本部

広告塔の少女~カンタレラへようこそ~

鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
4日
完成日
2017/06/18 15:11

掲示板

オープニング

● それは大人の癒しの空間
 日本首都、とある路地裏。そこに寂れたバーがある。
 狭い区画を存分に生かす二階建て。
 二階にはソファー席。一階はカウンター席のその飲み屋を最近買い取ったオーナーが。
 グロリア社広報部部長ロクトである。
 彼女の趣味はお酒と夜の時間。
 その夜の時間を有意義に過ごすための道楽のようなものだったが、最近では客の入りも増えてきて、売り上げも上々らしい。
 そんなBAR『カンタレラ』を訪問しようという話が持ち上がった、H.O.P.E.食堂の一角。
 そこで、任務の待ち時間であったり、遅れた昼食であったり、単なる暇つぶしで集まった君たちは、遙華に捕まった。
「一人じゃ怖いの、一緒に来て」
 そう遙華に懇願された君たちはしぶしぶそのBARを訪れることにした。



● お話の舞台。
 今回皆さんにはロクトのBARに遊びに行ってもらいます。今回はお仕事関係なく完全なるオフの日ですね。
 夜のお店で一緒に楽しいひと時を過ごしましょう。
 店内は一階がカウンター席が五つと、二人座りのテーブルが二つ。
 二階が四人座りのテーブル、と六人座りのテーブル。という具合で用意されています、ご希望のテーブルがあれば予約していただけると、使えますのでよろしくお願いします。
 割とゆったりした空間です、立ち飲みでも十分に人は入ります。
 本日はリンカーたちしかいませんので存分に騒いでください。
 訪れる形式ですが。
 ふらりと立ち寄った、
 遙華に誘われた。
 ロクトに頼まれてここで働いている。等々、様々なシチュエーションい対応します。
 あらかじめお伝えください。 
 
 飲み物ですが、メジャーなカクテルやお酒は大体ありますし。珍しいお酒も取り扱っています。 
 ノンアルコール飲料も用意しておりますのでお申し付けください、ロクトが自らシェイカーを振ります。


● ゲームをしましょう
 このゲームはロクトとお酒をかけて簡単なゲームを遊ぶことができます。
 負けると罰ゲームをこなさないといけません。
 皆が納得する場合は新しい罰ゲームを考案していただいて構いません。
  

*ゲームラインナップ

・ハイ&ロー
 ロクトが引いたトランプが、自分の手元にあるトランプの数字より上か下かを当てる単純なゲームです。

・アイシングブラッド
 複数名で心拍測定器を装着してゲームスタートです。一人一人出番が回ってくるのですが、手番の人から見て左の人に、何か一言言ってあげてください。
 一巡して、最低心拍数と最大心拍数の差が一番大きかった人が負けで罰ゲームです。
 体に触れるとルール違反となります。このゲーム割と戦略性があって面白いです。

・禁止法
 参加者を募ります。できれば四人以上が望ましいです。
 参加者は一人一人。禁止ワードを決めておきます、その禁止ワードを口から出した人が負けで、罰ゲームになります。


*罰ゲームラインナップ
 罰ゲームで飲むものですが、普通にメニューにあるので飲みたい人は飲んでいただいて構いません。

・テキーラ
 のんべぇ定番のサボテンから作ったお酒。
 ショットグラスでできてきますが。
 ここのショットグラスは多店舗の二倍の大きさがあります。

・スピリタスカプセル。
 アルコール度数90越え、次の日が心配になる飲物スピリタスをカプセルに詰めました。飲みやすいですが、酔いやすいです。

・ホロヨイゼリー
 ノンアルコールですが、お酒に酔った時の感覚が再現できるゼリーがあります。冷たくしてオレンジジュースなどに混ぜて振るととても美味しい。
 これで20歳以下のかたも大人の気持ちを味わえるかも?

