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珍従魔ハンター『タランチュラ編』
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【相談卓】
最終発言2017/07/17 21:40:55 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/15 23:22:53
オープニング
●くもはくもでも?
セイシェル。
東アフリカにある島で、観光地として人が多い。
透き通る様な青い海、南国でよく見るシダ植物が生えており、太陽の光がじりじりと人々を照らす。
「ひぃっ! く、クモ!?」
ビーチの近くに繁っている草の間から、小型犬位の大きさもある蜘蛛がガサリと顔を出した。
それを見て、驚いた観光客は驚きと恐怖の声を上げた。
その悲鳴を聞き付けた他の蜘蛛も、次々と草の間から頭を出す。
「ギチギチッ!」
口を動かし、8つの瞳に観光客の姿を映した。
「に、にげろぉぉぉぉ!」
若い男性が声を上げると同時に、巨大な蜘蛛は喉元に牙を立て吸血鬼の様に血を啜る。
ビーチには、パニック状態の観光客が駆け回る中で、蜘蛛は糸を尻先から出し捕縛する。
そして動けなくなった一般人に牙を立て、血と共にライヴスが空になるまで吸い付くした。
●希望『水着回』
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。プリセンサーの報告によると観光地として有名なセイシェルに、現地の人も真っ青なタランチュラが現れるそうです。急いで現地に向かいましょう!」
『ティリア。とりあえず、その観光する気満々の荷物は置きなさい』
と、何故かばっちりと荷造りしているティリア・マーティスに対し、トリス・ファタ・モルガナはキャリーバッグを取り上げた。
『タランチュラ? くも? 虫は撲滅するべきなのよ。先にクラト君が準備してくれているみたいよ』
アラル・ファタ・モルガナは、アナタ達に説明をする。
『あとね、退治してくれたら観光や海で遊んでも良いって、だから我が子達もちゃんと準備してくるのよ? 母からのお願いなの』
と、言ってアラルは、そっとアナタ達に観光用のパンフレットを渡した。
解説
【目標】
巨大タランチュラの討伐
巨大タランチュラを食せ!(嫌な方は普通に観光しても大丈夫です)
【場所】
セイシェルのビーチ(昼/天気は晴れ)
【一般人】
観光地なので沢山の観光客がいます。
先に現地で圓 冥人と地元の警察が人避けをしております。
【敵】
従魔『タランチュラ』(10体)
ミーレス級。全長1mのクモ。
牙に毒を持ち、お尻から糸を飛ばします。
素早く、糸を使って跳躍する事も可能です。
糸はかなり頑丈で、その糸で木を引っこ抜く事が可能です。
【タランチュラ】
アジアの地域でも食べられています。
揚げると美味しいらしく、子供のオヤツとして売られてたりするそうです。
食べないのは日本位だそうですよ?
【珍従魔ハンター】
弩 静華が楽しんでやっている活動。
活動内容は、ただ食べれそうな従魔を食べるだけ!
【NPC】
ティリア:アラルが『虫を撲滅するの』と意気込んでいます。
冥人:いつもの様に静華が主導権を握っています。
2人とも指示があれば従います。
【このシナリオの相談期間が普段より1日早いので、プレイング締め切りを間違えぬようお願いします】
リプレイ
●いざ、セイシェルへ!
