本部

奴らの攻勢は虚か実か

岩岡志摩

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/11/08 16:29

掲示板

オープニング

●包囲される都市
 寒風吹き荒ぶシベリアの平原に、複数の方角から無数の異形達の咆哮が轟いた。
「従魔達の大部隊、各方面より出現し現在移動中! 大地が埋まっています!」
 偵察に出たロシア軍の1部隊が、大地を埋め尽くすようにして進撃してくる膨大な数の従魔を視認し、慌ただしく司令部へと報告する。
 ここ数日降り続く雪に彩られ、一面の白となったシベリアの雪原を埋め尽くして進撃してくる従魔達を、無人偵察機越しに偵察車両から目の当たりにした兵士が悲鳴に近い叫びをあげた。
「地面が動いている! 途方もない大群だ!」
 大地を押し潰し雪煙と咆哮を上げて巨人型従魔がゆっくりと進み、その周囲には鳥にしては大きすぎ、甲高い鳴き声を上げる鳥型従魔が旋回し、その足元と後方からは槍や小銃を構える人型の従魔達が、巨人に従う兵士達のように整然と積雪を蹴立て、白い大地を席巻する。
 だがこれらもこの場に集った種々雑多な従魔達の一部に過ぎず、従魔達はなおも数と種類を増やしてある方角へと進撃を続け、先の偵察隊員が部隊全てを潜ませながらもその方角にあるものに思い至り、決死の連絡を続ける。
「従魔群、集結し大攻勢開始と認む。敵群の進撃方向は、都市スルグト!」
 偵察隊の連絡を受けたロシア連邦軍は、周辺にいた部隊をかき集め、複数の部隊を都市スグルトの守備部隊と合流させると共に、H.O.P.E.へ救援要請を行い、その後スルグトに殺到し都市を包囲した従魔達と対峙する。

●疑念と対処
 既に都市スルグトではロシア軍と、ロシア軍より救援要請を受け派遣されたH.O.P.E.のエージェント達が連携して都市防衛にあたっていた。
 この都市へ派遣される前は偵察役だったポルタ クエント(az0060)が今はオペレータ役を務め、集めた情報を整理分析していたが、その内容から不審に感じた事が2つあった。
 1つめは現在スルグトを包囲する敵の動向だ。
 雲霞のごとくこの都市へ群がってきた従魔達だったが、包囲こそしたものの、それ以降は巨人型従魔が耳障りな咆哮と気勢を上げる中、積極的に攻め寄せてこない。
 せいぜい都市から逃走を試みる住民達がいれば襲いかかる程度で、大多数の従魔達は戦闘に参加せずただ都市を遠巻きに囲むだけに終始している。
 2つめは、恐らくこの従魔達を統率しているであろう愚神についても、つい最近何の前触れもなく1体の愚神が都市の中に現れ、街中で暴れている以外の動きが確認できない。
 この一連の動きにポルタはH.O.P.E.上層部と連絡をとり、敵の不審点を報告した上で、より詳しい敵の動きを探るための依頼を出すことを求め、許可を得た。

●敵の次の動向を
 H.O.P.E.上層部より依頼を出す許可を得たポルタは、本来の偵察用に予め持参してきた大量の発信機を、自分と同じくこの都市へ派遣されてきた『あなたたち』の前に並べ、新しい依頼内容を説明する。
「これから皆様にお願いしたいことは、この発信機を今この都市を取り囲む従魔達に取り付ける事で、敵の群れが今後どこへ向かうのか探る事です」
 ポルタの説明では、現在都市内で暴れる愚神に関しては現場が混乱し情報が錯綜しているので断定はできないが、包囲する従魔達に、数にものを言わせて都市に攻めかかる気配が見られないことから、一連の愚神や従魔達の動きは、より大がかりな何かの活動を隠すための大規模な陽動の可能性があるという話だ。
 そしてその何かの活動場所は、今ここを包囲する従魔達が包囲を解いた後、向かう先である可能性が高い。
「既にこの依頼は上層部より認可が下りています。これから増援として包囲網の外から駆けつけるエージェントの方々にも私から改めて内容をお伝えします」
 ただ上層部は一方で一連の従魔達の行動が、防戦するH.O.P.E.やロシア軍に包囲は見せかけだと錯覚させ、油断させたところで本格的に都市へ攻めこむための欺瞞行動の可能性もあるため、この依頼にエージェント達を多く割くことはせず、敵にこちらの意図を悟らせないことも兼ね、人数を絞って活動するよう指示があり、この人数での募集となった。
 
