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広告塔の少女~グロリア社一か年計画~
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次の一年を考えよう!
最終発言2017/08/30 00:44:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/30 00:11:06
オープニング
● 来年は何をやろうか
広告塔の少女は順調だ。
グロリア社が幅広く商品展開するにあたって、常に重要となってきた広告戦略。それに遙華は今まで見事に勝利してきた。
サマーフェス、36時間TV。各種ゲーム商品展開。立て続けにヒットを飛ばした遙華は今やグロリア社本社からいいだけ予算をふんだくることができる。
かつて厄介払いがごとく広告部門に飛ばされた時とは大変な違いだった。
当然だろう、単なる宣伝活動の枠を超えて、売上までどどんと出してしまっているのだから。
「これもみんなのおかげよ、だからこれからみんながどんなことしたいか聞きたいと思って」
そう遙華は皆を集めるなりそう話を切り出した。
遙華曰く、自分だけで掴んだ成功ではないので、皆に協力してまた一年、来年の計画を作っていきたいらしい。
「今年は行き当たりばったりが多かったからね。安定させるためにある程度は決め打ちしておきたいの」
今年のイベントを踏まえた上で来年のイベントを今からデザインしていこうというお話。
今回はそのお話合いをするために、グロリア社会議室に皆さん招かれた。
● 今回は半分お茶会。
今回皆さんはグロリア社に招かれて会議という名目ですが実際はお茶会が半分です。
会議室でお茶を飲みながら一年計画をああでもない、こうでもないと言い合います。
いままでの広告塔の少女シリーズを振り返ってみて何か言いたいことがあれば問いかけていただくと遙華が答えますし。何か気になることがあれば遙華が答えます。
あの調査結果どうなってるの? とか。あの依頼のその後って? など等。
あとは普通に企画を持ち寄っていただくのも大歓迎です。グロリア社の資金力を使って起こしたいイベントとか、商品化したいものとか。
お待ちしております。
あ、もちろん差し入れ大歓迎です。
● 遙華の提案。
遙華が漠然と考えているスケジュールをまとめました。
本当に来年の予定なので、九月から十二月の予定はないです。というか十一月十二月は遙華が個人的に忙しくなる予感がするので、イベントはお休みしてます。
一月 カウントダウンイベント。
四月 グロリア社でお客をいれることを想定したお花見イベント。
六月 36時間TVとは別のベクトルのチャリティーイベント。
八月 第二回サマーフェス
さらに遙華は今年の十月くらい。忙しくなる前に慰安旅行というかみんなでどこかに遊びにいきたいそうです。
おすすめの観光地、いきたい場所などあれば募集します。
25人を超える大人数でいけるようにするか、十人程度で行くかも迷っているようです。
解説
目標 次の一年を考える。
今回はサマーフェス終わりという事もあって息抜きのシナリオです。
後は次の一年のイベントを漠然とお知らせしつつ、どんな感じにしようか決めるシナリオです。
ぶっちゃけてしまうと、広告塔の少女用のネタ集めのシナリオになります。
皆さんのご意見が! シナリオに代わります!
