本部

【秋食】キノコ狩りはキケンな香り

高庭ぺん銀

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2016/10/30 20:07

掲示板

オープニング

●従魔です! 従魔なんです!
 ここは日本のとある山。夫婦がキノコ狩りデートを楽しんでいた。周囲に似たような目的の人々がいないのは、ここがHOPEの所有する私有地だったからである。夫婦は普段、能力者と英雄として共にミッションをこなす戦友でもある訳だ。
「君の手元にあるの、綺麗なキノコだね」
「あ、本当ね」
 そう言って女がキノコを収穫した瞬間、異変は起きた。
「綺麗じゃなくてすいませんね! そんなに綺麗だと思うならキノコと結婚すれば?」
「おい、どうしたんだ?」
 男は収穫したばかりのキノコを持って立ち上がる。
「誰がキノコと結婚すんだよ! じゃあおまえはサツマイモとでもけっこんしとけよ、このイモ女!」
 夫婦はカップラーメンが作れるほどの時間、低レベルの罵り合いを続け、やがて我に返った。
「何やってたんだか。行こうか」
「そうね」
 道中、また些細すぎるきっかけで喧嘩をしたり、唐突に新婚の気分を思い出していちゃついたりしたが、彼らは何事もなかったかのように生還したのだった。『生還』なんて言葉が大げさすぎるくらいに。
 どうやら彼らがリンカーと英雄の夫婦だったのが幸いしたようだ。不運だったのは、あまりにも害がなさすぎてHOPEへの報告が遅れ、もう一組被害者が出たことくらいだった。山登りが趣味と言う体育会系の能力者と英雄は、人気のない山で3分間の恋物語を演じた
がそれがきっかけでお付き合い……なんてことにはならなかった。彼らは男同士だったので。

●キノコ狩りに行こう
 今回のミッションは『キノコ狩り&野外キノコパーティ』という遊びにしか聞こえない代物だった。
「キノコが無料で食べ放題、おまけに給料までもらえるんですか。うらやましいなぁ」
 荷物を届けに来たオペレーターが言った。キノコが大好物である彼も志願したが、非リンカーであるという理由ですげなく却下されたらしい。
 そう、問題は一点のみだった。その山では現在イマーゴ級の従魔が大量発生している。従魔はキノコに寄生するという習性を持っていて――寄生されたキノコに接触すると性格が豹変してしまうのだという。
「ま、むしろ被害を受けてくれちゃった方が、報告書が充実しますからね!」
 彼は無責任なことを言う。まあ確かに、自分たちは適当に採って食べて馬鹿話を報告するだけなのだ。珍しいタイプの従魔と言うことで研究畑がデータを欲しがっているらしい。
「じゃあ、これ。キノコ狩りに必要そうなもの一式とバーベキューセットです。楽しんできてくださいねー」
 エージェントたちは山中へと旅立った。この先に待っているのは悲劇か、喜劇か。まだ誰にもわからなかった。

解説

【予定】
キノコ狩りと野外キノコパーティ

【種類】
1、怒キノコ
赤いキノコ。味はしめじっぽい。ちょっとしたことで怒りを感じるようになる。極端な話、褒めてもどうにかして怒る。2人以上揃うとケンカになること間違いなし。小学生並みの怒り方なのか理知的な怒り方なのかはその人次第。

2、恋キノコ
ピンクのキノコ。味は舞茸っぽい。最初に目が合った人に熱烈な恋をする。恋に性別や年齢は関係ない。どんな行動をとるかは元々の性格次第だが、おとなしい人がとても大胆になることも。

3、言葉キノコ
青いキノコ。味は椎茸っぽい。正気だが、言葉遣いがおかしくなる。語尾ににゃん、赤ちゃん言葉、ネットスラング……etc。深層心理で求めているものなのか、誰かの影響か、はたまた全く心当たりなしなのか、それはその人次第。

4、酔キノコ
白いキノコ。味はエノキっぽい。みそ汁にぴったり。予測不能。いつもの酔いグセがでるかもしれないし、まだ見ぬあなたに出会えるかもしれない。

【キノコについて】
・従魔キノコは収穫した瞬間に胞子を飛ばす。胞子は微量で、収穫者本人にしか効果を与えない。
・1匹のキノコによる効果は3分間。放っておいても治る。
・キノコの効果は2つまで同時に発現するが、それ以降は新しいものに上書きされる。
・従魔キノコを食べてしまった場合、効果は30分となり、怒りなど、感情の激しさが倍増。
・効果が出ている時間は共鳴不可。また共鳴中はキノコの効果を受けない。
・キノコの影響下にあった時の記憶は、はっきりと残る。

