本部

広告塔の少女~ガデンツァ対策委員会~

鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
寸志
相談期間
4日
完成日
2016/12/21 10:04

掲示板

オープニング

広告塔の少女~ガデンツァ対策委員会~

● 水晶の乙女
「いい加減後手も飽きたわ……」
 そうタタタンとキーボートを叩き終えると椅子を回してロクトを見つめた。
「私達やられっぱなしじゃない。相手が動いて、私達が解決するだけ」
 何事かと思いながらロクトは黙って遙華の話を聞いた。
 席をたちコピー機の前に立つとやっと遙華は何が言いたかったのかわかってくる。
「あー。ガデンツァについてね?」
 その印刷された書面に目を通しながらロクトは遙華に続きを促す。
「結局私たちは後処理屋さんなのだから後手に回るのは当然かもしれないけど。おそろそろ先手を打ちたいところではあるの。だからガデンツァと交戦経験のある人たちを集めて会議ができないかと思って」
「それで研究所からも誓ったガデンツァ由来の資料を、解析した結果を紙にまとめたわけね」
 ロクトはメガネをかけ直し、それをさらりと読み終えると、いいんじゃない?
 とだけ告げた。
「そもそも、今みんなの間で噂されているガデンツァの情報も、わりと尾ひれはひれな気がしてならないし、情報をまとめるためにもいいと思うのね」
「まぁ、それくらい好きにやってくれて構わないわ。ただ次のディスペアの案件にも目を通しておいてもらわないとダメよ」
「はーい」

● ガデンツァステータス。

全長:1.7m
知能:人
特殊能力:《シンクロニティ・デス》《ドローエン・ブルーム》《アクアレル・スプラッシュ》《イミタンド・ミラーリング》《ヴァリアメンテ》《????》
ステータス:物攻F 物防B 魔攻S 魔防A 命中A 回避C 移動C 生命A 抵抗A INT S


● 研究結果報告。
1 ガデンツァの水晶の柱について
 これは各種ルネと同じ抗生物質だったわ。霊力を通すことによって高度を代え、さらに周囲に音を響かすことができる。これは何らかの研究に生かすことができると思ってさらに研究を続けている最中。

2 ガデンツァ研究資料について
 楽園と目覚める少女にて持ち帰ったアイテム、それの解析が終了したものから乗せている
《楽譜》 現代科学では買い得も際限も不可能な楽譜、ただこれは失敗作らしく苛立ったような文字が刻まれている。
《ルネ設計図》 ここには、飛行型ルネ ステルス型ルネ スピーカーモジュールの
・飛行型ルネ 遠距離攻撃への対策のため空から一方的に相手を攻撃するルネの開発を行っている(未完成)
・ステルス型ルネ 周囲に同化する、いわば光学迷彩が施されたルネ。
・スピーカーモジュール ガデンツァと接続し、ガデンツァの出力を上げる。自身の戦闘能力の低さをカバーする目的。
・情報の断片 多くはすでに判明しているガデンツァの情報であったり、この世界の理論を取り込んだ霊力学であったり、この世界の知識であったりと言った、確信ってきといえる情報はあまりなかった。ただ《固有心振動数》という単語だけはそれが何かつかめなかった。

3 ルネの材料について。
 ルネの材料は、性格に言うと心を司る器官らしい。
 心とはどこに宿るのか、それはガデンツァの世界的にも脳らしく。突き詰めると脳があればよい。
 ただ、昨日グロリア社が心を持つロボットを開発しようとしている、との報告を受けそれに興味を持っている。

4ガデンツァの好物。
 最近、ワショク、とりわけスシがお気に入りらしい。
 ワサビたっぷりのマグロが増し増しで頼まれた形跡が沢山見られた。 

5 ルネクイーンについて。
 従来のルネにさらに、自己計算機能、そしてルネの統率能力を与えた新型である。
 戦闘能力もそれなりらしく、デクリオ級とケントゥリオ級の間くらいらしい。
 ただ。その高性能さの犠牲に、変身能力の大部分を奪われており、普通のルネのように自由自在とはいかないらしい。(完璧に再現するとなると数時間の時間を必要とする)

