本部

【神月】連動シナリオ

【神月】ガイルくんといっしょ!新人講習会

五葉楓

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 4~10人
英雄
3人 / 0~10人
報酬
寸志
相談期間
5日
完成日
2016/09/07 14:46

掲示板

オープニング

●ガイルと学ぼうリンカー講習
 異世界との接続から20年余、英雄からもたらされた恩恵と比例するように増える愚神や従魔による襲撃は絶えず、度重なる大規模作戦により最悪の事態は回避できたが、急速に力を増大させる彼らに対抗すべくH.O.P.E.はリンカーの増員を図った。
 このご時世様々な理由でやる気や情熱に満ちたリンカーは多いが、英雄と契約しリンカーになったからといってすぐに戦えるだけの知識や経験があるとも限らない。
 誰もが初心者や新人からのスタートだ。
 そこでH.O.P.E.は既に活躍しているリンカーを講師に講習会を開く事にした。
 某月某日、関東某所にある石切場にて。
「グッドアフタヌーンでござるよミナサマ! ミーの名前はガイル・アードレッド(az0011)、クレバーでクールなNINJYAでござる! 今回は拙者がミナサマにリンカーの心得をレクチャーするでござるよ!!」
 一同は元気いっぱいのNINJYAへと視線を向けた。ふんわりと逆立てた金髪、やたら尖ったサングラス、目に眩しい青いNINJYA装束、忍者を知らなくてもこれは分かる。あ、この人ちょっとアレなヤツだ。その隣ではガイルの英雄で相棒のデランジェ・シンドラー(az0011hero001)が、二丁拳銃をクルクル回しニコニコしながら立っている。
 そんな彼等の動揺をよそに、ガイルは持参のホワイトボードにプログラムを張り出した。

 1.開会式
 2.模擬戦闘
 3.昼食
 4.優秀者発表
 5.閉会式

 思いっきり野外の石切り場にホワイトボードが置かれているのは妙な光景だが、張り出されているプログラムは至ってマトモそうな内容だ。
 もしかしたら思うよりも常識人なのかもしれない??新人リンカー達はホッとしたのもつかの間、ガイルとデランジェは一同に何かを配り始めた。
(なんだろう?)
 渡されたものを見て首を傾げる。
 それはガイルが纏っているNINJYA装束の色違いの衣装であった。
「????!!!!」
 混乱しているとどこからか、例えるなら子供向け忍者アニメのOP曲のようなものが流れてきた。いつの間にかマイクを持っているガイルが新人達に笑顔を向ける。
「HEY! ミナサマもNINJYA! 拙者もNINJYA! メツブシ投げてドロドロン! さあミナサマもご一緒に!」
 そんなガイルの横でデランジェは何も変な事はないと言わんばかりの表情でニコニコニコニコニコニコしている。一体何が起こってるの?! 誰もがそう思った。ところでこの講習はなんの講習だったっけ?
「ミナサマご安心を! ミーのレクチャーにかかれば、ミナサマ即戦力でござる!」
 本当かなあ? と誰もが思ったが今更帰れそうな雰囲気はどこにもなかった。

●ハジマルヨ?
 それから一時間後……新人リンカー達は色とりどりに眩しいNINJYA装束に身を包んで整列していた。
 これから開会式が執り行われるのだが、そもそも講習会に開会式って必要あったか今更ながら疑問だ。
 誰もの胸にはヤバイと不安しかなかったが、聞き及んでいるガイルの経験と功績を思えば意外と身になる講義をしてくれるような気もしなくはないので、着替えが終わって3回くらいNINJYAポーズを決めさせられた頃には誰もが一応講義を受ける気にはなっていた。何故か。
 これから始まるガイルの講義、教えとは一体?!

解説

どういう経緯かお騒がせNINJYAのガイルに講師としての白羽の矢が立ちました。
ガイルは独学のNINJYA精神に基づいて新人達にエールを贈る気マンマンです。
さて、この講習会、予定表通りに行くものでしょうか……?
みんなで考えて学ぶ、戦いのあり方を考える講習会、あなたはどういう風に参加しますか?