・デッドソース
 これはアルコールではありません。
 世界で一番辛いと言われているソースを使って。舌に文字を書きます。
 書かれている間は舌が痛いですし、舌を口の中に引っ込めると、すごく辛いです。 
 辛い物が苦手な人は注意です。

・アルコール分解剤
 名前の通り、体内アルコールが一気に分解されてしらふになります。
 楽しい空間だったはずなのに、しらふに帰ると自分の馬鹿さ加減を笑ってしまう。
 そんな疎外感が罰ゲームなのです。
 まぁ、大丈夫ですよ、さみしい思いをしても、またお酒を飲めばいいだけなのですから。
 ホロヨイゼリーは無効にならないので注意。


解説

目標 楽しい夜を過ごす。

 今回は夜の世界を体感するシナリオになっています。
 みんなで生産性のない、ただただ飲み明かす、享楽の日を過ごしましょう。
 たぶん一階はカウンターがあるのでうるさいです。静かにデートとか身内だけで楽しみたい方は二階がよいでしょう。
 逆に一階はロクトを巻き込んでわーいってできるので、盛り上がりたい人、一人できちゃった人にはお勧めです。
 ちなみにゲームをする時、ロクトはPCをランダムに選択して、ゲームをさせることがあります。
 嫌な場合は二階に非難するといいでしょう。深追いはしません。

 あ、ちなみに、未成年のキャラクターは間違ってもアルコールは飲めないようになってるので注意ですよ!

リプレイ

第一章 訪問
『世良 霧人(aa3803)』は暗い夜道を歩いていた。繁華街。その路地をちょっと曲るとそのお店がある。
「旦那様、アルコールが飲めないのでしょう? ここへ来て大丈夫なのですか?」
「ソフトドリンクもあるって聞いてるし大丈夫だよ。……多分」
『クロード(aa3803hero001)』の心配そうな問いかけに自信なさ気に言葉を返す霧人。
 そして扇動する彼女の姿を見る。
 まず目についたのは遙華。その周囲は少女でいっぱいで、今から夜のお店に行くとは思えない。
「しかし、バーですか……」
『卸 蘿蔔(aa0405)』が、むむむっと口元を抑えて考え込む。
「どうしたらいいのでしょう。私のような未成年が行っていいものなのか。お酒飲めませんし。ああ、それに…………知らない男性に声をかけられたらどうしましょう」
「心配なら行かなくて良いんじゃない?
 『レオンハルト(aa0405hero001)』があっけらかんと言い放った
「…………」
 無言で上目遣いの蘿蔔。何だろう、この唐突のか弱いアピールは。
「冗談だよ。大人しくしてれば大丈夫だから」
「そうですか。でも、もしも知らない男性に」
「ないない」
 あっけらかんと笑うレオンハルトである。
「バーなんて未成年が行く印象が無いし、尻込みするのも無理ないわよね」
『水瀬 雨月(aa0801)』が冷静に告げた。
「水瀬さんは落ち着いていますね、夜の雰囲気にもなれていそうで……あれ?」
 そう蘿蔔が雨月に言葉を駆けようとしたときその男が目に入った。『アムブロシア(aa0801hero001)』である。
「どちらさまでしたっけ?」
 『蔵李・澄香(aa0010)』がそう問いかけた。隣には春香が控えている。
「そう言えば、正式に紹介したことはなかったわね。私の英雄」
 遊園地でのことを思い出したのか、頭を下げるアムブロシアから遙華は一歩距離を取った。
「はるかさんに誘われた! 嬉しいな」
『斉加 理夢琉(aa0783)』がそうスキップでもし出しそうなトーンで告げると、危なっかしいので『アリュー(aa0783hero001)』がその手を取る。
 だがその『はるか』という言葉で春香も遙華も振り返る。
「私達おんなじ名前で、おなじイントネーションだもんね!」
 春香が告げると遙華は、対策を考えないとと言って悩んだ。
「今日はこの前のうっぷんを晴らそうね」
 そう澄香が告げると春香は頷く。
 要は女子会、要はやけ食い。
 もはやカンタレラの食物を全て食い尽くす勢いである。
 全ては澄香の優しい気遣いだった。
「ロクトさんのお店ってどんな雰囲気なのかな、ちょっとドキドキ」
「私もだよ! 理夢琉ちゃん」
 春香は理夢琉の手を取って駆けだした。アリューがその背を追う。
 そんな少女たちを微笑ましく見つめる大人が数人。
「酒はあんまり得意じゃないんだがなぁ……」
『麻生 遊夜(aa0452)』が告げるとくすくすと笑いながら『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』が告げた。
「……ん、夜の時間は……好きだよ?」
 遙華の頭に両手をおいてワシャワシャしつつ。立ち止まった遙華の視線を追う。
 そこには小さな看板に、カンタレラと簡素に書かれていた。
「ここね!」
「緊張してますね」
『禮(aa2518hero001)』がその様子を見てつぶやいた。
「というより、店名が……あの雪のように白く、快いほど甘美な?」
「もしかして毒物が……?」
 二人して盛り上がる『海神 藍(aa2518)』と禮。
「いやいやまさか……たぶん……おそらく……」
「どうしてだんだん自信が無くなってるんですか!?
(グロリア社が絡むと……少し不安な気がする)
 そんな藍の空気を感じ取ったのか遙華が苦笑いを浮かべる。
 そんな遙華に苦笑いを返して藍が扉を引いた。 
 するとまず香ったのは、ハーブ系のお酒のかおりだろうか、僅かな煙草臭さとアルコールの香り。
 退廃的な雰囲気が全身にまとわりついた。
 継いで聞こえたのは男性の声。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
 そう恭しく頭を下げたのは、バーテン衣装に身を包んだ『キース=ロロッカ(aa3593)』である。
 最初の挨拶はバーの質の現れ、とでも言わんばかりに完璧な接客スタイルを貫いて、とりあえず全員を二階席に上げる。
「あ……クラリスだ」
「くらっち。こんばんわ」
 澄香と蘿蔔が手を拭くと。吹いたばかりのメニューをテーブルに並べる『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』が目に入る。
「あら、お早いお付きで」
 そう告げてクラリスは一行とすれ違いざまに、楽しんでくださいね。とそう告げた。
「いらっしゃい。ウェルカムドリンクではないですが今宵は九色のカクテルをご用意しました。お好きな色をどうぞ」
 おしぼりを手渡すと、キースの説明に合わせてメニューを見た。
 鮮やかな青のブルー・ムーン。定番のレッドアイは赤いカクテル。
 チョコレートチップが目にも嬉しい、さわやかな緑はチョコレート・グラスホッパー。
 他にも沢山。シャンゼリゼ。パラダイス。キティー。
 全てのカクテルを覚えたのだろうか。
「ノンアルコールで飲みたければクラリスが、アルコールありであればもちろんボクが作ります」
 メニューに飾られたカクテルは美しく、全てキールのカクテルだという。 
「ブラックレインを、アルコール抜きで」
 遙華が告げると、キールはメモを取り出して注文を取り始めた。

