本部

ドミネーター

玲瓏

形態
ショートEX
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 5~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2016/08/27 22:24

掲示板

オープニング

 ただの車の中にいて、彼はそこで目を覚ました。タイヤが段差を踏む時の揺れに起こされたのだった。
「おはよう。よく眠れたかな」
「ここは……」
 先ほどまで彼はただ街を歩いていただけだった。英雄とは一緒ではなかったが、よく見れば助手席に座っている。
「ここから降ろしてくれないかな」
「無理だよ」
「何?」
「僕と僕の組織は君を利用するためだけに連れてきたんだ。だから君は何も考えなくていい。ここから降ろす事もないだって君は――立派な道具なんだからね」
「ふざけるんじゃないッ。お前は今不利じゃないか。英雄と俺がいる。お前の仲間はいない」
「不利? どこがかな」
 男の言っていた事は、その通りなのだ。助手席に座っていた英雄を見た彼は、そう思った。英雄は彼に、銃を突きつけていたのだから。
「こいつに何をした、言え!」
「後で分かるよ。後でね。さて、もうすぐ君の復讐の場所に到着するよ。ああそうそう、君の友達、この英雄ね。もう君の英雄じゃあないから。別のリンカーを用意して、その人間につけさせてもらったよ」
「何……?」
「アハハ! もう友達じゃないね。記憶も誰かの手で消されちゃったからね。あ、でも安心して君はまだリンカーだ。なぜなら代わりの面白い英雄を用意してるからね。急いでいかないと消えちゃうから、変な気は起こさないでね」
 崩れ落ちるみたく、彼は席にもたれかかった。失望感が取り囲む。英雄が……。
 ヒラナが男の手に堕ちるとは考えたくもなかった事だった。彼……宮本は冷や汗がひどかった。
「今日からしっかりと、ヒラナ君には組織に奉仕をしてもらわないとねぇ」
 何も返す言葉はなかった。なさすぎて、しかし絶望感から生じる幻聴のような、言葉だけは脳裏に浮かんでいた。
 宮本の顔を見た運転席の男は、笑った。
「アハハハ! アッハハハハ! アッハハハハハハッ!!」
 最悪な声だった。


 彩は眩しい程だった。肩を並べる蝋燭、天井からぶら下がる二つのシャンデリア。広大な空間ではないものの、だからこそ眩しかった。
「ころせ」
 輝かしい光は普段なら、この家の主に注がれる物なのだろう。いつものソファーに、いつものように。
 今、ソファーに座っているのは主ではなかった。主はどこにいるのかといえば、ソファーの前に複数人の男達に捕らえられて、男の前に跪いていた。
「貴様ら……絶対に許さんぞ。この町の歴史は、何百年も続いている! それを踏み躙る真似はさせん!」
「はいはい。お爺さんがよくいう言葉だね。大丈夫、僕たちに任せてくれれば歴史は続くさ。まあ少し、血の匂いのする歴史になるけどね」
 剣を持った少女が跪く男の前に立った。男はこの町の市長で、という事は町の代表者であった。
「ころせ」
 全ての始まり。火蓋が切られる。狼煙が上がる。幕が開く。
 この時を待っていたと、言うばかりに。


 特に坂山の脳内では緊急事態の警報が喧しい程に鳴っていた。すぐにエージェントを呼び、すぐに状況説明を開始した。
「大変な事になったわ……。ドイツのL町……まあ場所は後々説明するからそれはいいのよ、いいんだけど……大きな組織が町を支配するために動き始めたの。敵組織の規模は大きくて、もう紛争の域よ……! 町は今大混乱状態で、付近の警察や国の特殊部隊が対処に向かっているんだけれど、組織はヴィランの集団。太刀打ちができないのよ」
 後先を考えない説明文句だったが、考えている暇はなかったのだろう。
「市長はもう既に亡くなっているっていう話よ。どうしてこの町が狙われたのかは全然分からないんだけれど、急いで向かわないと……!」
「坂山、落ち着いて。緊急事態だけれど、忙しなく説明しても更に混乱するだけだよ。……スチャース、エージェント達に町の状況を送って」
 坂山の英雄であるノボルは、坂山の代わりに犬型のロボットに指令を下した。
「心得た。エージェントの諸君、敵の規模や町の情報はこれだ。参考にして、ぜひ対処に向かってもらいたい。大変な任務になる」
「頑張ってね……皆。私が全力でサポートするから、困ったら遠慮なく色々言ってちょうだいね……!」
 坂山の担当する任務で、かつてない規模の任務であった。遊園地に従魔や愚神が出てきた事はあったが、それ以上の責任感を必要とする任務。
 まだ新米感の抜けない坂山はその事を自覚していて、手汗が滲み出てきていた。

解説

●目的
 町の救出。組織の確保。

●スチャースからの情報
 敵の人数は警察情報によるとおおよそ二十六人。全員リンカーだという。この組織は五人ずつの小隊になっていると予想され、五人の隊長と二十人の構成員で成り立っている。小隊はバラけて動いている。残りの一人の行方は分からない。目的も不明。
 また、愚神のような存在も確認しているという。(後述)
 町は人口十万人程の都市であり、組織は町の中央から外側に向かって侵攻を進めている。一般的な町で、劇場等公共施設もある。
 逃げ遅れている人々も複数いるとの情報がある。

●敵組織について
 リーダーは「フランメス」というヴィラン。ドミネーターの副リーダーを務める男。彼は市長の所有物であった家の中で、手下に囲まれながら町が支配されていく様子を黙々と堪能するだけ。
 五つの正体は東西南北に別れ、片っ端から侵略を開始している。力を見せつけるために爆発物や力を使って建物を破壊。五人の隊長の力はエージェントと同等か、場合によってはそれ以上の強さを持つ。銃、剣、槍、二丁拳銃、レーザー銃――を各々の隊長が所有しており、隊員の武器は隊長に準ずる。

●愚神について
 宮本という男を操作する。糸を使って糸人形のように彼を使い、糸から放出されるライヴスが宮本の力を強大な物にさせる。打撃攻撃のみだが、一つの攻撃の威力が非常に高い。
 操られているが宮本は普通の精神を持っており、人々を自分の手で葬る事に悲鳴を響かせる。
 倒せば宮本を解放できるが宮本を盾にする事もある。

●宮本の英雄について
 ヒラナという名前の英雄は元々は宮本の英雄であったが、強引に契約を破棄され「レムシャムド」という男の所有物となる。通称レムは小隊のリーダーである。非常に残忍な男で、人から物を奪う事に悦楽を感じる。何から何まで奪い、エージェントの持つ武器さえ奪う。

●L町
 かつてこの町では魔女狩りが盛んに行われていたという。

リプレイ

 ビルの屋上の一室。シャンデリアは血塗られていた。その下には元々この部屋の主であった男が眠りについている。
「ここは街を見渡せていい。蟻のようだが、人間が逃げ惑う姿をじっくりと見ていられるからね」
 フランメスは言った。窓の外から街を眺める彼に近づいた部下はこう言った。
「エージェントがこちらに駆け付けていると」
「ああそう。八月は結構動いたのにまだ戦う力が残っているなんてね。面白い連中だよ」
 空に笑みを向けたフランメスは部屋にあったソファーに深く腰を預けた。隣にいる彼女の肩に腕を回す。
「新たな主の所へ行っておいで。ヒラナ」
 血の付いた刀を地面に捨てヒラナは頷いた。部屋を出て主の元へと向かったのだ。
「さあエージェント達の力を見る時が来た。どこまでの脅威を見せてくれるのか、楽しみじゃないか」


