本部

ヒーローVSヒーロー

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/07/13 15:23

掲示板

オープニング

 AGW開発をしているのはグロリア社だけではない。
 アルター社。世界最大手の企業。そこで新型のAGWが開発され話題になっていた。
 アルター社の新兵器。それはパワードスーツでリンカーたちの動きを最適化してくれるらしい。
 そのデモンストレーションとして、六人一組でヴィラン討伐のためにパワードスーツリンカーが出動した。
「目標、環状線を抜け東、デパート花丸方面に進行中」
「エース1、エース2はそのまま敵の尻を叩け。エース3から5 状況D TO Z異常なし、作戦内容継続」
 今回のターゲットはアルター社から技術物資を盗み出したヴィランであり、そのトラックには新型AGWが搭載されているという。

「普段は大慌てなんだがね、だが今回は違う。ヴィランの追撃にパワードスーツ装備のリンカーを出した。識別コード『GD01』はリンカーたちの能力を1.3倍から2.0倍までひきあげてくれます」

 そうモニターに映し出されたのは全身を覆うタイプのスーツで、メタリックな特撮ヒーロになれるようなイメージだ。
「これは、デモンストレーションです、見ていてください」
 そうモニターに映し出されたのは、背中のバックパックブースターで空を飛びながらトラックを追いかける五体のパワードスーツリンカーたち。
「標準装備されているのはダガーと、33口径ミニガトリング。個別にAGWも装備可能。装備したAGWによってスーツの機能は細かく調整可能」
 見れば、トラックに先回りし停止させ。扉を引きちぎり中の人物を拘束。
 あっという間にトラックを制圧していた。
「これがあれば、並の愚神にも負けません」
 そうオペレータが告げた後に、耳元のインカムを触ると、小声で何かをつぶやいた。
 おそらくリンカーたちに指示を出しているのだろう。
 トラックの中身を確認しろ。そう言う指令だった。 
「そしてこのトラックに入っていたのは、パワードスーツのアップデートパッチと追加武装。これを装備することでGD01は完璧になる」
 そうオペレータが告げるも。トラックのコンテナから一人もパワードスーツが出てこない。
「あれ? おい、どうした。もう登場してもいいぞ。華やかにな」
 次の瞬間、トラックが爆発した。
「えええ!」
 陰炎の向こうから歩いてくる五体のパワードスーツたち。
「何をやっているんだ、そんな演出!」
 その直後である。パワードスーツたちは空を飛び、周囲の建物に攻撃を仕掛けはじめた。
「なに?」
 オペレーターの顔が青ざめた。
「AIの暴走? そんなばかな」
 
 どうやら彼の口ぶりから察するに、あれは破壊されなければ止まらないらしい。
 そして、ここには君たち以外のリンカーはいない。
 この事件は君たちが解決しないといけないようだった。

●《支給品》
 リンカーたちは下記支給品の内、一つをオーダーできる

【エネルギーウイング】
 モード《メギド》や《プロミネンス》など設定していないただの翼。様々あった補正は今はない。
 背中のアタッチメントから、霊力でできた翼を展開する。
 移動力が+5され イニシアチブが+3される。
 ただし、脆く。一定のダメージをうけると破壊される。

【ケルベロス】
 時速四百キロを出すバイク。大量の武器の収納が可能で今回は瓦礫撤去昨日。レールガン。対空ミサイルが積まれている。
*レールガン 攻撃力800で攻撃で攻撃する、魔法攻撃、射程1-80 直線上すべての敵、障害物にダメージ。走っていても使える。
 弾は四発 一度使用すると、クールダウンに3ラウンド必要 この攻撃はメインアクションを消費しない。
*対空ミサイル 八発のミサイルがワンセット。攻撃力800で攻撃する。 物理攻撃 射程20-60 射程の関係上、地上の敵にうつには向いていない。バイクの左右からミサイルポッドが現れて上空にミサイルを放つ。追尾性能があり。命中にプラス補正

【ミラージュコート】
 要は光学迷彩だが、追加でレーダーや電子機器などもごまかせる機能がついている、肉眼、電子的センサーすべてをごまかすことができる優れもの。
 命中+500 回避に+500され、移動を宣言すると潜伏と同じ効果がかかる。
 この潜伏は、パワードスーツには有効であるものとする。

