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広告塔の少女~あなたの隣にディスペア~
掲示板
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デートを楽しもう(撮影)
最終発言2017/05/12 20:26:20 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/12 13:05:17
オープニング
● 女性としてどうなの?
アイドルとは、女性だけではない。ないのだが女性の需要は多く、アイドルと言えば女性を思い浮かべる方が多いだろう。
可愛く、日々の疲れを癒してくれる偶像。
そんな彼女たちと一日だけでも一緒にいたい、そう願う男性は多いのではないだろうか。
そんな人たちのための企画がグロリア社に舞い込んだ。
「ヴァーチャルデート企画?」
遙華は封筒から企画書を取り出し、見出しを見た時点でそういぶかしむような声を上げる。
「そうね、これは女性アイドルたちとの一日をVRで再現しようという企画。そのための撮影協力の依頼が舞い込んできたというわけ」
ロクトは口紅を治しながらそう告げる。
「テーマは休日一日丸々デート……」
「VR用のカメラで被写体を追いまわして、それを後でデータとして編集、売り物にするってわけね」
「男性って色欲が絡むとどうしてこうなのかしら。呆れるわ」
「VR技術の普及にもつながるし、ディスペアなら宣伝効果もばっちりでしょう、断る理由はないわね」
「そのために用意すべきなのは?」
ロクトは少し考えながらもすぐに言葉を返す。
「デート相手の男性と、あとは素敵なシチュエーション」
特別なことは何もなくていい、だが飽きさせない構成は必要だそこが難しいのだが。
「まぁ、何とかなるでしょう」
「よしわかったわ」
ロクトの言葉に頷いて遙華は両の手を握る。
「戦いましょう、今回も私達が勝つわ」
「今回は共同企画で、バトル要素はないわよ?」
● やってもらうこと
今回は女の子たちの可愛いデート風景を取るのが目的です。
男性は思う存分デレデレしてください。
ただ、男性はデート役に指名した女性がNPCの場合、そのNPCに台本を渡すことができます、その台本になるべく忠実な形で、NPCの女性たちはデートを演出してくれるでしょう。
ただし。青少年に見せられる感じでお願いします。
女性は男性のツボを押さえたデートコースやアピール方法を考えてください。
とった絵は加工して『アイドルと過ごすのどかな休日、その1』として映像作品として販売される予定です。
*注意*
もし、女性の方が数が多くなってしまった場合。仕方ないので女性同士でデートしましょう、どちらかが男性役になってください。両方とも女性役で、交互に撮影するのもありかも。
今回舞台となる市、Z市はそこそこ大きな街です。
デートスポットを紹介します。
・噴水広場
大きな噴水のある公園です。小さな出店も出ているので、食べたり飲んだりしながらふらつくのに向いています
・アミューズメント複合施設『@アルファー』
映画館、温水プール(水着貸出可能)、温泉、岩盤浴、屋内遊園地では、小さいながらもジェットコースターやコーヒーカップ、観覧車などもそろっています。
ここ一日で完結できるほどに人気のある施設です。
・お買いものタワー『ツインB』
服屋、雑貨屋、本屋。生活に必要なお店が全てそろっている、二棟ビルが並んだ形の商業施設です。
ビルは61階だてで、30階と61階はそれぞれレストランエリア。61階はややお高めのお洒落なお店がそろってます。
また一階にはカフェとBAR、ふらりと入れるお店が中心にあるようです。
・音楽施設『コレクトC』
ライブハウスとスタジオが密集したエリアをさします、楽器店が多く立ち並び、夜は路上ライブするアーティストで溢れかえります。
ちょっと治安が悪くチンピラめいた輩が沸くのが欠点です。
・レンタルルーム『ドミニオン』
コスプレなどで使う施設ですが、普通に家具など置いてある私室めいた部屋を借りることもできます、自宅デートを演出したい場合にぴったりです。
この五つの場所以外にも大抵の町にある施設はあります、学校、図書館等々。