 街は地獄絵図だった。暴走するドミネーターの小隊達に惨殺される市民達、その姿を見て失望し自ら死を選ぶ市民達。
 勇敢な市民もいた。何発もヴィランに銃弾を撃ち込んで討伐を図るのだ。
 でもヴィランに銃弾は全く意味を成さない。誰も抵抗できない。一般市民は逃げる以外に選択肢がなかった。倒された後は足を折られ散々人体を弄んだあげく、射殺した。
「いや!」
 咄嗟に声を上げた女性は、彼が殺される一部始終を見ていた。
「この男の知り合いか?」
 女性は何も答えられなかったが、殺された男は女性の弟だった。二人で逃げていて、姉だけはぐれてしまったのだ。助けに戻ってきた時には遅かったという事だ。
「おい、この女の身ぐるみをはがせ。中々良い女だ」
「嘘でしょ、ねえ来ないでよ。ねえ!」
「大人しくしてろよ」
 五人で行動している小隊にはそれぞれ隊長がいた。隊長の命令は絶対で、部下は色々な命令に素直に従う権利がある。今くだされた命令を部下たちは喜んで遂行していた。
 命が奪われる事以上の恐怖を姉は感じていた。一人一人男が近づいてくる、彼女は悲鳴を上げながら逃げた。車の止まっている道路に中央まで飛び出したが追いつかれるのはすぐだった。
 弱々しい抵抗じゃ男を振り払う事はできなかった。
 失望感だけが彼女自身を取り囲んだ時、上空から何かが落ちてくる所が見えた。凧型の鉄、重量のある何か……。それは男の首に命中した。
「なんだ?」
 組織達が注意を向ける前には銃の音が何発も轟いていた。
 小隊長と組織員の中心部に入り込んだカグヤ・アトラクア(aa0535)は素早い身のこなしで双銃をヴィランに撃ち込んだ。斜め前、背後の敵に正確に銃口を向け、二人ずつ銃弾を命中させる。
 何発も銃弾が聞こえた畢竟、銃弾を撃ち尽くしてカグヤはそれを捨てた。
「いまだ、仕返ししろ!」
「そうはさせないよ!」
 気付けばカグヤ含む組織員達の周りを幾千もの刃が取り囲んでいた。
「そこまでだっ! 町を破壊する悪は絶対正義の前に滅ぶべし!」
 ユーガ・アストレア(aa4363)は指を鳴らした。直後に刃達は一斉に動き始め、範囲にいるヴィラン達を一斉に切り刻む。刃は竜巻のように舞い、血を空中に流した。
「カグヤさん、大丈夫ですかー!」
「うむ、無問題じゃ。よくやった」
 地面の埃がカグヤの姿を隠していたが、明けると毅然として立つカグヤの姿があった。上空から落ちてきた二つの銃を、それぞれの手に持つ。
「あんた、エージェントか」
 リーダーと思われるヴィランの一人だけが去った嵐の中から起き上がった。体中から血が出ているが、まだ目から戦意は失われていなかった。彼も手に二丁の銃を持っている。
「お主らの事はよく知っておる。ひとまず今は銃を置く事を勧める」
「チクショウ、役立たず共が」
 二対一はどう足掻いても不利から有利に覆される事はない。彼の手にした銃はアスファルトの上に落下した。カグヤの手で迅速に捕らわれた男もまた地面に倒された。自害阻止も済んでいる。
 ユーガは怯える市民の手を握った。
「一緒に町の外に避難しよう。歩ける?」
「大丈夫よ……。エージェントって強いのね、天使かと思ったわ」
「白い羽は生えてないけどね。あ、イリスさんは生えてたかな?」
 道路を突き抜け、崩壊した家屋達が連なる道を三人は走って通った。ドミネーターが遺した爪痕は至る所に散りばめられていた。
 カグヤは周囲に他に生存者がいないか確認していた。その間、クー・ナンナ(aa0535hero001)は民間人の女性に擦り傷が出来ている事に気づいて、ゆったりとした動作で消毒液を付けた後絆創膏を貼りつけた。
「ありがとう、おかげで痛みがなくなったわ」
「よかったよかった」
 一度共鳴を解くとカルカ(aa4363hero001)とユーガも付近を急いで調べた。
「ご主人様、こちらにはもう生存者がいないと思われます」
 ユーガは女性の手を取った。
「よし、じゃあ避難しよう! 動ける?」
「ええ大丈夫よ」
 予め地図を頭の中に入れ込んでいたカグヤは、比較的被害規模が少ないと思われる場所に彼女を案内した。


 煤原 燃衣(aa2271)は鉄道の線路の上で横たわっていた老人の胸に手を置き、心臓の動きを確かめた。
「生きているか」
 その隣で腕を組むネイ=カースド(aa2271hero001)の問いに、彼は首を振った。
「……許せない……何の理由があるんだッ」
「そうか」
 転がっていた石を掴んだ煤原は地面に思い切り投げつけた。彼の背中を黒金 蛍丸(aa2951)は優しく擦った。
 ネイは死者への弔いを済ませた。
「これで五十人だ。スズ、これ以上の犠牲を止めたくあれば立て」
「分かってますよ、ネーさん。だけど、こんな罪もない人を殺すなんて」
 苦渋に満ちた顔をして老人は息を亡くしていた。この町は本来の姿を失って弱肉強食の世界へと変わっている。煤原が目にする光景は、この町ではありふれていた。
「煤原さん……」
「もう大丈夫です。ありがとう、蛍丸さん」
 遺体を調べていた煤原は立ち上がって遠くを見た。煙幕が天に立ち上っている。
 得体の知れない感覚が蛍丸を視た。それは視線だった。何かを貫通させるような。方角が分かった黒金は顔を視線の根源に向けた。
 空気を割る音が空に響いた。
「蛍丸様!」
 詩乃(aa2951hero001)は流血した黒金の脇腹に手を当てた。
「蛍丸さん! 大丈夫ですか!」
「大丈夫です、ただの掠り傷……」
「酷い血の量だ……。誰が!」
「スズ、あれだ」
 ネイは水平の位置に立つ五人の集団に人差し指を向けた。奴らは道路の上で、エージェントを嘲笑うように見ていた。
 また、集団の中央にはイリス・レイバルド(aa0124)の姿があった。彼女よりも二倍以上大きな男に銃を突きつけられている。
「よう。探したぜお前ら。隊長から殺してこいって命令が来てるんでな」
「あなた達は……」
 黒金は痛みの疼く傷跡を手で押さえながら強気な口調で言った。
「奇遇ですね、僕らも探していたんです。あなた達を捕らえるようにと言われているので」
「その傷で? ハハ、上出来だぜスナイパー。一撃で仕留めるなと、俺の命令通りだ」
 フードを被った男は長い銃を下に降ろした。彼が黒金を撃ったのだ。
「ああいっとくけどこいつは人質なんかじゃねえぜ?」
 銃口をイリスの頭に軽く当てて、おそらく小隊長であるその男は笑った。
「せっかく殺すんなら仲間の見てる所でやった方が面白いだろ。何より俺が愉しいんだよ。それにこいつ、まだ幼い。多分純粋な心してるんだろうぜ、猫みたいに綺麗な目と顔をしてやがる」
 笑って、笑って……。
 オールバックの金髪を後ろに靡かせて、男は言葉を続けた。
「そんな奴が今から血に濡れるってだけで、滾ってくるぜ。……ったくなんか言えよ。俺だけが喋っても――」
 一秒だった。
 ――小隊長の男は顎に衝撃を受けていた。背中にアスファルトの硬い感触を得て、口の中に鉄の味が広がる。一瞬の出来事に過ぎなかった。
「お前の趣味の話はどうでもいい」
 煤原に向けて一斉にアサルトライフルの弾が発射された。彼はイリスを救出し、銃弾を躱しながら黒金の元へと避難した。弾丸の雨は容易く避けられる物ではなく、全身に多くの傷を残した。
「あ、ありがとう燃衣さん! 通信機で発見したって言おうと思ったんだけど、失敗しちゃって」
「結果オーライだよ、イリスちゃん。とりあえずこいつらに一発……いや十発お見舞いしてやんないとな。蛍丸さん、傷は大丈夫ですか」
「はい、もう大丈夫です」
「正面からの突破、お願いできますか」
「やってみます……!」
「何時も無茶な事ばかり言って……スミません……頼りにしてますよ」
 寝転がっていた小隊長は徐に起き上がった。片手にライフルを手にして、もう片方の手にはナイフが握られている。
「負けた時が楽しみだな。今の一発分、しっかりと礼を言わせてもらおうか」
 敵を視界に入れた黒金は雷上動を構えた。敵組織に向けた切っ先はが銀色に光っていた。