気が付くと広告塔の少女、戦闘系のシナリオストックしかなかったので。
ではでは、皆さんの遊びたいお話し、聞かせていただければ幸いです。
それではよろしくお願いします。
リプレイ
●狂ってないお茶会。
「こうしてゆっくり遙華とお話するのは久しぶりですねぇ……楽しみ。あ、もちろん企画も考えてありますよ」
『卸 蘿蔔(aa0405)』はジャンとケーキが入った箱を開けて見せる、甘い香りが会議室を満たして少女たちの幸せに繋がる。
そしてケーキを切り分ける『レオンハルト(aa0405hero001)』の背後で会議室の扉が開いた。そこには『八朔 カゲリ(aa0098)』と『ナラカ(aa0098hero001)』が立っていて、蘿蔔のアンテナが何やらビコーンと反応する。
次いで蘿蔔が椅子を引いて二人を手招きした。
「こっちですよ!」
「やぁ、蘿蔔。ずいぶん機嫌がよさそうだね」
ナラカが告げると、カゲリは一つ礼を言って席について。
「あ、あの……あのあの。その……隣、座って良いです?」
蘿蔔はその隣に座る。
「ん?」
遙華は何か違和感を感じつつもカゲリの前にケーキを置ぃ。
その違和感について尋ねようとした瞬間の事である。
「みろ! これこの前森でとってきたんだよ」
そう意気揚々と現れたのは『麻生 遊夜(aa0452)』であり『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』の尻尾ぶんぶんもに割り増し。
理由としてはクーラーボックスの中味で、中には大量のクマ肉が。
「クマ肉!」
遙華が驚きの声を上げる。
「滋養強壮に良いぞ、疲れてる時に食うと良い」
「……これから、忙しくなるんでしょう?」
そう遙華の頭を撫でるユフォアリーヤ。
「ありがとう、遠慮なくいただくわね、にしてもその手」
遙華が指さしたのは遊夜の手。そしてその手には熊の手が握られていて。
それを『イリス・レイバルド(aa0124)』が不思議そうな顔をして眺めていた。
「くまさん、やられてしまったんですね」
「弱肉強食、自然界の掟というやつだね」
『アイリス(aa0124hero001)』がはははと笑いながら熊の手を受け取ると、それでイリスを攻撃し始める。まぁじゃれる程度だが、びしびしされるたびにイリスは悲しそうな表情をした。
「素手か?」
『赤城 龍哉(aa0090)』が振り返ってティーカップを空にしながら告げた。
「赤城さんならともかく……銃だな」
「今度俺達も行くか」
「いいですけど、私は弓ですよ?」
『ヴァルトラウテ(aa0090hero001)』が苦笑いを浮かべる。
そんな遊夜がロクトに肉の調理を頼んで席に着くと、全員がそろったらしい、遙華が口火を切った。
「ではこれより来年の予定を決定するための会議をはじめます」
「俺としては行き当たりばったりも悪くなかったんだがな」
そう遊夜はにやりと笑う。
「……ん、でも計画性も……大事、よ?」
そうユフォアリーヤがゆらりと尻尾を振って答えた。
* *
「会議という名のお茶会と聞きまして」
『世良 杏奈(aa3447)』はそう、鼻歌交じりにおやつを広げ始める。彼女が持参したのは一口大の丸ドーナツ。トッピングはジャムやチョコレート、色とりどりに様々な『ルナ(aa3447hero001)』は満面の笑みで広げるのを手伝っている。
「おやつ持ってきたわよ。アタシも作るの手伝ったんだから!」
「ちょうど聞きたいこともあったしね」
「なにかしら」
「赤いルネの事だよ!」
ルナが告げると遙華は思い出したように言葉を告げる。
「ああ、あの子。英雄だったわ」
そう何気ないことでも告げるように遙華は朗々と語る。
「でも、ルネがこの世界に呼び出された時みたいに、なんていうか。言語やとか思考回路に問題があるみたい。第二のルネと言っても過言ではないわね」
遙華はパフェに口をつけながら言った。
「それ、結構重要なことなんじゃ」
イリスが苦笑いを浮かべる、ちなみにこのパフェは黄金りんご(アイリス蜜で黄金に変色するまで漬け込んだりんご)のパフェでとても甘い。