【PLさんへ】
・どのキノコに当たるかを指定してOK。希望がない場合、MSがダイスで決めます。
・シナリオの後でHOPEによる従魔の一斉駆除を行うため、今回は従魔の討伐義務はありません。むしろたくさん遊んで被害を受けてくれた方が良いです。
・現場には数名の名無しエージェントがいるので、演出に用いても構いません。

リプレイ

●本日キノコ狩り日和
「わーい、キノコ狩り―♪ キノコ狩りだー! 楽しみだね、ジャックちゃん!」
 桃井 咲良(aa3355)がスキップせんばかりの軽い足取りで斜面を登る。
「キヒヒ♪ 確かに色々愉しそうな事になりそうだぜ♪」
 そもそも咲良は職員の話をロクに聞いておらず、普通のキノコ狩りだと思っているのだ。それを知っていて黙っているのがジャック・ブギーマン(aa3355hero001)である、理由は「面白そうだから」だ。
「あ! 蛍丸くんにアルトくん! やっほー!」
 大きく手を振って駆け寄る咲良。楪 アルト(aa4349)は嬉しさが隠し切れない顔で手を振り返した。アルトもまた、このキノコ狩りの趣旨を勘違いしている。
「楽しみだな蛍丸! 誘ってくれてありがとな」
 大きなリュックを背負いウキウキという様子だ。
「べ、別にこれっぽっちも嬉しくなんかねーんだからな!」
 なのに言葉は素直じゃない。煤原 燃衣(aa2271)がくすりと笑みをこぼした。赤目 炬鳥迦(aa2271hero002)は仏頂面で彼の隣を歩いている。職員に頼まれて黒金 蛍丸(aa2951)と詩乃(aa2951hero001)が仲間に声をかけたのだが、それに応じたのが彼らだ。橘 由香里(aa1855)は「蛍丸が羽目を外さないか監視する」と言って依頼を受けてくれたという。相棒の飯綱比売命(aa1855hero001)がキノコにつられたという理由もあったのだが。
「この前の依頼でたけのこを殲滅したからのう! 此度はきのこ食べ放題じゃ!」
「あのね、いくらきのこ大好きって言ってもこれ食べるとアレな奴なんだけれど……飯綱比売、聞いて無いわね……」
 ストゥルトゥストゥス(aa1428hero001)が山の空気を大きく吸い込みながら言う。
「キノコ狩りにキノコパーティとか、まさに秋って感じで、こう……お腹が空くよね!」
 ニウェウス・アーラ(aa1428)も微笑んで頷く。
「食欲の秋、だね……。いいお仕事、取れたかも?」
「にしても、今回のは面白い依頼だねぇ。むふ、松茸を食べるチャンスかっ」
 彼女の想像を粉々に砕いたのは、ニウェウスの一言。
「無い、よ」
「え」
「……無い、よ?」
 がっくりと肩を落として彼女は言う。
「やる気ゲージがガクっと半分になったでゴザルよマスター」
「ちゃんと確認してない、ストゥルが悪いと、思う……」
 イリス・レイバルド(aa0124)は、妙に大人びた諦めの表情で言う。
「ただのきのこならよかったんだけどねー」
 そして隣の少女に視線を移す。
「よかったんだけどねー、……ルゥは食べたいの?」
「うん、ママも一緒に食べよ♪」
 ルゥナスフィア(aa0124hero002)は無邪気に返事をする。
「うん、お腹いっぱい食べてくるといいよ。ボクは食べないけど」
「たべないの? なんで?」
「食べたくないからかな……それより迷子になるといけないから手を繋いでいこうね」
 元気のないイリスをルゥは不思議そうに見たが、その一言でぱっと表情を輝かせる。
「うん! ママと一緒、ママと一緒♪」
 ルゥはつないだ手をぶんぶんと振って、鼻歌交じりに歩いていった。