第二章 夜の空気。
 注文が済めば、全員が思い思いの場所に散った。一回のカウンターで話をするもの。女子達は人数が多いので二階にいてくださいと、キースにいわれていた。
「おお、これはまた……うむ、ロマンだな」
「……ん、良い雰囲気」
 尻尾を振りながら、ユフォアリーヤは着席する。手にメニューを取りしばらく悩んでいた。
「お邪魔します。ロクトさん」
 そんな中、禮が裏口より酒瓶を抱えて入ってくるロクトを見つけた。
「あら、いらっしゃいませ。来てくれてうれしいわ」
「いいお店だね、どこかの駒鳥の看板で閑古鳥の鳴いてるところとは違う、なんてね」
 藍が告げる。
「今日はみんながきてくれてるから盛り上がってるだけよ。普段は全然。それより海神さんもやっていらしたのね、同業者として、情報交換を……」
「あ、その前にシャンディ・ガフを貰えるかい」
「わたしにはクーバ・リブレください。……あ、大丈夫、わたしヒトなら成人です」
 そうすらすらとお酒の名前が出てくるあたり好きなのだろう。お酒に興味が無い人にとっては、ビールか日本酒か焼酎かくらいの区別しかないものである。
「あら、ごめんなさい飲物がまだね、嬉しくなってしまって。少し待ってね。優秀なバーテンが今作ってくれるから」
「……店長、働いてくださいね?」
 キースが釘を刺す。しかし飄々としている店長ロクトである。
「ロクトさんがバーを経営してたなんて知らなかったのです。素敵なお店ですねぇ…………大人って感じです」
 蘿蔔がおぼつかない足取りで階段を下りてくる、仕方ない、この手のお店は階段が急なのだ。
「あ、これよかったら…………お店の皆さんでどうぞ」
 そう小包を差し出すレオンハルト。
 中には可愛らしいクッキーが沢山入っていた。
「さっそくみんなで食べましょう、お酒にクッキーって結構いけるよ。ありがとね」
 そう微笑み全員にクッキーを配っていくロクト。二階に上がろうとするロクトに二人は続いた。
「よかったですねぇ遙華。皆さん来てくれて。私も、こんな時じゃないとバーには来れませんので新鮮です。誘ってくれてありがとうございます」
 そう蘿蔔が告げると。
「まぁ、私はロクトにおどさ……協力を求められただけなのだけど。ここまで集まってくれるとすごくうれしいわ、蘿蔔もありがとう、忙しい中来てくれて」
「僕も差し入れがあったんだった!」
 その時立ち上がったのは霧人である。
「未成年の人が多いって聞いたから、カップに入ったかき氷アイスを沢山揃えて見たよ」
 そう保冷材の詰まったケースを差し出すと中には宝石のようなデザートが。
「ありがとう、これはお皿にわけて出すから少し待っていてね」
 ロクトがそう告げて階段を下りると、藍と禮がお酒を受け取っていた。
「最近は暑くなってきたからまずはこういうのが良いね」
「そうですね! あ、揃ったら乾杯しましょう」
 その言葉に遊夜たちもグラスを手に取る。
 二階からも続々と人が集まってきた。いつの間にか藍が輪の中心である。
「いいけれど、何に?」
「えっと、それじゃあ……平穏な日常に!」
 乾杯! その言葉だけでお店が揺れるほど盛り上がる。
 大人の夜がこれから始まる。
 と言っても、少年少女たちにとってやることはいつもと変わらない。
 飲んで、食べて、話す、それだけである。