 中枢のビルを目指して、橘 由香里(aa1855)と防人 正護(aa2336)、沖 一真(aa3591)の三人が走っていた。
「もうすぐだ、足を止めるな!」
 ガラスで出来た自動ドア、近づくにつれてその向こう側が見え始めた。エスカレーターがあり、広々とした空間には受付カウンターのような物がある。そして中央には何人かの人間の影があった。
 逃げ遅れた人々だろうか。沖は走る速度を上げて中に近づいた。
「まずい、伏せろッ」
 声の数秒後にガラスが割れた。熱風が三人に押し寄せて入り口から遠ざけた。
 人影は市民ではない。小隊だった。
「よっしゃ、やっちまえ! 今だ今だ!」
 低い声の女性が叫んだ。その声と同時に隊員達は一斉に三人に駆け寄った。
 爆風のショックは凄まじく起き上がる事が難しい。耳鳴りがいつまでも続く。沖は走り寄る四人の男達に、抵抗の一つにブルームフレアを放った。それが効いたのだろう、追撃を受ける前に三人は立ち上がる事ができた。
「こんな所にいるなんてな、あんたらが」
「フランメス様からの命令なの。エージェント達がこっちに来た時に備えてってね」
「私達が来たっていつ分かったの? 街の外側に侵攻してるなら、ここに戻って備える時間は無かったはずよ」
「質問責めね、そういうのも嫌いじゃないけどねぇ」
 隊員達とは違う武器という事から、この女性はすぐに小隊長だろうと目星がついた。彼女は赤いロングヘアを指で触りながら、細い目で微笑んだ。
「偵察兵がいるのよぅ。兼スナイパー。彼は優秀よ、どっかの小隊に紛れているようだけど、彼があなた達を見つけたの」
「厄介な野郎だ」
「そうでしょ。それでどうする? フランメス様の所にいくには私達を退かなければならないんだけれどさぁ」
 隊員達は彼らの体よりも一回り大きな武器、レーザー銃を三人に向けた。一歩の動きが命の境目となる。
「簡単よ、こうすればいいの」
 後ろからの合図――。突然、小隊を漆黒の風が取り巻いた。
「今よ!」
 水瀬 雨月(aa0801)の掛け声と同時に三人は一斉に攻撃を仕掛けた。トリアイナが複数の敵を巻き込み地面へと伏せさせ、一瞬で小隊長の背後に回り込んだ防人は膝の裏を蹴って相手の体を落とした。
「防人さん達は先に! 私がここを抑えておくわ」
「任せられるか?」
 橘は頷いた。
 水瀬と橘が小隊の相手をする間に、防人と沖は先へと急いだ。カグヤ達に救援を求めた後、敵のリーダーを探した。フランメス……そう呼ばれた男が長なのだろう。その男はこの建物のどこかにいるはずだ。
 障害もなく、フランメスの後を追っていた二人は最上階へと着いた。
「ここか?」
「おそらくな。いいか、同時に突入する。中の警備は厳重なはずだ。戦闘が起きた場合、一瞬で終わらせるぞ」
「分かったぜ。合図は任せていいな」
 防人は三本の指を立てた。沖に確認してから、一本ずつ指を下げ始める。二本から一本になり、最後には握りこぶしが完成する。合図だ。
 作られた拳で彼は扉を破壊し、中へと侵入した。内部は黒服の男が何人もいた。
「誰だ!」
 正確な銃捌きだった。防人は次々と黒服の男達に銃口を向けてトリガーを引く。防人を狙う他の男達は刃に切り刻まれた。沖は牡丹灯籠から刃を発生させていた。
 先ほどの言葉通り一瞬で室内は掃除された。銃の残響が鳴りやまぬ中、たった一つの拍手が響きに混ざった。
「ブラボー。いいね、惚れ惚れするよ」
「あんたがフランメスだな」
 部屋の奥、二人に正面を向いてソファーに座っていたフランメスは顔を起こした。
 白いワイシャツに、長く黒いコートを羽織っている。エメラルドの色をした髪は、華やかさを目立たせていた。
「簡単に捕まえる事ができるとはな。ドミネーターといったか、お前らも所詮はただのヴィランズ集団に過ぎなかったってことだぜ」
「捕まえる? 僕はまだ捕まってない」
「諦めろよ。お前のボディガードはもういないんだぜ」
「確かに……そうだね。でもたった二人で僕を捕まえようなんて舐められたものだ」
「フランメス。これ以上のお喋りは時間の無駄だ。身柄を拘束させてもらう」
 厳しい口調で防人は言い放った。すると含み笑いを漏らしたフランメスは優雅な仕草でソファーから立ち上がって両手を広げた。
「ほら、きな」
 沖と防人は目を合わせて同時に左右から攻撃した。床に横たわる遺体達に気を付けつつ。銃弾と杖がフランメスを襲った。
 金輪の綺麗な音が鳴った。聖杖からだ。
 銃弾はフランメスの手に当たった。杖も命中した、しかし彼は一切身動き一つしなかった。優雅な態度は失われなかったのだった。もう一度引き金に指を置いた防人はしかし、引く事はできなかった。フランメスは急角度に足を上げ彼の胸部を蹴り飛ばしたのだ。
 右からは聖杖が迫っていた。その杖を両手で掴まれた沖は身を引いたが、後ろには壁があった。
 力強い拳が勢いを増して迫っていたが、しゃがんで間一髪の回避が成功した。
「ほら、もっときな」
 目の前に倒れている遺体を足で退かしたフランメスは、沖が簡単に近づける道を作った。
「てめぇ……!」
 沖は再び黒い刃を召喚すると、刃と同時に走り始めた。
 迫ってくる幾つもの黒い刃。怖気づかず、フランメスは両足を浮かせてその間を潜り抜けながらコートの中から二丁のサブマシンガンを取り出し、沖に放った。沖は杖で全て弾き返してすぐに正面まで来ると、力強く杖を振るいフランメスを床に叩きつけた。
 追撃を腕で防いだフランメスは両足で沖の首を蹴り、すぐに起き上がった。
「終わりだ」
 その言葉の真実性はすぐに証明される。気付けば防人は背後を取っていたのだ。腕を首に巻き付けて体を固める。
「どうしてこの町を襲った? お前の目的はなんだ」
「世界征服さ」
「征服……だと? そんな下らない理由に、たくさんの人々を犠牲にしたのか」
「僕たちは遊びでやってるんじゃない。世界を征服する必要があると信じてやっているんだ。世界はあまりにも統一されなさすぎている。全人類には共通の指導者が必要だ。だから僕が身をもって、その役目を担う事にしたんだ」
「なぜこの町を襲った。この質問に答えろ」
 少し間を置いて、フランメスは言った。
「チャンスはくれてやった。僕の思想に協力してくれればまだ、救いの余地はあったんだがね」
「話しは終わりだ。沖」
 名を呼ばれ、沖は杖を構えた。迅速に物事は行われる。沖の手にした杖はフランメスの腹部に命中した。血が床に吹き飛び、彼はうつ伏せに倒れた。
「お前の思想もこれで終わりだな」
 強烈な一撃だったのだろう、饒舌な口振りをしていたフランメスは何も喋らなくなった。防人はグレイプニールを使って拘束した。
 ライヴス通信機を手にした沖は、全員に目の前の事実を伝えた。朗報だ。
「俺だ。フランメスと名乗る敵副リーダーを確保した。これで一安心だな」
 ――待って。
 月夜(aa3591hero001)は沖に語り掛けた。
「ちょっと待て。……どうした、月夜」
 ――様子が変。何かいる。
 沖は最大限の注意を周囲に払った。何かいる、その月夜の感知が正解だと分かる頃、衝撃が部屋全体を揺らした。
「くそ、沖!」