●探るため
 用意された発信機は、一見すると握り拳大程度の大きさの注射器のように見える。
 ポルタの説明では、共鳴したリンカーが使用しても壊れない程度の強度はあり、先端部の太い注射針のような突起部分を従魔の体に刺す要領で突き立てる事ができれば、その瞬間叩きつけた突起部分より強力な凝固剤が周囲に広がり発信機を固定すると共に、位置を知らせる信号の発信を開始する仕掛けが施されているとのことだ。
 同じ種類が増援として外から来るエージェント達にも配布されるという話だが、発信機は多数用意されているので1人で複数個携帯する事も可能だ。
 この発信機は使用者の手から離れた後、位置を報せる信号をある程度の期間送り続けるが、比較的頑丈とはいえ、愚神や従魔による攻撃はもちろんだが、通常兵器の攻撃を受けても壊れるため、敵に発信機の存在を気付かれないよう、どの従魔のどの箇所にどう取り付けるかが重要となる。
 なおロシア連邦軍に協力を打診したところ、この都市を守る現地指揮官は妙に素気ない態度をとり、現在都市の防衛に手一杯の状況なので、『あなたたち』が発信機取り付けや従魔達に突入する際の援護攻撃、及びロシア軍の空陸各機を都市の外へ押しだし従魔達の動向を追跡させるなどの要請には応じられないとのことだった。
 それでも現地ロシア軍の兵士達自体はH.O.P.Eに友好的な態度を見せていたので、ポルタは都市内外のロシア軍各小部隊と無線で連絡をとり、協力してくれる様粘り強く交渉を続ける。
 その結果、都市内や近隣に展開中のロシア軍の一部の部隊から、予め発信機取り付けが終わる時間帯を教えてくれれば、包囲する従魔達の強さを推し量る威力偵察の名目で、その時間帯に短時間ながら『あなたたち』が敵群の中より脱出する為の援護射撃と退路の確保をしてくれるとの約束を取り付ける事ができた。
 ただし発信機を取り付ける数を増やすあまり、予定より発信機取り付け作業に時間がかかった場合、援護を受けながら脱出する機会を失い、自力で退路を確保する必要が生じるため連携は必須だ。
 活動時間を短くして発信機をとりつける数を少なくすれば、活動後の脱出は容易に行えるが、敵の動きを確実に追跡できる確率は下がる。
 逆に活動時間を長くしてとりつける発信機の数を多くできれば、それだけ敵を確実に追跡できる確率は上がるが、自分達が敵群の中から脱出できなくなる危険が増す。
「その見極めや活動時間の設定は皆様にお任せします。私達もできる限り皆様をサポートいたします」
 各所との折衝を続けるポルタが『あなたたち』にそう言って頭を下げる。
 こうして敵の動向を探るための依頼が『あなたたち』の前に示された。

解説

●目標
 自分達の設定した活動時間の中で少しでも多くの敵に発信機をとりつける。
 今回行動できる選択肢は2つ。
 A:都市から出撃し近隣の従魔達に発信機をとりつける。
 B:増援として都市を包囲する従魔達の外側より進み発信機をとりつける。
 (敵撃破数が依頼成功度に及ぼす影響は小さい)

●登場
 都市スルグトを包囲する無数の従魔達。今回発信機を取り付ける対象は以下の3種。

 バロズ
 体長4mの巨人型従魔。推定デクリオ級。略称災巨。巨体と身の丈もある武器を使うパワーファイター型。この中では最もタフだが動きは鈍い。気勢を上げているので目立ち、ロシア軍から最も砲撃を受けやすい。

 アルビエ
 全長1.7m。上半身は人間の女性、槍を握る翼と鳥の下半身を持つ姿の従魔。推定ミーレス級。略称妖鳥。空中に展開し地上の敵に一撃離脱を繰り返すスピード型。命中回避に優れるが脆い。

 ググザ
 全長2mの鬼型従魔。推定ミーレス級。槍や射程24sqの自動小銃を装備する(略称槍鬼、銃鬼)バランス型。3種の中では最も数が多い。

 ロシア連邦軍
 都市スルグトを守る軍隊。現地指揮官は何故かH.O.P.E.に素気ないが、末端にいる現地兵士達はH.O.P.E.に好意的。
 『あなたたち』が現地へ入り動く為の移動手段としてスノーモービル(2人乗り。雪上速度時速60km)と防寒具一式を人数分用意してくれる。

 状況
 西シベリア平原中央に位置する都市スルグトを現在無数の従魔達が包囲中だが、動きに不審な点が多い。現在ロシア連邦軍が防戦にあたり、H.O.P.E.もエージェント達を派遣し都市防戦の連携にあたっている。
 現地での予想交戦時刻は昼間。無線貸与済。曇天で雪混じりの風が吹き、視界不良のため飛行機による空輸や追跡は不可能。