「大人なら色々頼めたんでしょうけど、マティーニとかスクリュードライバーとか色々と」
「クラリスに頼めばいけると思いますよ」
 クラリスはカクテルをノンアルコール化することに凝っている。
「じゃあ頼んでみようかしら」
「ついでに、フィッシュ&チップスと、ミートパイと、チーズの盛り合わせに……サラダと」
「そんなに食べれるの!?」
「さあ、食べよう。春香さん。…………こほん。春香。今日は私の奢りだよ」
「うん、澄香ちゃ……澄香! お言葉に甘えるよ、その代り今度は私のおごりだからね?」
「わーい。ありがとうです……すみちゃん」
「シロ……いざという時は頼りにしてるよ……」
 ジトッとした澄香の視線からあわてて目をそらす蘿蔔。
「わたしは払うわよ、当然」
「あ、いいよ。普段からお世話になってるし。偶にはね?」
「じゃあ……御馳走になろうかしら。私も今度おごらせてね」
 ついで、続々と運ばれてくる料理。忙しそうに厨房に戻ろうとするクラリスを引き留めて蘿蔔が告げた。
「くらっちー、私見た目可愛いのが飲みたい。あ、でもクラリススペシャルはやめて、絶対やめて。美味しいのにして」
 そのクラリススペシャルに首をかしげる一行であるが、クラリスは平然と蘿蔔へ言葉を返す。
「では夢一夜でも」
「わー、大人の香りです」
「次、何飲もうかな…………とりあえずマティーニを」
 レオンハルトが手を上げた。まだグラスの中の酒は残っているのにだ。なかなか飲むつもりである。
「ドリンクの写真撮っても良いですか?」
 蘿蔔は皆のグラスの中味が気になるようで写真を撮りつつ、レオンハルトにしなだれかかる。
 レオンハルトが口をつける飲物を凝視して告げた。
「レオンのお酒美味しそう…………一口」
「だめ」
「私もお酒飲んでみたいです」
「大人になってから」
「大食い勝負だ。負けた方が一曲披露すること!」
 そんな空気を破壊するように澄香がマイクを持って拳を突き上げる。
 理夢琉が一緒になって拳を突き上げた。
 そして席に着いたと思ったや否や。
 自分の目の前の皿をあっという間に平らげた。アツアツのパイが一瞬で胃袋に消えた。
「……すみちゃんは、フードファイターなんです」
 残念そうに蘿蔔が告げる。
「違うよ!! 食べるのは戦いじゃないよ! 幸福を噛みしめる行為だよ!」
尚、澄香は目茶目茶大食い。
「それ、味はわかってるの?」
 雨月が告げる。
「味の、味のアルスマギカや……!」
 澄香が答えた、ちゃんと美味しくいただけているようだ。
 そんな澄香を尻目にマイペースをつらぬく雨月、遙華。
「次はシンデレラにしましょう」
「それはなに?」
 遙華が問いかける。
「ノンアルコールのカクテルよ」
 メニューのノンアルコールの欄を指さす雨月。
「甘さ控えめなら炭酸水で割る物の方が飲みやすいかしら、ジュースで割るものも多いから結構甘いのも多いのよね」
「詳しいのね?」
「コンクラーベとかのミルク系もいいかしら。まあ、甘いのも控えめなのもどっちも好きだけど」
「ロクトと同じ香りがするわ」
 その言葉を受け取るには不穏な要素が多すぎるので、雨月はとりあえず苦笑いを返しておく。
「残念理夢琉さんアウト!」
 その間に決着がついたらしい。理夢琉の皿のパイが双きれほど残っていた。
「はい! じゃあ歌います」
 ノリノリの理夢琉である。ちなみに曲は赤原 光夜で『ノブレスオブリージュ』