 バイクに乗りながら人民の救助を行っていた天宮 愁治(aa4355)は、沖からの通信が途絶えた事に焦燥感を募らせていた。
「沖さん? 沖さん――どうしたんだだろう、電波障害か何かか?」
「危険です、ご主人様」
 後ろに乗っていたヘンリカ・アネリーゼ(aa4355hero001)は前を指さしながら強い声で言った。
「おっと!」
 危うく民家に衝突する所であった。誰も中には住んでいないが……。
「急いで沖さんの所に向かうしかないかなぁ。……って、あれ子供か?」
 誰も住んでいなかったと思っていた家の中をよく見れば、まだ若い女の子がリビングの椅子に座っていた。中学生くらいだろうか。
 バイクから降りた天宮はすぐに女性に近寄った。女性は天宮に怯える事なく、頭を下げた。
「ここは危険なんだ。一緒に外に行こう。今はおっかない人達はいないから、ね」
「この子は耳が聞こえないそうです、ご主人様」
「マジか」
 彼女は少し困惑していた。全く喋らず、その様子から本当に耳の機能を失っている。
「手話ってできる?」
「無茶を言わないでくれると助かります」
「はあ本当に……もっと有能なメイドなら良かったのに。親はどこにいったんだろう」
 家の中に保護者らしき人物は見えなかった。
「とりあえず飴さんでも食べようか。ホラ、うんいい子だ」
 天宮は飴を手渡した。耳の聞こえない少女は喜んで受け取って、すぐに舐め始めた。
「近くに安全な建物があったはずです。ご主人様、そこまで案内しましょう」
「そうだね。ほら、手を繋いで。よしよし」
 まだ被害の少ない地域の施設に移動された少女は、再び天宮に礼をした。残念ながらそこに親の姿はなかった。
 バイクで再び移動を開始して、数分経った頃に三人のエージェントの姿が見えた。
 そこには小隊の集団もいた。天宮はその方向へ旋回して、ウィリー走行をしながら接近した。バイクの躯体に身を隠しながらブレイジングソウルで牽制し、敵陣中央に突っ込んだ。
「皆大丈夫かい。ちょっと遅れたけど助っ人登場だよ」
「助かるよ! ちょっと危なかったからさ……!」
「邪魔が入ったかよ、クソ」
 イリス、黒金、煤原の三人が部隊と対峙していた。戦況は厳しいように見えた。三人とも目立つ傷がひどく、服も汚れている。天宮はバイクを降りて三人へと向かった。
「敵の数は五人です、ご主人様」
「了解したよ。さて、どうするかな」
「……まあいい、下っ端が一人増えただけだろ。何も変わんねえ」
「ボク達を下手に見ると、痛い目みるよ、君たち。街を滅茶苦茶にして、絶対に許す訳にはいかないよ」
「子供がなんか言ってやがる。ハッ、調子乗んじゃねえぜ!」
 組織達は一斉に機関銃を発射した。天宮は急いでバイクを降りて、四人で一緒に物陰に隠れた。
「三人とも、傷は大丈夫?」
「大丈夫です。スミません、もっと早く片づけて他の援護に行くつもりだったんですが、侮れない相手みたいで」
「そうみたいだね。スチャースさんの情報通りだと、まだあの小隊は誰一人として倒れていない事になる。五人揃っているから」
「彼らは強い武器を持ってるんです。持っているのは機関銃だけでなく、一人は狙撃銃を手にしています。他にもサバイバルナイフ、ガトリング銃など重火器を持っている隊員もいました」
「スナイパーが強いんだよ。ボク達が攻撃しようとすると阻害してきて」
「黒金さんが陽動して注意を引きつけてくれても、スナイパーはその行動に気づいてボクを狙う。頭のキレる奴で」
 たくさんの銃声が鳴った。彼らは無鉄砲に、四人が隠れている物陰を撃ち続けているのだ。
「出て来いよ! つまんねえぞ!」
「煩いなぁあの人は……。なら一斉に攻撃を仕掛ければ、あのスナイパーも意味を成さないだろうね」
「天宮さんが来てくれたおかげで何とかなりそうです。本当にありがとうございます」
「うん、頑張るよ。それで、僕がこのロケット砲で先手を打つ。その間に皆に攻撃を任せたい」
「おっけー。ボクに任せて!」
「僕も陽動を続けます。天宮さんに続いて、敵の集団を攪乱してきます……!」
 四人は目で意志を確認した。天宮はフリーガーファウストG3を装備すると、物陰から勢いよく飛び出した。
「こっちだ!」
 ロケット弾が発射され、敵の中心部に命中した。火柱が立った。
「やりやがってェッ!」
「こっちだ」
 小隊長のすぐ真横に煤原はいた。厄介なスナイパーは彼に全く気付かなかったのだ。なぜかといえば、それはイリスの成果だろう。金色の斬撃が狙撃銃に命中し、銃の軌道を逸らした。イリスはすぐに近づき、影刃でスナイパーを斬りつける。
 目に追えない動きだった。小隊長は武器を煤原に向けたが引き金に手を掛ける前に怒涛の攻撃を食らっていた。膝、肩、関節を破壊された小隊長は地面に倒れたが、煤原の攻撃はまだ終わらなかった。マウントを取ったと思えば、エクスプローションナックルで腹部に打撃を与え、爆炎と共に意識を飛ばした。
 三人の隊員が黒金を囲んでいた。小隊長を撃破した所を目にした黒金は、目の前の敵に集中する。童子切を手に強く握りしめ――素早い速度で背後を振り向くとそこに立っている隊員に刀を投げた。その刀は深々と隊員に突き刺さり、黒金はすぐに回収しに近づいた。
 ――蛍丸様、左に注意を。
 的確な詩乃(aa2951hero001)の援護で左方から飛ばされる銃弾の数々に気づき、回転した童子切で防いだ。隊員の持っていた銃を奪って一人に命中させ機動力を削ぐ。残りの一人に、前転して急接近した黒金は足で膝に打撃を与え、刀で様々な箇所を斬りつけた。
「くそったれガキゃぁ!」
 二人の隊員は息を合わせて銃を構えて黒金を狙った。瞬時に防御の構えを取った黒金だったが、地面に倒れている隊員が彼の足を掴み行動を阻害した。
「あ……!」
 思わぬ爆発が起こり、二人の隊員は吹き飛ばされた。天宮の援護だ。
「助かりました!」
「うん。これで全員終わったかな」
「いや、まだイリスさんの所に……」
 フードを被ったスナイパーは片手にナイフを、片手に拳銃を持っていた。銃でイリスを牽制していたが、イリスは全てをシールドで弾く。その隙に接近し、刀でスナイパーの肩を突き刺した。
 武器を捨て、血の出た肩を抑える。
「わざわざ手加減してやってるんだ、――泣いて喜べ」
「ク……」
 沈黙の睨み合いが続いていると、不意に黒煙が周囲に発生し始めた。真っ黒で、イリスは咳き込んだ。
 黒煙が開く。スナイパーの姿はなかった。逃亡したのだろう。
「逃げたのか。ひとまず隊員達を拘束しよう」
 周囲を警戒しながら、四人は隊員達の拘束を急いだ。
「ふむ、奥歯に仕込んだ毒だとか、猿轡を飲み込んで窒息とかは聞いたような気がするね」
 そう言ったのはアイリス(aa0124hero001)で、隊員達を見下ろしていた。
「じゃあどうするの?」
「はははっ、顎でも外しておくかい。服も剥いでやりたい所だけど、中枢に向かった人達が心配だ」
「ボクも同意します。急いで向かいましょう。ああ勿論、民間人の人達も助けつつですが。三人は先に向かっていてください。ボクは少し、やる事が残っているので」
「分かった」
 煤原はまだ意識の残っている隊員を強引に起こしてこう言った。
「五秒以内に答えろ。殺しはしない……五秒ごとに《使えない体》にする」
 そしてカウントダウンが始まった。
「俺達が何か言うと思ったかよ。はッ!」
 五秒はすぐに経過して、隊員の一つの指が壊れた。獣に似た咆哮が隊員の口から飛び出した。
「もう一度だ。五、四」
「この程度痛くねえよ、はは。まだ南米のおっかねえ奴らに拷問される方が――」
 咆哮が響いた。
「分かった!」
 起こした体を今度は強引に地面に降ろした。
「リーダーの場所か? それとも他の仲間の事かよ」
「他部隊の構成と、目的を教えろ」
 隊員の男はその質問に赤裸々に答えていった。他の部隊の武装、場所と行動まで。そして目的の事は、こう口にした。
「復讐だよ。ああ。復讐だ」
「どういう事だ」
 そのまま、男は黙った。復讐という単語を出して、不気味な笑みを表情にした。
「俺達のした事はそう、復讐だったんだ。間違った事じゃない。正しい事だった! 正しい事なんだ!」
 ライヴス通信機が音を立てた。黒金からだ。
「煤原さん、救援をお願いします!」
「分かりました、すぐに向かいます……ッ」
 通信機の向こう側から爆音が聞こえた。煤原は狂ったように「正しい事」と言う隊員をそのままにして救援に向かった。