それらを利用したい場合、事前に申請していただければ、使用可能です。
学生風デートのために、学校を使用等々。
● 参加するNPC
今回は選べるNPCが何と六人。
誰かと指名が被っても大丈夫。
もちろんこの中から絶対に選ばないといけないわけではなくPCとPCのデート風景でも問題ないです。
*遙華陣営*
『西大寺 遙華』
みなさんおなじみ、グロリア社令嬢。あまり体力が無く、休日は読書や映画鑑賞で終わることが多い。
見識が狭いが、最近お仕事の都合上沢山の情報を仕入れる必要が出てきたため、ある程度の解説をしてもらえればなんでも楽しめる。
服装は夜に目立たない藍色のワンピースで薄めです。暑いのが苦手なようです。
『ロクト』
普段遙華をサポートする敏腕マネージャーは今日は仕事帰り……もしくは呼び出されても対応可能なスーツ姿。ハイヒールも相まって身長高めの凛々しいスタイル。
彼女の興味は飲食店に集中しているようで、お酒を入り口にあなたを夜の世界へといざなっていく。
ちょっと大人な女性を体感してみたい方へおすすめ。
『ECCO』
「うち、アイドルちゃうんけど」
なぜか連れてこられた、メジャー歌手。
身長171、黒のロングヘアーが上品だが、今日は歩き回ることを想定して、スニーカに動きやすいパンツルック。
歌手と言うだけあって音楽施設には興味深々だが、せっかくの休日思い切り
遊ぶのも捨てがたい。
優柔不断の彼女に道を示せるのは君だけだ。
・ディスペア陣営
『アネット』
ディスペアのリーダー。身長171センチ、漆黒の闇のような長髪と、人形のように白い肌からエルフと呼ばれる。
今日は薄幸の美女スタイル、つばの広い帽子と白いワンピースは映画の一コマを写し取っているよう。
ただ、彼女がバックの中に忍ばせている水着を見る限り、泳ぎたくもある様子。
『止処 梓』
黒髪短髪の少女で純日本人の顔立ち。歳は17才
現役女子高生が名乗りを上げる。
今日は普段の仕事の事は忘れてちょっと落ち着いた休日を過ごしたい。
甘い物は大好き。食べ物も大好き。ホット落ちつける一時をご所望だ。
『海崎 小雪』
一番の新人さんで18才、
雪のように白い髪とブルーの瞳はメンバーの中でも特に異質。
名前の通り日差しには弱いのでボーイズは気を使ってあげて。
彼女は意外と話し好き、君の言葉に耳を傾けたり、君に質問を返したり、言葉を重ねるのが好きみたい。
解説
目標 デート風景を撮影する。
要点をまとめますと。
1 女性をメインとして撮影する。
2 女性は可愛くを意識する。
3 普通のデートでもよい。
4 デートコースを意識して考える。
皆さんの理想のデートという物を見せてください。
ただし、撮影というのがネックですが。
リプレイ
● リオンの場合
『リオン クロフォード(aa3237hero001)』はこの依頼を受けて真っ先に言いました。
「可愛いニーナが見たい!」
「ええ? あ、は……はい」
そうして頷いた『藤咲 仁菜(aa3237)』二人は今@アルファーの目の前にいた。
「撮影があるとか、聞いてないけど!? 私デートなんてしたことないし!」
そうたじたじな仁菜の背を押すリオン。
「大丈夫! ニーナはいつも通りでオッケー! ただで遊園地いけるんだよ? お得じゃん?」
そして二人は全施設利用可能なパスを受け取り、遊園地に直行する。入り口でマップを受け取ると二人でそれを覗き込む。
「じゃあまずは手始めにお化け屋敷かな!」
リオンが悪戯っぽく告げると、仁菜の耳がピクリと動いた。
「なんで!?」
「定番でしょ?」
実際のところ、ホラーに遭遇した仁菜はぎゅーってくっついてくるのでそれがとても可愛いのだ。
「は、離れないでよ? 置いてかないでよ?」
案の定お化け屋敷突入直後の、不気味な雰囲気と暗さだけで目に涙を讃える仁菜
リオンの腕をギュッとつかみ上目づかいにこちらを見る仁菜は素直に可愛かった
まぁ、その後耳元で仁菜の悲鳴をさんざん聞かされることになるのだが。
「つかれたよぉ」
ベンチの上でぐったりとろけている仁菜。彼女が休んでいる間にリオン少し離れ、また舞い戻ってきた、そしてその手のアイスを差し出す。
「ご苦労様。はい、ニーナ。苺アイス好きでしょ」
「ホラーは苦手だって言ってるのに。アイスなんかじゃ誤魔化されない……!