●リプレイ纏め

 現在ガデンツァの関与が疑われる、もしくはガデンツァが関与していたシナリオは下記のとおりです。
 まとめただけなので、全てに目を通す必要はないと思います。

《どうかわたしを助けてください》
《魂の価値、残されるもの》
《絆を信じて》
《裁かれる君の、断頭台へ向かう背中へ》
《広告塔の少女~クイズ、遙華はどれ?~》
《桜の木の下でまた会いたい》
《広告塔の少女~ホラーとマリオネット~》
《【神月】霧の中の暗殺者》
《真贋の距離》
《【神月】ハウリング・ムーン》
《果てし歌、残響、ぬくもりすら遠く》
《楽園と、目覚める少女》
《【卓戯】魂を賭けたボードゲーム》
《飛べぬなら、歌えぬなら》

解説

目標 ガデンツァの情報を集積、共有し、対策を練る。
 
 この依頼内容は報告会です。リプレイ内容は単調になるかもしれませんが皆さんの意見が詰まった報告書になると思うので、目通しをお願いします。

 会議は以下の順に進行します。
1 ガデンツァに関する報告
 オープニングで遙華が報告したようにみなさんがガデンツァについて気が付いたことを
2 ガデンツァに関する考察。
 上記の情報をふまえ考察を述べてください、ここで語られることは憶測であっても問題ありません。
3 ガデンツァに対する対策
 上記から予測できる対策をみんなでたてましょう。またここでグロリア社に技術開発など依頼しておくと、遙華が開発してくれるかもしれません。

 さらに遙華的にはガデンツァの技術や戦闘方面から彼女の目的を探ろうとしているようですが、アプローチ方法はたくさんあるかと思います。
 たとえば、彼女の言動、作戦。彼女とルネの関係性。
 ここから彼女がどう動くか予測できれば先手を打つこともできるでしょう。

リプレイ


プロローグ


『美空(aa4136)』は立て看板をたっぷり三秒眺めるとガデンツァ対策室へと踏み入った。
 打ち合わせ二時間前の会議室はがらんとしており、当然人の気配はない。
「できる限りのことをするであります」
 そう美空はつぶやくと三角巾とエプロン姿で部屋の掃除を始めた。
 どこから取り出したのか掃除機で、ぶおーっと床の埃を吸い取っていく、そして大きい丸テーブルを拭き、電子黒板を室内に運ぶ。
 そして議事録作成用のIDレコーダーを準備、PCも立ち上げその前に座る。
 そのタイミングでポットのお湯が沸いた。
 茶葉とポット、そして湯呑を人数分よういし、お茶菓子も人数分用意。
 完璧な準備が整った。
「ふぅ…………」
 そして一人美空は溜息をつく。
「早く始まらないかなぁ」
 そう告げて足をパタパタさせているとやがて扉が開いた。
 まず先に入室したのは書面を抱えた『楪 アルト(aa4349)』その後ろに続く『蔵李・澄香(aa0010)』は『イリス・レイバルド(aa0124)』の手を引いている。
「あ、お姉さん方こちらへ」
 そう席へと促す美空。
「ありがとう、美空さん、やる気満々だね」
「お姉さん方もすごく調べてきたと聞いてます。今後のために勉強させていただくであります」
 それに苦笑いを返したのはアルト。
「んー……あたしはまだそもそ『本体』に有ったことが無いからみんなの意見を聞くだけになりそう……まぁ出せるだけの案は頑張って出してみるよ」
「あら、早いのねみんな」
 そうノートパソコン片手に入ってきたのは遙華、その後ろには『北里芽衣(aa1416)』が控えている。
「遙華さん、盗聴器があるかもしれません、それを調べましょう」
 芽衣が遙華に言う。
「大丈夫だったよ?」
 澄香が告げた。
「マナチェイサーで調べたから大丈夫だよ」
 そう澄香は平然と告げた。
「貴女、そんなこともできるの?」
 遙華は目を真ん丸にして驚いた。
「うん、発見できるのは霊力的な物だけだけどね」
「だったら安心ね、科学的な盗聴器やカメラは配置されていないから、この対策室は完全に外界から遮断されているわ」
「あらあら、大仰ね」
 そう白衣をなびかせて『榊原・沙耶(aa1188)』が入出した。その翻った白衣の影に隠れて見えなかったが『卸 蘿蔔(aa0405)』もいたようだ。
「遙華っ」
「いらっしゃい、蘿蔔」
 そう駆け寄る少女たち。
「あと、いないのは誰かしら」
「…………遅れてすみません」
『煤原 燃衣(aa2271)』そして『世良 杏奈(aa3447)』『沖 一真(aa3591)』と入室し、会議室はたちまちいっぱいになる。
「ガデンツァとの戦闘経験はありませんが、よろしくお願いします。」
 杏奈がそう皆に頭を下げた。
「全員が集まったようね、さぁ、始めましょう、あの終端者を倒すための会議を」
 その言葉に一真は頷いた。
「ああ、そして次は絶対倒すさ」