「ジャムが簡単なだけでジャムしかネタがないわけではないのだよ」
アイリスが言った。
「ジャムはないの?」
「ジャムもありますよ……ってそれよりルネに関してです!」
そう机をガシャンと鳴らしてイリスが立ち上がる。それをなだめたのは『ストゥルトゥス(aa1428hero001)』
「まぁまぁ、時間はたっぷりあるんだし」
「……私もジャム欲しいな」
『ニウェウス・アーラ(aa1428)』が手を伸ばすと遙華が手渡した。
「お茶会をしなから会議って、なかなかイイじゃない。そういうの、ボクは好きだなー」
ストゥルトゥスが紅茶の香りを楽しみながらホッ吐息をつくと。指についたジャムをなめとりニウェウスが言う。
「お茶会に、かまけ過ぎたら……ダメだよ?」
「大丈夫だってばー、ちゃんとやりますって。あ、これ差し入れでっす!」
どんっとテーブルに乗せられたのはなんとバスケット。
中にはフルーツや生クリームやら甘いものの挟まれたデザート系サンドイッチを詰めこまれている。
「さらにさらに」
バスケットは二重底になっていて、そこめくるとなんと。
エビフライがいっぱい。というか満杯。
「……エビフライ、多すぎじゃない?」
ニウェウスもその真相を知らなかったのだろう、唖然とつぶやいた。
「皆が食べないなら、ボクが全部頂くから大丈夫」
「つまり……自分用って事、だよね?」
そうニウェウスは相棒にジトメを投げた。
そのエビフライへ興味深げな視線を向けるのは『ウィリディス(aa0873hero002)』である。
「これだけ食べると、カロリーとかどうなっちゃうんだろう」
しかしおいしそう、空腹の誘惑には耐え切れず、ついつい箸を伸ばしてしまうウィリディスである。
そんなウィリディスを『月鏡 由利菜(aa0873)』はアロマキャンドルに日をともしながら眺める。
テーブルが広いので、火をつけて回っていた。
「皆様がリラックスできれば。このキャンドルも、私がグロリア社に提案して採用して頂いたものなのですよね」
そう由利菜は香りを胸いっぱいに吸い込んでから告げる。
「カリメラー! 楽しい企画、採用されるといいな!」
「リディスが遙華さんの所へ遊びに行きたいと言って……連れてこられました」
「そうだったの、嬉しいわウィリディス」
「私も、遙華と遊ぼうと思ってきたのだけど?」
そう椅子の後ろから抱きつく『水瀬 雨月(aa0801)』
「ゆっくり話をするのは久しぶりね、この前のライブの時は全然話せなかったし」
そう雨月の手に自分の手を重ねると、遙華は微笑んだ。
「なんだか直視しがたいですね」
そう『黒金 蛍丸(aa2951)』は苦笑いを浮かべる。
「「なんで?」」
遙華と雨月が同時に首をひねった。
二人が仲良すぎてと、口にしていいのか蛍丸は迷い、とりあえずティーカップに口をつける。
「なんで赤くなってるのかしら」
雨月が問いかけて蛍丸は濁すばかりである。
「にしてもこうやってお茶するのも久しぶりね蛍丸」
「ええ、またお誘いいただけてうれしいです」
そう言葉を交わす蛍丸を見て『詩乃(aa2951hero001)』は口元を抑えて笑っている。なんだろうと蛍丸が詩乃に視線を向けると詩乃は蛍丸の耳元に口を近づけた。
「こうして、また、遙華さまとお話しできるようになるとは思いもしませんでした」
「あ、うん、ごめんね。なんだか色々と……」
実際ここに来るまでは気が重かったのだ。顔を見て話せるか、話すとしたら何を話すのか。まったく何も頭に浮かばず、しょぼくれていたのだが。
実際話し始めて見れば自然に行った。
「蛍丸……クマ肉が焼き上がったわ」
その遙華の言葉で振り返るとロクトが大皿両手に会議室の扉を蹴りあけていた。
「行ってくださればあけたのに」
そう詩乃が席を立つ。皿を受け取って目の前に。
「……ん、赤身だし、ヘルシー」
そうユフォアリーヤはクマ肉になれているのか、スルスルと口に運ぶ。
それを見て遙華は蛍丸に告げた。
「さぁ、食べてみて」
「え? 僕ですか」
「雨月が不安がってるのよ」