『ミサトちゃん! 依頼を受けてきたぞ』
「老師はまた勝手に……。なるほど、観光地に従魔が出現しては集客に悪影響でしょう。大事にならないうちに処理する必要がありますね」
意気揚々と言う嵐山(aa3710hero001)を見て、新座 ミサト(aa3710)は渡された依頼内容に目を通す。
『ほれ、アラルちゃんから観光用のパンフレットももらってきたぞ』
と、観光用のパンフレットを頭上高く掲げる嵐山。
「老師、遊びじゃないんですよ」
小さくため息を吐きながらミサトは、額に手を当てると呆れた表情で嵐山に視線を向けた。
『ミサトちゃん、このビキニを持っていくのじゃ。むむっ、こっちの水着も捨てがたいのう』
嵐山はクローゼットに眠っている水着、カタログの水着を見ながら提案をする、が。
「……老師。私の荷物は自分でまとめますから」
そう言ってミサトは、自分で旅行鞄に必要なモノを小さく畳みながら丁寧に詰め込む。
「インド洋の真珠セーシェル! 死ぬまでに一度行ってみたかったんです。水着、これならいいですよね?」
鼻歌を奏でながらセレティア(aa1695)は、旅行鞄に入れる前に猫耳フードラッシュガードパーカーとフリルスカートスイムレギンスを見せた。
『最近の水着そんなんなのか。ロリコン対策ガッチリされてやがる……それならいいよ』
現代様々なデザインの水着が作られており、それを知らないバルトロメイ(aa1695hero001)は驚くと同時に内心ほっとしていた。
「観光地に従魔……ですか……この時期は、沢山の旅行客が来られるでしょうし、早く退治してしまわないと、ですね」
と、集まったエージェント達の中で唯一依頼の事をしっかりと考える花邑 咲(aa2346)。
『今回も何やら食べられる従魔が出現しているらしいのぅ。前回のナメクジは美味かったが……果たして、今回の敵(食材)はどうかの』
既に珍従魔ハンター、というより珍従魔グルメとして馴染んでいるサルヴァドール・ルナフィリア(aa2346hero002)は楽し気に微笑んだ。
「ざわ……この方々、人の生き血を飲み干しまくった蜘蛛を食すると言いおったですよ!」
この依頼に参加している半数の言葉を聞いて都呂々 俊介(aa1364)は、目を丸くしながら声を上げた。
『俊介や……人それぞれじゃ。下手に関わり合ってお一つどうぞとか言われたらどうするつもりじゃ? ここはスルーじゃぞえ』
青い蝶の様な羽根を背負っているタイタニア(aa1364hero001)は、呆れた声色で俊介に言った。
『任せてください、かあさま!』
「うん? 初対面だよね?」
禮(aa2518hero001)の言葉に海神 藍(aa2518)は首を傾げた。
『初対面でも、みーんな母の子なのよ』
アラル・ファタ・モルガナは、2人を見つめながら優しい笑みを浮かべた。
『兄さん、あの方はきっと高位の海の精霊か神様です、人魚にとってはまさに母のようなもの』
ビシッ! とアラルを指し禮は胸を張りながら言った。
『さあ、行きましょう。虫は撲滅すべし、です!』
「(モノフィン抱えながら言われても……まぁいいか)」
藍は、禮の両腕の中にある一枚大きな足ヒレを見て小さく笑みを浮かべた。
島だ!
浜だ!
海だ!
南国だ!
水着だ!
巨大タランチュラだ!?
「シダやソテツ(?)のような熱帯の木は生えてるみたいだけど、熱帯雨林ほど木が生えてる場所はなさそうだ……」
アナー(aa5188)は、人の手によって綺麗に手入れされている植物を眺めながら言った。
『よく見てたタランチュラより、凄く大きいですね』
と、少し不安そうなナテリー(aa5188hero001)は、草陰に隠れている従魔を見て呟く。
「青い海、白い雲、白い砂浜……黒い蜘蛛、か」
浜辺に我が物顔で歩くタランチュラを見て、南国情緒が大型の蜘蛛だけでこうも変わるとは、と思いながら藍はため息を吐いた。
『……かあさまも蝶だったら許すでしょうか?』
既に共鳴姿になっているアラルを横目に、禮は好きな蝶がひらひらと南国の空を舞うのを見て呟いた。
「蜘蛛が昆虫でないのはクイズ系の小ネタとしては定番以前となって来ましたが、実は蜘蛛には更に驚くべき秘密が有るのです!」
『……また俊介のどうでも良い話が始まったぞえ』
タイタニアは俊介の言葉を聞いて眉をひそめた。