【必殺技ゲージ】
 腰にぶら下げるタイプのバー。攻撃したりダメージを受けるとたまるが、今回はフルチャージのゲージを三本もらっている。まとめて使うこともできる
 使うと壊れる。
 とあるドロップゾーンの技術を転用して極秘裏に開発された
 必殺技は、発動のために《口上》が必要になるが。攻撃の際に下記の効果どれかを発動できる。
<必中> 命中判定を行わず、命中したとして判定を進める。
<渾身> 武器の性能を二倍として計算し、判定を行う。
<混沌> 任意のバッドステータスを三つ選択し、ランダムで二つバッドステータスを付与する、これは抵抗判定を行わない。
<暗黒> 暗黒の力に身を任せる、何かすごいことになる。お勧めしない
   (キャラ崩壊と引き換えに、即座に三回連続で行動する)


●《パワードスーツの情報》
 現在パワードスーツは暴走中で普段の力を発揮できていません。
 ただし、最低限の機能はあるので、敵のリンカーの能力値は1.3倍になっています。
 さらに、飛行機能と、前方にバリアをはる機能がありますが。HPが五割を切ると飛行できなくなり。両腕のモジュールを破壊されるとバリアをはれなくなります
 パワードスーツデフォルト武装は下記の通り
ビックダガー  射程1-2の馬鹿でかいナイフ。
33口径ミニガトリング 射程1-18のガトリング、常に範囲攻撃になる。

 敵の構成は下記の通り。(なぜかアルター社、これ以上の情報を教えてくれません)
ドレッドノート二体    疾風怒濤を使用する。武装は大剣
ジャックポット一体    テレポートショットを使用する 武装はライフル
ソフィスビショップ一体  リーサルダークを使用する 武装は本
シャドウルーカ―一体   縫止を使用する 武装は盾。

 残念ながら彼らは連携をとることができていません。


解説

目標 パワードリンカー 五人の無力化。

 今回のミッションですが、真っ向勝負はきつかろうと、グロリア社が特別なアイテムを支給してくれました。
 これを使用して、パワードスーツを無力化してください。
 盛大に攻撃してもらって構わないです。中の人は傷つかない新設設計なので。
 ただし戦闘フィールドが広く。
 十キロ四方の、ビルやショッピングセンターや住宅街がある、町が戦闘の舞台なので。翼やバイクがないと移動はきついでしょう。
 そして今回ですが、想定外の出来事なので、いつもみたいに車とか支給できません。
 支給品四種類の中から一人一個だけが支給品です。
 ちなみに昼間です。

 それでは、検討を祈ります。

リプレイ

プロローグ

「連携を取れてないってのは、本当に取れないのか、それとも取らないようにしてるのか」
 トラックの薄い床を踏みつけ『赤城 龍哉(aa0090)』は相棒に問いかける。
「さあな。それは俺たちが考えることじゃないと思ってる」
 『リィェン・ユー(aa0208)』が手を振ると支給されたバイク。ケルベロスの表面を撫でる。黒い外装、光沢といい、男心をくすぐる形状をしている。
「にしてもおかしな話だと俺は思う」
 その龍哉の言葉に、弓の具合を見ていた『ヴァルトラウテ(aa0090hero001)』が目を細めて言った。
「龍哉も陰謀論だと思って?」
「不自然だってのは確かだからな」
「しかし、こういった技術企業という輩はどこの世界もめんどくさい奴らじゃのぅ」
 『イン・シェン(aa0208hero001)』がそうリィェンに問いかけた。
「しょうがないだろう。彼らもそれで食っていかなきゃいかないんだから。他社は出しぬかなきゃならないんだからな」
「それもそうじゃが……やはり、自分の力以外で戦うのは好かぬのじゃ」
「それこそ時代の流れだろ、そういった力が出てきたならそれを取り込んで自分の力にすりゃいいんじゃないのか?」
「むむむ…………たしかにそうじゃが、そうじゃが……」
 納得いかない様子のイン・シェン。彼女は手のひらサイズの青いバーのようなものを龍哉に投げ返す。 
 そしてイン・シェンは窓の外をながめた。遥か向うで今現在も破壊活動が行われている。
「それに、今はそんなことよりまずはこの自体の収拾が先決だろう」
「そうだな、被害が広がる前に止めて見せるしかねぇよなぁっ!」
 二人は拳を打ち付けて笑った。

第一章 出動せよ! ヒーロー!
 