「お? 懐かしい曲が響いているね」
 一階で藍がグラスを揺らして笑った。

 そして一曲終り、汗をぬぐって座ると澄香が手をとって告げた。
「よかったよ! 理夢琉ちゃん」 
「ありがとうございます、実は相談があって」
 理夢琉は恥ずかしいのか声を小さくして話しだす。
「斉加の家名は伏せて芸能活動したいと思ってます、お爺様からの干渉防止と……私を忘れている母と間接的にでもつながりたいなって」
「サポートするよ、クラリスが!」
「じゃあ、今度お話を……」
 そう着々と理夢琉芸能界デビューのお話が進んでいく中。
 澄香は声のトーンを少し変えて春香と遙華に向かって告げた。
「ねえ。遙華。私達、もう一回ルネさんの声を聞こうと思って動いてたんだ。黙っていてごめんね?」
「声を? 私はそれがよくわかってないの、それは本当に可能なの?」
 澄香は頷く。だって聞けたから、戦場で石から言葉が響いたから。
「なすべきことは、あと一つ。ルネさんの欠片を取り返すこと」
「ルネってプログラムなんだよ」
 その時春香が驚くべき言葉を告げる。
「だから、もしかしたら、よくわからないけど、可能性はあるかも?」
 春香の言葉に遙華は意を唱えた。
「それは、成功の可能性ってこと? 死んだ英雄が蘇る? そんなことある?」
「成功の可能性、分からない。でも出来ることは全部やる」
 澄香は強い意思を讃えた瞳を伏せるといつものお茶らけ澄香に戻った。
「…………真面目な話しちゃったね。さ、食べて」
 そう話しの輪が散ったり、戻ったり重なったりしながら夜は更けていく。