 天から正義の高らかな声が空間を駆けた。
「あの赤い子、あなた達の知り合い?」
 受付カウンターの天井の上でユーガはロケット砲を構え、敵陣に狙いを定めると即座に弾が発射された。
「どっかーん!」
「まずいわね、一旦退きなさい!」
 固まった五人の隊員達は四方に散らばった。逃げ遅れた一人の隊員は強く地面に叩きつけられる。
「救援にきたのじゃ。怪我はないか?」
「無い事もないけど、大丈夫よ。大した傷じゃないわ」
「無茶は厳禁じゃからな。とはいえよく二人で時間稼ぎをしてくれたのう」
 四方に散らばったおかげで、固まった戦法ができなくなった小隊。その隊長は大声で隊員達に命令を下した。
「プランBでこいつらを始末するのよ。滅多撃ち。蜂の巣が出来上がるまでねぇ!」
 四方に散らばった隊員達の光線銃から一度に大量の光線が発射された。色とりどりだ。
 三人は回避に専念した。橘は一度身を屈めると、高く跳躍して光線銃の射程から外れた。彼女に気づいた隊員の一人が攻撃線を移して狙うも、悉く光線銃は外れて橘の接近を許した。
「この女!」
「足元、いただくわ!」
 トリアイナで武器を絡めとった橘は、狙いを足へと定めた。ところが頑丈な防具で出来ており、隊員は怯まなかった。逃がさないよう橘の腕を掴んだ隊員は肘で彼女の腹部に強い一撃を与えた。
 カグヤは腕を交差してドイスプレザを、目の前の女性隊長へと全弾発射した。
「全然痛くないわねぇ。すごいでしょ? これお手製の防弾チョッキ。しかも対リンカー用の。銃弾だけじゃないわよぉ。あらゆる攻撃を防ぐの」
 近くで爆発が起こった。他の部隊員にユーガがロケット砲を放ったのだろう。その射程内には小隊長も含まれていたはずだが、彼女は身動き一つ取らなかった。
「状況がこうじゃなければ、技術について色々訊ねてみたかったんじゃが、残念じゃ。――銃弾には耐えられても、こいつは無理じゃろうな」
 銃をしまったカグヤは、次にゲッターデメルングを女性隊長に見せつけた。これはチェーンソーで、駆動音が高鳴る。
「無理だと思う?」
「やってみるかのう」
 にんまりと笑うと、カグヤは一気に走り始めた。
「それは無理よッ!」
 回転する刃を回避した部隊長は光線銃の先端をカグヤの胴体に振りかざした。背中に命中し、奥へと追いやると隊長は照準を合わせ、すぐに引き金を引いた。光線がカグヤへと向かう。
 突拍子もなく、カグヤの周囲を盾が回転し始めた。
「カグヤさん、大丈夫?!」
「うむ。助かるのじゃ」
「へえ、あの可愛い子こんな事もできるんだ」
 彼女の命令で、隊員の一人がユーガに向かった。ロケット砲の攻撃を回避し続け、光線銃の十分な射程まで来た。
 前触れもなしに、突然だった。建物が揺れ始めたのだ。全員は一斉に行動を止めた。
「一体何?」
 敵の女性隊長が言った。
「知らぬのか」
「こんなの作戦にないわよぉ。突然本部が揺れるなんてねぇ」
「何か、来るわ。こっちに近づいてきてる。上からよ」
 水瀬の声に、天井に注目が集まった。建物が揺れると同時に破壊音が聞こえ、その音は少しずつ大きくなっていく。
 三、四、五回ほどその音が聞こえた。
 ――天井が何者かによって破壊された。瓦礫と共に、人影が見えた。只者ではない。ユーガは埃の舞うその位置を、戦闘態勢を崩さず凝視していた。
「何事……?」
 すると彼女に向かって何かが勢いよく飛ばされた。それはガラスの破片で、ユーガは咄嗟に回避する事ができなかった。
「ぐわっ!」
「ユーガさん! こいつ……一体何者なの……?!」
「ちょっと待って、あれって」
 砂埃が風に攫われ、鮮明に目の前の状況が確認できるようになった。上から落ちてきたのは怪物ではない、ただの一般人であるという事。そして落ちてきたのは一般人だけではないという事。一般人の真下に、沖の姿があるという事。
「大変じゃ、すぐに手当てをしなければならぬ」
「だから、僕に近づかないでっていったんだ……」
 一般人で、日本人の男は震える声でいった。彼から発せられる声の音は人間の物ではない。人間の声に、何か別の声が重なっていた。
「貴方……リンカーね? それともヴィランかしら。あまり楽しそうに暴れているようには見えないけれど。投降しなさい」
 ――おかしな様子じゃ。人間の動きのようには見えぬが……。
 飯綱比売命(aa1855hero001)が橘に語り掛けた。橘も、飯綱比売命の感想に同意して、警戒した。
「彼は宮本っていう名前よ」
 水瀬が言った。
「面識があるの。悪い人じゃないわ、私が保証できる」
「ふむ? まあよい。宮本とやら、そこを退け。何があったのかは後で問おう。まずはその下にいるリンカーに手当てをする必要があるのじゃ」
 カグヤは宮本に近づいた。
 しかし宮本は怯える目でカグヤを見た。
「僕に近づかないで! お願いだ、誰も近づかないでくれ!」
 様子がおかしい――カグヤは銃を手に持ちながら近づいた。用心深く、いつ彼が行動しても良いように。
 彼の行動はカグヤの予想を最高に裏切った。宮本は強い力で、しかも瞬く間にカグヤを何フィートもある天井に打ち上げたのだ。
「や、やめてくれぇ! これ以上僕を、操らないで!」
 空中で受け身を取ったカグヤは、宮本から距離を取った。
「なるほどぉ。あなたが宮本ね。フランメス様から聞いてるわ。……フフフ、なら話は早い。エージェントのあんたらは負け。大人しく投降なさいねぇ」
「どういう事? 宮本さん、本当にあなた、なのよね?」
「愚神に操られてる。この手で一般市民を、殺してしまった……! 頼む、僕から離れてくれ!」
 女性隊長は宮本に近づいた。そう、彼女は仲間なのだ。全てはフランメスが計画した事。
「愚神……スチャースからの情報にあった奴じゃな」
 だから女性隊長だけは接近しても無傷でいられるのだろう。勝ちを宣言するような表情をして、隊長は宮本の頭に触れた。
 結果から言えば、違った。
 愚神に操られた宮本は女性隊長の首を掴んで地面に叩きつけた。
「な、何」
「よせ、よせ……頼むやめてくれ。これ以上人を殺したくない、よせ! やめろ止まれ! やめてえぇ!」
 叩きつけられて動けない女性隊長。宮本の腕が彼女に向かって振り下ろされた。
 彼女の仇を取るかのように隊員達は一斉に光線銃を宮本に撃ち始めたが、素早い動きでそれらを全て回避して宮本は一人一人、正確に装甲を破壊した。部位破壊等、可愛い物だというように。
「もう、やめてくれ」
 沖はまだ生きていた。カグヤは急いでその場所へと向かい、意識を朦朧とさせている彼に真っ先に治療した。
「もう大丈夫じゃ」
「カグヤさん……、俺は」
「ひとまず休むのじゃ。確かチョコレートを持っていたじゃろう、それを食べておくといい。愚神に操られた男の事はわらわ達に任せておけ」
 惨劇は容易く繰り広げられていった。この様子を見ると、沖が生還していたのは五割程奇跡だろう。
「まず、奴をどうするかじゃな」
 沖を安全な場所へと移したカグヤは、すぐに仲間達の所へと走った。