参加者にはNINJYA装束が支給されてますがNINJYA講習会ではないです、多分(待て
着用は強制ではないので来たくない方は着なくて大丈夫です。

 1.開会式
 2.模擬戦闘
    リンクしたガイルから逃げ切れ缶蹴り大会
    英雄とのコンビネーションが試されるハイド&シーク(かくれんぼ)を生き抜け!
    隠れられる範囲は関東某所にある石切り場(採石場跡)周辺
    参加者達は共鳴禁止
    ※希望が多ければ参加者が鬼になった缶蹴り第2戦もやります。
 3.昼食:NINJYA食に学ぶ戦いの厳しさ
    アンパン(こしあん)と缶コーヒー(甘い)、ウマー棒、バナナ等の支給
    ガイルとの質疑応答
 4.優秀者発表
    講習会通してのMVP発表(ガイルとデランジェの判断による)
 5.閉会式

【ガイル使用スキル・武器】
縫止
鷹の目
二丁拳銃「パルファン」

リプレイ

●なるほど講習会じゃねーの?
「……こーしゅーかい……わく、わく……」
 紫色のNINJYA装束姿でどことなくウキウキしている糸音・マリア(aa0514)。
 その隣で微妙な顔をしているのはリーオネル(aa0514hero001)。ちなみに色は黄緑。
「えっと、講習会って聞いて来ては見たけど……これダメな奴じゃ」
「にんじゃでごーざーるー……にんじゃでごーざーるー……」
「着てしまった……NINJYA服……」
「……リーオネル、しっぽ踏まれたみたいな顔、してる……」
「だってまあ、その……リンカー講習会って聞いてたのにNINJYA服だよ?」
「……すき……」
「今日テンション高いね君」
「……~♪……」

「NINJYA修行だったんだね、今回の講習」
 オレンジ色のNINJYA装束の餅 望月(aa0843)はキョロキョロしながら赤いNINJYA装束の百薬(aa0843hero001)に話しかける。
「みたいだね」
 望月と百薬は顔を寄せ合ってヒソヒソと会話する。
「リンカーとしてはともかく、NINJYAに関してはあたしも百薬も新人よね」
「NINJYA……これで空を歩くように飛べるかも」
「それって百薬の大好きな武侠のこと?ちょっと違うんじゃない?」
「本質的には同じ気がするよ」
「そうかな?」
 苦笑しつつも何が始まるのか結構楽しみな望月だった。

 気が付くと緑のNINJYA装束を纏って整列していた藍澤 健二(aa1352)。
「あっれー? 俺何でNINJYA服着てんの? でもまあいっか……」
 別件で面識があったガイルが講習会を開くというので参加してみただけだったんだが。
 でもまあ準備体操の勢いでNINJYAポーズを決めまくっていたら意外とその気になっていた。

 両者黒NINJYA装束着用の榛名 縁(aa1575)とウィンクルム(aa1575hero001)。
「これから何が始まるんですか?」
 ウィンクルムはキョトンとしながら縁に訊ねる。
「今日は忍者の先生の講習会なんだよ」
「忍者……新たな英雄の一種ですか?」
「違うよーえっとね……忍者っていうのは日本の古い形式の……スパイって言う方が近いかも?」
「スパイ……?」
 もう一度ガイルの方を見てから自分達が着ているNINJYA装束を引っ張り首を傾げる。
 スパイというには目に眩しい衣装に納得がいかないらしい。
(まあそういう反応になるよな……)
「伺っていた話と違う様な……」
「……うん、僕もそう思う……」
 思わず遠い目になる二人だった。

(新人講習会と聞いて来たんだが、一体これはどういう状況なんだろうな? きっと何か考えがあるんだろうが……)
 誰一人としてこれから何が始まるのか予想が出来ない開会式。
 暗峠 影明(aa4268)も訳も分からず水色のNINJYA装束で立ち尽くしていた。
(本当、何をさせられるんだろう……?)
 皆目予想が付かなかった。