「次に奴に会う時も、俺は月夜と一緒に戦う」

 その力強い言葉に、その場にいる全員が頷いた。
     *   *

「あれは…………」
 会議が始まると、わずかな沈黙の後一真が口を開く、全員が資料をめくる手を止めた。
「真贋にこだわる、人間に執着する、その絶望を見たいがために、人を探求する。言っちまえば変質者だよな」
「もしかしたら、彼女自身絶望に囚われているのかもしれないわね」
 杏奈が告げた。その言葉に燃衣は頷いた。
「それのために、わざと英雄や一般人をたきつけるようなことをしています」
「あたしは…………」
 アルトが拳を握りしめて告げた。
「直接かかわったことはない、ボードゲームのイミテーションにふれただけだ。
 だから最初はみんなの話と少し違和感を感じて。
 けど…………本質的には違いはなかったんだなって思った」
「…………本質?」
 燃衣は問いかける。
「一人ぼっちの嫌な奴ってことだよ」
 その言葉に吹き出したのは一真だ。
「確かにな、それにだからこそ、自分がいたって証を残さずにはいられないのかもしれないな」
「それは実際正しくて、彼女が関わっている事件については、近くから水晶が発見されているわ。
 そして澄香がマナチェイサーを扱えるようになったから。
 これからは彼女の干渉に気づけるようになった」
 遙華はそう澄香を見つめて告げる、そんな二人にアルトが誌面を配り始めた、ほかのみんなにも、それは楽譜だった。
「そういえばガデンツァは私のことが面識あるのかな?」
 それはゲームの世界での話、アルトには彼女に聞いてみたいことがあった、あの世界は英雄と能力者が分離してしまう世界だった、そこで見た者が自分の英雄の姿のはずだ。
 アルトは自分の英雄の姿を知らなかった。
「ちなみにこれは?」
「これは、研究所から持ち出した楽譜を綺麗にしたものなんだ。
 欠損も大きくて二割はあたしの想像で埋めてるけど、結構曲っぽくはなったよ」
 澄香が頷いて告げた。
「すごいねこれ」
「あたしじゃみんなの役に立てないけど……でも、…………あいつを止める事はあたしにも出来る。この楽譜からなんか感じるんだ……なんていうか、……痛みが……」
 その言葉に芽衣は視線を伏せた。
「これは後でアルトに引いてもらうよていだから」
 そう遙華は告げた。
「あとは、ガデンツァを考察するうえで欠かせないのはルネとガデンツァの関係です」
 燃衣が告げると蘿蔔が答える。
「あとは、erisuさんですね……」
「erisuさんとアシャトロスさんの世界の伝承についてまとめてください
時代によって伝承に違いがある可能性もありますし。あと二人の年代の差もわかったら教えて欲しいです」
「わかったわ、その内、アシャトロスに逢いに行く予定があるからその時聞いてみる」
「ガデンツァは言いました。自分はルネではない、ルネと同じ存在ではない。
 そして楽園の管理者を知っているような口ぶりでした」
「アーシェさんと言えば、あの事件で見えた映像」
 澄香は記憶していた、希望の音で倒れる、アーシェの世界の人間達。
 そしてあのドロップゾーンに残されていた伝承。
「世界全てに愛され終わりを担う……それはいったい、何を意味しているんでしょう?」
「……それが、滅びのうたの所以であることは確かなんじゃないでしょうか」
 燃衣は告げた。やはり希望の歌はもともと滅びの歌だったのだ。
「けれどボクは滅びの歌の派生形で、みんなの歌で救われました」
 イリスが告げる。
「どんな絶望でも、人の思い出希望に変えられる」
 澄香は二つの水晶を握りしめてそう告げた。
「その歌についても少しいいですか?」
 蘿蔔は言葉を続けた。
「ルネさんが、なぜ壊れたのかずっと考えていたんです。
 歌で壊れたなら、ガデンツァはなぜ歌っていて大丈夫なんでしょう」
 それに同意するイリス。
「それについてはお姉ちゃんが言ってました、ルネがガデンツァのスキルを全部使えないのに関係があるんじゃないかって」