しかしそれは三段重ね。
「……許す!」
そう小動物のように両手でアイスを持って、ちょっとずつ食べる仁菜。
「ニーナ俺にも頂戴?」
「はい」
そうアイスを渡そうとする仁菜。
「ニーナ?」
だがリオンはカメラを示して、にやっと笑う。
その意図を理解した仁菜は顔を赤くしながらアイスを突き出した。
「あ、あーん?」
その後二人のデートは続く。コーヒーカップを回しすぎて目を回したり。ゴーカートで競争してみたり。メリーゴーランドに乗ってみたり
そして日も暮れてきたころ、黄金色に染まる遊園地で、仁菜はひときわ高いそれを指さした。
観覧車である。きっとあそこから眺める世界は綺麗だ。
そうつぶやく彼女の手を取ってリオンは観覧車に乗った。
「今日はどうだった?」
「楽しかった!」
そう微笑む彼女はとても眩しく映った。
●由利菜のエスコート
(恋愛が絡むと考えるから、臆病になってしまうんです)
『月鏡 由利菜(aa0873)』は髪を風になびかせて、物思いの世界へと旅立っていた。
(今、私のやるべきことはECCOさんと共に魅力的なトレーラーを作り、彼女を楽しませること)
「なぁ、由利菜ちゃん」
そんな由利菜も声をかけられ現実に帰還する。
「なんでしょう?」
「今日なんでうちら制服なん?」
そんな二人のデートは学校から始まった。
先ず向かったのは学校の音楽室。ECCOは楽器があるだけで楽しくなるのだろうか、テンションが上がってピアノに手をかけている。
「これは弾けますか?」
そう由利菜が差し出したのは天使のフルスコア、その楽譜へECCOはさっと目を通しただけで弾き始めてしまう。
「けど、これリンカーが使わな、意味ないんやろ?」
「まぁ、そうなんですけど」
誰もいない校舎にゆったりとした曲調の音階が響く、そんな中ECCOは二人に問いかけた。
「このままここにいても楽しぃ、気がするなぁ」
「だめですよ、せっかくの休日ですし」
そう由利菜は告げ、いきたいところは手当たり次第に回ろう、そう告げた。
そして二人は制服姿のまま校舎を飛び出す。
まるで放課後なふたり。そのまま映画を見に行った。
「制服が嫌なら水着という手があるが?」
『リーヴスラシル(aa0873hero001)』の甘言に乗せられ二人は真っ先にプールへ向かう。
そこで、しばらく泳ぐと昼時である。由利菜が席にECCOを座らせ、そして注文を取ってくるとテーブルに並べる。
「学園でランチタイムの時、ラシルによくこうしてるんです。はい、あーんして下さい」
照れながらも口を開くECCO。
「おいしぃ」
そうECCOははにかんで笑った。
ひとしきり遊んだ二人が次いで目指すのは『コレクトC』
立ち並ぶ音楽店に再びECCOのテンションが上がった。
「ここ、最高やな」
そう上機嫌でアンプやらコードやら、なにやらをどんどん買っていくECCO。荷物は当然由利菜が持つ。
そして唐突に背後から二人をつける足音に由利菜が気が付いた。げひた笑いが聞こえる。
由利菜はそう言えば治安が悪かったと思いだし、そして。荷物を下ろした。
その瞬間である。
駆け出す音がした、そして由利菜は踵を返しながら上体をそらす。振り回された腕を回避。ちらっと見えた銀色の輝きはナイフだろうか。
「正しき紳士の心を持つのであれば、去りなさい。能力者の力をあなた達へ振るいたくはありません」
そう由利菜は立てかけられていた箒に手をかける。チンピラどもは笑った。
ナイフに箒で立ち向かうなんてと。
(彼女を常にリードし守る騎士を演じる。そうすれば、雑念なんて)
だが五分後地面に転がっていたのはチンピラの方であった。
「ごめんなさい、怖い目にあわせてしまいましたね」
「ううん。由利菜ちゃん強いなぁ、きゅんきゅんしたわぁ」
そして二人は次の施設を目指して移動を開始する。
●近くて遠い二人
「今日は、よろしくお願いします」
そう礼儀正しく頭を下げたロクトそれに『柳生 鉄治(aa5176)』は緊張の表情を浮かべる。
「今日はまずデートを」
そう鉄治が口を開くと、ロクトは微笑み鉄治の手を取った。
「考えてきてくれたのね? ありがとう。じゃあ目指すは上の階かしら?」
「そうなる」
「エスコートしてね、王子様」
そうロクトは微笑んだ。
映画は恋愛ものを見た。ロクトはそれを微笑を湛えて見ていたが、鉄治は内容を全く覚えていなかった。
レストランで頭を抱える鉄治。
映画館の後は食事と思いツインBの61階レストランを予約しておいたのだが。ここにきてから彼は後悔のしっぱなしである。
(ヤバい。映画館じゃロクに話しできなかったし、撮影しなきゃならないからずっとロクトのほう向いてたんで、話の内容あんま覚えてないぞ。作戦間違えたか?)