●鷹の目から逃げろ
「模擬戦闘をハジメルでござるよ! 戦い方は……缶蹴りでござる!」
 そう言ってガイルは黄色いMAXなコーヒー缶を掲げて見せた。
 説明しよう! 黄色いMAXなコーヒー缶はスチールの頑丈さに加えて一般的なコーヒー缶より大きく蹴りやすいのだ!
 ザワザワザワザ……。
 模擬戦闘というからガイルと組手でもするのかと思った参加者も多いようだった。
 それに缶蹴りはどっちかっていえば子供の遊びという印象が強いものだ。
 そんな彼らの空気を感じ取ったガイルが言った。
「カンケリには戦いの極意が詰まっているのですよミナサマ。100秒数えたらスタート! 範囲は採石場内、共鳴は禁止でござる。何か質問があれば40秒で支度するでござる!」
「あ! ハイハイ先生! アイテムの使用は可能でしょうか?」
「オッケーでござるよ! それじゃあスタート、ワーン、トゥー、スリー……」
 縁がすかさず質問するとガイルは即答し、そのまま模擬戦闘は始まった。
 数える声に慌てて散るリンカー達。
 しかしこの遮蔽物の少ない採石場のどこに隠れれば良いんだろうか?
「はいど、あんど、しーく……。どろんでごーざーるー……?」
「これからどうする、マリア」
 疾走しながらマリアに話しかけるリーオネル。
「んと……リーオネルを……囮にして……」
「うんうん、僕が囮になって……?」
「……私は、草場の影に、寝そべる……」
 全く悪びれない様子で速攻サボり宣言をするマリアにリーオネルは苦笑する。
「……うん、せめて逃げ隠れしようか。寝てるだけって僕が囮になる意味ないからね!?」
「……そんなこと……ない、リーオネル後で開放……」
「まぁ、後で助けに来てくれるって事かな? ……しょうがない、先生の気を引いてマリアから遠ざける位はしようか」
 リーオネルはあきらめたように溜息を吐くとマリアを抱えて採石場の斜面を駆け上がって上がり端(はな)の草むらになってる部分に降ろすと再び斜面を駆け下りた。
 マリアはリーオネルの背中を見送ると草に紛れるようにごろりと寝転がった。
「……いってら……」
 開始から40秒。

 大きい石がいくつも積まれた場所を見つけ出し、その陰に隠れた望月と百薬。
 二人が考えた作戦はこうだ。
 ガイルが動いたらライヴスゴーグルで監視し、近づいてくる前に逃げ回る。
 駄目ならまた別の作戦を考えるしかない。
「百薬、ゴーグルで見える?」
「うーん、現時点だと距離があってゴーグルの効果範囲外みたい」
「結構範囲狭いからね」
 ライヴスゴーグルはあまり役立ちそうになかった。
 しかし無いよりマシなはず。とにかく目を盗んで逃げ回る方向で頑張る事にした。
「えいえいおー!」
「うん!」
 開始から42秒。

(模擬戦闘……共鳴禁止か。なるほど、リンカーの潜在能力を鍛えるという事……だよな?)
 確かに戦闘では色々な状況が考えられて、必ずしも共鳴出来るわけじゃないのは確かだろう。
 健二はひとまず採石場を見渡して身を隠せる場所をざっと確認すると、慌てず放置された機材と崖になった斜面の間に入り込んだ。
「仕事は無くても根性はある! やるならとことんやってやるさ!」
 自分の中の血が滾るのを感じた。
 開始から45秒。

「ひえー僕らは共鳴ダメなのに先生はスキルも銃もOKなんてずるいー」
「そうですね……ただ同条件で、とはいかぬのが戦ですし我々は複数ですので」
 ダッシュで移動しながら縁が不満を漏らすと、ウィンクルムがニコニコと答えた。
「そうだね、それに実戦でも工夫や連携で覆せる場合も多いしね。良い実習だねえ……なあなあちょっと考えがあるんだけど」
 そう言って縁はウィンクルムの腕を引っ張って砂利山の裏に入り込んだ。
 開始から50秒。

(ええと、確か隠れて見つからなければ良いんだったよな……)
 影明はルールのおさらいをしながら崖の斜面を駆け上がり草むらに身を潜める。
 缶蹴りというのは子供の頃聞いただけで実際するのは初めてだったりする。
(見つかったら捕虜になるけど、鬼以外に人間が缶を蹴ったら捕虜は解放される……って事だったな)
 そうなると経験の薄い俺は逃げ回るより捕虜の開放を狙った方が良いのかもしれない。
「ん?」
 ふと視線を感じて振り返ると、寝っ転がって俺を見つめている少女――マリアの姿があった。
 開始からもうすぐ100秒。

