭が目玉一つの悪魔のような見た目の愚神。シンプルに肉弾戦等を得意としており、両手から爆炎を出して攻撃もできる。
6あるいはリンカーの誰か。
打ち合わせは必要となりますが、地球を侵略する組織の一員となってリンカーに戦いを挑んでも構いません。
リプレイ
プロローグ
グロリア社特設メイクルーム。
『辺是 落児(aa0281)』はプロのメイクを受ける『構築の魔女(aa0281hero001)』を眺めていた。
PV撮影にはライトアップも計算されつくしたメイクが必要だが、そんな舞台用のお色直しにもすっかり慣れた『ルナ(aa3447hero001)』は鏡越しに『世良 杏奈(aa3447)』を見つめた。
「PV撮影なんて久しぶりね」
そう生き生きとした目で語るルナ。
「今回は宇宙でドンパチすれば良いのね! やってやろうじゃないの!」
その言葉にルナは両手をあげて抗議する。
「えー。また杏奈が出るの? ねーねー、いつも杏奈ばっかり出演しててズルいわよ! アタシも出たーい!」
「大丈夫、今回はルナのシーンも考えてるわよ♪」
「本当!?」
そう喜ぶルナの衣装を杏奈が選び、鏡に映して見せる。ルナは楽しそうに笑い声をあげる。
その衣装を運んできてくれたのは『イリス・レイバルド(aa0124)』と『アイリス(aa0124hero001)』彼女たちは、台本を眺めながら設定を固めるので必死であった。
「衣装ってどうなるんだろう?宇宙だし」
――さてね。何時も通りか、PVの全体の雰囲気に合ったものを用意してくれるんじゃないかな。宇宙なのだし」
そう、アイリスは衣装選びを諦めて両手に掲げていたきわどいラインの衣装を投げ捨てた。
「丸投げ!?」
そんな二人の隣を横切った遙華に二人は飛びつく。
「あ、そうだ、頼んでいたルミナスは届いたかな」
「ルミナスは一本しかないのでもう片方には適当な模造刀貸してくださいと頼んでたんですけど」
「その模造刀を二本目のルミナスに見えるように編集をよろしく頼むよ」
ふふふと微笑む杏奈、打ち合わせでどんちゃん騒ぎのイリス。そんな穏やかな光景の裏で妙に殺気立っている人物が一人。
『一ノ瀬 春翔(aa3715)』である
「PV撮影、ね…………。演技とは言え…………もう一度アイツと対峙出来るのは」
そんな春翔を『エディス・ホワイトクイーン(aa3715hero002)』はきょとんと眺めている。
「面白ェ……!」
PV撮影に挑む理由としては三者三様のようだ。
だがしかし、ここにはそもそもPV撮影だと知らずに紛れ込んでしまった人物もいた。
『鬼灯 佐千子(aa2526)』は部屋の中の空気に違和感を覚えながら英雄に言葉をかける。
「…………従魔の大群の殲滅、ね。まあ、やるしかないわよね」
『ノーニ・ノエル・ノース・ノース(aa2526hero002)』は答えない、いまいち佐千子が何を言っているか分からなかったからだ。
「行くわよ、リ…………」
そう佐千子が第一英雄の名前を呼ぼうとした直後。
「あの人なら、グロリア社の新開発に興味があるだとかで研究室へと向かいました」
ノーニがそう告げた。
「え…………?」
「それと、伝言です。このぴーぶいさつえい? これも立派な依頼ですので引き受けたからには完遂するのがプロフェッショナルだ、と」
「PV…………? き、聞いていないわよ…………!?」
そんな戸惑いの表情でかたまる佐千子に『蔵李・澄香(aa0010)』が声をかける。
「あら。てっきり魔法少女ズの仲間入りでもしてくれるのかと思ったんですけど」
「しないわよ! そんな怪しい集団!」
「まんまとはめられたわけですね」
ノーニが悲しく告げた。
どうやらここにはいない第一英雄に嵌められて、本依頼に参加することになった様子。すでにやけっぱち感を漂わせる佐千子である。
「真面目にやらないとだめ? ですよ?」
そうノーニが小声でつぶやき佐千子の袖を引いた。