第三章 来訪者。
 カランコロン。ベルが鳴る。
 すでに八割満席のカンタレラに新しいお客が見えた。
「いらっしゃいませ」
 そう告げたのはクラリス。そしてロクト。
 そんな二人を眺めて『天狼心羽紗音流(aa3140hero001)』は大きな笑い声をあげた。
「オッ、別嬪さんがお出迎えか〜! カウンターいい!?」
「ええ、こちらへどうぞ」
(ああ、女の子を見るといつもこれだ)
『稲田藍(aa3140)』は溜息をついて紗音流の隣に座った。
「落ち着いた感じのお店……」
「知ってる知ってる、ロクトちゃんでしょ〜! バーやってるってチラッと聞いたよ〜」
「サネルさん、うるさい」
 お酒飲む前からこの調子で大丈夫かな、この人……、そう思いながらもメニューを眺める。
「未成年ぽい人も多いから行儀よくしてね。大人なんだから」
「おうおう、しかしなぁ、具体的には何を気をつければいいやら」
「具体的に大声出さない、ボディタッチしない、卑猥なこと言わない、以上!」
「……さあ、ご注文をどうぞ」
 グラスを拭き終ったキースが問いかけた。
 だがその言葉に予期しない人物が答えてしまった
「カシスオレンジ下さいっ!」
「あ、未成年に飲ませないので悪しからず」
「ぶーぶー!」
『匂坂 紙姫(aa3593hero001)』である。
 またも可愛い女の子の登場で期限がよくなる紗音流。
「前科あるんだから、ほんとやめてね。まじぶんなぐるぞオッサン」
 稲田が再び釘を刺した。
 その隣で、キースと紙姫は、やれお菓子が付きただの。新しい物をだせだの、ドリンクが欲しいだの言い争っている。
 そんな紙姫に霧人が話しかけた。
「よかったらこれいかがですか?」
「わ! 綺麗……」
 それは霧人が持ち込んだ氷菓子を使った飲物。
「なんちゃってカクテル~ だけどね」
 氷菓子にサイダーを加えて混ぜるだけだが綺麗で甘い。程よい苦みもあって各てるみたいだ。
「これ見た目がカクテルみたいで綺麗でしょ?」
「うん! ありがとうございます」
「何かいいウィスキーはあるかい?。ストレートで頼む」
「ピニャ・コラーダをください」
 その隣で藍と禮が悠々と飲物を注文した。キースが作り始める。
「じゃあ、こっちはサングリアを」
「……ん。ベリーチェリーソーダ」
 そうロクトに声をかけたのは遊夜とユフォアリーヤ
 その作業に従事するスタッフたちを眺めながら遊夜たちは酒を飲む。
「食べながら飲むってのも悪くないな」
「……ん、ふふ」
 飲み物を混ぜながら飲むユフォアリーヤ。その指でカリカリチーズをそっとつまみ上げる。
 サクサクと食べ終わると爪をチロリと舐めるユフォアリーヤ。
「あれも美味しそうですね」
 禮が告げる、他人が食べているものは皆美味しく見える法則である。
「ただ、甘い物も食べたいな。うん……? ケーキはないのか……」
「さすがにちょっと……ごめんね」
「え? ケーキないんですか!?」
 小さく肩を落とす禮。
「仕方ない、干しイチジクで我慢しようか、禮」
「はい……あ、ラム酒ください」
 イチジクのドライフルーツをつまみながらラムの味を楽しむ二人。
「ふふ、幸せそうな顔……」
 そう藍は禮の額をつついた。
 そんな彼らに飲物をだし終えるとロクトは告げる。
「お酒をかけてゲームをしましょう」
 第一回、カンタレラゲーム大会。
 その言葉に「今日はゆっくりと、酒の味を楽しみつつ時間をすごそう」そう告げて女子の輪から外れたアリューも身を乗り出した。
「定番のハイ&ローね。さぁ、カードを引いて」
「ゲームか、いいねえ!」
 紗音流が意気揚々とカードを引いた。紙姫もカードを引いて参加者は全員がカードを引いたことになる。一斉にハイかローかを当てる。 
 その結果負けたのは。
「え? あたし一人だけ?」
 紙姫である。
「おめでとう。あなたには……」
 ロクトがカウンターからどけると、その奥から現れたのはクラリス。その手のお盆に乗っているのはゴポゴポと音を立てる緑色の液体。
「なにそれ!!」
「クラリススペシャルです」
 そうクラリスは平然と答えて太めのストローを紙姫にそして。
「……ま」
 一口飲む紙姫。
「まずいよぉ」
「でも美容にはいいのですよ?」
 その液体を眺めながら、やっぱり毒じゃないですかと騒ぐ禮。
「罰ゲーム? いろいろあるんだね? ……スピリタスカプセル、デッドソース……殺しにかかってるな……」
「やっぱり危ないですよ!」
「あ、これはアルコール分解剤? 眉唾だね。一つくれるかい?」
 錠剤を手渡すロクト。
「……どうですか? 兄さん」
「……これは世の中に存在すべきものじゃない。テキーラを頼む」
「え?」
 酔いすらも薬で否定できるなんて、くそくらえである。そんな思いと共に藍はテキーラを飲み下す。
「ところでここのテキーラは幸せな量だね」
「そう言っていただけると嬉しいわ」
 ロクトが霧人を下しながら告げた。
「あ、塩ライムはあるかい?」
 クラリスがライムを切り始める。
 そして話の最中に犠牲になった霧人は何やらゼリーを食べさせられた。
 直後机に突っ伏して眠りこんでしまう霧人。
「……ロクト様、このゼリーにはアルコールは入っていないのですよね?」
 クロードが尋ねた、するとロクトは。
「ええ、アルコールを体感できるけど、アルコールは入ってないの。でもすごい弱いのね、霧人さんって」
「ホロヨイゼリーっていうのも、いつものアルター社の開発ですか?」
 稲田が尋ねた。
「うちのせいひんね、あまり大手を振って流通はさせてもらえないけど」
 そう告げてロクトはカードを引く、次なる敵は遊夜である。
「ローで……こういうもんで高いもんを出したことってないんだよな」
 めくると遊夜の思惑ははずれていた。
「む、勝負にゃ負けたが……ツキが変わったか?」
「ええ、そうであることを信じるわ。はい、カプセル」
 そうスピリタスの詰まったカプセルを手渡すロクト。
「喉が焼ける感覚が嫌いなだけでアルコールにはそれなりに強いんだぜ?」
 ふふんと笑って遊夜はそれを飲み下した。
 その隣で同じく負けたユフォアリーヤはゼリーをカクテルに混ぜて飲んでる。
「……ん、オトナの味」