その言葉にぴたりと動きとめる雨月。
「まぁ、そうね。確かにちょっと勇気がいるわ。けどためらってるのは遙華も同じでしょ?」
「蛍丸様。私もちょっと怖いです」
詩乃まで蛍丸をキラキラとした視線で見つめる始末。
蛍丸としても少し抵抗はあったのだが、いったん口に運んでしまえば。
うん、なるほど。美味しいお肉である。
「美味しいですよ、皆さんどうぞ」
蛍丸の毒味の結果少女三人はクマを口に運び出す。なるほど、血抜きもちゃんとされていて美味しい。
「これ、どこでとってきたの? 町の周辺にはクマはいないわよね?」
そう遙華が遊夜に尋ねると、遊夜は不敵に微笑んで告げる。
「ちょっと遠くまで……な」
「……ん、でも街中にも熊はいる」
ユフォアリーヤが告げる。
「どこにですか?」
蛍丸が問いかけた。すると。
「……動物園。大熊猫」
「それパンダですから」
「猫……。猫……」
「遊夜ならパンダを知らない間に打ち殺して、ステルスしながら持ち帰るなんて出来そうね」
「あの人ゴミの中をばれないように行くのは骨が折れそうだな」
無理だとは言わない遊夜に、雨月は驚きの表情を向ける。
「ねこ……ねこ」
「どうしたのかしら、詩乃……」
先ほどから猫とつぶやいて動かなくなってしまった詩乃。
それを覗き込む雨月だったが。
「だめね、目が現実を見てないわ」
「あ、これは猫欠乏症ですね……」
蛍丸が困ったような笑みを二人に向ける。
「最近僕が、事件性の高い依頼にばかりはいって、猫と遊べる依頼に入らないから……」
「あら、そうなの。じゃあ今度女子会で猫カフェにいきましょう」
そう遙華が告げると、詩乃は瞬く間に元気を取り戻した。
「ぜひ!」
「蛍丸の彼女さんも誘いましょう。楽しみね」
「僕は!」
絶句する蛍丸に雨月が告げる。
「女子会だから、女子になれば参加できるわよ」
「へ?」
雨月は妖艶な笑みを浮かべて告げる。
「女装して女の子口調になれば、女子会に参加できるわよ」
「あ、それ私見てみたいわ。この前したんでしょ女装?」
遙華もちょっと乗り気である。
「猫……猫……もふもふ」
両手で口元を抑えて微笑む詩乃。
「……猫、かわいいですものね」
そんな彼女の頭を蛍丸はよしよしと撫でた。
「いっそそれをイベントにしてみる?」
遙華が告げる。
「女装を?」
「それは、ちょっと困ります」
雨月の言葉に顔を真っ赤にして俯く蛍丸。
「で、でも他にも面白そうなイベント考えてきましたから。例えばハロウィンで仮装パーティーとか、夏はキャンプとか」
「女子会はやりたいです!」
詩乃が手を上げる。
「遙華さんはどんなことがしてみたいですか?」
「そうねぇ」
「四季折々のイベントという事であればおすすめがあります」
そう声を上げたのはヴァルトラウテ。
「春には花見。夏には七夕。秋には紅葉狩り、冬には雪まつり。で大々的にやるのはどうだ?」
「雪祭りは雪が降らない場合どうしたものでしょうね」
「グロリア社が人工降雪機でも用意してくれるだろ」
「そんな目をして、こっちを見られても……まぁできなくはないと思うけどね」
「ロクトさんがたまに催す息抜きみたいなもんはその時々でやれば良いだろうしな」
「あ! 季節のイベントなら」
そうストゥルトゥスが口元についた衣をぬぐいながら手を上げる。
「いろいろ調べてきた」
ニウェウスがそう言ってフリップを取り出す。
「仙台の七夕まつり……結構、大きいイベント、みたいだね」
それこそ仙台の七夕祭りの写真である。
「メインの笹飾りは、本場を参考にさせて貰ってぇ。後は、屋台やステージイベントを用意するとか?」
「そんな感じ……でいいの、かな」
「いっそ、バカでかい笹を用意して、そこに皆の願い事を書いた短冊を飾りまくりたいかなー」
「なるほど……」
「……ハロウィンだったら。そう。遙華が、多忙になる、前に……大きいの、やっちゃう?」
ニウェウスが告げるとストゥルトゥスが指をたてて語り出す。
「十月で何かかますなら、やっぱハロウィンだろうねぇ。エージェント総出の仮装パレードとか、とんでもない事になりそうで楽しそうデス」