「お待たせ、ごめんなさい、長くなってしまって」
そうトイレから戻ったロクトは鉄治の前の席に腰を下ろす。
「ああ、大丈夫だ、さっそく料理を頼もう」
そうメニューを広げる鉄治。
「何が食べたい?」
「任せてもいいかしら?」
「じゃあ、コースがこれ。前菜はこれにして、飲み物は食前がこれ。あとは……」
メニューを見てすらすらと答えていく鉄治である、その様子を楽しそうに見守るロクト。
「すごいわね、大抵の人はこういうお店に来ると料理の頼みかたも分からないのに」
ボトルを抱えたボーイの登場に合わせ、グラスの台の部分を抑えてグラスに微炭酸のワインを注がせるロクト。
「映画館ではずっとソワソワしてるから、デートには慣れてないんだろうなぁって」
かわいい坊やだと思っていたところを見直したのか、少し違う表情を見せるロクトである。
「年の割にこういうとこで落ち着いて食べてるって? 修行だって、料理長が色んなとこで食べさせてくれるんだよな。そのおかげかね」
「なるほど、いい料理長さんね。経験に勝る人間の強みはそうないわ」
「経験か」
「そうね、経験は大事、経験を積んで次はお姫様を誘えるようにしましょうね」
すこし顔を赤らめる鉄治。
「頑張る男の子は好きよ」
そう告げてロクトはグラスの中味を飲みほした。
そして次の日は『ブリタニア(aa5176hero001)』の撮影があった、カメラマンはロクト。
デートもそこそこに二件目に突入するとブリタニアは荒れ始める。
「どういうことなのです、鉄治は」
ブリタニアはグラスのワインを飲み干すと、慟哭するように告げる。
「ああ、あなたをデートに誘わなかったこと?」
ロクトはラムを揺らすとナッツを口に運んで足を組み替える。
「常に一緒にいる女性に見向きもしないだなんて……。私が知らないとでも思っていたのでしょうか」
そうツンケンしながら両腕に額をうずめるブリタニア。
「ふふふ、飲んで全部吐き出してしまいなさい。私でよければ朝までだって聞くわよ」
「はぁ……。ところで、鉄治はちゃんとエスコートできましたか?」
「まぁ、判断は正しかったとだけ言っておくわ。練習が必要って判断はね」
そのことで全てを察するブリタニア。
「もう、いま一つな感じだったみたいですね。……初めてならそんなものなのでしょうか」
「でも、こういうのも練習しなければうまくならないわ。長い目で見てあげてね」
「あら、日本酒のカクテルなんていうのもあるんですね。私、こっち(日本酒)はよくわからなくて……どれがおすすめです?」
ロクトはブリタニアに寄り添って、メニューを指さした。そして二人はおそろいの一杯を口に運ぶ。
「あら、赤くて綺麗な。甘酸っぱくて……グレナデンシロップですね?」
「お酒がいける口なのね。なかなかいないから得難いわ。今日は誘っていただけてうれしかった」
「ん……私。なんか、とっても楽しいです。また、いいですか?」
「ええ、今度は私のお勧めのお店を紹介するわ」
● 休日はまったり
「蘿蔔はじっくり撮られるのは好きじゃないと思ってたけど」
「私もアイドルですから偶には宣伝しないと。それにこうやって誰かの記憶に残るというのもいいかなーって」
そう靴を脱ぎながら入室した部屋は小奇麗だった。ここはレオンハルトの私室。
『レオンハルト(aa0405hero001)』は荷物を受け取るとキッチンで荷をほどこうとする、だが『卸 蘿蔔(aa0405)』がそれを遮った。
そう蘿蔔はメガネと帽子を外して髪をなびかせる。そしてキッチンに立った。
「ご飯の用意まだですよね。私作りますから……キッチンお借りします」
そう長い髪を結い上げて、エプロンを着用。
「不安だ」
ぼそりとつぶやくレオンハルトを無視して料理を開始する蘿蔔である。
「手際がいいな」
「練習しましたから」
「メニューは?」
「パスタをメインに」
その時蘿蔔がフライパンを振るう手を止める。
「あ、あんまり見られるとその……嫌なわけではなくて」
料理風景を眺めていたレオンハルト。それは心配だからという理由だけではない。
料理をしている女性の姿はよい。それはすべての男性に共通する認識のはずだ。
そんな風に撮影を進めていると、蘿蔔が皿を持ってテーブルまで歩み寄ってくる。
「できましたよ。机の上、片付けてください」
その出来栄えにレオンハルトは驚いた。上手にできている。見た目は……。
「美味しい? よかった嬉しい。あなたに食べて欲しくて頑張ったのです」
そう、はにかむ蘿蔔。