「おうおう! 高まってるか! おまえらよう!」
そんなメイクルームにいち早く準備を整えた光夜が乱入してくる。
「あ! 赤原さん」
そう飛び出して行ったのは『斉加 理夢琉(aa0783)』メイクもまだ中途半端である。
「こら理夢琉。アイシャドウがまだ途中だぞ」
そう『アリュー(aa0783hero001)』がメイク道具片手に二人に歩み寄った。
「おう、嬢ちゃん。今日も元気だな」
そう赤原がギターをかき鳴らすと、理夢琉は少し照れながら口を開く。
「あの、実はお願いがあって」
「いってみろ」
「この『SOUL』って曲、ワンフレーズでもいいので一緒に謳わせてください」
「コーラスだな。いいぜ。けどな! 俺の特訓を受けてからだ! プロへの道は厳しいぜ」
「はい! よろしくお願いします」
二言返事である。理夢琉は意外と体育会系のノリが得意なのかもしれない。
「やったよ! アリュー」
「ああ、わかった、わかったから早く席に戻ってくれ、スケジュールが押してる」
こうして何度目か分からないPV撮影の幕が上がる。
第一章
「星の海に散って行ったあなたを、私はずっと忘れはしません」
星を守る戦艦に動きがあった。レーダーは無数の敵影を捉え。それに砲塔が合わせられる。
次いでハッチが開いた。
せり上がるカタパルト、その上にはリンカーたちが鎮座している。
軍服を脱ぎ捨てると澄香は溜息を洩らした。
なんという敵の数だろう。
――総員。発艦してください。
クラリスの声で一同は空に飛び去った。
「私たちは沢山の想いを背負ってるんだ。いくよ! イリスちゃん」
次の瞬間展開されたのは、ミニスミカの群。あれよあれよと増えて40体にも上る軍隊となる。それらは五体一組の正体を形成し、インベーダーの群へと突貫していった。
次いで澄香の肌を霊力が舐める、煌びやかな光と共に衣装が変わり、ピンクを主体としたなめらかな宇宙戦闘服へと代わる。
その腕にビームライフルを装備した。
「テメェらはお呼びじゃねぇ」
そんな澄香の背後から射出されたのは大斧。
地平線を埋め尽くす暴虐の嵐が敵の進軍に混乱をもたらしたようだ。爆発が平行に連なり、宇宙が明るく照らされる。
春翔の一撃で相当数が打ち落とされたようだ。
だが、春翔はまだ満足しない。
「等雑魚に用はねぇ……! 墜ちろ!」
――おにぃちゃん……演技……?
春翔が澄香を追い抜いて一直線に、敵が一番分厚く層を重ねる個所へと特攻。澄香の伸ばされた腕が空を切った。
その澄香を守るように前面に躍り出たのがイリス、普段の盾と剣のスタイルではなく今回は二刀流。
「接敵します!」
直後金色の粒子が空に舞った。直後急加速、敵の戦端へ刃を叩きつけて陣形を散らす。
いつもが地を踏みしめる戦車の如き突進なら。今回は地、空、のハイブリッド。
息もつかせぬ連撃と突破力を掛け合わせ攻撃という圧力で壁となす。
「ここから先にはいかせません」
イリスが切り開いた敵部隊、その奥から隕石で組み上げられた人形の従士が現れた。数は少ないが威圧感が他のユニットと全然違う。
ただ、そんなイリスの背後で澄香は不安げな表情をのぞかせる。
(この部隊運用、私、良く知ってる…………?)
撃墜されていくミニスミカ、ただ指揮官である澄香が倒れない限りミニスミカは量産可能である。
派手に端解される遠距離の魔術戦。その舞台をけん引するのはルナ。
――調子はどう? 杏奈。
そうルナは通信を飛ばす。黒薔薇の放棄にまたがる魔女『杏奈』はその機動力を武器に敵を側面からうち落して行った。
――私が上げたお守りは持ってる?
「ええ、持ってるわ小さなオペレーターさん」
そう杏奈はルナにウィンクを飛ばして見せる。
今回のルナは杏奈を裏からサポートする天才少女オペレーターである。
ひとつ咳払いするとルナは出撃前の杏奈に渡したお守りの説明を始めた。
――ここぞって時に使って。10秒間だけ助けてあげられるから!