「それは脳なのです! 何と一部の種では身体の体積の80%を占めるほど脳が大きいと……蜘蛛の巣を張る都合らしいですが、つまり奴らは危険なほど頭が良いのです」
『……意外とまともな?』
何時もとは違い、討伐する蜘蛛の知能に関しての知識を言う俊介を見てタイタニアはちょっと感心する、が。
「だからこの様に巨大化した蜘蛛が何を企んで居るのか分かったモノでは有りません! ここは撤退し出方を窺うのが最善の道かと……気持ち悪いし」
『……はぁ』
一瞬でも作戦を考えたのか? と期待するも、ゴキブリの様な速さで他のエージェント達の後ろへと後退する俊介を見てタイタニアは呆れるばかりだ。
『前回のナメクジといい、今回の蜘蛛といい…どれもこれも、大きすぎやしないかのぅ……』
「……そう言われてみれば、確かに大きいですねぇ……」
サルヴァドールの疑問に咲は同意するように頷くと、じっとコチラを見つめるタランチュラを凝視した。
「蜘蛛型ですから、糸を射出してくるのは予想できますね。注意しておきましょう」
『毒蜘蛛がモデルのようじゃ。噛みつけれないように注意じゃ』
共鳴姿のミサトはタランチュラを見据え、虹蛇を手に取ると駆け出した。
●一部サービスシーン付きだよ!(万歳
万全に観光の用意だけはしたエージェント達、しかし戦闘となると問題が起きなくもないので……
『しまった! ティアのピッタリサイズでしかも伸縮性がないから……はみ出てしまう!』
バルトロメイは、小さな水着から溢れ出す胸部と筋肉の共鳴姿を想像しながら頭を抱えた。
「げ、現地、調達しましょう!」
と、セレティアが提案し、近くのお店へと駆け込む、が。
「こ、これしか……」
『仕方がない! その上に俺のシャツを着れば何とかなる!』
セレティアはとてもセクシーなマイクロビキニ類の水着を差し出すと、バルトロメイは持参したシャツを手にし共鳴した。
野次馬の観光客の視線も釘付け、鍛え抜かれたボディにシャツの上からでも分かるセクシーな水着はちらりと見えた。
『もう、蜘蛛は虫じゃないとか言っている場合じゃないのよ。母は首の多くて悪いのと足が多くて悪いのは嫌いなのよ』
と、アラルは怒るが、ティリアが用意したビキニ姿なので迫力は無い。
砂の上を滑る様に走るタランチュラ達。
エージェント達はそれぞれの武器を手に、駆け出した……1組の能力者と英雄を残して。
「目! 目が合ってしまいました! 分析される! 心を読み取られる!」
実際は目が合ってないものの、そう感じた俊介は両手で目を覆い声を上げた。
『馬鹿者、皆は行ってしもうたぞ。少しでも貢献せねば、観光は出来ぬと思え』
「目さえ、目さえ、合わせなければ良いんだ!」
俊介は、全長200cmもあるヴァリアブル・ブーメランを持って仲間の元へと駆け出した。
「……べつに、今から焼けていても構わんのだろう? なんて」
藍はブルームフレアでタランチュラを焼き払う。
ちょっと香ばしい匂いがして、グゥとお腹の虫が鳴った。
「早いのは、蜘蛛だから分かっておりましたが……巨大になってもこの速さは」
ヒュンッと虹蛇をしならせ、タランチュラの足を1本に鞭を巻き付け引き千切る。
「厄介、ですね」
サトミ自身の腕より大きな足を無造作に投げ捨て、1本取っただけで動きが衰えないタランチュラを睨んだ。
「糸の射出時に、腹部をみせたときがチャンスでしょうか」
『そうじゃな。糸を躱した後に狙ってみるのじゃ』
ミサトの言葉に同意する様に返事をし、嵐山は声を上げた。
「キシャァァァ!」
迫りくるタランチュラをミサトは、虹蛇を振るい疾風怒濤で激しい連続攻撃を繰り出す、が。
足先から勢いよく糸が射出され、べったりと体に糸が絡みつく。
「くっ!」
巨大タランチュラを睨みつつ、ミサトは虹蛇からナイフへと持ち替えようと試みる。
すると、視界は青一色になり空の青さと入り交じりまるで海の中の様だった。
『……ふむ。無事かのぅ、若いの』
後ろからのんびりとしたサルヴァドールの声が響いた。
「助かりました。まさか、足先から糸が出るとは思いもしませんでした」
『ほう、この蜘蛛は尻だけではなく足先からもとは……』
ミサトの言葉を聞いてサルヴァドールは興味深々に焼けた巨大タランチュラを見る。
『そうなのよ~砂とかで滑らない様に、足先から糸を出して巣を作るのよ』
アラルが巨大タランチュラの足を引きずりながら笑顔で言う。