 火を吹くビル、その火炎を纏い全身メタリックなリンカーが一人飛んでビルから姿を現した。大剣を担ぎ空を飛ぶ姿はかっこよかったが、行いは悪逆非道の一言である。
 彼らが行っているのは単なる破壊活動。そしてリンカーは大剣の一振りで電柱を一本切り倒した。
「危ない!」
 そして電柱の倒れようとしている先には少女が座っている、泣きじゃくって倒れ来る電柱には気付けていないようだった。
 その少女を間一髪、空から飛来した『御門 鈴音(aa0175)』が抱きかかえて救出する
「大丈夫?」
――それよりも鈴音! 後ろじゃ
「くぅ!」
 突如振り下ろされる大剣。反射的に自身の大剣で防いだが。その力は並ではなく、単なる腕力だけであれば自分以上かと疑うほどに強化されている、これがパワードスーツの力だとしたら恐るべきものだ。
――ふむ……あのからくり傀儡……半端ないのぉ! 人間はあんなものまで作るとは
「感心してないで力を貸しなさい!!」
楽しそうな『輝夜(aa0175hero001)』を叱咤し、鈴音は背後を見やる、鈴音の背に装着された翼、その美しい翼の燐光の向こうにおびえた表情の少女がいる。
――うむ、そうじゃな、笑っている場合ではないようじゃ。全力で行くぞ、鈴音よ!

「「はあああああああああああ!」」

 その金糸の髪を振り乱し、七色の翼をはためかせ、全力で霊力を噴出する鈴音。
 大剣と大剣のつばぜり合いは続き、殺すことのできなかった力学ベクトルは上に。
 剣を当てにらみ合ったまま二人は上空高く舞い上がる。
「はああ!」
 そして鈴音は敵の剣を弾き。距離をとる。
 直後頬をかすめる銃弾。
 鈴音は周囲を見る、鈴音は三人のパワードスーツに取り囲まれていた。
「ドレッド二体」
――ジャクポが一体じゃのう。鈴音よ、二体のドレッドノートにあえて切りかかれ!
 鈴音は指示通り二体の大剣使いに突貫。その二枚の刃をかわし、時には受け。
 空中で上になりながら下になりながら、戦闘を繰り広げる。
 途中放たれる銃弾が何度か当たるが、やはり攻撃しにくいようで、一方的に遠距離で撃ち殺されることはない。


 その様子を見て、ほくそ笑むのは『彩咲 姫乃(aa0941)』
 彼女は電波塔の天辺からその戦闘を見守っている。
「さーて、熱くいくかー!」
 フードを取りサンバイザーを付ける。そして共鳴。
 これが彼女の本気の姿、次いで姫乃はミラージュコートで姿を消した。