 黒金達の行く手を、小隊達が防いでいた。彼らは剣を手にして、横に一列に並んでエージェントが来るのを待っていたのだ。
「一般人達を斬り殺すのには飽き飽きしてたんですよ」
「どこまで人々を愚弄すれば気が済むんですかッ!」
 この小部隊は一人を除く四人がガスマスクを被っていた。中央にいる金髪の男だけが何も身に着けていない。
「俺はレムシャムドと言います。正直な話あなた達を殺すのは勿体ない。我々は強いが、その我々を抑えているあなた達はドミネーターに必要だと、思ったんですね」
「引き抜きなら応じないよ。当たり前だけど」
「勿論ですよ。必要ですが、あなた達はならないでしょう。分かりきった事です。フランメス様はだからあなた達を殺せと、我々に命じた。だから殺すんです」
「市民の人達も、殺せと命じられたから殺したっていうのか」
「それは趣味です」
 イリスは足を一歩前に踏み出した。煤原は手を出して、イリスの早とちりを防いだ。
「殺人が趣味だって?」
「何かを奪う行為、俺はそれが好きなんですよ。ほら、日本語でも命を奪うとは言うじゃないですか」
 エージェント達を一瞥して、レムシャムドは立て続けに非道なストーリーを語った。
「今俺が共鳴している英雄も人から奪った物なんですよ。フランメス様が洗脳したら、簡単に堕ちた。調教は俺に任されまして今に至るんですけども」
「遺言はそれだけか」
「それは、どちらになるでしょうね」
 天宮はヘンリカと共鳴し、戦闘態勢を整えた。ヘンリカはリンドブルムを両手に握り締めた。
「やれ」
 二つの勢力は一斉に動いた。イリスはジャンヌを展開して妖精郷を形成すると、少し遅れたが彼女も続いて走り始めた。自分の正面にいた隊員一人に刃を突きつけたが、力は向こうが一枚上手でイリスの刃は弾かれる。彼女の剣は真上を向く。再び剣身が下がる前に隊員はイリスに攻撃していた。
 不純な痛みだった。しかしイリスは少し呻いただけで怯まなかった。むしろその剣を掴んでいた。手から血が流れる事を構わず。
「私の妖精郷の中で狼藉を働くつもりかい」
 そう言ったのはアイリスだった。
「ならば相応の覚悟で挑みたまえ」
 垂直に伸びた剣をへし折ったイリスは刀で隊員の胴体を貫いていた。その動作は綺麗で、全く無駄がなかった。冷静で落ち着いて、隙がない。隊員は地面に手足をついて、上を見た。そこには剣の柄がある。自分の脳天に真っ先に伸びてくる光景が最後となった。
 功を奏したのは再び天宮のフリーガーファウストだった。五対四で不利だったエージェントに、有利な状況が発生したのだ。銃弾は剣で防いでも、ロケットまでは防げない。イリスに倒された一人を除いて、四人はやむを得ず陣形を崩していた。その刻に狙いを定めた。
 黒金の陽動は上手く響いた。煤原はレムシャムドの懐に一気に入り込み、その胴体に強烈なエクスプローションを叩きこんだ。
「なるほど、H.O.P.Eの支給品にはそのような物があるのですか。……これは手強い」
 レムシャムドに喋る暇を与えず、煤原は連続で攻撃を繰り出していた。
「攻撃は最大の防御という訳ですか。なら俺も、同じ手を使いましょうか」
 バク転で後方に回避したレムシャムドは頭上に剣を掲げた。すると数多の剣が煤原の頭上に召喚され、一斉に落下した。地は割れ空は裂かれる。
 その範囲は煤原を助けようと飛び込んだ黒金にも及んだ。