「私は、彼女の正体は音や霊力とかで実体はなく、体は依り代。酷使すると壊れるからなんじゃないかと思ってます」
 蘿蔔も頷いてイリスと語り出した。
「器の性能によって、ガデンツァおよび、ルネは大きく力を制限されるってこと? それは十分に考えられるわね」
 遙華はそう結論付ける。
「そう考えるとルネさんとガデンツァの関係に説明がつくんです。
 新たな体を作り乗り換えたは良いものの、捨てたはずの体が動いた。
 それがルネさんとか?」
 遙華が口を開いた。
「盤上をひっくり返して考えると、ルネの行動は全てガデンツァの不利益になっているのよ、というか、不利益になっているから今必死に消そうとしている。
 彼方の診療所の件、あの愚神ルネは、きわめてルネに近い人格だったと思っているわ」
 燃衣と澄香は頷いた。
「あれはきっとルネの模倣なのよ、彼女があなた達の心にルネがいることを知って、疑いを持たせたかったはず、それは失敗に終わったけどね」
 事実、真相が明らかになる前はルネを疑った者もいるはずだ。
「そうですよね、私も本物のルネさんにはお会いしたことはなかったですけど、とても優しく、労わってくれたのを覚えています。
 それに大規模の時ガデンツァの中にルネさんがいた気がしたから、信じられます」
 それはイリスを取り戻すために、澄香たちが結託して歌った一件のこと。
「ええ、ボク聞きましたから、ルネさんの声でした」
 イリスが拳を振り上げた。
「だったら、神月の第1フェーズで起こった広範囲の音響く護石の振動、ガデンツァの胸の発光。
 あれなんだろう? 無関係じゃないよね?」
「胸の発光、あれはガデンツァが首にぶら下げているオリジナルルネの破片よ」
 遙華がカメラの映像を電子黒板に大きくうつす。
「春香から奪ったものね」
「……ルネさんこそ、真贋の真?」
 燃衣が静かに告げた。言葉を続ける。
「最近思うのは、人を絶望させたいのは憎悪ではなくて、心や人の強さを証明したいんじゃないかなって」
「あなた、ガデンツァの策略にはまって、頭がオーバーヒートでもした?」
 遙華が驚いてそう告げた。
「いえ、至って冷静ですよ、ルネさんの偽であっても、ルネさんの本質には逆らえない、だけどそれを否定したい、彼女自身も何か大きな存在に作られたとか」
「じゃあ、あの化物以上の化け物が後ろに控えてるっていうのか?」
 一真がげんなりした表情で告げた。
「それはあまり考えたくないわね、というより、ガデンツァが『作れる』ってなった時点で絶望しかないわ」
「ルネさんについて、もう少し考察と報告いいかしら」
 そう沙耶が手を上げた。
「私は、主にガデンツァの目先の目的について、提案をさせて貰おうかしらねぇ。
あの辛気臭い研究所から盗み出したデータによると、ルネは心がなければ作成は出来ない。
その心っていうのは、つまる所脳がないと無理って事だったわね。」
「ええ。間違いないわ」
「まぁ、脳に興味を示しているのなら話が早いわ。
 グロリア社の研究チームに私も参加させて貰っているELIZAのプロジェクト。
 食い付くとすれば、そこだわ。
 グロリア社においてAIの開発に成功したと偽の情報を大々的に報道し、ダミーの会場にて発表会をセッティング。
 ガデンツァの出方を伺う、といった感じねぇ。
 上手くいけば、有利な状態で迎撃が狙えるわ」
 そして一つ息を吸い込んで、意を決したように沙耶は告げる。
「さらに、ELIZAの未完成のプロトタイプにウィルスを仕込み、わざとガデンツァに奪わせておく」
「それはまずいですよ!!」
 燃衣が飛び上がって告げた。
「いえ、有効な手段ではあるわ、本物を使わないのであればぜひとも実行に移したい」
「俺も一つ考えがあるんだ」
 そう一真が手を上げる。
「あいつ感情的な面があるから、それに合わせてルネ関連のイベントでも開けばきっと冷静さを忘れて乗ってくる」