直後爆炎が巻き上がり、杏奈の姿が炎の向こうに消える。
だが杏奈はその攻撃をロールして回避。敵の群中央に鎮座するアルマレグナスを見据えた。
「あなたが親玉ね!」
告げると極太のレーザーを発射する。マジックインパクトである。
それは雑魚敵を焼き払いながら直進、アルマレグナスはそれを片手で受けきった。
「そこだ!」
すかさず杏奈は左右から魔法弾を放つ。
『ホーミングスター』追尾機能付きの星型魔法弾である。
それを飛行しながら叩き落とす。
そして反撃とばかりにアルマレグナスは杏奈に肉薄、極大の爆炎球を発射して杏奈を飲み込んだ。
「黒焦げだな」
そうアルマレグナスが笑う。
だが、次いでその笑みは崩れることになった。
杏奈をドーム型の空間が包んだのだ。そして理夢琉の治癒魔術が杏奈の体を癒していく。
「目障りな蠅だ!」
アルマレグナスは周囲に爆炎球をばらまいた。その攻撃を瞬間移動しながら回避していく理夢琉。
「大丈夫です。世良さんなら頑張れます。下を向かないで、しっかり前を向いてください」
次いで理夢琉は氷の猟犬、そして魔術の黒猫を召喚。
それらはアルマレグナスを自動で迎撃し、その動きを縫いとめる。
「ソフィは魔法で傷を癒す事出来ないでしょ? メディの回復スキルとか憧れてたんだよね」
――たのしいか?
アリューが問いかける。
「うん、すごく」
理夢琉は加速する。杏奈の手を取って、アルマレグナスに霊力の限りをぶつけた。
戦場は優勢かと思われた。
だが、違う。
それは敵の作戦だった。いつの間にか。リンカーたちは囲まれている。
「損耗に対して侵攻が遅いな。私の隊も出ることにしようか」
暗がりに響いた声に振り返る澄香。
「まさか、そんな」
たった単騎でこちらの陣営を食い破る影がある。その銃撃は的確にして精確うち漏らしは存在しない、全く近づけない。
その銃身がこちらを向いた。
澄香は周囲に散っていたエンジェルスビットを一点に集める。
これだけではだめだ。
そう覚った澄香は有ろうことが盾の後ろに自分の体を挟ませそして。
うち放たれた弾丸は音を切り裂き澄香の元へ。エンジェルスビットを熱で切り裂いて澄香に直撃した。
――澄香ちゃん!!
叫ぶクラリス。だが、無事だった。
船は無事だった。
そう微笑む澄香。
「私が間に入らなかったら多分……」
船は落ちていただろう。
「全部防がれたか……悪くない相手だな」
凶悪までの火力? ちがう、弾丸の威力はさして自分たちの使うものと変わらないだろう。
彼女には見えているだけだ、弱所が。
「なんで、そこにいるんですか! 先輩!」
澄香が叫ぶ。その言葉に黒い騎士礼装を来た男装の麗人構築の魔女は口元をつりあげた。
「もとよりあなたには気まぐれで技術を授けたにすぎません。私のもともと役はこちら」
二人は師弟関係だった。澄香の戦闘技術は彼女によって培われたモノなのだ。
直後澄香は周囲を見た。
囲まれている舞台の中にちらほら。構築の魔女と同じ服装の戦士が見える。
近衛・軽装・重装・直掩の4種。
誰もが澄香の見たことがある顔。
「総力戦……」
澄香は顔を伏せた。だがそんな澄香に構わず戦場は刻一刻と姿をかえる。
構築魔女に切りかかるイリス。そして背後から襲う、杏奈。そして理夢琉。
だが構築の魔女は弓持つ従士を周囲に展開。その網状の射撃で敵の動きを牽制し。一撃一撃、自分の攻撃を当てていく。
「く!」
その弾丸、弓矢を剣で切り裂いてイリスは歯噛みした。
敵の連携は見事で近づけない。それどころか。
「澄香さん!! 敵がそっちに向かいました」
「え?」
同時に構築の魔女は別働隊を母艦に向かわせる。