「行くわよ! 輝夜!」
  鈴音は突如、敵の大剣を踏み場にして垂直に空へ、そして落下の速度を利用し大剣を敵ドレッドノートに叩きつけた。
 身を翻して反転、上空からの刃を防ぐ。地面すれすれでのつばぜり合い。だがそれはリンカーたちの計算の内である。
 直後、放たれるミサイル。
 それをパワードスーツたちは旋回してよけていく。
「目標ポイントまでの誘導感謝する」
『防人 正護(aa2336)』の駆るバイクである。
「ま、最近少し雑務ばかりだったし、たまにはこっちの仕事も悪くないな。気分は悪いがな」
 彼のバイクは、ロクトによって他のケルベロスとは見た目が違った。「ボーナス替わりよ」そう言ったロクトの手によって、外観が彼のライダースーツと同色に染まっている。
 スタイルも引き締まり細身になっている。
 そしてその後部座席で剣を振りまわすのは『東海林聖(aa0203)』二人とも相棒の『Le..(aa0203hero001)』『古賀 菖蒲(旧姓:サキモリ(aa2336hero001)』と共鳴済みである。
「バイクも面白ェな……! っし、敵が見えて来たし……射程内なら遠慮なくぶった切るぜ!!」
 そう正護のバイクが、鈴音と衝突しているリンカーと交差する際に。聖が剣を閃かせる。
「行くぜッ! 千照流――絶翔……墜牙ッ!」
 すると背中の飛行装置が綺麗に切り出され宙を舞い爆発した。
「二人とも、お願いします。あっちに女の子が”」
 鈴音が叫ぶ、その先には倒壊しつつある看板と、泣き叫ぶ女の子
「全く……ろくなもん作らないな……」
 そう正護はめい一杯にスピードを上げる。倒れ来る看板の隙間に合わせてバイクを斜めに。外装の飾りが地面に擦れて嫌な音を鳴らすが。ギリギリのところをで少女をキャッチ。とりあえず、ハンドルと自分の体の間に座らせる。
「ありがとう、おじちゃん」
「こう見えて20代なんだが……」
 直後、後部座席に衝撃、空中に退避していた聖が着地したのだ。
 そのままバイクは加速。先ほど鈴音が叩き落としたドレッドノート方面に向かう。
 鈴音は鈴音で別のリンカーを空から叩き落とすべく光の線を空に走らせて飛んで行った。
 しかし、みすみす敵を逃がすパワードリンカーではない。
 ジャックポットがビルを背にして正護たちを狙う。
 彼からすれば走っているバイクのタンクを射抜くなど朝飯前。
 ただ、彼は忘れている、ここへ来たのは鈴音の陽動によるものであることを。
「死神の到着だ!」
 突如、背後のビル、窓の向こうに浮かび上がるシルエット。
 ガラスが割れ飛びだす陰炎。そのフードが風に旗向き、見えたバイザー。
 それは姫乃。
 コートは陰炎のごとく揺らめき、その大鎌は死神と呼ぶにふさわしき凄みを放っている。。 
「見た目に騙されて火傷するなよ、中の人!」
 そんな彼女の鎌が、バリアをはれない完全無防備な背中を切り割いた。
 そして墜落していくジャクポ。
 姫乃は、鎌を引っ掛けてビルの壁に張り付いている。
「任せたぜ!」
 そう少女は姿を消して、また虎視眈々と機会を待つ。
 そしてそのジャックポットめがけて突っ込んでいくのは『水瀬 雨月(aa0801)』の駆るバイク背後には『月鏡 由利菜(aa0873)』が座っている。
「こんなときくらい、起きたらどうなの?」
 雨月は『アムブロシア(aa0801hero001)』に語りかけるが反応はない。
「ミサイルで誘導を!」