「いっそ、仮装コンテンストとか……やって、みる?」
「いいねぇ。後は、トリックオアトリートを絡めた一般人との交流とか考えたい所かなぁ」
「子供たちに、お菓子を配る、とか……?」
「うんうん。あ、このお菓子ウメェ」
そうドーナツをもぐもぐすると、ルナが身を乗り出した。今ストゥルトゥスが食べたドーナツはルナが作ったらしい。
上機嫌のルナである。
「あとは……紅葉狩りと慰安旅行を合わせるっていうのはどうだろう」
ドーナッツを飲み下してストゥルトゥスが告げた。
「紅葉狩り……。それなら、北海道、行こう」
そうふんすと鼻息荒くニウェウスはタブレットを全員に掲げて見せた。
「んー? 紅葉狩りの後は、秋の味覚を楽しみましょう。秋鮭やイクラがお勧めです……って」
タブレットを読み上げて視線を上げるストゥルトゥス。その眼前には表情をキラキラさせたニウェウスがいて。
「マスターぁ。これ、食べ物の方が目当てでしょ?」
そうストゥルトゥスが言うとみんなが笑った。
「慰安旅行なら北海道もいいが、おすすめがある」
そう遊夜はパンフレットを全員に配った。
「長野県のこの温泉なんてどうだ? のんびりゆったり、風情を感じたいんでな……」
そう遠い目をする遊夜、その思いは遙華に届いたようで、遙華も遠い目をしている。
「ん……。温泉」
そう尻尾を振るユフォアリーヤはげんきっである。
「季節折々という事でしたら、三月四月も盛りだくさんですよ」
由利菜が紅茶を注ぎながら告げる。なるほど様になっていた。
「たとえば三月」
「グロリア社主催なんだから、派手な雛祭りパレードにしちゃおう!」
ウィリディスが高らかに告げた。
「は、遙華さん、パレードは予算に都合が付けばと言うことで……。でも、雛祭りイベント自体は開催していいと思います」
「そこは広報に結び付くなら。アイドルたちを乗せた神輿とかね、由利菜も乗る?」
「予定が合えばですかね……私の下へは月10件以上の依頼参加要請が来ることも珍しくありません」
由利菜は目を伏せて話しだす。
「加え学園の勉学、ベルカナでのバイト、涼風邸のメイド達の業務管理もある状況で、更にアイドル活動をやるのは無理があります」
「えー、でも最近ピアノの練習してるでしょ、ユリナ?」
そう抗議の声を上げるのはウィリディス。
「……あれは一応、社交スキルの向上が目的ですよ? 尤も……イリスちゃんのようにアイドル活動をしている方々へ生演奏を提供できたら、とは思っていますが」
「僕もお手伝いさんですから」
そう身をひそめるように小さくなるイリス。
「あとは、パンケーキ・デイ。イースターだね」
ウィリディスが告げると言葉を引き継ぐ由利菜。
「キリスト教圏では復活祭は一般的な行事なのですけれど、日本では馴染みが薄いみたいでして……」
「あたしも一応信仰はカトリックっだから、やって欲しいね~」
「あら、カトリックだったの。プロテスタントだと思っていたわ」
遙華が告げるとウィリディスが由利菜の方を見た。
「ユリナのお母さんは、聖公会より純粋なプロテスタント派って聞いてたけど……」
「ええ。母からは何度もイースターは復活祭ではなく、復活日だと言われまして……。私は母と比べると、最低限必要なプロテスタントの教義だけ守っている感じですね……」
いろいろあるのね、と遙華は紅茶に口をつける。
「あとは、暑いに夏にはそれを避けるという選択肢もあります」
「……私は、プラティストモに行ってみたいですねぇ」
そう告げたのはウィリディス。
「きゅ、急にパラスケヴィの口調にならないで、驚くから……。リディス、プラティストモって?」
「ギリシャの山中にある緑豊かな避暑地です。温泉がありましてねぇ~、病に効くという硫黄泉が流れているのですよぉ。ホテルやレストランも完備しておりますのよぉ」
「みんな沢山調べてきてくれたのね、ありがとう、他に何かある人いる? たとえば蘿蔔とか」
「あ! ひゃい!」
思わず跳ね上がる蘿蔔。
さっきまでぽやっとした様子で、少し顔が赤くて、話しの最中でもうわの空。