●狩りのお時間です
 ニノマエ(aa4381)がひどく真剣な面構えで言い放つ。
「きのこは素焼きでも美味いが、数を食うなら薬味調味料を持参。ぽん酢、七味、しょうが、ゆず……」
「スイートチリにマヨネーズ?! こりだすとキリないからやめろ」
 相棒のミツルギ サヤ(aa4381hero001)もかなりノリノリだ。「我々が喰らい尽くすぞ!」と声を揃える。しつこいようだが、これからトリブヌス級にでも挑むかのような精悍な表情で、だ。
 彼らはいわば切り込み隊長。倒木、木の根、岩場、そんな当たり前のキノコ育成スポットは勿論、山中いたるところに目を光らせ、採りつくす構えだ。何せ相手は従魔なのだから。胞子がどうとかも気にしない。狩る、そして食う。それが彼の戦いだ。
「さあ! 食費を浮かしますよ!」
「ふむ、キノコか」
 気合の入った白神 日和(aa4444)と辺りを見回すアーサー ペンドラゴン(aa4444hero001)。彼らもまた主戦力と言えた。何しろ日和はきのこ関連の資格持ちだ。皮製の手袋と背負い籠が眩しい。ついでに山菜も取るため、アーサーはクーラーボックスを持っている。彼らにとってキノコはむしろ味方。貧乏こそが敵である。
「キノコ狩りって、キノコを退治するんじゃねぇのかよー」
「キノコを採って食うものだ」
 残念そうにいう大和 那智(aa3503hero002)に、東江 刀護(aa3503)が言う。那智の勘違いで参加した任務だが、せっかくだ。秋の味覚を楽しむのも良いだろう。
 まず酔キノコを発見した彼らは、2人揃って思い切りかぶりつく。
「普通のキノコだな。なんか酒っぽいカンジもするが」
「……俺、何か体が熱くなってきた」
 那智の顔がみるみるうちに赤くなる。
「何見てんだおまえ? 喧嘩売ってんなら買うぜ!」
 そう言うと電柱ならぬ、木の幹に蹴りを入れる。つまりベタベタの酔っぱらいである。
「お前、酒に弱かったのか!?」
 酒豪の刀護はこのキノコに対しては正気を保てた。暴れる相棒に組み付く。那智は首を突き出して木の幹にガンを飛ばしている。
「今のでふらつきもしないとはな。おまえ、なかなかやるじゃねぇか! こうなったら共鳴だぜ!」
「そんな状態でできるワケないだろ! お断りだ!」
 拘束を解いて那智が刀護を睨み付ける。酔っぱらいとの組手など本意ではない。さっさと捕まえておとなしくしてもらうとしよう。
 ジャックも見つけたキノコを収穫してみる。
「お、これか?」
「すごい、真っ青なキノコなんて初めて見たよ」
「うふふ♪ ……あら? 何かしらこの喋り方? 私らしくありませんわ」
 咲良は大きな目をさらに見開いたあと、盛大に噴き出した。
「あらあら? 咲良さん何かしらその反応は? 少々怒りが湧いてきますわ」
 咲良の耳を引っ張る。嗜虐的な笑みはいつも通りだ。
「痛い痛い痛い! だって違和感しかないんだもんー!?」
 ニウェウスとストゥルトゥスが収穫するのは大量に繁殖した赤と青のキノコ。怒+言葉。結果はこうなる。
「ちょっとストゥル! もっとちゃちゃっと回収するにゃん!」
「うるさいぽん! にゃんとか言っちゃって媚び媚び~? 属性盛りすぎぽぉん」
 腹を抱える相棒にニウェウスが頬を紅潮させる。
「う、うるさいにゃん!? ストゥルだって、語尾がおかしいにゃん! あ、おかしいのは普段からにゃぁん?」
 端正な顔を怒りでひくつかせ、わざとらしく小首を傾げる。
「やかましかしか!? ふぎゃー! こーなったらキノコのゲット数で勝負ぽぉん! 負けた方がDO・GE・ZA☆」
「ふしゃー! 受けて立つにゃぁん! 昨晩、私のおやつをつまみ食いした分までDOGEZAさせてやるにゃぁん!」
 取れば取るほど効果は長く続く。悪循環の発生である。はたから見るとちょっとだけ楽しそうな気もするのだが。
「なんでアイリスママはいないの!」
 別の場所にいたルゥも怒りモードに突入してしまっていた。
「ルゥ、お姉ちゃんは幻想蝶の中で見守っててくれてるから厳密にはいないわけじゃな……」
「イリスママのバカー! ルゥはアイリスママを探しにいくからね! いくからね!」
 どこに行くかは定かではない。
「ルゥ! また迷子になるから手を離すのは……ああ、すでに声が聞こえないほど遠くに……」
 最早キノコ狩りどころではない、イリスはルゥを追って木々の中を駆けだした。
 那智の酔いがようやく収まった。疲れたがまだまだ時間はある。刀護は新たなキノコを収穫する。
「これは赤? いや桃色か?」
「わぁ、あんな絶壁にキノコ発見っ☆ 待ってなさい! お腹の中で討伐しちゃうゾ♪」
 騒がしい声に思わず視線を向ける。
「ニノマエ☆ジャーンプっ! あれっ、届かない~?」
「可憐だ……!」
 可憐なわけがないのだが。
「……好きだ。俺と付き合ってくれ。ついでに恋の逃避行をしよう!」