 由利菜の指示で、空中にいる敵にミサイルをみまう雨月。上空から狙う、パワードスーツたちはそれから逃れるためにいったん距離をとる。
「……私は月鏡由利菜。白銀騎士たる英雄リーヴスラシルの主」
 そう由利菜は高らかに名乗りを上げる。
「月の姫騎士として、あなた達の望まぬ暴走を止めます!」
 次いで放たれる。ジャックポットの銃弾。
「ラシル、心眼で雨月さんやケルベロスを守ります!」
――分かった……!
 その声に応じる『リーヴスラシル(aa0873hero001)』
――夥しき凶弾の嵐よ、我が守護法陣の前に跪け!
 そして展開されたのは魔方陣。その範囲内に霊力をみちみちさせ、飛んできた弾丸を分解してしまう。
「他のエージェントの方も、被害を抑えたければ陣の範囲に入って下さい!」
 遠距離攻撃は無駄と知ってか、盾と大剣を装備したリンカーが突貫していく。
「市民から引き離す方向で釣り出そう。行けるな、相棒」
「任せろ相棒。こういったのは昔なかったわけじゃなかったからな。フルスロットルで飛ばすぜ」
 それを見て好機と頬を釣り上げたのはリィェンと龍哉のコンビ。雨月、そしていつの間にか後ろに回っていた正護のケルベロスと連携してミサイルをばらまくと。
 龍哉と由利菜と共に弓を射る。
――弓はお任せあれ、ですわ 
 ヴァルトラウテの狙いは正確でシャドウルーカ―の回避力ものともせず、正確にその背中の飛行モジュールを射抜いた。
「空を飛べなくすれば、後は幾らでもやりようは、ある」
「捕まってろ!」
 リィェンの指示に龍哉は彼の肩を強く握った。
 リィェンはわざと障害物へと進路をとる。前輪を上げその障害物を踏み台に高く飛んだ、その衝撃を利用して龍哉はさらに、さらに高く飛ぶ。
 目標とするのはソフィスビショップ。
 あまりの意外な行動に硬直したリンカーへと龍哉は一気呵成に連続攻撃を叩き込む。
 ソフィスはあわててシールドを展開、しかし。一撃でバリアが破壊され、追撃で地面に叩き落とされる。
「なるほど、連中のバリアの強度はあんなもんか」
 言っておくが、バリアの強度が低いわけではない。暴走したとはいえアルター社の最新技術である。それをなます切りにする龍哉の攻撃力が異常なのだ。
 そのリンカーの落下を確認したリィェンは龍哉を回収し、守護方陣の圏内へ、そのまま固まってリンカーたちは片道四車線の超大型道路へ進行する。
 その戦況を聞きながら街中で救助活動をするものもいた。
「移動可能なルートの選定が大事になりそうですね」
『構築の魔女(aa0281hero001)』である。
 彼女は周囲に避難指示に従事していた。
 ケルベロスに跨り、彼女は町を駆ける。
警察に連絡を取り周囲の住民への避難指示、交通規制を実施を依頼、警察を先導して、戦闘エリア周囲を固めさせる。
 これによって戦闘の被害を最小限に抑えた。
 次いで走ったのは放送局などの通信会社。そこから詳しい戦域の情報をなどを知らせ、周囲に人が近づけないように上方を流す予定だ。
「なぜ、外出してはいけないかの部分は……リンカーが暴走していると直接言ってしまうか
ヴィランズが暴れていると誤魔化すか。Hope的に都合のいい内容を選んでもらいましょう」
「まぁ、そのほうが良いかのう」
『カグヤ・アトラクア(aa0535)』は同意し、魔女の肩を掴んで立ち上がった。
 ケルベロスの後部に座っていたカグヤだったが、少女の鳴き声を聞き周囲を見渡している。