●突撃ドキュン☆
「……ここ、私の……」
「あ、おう……どうも……」
「…………」
 しーん。
 そのまま見つめあう影明とマリア。
(気まずい……)
 とはいえ今更別の場所に移動する余裕は無かった。

「……99、100!」
 100まで数え切ると合図を兼ねて天に向かって銃声を一声轟かせた。
 さあ始まる怒涛のシーク&デストロイ(見つけ次第殲滅)。
 前述の通り隠れる場所の少ない採石場跡と派手なNINJYA装束の相性は最悪すぎた。
「うわーーーー!!」
「アイヤェエエ! ニンジャ?! ニンジャなんで……グワー!」
 あちこちから響き渡る悲鳴銃声でちょっとした阿鼻叫喚。
 みんなの叫び声を聞きながら百薬は再びゴーグルでガイルとの距離を測りつつ、他の講習生が餌食になっている隙を突くように移動を試みるが、確実な仕事をこなすガイルは2人に追いつき額にパルファンを向けていたのだった。
「望月、百薬、アウトーでござる!」
「「キャー!!」」
 2人は敢え無く捕虜の収容エリアへと移動していった。

「凄い事になってるな……」
 缶蹴りって想像以上に厳しいゲームなんだなと、戦慄する影明。
 幸い自分はまだ見つかっている様子はない。
 あっという間に鷹の目で見つかって次々捕虜にされていく講習生達を前に、捕虜の収容エリアへ向かう事を決意する。
「……行くの?……」
「ああ、このまま見つかるのを待ってられないからな。お前は?」
「……ねる……」
「え、戦わないのか?」
 影明の言葉にジッと見つめ返すマリア。
「……冗談、リーオネル助けるチャンス伺う……」
「そうか、俺は先に行く……お前の相方によろしくな」
「…………」
 頷いたマリアを置いて影明は斜面を降りる。
 そのままサッと岩陰に身を隠しつつ収容エリアの近くまで移動する。
 ガイルの位置を確認を確認して黄色いMAXな缶に目がけて特攻するが、足元に弾丸が撃ち込まれて怯んだ一瞬に敢え無く御用となった。
「断念だったな」
 マリアを助けるために先に掴まっていたリーオネルが腰を下ろした影明の肩を叩いた。
 そして間もなくマリアもただ横になっていただけだったので鷹の目に見つかり収容エリアにやってきた。
「おかえり、マリア」
「……ごめんしくじった……」
 最初寝る寝る言ってたはずのマリアの口元に悔しさを見つけて、リーオネルは目を細めて優しくその頭を撫でた。

「ソコでござる!」
≪それ違うわよ!≫
「!!」
 ガイルが物音に気が付いて踏み込むとそこにはラジカセしか置いてなかった。
 縁とウィンクルムが仕掛けたものだ。
「はっ?!」
 ガイルが振り向くとそこには軽やかな音を立てて黄色いMAXなコーヒー缶を蹴り上げる顔を隠した黒いNINJYA装束の姿があった。
「解放だーーーーー!!」
 都合上収容エリアに捕らえられていた講習生達が散ったところで第一ラウンド終了。

~数時間後~
 昼食までに終わるはずの模擬戦は昼下がりになっても続いていた。
 戦いは熱を帯びており、第1ラウンドで終わるなんて誰にも考えられなかった。
 第2ラウンド以降は厳正なるジャンケンにより鬼を選出、公平を期すために鬼は共鳴可能で臨む。
 当たり前のようにほぼ飲まず食わずで戦いはヒートアップ。
 そして気が付けば4戦目を迎えて、現在は藍澤 健二が鬼。
「うおおおおおおお!! マリアみっけペコポン! 望月みっけペコポン! ガイル先生ペコポン!」
「Oh!見つかったでござる!! 今まで一回もアイムネバーファウンドだったでござるのに!」
「共鳴してなきゃそういう事もあるわよん」
 堂々とし過ぎて毎回速攻見つかってるデランジェ・シンドラー(az0011hero001)が収容エリアでガイルを出迎える。
「ところでペコポンって何だろう……噛んでるの?」
 百薬が健二が対象を見つけ出す時に唱えてる呪文のようなものの意味が分からず首を傾げる。
「あー……多分ポコペンって言いたいのよ」
「ポコペン?」
「缶蹴りをそう呼ぶ場合があるみたい」
「へー」
 望月もそこまで詳しくはなかった。
 実際のところポコペンと缶蹴りは似て非なる別ゲームなのだが、地域により混同されている場合がある。