「いきなりのドキドキチャンス? でもざーんねん☆ 俺のハートはあげられないのだっ♪」
 今更だがおかしくなっているのは口調だけなので、ニノマエ的には「いきなり告白!? すいません、無理です!」というようなことを言いたいようだ。
「待って!」
 現れたのは乙女オーラを放つミツルギ。
「やっぱり私、諦めないわ。あなたが好きなんだもの!」
「やばっ、ミツルギに見つかっちゃったよぅ~! バイバイっ☆」
「待てよ! お前を幸せにできるのは俺だ!」
 追いかけっこが始まった。そこだけならラブコメっぽくもあるのだが、足場が悪いのに結構なスピードが出ている辺り登場人物たちの屈強さが窺える。
「ヒャッハー! 俺と付き合えー!」
「ほ、ほたるまるさまぁ、たしゅけて……!」
 那智は那智で、暴れながら詩乃を追い回している。ろれつが回っていないのは彼女も酔っているからだ。
「ふっふっふ。坊やかわいいのう。うぶな顔してこういう色事にも興味深々なんじゃろ? ほれほれ」
 蛍丸は飯綱比売に腰を抱かれて顔を覗き込まれ、赤面していた。
「……ちょっと! 駄目よ! そんな! ああもう、いい加減にしなさい!」
 由香里が声を荒げるが、飯綱比売は何がツボに入ったのか大笑いしている。狐の耳と尻尾が飛び出しており、すっかり抵抗を忘れた蛍丸の頬を撫でている。
「いい加減にしなさいッ!」
 由香里のグーパンチが飯綱比売へ飛びかけたそのとき。
「どいてどいてー☆」
「こっちを向いてくれ! そして俺の胸へ飛び込むんだ!」
 ニノマエ、刀護、そしてミツルギが通り過ぎていく。
「んな、かったそうな胸はお断りです! ……あ、戻った」
「ワタシ、ニノマエイナイトダメダメデース。コノママダト……シチャイマース」
 ミツルギは走っている最中に言葉キノコの胞子を浴びたらしく、片言になっていた。しかも肝心なところだけ聞き来れないという酷い仕様である。
「もう、なんなのよっ!」
 由香里は苛立たし気に彼らを見送ったが、飯綱比売はキノコの効果が切れてあっさり蛍丸を解放していた。が。
「おお由香里ぃ、可愛い可愛い」
 視線がこちらに固定されたかと思うと、次の瞬間には捕まっていた。
「ちょっと今度は私!? 離して!」
「何! おぬし、わらわの想いは受け取れぬと申すのか!」
「怒る方まで!?」
 その頃、咲良は木に縛り付けられていた。ヤンデレ化したジャックの仕業だ。
「オレだけを見ろオレの声だけを聴けオレの存在だけを感じろオレだけが傷つけていいオレだけが殺していいテメェの全てはオレのモノだ」
「やめてよ~! このジャックちゃんなんか怖いよ~!」
 高笑いするジャックに足蹴にされながら咲良が助けを求めるのが由香里たちにも聞こえた。
「ぐるじい」
 こちらでは被害者アルトが飯綱比売の胸に埋まって呻いている。
「ゆ、楪さん……!」
 助けたい燃衣だが、女性相手に乱暴な手段はとれずおろおろしている。
「……こ……」
 由香里が何言か呟いた。
「こ?」
 飯綱比売がゆったりと首を傾げる。由香里の手には真っ赤なキノコ。シラフではどうにもできないと思ったのだろう。
「この馬鹿ああああああ! 人が黙っていればいつまでもいつまでもいつまでも! 貴方達全員、風紀の乱れで営倉送りにしてあげるわ! 覚悟しなさい!」
 山びこが由香里の言葉を反復する。「捕まえた!」、「飯綱比売はそこに正座!」という言葉が続き、各人の悲鳴も聞こえたが事態はきっかり3分で収拾した。
 少し下った場所ではイリスがルゥの捕獲に成功していた。
「イリスママ、どこに行っていたんだい? ひとりぼっちで寂しかったんだよ?」
「勝手に走って行っちゃったのはルゥでしょ。ていうかまたキノコ採っちゃったんだね。お姉ちゃんの口調でママ呼びってすごい違和感……」
 イリスは深々とため息を吐いた。
「日和、これは食えるか?」
 キノコの群生地を見つけたらしいアーサーが日和を手招く。彼はキノコをひとつ手に取って眺めている。
「ふ、ふふ……これで食費が浮きます」
 ニヤけながらそちらへ歩きだした日和が、すっと顔を青ざめさせた。
「あ、アーサーさんー!? それはツキヨタケですぅぅぅううううう!?」
 毒キノコだ。日和は思わず駆け出す。が。
「ふぎゃっ!?」
 派手に転んでしまった。
「い、痛いですにゃー……」
 アーサーは言葉を失った。日和はこの世の終わりのような顔をして、ゆっくりと相棒を見上げた。
「……にゃー?」
 日和がぷるぷると震える。自分の意思に反して出る語尾。そして口の中に残る椎茸のような風味。
「どうしたんだ、にゃ」
 気を使ってかアーサーは語尾を真似してくるが、余計にいたたまれないだけである。
「大丈夫か、にゃ……くっ」
 彼は笑いをこらえようと肩を震わせている。日和は滲む視界で時刻を確認した。まもなく昼食の時間だった。