 そしてカグヤはミラージュコートを羽織り直し、バイクからおりた。
「まずは市民の避難じゃ。敵は皆に任せた」
 そして構築の魔女が肩に伝う重さを感じなくなった瞬間、ケルベロスを加速させテレビ局へと乗り付けた。
「H.O.P.E.の名前で勧告を、情報収集の依頼もお願いします」
 構築の魔女の加入によって落ち着きを取り戻した報道機関。そこから流れてくる情報をもとにカグヤは救助活動を続けていく。
「くふふ、物資を盗まれたりAI暴走? アルター社の不手際が目立つが、違うじゃろうなぁ」
 瓦礫を持ち上げ、隙間に挟まっていた少女に手を伸ばすカグヤ。
 報告によれば、付近にも逃げ遅れた人がいるはずだ。
――ワトソン君になった方がいい?
 そう皮肉めいたことを『クー・ナンナ(aa0535hero001)』が尋ねた。
「これはアルター社が実戦データ収集の為に起こした事件に違いない! わらわはその闇を暴く!」
――パワードスーツのデザインは、前に見たグロリアの物より、アルター社の方が上だよねー
 そんなかみ合っていない会話を繰り広げる二人、まぁこの戦場は情報が錯そうしている、その処理が二人は楽しいのだろう。
「くふふ、物資を盗まれたりAI暴走? アルター社の不手際が目立つが、違うじゃろうなぁ」
 そしてスラスターをふかせ小高い建物に上ると全員に告げる。
「暴走した兵器が暴れておる。近くの者を助け至急避難するのじゃ。銃弾が飛び交っておるので、地下駐車場や壁の厚い建物の中へ避難して伏せていよ」
 その眼前にある大きな道路をリンカーたちが失踪してい。この町をぐるりと回る環状線のようだ。
「おい防人よ、こちらには逃げ遅れた民衆がおる、もう一周する前にかたを突けよ」
 その通信に応じる正護。
「無茶をいうな! こっちは余計な被害を出さないようにするので精一杯なんだぞ」
 正護はドリフトをきかせながら減速、敵の攻撃をやり過ごす。
 その正護を狙うリンカーを鈴音が空から飛来して弾き飛ばす。
「あ!」
「全壊にするのは避けてくれよ、貴重なデータが入っているから、なるべく手足や関節部を狙え」
「あわわわ、すみません、大丈夫ですか?」
 そう翼をはためかせて近寄ろうとした鈴音にへと、起き上がりがけのパワードリンカーがガトリングをみまう。
「くそ!」
「離れてろ!」
 そのリンカーへと射線を向け、ボタンを押すとケルベロスからレールガンが射出される。
 熱で周囲の地形を変形させながら飛ぶ弾丸は見事リンカーに命中その腕のシールドを破壊した。しかし。
 その手のガトリングから放たれる弾丸が、ケルベロスのタンクを射抜く。
「なに! あんな状態から狙えるだと!」
 リィェンのケルベロスが爆発に巻き込まれた。
「捨て身か?」
 正護はバイクを止めて敵を見つめる。
「……もしかしてセーフティーは生きていて、緊急脱出機能があって連中はガチで戦って適当に助けられるよう既に奴らの中でシナリオ出来上がってるんじゃないだろうな……?」
「可能性はあるな……」
 その正護のバイクの隣にリィェンが立つ。
「そう言えば、誰かトラックは確認したのか?」
 正護の言葉にリィェンが言葉を返した。
「カグヤが今向かってる」
「……爆発くらいじゃヴィランはくたばらない……ならば奴らは今いったいどこに? それに物資は?」
「そんなことより……」
 パワードスーツの耐久度はかなりの者らしく、たちこめる爆炎の向こうにリンカーのシルエットが見えた。