「普通に不味い」
「ここは嘘でも美味しいって言ってくださいよ。どうせVRだからばれませんし。はい、わんもあ」
笑顔のまま告げる蘿蔔。
だが食べられないほどではなかったので、きちんと平らげ、二人で食器を洗う。
キッチンは狭いので自然と触れ合う形になり、蘿蔔は照れて少し笑った。
そして食器を拭くのをまかせて蘿蔔はソファーにダイブ。
その背もたれの向こうから奇声が聞こえてくると思ったら、彼女はゲームをしていた。
ゲームのマイクに向かって歌を謳っている。
かつて彼女が開発に参加したソングオブサマナーというゲームで、歌によってモンスターを召喚するゲームだったが。
彼女の画面に映し出されていたのは、チョコレートがとけたような化け物。
「やっぱり泥だらボッチだけは納得いかんのですよ」
納得いかないと言いつつレベルはマックスである。
「いや似合ってると思うよ」
レオンハルトはその隣に腰を下ろした。
そして画面を見つめるレオンハルト、密着する体温が心地いい。そのまま徐々に徐々にレオンハルトに体重をかける蘿蔔だったが。
レオンハルトがさっと席を立ったせいで頭からソファーに突っ込むことになった。
「痛いです~」
「重たいぞ。蘿蔔」
「ひどいです~」
そう恨みがましく告げる蘿蔔に微笑みを返して、レオンハルトは逆サイドに座った。
こうして何気ない時が過ぎていく。
やがて時刻は回り日没、急に蘿蔔は立ち上がりレオンハルトに告げた。
「これだけ暗かったらばれないかな? ね。お外出ちゃいません?」
そう二人は手を繋いで噴水広場へ。
「いつもこうできたらいいのに」
「お忍びデートと言うけど、蘿蔔街に出て声かけられたことあったっけ」
「それ言っちゃダメです」
その後二人は家に戻る、適度に運動をした眠気を抱えたレオンハルトを見て、蘿蔔はその袖を引いた。
「膝枕をしてあげましょう」
そうレオンハルトの頭を撫でながらラブソングを謳う蘿蔔。
まだお披露目していない、新曲。
その優しい旋律が部屋に響いた。
● いつもとはちょっと違う?
「リュカとデートは嬉しい、のですが。撮影大丈夫でしょうか……」
そう鏡の前でため息をつく『紫 征四郎(aa0076)』は口紅を戻すとそっとため息をついた。
「これで、大丈夫だと……」
そんな征四郎の表情を見て『ガルー・A・A(aa0076hero001)』は溜息をついた。
「んな厚化粧する奴があるか、ほら落とせ」
メイク落としで征四郎の顔をこするガルー。
「リュカは見えないかもしれないけど。隣を歩くのだから、綺麗でいたいのです!」
そんな悲鳴を征四郎は上げた。
* *
征四郎は噴水広場で相手を待っていた。
彼が近づいてくる様を想像すると心が躍る。
「デート……撮影……子供らしく」
同じ言葉を繰り返す征四郎。やがてその視界に『木霊・C・リュカ(aa0068)』が映ると、征四郎はその隣へ走って駆け寄った。
「リュカ」
「せーちゃん、こんにちわ。今日はいい天気みたいだね」
その背後からカメラでガルーが追いかけようとするが。
「おい、このカメラ壊れてるぞ」
そうカメラのレンズを覗きつつも、あちらこちらにレンズを向けるガルー。
そんなガルーへ『オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)』は背伸びし、近づいて、カメラのカバーを外してやった。
「あんたは何をしてるんだ……」
「おう、リーヴィ、いきなり映ったな。どうしたんだこれ?」
「ふたがついてたんだ。無くさないように持っておけ」
そう告げるオリヴィエは小脇にスケッチブックを抱えていた。
「今日はお嬢さんのエスコートかな? ふふ、楽しみだね!」
そう征四郎の緊張を解こうと語りかけるリュカ。その隣でスケッチブックを何に使うのかと問いかけられたオリヴィエは、こう使うのだと。ペンを走らせ征四郎に向ける。
そこには。そこでキスでもすれば良いんじゃ無いか、と書かれていた。
征四郎の表情が笑顔のまま固まった。
その硬直を緊張だと捉えたのだろう、リュカは笑顔で語りかける。
「大丈夫だよせーちゃん、お兄さんも一緒だもん!」
「そうですね、リュカと一緒は、楽しいです……けど!」
そう頬を膨らませてリュカの手を引いた征四郎。
「オリヴィエは意地悪です」
まず二人が向かったのは商業施設だった。
「うわー。おっきいです」
「どんな感じかな?」
「えっとですね」