●キケンなキノコパーティ
 山の頂上まで登ると開けたスペースがあった。バーベキューセットを下ろして準備をする。何も従魔キノコだけを収穫していたわけではない。日和やアルトの指導の元、安全なキノコも収穫済みだ。
「な、なんか、どっと疲れた……よ……」
「あー、うん。このキノコは殲滅すべきだわー。精神的に、こう、くるわー」
 いつもエネルギッシュなストゥルトゥスもニウェウスに同意する。
「キノコ狩りはもうしたくねー。マジ勘弁」
 那智はハイテンションの余韻かすっかり萎れている。
「本来はこういうものではないから安心しろ。ああ、俺は何ということを……!」
 刀護はフォローするが声が疲れている。穴があったら入りたい。
「採りたては絶品だな」
 一方、ニノマエはミツルギと共にキノコに舌鼓を打っていた。ある意味たくましい。
「美味い。実に愉快だ」
 『美味い』とはもしかして芸人的な意味での『オイシイ』なのか。ニノマエは呆れ顔をする。
「ミツルギ、素は禁止。おかわりはまだあるぜ」
 アルトは担いできた大鍋でキノコ鍋を作っていた。
「ど、どうよ……別に美味しいって言ってもらいたくて作ったんじゃねーんだからな!」
 ぷいっと顔を反らしつつ、蛍丸へ手渡す。一口食べた彼の表情がパッと輝く。
「おいしい! 良いお嫁さんになれそうだね! って何言ってんだろ僕」
「バ、バカじゃねぇの!」
 皆に口々に褒められてアルトのツンデレスイッチはオンになりっぱなしである。蛍丸はアルトの可愛らしい照れ顔から目をそらし、彼女の料理を口に運ぶ。
「もう一口……熱っ」
「慌てて食べるからよ。水飲む?」
「ありがとうございます、橘さん……あっ」
 受け取るときにお互いの指が触れ、蛍丸はコップを落としてしまう。
(あれ? 僕、どうしちゃったんだろう?)
 説明しよう。蛍丸は一口めの恋キノコでアルトに、二口めで由香里に、熱病のような恋をしたのだ。『キノコの効果は2つまで同時に発現する』ためだ。
「……あ、あの、こっちも焼けてきましたにゃ。よかったら召し上がってくださいにゃ!」
 未だ猫口調の日和が言う。性分なのか調理にかかりっきりの日和とそれを放っておけないアーサーに、気を利かせた職員が皿を持ってきてくれた。
「焼いてばかりいないで日和も食べろ、だそうだ。おお、これは美味そうだぞ。ほれ」
 アーサーに勧められるまま、おいしそうな焦げのある赤褐色のキノコを口に入れる。次の瞬間、カッと頭に血が上るのを感じた。
「あったまきましたにゃー!」
 アーサーが目を見開いた。普段の彼女からは想像もつかないような大声だ。
「この穀潰し!」
 アーサーもまた普段の堂々たる態度を失っている。
「アーサーさんがっ! 言い寄ってくる女性を無視するのでっ! そのしわ寄せが私にくるんですにゃっ!?」
「す、すまん」
「あと晩酌したいにゃ! 私、外見は16ですが、本当は22にゃっ!」
 どうせ費用はHOPE持ちだ。彼女の機嫌を取らなくては。
「日和、今日はたんと呑もうではないか」
「呑ませてごまかせると思ったら大間違いにゃ!」
 理不尽だ。怒りが収まるまで30分、耐えきれるだろうか。アーサーは不安と胸を痛みを感じつつ日和のグラスに酒を注いだ。
「あ、このキノコ焦げそう。食べちゃおうよ」
 親切心か食欲か――ストゥルトゥスが言う。彼女たちが食したのも混入していた従魔キノコだった。
「あはー……ストゥルぅ、なんかいい気持ちぃ」
 口調がふわふわし始めたニウェウスを見てストゥルトゥスは気づいた。
「……ん? こら、マスター。酔うのを食べたね?」
「あっるぇ、ストゥルも、酔うのを食べたのにぃ。ん? 酔うとマジメさん?」
「いや、そういう訳じゃ」
 ストゥルトゥスの頬をつんつんつつくニウェウス。普段とは攻守が逆転しているようだ。
「つまんなーい! 他の人に絡もぉ~♪」
 おぼつかない足取りで歩き出す。
「こ、こら、マスター!? 保護者として、それは許しませんっ」
 日和やニウェウスの異変に気づく者はいない。なぜなら、皆それぞれに取り込み中だったからである。
「イリスママ! イリスママ! ニノマエを家族にしようよ」
 長い間の後、イリスは「え?」と一声漏らした。正確には濁点の付いたような音で。
「何言ってるの、ルゥ? ……ニノマエさんだって困りますよね?」