第二章 決戦

 そして噂のトラック真ん前にはカグヤが立っていた。
 敵が大きく引きはがされたので、中の探索が可能になったのである。
 燃え盛る炎を払い、つまれていたはずの物資や、その他もろもろを物色する。
「んん? これは」
 そこでカグヤは見たことのある資料を見つけた。
「これは、遙華の開発したパワードスーツの……」
 間違いなかった、それはかつてグロリア社で開発していたパワードスーツの資料、というか設計図。
 カグヤは以前参加したミッションでグロリア社から同じ資料をくすねていたから、それが本物だとすぐにわかった。
「いや、わらわが取って帰ってもばれぬほどじゃから、警備ががばがばなんじゃなぁ……じゃとしても、あからさまにここにあるのはおかしいじゃろ」
 これがどういう意味をもつのか、思案にふけるカグヤ。
「今は考えている暇はないのう」
 カグヤのお宝発掘タイムは続く。
 そんなカグヤを蚊帳の外に、街中での戦闘は激化していく。
 上空向けて放たれるサンダーランス。それを鈴音はクロスカウンターですれすれでよける。
 そして肉薄、そこから掌底の連撃をみまい。大剣で深々と切り裂くと装甲に迂回亀裂が走った。
 そのすぐ隣で、でシャドウルーカ―相手に距離をとる雨月。
 シャドウルーカ―特有の回避、機動力の高さに翻弄される雨月だったが、最低限魔法攻撃に必要な距離はとっている。
「しつこい男は嫌われるわよ。まぁ、男かどうかはわからないのだけど」
 そう、あたりを包むゴーストウィンド。その合間を縫って突貫するシャドウルーカ―。
 しかしその行動は予想済み、突き出される盾の攻撃を杖で防ぎ、バックステップ。杖先で相手の足を払って転倒したところにブルームフレアを叩き込んだ。
 煙の中前後不覚に陥るシャドウルーカ―。意識を取り戻し、あわてて跳ね起きた時には遅かった。
 彼を無数のミサイルと射撃が襲う。
 その爆炎で身動きの取れぬシャドウルーカ―の横っ面に叩き込まれる弾丸。
 テレポートショットである、放ったのは構築の魔女
 構築の魔女。彼女はケルベロスに跨ったまま器用に照準をつけていた。。 
「相手の攻撃機会を妨害していく……そのことを意識しましょう」
 同時にシャドウルーカ―の前にカグヤが割り込み進行を妨害。
「どこに行こうというのかの?」
 合わせて雨月の魔法が彼を襲う。突如爆炎。
「ええええええい!」
 そしてその爆炎に重なるように上からパワードリンカーが叩き落とされる。
 鈴音が上空へと持ち上げ高速で叩き落としたのである。
 そして立ち上がる土煙の中に侵入する一台のバイク。
 それに跨るのは仮面ライダーサキモリ。
 バイクでの体当たりで、シャドウルーカ―を煙からはじきだし。咄嗟にバイクから降りて下からすくい上げるように敵を蹴り飛ばす。
 そして正護はベルトに手を当てる。
 すさまじい霊力の輝きがほとばしりそして。超感覚の世界に正護はいざなわれる。
 一瞬のうちに背後に回り込み大きく足を開いて力をためる、そして。
「防人流雷堕脚…兜!」
 突如ふり抜かれた蹴り、回し蹴りである。
 輝く流線型の軌跡、それが敵の胸元の収束して霊力がほとばしる、直後爆発四散。
 パワードスーツの破片があたりに散散らばった。
 しかしもう一体のリンカーソフィスビショップはその戦域から脱出を試みるため、走った。
「AIの問題って言うならそのコア部分を潰せば止まるはずだよな」
 それを乗り捨てられたバイクで負うリィェン。神斬を地面と水平に構えそのリンカーとの距離を詰めていく。
 放たれるブルームフレアもものともせず回避。次いでビショップが振り返った時にはもうすでにリィェンの射程圏内であった。
 神斬の斬撃により、両足パーツを吹き飛ばされたパワードリンカー。
 反撃にと向けられたダガーを屈んで回避し、クロスカウンターで斬撃を浴びせる。
「あとは任せたぜ!」
 そう笑ってリィェンはビショップから距離をとると、空輸されてきた由利菜がソフィスビショップの前に降り立った。
 ソフィスビショップは驚きに足が止まる
「子羊達を救う意志に迷いなし。総てをこの刃に注いで……!」
 必殺技ゲージが一本光り輝いた。
――限界を超えろ! 彼の者達の暴走を止め、救う為に!
 『渾身』を伴って放たれたライヴスブローは敵の装甲にめり込む。
 そのままパワードスーツの回路が暴走。次いで行き場をなくした霊力が爆ぜ。そしてソフィスビショップのパワードスーツは機能を停止した。
「聖、そっちはどうだ?」
 そう正護がインカム越しに聖に呼びかける。
 彼はかなり早いうちに離脱、敵ドレッドノートと激闘を繰り広げているのだ。
「あとすこしだぜ!」
 聖は大剣の攻撃をそらし、低い位置からすくい上げるように大剣を打ち返す。
「くそ! やりずれぇ」