「なかなかやりますね」
『滅すべき、虫ですからね』
と、呟くミサトにアラルは巨大タランチュラを解体しながら答えた。
「蜘蛛だ。潰すなら、頭のみ」
アナーがメギンギョルズでタランチュラの頭をぐしゃりと潰しながら言う。
『そ、そうなんですね』
動かなくなった巨大タランチュラを見つつ、ナテリーは震える声で答えた。
「しかし、問題はタランチュラという生き物は足先からも糸が出せる事をだ」
と、呟きながらアナーは倒したタランチュラの足を手に取る。
ぐい、と引っ張ると砂の中から巣らしきモノが一本の束になりながら出てきた。
「やはり、か。他の者が巣に掛かってないと良いのだが……」
小さくため息を吐くと、アナーは戦う仲間を見渡した。
1,2,3……と数えていると俊介の叫び声が響く。
「おかしいハズだ」
『な、なにがです?』
と、アナーが呟くとナテリーは問う。
「タランチュラの位置だ、流石に完全に『タランチュラの生態』ではなく従魔としての能力はある」
踵を返し、アナーは俊介の元へと駆け出した。
「目を合わせたからだ!」
『違う、砂の中に潜んでいたんじゃ!』
首を横に振りながら叫ぶ俊介にタイタニアが何が起きたのか言う。
「遅かったか!」
手を伸ばす前に砂の中へ沈んでしまった俊介を見て、アナーはぎりぃと歯を噛んだ。
「え? うそ!?」
『目を開ければ分かる!』
驚き戸惑う俊介にタイタニアが声を上げた。
「ひぃ! 近い!」
瞼を上げると、俊介の鼻先に巨大タランシュラの顔があり口を横に広げ、牙からどろっとした液を垂らした。
『槍じゃ、槍で頭を突くのじゃ』
「で、でも!」
どうせ噛まれる、なんてマイナスな言葉が脳内に響いた。
噛まれる、と悟った瞬間、ふわりと体が浮きじりじりと太陽の熱さを感じた。
「アナー、真下だよ」
「はぁっ!」
冥人がタランチュラの位置を指し、その部分にアナーが的確に仕留める。
「はー、洗脳されたかと思いました」
「何を言って……あぁ、あれはただの蜘蛛じゃない従魔だよ。洗脳なんてまどろっこしい事はしないよ」
俊介の服に付いた砂を払い、冥人はタランチュラを指しながら言った。
「え! そうなんですか!?」
「そう、だから怪我人を任せるね」
「わ、わかりました!」
俊介はこくこくと頷きながら冥人の話を聞いた。
『最初からその心算だったんじゃかえ……』
俊介の肩に乗っている妖精が、タイタニアの言葉と連動しているかの様に小さく肩を竦ませた。
『仕込みナイフって便利ですよね』
尻先から射出された糸を藍が【SW】ノーシ「ウヴィーツァ」で切り裂くと、禮がうんうんと仕込みナイフの便利さに感嘆の声を漏らす。
「備えあれば、ってところだね」
藍は、【SW】ノーシ「ウヴィーツァ」に赤い紐の【SW(ナイフ)】Red string of fateで柄を括りながら、砂浜をザッと蹴り上げると粒が細かい砂が宙を舞い音も無く風に吹かれた。
巨大タランチュラは口を横に開き、まるで咆哮しているかの様に口を動かしながら大きな前足を藍に向けて振り下ろす、が。
ダン! と前足は柔らかい砂に埋まり、藍がナイフをタランチュラを掠める程度に投げると頭をナイフの方へとぐるっと向けた。
その隙に藍はトリアイナに持ち替えると、三叉槍の先を真っ直ぐに向けその巨体を貫いた。
『うぉぉぉりゃぁぁぁ!』
熊の様に咆哮しながらバルトロメイは、海まで追い詰めたタランチュラにドラゴンスレイヤーを振り下ろした。
かなり威力があったのだろう一瞬だけ海が少し割れ、空高く海水が舞いぼたぼたと雨の様にその身に降り注がれた。
『ま、砂の上は得意でも海の中はダメだったみたいだな』
と、言いながらドラゴンスレイヤーをかっこよく肩に担ぐが、シャツが海水で濡れてぴったりと肌に引っ付き尚且つ白だったのでセクシー過ぎる水着が見えた。
『うひょー! 濡れた服から見えるモノは良いのう』
その背後から嬉々とした声を上げる嵐山。
『はっ! ヤバイ、さっさと共鳴を解除して着替えないとな!』
タランチュラを担ぎ、仲間の元へとバルトロメイはそそくさと駆け出した。
●海を楽しむ前に食べましょう!
「さて、終わったね」
倒した数、倒し残しは居ないか見回りをし終えたエージェント達は旅行鞄を手にした!
もちろん、ここは南国の観光地で浜辺がありアラルが事前に許可を得ているならば、やる事は一つ!