 ■■■■■
 ■■■■■
 ■■街■■←B
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 ■■■■■
   
 街:都市スルグト。選択肢Aはここから開始。
 ■:従魔群

リプレイ

●出撃
 雲が垂れこめ吹雪が視界を遮る中、都市スルグトより複数の影が動き出す。
 ヴァルトラウテ(aa0090hero001)と共鳴し、髪の一房を銀色に染め左目に蒼色を、体にヴァルトラウテの纏う鎧を自身の体に見合う形に纏う姿になった赤城 龍哉(aa0090)がスノーモービルを走らせ、自分を逃げた住民と思ってやってくる従魔群に向けフリーガーファウストG3を構え引き金を引く。
 龍哉のフリーガーファウストG3から飛び出したロケット弾状ライヴスが炎の尾をひいて飛翔し、着弾した場所から吹き飛ばされたググザは粉砕され塵と化す。
「ノルマは10体だ」
(やる気十分ですわね。良い事ですわ)
「ここでやれる事をやっとけば、巡り巡って俺達の役に立つだろうしな」
 都市を守るロシア軍上層部の反応に不審なものを覚えていた龍哉だが、兵士達自体は友好的だったので、できる事はやっておこうと気持ちを切り替えていた。
 なおもフリーガ―ファウストG3を砲撃して目標以外の従魔達を吹き飛ばし、従魔達の布陣に混乱を作った龍哉は途中スノーモービルを置き、手近なバロズという大型従魔のもとへ疾走する。
 伊邪那美(aa0127hero001)と共鳴し、髪と瞳に伊邪那美の色を宿す姿に変じた御神 恭也(aa0127)が、龍哉の砲撃で生じた混乱を活かし、スノーモービルを従魔達に近い位置まで走らせた後、その場で置き残して疾駆する。
(ねえ、こんなところに置いていって壊されない?)
(敵に見つかって壊されるか、退却時の援護射撃で壊されるかの差だ。都市に戻るときに使えれば儲けものと思っておけ)
 内から響く伊邪那美の声に恭也は秘匿も兼ね思念で応じ、ロシア軍より貸与された雪の迷彩を施した防寒具やゴーグルを装着し予め決めておいた配置へと移動する。
(一部の軍人さんの態度が変だったのが気になるね)
(現場で了承されても上層部はいい顔しなかったな)
 伊邪那美の疑念に恭也はそう応じつつスナイパーライフルを顕現する。
「詮索は後回しだ。今はやれる事をやるぞ」
 恭也はスナイパーライフルを宙に舞うアルビエに向け引き金を引くと、放たれた銃弾状のライヴスは正確にアルビエの翼の付け根を貫き、射抜かれた従魔は塵をあげ消えた。
(倒したら発信機を取り付けできないんじゃない?)
(遠くから発信機を撃ちこめるかの試し撃ちだ。倒しても本来の行動を隠せる)
 伊邪那美と恭也がそんなやりとりを心の中で交わす中、辺是 落児(aa0281)と共鳴し体の主導権を得た構築の魔女(aa0281hero001)はスノーモービルで雪原を駆け抜けつつ、ライヴス通信機「雫」で仲間達と連絡を取り合っていた。
「こちらの攻撃の威力や精度を推し量る威力偵察を兼ねれば、発信機の取付作業を隠しやすくなるはずです」
 当初は自身のPride of foolsのグリップに発信機を固定する調整をポルタ クエント(az0060)にも依頼したがうまくいかなかったため、幻想蝶に多数の発信機を入れ、ロシア軍上層部から貸与された雪上迷彩を施した防寒具や双眼鏡を装備し隠密性を高めていた。
 なお仲間達との相談で活動時間は夕刻までと決めている。
(……)
「そうですね。私達の疲労を鑑みて早めの撤退も考慮すべきでしょうか?」
 内からの落児の意志に構築の魔女はそう応じ、巧妙にスノーモービルを隠してググザ達の集う場所へ密かに忍び寄る。
 従魔達の包囲網の外側からも木霊・C・リュカ(aa0068)と共鳴し髪を深い緑色、瞳を赤茶色、肌を褐色とし身体の主導権を得たオリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)がスノーモービルを駆り、従魔達に近づいていた。
(さて。どこまでやれるかな)
「俺達と従魔達の動き方次第だな」
 内にいるリュカにそう応じ、イメージプロジェクターで雪上迷彩服の幻影を纏ったオリヴィエは時々双眼鏡で発信機を取り付ける従魔群を選んでいた。
「数撃てば当たる、ということわざもある」
(この集団全てが一つの場所へ移動するとは限らないしね。正確なデータを得る為に数は絶対必要だよ)
 内にいるリュカもオリヴィエに同意する。
 オリヴィエの操るスノーモービルにはユエリャン・李(aa0076hero002)と共鳴し、髪にユエリャンの色を宿し自身の理想像の1つに変じた紫 征四郎(aa0076)が同乗し、オリヴィエと役割分担して目標となる従魔群を探っていた。