第四章 来訪者2

 今日は来客が多いようだ。冷たい外気と共にカンタレラを音連れたのは『柳生 鉄治(aa5176)』そして『ブリタニア(aa5176hero001)』
「……げえっ、ロクト!?」
「あら、逢いに来てくれたの? 嬉しいわ」
 ロクトが冗談めかして告げると、ブリタニアは無言のジト目を向ける。
「いや、待て。たまたまだ。別に狙ってきたわけじゃ……」
「……ふんだ。よっっっぽど彼女にご執心のようですね」
 鞄を隣の席に乱暴に置いてブリタニアは席に着いた。
 ちなみに、よいが回ったもの達は上に行っている
「……ここに閉じ込められたりはしないよな?」
 鉄治が小声で問いかけた。
「閉じこめてほしい?」
「……ロクト」
 鋭い声に、苦笑いを浮かべるロクト。
「ごめんなさい。さぁ注文をどうぞ」
「ああ、じゃあこれを、それにしても盛り上がってるみたいだな」
「ええ、お酒をかけてゲームをしているの」
 見ればキースと紗音流がお互い向き合っている。ただ、最初は真面目に向き合っていた二人だがキースがふと視線をずらすと、次の瞬間、指をさして立ち上がった。
「あ、ゴキブリ」
「ぬおおおおおおおお!」
 飛び上がる紗音流。
 上がった心拍メーターを見て、キースはクールにほほえんだ。
「体に触ってないですから、違反してませんよ?」
「ぐおおおお、卑怯な! ワシはそれほど卑怯な手に頼らんでも勝手見せる!」
 どうぞ。と両手を広げるキース。
 その耳元で紗音流はつぶやいた。
「もしかしてワシに惚れちゃた?」
 イラっと心拍急上昇のキースである。
「あれがアイシングブラッドね」
 ブリタニアと徹治は顔を見合わせて同時に継げる。
「「やる」」
 最初はやはり同じように顔を見合わせる二人、だが勝負はあっけなくついてしまうことになった。身を乗り出すブリタニア。そして。
「……おい、何するんだ?」
「ふーっ」
 耳に息を吹きかけるブリタニア。そして心拍が伸びに伸びる鉄治である。
「鉄治さんの負けね」
 そう告げておかれたショットグラス、そこに注がれていたのがなみなみのスピリタス・
「…………ちょっと待て、腹の中がクソ熱いぞ。なんだこれ。」
 男らしく飲み下す鉄治。
「うーん、だいぶ強いみたいですね、これ」
「なんて物を置いてるんだ……」
 そんなゲームを続けていると、鉄治の畏れている現象が起こった。
 何せブリタニアはお酒につよい、だが酔いはする、酔うと絡むようになる。
 つぶれない分たちが悪いのだ。例えばこんな風に。
「どういうことですか、女性を他の女性のところに連れて行くなんて」
「いや、だからたまたまだっての」
「まったく、鉄治は女性の扱いがなっていません。ねぇ、ロクト?」
「ええ、そうね、でも私の時は優しくエスコートしてくれたわよ」
「……鉄治」
「だあ! からかわないでくれ、ただでさえ怖いんだ」
 そう場の重苦しい空気を酒でごまかす鉄治。
「前から気になってたんだが、お前らどこで知り合ったんだ?」
「それは…………ねぇ?」
「女の子の秘密かしらね。」