泳ぐしかない! そう、透き通るような海を前にして『はい、さようなら』と帰る者は1名を居なかった。
1名を除いては……
「さて、所で世界最大のヤシの実が生育するヴァレ・ド・メ自然公園があるのは何島でしょう?」
『何をキョロキョロとしておる。お主が向かうのは学校の補習じゃ。よそ見しとる暇は無いぞえ』
俊介が問うも、タイタニアは問答無用でその背中を視線で圧を掛けながら学校の補習に向かうように急かした。
そして、各々用意した水着に着替えると海にへと駆け出した。
『じゃあ兄さん、行ってきます!』
「あ、待って。ついでにお魚を2、3匹頼むよ」
禮がフィンスイミングしに駆け出そうとした時に、藍はハッとした表情になると声を上げた。
『はーい』
元々獲る気満々だったのだろう、禮のもう片方の手にはトリアイナが握られていた。
『ここから、本編』
エージェント達は声がした方向を見ると、静華が既に準備を終えて待っていた。
前と同じく、調理器具や調味料等の道具と更にバーベキューコンロを完備!
「この大きさなら、脚の身も食べられるはずだ……」
藍は太い足を手に取る。
『卵を食ってみたいが、サイズがデカすぎで食感が悪そうだ。ここは身がメインだろ、身が』
と、バルトロメイはカニの殻を半分に割る様に包丁を叩きつける。
「ナメクジよりマシですけど……ううー、やだなぁ」
その後ろでセレティアはおずおずと顔を出しながら言う。
何匹か焼かれて黒いが原型はとどめているのと、頭に付いている無数の目が太陽の光を反射しコチラを睨んでいる気がして仕方がないのだ。
それをものとせずに、料理人はテキパキと慣れた手付きで美味しい料理を作る。
『テルミドールだ!』
バーベキューコンロの上で焼きあがったのを皿に乗せ、バルトロメイは料理名を言いながらテーブルに置いた。
平たく言えばグラタン、それも殻を器として使ったモノ。
『本来エビなどを材料として作られるフランス料理だがな』
「オシャレ! パセリやパプリカで彩りよくしましょう」
セレティアが赤、黄のパプリカに緑のパセリでお皿を鮮やかに彩る。
「一番美味しい調理方法は」
咲が先ほど地元の人から教えて貰った料理のメモを見た。
「大道のから揚げです」
咲がドーンとテーブルに乗せたのは「から揚げ」
ただし、文頭に「巨大な」が付くほどの大きさ。
ほかにも、バターソテーや先に茹でてからのシンプルに塩焼きしたモノを並べる。
『……ふむ、初めて食したが、蜘蛛も美味いのぅ』
と、咲の料理を食べたサルヴァドールはご満悦に言う。
『ぐぬぬぬ、ずるい、咲君。バルトロメイ君も、ずるい』
普通に美味しい料理を口にした静華は、「どうやってその小さな体に入るスペースがあるのだろうか?」と思う程に食べる。
『以前食した事のある……なんじゃったかの……?』
サルヴァドールは味と触感から今まで食べてきた食材を脳内で思い出しながら首を傾げた。
(エビ……いや、カニじゃったか……それに似たような味がするのぅ)
料理を口に運びつつサルヴァドールは、近い食材の名を並べた。
「本場の料理も食べな!」
アナーは塩やトウガラシなどスパイスを効かせた、東南アジアの昆虫食などの定番の料理方法で作った一品をテーブルに置くと自分も料理を口に運んだ。
『兄さん……? それ、なんです?』
フィンスイミングから戻ってきた禮は、捕れたての鮮魚を藍に渡しながら問う。
「”カニのようなもの”だよ。結構おいしい」
タランチュラの大きな足に切れ目を入れ、バーベキューコンロで炙ったモノの殻を取って身に塩を振って食べる。
そして、持ってきたグロリアビールを呷る。
「ぷっはー美味い!」
一仕事を終え、そして南国の浜辺で景色を眺めながらの酒とその肴はより一層美味しい。
『はい、他の子達が作った料理を持ってきたの』
『かあさま! ありがとうございます』
アラルが料理を乗せた皿を持って来ると、禮が嬉しそうに駆け寄った。
『どれも美味しいから、持ってきたのよ』
『兄さんの料理よりもお洒落なのとかありますね!』
次々と缶を開ける藍を横目に、禮はアラルと楽しそうに会話をする。
『かあさまは、蝶はどうですか?』