 杖にライヴスを込めて雷の槍を形成し、水瀬は対面上に立つ宮本に投げた。
 どうしてか宮本は回避しなかった。槍を受け呻く事は彼にも予想が出来たはずだというのに。
「避ける必要がないのじゃな。宮本は操られているだけじゃろう、本体にダメージは向かわないのじゃ。問題なのはどう操っているかじゃのう」
「私に考えがあるわ」
 槍を直立した宮本に向けて、橘は言った。
「愚神は糸のような物を使って操っているのかもしれないわ」
「確かにそうとも言えるけど、それをどう確認するのかしら」
「その考えがあるのよ。ユーガさん、私の援護をお願いできる?」
 受付カウンター屋根から移動して今度は更に高いテレビモニターの上でユーガは宮本を狙っていた。
「おっけーいいよ! 援護なら任せて!」
 橘が助走をつけて跳躍した時、デスソニックの大きな音が宮本の足元で鳴った。その音に気を取られる時間に背面に着いた。目覚まし時計が鳴り止むと宮本はくるりと後ろに振り返り、片腕を伸ばして大きく振った。その距離の上に橘はいない。
 大きな動作の後の隙で橘は槍を顔面に向けて突いた。だがそれはフェイントだった。
 不自然な動きを宮本が取った。自然な流れで言えば前のめりになるはずが、咄嗟に後ろへと回避したのだ。操り人形がまさに、強引に動かされているようだった。
「やっぱり……!」
 トリアイナの刃を水に変換して、水飛沫を宮本の頭上に飛ばした。見えなかった糸に露が纏い、五本の糸が両手足、頭につけられている事に気づいた。
 次に橘は刃を使い、五本の糸を真横から全て切り落とそうとするが、追撃は失敗した。宮本は橘の服を掴んでユーガの座るテレビモニターへと強く投げつけたのだった。
 激しい衝撃でモニターは地面へと落下した。
「橘さん大丈夫?!」
 地面に降りたユーガは真っ先に橘の事を確認した。モニターの下敷きになり身動きが取れていない。
「ユーガは橘を助けるのじゃ。後はわらわ達に任せるが良い。水瀬、先手は任せたぞ」
「分かったわ。長期戦は不利、という事ね。ここで決着をつける必要がある……」
「その通りじゃ。まだ小部隊達も野放しになっておるしな」
 宮本の周囲に黒い風が舞い始めた。
 チェーンソーの音。
「頼む、僕を殺してくれ……!」
 凶器の接近に、宮本は喜々とした表情を浮かべた。人を殺し続けるくらいなら、リンカーに殺された方が何倍もマシなのだと。
 黒い風が開いて、カグヤが目の前にいた。宮本は立ち止まっていたかった。にもかかわらず自分の右手が動いて、その手はカグヤの腹部に向かっていた。思わず宮本は目を瞑った。
「大丈夫だ、そうはさせねえよ」
 真後ろからの声に宮本は、目を開いた。傷から立ち直った沖が彼の右腕を掴んでいたのだ。その間にもカグヤは、橘が明らかにした糸を一遍に切り崩していった。
 糸が切れて、宮本は倒れた。チェーンソーを地面に置いたカグヤは彼の体を支えた。
「大丈夫かのう?」
「ありがとう……。本当に、ありがとう」
 糸が切れて、上から真っ逆さまに愚神が落ちてきた。ドレスを着た女性の愚神。ユーガがその存在に気づいて逃げる前に叩き落としたのだった。
「フランメスめ、逃げやがって……!」
 前からはカグヤのチェーンソー、後ろからは沖の杖。上からはユーガ、空中からは水瀬。愚神に逃げ場はなかった。
「殺したいなら殺してもよくてよ?」
「その前に一つ聞きたい事がある。お前はフランメスとどういう関係だ」
「単純よ。雇う側と雇われる側。もしこの作戦に成功したら、捕らえた人民のライヴスを吸収させてくれるって約束だったのに残念」
「いやによくしゃべる所、奴にそっくりだぜ」
「そう。フフ、早く殺しなさいよ。別に死ぬのなんて怖くないから」
 ――ヒラナ……。
 小声で宮本が呟いた。
「なんじゃ?」
「僕にはヒラナっていう英雄がいて、ドミネーターの奴らに取られて……強制的に誓約を破られたんだ。彼女は洗脳されて、小隊の誰かのリーダーの英雄になってるはず! 助けないとッ」
「沖、こやつの処理を頼めるか。わらわ達は急いで宮本の英雄を探しに向かうのじゃ」
「勿論」
 三人がビルから出た後、沖は杖を手にして愚神の頭にコツンとぶつけた。最初は優しくだ。
「少し痛いぞ」
「別に怖くないから。それとも何? 同情でもしてくれる?」
「それは諦めろよ」
 杖を上に持ち上げて、再び、今度は強く振り下ろした。
 打撃した場所から光が漏れ出し、愚神は浄化された。灰のように少しずつ崩れ始め、やがてその場から愚神の姿は消えた。