 よりにもよって友人でもない相手だ。イリスはフードをかぶりおどおどと言う。駄々っ子そのものになってしまったルゥだが、大人ならば何か良い手を思いつくかもしれない。
「え? 何? 俺、難しいことわかんねえから!」
 しかしその大人は手遅れだった。
「醤油味うめえ。しかし塩も良い。どっちが正解なんだ。わからん!」
「きのこかわいいー」
 ついでにミツルギも。
「ママたちと一緒! ニノマエとも一緒! みんな一緒! なら家族になればいいんだよ! ルゥってばすごい!」
「ルゥ落ち着いて!家族ってそう簡単に増えてくものじゃないんだよ!」
 キノコ鍋は誰かが誤って――多分――入れたキノコによりピンク色に染まっていた。幼いルゥの恋心はこんな形で発現してしまったのだ。イリスは一人焦る。
(ただでさえ見た目がボクより大きいルゥが娘ってだけでよくわかんないのに! あらゆる意味でボクより大きい人にお義母さんとか呼ばれる立場になったらわけわかんなくなるし!)
 口ごもるイリスにルゥは焦れる。
「むぅ……いいもん! アイリスママに聞いてくるもん! アイリスママならいいって言うんだから!」
「待ってルゥ!  だからお姉ちゃんは……ああ、すでに遠くにいってるし」
 イリスはまたしてもルゥを追って駆けだした。
「てか炭これで足りてんの? もうちょっと火ぃおこせっての!」
「シロートはだまって食べてろにゃ! こっちは検定2級持ってるんですにゃ!」
 ニノマエに至っては日和と喧嘩をし始めた。丸焼きにしたキノコを口に突っ込まれる。
「むぐっ……意味わかんねぇ……! 何でキノコがこんなにうめぇんだよおお!」
 今更だが、彼が最初に食べたのは怒キノコで今食べたのが酔キノコ。30分足らずの間、怒りながら泣く運命にある。
 そして今まで穏やかにキノコ狩りを楽しんでいた男が覚醒する。燃衣は白いキノコを豪快に噛みちぎり、ぐっと拳を握る。
(色恋デバガメパパラッチと揶揄されても構いません……)
 蛍丸の由香里に対する反応を見て確信したのだ。
(彼の恋は全力で、全力で! 全身全霊でッ応援し、その勇姿をスマホカメラに収めねばならないッ)
「【暁】の男児たるもの勇敢で、アグレッシヴであれ!」
 燃衣は立ち上がる。
「という訳で! 王・様・ゲ・ェ・ムのお時間ですっ!」
 キノコ料理を避け、おにぎりを食べていた由香里は怪訝な顔をした。
「何言ってるの?」
「うるさい! 隊長命令だ! 全員このダイスを振れー!」
 ちなみに隊員は蛍丸しかこの場にいない。
「蛍丸、嫌な指令があったら言えよな。別にお前を守るとかそういう訳じゃねぇけど! でも……もし蛍丸とペアになったらあたし……あたし、お前とだったら……」
「え、何か言った?」
「は? も、もう二度と言わねーよ、バカぁ!」
 アルトは恋キノコにより積極的なツンデレになっていた。蛍丸は邪念を払うのに必死だった。
(僕、詩乃、橘さん、飯綱比売さん、アルト、東江さん、大和さん、桃井さん、ブギーマンさん、ミツルギさん……こんなに人数がいるんだし当たるわけないよね? ……当たったら潔く……いやいや、ダメだって)
 由香里は飯綱比売を見るが、彼女は嬉しそうに微笑むだけ。ニウェウスはストゥルトゥスの膝枕で寝転び、構って攻撃の真っ最中である。那智に至っては疲れが祟ったのか爆睡している。――シラフらしい刀護と目が合う。助かった!
「山は冷えるのぅ」
 飯綱比売は刀護に寄り添い、彼の肩にこてんと頭を載せた。
「う、うむ、しかしその、近すぎはしないか?」
 対する刀護は酒豪にとっては少量といえる酔キノコを食べてしまっただけ。勝ち目などなかった。
「こらそこ、ダイス振る前からいちゃついて。罰ゲームとしてそのままの姿勢でゲームを見守ること!」
「うむ、苦しゅうないぞ」
 なんという横暴。まあ、振ったところでイカサマダイスなのだが。
「おぬし、見かけに寄らず愛らしい反応をするのう」
 飯綱比売は刀護の腕に両腕を絡ませて、また笑い上戸になっている。惜しいツッコミをなくした。
「6番だ~れだ? いない? おっかしいなぁ、あ、橘さんに割り振ったんだっけ」
「はっ!?」
「では橘さんが、5番の蛍丸さんとキスで!」
 今度は声も出ない由香里。