そうリュカのために、モール内の様子を事細かに説明する征四郎。表情豊かにリュカの手を引きながら施設内を歩いていると、男性向けの服屋の前で立ち止まる。
「うわー」
「どうしたのかな?」
「リュカ、これ似合うんじゃないです?」
その時オリヴィエから飛ぶカンペ『視線向けろ』の文字。
お仕事なので、笑顔ひとつ向ける征四郎。
「ふふーふ、似合う?」
その間に上着を交換してきたリュカ。
「似合ってます、 折角なので、リュカもいっぱいオシャレするべきです!」
「そうかな? じゃあもっと見てみようか、これは記念に買っちゃおう」
「後は普段と違うシャツも着て見たらどうでしょう、ノースリーブとか」
「ちょっと若すぎない?」
いつもは征四郎の服を皆で相談して買うことが多いため、楽しくなっているのだろう。リュカには何が似合うと思う。そんな解説を聞きながらの買い物は楽しかった。
「せーちゃんも、欲しい服あったら遠慮なく言うんだよ?」
「はい」
次いで二人が移ったのは本屋さん。
「小学3年生になったので、文字の小さい本も読めるようになったのですよ」
そう、ドヤ顔で語る征四郎。
「だから、お仕事の合間に読める本、一緒に選んで欲しいのです」
そしてそんな二人を撮影しているのはオリヴィエ。ガルーは彼の台になっていた。
「意外と辛い」
「我慢しろ、体鍛えてるだろ?」
「そうじゃない! 買い物してるお子さん方の視線が辛いんだよ!」
そんな二人の茶番は置いておいて買い物を続ける征四郎とリュカ。
「まかせて、どんな本が好きかな?」
本は子供の成長は早いなぁとしみじみ思いながらリュカは征四郎の案内に従った。
「は、アイドルのコーナー!」
最初は児童書コーナーにいたはずなのに、征四郎はなぜかそう声を上げた、いつの間にか流れてきてしまったようだ。
「今月号の雑誌、ちょっとだけみていきます」
「アイドル雑誌なら凛道に見せてもらえばいいのに……種類が違うのかな?」
結果かなりの額のお買い物になってしまったが征四郎は満足そうに本屋を出た。
「……本って結構重いのですね」
「デート中に男の手以上に重い物は持たせませんよ、マドモアゼル?」
「きゃー、リュカちゃんったらキザ!」
そうガルーが騒いだので、征四郎はひと睨みする。
その後四人は夕食のためにレストランへ入った。
メニューには点字表記が無いことを理解した征四郎、リュカの隣に座って、メニューの中味を読み上げる。
「何を食べますか?」
「あれ、お子様ランチが無かったみたいだけど?」
「大丈夫です。お子様ランチは卒業したのです」
「じゃあ、オムライスかな? それと……」
そんな食事風景は絵にならない、そう言ってガルーは席を立つ、暇つぶしに施設内を見て回るつもりだったが、お供にオリヴィエを連れてきた。
「さぼりか?」
「そうだ、リーヴィ」
「どうした?」
ガルーは視線だけ遠くに投げる、そこには豪奢なドレスが展示されていて、ガルーは花見を思いだし意地悪く微笑む。
「こないだのドレスも似合ってたけど、あれも……」
その時、オリヴィエが足を振りかぶって思い切りガルーの足を踏みつけた。
「いだだだ!」
「服は間に合ってる、というかあんな服はいらん」
「いやいや、冗談だ、そう怒るなって、ほらこれなんかいいんじゃねぇか?」
次にガルーが指示したのは上品めのブラウス、それを試着させると。ガルーは一言。似合ってると告げる。
「ん? エリが曲がってるぞ、ほら」
その時である。オリヴィエの視界、その端に征四郎の影がちらついた。そして彼女はカンペを持っている。
ここでキスでもすれば良いんじゃないか?
レストランに置き忘れたオリヴィエのカンペだった。
「……なるほど、余計な世話、だな」
そうつぶやくと征四郎は悪戯っぽく笑っていた。
そして楽しいひと時が終わると、四人は施設を後にする、外は綺麗な茜色に染まっていた。
「えっと、今日はありがとうございました!」
その締めくくりとして、征四郎はずっと繋いでいたリュカの手にキスを送る。
「なるほど、締めくくりには情熱的だね」
リュカはお返しとして征四郎の頭を撫でて、その頬にキスを送った。
「こちらこそ素敵な一日をありがとう、可愛いシュヴァリエさん!」
そして征四郎の顔は真っ赤に茹で上がる。
* *
そんな青春の一コマに隠れてガルーはオリヴィエに花束を贈っていた。
「お前さんも撮影、すると思ってたからな」
「クランクアップ、か?」
「撮影役お疲れさんな」
「ん、あんたもな」
そして二人は相棒を迎えに行く。
● それって恋?