第五章 そして朝まで。

 いったいどれくらいの時が過ぎただろうか、楽しい時間は過ぎるのが早い。
 終電もとっくに無くなりすっかり、行くあての無くなったリンカーたちは、朝までお店にいてもいいことになった。
 なのでゆっかりくつろぎムードの遊夜とユフォアリーヤ。二階に避難して二次会としゃれ込む。
 そんな遊夜はホロヨイゼリーが気に入ったみたいだ。 
「……ふむ、悪くない感覚だな……これ、貰ってけねぇだろうか? どこで売ってんのかね?」
「……ん、ふふ……うふふ、ふわふわする……これぇ? どこだろうねー?遊夜の膝に頭を乗せて、尻尾をふわふわとふる。それを遙華がずっと狙っているのには気づいているのだろうか。
「ははは、くすぐったいだろ」
 遊夜は遊夜で普段のようにブレーキが利かないのか。髪を梳かしたりほっぺを触ったりしてユフォアリーヤを甘やかす。
 やがて、ユフォアリーヤが遊夜の体にすがるように上半身を起こして遊夜はユフォアリーヤの額にキス。
 それを赤面して眺める遙華。その目をふさぐ雨月。
「まだ、遙華には早いわね」
 そんな遙華にやっと気が付いたのか、ユフォアリーヤがすり寄ってきた。
「……ん、大変だったねぇ」
「え? 何のことか分からないけど、耳触ってもいいかしら」
「大丈夫だったか? ま、これでも飲んで落ち着くといい」
 そう差し出されたドリンクはホロヨイゼリー。
 しかし今の遙華は、ユフォアリーヤの耳を触れるのか、どうなのかどぎまぎしているので中身に気が付かない、飲んでしまう。
「あ~」
 雨月が哀れなものを見るような声を上げた。
「水瀬さんもどうだ?」
 遊夜がそうグラスを差し出す、ゼリーの衝撃にフリーズしてしまった遙華の手からもぎ取って。
「遠慮しておくわ。みんなあんな感じだから」
 そう背後を振り返る雨月。その視線の先には涙と鼻水でぐずぐずになった蘿蔔がいる。
「ふふふ…………ははは。はぁ…………私何してるんだぁ。ああ、もう、なじょすたらいがんべ…………自分でも分がんねでがす…………」
 最初は、ふわふわして楽しいとか言っていたのに、今ではレオンハルトや澄香、理夢琉にまで絡み始める始末。
「故郷に帰りたいっちゃ…………うう、母ちゃん」
「分かった、分かったから泣くなって…………あの、これどうやって元に戻すんですかね」
 階段を上がってきたクラリスに思わず敬語を使ってしまうレオンハルト。
「……ロクトさんは。ない! と断言されておりましたよ」
 クラリスはしばらく前にバイトは上がっていたのだが、お小遣いという名の残業代で下階の面倒を見ていた。
「上も下も阿鼻叫喚ですわね」
 そうこうしている間に床に転がって眠りこける蘿蔔。
「こらこら店で寝るなって。ああもう、本当すみません」
「あ! やっときてくらはって、くらりすさん」
 理夢琉もホロヨイゼリーにやられたのかひどくろれつが回っていない。
「仕事の打ち合わせと思ったんですが。理夢琉さんはまた今度」

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • エージェント
    稲田藍aa3140
    獣人|35才|男性|回避
  • エージェント
    天狼心羽紗音流aa3140hero001
    英雄|45才|男性|シャド
  • 天秤を司る者
    キース=ロロッカaa3593
    人間|21才|男性|回避
  • ありのままで
    匂坂 紙姫aa3593hero001
    英雄|13才|女性|ジャ
  • 心優しき教師
    世良 霧人aa3803
    人間|30才|男性|防御
  • 献身のテンペランス
    クロードaa3803hero001
    英雄|6才|男性|ブレ
  • 惚れた弱み
    柳生 鉄治aa5176
    機械|20才|男性|命中
  • 英国人も真っ青
    ブリタニアaa5176hero001
    英雄|25才|女性|バト
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