『蝶? 平気よ。唐突にどうしたの?』
禮の問いに答えるアラルは首を傾げた。
『幻影蝶とか、大丈夫かなって思っただけです』
『大丈夫。母は、害をなす虫が嫌いなだけよ』
と、笑顔でアラルが答えると禮はほっとした表情を浮かべた。
●バカンス
『おわったー! バカンスじゃー』
「アラルさんもああおっしゃっていましたし、役得というやつですかね」
はしゃぐ嵐山を横目に、水着姿のミサトは同意するかの様に頷いた。
『今日は話がわかるの、ミサトちゃん!』
珍しく話が合った嵐山は、ミサトに一言言って足取り軽やかに浜辺を駆ける。
『ビーチフラッグしようぜ、勝ったらスイーツ食わせてやる』
食事を終え、準備万端なバルトロメイは旗が付いた棒を手にしながらセレティアに言った。
「乗った! ルールは?」
『素手ゴロ、他ノールールだ!』
スイーツと聞いて俄然やる気が出たセレティアの言葉に、バルトロメイは吠える様に言った。
「ふふん、勝ってみせる!」
『ティアが負けたら、ティリアさんの水着写真を撮って来る事だ!』
約20メートル先に立てられたフラッグを見ながらバルトロメイはセレティアに言う。
『「3、2、1……GO!」』
セレティアとバルトロメイは声をハモらせながらカウントダウンをし終えると、うつ伏せから立ち上がりフラッグに向かって駆け出す。
「甘いですよ! バルトさん!」
少し遅れて駆け出すセレティアは、足をバルトロメイの足の間に入れて振り上げた。
『お、おい! それは……卑怯だろ!』
何とか大切な部分を守り抜きながらバルトロメイは吠えた。
「ノールールでしょ!」
『そういや、そうだったな!』
ニィと口元を吊り上げながらセレティアが言うと、バルトロメイは観念したかの様に言いつつもガシッと小柄な体を掴んだ。
『だから、少し、海で、頭を冷やして、こぉぉぉぉぉい!』
と、言いながらバルトロメイは投げると、セレティアの小さな体はひゅーんと宙を舞いばっしゃーんと海の中へとダイブしたのであった。
『ぎゅふふふ。さて、ティリアちゃんの水着姿をこの目に焼き付けるのじゃぁ~』
そんなに広くない浜辺で、直ぐに目的の人物を見付けた嵐山は直ぐにどのポジションが最高の絶景ポイントなのかを見出す。
「あら、セレティアちゃんお洒落ですわ」
白のシースルーに刺繍が施されたビキニを着ているティリアは、セレティアが着ている水着を見て褒める。
「ティリアさんは綺麗です! 凄く!」
大きなアメシストの様な瞳をキラキラと輝かせながらセレティアは言った。
「咲さんも、渚のお嬢様みたいで素敵ですわ」
「そ、そんな、私なんかよりお二方の方が」
と、ティリアの言葉に少し照れながら咲は言う。
『どうやらココが、極楽のようじゃな』
たわわーんなお山、普通のお山、ぺったーんなお山は興味は無いが笑うたびに揺れる。
足の間から見えるお尻もぷりぷりと。
ここが天国か、と思いながら見上げる嵐山。
「え、えっと……どう、致しましょう?」
気付いたティリアが困惑した表情で、セレティアと咲を交互に見つめた。
「幸せなら良いんじゃないでしょうか?」
と、咲はにこっと微笑んだ。
「老師、程々にお願いします」
ゆらり、と揺れる影は豹の様に鋭く危険な殺気を放つ。
『わかっておるからその殺気をおさめるのじゃ、ミサトちゃん』
ゴキブリの様にカサカサと動きながら嵐山が逃げ出そうとする、が。
『害虫は、殲滅する……のよ』
もう一つ影が増える。
静かだった浜辺に絶叫が響き渡った。
「ティリアさん」
「はい?」
「写真一枚良いですか?」
と、言ってセレティアはカメラを指す。
「良いですけど、どうして写真ですの?」
「自分で言えばいいのに、あの筋肉ったら、『神々しすぎて直視できない』んだそうですよ!」
と、ティリアの問いに腹を立てながらセレティアは答えた。
「まぁまぁ、今回だけですわよ?」
口元に人差し指を当てながらティリアはセレティアに向かって微笑んだ。
今回の獲物も美味しかった!
さぁ、次の珍従魔は何にしようか?
と、ハンター達は思いながら次の討伐へ赴くのであった。
珍従魔ハンター『タランチュラ編』完!