 その言葉に場の雰囲気がいくらか明るくなる。
「それもありね、どう澄香、アイドルイベントとかやれる?」
 そう遙華は澄香に声をかけた、しかし彼女の表情は暗い。
「そうだね、どうかな。私だけならいけるけど」
「……澄香」
「ルネと言えば一つ話しておかないといけないことがあります」
 イリスが場の空気を切り裂くように声を上げる。
「ルネクイーンのことです
『主様がリンカーをぶち殺す目的で打たれた三種の手の一手です』
 そう彼女は言ってました。手ごま使い捨て戦法だと捌き切れないから副官が欲しいのかな?
 って思ったけどボードゲームの独断がホントなら勝手に情報流してなんか駄目っぽいし
 ……現状は三つの切り札の一つどころかノイズかなー」
 イリスは考える。戦闘以外の目的であれば、あとはなんだろうかと。
「一から作るのが面倒だから一だけ作ってあとは勝手に育つ、みたいな?」
「切り札と言えば、ディスペア、たぶんそう?」
 蘿蔔は告げた。
「実はわたし、梓さんは以前会ったことがあって。怪しいので声は自分からはかけなかったし、彼女からもなかった。彼女は本当に梓さん? 私の事覚えてないのかな?」
「そうなると事件の周辺にいた人たち、音楽関係の人たちも気になりますよね」
 澄香は言った。
「そうだ、ECCOやリリアさんの周りに不審な影はなかったわ、ついでに透歌の周りにも、もうガデンツァの影はない」
 遙華は澄香に調査を頼まれていたことを思いだし報告する。
「透歌さんの時も、ガデンツァの情報拡散能力には驚きました、透歌さん悪いことしてないのに、あんなに責められるなんて思わなかったです」
 蘿蔔は言った。
「この世界の技術に適応してきている気がする」
 一真が答えた。。
「それに、言葉の力も強まっているような気もしますね」
 澄香は告げる。
「希望の音を取り返すために動き始めたふしがあります。これからはもっと警戒を」
 次いで燃衣が資料を配った。
「警戒で思い出しました。ガデンツァの戦闘パターンについて分析しましょう、まずあいつは術式の制御に腕を用い、視界に頼ってます」
「そして遠距離攻撃に弱い?」
 杏奈が告げた。芽衣も同意する。
「遠距離攻撃を提唱します、近距離部隊は遠距離攻撃の皆さんをガード、そして撤退しようとしたガデンツァを抑える役に回れば」
「それはどうだろうな」
 一真は苦言を呈する。
「あっちはもうすでに対策済みだと思うぜ、それに同じような優位なシチュエーションにあいつ、立たせてくれるかな、魔法も通じにくいなら接近戦を挑むしかないし」
 そうため息をついて一真は言葉を続ける。
「もし、俺だったらその隙を使ってサンダーランスのような問答無用の術で楔を打ち込むけどな。この前みたいに」
「グロリア社に魔法攻撃力を物理攻撃力に変換できるAGWを作ってもらいましょう」
 杏奈が言った。
「うけたまわったわ」
「AGWと言えば、擬態ルネ、小型ルネを看破する手段も欲しいな」
 一真が告げる。
「それは、ルネにトリアイナが通じた現象を利用してなんとかならないですかね?」
 燃衣がそう遙華に提案する。
「少し猶予を頂戴、それにしてはできるとはおもうけど……」
「擬態ルネはすぐにわかるんじゃないですか?」
 芽衣はあっけらかんと告げた。
「ルネは愚神、もしくは従魔なんですよね? ナイフとかで髪や爪をちょっと切ってみればわかると思います」
「それは使えるわね」
「最後にもっとも重要なのはシンクロニティデスの対策です」
「それにしても、ガデンツァの技の名称が長いです」
 イリスがそうぼやくと遙華は全員に資料を回した
「そう言えばコードネームについて、申請を受けていたわね、こんな感じでどうかしら」
ガデンツァ→《終音》
ルネ・クイーン《ルネQ》
ドローエン→《風音》
アクアレル→《水音》
シンクロニティ→《死音》
ミラーリング→《鏡音》
ヴァリアメンテ→《邪音》