 黒金、煤原を護ったのは紛れもない。イリスであった。イリスは二人の上から剣の雨が降り注ぐのが見えて、二人に傘を差したのだ。ライオットシールドは全ての剣を弾いた。
「ありがとなイリスちゃん。助かったよ」
「仲間想い……ですか。邪魔な思想を――何……?」
 攻撃に足を踏み出そうとしていたレムの動きが止まった。剣が倒れた。
「なぜ動かないッ」
「英雄が、あなたの事を拒んでいるんです」
「そんな事はありません、決して……決してッ」
「それ以上は悪あがきだよ。諦めて負けを認めるといい」
 アイリスの忠告を聞き入れる事はなく、レムは落ちていた剣をぎこちない動きで拾った。その剣を投げ飛ばそうと、レムは体勢を取った。
 ブレイジングソウルの照準をレムに合わせた天宮は戸惑いなくレバーを引いた。銃弾は真っすぐに、その方向へと一寸の狂いもなく向かった。
 刹那に、レムは笑った。
「そんな!」
 全てレムのフェイントだったというのか――。レムの正面には女性が立っていた。考察の余地なく、その女性は彼の英雄だ。銃弾が当たる直前にレムは共鳴を解き、彼女を囮に使ったのだった。
 時計が止まった。いつまでも動かなくなる、そんな気さえしていた。
「ヒラナ……?」
 最初に時を動かしたのは宮本だった。彼の周りにはカグヤ達もいた。
 ヒラナと呼ばれた女性は宮本の方に顔を向けると、意識を失って血だまりの地面の上に倒れた。
「最後まで役に立ちましたよ。その女は」
「ふざけるな!」
 イリスは盾で思い切りレムを殴って床に倒した。そのうえに馬乗りになって再び顔面に剣の柄を叩きこみ、首筋に切っ先を突きつけた。
「そこまでじゃイリス。それ以上は任務にない」
「イリス、私も同意見だ。気持ちは分かるが……」
 切っ先はそれ以上動かず、ただ口を醜く歪ませた男をイリスは睨みつけるだけだった。
「俺は昔、家族を殺した事があるんですよ」
「何……?」
「仕方なかった。彼らは魔女狩りの賛成派だったのですから。俺は英雄と誓約を結んで、彼らの言う所の魔女になった。でもね、家族は俺を殺そうとはしなかった。それはそうでしょう、子供を殺す親はいませんから」
 ――でも子供は親を殺せるんです。
 白と黒、どちらも混ざった声音で彼は続けた。
「魔女になったのは良い機会でした。俺は嬉しかった」
「何が、言いたいんですか」
「俺とヒラナの誓約内容なんですが。俺の過去を聞く事、なんですよ」
「それって……! ヒラナ様……!」
 誓約の意志が薄弱になったヒラナの体は徐々に薄くなり始めた。
「おいヒラナ、大丈夫だよまた僕と誓約を結べば助かる! ……でも、なんで返事をしてくれないんだよ。そんなんじゃ誓約を結べないじゃないか!」
「起きてください、ヒラナさん! お願いします、起きて……!」
「頼むよ、起きてくれよ!」
 雲ひとつない晴天だった。誰も、彼女の旅立ちに邪魔はしない。雲さえも。風も吹かない。彼女は用意された道をただ歩んでいった。


 人のいない路地裏、フランメスは悠々自適にその道を歩いていた。
「作戦は中止だ。この町から撤退しろ。愚神のために捕らえておいた人質の事は忘れるといい。エージェントに見つかる前に撤退しろ、いいな」
 通信機を切ったフランメスは、前に見えた人影に目を凝らした。
「これはこれは、まだ生きていたとは」
「フランメス、お前の作戦は失敗している。この町の被害は少なく抑えられて、四つの小部隊が破滅している」
「その通り。だから僕は帰ろうとしてたんだけどね」
 目の前の道は防人が封じていた。
「でも僕を捕らえようとするのは無茶だ。今の君の体では特にね」
 防人は先ほどの戦闘でフランメスに重い傷を負わせられていた。
「また会おうか、それまで死なないでくれよ」
「逃がすかッ」
 ラインガンでフックを射出し、街の中に逃げるフランメスを防人は銃で食い止めようとしたが、正確な命中はできなかった。
「逃げられちゃったのう」
 古賀 菖蒲(旧姓:サキモリ(aa2336hero001)は共鳴を解き、防人の傷口を手で撫でた。
「大丈夫?」
「大した事はない」
 路地裏の入り口から月夜が姿を見せた。防人を探していたのだ。
「こんなところに……。皆待ってます。その傷、カグヤさんに見てもらった方がいいですね」
「悪いな。すぐ戻ろう」
 防人はフランメスが逃げた方角を目で追った。もう奴自身はいなかったが、残滓はまだ残っていた。とても残酷な後味だ。

 街では傷ついたエージェントや市民達を、カグヤとクーが手当てしていた。
「カグヤさん!」
 作戦中、カグヤと一緒に行動していたユーガがにこやかに彼女の側に寄った。
「前衛頼りにして攻撃がボクのクラスの運用ってわかったよ。ありがとう」
「うむ。ユーガもよくやってくれたのじゃ。良いサポートだった」
 ユーガは手を出した。握手の合図だ。カグヤも倣って、二人は堅い握手をした。
「カグヤ様のチェーンソー捌きは見事でしたわ。見惚れてしまうほどに」
 ここにいる市民の中には救えなかった人々もいた。
「良心が痛む、そんな顔じゃのう」
 飯綱比売命は目を瞑る橘の肩を叩いてそう言った。
「そうね。そう見えるという事は、そう考えているという事だわ」
「宮本の事か?」
「彼も気の毒だけど、他の人達も。……最初に中枢を叩くって言った時点で救えない人達が出てくる事は分かっていたわ。でも目の当たりにすると、話は別ね」
「弔いは良いが、過剰な悲劇を背負うのは感心しないのじゃ」
 バイクがカグヤの所まで走ってきた。黒金が乗っていて、後ろに怪我人を連れていた。詩乃と協力して怪我人をカグヤの所まで降ろした。
「カグヤ様、重病の方です。元々心臓病を患っていて……」
「大変じゃな……発作が近い。詩乃、手伝ってもらえるか。黒金は引き続き街の捜索を頼むのじゃ」
「分かりました」
 どんな状況になっても眠ったままのアムブロシア(aa0801hero001)に気をよせながらも、水瀬は煤原と一緒にカグヤに何か手伝えないか訊いた。
「人手が多くて助かるのう。まずは道具が必要なのじゃ。薬じゃな」
「それを探しにいけばいいのね」
「名前を教えてくれますか。すぐ取りにいきます!」
 彼らの後ろで、防人を連れて月夜と古賀が戻ってきていた。沖はフランメスの行方を尋ねたが、防人は首を横に振った。
「すまない」
「仕方ありません。もしまた次に姿を見せる事があったら、その時こそ捕らえてやりましょう」
「俺はもう一度探してくる。奴の首を探しにな」
 ネイは武器を手に街の中にフランメスがいないか念入りに散策を開始した。おそらく、その成果は出ずに終わるが。
 俯いたまま一分ほど目を閉じていた橘は目を開けて動き出した。と、そんな彼女に天宮が飴を差し出した。
「皆に配ってるんだ。少しでもさ、プラス思考の救いになればなって」
「ありがとう。美味しそうね、随分」
「喜んでもらえてよかったですね、ヘンタイ様。ああいえ、変態様」
「何が違うんだろう……」
 この光景も、どこかでフランメスは見ているのだろう。橘は空を見上げた。その方向にフランメスはいないが、この空を、どこかで奴は見ているはずだ。だから空を代弁者として、橘はフランメスにこう言った。
 次は逃がすものか。覚悟をしていろ――と。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • グロリア社名誉社員
    防人 正護aa2336
    人間|20才|男性|回避
  • 家を護る狐
    古賀 菖蒲(旧姓:サキモリaa2336hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 御屋形様
    沖 一真aa3591
    人間|17才|男性|命中
  • 凪に映る光
    月夜aa3591hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • エージェント
    天宮 愁治aa4355
    獣人|25才|男性|命中
  • エージェント
    ヘンリカ・アネリーゼaa4355hero001
    英雄|29才|女性|カオ
  • 絶狂正義
    ユーガ・アストレアaa4363
    獣人|16才|女性|攻撃
  • カタストロフィリア
    カルカaa4363hero001
    英雄|22才|女性|カオ
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