それに対するミニスミカ一斉射を命じるが。構築の魔女に背中を向けた澄香を逃すはずがなく。
その背を弾丸が射抜いた。
「ああああ!」
「蔵李さん!!」
理夢琉が向かおうとする。だが。
「あなたの行動は分析済みです」
空間を埋め尽くす飽和射撃。これではどこにテレポートしても……。
(ダメ、回避できない……)
理夢琉の悲鳴が空に響く。
最後に残った杏奈の眼前へ構築の魔女は躍り出ると告げる。
「君の相手は彼で十分だ」
杏奈の眼前にアルマレグナムが現れた。
「ここは私がもたせる」
敵将との一騎打ちに応じる杏奈。
「無理だよ。先輩に勝てるわけがない」
そう母艦を守りながらも徐々に後退する澄香。
「騎士程度だと相手にならないか、こちらに付く気はないか?」
「え?」
「こいつらを殺すことができるなら、我々の軍で飼ってやろう」
「澄香さん!」
憂う澄香、その隙をついた一射。それをイリスは盾になって庇う。
「イリスちゃん!」
「行ってください!!」
イリスは声を上げる。澄香の目を見て、真っ直ぐ告げる。
「遙華さんが呼んでます。装備を整えたらまた戻ってきてください」
次いでうち放たれる弾丸を切り裂くイリス。だがそれも無駄だ。
次いで控える矢の総勢128本。それに魔女の射撃が加わるとなればいくらなんでもイリスでも。
そう澄香は思った、けれど。
次の瞬間、イリスは峰うちで澄香を船へと送り返す。
「僕たちは信じてココで待ってます」
「イリスちゃん!!」
直後イリスはスラスターのリミットをはずして最大加速。
三重結界の出力を一番外側の結界のみに集中。
その身は矢のように空を駆ける。
「膨大な矢、全てを打ち落とすことは不可能。だから自分が矢となってはじく。そう言うわけですか?」
構築の魔女が告げる。だがイリスは首を振った。
「違う! これは盾だ!!」
仲間を守る、信じる人を守る。盾。
「イリスちゃん!!」
飛び散る黄金の輝き、そして血。だが不思議なことにその血液すらも金色の光で包まれる。
「この、黄金は……染まらない!」
第二章 好敵手
「くそ! うざってぇ、あいつはどこだ!」
春翔はバーサーカーのごとく的中央で暴れていた。その力の前に小物では太刀打ちできず数を減らすだけになっている。
「こいつらをやらねぇと出てこねぇってか」
そう春が覇を食いしばった時。
突如直上方からアスガルの闇が降り注ぐ、それは春翔に命中することなく、春翔の周囲を取り巻く雑魚どもを蹴散らしていく。
「誰だ!」
「とりあえず敵じゃないとだけ言っておくわ」
佐千子である。高速で射出された佐千子は隕石のように飛来しつつ敵を打ち抜いていく。
「なんだか分からねぇが任せたぞ」
「え? ちょっと!」
次の瞬間、春翔は佐千子と逆方向にかけて浮上する。
「……来やがったな」
そこには、機械の龍をかたどった戦士がそこにいた。
「”あの時”とは随分変わったが……さあ、派手にやろうか」
「私は、ただ撃墜されて早めに退場しようと思っただけなのに」
佐千子は涙目にながら春翔の背に手を伸ばす。
「違う……。私はあなたたちとは違うの」
――望んで参加したわけではない的な意味という事ですね。
佐千子の独り言をノーニが通訳した。
「こんな戦い、意味なんてないわ……!」
次いで群がる敵を一閃。
「私はこんなことしたくなかったのに」
星の海を切り裂いたアスガルの闇、それは空間を引き裂き、真っ黒な世界の狭間から幻惑的な色合いの超が無数に羽ばたきだした。
それが敵を次々と撃墜していく。
――こんな時、あの人さえ居れば。
ノーニは今はなき(グロリア社探索に行ってしまった)第一英雄を思う。彼女ならこの世界感にマッチしていたのだろうと、ノーニは冷静に考える。