(最終的に見世物にされるってのはあんまり気持いいモンじゃねぇが……ま、エディスが良いなら)
(それが観られる物でも、作った物でも……おにぃちゃんと居られるなら。だから、ちゃんとしなきゃ)
二人は物思いから帰り互いの顔を見つめる、デートスタートである。
「アイドルはともかく一般リンカーのなんて需要あんのかね」
晴れた空の下、少女を引き連れ人通りの多い道を歩くのは『一ノ瀬 春翔(aa3715)』
(……おにぃちゃん、そこそこアイドルやってるよね)
『エディス・ホワイトクイーン(aa3715hero002)』はその残酷な言葉を胸にしまう。
そして見あげたのは映画の広告。落ち着いた人間ドラマ。
映画の出来はなかなかだった、だがそのチョイスに。そして振る舞いに違和感を感じたままカフェになだれ込んでしまう。
(普通すぎる。っつうか……)
春翔は頬杖をつきながらエディスを観察した。その表情、その仕草。
エディスは視線に気が付くと小首を傾げてはにかんだ。
「とっても面白かったですね! では、次に行きましょうか」
その不自然な振る舞いを見て春翔の胸に一つの憶測が浮かび上がる。
(……ははぁ、なるほど)
そもそもだ。二人きりの時には必ずと言っていい程”甘える妹”と化すエディス。だがしかし今回、撮影という第三者の眼がある。
今の”清純な女性”の彼女も本物であり、エディス自信もそれで納得はしているが。
そこまで考えて春翔はエディスの腕を取った。
「え? お兄ちゃん?」
「……いいや、”次”には行かない」
その不敵な表情に思わずエディスは頬を染めた。
「エディス、俺はお前の行きたい所へ行きたい
「……うん!」
その時浮かべた笑顔は、大人の香り漂わせた今日のエディスではなく、心の底から嬉しいと感じるエディスの笑顔だった。
そしてプランは書き換わる。
その日は時間が許す限り遊び倒すつもりだった。買い物、遊園地、甘いものは
だいたい食べつくした。
「えへへ……楽しいね、おにぃちゃん!」
ほっぺたにクリームをつけたまま、彼女はとても幸せそうに告げる。しかし。
(……やっちまった)
春翔は頭を抱えている。
何となく、覚えてる動作でやってしまった瞬間を撮られた春翔には少し傷が残る
(でもま。これはこれでいいか)
そうクリームをぬぐう春翔。するとエディスは無邪気に微笑んで。遠くを指し示す。
「おにぃちゃん! 次あっち!」
● デンジャラスゲーム
「おっさんが相手で悪いが、宜しく頼む」
「別に大丈夫ですけど、その首どうしたんですか?」
そう『麻生 遊夜(aa0452)』は小さく会釈して梓の手を取った。しかし首に巻かれた包帯を梓は本気で心配している。
「敬語も無くていいぞ、素の状態でどうぞ」
「まぁ、確かに敬語使うと、なんか恋人っぽくないかな……うーん。遊夜さん」
「おぅ、その調子だ。……うむ、今日も可愛いな」
ぼんっと音を立てて梓の顔が赤くなった。どうやら、年上の男性がクリーンヒットらしい。
「あああ、あうあう」
そんな二人は屋台飯を一通り食べながらあたりを見渡す。
「今日は絶好の日和だな、この後も期待してくれよ」
そう意気込みを見せる遊夜だったが、梓は遊夜の顔を見るときょとんと首をかしげた。
「遊夜さん」
「どうした?」
梓が手招きするので遊夜は屈むと指先で頬をなぞる梓。
「ソースついてた」
そう人差し指をなめる梓。
「これは恥ずかしいところをお見せした」
そして二人は次なるスポットへ移動する。
「色んな種類があるって話だからな、気にいるのがあると思うぜ?」
「遊夜さん疲れてるの?」
遊夜の視線は高濃度酸素岩盤浴に注がれている。
温泉で疲れを癒した遊夜は梓を鏡の前に招きよせる。
「どうしたの?」
遊夜はドライヤーのスイッチを入れた。
「乾かしてやろう」
遊夜の髪の毛を乾かす手つきは慣れていた。
「うーんきもちい」
髪の毛を梳くと、梓は猫のように喉を鳴らす。
「ああ、可愛い……癒される」
元来世話好きの遊夜だ、妹ができたような感覚を味わっているのかもしれない。
次に移動したのはツインB、デザートがおいしそうなカフェで梓はパンケーキセットを頼んだ。
「ハニートーストもあるが……半分こするか?」
「うん、私のパンケーキもあげる」
そう梓は食べやすい大きさにカット、それをフォークで突き刺して差し出した。
そして一日の締めくくりは最後はドミニオンで自宅風。
フライパンを慣れた手つきで振るう遊夜に、梓は感動のしていた。
「すっごいじょうず!」
「まぁ、家族の食事の面倒は見てるからな」
デザートまでしっかり作る徹底ぶりに、とろけた表情になる梓。
「今日はなんだか私のお仕事っていうよりも、遊夜さんのお仕事だったね」
くつろぎすぎてしまったと反省する梓であった。
ちなみにその間『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』はというと。