ちょっとおかしな蘿蔔である。
そんな慌てふためく蘿蔔のかわりにレオンハルトが口を開いた。
「またやりたいのは炊き出しかな」
「私も。でもそれだけでは弱いので……被害が出た地域への支援活動に役立つAGWの開発とかどうかなって」
やっとこさいつもの調子を取り戻す蘿蔔である。
「例えば、何も無いところから水を生み出す本とか。飲み水の確保はもちろん、愚神が起こした火災の被害を抑えるのにも使えたらなと」
「グロリア社への要望ね」
「あ、話が脱線してしまいましたか?」
「雑談形式なんだから、だっせんもなにもないわ、続けてもらってもいい?」
その遙華の言葉を受けてレオンハルトが語り出す。
「あと正直、雪や砂漠の時に思ったけど、特殊な環境に対応している装備って大きな被害が出てから開発されることが多い印象があるね」
「それはあるわね、改善していかなくてはいけないところよ」
「最低限の性能で良いから一時的に対処できるものが欲しいなぁ」
「何が必要かはいつも通り戦場に出てるリンカーの意見を参考にしたり、
救助活動のプロ……日本であれば自衛隊や消防隊等でしょうかね。彼らの意見も参考になりそうですし、協力できれば色々広がりそうだなーって」
蘿蔔がうんうんと唸りながら告げる。
「それをドキュメンタリーにするのはどうかな? 番組を見た人からの意見も来るかもしれないし」
「なるほどねぇ、カゲリはどう思う?」
そう遙華がカゲリに問いかけると。カゲリは告げる。
「まぁ、それでいいんじゃないか?」
「今までに、いいな。と思う企画はあった?」
「まぁ、どれもいいんじゃないか?」
そうカゲリは自分で入れたコーヒーを啜る。
蘿蔔にも進めていた。砂糖をいくつか入れて蘿蔔もコーヒーに口をつける。するとまたぽわっとした蘿蔔に戻る。
遙華は思う。
これはなにかおかしいぞと。
「ちなみにナラカは……」
「慰安旅行もあいどる活動も、予定があいていれば参加させてもらおうか。皆に言えることだが、先行き不透明な身の上なものでな」
「そう、なの……」
釈然としない遙華。
「元より皆の提案を聞きつつ御茶を飲み楽しむが今回の趣旨、私は見守るだけにさせてもらおうと考えているよ」
「まぁそれについてはいいのだけど。なんだか、蘿蔔とカゲリ、仲がいいわね。なんで?」
なんだか声音の冷たい遙華に、さっと血の気が引く蘿蔔。
蘿蔔は思う。ここでばれたらやばいのではないか。だが無情にもナラカが口を開いてしまう。
「付き合い始めたからな、覚者と蘿蔔は」
場を静寂が支配する。しかしそれもつかの間。
「…………えええええ!」
そんな大きな声だせたの?
そう問いかけたくなるほど強烈な声が会議室に響く。
「ええええ、いつ、いつから」
「少し前だな」
ナラカはちょっと楽しくなりながらコーヒーを啜る。蘿蔔は顔面蒼白である。
「こ、今後蘿蔔と遊ぶにはカゲリの許可が? 今度蘿蔔と一緒に遊びに行ってのいいかしら?」
「許さん!」
ぴしゃりと言い放ったのはナラカ。
「そ、そんな……」
「なぜお前が答える」
さすがに口を挟まないとまずいとおもったのか、カゲリがナラカをそう嗜める。
「いや、あまりに遙華の返しが面白かったのでな……」
燃え尽きる遙華。真っ白に、そして瞳から光が消える。
「あわあわわわわわわ、遙華!」
「じょし! 女子会いきましょう! 遙華さん」
詩乃が肩を揺さぶり、蘿蔔が駆け寄った。
「おやおや、何やら大変だね」
そんな状況を楽しんでいられるのは神鳥か妖精くらいなもので。
アイリスは喧騒をBGMに優雅に紅茶へ蜂蜜を投入した。
「お姉ちゃん、どうしよう、収拾がつかなくなってきたよ」
「そうだね、だったら無理やり仕事の話にしてしまえばいい、ほらイリス。聞きたいことがあったんだろう?」
「あ、そうだった」
そうとてとてと走り寄るイリス。
そして遙華の膝に手をかけて遙華の見上げるイリス。
「そういえば、サマーフェスの結果ってどうなりましたか?」
「え? あああ? さまふぇす?」
遙華の反応は普通ではない。だが容赦なくアイリスは言葉を引き継ぐ。