「征四郎。構築の魔女から、威力偵察を装って発信機の取付を行ってはどうかと提案があった」
 ライヴス通信機「雫」で仲間と連絡をとるオリヴィエより征四郎に行動指針案が伝えられると、征四郎は頷き承諾した。
「こちらがあまりに従魔達を攻撃していなければ、別の何かをしていると疑われるかもしれません。あくまでここにいるロシア軍を助けに来たように見せておきたいです」
(取りつけた発信機を敵から隠しやすくなるかもしれんな)
 征四郎の内にいるユエリャンも賛意を示し『どの連中を狙う?』と征四郎に尋ねる。
 ユエリャンからの問いに、征四郎は宙を旋回するアルビエ達と地上で蠢くググザ達を指さす。
「レベルの低い従魔達の方が気付かれにくいかもしれません」
(数が数だ。あれだけいれば敵も発信機を見抜くのは難しかろう)
「敵の動向の把握に繋げましょう。大事になる前に」
 ユエリャンと征四郎がそんなやりとりを交わす中、オリヴィエがスノーモービルを止めた。
「いくつか試したいことがある。本格的な取り付けはそれからだ」
「わかりました。発信機取り付けはその後予定通り行いましょう」
 オリヴィエの言葉に征四郎はそう応じ、2人はスノーモービルを手近な場所へ隠し従魔達のもとへ向かう。
 ヤン・シーズィ(aa3137hero001)と共鳴し、白の装束を纏い表情に凛々しく引き締めたファリン(aa3137)の駆るスノーモービルの上では、ファリンがイメージプロジェクターで雪上迷彩を自身の服に投影し、支援を表明したロシア軍各部隊に向け、無線で天気予報の確認と自分達や都市より出撃した仲間達が退却に移るおよその時間帯や、援護射撃の手順を連絡していた。
(夕刻に向けて天候も荒れるなら、退却には好都合だ)
 ヤンはロシア軍から届く情報整理を手伝いながら、ファリンに助言を送る。
「情報ありがとうございますわ。つきましては皆様方からの援護射撃の前に一度私の方へご一報を下さいませ。私の承諾の後、スルグトへと退却するお味方への援護射撃も同時期にお願いいたしますわ」
 ファリンは通話先にいる各部隊へ自分達だけでなく都市から出撃した仲間達への援護射撃の時期も依頼して回り、ファリンの根回しでロシア軍各部隊は、エージェント達への援護射撃や支援攻撃を余裕をもって準備する事が可能になった。
 リーヴスラシル(aa0873hero001)の世界の作法に則り共鳴して鎧とティアラを形成し、リーヴスラシルを胸甲部分を飾る赤い宝石に変えた光の姫騎士姿となった月鏡 由利菜(aa0873)は、ロシア軍より貸与された雪上迷彩の防寒着を纏い隠密性を高め、ファリンのスノーモービルに同乗していた。
(ユリナ、どう思う?)
 ライヴス通信機「雫」で仲間達と情報交換していた由利菜の内より、リーヴスラシルがロシア軍上層部に垣間見えた不審な動きを問う。
「恭也さん、構築の魔女さんも現場では了承されても確認を入れたロシア軍上層部よりいい顔をされなかったそうです。ロシア軍上層部に何かが起きていると考えるのが妥当でしょう」
 仲間達より集められた情報を整理分析した由利菜はリーヴスラシルにそう応じる。
 先日由利菜とリーヴスラシルはファリン、ヤンと共にロシア軍絡みの一件に関わり、そこで秘密結社シーカや愚神の関与が判明し、由利菜とリーヴスラシルはロシア軍へのシーカや愚神達の『侵食具合』を確かめるため、この依頼に志願した。
(ロシア軍の利用を企む愚神勢力が彼らだけとは限らん。答えを知る為にも目の前にある任務に集中するぞ)
 リーヴスラシルの言葉に頷くと、由利菜はオリヴィエ、征四郎にライヴス通信機「雫」を介し、自身の心眼を発動し敵の銃撃を払う際に従魔達へ発信機を取り付けてくれるよう連絡を入れる。
「ファリンさんもよろしくお願いします」
「畏まりましたわ、由利菜様」
 ファリンがそう応じ由利菜を乗せたスノーモービルを加速させ、従魔達のもとへと突っ走る。
 伊集院 翼(aa3674hero001)と共鳴し前髪に紺色のメッシュを1本纏い、ビキニアーマーや籠手、脚鎧を纏う姿に変じた葉月 桜(aa3674)もまたスノーモービルを駆り、発信機を取り付けられそうな従魔を探す。
「発信機はどの従魔につけようかな?」
(あまり無理はしないようにな)
「ボク、がんばるよ! つーちゃんも一緒にがんばろうね!」
(言われるまでもないが……桜。つーちゃん呼びは止めてくれないか)
 内からの翼の声に桜がそんなやりとりを交わす中、エージェント達の活動が始まる。