カノンの手を引いてツインBで食べ歩きをしていた。若干期限斜めであるものの。母性本能が働くのだろうか。しっかりとカノンの手を繋いでエスコートしていた。
「ユフォおねぇちゃん! ローストビーフだよ」
「……ムフー」
次々に現れる肉料理達に尻尾の揺らめきが大きくなっていく。
「流石ユフォおねぇちゃん、肉食系女子だネ。私もだケド」
その肉食系女子と同じスピードで食べ勧める『カノン(aa2852hero001)』はスペアリブをかじりながらも、相棒を思う。
さぁ彼はいったいどんなデートをしているのだろうか。
実は『東城 栄二(aa2852)』もツインBにいた。朝からアネットと待ち合わせをしていた。
「あ、東城さん」
アネットが発見した栄二は普段とは少し違っていた。
ネイビーのシャツの上に白の七分袖のシャツを羽織っていて下はジーンズ。
爽やかな大人の休日と言ったところ。
「またせてしまいましたね」
そうアネットが問いかけると栄二は首を振った。
「いえ、待っていませんよ、それよりもその服装、お似合いですよ」
実際は30分ほど前からたいきしていたのだが、そんな様子はおくびにも出さない。
「では軽く朝食と参りましょうか。」
そう、照れるアネットをリードして、まずはカフェで軽めのモーニング。
「いいコーヒーですね」
栄二が選んだお店はアネットのお気に召したらしく彼女は上機嫌だった。
そんなアネットがトイレを済ませている間に会計を済ませた栄二。
その後@アルファーのプールを目指して移動した。
「最近暑いですからね、プールで泳いでみるのもいいでしょう。ね?」
栄二の水着は黒のサーファータイプ。
「着やせするタイプなんですね」
そううっすらと筋肉の見える栄二の体を見てアネットはつぶやいた。
「水着、似合ってますよ」
対して栄二もアネットに見惚れている。
水色を基調としたビキニとパレオ。日差し避けの帽子とサングラスを小脇に抱えているが栄二が手を差し出すと、それをテーブルの上に置き、栄二の手をとりダイブした。
「プールで泳ぐなんて、いつぶりでしょうねぇ……」
その後夕食を済ませて解散することになる、きちんと駅まで送る栄二。
その道中アネットはこんな言葉を栄二にかけた。
「すごいですね、私より年下なのに女性の扱いに慣れているというか」
「うーん、ちなみに何歳に見えます?」
「……」
十代に見えるのだが、それを行ってしまっていいのか悩むアネットである。
その葛藤を見抜いてか栄二は告げる。
「む、私これでも成人してるんですよ?」
「え!!」
驚くアネットの表情を見て、栄二は微笑んだ。
「やっと素顔が見られました。貴女のような女性と一日とはいえ、時間を共有できるのはとても嬉しい事です。またもし機会があれば」
その言葉にアネットは夢見ごこちで頷いて、そして駅の階段を下りていく。
● 春
『暗峠 影明(aa4268)』巻き上がる噴水の涼やかさを背に遙華を待つ。やがて現れた少女は普段と違ってワンピース姿の少女然とした恰好だった。
「よろしくな。俺は暗峠影明だ。好きなように呼んでくれ」
は遙華に手を差し出した『烏丸(aa4268hero001)』が不器用な二人を見守っている。
「ええ、初めまして、西大寺 遙華です」
先ず二人が目指したのはツインB。そこでの買い物は遙華の本めぐりがメインだった。
「私に合わせてくれようとしなくていいのよ?」
ずっと遙華につき従う陰明にそう遙華は声をかけた。
「いや、大丈夫だ」
そう影明は答え、遙華の手に取った本を籠に入れていった。
その次に向かったのは@アルファーの映画館。その放映スケジュールを眺めながら影明が唸っているとその隣から遙華が顔を出す。
「いや、恋愛ものを見た方がいいかと思ってな」
「あなたは何が見たいの?」
「うーん」
考え込む影明。
「私は断然SFね」
「じゃあそれにしよう」
映画が終わるころにはすでに日が暮れていて、二人は噴水公園まで戻る。
駅への入り口を一瞥して遙華は影明へと振り返って微笑んだ。
「今日は、楽しかったわ。ありがとう」
「実は……グロリア社のショップでよく見かけるからな……それも、あるが一目ぼれだった」
その言葉を受けて遙華はきょとんと首をかしげた。
「ああ、すぐに付き合ってくれとかそういうのじゃない。お互いのこと、よく分かっていないだろうしな。だが、これから度々会えたらいいと思っている」
「あなたには余計な望みを持たせたくない、だからはっきりと言ってくれたお礼に私もはっきりと言うわ。私は今は仕事が優先で、そして支えてくれる仲間が一番大切よ」
そう遙華は冷静に淡々と告げた。
「また、お仕事があれば声をかけるわね。今日はありがとう」
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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