 スカンッ!
 本日何度目かのキックで空高く舞い上がる、蹴られまくってすっかりボコボコの黄色いMAXなコーヒー缶。
 つられて見上げた空は暮れ始めていて、それにみんなが気が付いた事で模擬戦は終了となった。

●クエスチョンNINJYAアンサー
 ついゲームに熱中してしまったため、大分予定順序が前後してしまったが昼食改め夕食の後に優秀者発表、閉会式となった。
「お疲れ様でござるよミナサマ! NINJYA食を用意したでござる!」
 配布されたのはアンパン(こしあん)と甘い缶コーヒー、ウマー棒、バナナ。
「うおおおおおおコンポタコンポタアアアアアーーー!!」
「僕も僕もー」
 ウマー棒コンポタ味を高速で確保する健二と縁とウィンクルム。
 食べながらガイルとの質疑応答も行われた。

「あんぱん……うま、うま……、コーヒー……んま、んま……」
「……お昼っていうか、今夕食の時間帯だけど……朝ごはんのラインナップじゃない? コレ」
 と言いつつもパンをコーヒーで流し込んでホッとするリーオネル。
「ウマー棒……うまー、うまー……ばなな、美味しい……」
 マリアは特に疑問もなくおいしそうに食事をしている。
「……まぁ、マリアが楽しそうだし、良いか」
 リーオネルはコーヒーをもう一口含んだ。
「あんぱんおいしー」
 疲れた体に甘いものが染み渡るのを感じる百薬。
「でも、コーヒーとの相性については疑問の余地があるわね」
「いやいや、アンパンと缶コーヒーは間違いなくジャストマリッジでござるよ!」
「そうなの?」
 根拠がいまいち解らない望月と百薬。
「で、『NINJYA食に学ぶ戦いの厳しさ』ってのは?? アンパンもバナナも最近の食べ物だよな?」
 ウマー棒でエアーを補給しながら健二はガイルに訊ねる。
「今日ミナサマに用意したのは紛れもないNINJYA食でござる!」
(ムチャクチャ言ってるなー)
 ガイルの回答はある意味予想通りアレだった件。
「ふーん、ところでアンパンがつぶあんでないのはNINJYA的理由?」
 次に縁が訊ねた。
「こしあんの方が好きだからでござる……」
「まあ、僕こしあん派だけどね」
「味に派閥があるのですか?」
 縁の言葉にウィンクルムが首を傾げる。
「うんうん、アンパンはこしあんとつぶあんで派閥が割れてるね。他にもねーきのこたけのこ戦争とか、コアラパイの戦争とか食べ物の世界も結構殺伐としてるんだよ」
「そうなんですね、楽しそうです」
「あははー」
 時に深刻な戦いの事をウィンクルムが知るのはもう少し後になりそうだ。
「ウマー棒はどれが一番好き? 僕はコンポタ」
「俺もだな」
 縁に健二が激しく同意した。
「ガイルさんは?」
「ピザでござるな!」
 ガイルにデランジェがニコニコしながらピザ味の封を開けて手渡した。