「ああ盛況だったのは知っているよ。私たちが言っているのはアニマの方さ」
「あに、あにま?」
「あれって固有心振動数の観測のアプローチも含んでいるっていったじゃないですか」
揺さぶるイリス。徐々に正気を取り戻し始める遙華。
「なのでそちらで成功しているか聞きたくてね。成功しているようならこちらも次の段階へ進めるのだよ」
「アニマでメモリアの……ガデンツァの楽譜にしみこんだやつの感情をもっと深く観測します」
「ガデ……。ガデンツァ」
その単語で正気に戻る遙華、仕事モードの眼差しである。
「まぁ、力ある歌で滅びの歌の再現をしようというのだから、観測する者は相応の覚悟が要求されると思うがね」
「たぶん、効果はあるのよ、楽譜が完全な状態なら。私はそう思う」
そう遙華は神妙に告げる。
「効果がある……というのは?」
「まず、アニマ。イリス、アイリスがさらに研究を深めて完成された曲だったけど、成果は前と変わらず、英雄と能力者の間に隔たりをもたらそうとする効果しか観測できなかった。けどね。それは当然だと思うの」
だって楽譜が未完成だから。
「楽譜を完成させるために、ガデンツァは何かを集めているような発言をしている。これではっきりわかったのは、たぶん私達サイドでは譜面を埋められれないこと。音じゃない。きっともっと別な根源的な何か」
「はぁ、つまりよくわかってないってことですね。であれば……それはそうとあれとかはどうなったんです?」
「あれ?」
「前に吸血鬼のPVを撮っただろう?」
「どれ?」
首を左右にひねる遙華。
「ボクたちって依頼とかお友達のところに行くときくらいしか人里には行かないので」
「その後というのは全然聞かないのだよ」
「ああ、評価? 上々だったわよ。売れ行きはかなり良かったわ。予算をかけたかいがあったわね」
「それに、ドラキュラの件もそうですが」
「開発に関わる依頼はあるが。実際にそれを遊んだりする依頼とかは聞かないねぇ」
「ゲームとか? も、作ったんですよね? ゲーム大会とか依頼でやったりしないんです?」
「どうせなら世に出た後の事も触れてみたいとは思わないかい?」
「ソングオブサマナーね。めでたく2が出るから。それに合わせていろいろやろうとは思ってるけど、みんなも参加したい?、なら何か企画するわ」
「そういえば、ボクらって何かに関わったっけ?」
「さてねぇ、覚えていないな」
「お姉ちゃんのとりあえず賑わしておけ精神嫌いじゃないよ」
「いろいろやったじゃない。それこそグロリア社製品の八割くらいには関わってるんじゃない? 知名度も相当だし」
そう遙華が告げるとアイリスはイリスの頭を撫でながら告げた。
「しかし、イリスも上り詰めたものだね」
「……」
しかしイリスは無言モード。
「トークが壊滅的だからパフォーマンス一点特化。おまけに握手会などというファンサービスもなし」
「……」
「イリスのファンは驚かさないように偶然見かけても騒ぎ立てないというのだから理解が深いよ」
「……」
「歌や踊りもおよそアイドルらしさとはかけ離れたものだしね、芸術点は高いと思うが」
「お、お手伝いだし……」
「すでにその反応すらもイリスというアイドル像に含まれている感じはするけどね」
「だったら俺達もきかないとな」
そう遊夜がユフォアリーヤと視線を合わせて問いかける。
「エリザについての進捗はどうなってるかね?」
「……ん、もう目が覚める?」
「それについてだけど……」
エリザとはグロリア社が偶々生み出した人工知能である。開発者でもなぜ作りだせたか分からない技術の結晶であるがゆえに不具合を解決できず今はコールドスリープとなっている。
「また会うと約束したからな」
遊夜はまだ覚えている、凍結間際、彼女が自分をお父さんと呼んだこと。我が子の帰りをいつまでも待つのは親の務め。
そして帰ってきたなら祝ってやるのも親の務め。
「なにかあれば手伝うから言ってくれ。早く娘に会いたいんでな、その為なら限界も超えてやるさ」
「……ん、何でもやる……よ?」
目覚めに立ち会う依頼を是非に!