「そ、そんなのあたしが認めねえぞ! べ、別に蛍丸だから庇ってるとか、そういう訳じゃねぇからな!」
(アルト、ま、まさか君も僕のこと……どうしたらいいんだ!)
 蛍丸が黙り込む代わりに、由香里が口を開く。
「煤原さん、酔いを醒ましましょう? 時間さえ過ぎれば冷静になれるはずよ」
「大丈夫です酔ってませんよ! いいからキーッス! はいチーッス!」
 それは酔っている者の常套句だ。由香里は蛍丸を振り返る。
「なにぼんやりしてるのよ、黒金くん! こういうのは、その、大切なことでしょ? ゲームなんかでしちゃ駄目よ」
「キーッス! キーッス!」
「うるさい!」
 ジャックや飯綱に加え、ニウェウス、ストゥルトゥス、咲良、ミツルギもコールに参加している。蛍丸は、内心はともかく抵抗してみる。
「ぼ、僕としても畏れ多いですし」
(結局僕はどっちが好きなんだ!? どっちもだけど、それはヤバいって!)
 3人がかりで抗議され燃衣は眉尻を下げる。
「ダメ? なら甘ァーーーいセリフかお姫様抱っこでッ!」
 が、懲りてはいなかった。
「これでも食べて景気づけを!」
「やめなさい!」
 酔キノコが蛍丸の口の中へ。由香里は横から割り込んで庇おうとした結果、勢い余って蛍丸を押し倒す。皮肉にも彼はそのはずみでキノコを飲み込んでしまった。アルトへの恋心が消えた代わりに、新たな効果が付与される。
「ふふ、積極的だね。実は橘さんも期待してた?」
 押し倒されているというのに、余裕の笑みを浮かべる蛍丸。由香里の顎を指先で捕らえての台詞である。
「そんな」
 アルトはその場に崩れ落ちた。由香里は顔を真っ赤にして、口をぱくぱく動かしている。
「こら、目をそらしちゃ駄目。……可愛いね」
 吐息交じりの囁き。今、ツッコミは絶滅した。
「いい絵だッ!」
「ktkrマジパネェwwww」
 下世話なネット住民と化したジャックは一部始終をスマホで連写している。
 ジュウウ、と何かが焼ける音。皆が振り向くと詩乃が真っ赤なキノコを鉄板に押し付けていた。従魔キノコは次の瞬間、口の中へ。
「もう、我慢がなりません」
 蛍丸は身を起こすと、顔を隠して座り込んでいる由香里の耳元で言う。
「ね、キスしちゃう? 僕はゲームだって構わないよ、君が相手なら」
「黙りなさい。私がお支えすると誓ったのは、危ういけれどいつも誰かを守るため一生懸命な蛍丸様です。軽薄な言葉を吐いて女性を誑かすような色狂いではありません! 頭がいけないのなら、体にお教えするまで……!」
 関節を鳴らしながら詩乃が進み出る。
「待て、こいつに手を出したら許さねぇからなっ」
 『失恋』の悲しみを乗り越え、アルトが詩乃の前に立ちはだかった。見返りを求めず、ただ愛したものを守ろうとする彼女は美しい。
 女同士が睨み合う。風が一陣、通り抜けていった。
「……ヌルいヌルい、みんな愛が足りんぞ! それじゃあ蛍丸さんはやれないですね……」
 燃衣は蛍丸を由香里から奪い、がっしりと肩を抱いた。
「いいや誰にもやれない……ッ。何せボクが一番好きなんだ……」
 場の空気が凍り付いた――。
「……クソダリぃ」
 炬鳥迦は吐き捨てる。馴れ合いなんてもの、反吐が出る。
(兄貴は「目的を成したいなら協力こそ大事にしろ」っつーがよ……人間は信用ならねぇ……憎悪に身を焼く鬼以外はな……)
 八つ当たりの様に乱暴にキノコをむしり取る。
「兄貴だけだ、兄貴だけが信用できる。そう、俺には兄貴だ……兄貴だけだ……俺には……」
 その手には、銃。
「……お兄ちゃんだけだ」
 炬鳥迦の眼に宿ったのは復讐ではなく、恋の炎。兄は蛍丸の肩を痛そうなくらいがっちりと掴んでいる。蛍丸も戸惑ってこそいるが、表情から嫌悪感は感じられない。――ずるい。
「お兄ちゃんに近付く奴は全て死ね。そして……私を選ばないお兄ちゃんも」
 狂気の銃口は鈍感なお兄ちゃんへ。
「お前の事が好きだったん……」
「死ネバインダーッ!」
 銃弾が燃衣の頬を掠める。言葉の続きは永遠に葬り去られた。多分それが正解である。
「好き好きー! 大好きだよー! ん~♪」
「やだー! ちょうかわいいー!」
 恋と酔のキノコを食べた咲良がミツルギとハグしている。
「にゃ~……ゴロゴロ……ふにゃぁ♪」
 顎を撫でられ喜ぶ様は猫そのもの。陽だまりの縁側のようなこの空間だけが平和であった。