「こんな! こんな残酷な仕打ち」
ちなみに佐千子が言ってる泣き言は全てPVへの精神的拒否からくるものである。
そんな佐千子の髪の毛を爆風が揺らした。
春香前方で春翔が拘束戦闘を繰り広げている。
「ここならお前のアドバンテージもないよな!!」
飛べるというアドバンテージ。それはラジェルドーラにとって大きなアドバンテージだった。
だが宇宙空間であればそれは単なる機動力に置き換えられる。
「おら!」
旗と斧がせめぎ合う。弐槍を携えた春翔の斧が砕け散りラジェルドーラは春翔を吹き飛ばす。弐丁拳銃を召喚するも弾丸は複製された斧にはじかれ。
その斧に手をかけた春翔は斧を投げ飛ばした。
「ブチ込むぜ……!」
左右から弧を描いて襲う斧。それにタイミングを合わせて突っ込み斬撃。飛来した斧を掴みとっての弐連撃。さらに召喚した斧で刺突の四連撃。
ラジェルドーラの装甲が火を噴いた。
その隙を逃さず春翔は渾身の一撃を叩き込むも射出された旗は佐千子へ飛来する。
その一撃を春翔は、斧を複製、花弁のように並べることではじいた。
「大丈夫か?」
「ご! ごめんなさい」
「怪我がねぇならそれでいい」
その出来事に佐千子は頭を抱える。皆が真剣なので投げやりな自分に少しづつ罪悪感が募る。
「ああああ! もう耐えられない!」
佐千子はラジェルドーラに突っ込んだ。
「おい! まて」
「せい!」
その瞬間ラジェルドーラが胸から発するエネルギーカノンに焼かれる佐千子
「せめて引き立て役になって罪滅ぼしを……。そう考えたのが浅はかだったわね」
むき出しになったラジェルドーラの核。
それに斧を投げて突き刺すと、春翔は佐千子に駆け寄った。
「無茶しやがって」
「私はもう無理みたい。後は、あなたたちに任せるわ」
そう震える瞼は下ろされて佐千子の体から力が抜けた。
「お願い。この戦いを終わらせて……」
最後にその言葉をのこして。
* *
構築の魔女は口角を吊り上げ杏奈を迎撃する。
魔法弾幕で応戦するが空間湾曲レンズによる射撃攻撃を避け切れず何度も被弾、全身が焼け焦げていて出血もひどい。
「やらせません!」
「邪魔だ!」
理夢琉がその背後を取るも、湾曲し射出された弾丸で弾き飛ばされて宙を漂った。
次いで構築の魔女は銃口を向ける、トドメの一撃。それに杏奈は死を覚悟する。
浮玉による空間湾曲レンズで拡散射撃、飽和攻撃から収束射撃によるトドメを狙う。
「…………、護るべきものを抱いて終わるといい」
だが声が聞えた。
――まだあきらめないで!
ルナの声だ。
――あのレンズで攻撃してるのよ! 杏奈、あれを狙って!
だがもう、対抗する手立てが。
「違う、まだある」
そう掲げたのは時計、次の瞬間全ての時が止まった。
全てのレンズを打ち落とすと一瞬で構築の魔女に肉薄。
メテオシューティングで魔女へと不意の一撃をみまう。
だが構築の魔女は熟練の戦士、カウンターとして、杏奈の胸に銃弾を一つ。うち放った。
宇宙に咲く赤い花。それがバラバラに砕け散ると同時に理夢琉の悲鳴が響いた。
「杏奈さん!」
死なせはしない。理夢琉は自分の魔力を全て消費する勢いで、魔法陣を複数展開治療と攻撃を同時に繰り出した。
そこから降り注ぐ光の結晶が敵めがけて無数に突き刺ささり、構築の魔女を押し返す。
「小賢しい!!」
そんな魔術も撃ち砕くほどの一撃。それは理夢琉の胸に突き刺さり、理夢琉は暗い宇宙の向こうに吹き飛ばされる。
「皆が体制を立て直す時間作れたかな……」
そう瞳を閉じる彼女、けれどその思いは歌となって空に響く。
強大な敵に向かう皆の心に届け!