 そのコードネーム表を受け取って燃衣は改めて話を始める
「では死音について。これは二種の振動を同時に放つ技なんじゃないでしょうか。物理によってタンパク質の分解、そして霊力によって固有心振動での分解」
「だから、物理、魔法両ダメージなのね」
 杏奈は頷いた。
「反作用の波で共鳴時の無敵化を打消す? 共鳴時の霊的防御力を消失させ物理分解する?」
 混乱し始める燃衣。それに遙華は答える。
「それについてはサンプルが皆無だから何とも」
「大型ライヴス可視化機なんて作れませんかね? もしくは脳波測定設置」
「そうね考えてみる」
「死音については。対象の変更で無効化できるかもしれないですしね」
 イリスは告げた。
「それについても仮説ね、まだ断定はできないわ」


    *    *

 一度口を開けば彼女に対する意見がせきを切ったようにあふれ出す。
 まだまだ議論は終わりそうになかったが、運び込んだ電子ピアノでアルトによるガデンツァの楽譜の再現が行われた。
「イリス、これ」
 遙華は澄香の膝の上に座るイリスへと、楽譜の原本を差し出す。
「しばらく貸すわ」
 そしてアルトは念のため共鳴、その指を華麗に走らせていく。
 結論から言うと、何も起きなかった。
 表向きは。
「なんだろうこれ、不安になる」
 杏奈は胸を抑えた。そして幻想蝶も。今までそばに確かにあった温かいもの、それが徐々に冷たくなっていくような感覚。
 その旋律に芽衣は瞼を下ろす。
「もがいてるような、何かを泣きながら求めてるような、そんな印象を受けます。もし止める事ができるなら止めたいけど、難しいでしょうね」
「これは、リンクレートが0になっていく感覚と似ています」
 イリスが冷や汗を浮かべた。そのことの重大さがわかったのだろう。
「……じゃあ、この曲の完成系って、リンクレートの低下か? それが切り札の一つ?」
 一真は唖然とつぶやいた。
「どういうことだ?」
 アルトはそう言葉を失う一行に問いかけた。
 その部屋の隅で、澄香は遙華と話をしていた。
「グロリア社の例のコンテナどうでした?」
「あれについてはロクトが……」
 その時扉が開いてロクトが入室した。まるで話を最初から聞いていたかのように答える。
「あのコンテナはダミーだったわ」
「え?」
 澄香は思わず聞き返す。
「材質と、あとは振られているシリアルナンバーが絶対ありえないものだったの。だから、私達を陥れようとする陰謀ね」
 そう告げるロクトの瞳を澄香はじっと見つめていた。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 痛みをぬぐう少女
    北里芽衣aa1416
    人間|11才|女性|命中
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 御屋形様
    沖 一真aa3591
    人間|17才|男性|命中
  • 譲れぬ意志
    美空aa4136
    人間|10才|女性|防御
  • 残照と安らぎの鎮魂歌
    楪 アルトaa4349
    機械|18才|女性|命中
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