●試行錯誤
 まずAGWの形成する弓矢、銃弾状ライヴスに発信機を取り付け遠距離より発信機を従魔につける手法は未知の領域で、いざ試したところ放たれた銃弾状・矢状ライブスを受けた従魔が一撃で消滅するか、従魔との激突に耐えきれず発信機が壊れる結果に終わる。
(従魔の口の中へ放り込んだ発信機は無事作動してるかな?)
「従魔の口の中はどうだ?」
 伊邪那美の指摘に恭也はライヴス通信機「雫」で発信機の作動状況を調べているポルタへ、感情を抑えた物言いで尋ねたが、『反応はありません』との回答があり、エージェント達は以後遠距離からの発信機取付を止めた。
 次に従魔達の体に傷をつけ、傷口の中へ発信機を埋め込む活動に移るエージェント達だったがこれも問題が発生した。
「まずは脚を斬りつけ、傷口に発信機を叩き込む」
 既にバロズの1体へ迫っていた龍哉がアステリオスを顕現すると、雷光を纏う斧刃の軌跡を残して薙ぎ払われた龍哉のアステリオスは途中にあったバロズの両足を切断し、バロズは悲鳴と塵をあげ消えていく。
(発信機を付ける前に倒してどうするんですか)
「1撃で倒せるとは思わなかった。これは相当手加減がいるぞ」
 ヴァルトラウテからの指摘に龍哉はそう応じ、手加減しての攻撃と発信機取り付けを心がける。
 この場合龍哉のほうが強すぎたのだが、同じ事はオリヴィエ、征四郎、恭也のところでも起こっていた。
 恭也は接近戦で敵を傷つけ傷口に発信機をねじ込む為、静かに手近なググザの背後へ忍び寄っていた。
(この吹雪は俺達に取って吉と出るか凶と出るか、だな)
 今のところは自分達の動きや足取りを吹雪が消してくれるため、吉のようだ。
 そして背を向けるググザに向け、恭也は傷をつける程度の感覚でドラゴンスレイヤーを突きだすが、ドラゴンスレイヤーはそのままググザの背を貫き、ググザは塵と化し消える。
(ねえ、本当に手加減したの?)
(予想より敵が弱すぎた。あれ以上の加減は難易度が高くなる)
 伊邪那美からの問いに恭也が秘匿を重視して心の中でそう応じ、別のググザやアルビエのもとへと忍び寄る。
 その間にもオリヴィエのLSR-M110による妨害射撃と征四郎のスカーレットレインより放たれた銃撃が飛行するアルビエ達の行動範囲を狭め、槍を構えたアルビエ達がオリヴィエや征四郎に向けて急降下し、周囲にいたググザ達も槍先を揃えて攻め寄せる。
(桜。発信機取り付けより仲間達の援護だ)
「了解だよ、つーちゃん!」
 翼の助言を受け、紫の蝶の羽根のようなエフェクトを残し駆けつけた桜がドラゴンスレイヤーを振るい、ストレートブロウで加速した衝撃波をググザの1体に放ち、直撃を受けたググザは吹き飛ばされ、宙で塵と化し消えた。
 なおも周囲より殺到してくる従魔達だったが、その穂先がオリヴィエや征四郎より届く前に、迫る従魔達の動きが急激に鈍り、いつの間にかその周囲にライヴスの糸が無数に張り巡らされていた。
「オリヴィエ。従魔達の翼の付け根と背中に裂傷の刻み込みをお願いします」
 女郎蜘蛛を展開し従魔達を絡め取った征四郎が傷をつける場所をオリヴィエに頼むと、オリヴィエは頷いてLSR-M110の引き金を引く。