そうSOULが鳴り響く。
「魂の絆で引き合い戦って」
その声を聴き。澄香はつぶやく
「ワンピースをお願い。リボン沢山ついたの!」
「これ以上はまずい……か。部隊を預かる身でなければ……!」
そう撤退を視野に入れる魔女だが。そんな構築の魔女の背後から歌が聞え、それに足を盗られた、振り返る魔女、その視線の向こうから光の筋が高速でこちらめがけてやってくるのは澄香。
「まだ! 戦いは終わってない!!」
増加装甲とブースターをこれでもかと装着。
丸みを帯びた装甲のフルアーマー魔法少女として澄香が舞い戻ってきた。
「待ってましたよ! 澄香さん!!」
雑魚的迎撃に専念していたイリスから通信が飛ぶ。
「うん、ありがとうイリスちゃん、力を貸して!」
イリスは小さな体を回転させると一気に雑魚敵を振り払い。構築の魔女へと肉薄する。
構築の魔女はあわてて残った部隊を再編制、澄香めがけてありったけの弾丸を放つ、だがそれは通らない。
「それも正解だ、避けれないなら耐えればいい」
追加した装甲が分厚すぎるのだ。
「狙うは先輩…………。いえ、敵指揮官! ミニスミカ、フルコントロール!!」
ぐぎゃーっと声をあげたミニスミカ、一瞬指揮が上がって動きがよくなる。
「突撃!!」
あとは殴り合いである。お互いの遠距離攻撃を、澄香は自分の装甲を犠牲にして、構築の魔女は部下を犠牲にして耐える。そしてイリスが肉薄できるだけの隙を作り出した。
「はああああああ!」
イリスはルミナスのエネルギーを最大展開、翼のように広がるそれを背中の翼と合成して、巨大な六枚羽とつくりかえた。
合わさる六刀は熾天使の六翼の如く雄大に羽ばたき、従軍を薙ぎ払う。
「あああああ!」
それでもイリスの勢いは止まらない。最大加速からのさらなる加速。
全身に纏うオーラ全てを刃と変えて流星の如く特攻し本体の質量事構築の魔女にぶつかった。
「まさか! こんな!」
装備が砕けるも間一髪のところで致命傷は免れた構築の魔女。
だが、澄香が迫る。
「まだだ!」
構築の魔女は懐から拳銃を取り出す、その弾丸が澄香の装甲に直撃。
爆発、しかしそれすらフェイク。
爆発の中から澄香が突貫した。
「それも見えている」
構築の魔女が用意していたのは二丁拳銃、左手の銃が火を噴いて。澄香の眉間をうち貫いた。
だがそれも。
「ぐぎゃー」
「フェイク?」
唖然とつぶやく構築の魔女。
その消え去ったミニスミカの影から躍り出た澄香が両手に収束した雷砲を解き放つ。
「いっけえええええ!」
「ぐああああああ」
それを両手て受け止める構築の魔女。
だが。
「まだ! 僕達がいる!」
不死鳥が燃えたつ炎から蘇るように、イリスは光の中から蘇る。
――これ以上は生命を燃やす事になるが……まぁ、付き合うさ。
「ありがとう、ごめんね……お姉ちゃん」
そのまま光の翼で構築の魔女を貫くと、彼女は少しだけ、笑った。
「本当の悪夢はここからですよ」
次いで空間が裂け、その向こうから船団が顔を出す。地平線を埋め尽くすような敵軍隊。
それを見て杏奈は再度拳を握りしめた。
魔力を殆ど使い切ってしまったが戦いをやめる訳にはいかない。闘志を奮い立たせて船団に向かう。
「……終わった、か」
そう半壊状態で漂っていた春翔も船団を前に体勢を立て直している。
軋む体に鞭打って、斧を再度生成した。
「いいや……終わる訳にゃ、いかねぇよなァ!」
直後的戦列を切り裂いたのはルミナス。
その光の翼はまだ健在であることを示し。
澄香は構築の魔女が捨てて行った重装無反動光線砲を発見。クラリスがシステムにハッキングし使用可能にした。
「魔力変換、オーバーロード」
――座標、送信
「発射!!」
爆炎が上がる、それが彼女たちの顔を明るく照らして、戦いの第二幕が開始される。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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