「そうね、頼りにしてる。あの子が危なくなったら助けてあげて」
そう告げたのは遙華ではなくロクトだった。
思わず振り返る遊夜、そんな彼に遙華が矢継ぎ早に言葉を告げる。
「ああああ、ごめんなさい、半年、半年待って」
「なるほどな、だったら引き続き頼む、そして削弾なんだが。SA「アルマータ」ってあるだろ? あれの潜伏狙撃型を作れないか?」
「潜伏……」
「……ん、見えない狙撃手は理想……でも、アルマータは……ボク達には、使いにくいの」
「なるほどね、調整……あとで具体的な調整案とか聞かせてもらいましょうか」
「そういや装備と言えば」
龍哉が身を乗り出して遙華に問いかける。
「例の翼、もう何度となく任務に投入してきてるが、その後どんな感じなんだ?」
「天翔機ね。コストダウンに手間取ってるわ」
「ジェットパックじゃスカイダイビングでの姿勢制御がやっとだし、1つ持ってるだけで対処能力が大幅に広がるから俺らの手に届く所まで来て欲しいところだな」
「戦旗の件もありましたわね」
「戦える方の旗。はもうすぐ……だと思いたいわね。開発自体はすんでるのよ。あとはリリース用の調整だけ。これがちょっと厄介でね、あとリリースタイミングも見計らってるし」
そんな朗々としゃべる遙華を眺めながら雨月はふとため息をつく。
「どうしたんですか?」
蘿蔔がそう心配をして声をかけた。
「イベントと言われても中々思いつかないわね……一体何しに来たのかしら私」
すると雨月はそう答える。
「でも、資料持ってきてるじゃないですか」
そう雨月が鞄の中から取り出したのは、エネルギーウィング使ったレースの草案
「でも、こんなの思いつきだしね……」
そう遙華を眺める雨月。そんな遙華を中心に話はどんどん進んでいく。
「アルスマギカの件もまだ残ってるんだっけか」
そう龍哉がわくわくした調子で告げる。
「巨大ロボ……ロマンですわね」
「重力制御でもないと、一般人には乗るの無理らしいけどな!」
「そうね、ちょっと転んだだけで数メートルの高さを落下することになるから、操縦どころではないわ」
遙華がそう答えると、ヴァルトラウテが告げる。
「能力者なら大丈夫ですわ。恐らく」
「いや、アルスマギカ関係なくなってるだろ」
「お互いがこれまでの経緯を踏まえていれば、行く末が暗闇に包まれている訳ではないと思いますわよ」
「そうね! ぜひロボットはつくりたいわね!」
「ほら……」
そうヴァルトラウテは物言いたげに龍哉を見た。
エピローグ
話し合いが一通りすんだ頃、遙華は部屋の隅に視線をやるとそこで雨月が寝息を立てていた。
突かれているのだろう。そんな彼女に上着をかける遙華。
そして遙華は雨月の隣に腰を下ろす。
「今日は来てくれてありがとう」
「水瀬さん寝てしまったのですか?」
そうひょっこり顔を出したのは蘿蔔。
「蘿蔔、お疲れ様」
「そういえば言ってなかったことがあって、私。アイドル辞めようと思って。いえ……音楽活動はこれからも続けるつもりではありますが。カナタにアルスマギカ語のお勉強とやることは残ってますので」
「そうなの? 向いてる気がしたのに」
「向いてはいませんよ。がーでぃあんずの皆と一緒にステージに立って、楽しかったけど衝撃的で。私は……アイドルではないなと。だから路線変更ですね」
告げて背後のカゲリを見る。
「決して後ろめたい理由があって辞めるわけではないのです。ええええ、本当です。本当ですとも。
でも……事務所に社会的に消されそうになったら、助けて」
「ふふふ、じゃあ私の直属の部下になっちゃえばいいのよ。引き抜きよ」
その言葉にレオンハルトが笑って答えた。
「それに、脅されたって内容も大したことないから気にしなくていいよ。確かどーじんかつどう? がどうとかで」
「それ大したことあるから!」
そう蘿蔔が声を上げると、レオンハルトも遙華も笑い声をあげる。
目を覚ます雨月。賑やかな雑談はまだまだ続きそうだ。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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