 オリヴィエのLSR-M110から放たれた銃弾状のライヴスは、征四郎が指定するアルビエの翼の付け根やググザの背中を撃ちぬき、従魔達は塵を噴き消えていく。
「脆すぎるな。発信機を埋め込むにはかなり手加減がいるぞ」
(銃弾がかすめる程度に抑えないと難しいんじゃないかな?)
 リュカがオリヴィエにそう助言する中、征四郎も未だ拘束状態にある従魔達に向け極力加減して孤月を振るい、淡い光の軌跡を残して閃いた孤月は、征四郎の望む威力より強くググザの背やアルビエの翼を斬り、従魔達は一撃で塵をあげ消える。
(我輩達が強すぎるのか?)
「そう考えるのが妥当でしょう」 
 ユエリャンの内からの呟きに征四郎はそう応じる中、やや離れた場所にスノーモービルを置いた由利菜、ファリン達もまた試行錯誤していた。
「稀にですが役立ちそうなデータも表示されますよ」
(さすがに敵の強さや耐久力は表示されんな)
 VR-RPGデータリンクに表示される映像上に、現れては消える無数のデータの中に時々『日没まで●時間』など役立つ情報も含まれることを由利菜やリーヴスラシルは確認しつつ、今は白の穂先と両翼の刃を持つ三叉の神槍グングニルにライヴスリッパーを纏わせていた。
「ファリンさん。従魔が気絶した後をお願いします」
「わかりましたわ、由利菜様」
 吹雪を隠れ蓑にした由利菜のグングニルが眼前まで迫っていたググザに放たれ、グングニルはググザの身を貫きライヴスリッパーが発動される間もなくググザは塵と化し消えた。
(ファリン。どうも他の仲間達も似たような状況のようだ)
「ありがとうございますお兄様。由利菜様、盾での攻撃に切り替えた方がよろしいかと存じますわ」
 ヤンの報告を受けファリンは由利菜へ手加減を刃のないもので試すよう進言し、迫りくるバロズに向けフリーガ―ファウストG3を咆哮させ、白煙の尾を引き飛翔するロケット状ライヴスがバロズに命中し、直撃を受けたバロズは悲鳴と雪煙を上げ倒れ伏す。
(選り好みは後だ。発信機を付けるなら今だぞ)
「わかりましたわ、お兄様」
 ファリンの攻撃力がバロズ相手には『最適』と見抜いたヤンからの助言に従い、ファリンは倒れ伏すバロズに駆け寄ると、無数にある傷口に複数の発信機を注入し、指圧のようなケアレイを送り傷口を塞ぐ。
 仲間達が試行錯誤する中、構築の魔女は順調に従魔達へ発信機を取り付けていた。
「囲まれたりしないように……と」
 飛来するアルビエの攻撃を防ぐとそのまま翼や脚部を抱え込み、突起を押し当て発信機をとりつけては解放する。
「連携が崩れないようでしたら、統率する個体を倒し混乱させる必要もありますが……」
 今のところ統率する個体は見当たらず、その間にも構築の魔女の背後からググザが小銃を撃ち放つ。
 発信機を庇う構築の魔女の体に弾着の火花が咲くが、構築の魔女は構わずググザに接近しその体を強引に抱え込み、その背に発信機を取り付けて解放する。
「人体に似た構造のようですし、肩甲骨あたりが有効のようですね」
 傷口を作りその中へ発信機を注入する手順を踏まず、単純に組み伏せた従魔達の体に発信機を取り付ける活動を続けた構築の魔女が、この時点で最も多く発信機を取り付ける事に成功していた。