●秋の山の贈り物
(みんなぐったりしてる。よくわかんないけどルゥを探してて正解だったかも……)
 帰還したイリスは仲間たちの様子を見回してそう思った。
「……『その気』は……な、無いからね?」
 必死に謝る燃衣に蛍丸は苦笑を返す。
「いいんです。僕なんてもっと酷かったですし」
 騒ぎの後頭を下げると、詩乃はほっとした表情をし、由香里は恥ずかしそうに眼を逸らした。
「こっちも止められなくて不甲斐なかったわ。酒癖が悪いのを自覚してこれからは気を付けることね」
 などと言われたが、心配してくれているのだろう。アルトには庇ってくれた礼を告げたところ、「うるせー! 忘れろ!」と言い残して走り去った。今は安全なキノコをより分けてタッパーに詰める作業に夢中で、怒っている様子はない。
「ひ、ひでぇ目に遭った……兄貴は信用してるがソレ系はネェわ……」
 片手をついて木に寄りかかり、炬鳥迦が呟いた。
「あぁでも楽しかった……明日から、また戻らなくちゃ……血が滲んで、血に塗れる……日常に」
 炬鳥迦は振り向いて、兄貴分の浮かべる笑みにはっとした。仲間と過ごした騒がしくも楽しい一日。それは彼に復讐鬼としての己をより強く自覚させたのだろうか。
「ねぇ、蛍丸さん……キミが死んだら涙するだろう人が、こんなにも居る。だから、キミは何があっても生きてね。……もしボクに何かあったら、キミが暁を……」
「お断りします」
 暗くよどむ思考を断ち切ったのは、強い言葉。
「煤原さんがいなくなるなんて、悲しいです。だから、煤原さん、そうはならないように、僕が貴方を守ります」
 蛍丸――燃衣の第一の教え子は言う。
「橘さん、アルトのことも……僕の目が届く範囲の人たちは全て……僕が守りますから」
「……参ったなぁ」
 言葉とは裏腹に、燃衣はとても嬉しそうに笑った。
「たくさんとれましたね……!」
 満足げな表情で日和は言う。一ヶ月ほどキノコ料理でしのげる計算だ。あまりのキノコづくしにアーサーが発狂するであろう未来は、彼女には見えていない。
「あー、美味しかったけど何か色々疲れたね! 楽しかったけど! ジャックちゃんの意外な一面」
 言葉を遮るようにジャックが咲良の耳を引っ張る。咲良は「痛い痛い!」と騒ぐ。
「愉しかったのは否定しねぇが即忘れろ、キヒヒ♪」
 満たされたお腹と、思い切り騒いで軽くなった気がする心。魔の山がくれたのは案外、ハッピーエンドだったのかもしれない。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • エージェント
    ルゥナスフィアaa0124hero002
    英雄|8才|女性|ソフィ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • 責任
    赤目 炬鳥迦aa2271hero002
    英雄|15才|女性|ジャ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • Allayer
    桃井 咲良aa3355
    獣人|16才|?|回避
  • TRICKorTRICK
    ジャック・ブギーマンaa3355hero001
    英雄|15才|?|シャド
  • その背に【暁】を刻みて
    東江 刀護aa3503
    機械|29才|男性|攻撃
  • 最強新成人・特攻服仕様
    大和 那智aa3503hero002
    英雄|21才|男性|カオ
  • 残照と安らぎの鎮魂歌
    楪 アルトaa4349
    機械|18才|女性|命中



  • 不撓不屈
    ニノマエaa4381
    機械|20才|男性|攻撃
  • 砂の明星
    ミツルギ サヤaa4381hero001
    英雄|20才|女性|カオ
  • エージェント
    白神 日和aa4444
    人間|16才|女性|命中
  • エージェント
    アーサー ペンドラゴンaa4444hero001
    英雄|27才|男性|ブレ
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