 みんなのお腹が膨れるにつれ、質疑応答は真剣味を増していく。
「忍者とは違う様だがNINJYAとしての拘りは何かある?」
「ベリークール&ストロング! それがNINJYAのポリシーでござる!」
「なるほど……」
 力強い回答に縁は解ったような解らないような?
「ガイルさん、英雄について訊きたいんだけど……居る事は分かるし、共鳴も出来る。ただ、いまだに付き合い方が分からん。ガイルさんは今の英雄との絆を、どうやって深めていったのか。参考に聞かせてくれ」
「ミーとデランジェの場合はファーストインプレッションからバッチリだったでござるよ! 共に世界最強のNINJYAを目指しているでござる! そしてバトルやミッションを繰り返し、絆を深めたのでござる!」
「苦難を共にして強まる絆ってあるわよね」
 望月と百薬が頷く。
「それが分かるって事はお前らも俺より先輩だな」
「そうかな?」
「ああ……」
「えへへ、あたしたち先輩だって百薬」
「うん」
 くすぐったそうに2人は笑った。
「でも、ミー達はたまたまそうだっただけで、きっと人それぞれの絆の深め方があると思うでござるゆえ……まずは好きなものをお聞きしたらどうでござろう」
「好きなもの……」
 影明がガイルの言葉を神妙に反芻する。
「ちなみにデランジェは暗殺が好きでござるよ!」
「じゃあ次あたし達! ガイルさん、戦う覚悟や実力の身につけ方もそうなんだけど、何より浚われた時の対処、良かったら教えてください。敵に捕まったりしたときって、不安じゃない? きっと助けがくるってわかってても、信じて待つだけなんて大変だと思うの」
「でもこの人いつもジタバタしてるよ」
 そう言って百薬はクスリと笑った。
「しーっ。そこは言わないの! あたし達だっていつ被害者になって攫われるかわからないし、そういう時の心得ってどうしたらいいのかな?」
「は……?! まさかその経験をつむための缶蹴りっ!?」
「ココロエ……大変でござるが、時にそれはチャンスでござるよ! シシシンチュウノムシ!」
「……?」
「あー、捕らわれてるからこそ、隙があれば敵の内側から攻略するって事か?」
「ソウイウ事でござるな。でもやはり仲間を信じて待つ……のは大事に思うでござる。少なくともミーは、ミナサマの強さを信じているでござるゆえ!」
「なるほどな……勉強になる……」
 大きく頷く影明だった。
「あ、はいはいそろそろ最後の質問かなー? もし依頼で救えなかった命があったとき……お二方ならどう、向き合いますか」
 縁の問いにガイルはみんなを見渡して答えた。
「絶対忘れないでござる。そして絶対! 同じ事は繰り返さないでござる! 理想であっても、諦めないでござるよ……」
 その言葉にみんなは力強く頷いた。

●オワリダヨ?
 閉会式で優秀者発表が行われた。
「榛名 縁、ウィンクルム。前へ!」
 名前を呼ばれてガイルの前に進み出る2人。
「ユー達は講習会で一番優秀な成績を修めたでござるよ。だから拙者とおそろいのサングラスをプレゼント! 模擬戦闘のフェイントの数々、見事だったでござる!」
「ありがとうございます!」
 縁とウィンクルムが受け取ったサングラスを掛けてポーズを決めて見せると、割れるような拍手が沸き起こった。
 そして最後にマリアとリーオネル、望月と百薬、健二、影明も前に出るように言った。
「上位5組のミナサマに最後に一言お願いするでござる」
 講習生達の注目の中、静かに言葉が響いた。
「みんな誰もが欲しい幸せに輝いてる未来を守るために僕達はリンカーになったんだ」
「自らの弱さと戦い、力なき人の助けになれるように努力します」
「誰しも一度負けた悔しさにぶつかる事があるとおもうけど、少なくもあたしはそれを次に勝つ強さに変えたいと思う」
「あたしも……昨日の、今日のあたしを飛び越えていきたいです」
「明日はもっと広い可能性が、俺達を待ってると信じています」
「以上、新人リンカー・英雄講習会はオシマーイでござる!」
 締めの言葉が終わった瞬間、割れるような拍手が巻き起こった。
【終】

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 水鏡
    榛名 縁aa1575

重体一覧

参加者

  • エージェント
    糸音・マリアaa0514
    機械|15才|?|攻撃
  • エージェント
    リーオネルaa0514hero001
    英雄|8才|?|バト
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 愛すべきカミカミ兄ちゃん
    藍澤 健二aa1352
    人間|19才|男性|生命



  • 水鏡
    榛名 縁aa1575
    人間|20才|男性|生命
  • エージェント
    ウィンクルムaa1575hero001
    英雄|28才|男性|バト
  • エージェント
    暗峠 影明aa4268
    人間|17才|男性|攻撃



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