●完了
 様々な文字を表面に重ねて刻んだ光翼の盾へとリーヴスラシルが改造したアイギスの盾でググザの攻撃を防ぎ、ライヴスの光の羽根を散らし、盾の横部分で傷つける要領でググザに反撃を続け、かなり力を加減したところで辛うじてググザを撃破せず傷を負わせる事に成功する。
(時間がない。急いで皆にも伝えろ)
「皆さん。かなり抑えた力加減かつ刃のない箇所で攻撃すれば撃破せず傷を負わせることができます!」
 リーヴスラシルの助言に従い、由利菜はライヴス通信機「雫」を介し仲間達へ傷を負わせる方法を連絡する。
(難しいように思えますけど)
「月鏡が努力して得た情報だ。やる価値はあるだろう?」
 由利菜からの連絡を受け龍哉はヴァルトラウテの問いにそう応じ、巨大な武器を振り下ろすバロズの攻撃を軽く躱して懐に飛び込み、アステリオスの石突と極力抑えた力加減でバロズを突く。
 龍哉の攻撃はバロズに傷を負わせるがその体は消えず、その間に龍哉は持参した発信機をバロズに注入する。
(頭上から従魔が来ますわ)
「そいつは邪魔だ」
 ヴァルトラウテの指摘に龍哉はヴァリアブル・ブーメランを顕現して襲来するアルビエに向け投擲し、ヴァリアブル・ブーメランは空を駆けあがり、アルビエの体を両断して塵に変え、再び旋回し龍哉の手に戻る。
「制空権をとられてるってのは面倒だな」
(ですが従魔達の優位ではありませんわ。それは敵の武器が換わっても変わりません)
 既にヴァルトラウテは周囲にいる従魔達のおよその攻撃力を把握していた。
 確かに数は多いが自分達にダメージを負わせるほどの敵は上空になく、ググザの銃撃も龍哉は全て弾き返していた。
「ヴァルの言う通りだ。コツは掴めたしさっさとノルマをこなすぞ」
 ヴァルトラウテの言葉に頷くと、龍哉は邪魔な敵をアステリオスで斬り捨て、バロズに対してのみ加減して傷を負わせ発信機取付けを再開する。
(バンドを設ければ可能みたいだけど、どうするの?)
(ハンデだ。そこまで手間がかかるなら普通に取り付けた方が効率的だ)
 伊邪那美からの問いに恭也はツッコミを含め心の中で応じると、手近にいるググザの背後から襲い、発信機を接着しては離れ、別の従魔のもとへと忍び寄る一撃離脱に徹し発信機の取付数を増やしていく。
「従魔達の武器は従魔自身のライヴスで作られた類のようですね」
 既に自身の取り決めた数の従魔達への発信機取付を成功させていた構築の魔女はググザ達の持つ武器にも発信機の取付や鹵獲を考えていたが、どの従魔も自分の武器をよく触れ回り、自分のPride of foolsによる2連射を受け、武器と共に塵となって消えていく状況を確認しそう呟いた。
(……)
「そうですね。工作を強行すれば発信機が敵にばれる危険が増えそうです」
 内にいる落児からの意志に構築の魔女はそう応じ、自分や仲間達の取りつけた発信機を隠すため、今はPride of foolsを空や周囲から近づく従魔達に向け発砲し、従魔達を倒し仲間達の活動を隠す。
 その頃にはオリヴィエ、征四郎達も由利菜、ファリン達の近くへ戦場を移し、征四郎の縫止で動きを止めた従魔達にオリヴィエがLSR-M110の銃底を加減して振るい傷をつけ、征四郎が傷口の中へ発信機を注入させウレタン噴射器で傷口を塞いで解放し、征四郎の弧月の柄がかなり加減され従魔を突き、傷をつけた時はオリヴィエが発信機注入とウレタン噴射器で固める連携を見せていた。
 それでも従魔達は次々とやってくるが、桜が立ちはだかりドラゴンスレイヤーを振るって防ぎ止める。
(桜。発信機の取り付けは仲間に任せて、邪魔な敵を排除するぞ)
「そうだねつーちゃん。ボクはボクのできる事でがんばるよ!」
 内にいる翼にそう応え桜は雪原を蹴って跳躍し、従魔達の間隙へと着地すると桜目がけて周囲や上空からググザやアルビエの刺突が殺到する。
 対して桜はドラゴンスレイヤーを翻し、怒涛乱舞を発動しドラゴンスレイヤーを飛燕の如く周囲に旋回させた。
 旋回した桜のドラゴンスレイヤーは5条の剣閃と化し、4体のググザと頭上から舞い降りたアルビエ1体を薙ぎ払い、5体の従魔は周囲に塵の弧を描き消滅する。
 桜の奮戦に気圧されたのか、槍を構える従魔達が退き、入れ違いに小銃を構えるググザ達が周囲から集まってくるのを由利菜は見逃さなかった。
「後は任せて下さい、桜さん。オリヴィエさん、征四郎さん、ファリンさん、お願いします!」
 奮戦していた桜のもとへ由利菜がかけつけアイギスの盾を掲げると、由利菜はそう叫んで心眼を発動し、周囲に折り敷いたググザ達が小銃を撃ち放つ。
 四方から無数の機銃弾が弾幕となって由利菜、桜達に降り注ぐが由利菜の心眼はその全てを打ち払い、無力化して銃撃を続けるググザ達を引き寄せる。
 それを見逃す仲間達ではなく、まず征四郎が女郎蜘蛛を発動して周囲にライヴスの糸を張り巡らせ、銃撃を続けるググザや飛来したアルビエ達を絡め取る。
(動きを封じたな。後は)
「オリヴィエ。ファリン。サクラ。発信機取り付けを頼みます」
 内からのユエファンの声に頷きながら征四郎は後を3人に託し、オリヴィエがLSR-M110の銃口でアルビエの翼の付け根部分を極力加減して突いて傷をつけ、その傷口に発信機をねじこむとファリンが指圧のような形状のケアレイのライヴスをそのググザに飛ばして傷を塞ぐ。
(桜。ドラゴンスレイヤーの柄で加減して突いてから発信機を)
「わかったよ、つーちゃん!」
 翼の助言に従い、桜はググザの背後に回り込むとググザの背にドラゴンスレイヤーの柄をかなり加減して突き、傷を負わせた箇所へ発信機を注入し、そのググザにもファリンは指からケアレイを発射し傷を塞ぐ。
「あとはこいつだな」
 オリヴィエがウレタン噴射器を構え征四郎やファリン、桜に続きを促す。
 征四郎が発動した女郎蜘蛛が役目を終え、発信機取付をある程度進めたところでファリンの無線にロシア軍部隊から連絡が入る。
「援護射撃の時刻になったとの事前連絡でございます」
(天候の悪い今のうちに退いた方がいいと思うが)
 ファリンは内より届いたヤンの助言も含め、ライヴス通信機「雫」も使い周囲の仲間達へロシア軍から届いた内容を伝え、仲間達からの意向を確認した後ロシア軍各部隊へ援護射撃を要請した。
 
●その先
 ファリンからの連絡を受けたロシア軍各部隊が援護射撃を開始する。
 飛来する砲弾群を浴びた従魔達は強制的にオリヴィエ、征四郎、桜、由利菜、ファリンの周囲から跳ね飛ばされ、バロズ達も着弾の衝撃に後退し、オリヴィエが仲間達に警告後フラッシュバンを発動して従魔達を眩惑して動きを鈍らせ、その隙に征四郎、ファリンが無事だったスノーモービルを動かしそれぞれオリヴィエ、由利菜を同乗させ、桜と共にスノーモービルを走らせ従魔達の包囲を突破する。
 また都市スルグトからもファリンの連絡を受けた野戦重砲が一斉に咆哮し、飛翔した砲弾群が従魔達を乱打して押し戻し、龍哉と構築の魔女が残っていたスノーモービルに飛び乗り、従魔達が混乱する中を突っ走りスルグトへ帰還する中、恭也は手元にある発信機の突起を上に向けて並べ、雪を被せてから無事だったスノーモービルを走らせ都市へ帰還する。
(埋めないでつけて回ったほうが効果的だったと思うんだけど?)
「撤退中に目立ってどうする。包囲されて戻れなくなっていたぞ」
 伊邪那美からの問いに恭也はそう応じ、自身が敷設した『従魔自身に発信機を踏ませて付着させる』仕掛けがどうなったかポルタに確認したところ、数個は付着できたとの回答を得た。
(他の人達がつけた発信機はどうかな?)
「今のところ大丈夫なようだ」
 安全圏へ離脱後、双眼鏡で確認するオリヴィエに内からリュカが尋ねてきたが、オリヴィエが確認した限りでは敵に発信機の存在を気付かれた様子は見られず、リュカにそう応じる。
 同じく離脱した由利菜は共鳴を解き、リーヴスラシルと共にロシア軍部隊より提供された湯やポット、カップを使いロイヤルレッドの香りと苦みを味わっていた。
「さて、この後従魔達が退くといいのだが……」
「できる事は行いました。後は追跡の方に任せましょう」
 リーヴスラシルの呟きに由利菜はそう応じ、増援組のエージェント達と共に、都市に残った仲間達を気にかけながら帰路に就く。
 やがて都市スルグトより包囲していた従魔達が撤退を始めたとの連絡がH.O.P.E.にもたらされる。
 都市に残っていたロシア軍やエージェント達にも行動の自由が戻り、依頼を終え都市に残っていたエージェント達も無事帰還できた。
 ポルタの話では、エージェント達が取りつけた発信機の数は全体の動きを把握するには少し不足しており、発信機の一部の信号が消えた場所がシベリアドロップソーンであることまでは把握できたものの、それがスルグト攻略に失敗した従魔が逃げ込んだためか、計画通りの撤退なのかまでは判断がつかないとのことだった。
 ただ参加したエージェント達は共通の推測を抱いていた。
 シベリアで何かが起きようとしている、と。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
  • 危急存亡を断つ女神
    ファリンaa3137

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 全てを最期まで見つめる銀
    ユエリャン・李aa0076hero002
    英雄|28才|?|シャド
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 危急存亡を断つ女神
    ファリンaa3137
    獣人|18才|女性|回避
  • 君がそう望むなら
    ヤン・シーズィaa3137hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 家族とのひと時
    リリア・クラウンaa3674
    人間|18才|女性|攻撃
  • 歪んだ狂気を砕きし刃
    伊集院 翼aa3674hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
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