 攻撃力では自分が圧倒的に勝っている、そこまで強いリンカーではないのだろう、だがパワードスーツのおかげで、そのほかのステータスは聖より相手が上だった。
「……負けられねェな! 同じ『アタッカー』としてはッ!!」
 吠える聖、ライトグリーンの光がいっそう強く煌き紅榴から斬撃が放たれる。
 それをパワードリンカーはダガーで受け止めると、緑色の閃光が眼前に散る。
 目くらましである。
 右から突き出される紅榴の刃。それを叩き落とすも、聖はさらに踏み込んで切り上げ、体制を崩しにかかる。
 大きく右手が跳ねのけられてしまったドレッドに対して。
 聖は剣を振り上げた勢いを回転力に変換できる。
 そのまま右足を軸に回転し切り付け、左足を下ろしてふみこみ突き。
 腹部の装甲がはじけ飛び火花が散った。
 しかし至近距離からのガトリングで弾き飛ばされてしまう紅榴。
「計算ずくだ!」
 淡いライトエフェクトと共に幻想蝶からアステリオスを召喚。柄から伸びるように取り出されるそれはパワードリンカーの胸をえぐる。
 そしてのけぞったパワードリンカーへ追撃の姿勢に入る。
――……ヒジリー。なんか忘れてない?
「……っ! 何だ? ルゥ珍しいな…」
――……いや、ほら……腰のヤツ……
「あ。忘れてたぜッ!! 口上がどうとか言ってたな……別に千照流で何時も言っちゃ居るが……」
 体制の崩れた敵に対して斧を翻し構える、そして全力で突貫した。
「っし! コントロールは任せた! 試しにやって見るぜ!! 
 必殺技ゲージ、それは特殊加工された霊力の塊で、リンカーの能力の一部を飛躍的に上昇させる力を持つ。
 それを聖は三本まとめて使うつもりだった。
(こうかな?)
 強烈な光が聖の腰から放たれた。青い霊力光。しかしそれはすぐに別の色に塗りつぶされることになる
「な! なんだこれ!」
 聖は戸惑いの声を上げる、当然だろう。剣も、霊力の光も、目すらも黒く染め上げられてしまった上に、全身にタトューのようなものが浮かび上がって鳴動している。
「これが力ってやつか」
 そう聖は拳を握りめると、音を置き去りに駆けた。
 掌底でリンカーを打ち上げると、その動きが止まって見える。
 パワードスーツの動き具合で次に敵がどう動くのか手に取るようにわかる。
 そして。
「俺のスピードには、ついてこれねぇだろ?」
 瞬時に踏み込ん三閃。振り向きざまに一閃。三歩前に歩きそして適切な距離を保ちつつ、アステリオスを構えた。
「喰らいやがれ千照流、破斥・雷光!! 上乗せ付だッ!!」
 瞬時に繰り出された刃の数は、それこそ千。
 刃の本流がリンカーに殺到し、装甲一枚一枚が切り飛ばされていく。
 花びらのように装甲を散らしながら吹き飛ぶリンカー。
 それを見届け聖はにたりと笑う。
「はっ!」
 そう肩にアステリオスと担ぐと、背後から接近してきた二体のパワードリンカーへ視線だけを向ける。
 反応はできる、だがしない。
 彼の気配を感じるからだ。
「あいにくと、チャックメイトだぜ!」
 次いで車道下部分を突き破って現れたのは龍哉。
 彼の体にはすでに黒い波動がまとわりつき、解放の時を今か今かと待ちわびている。
「掛け声が必要だとか言ってたな……面倒だが」
 龍哉は二体のパワードリンカーを見据え、そして叫んだ。
「マキシマムドライブ・トリオ!!」
 三本のゲージが光輝きそれぞれに <必中> <渾身> <暗黒> と文字が浮かび上がる。
 それまではよかったが、やはり聖と同じように光は暗黒色に代わり。
 同じように闇落ちした龍哉が生み出された。
「この神斬に断てないものはねぇってことを! 教えてやるぜ!」
 翻る神斬。
「神斬、お前の力、全て俺に差し出せ!」
 一際強い輝きを放つ神斬。
 その刃は吸い寄せられるように的確に二人のリンカーの急所へ。
 そのあとは嵐のような殺戮タイムだった。
 ジャックポットリンカーが銃を構えると。かまえた銃事オーガドライブで叩き切り。
 ドレッドノートは回し蹴りで、足ごと、その骨を打ち砕いた。
 転がったリンカーへ追撃を仕掛けて。
 ジャックポットへは三連続の剣劇をみまう。
「俺はこいつと、ちょっとお話ししてくるぜ。あとは任せた、カグヤ」
 そう龍哉がにやりと笑うと、なぜかパワードリンカーの体が地面を引きずられ建物の中に吸い込まれていく。
 そして建物内にカメラなどないことを確認するとカグヤと姫乃はミラージュコートの迷彩を解いた。 
 冷たい目でパワードスーツを見下ろす二人。
「搭乗者を助けねばのぅ、ふふふふふ、ははははははは」
 なぜ笑い出したのかはおいておいて、楽しそうにチェーンソウを突き立てるカグヤ。
――相手の意識がないことを祈るよ
 残念ながらクーの祈りははずれ、カグヤがチェーンソウでマスクを弾き飛ばすと涙目になったリンカーの顔が目に映った。
「なんだお前ら! 本当に人間かよ。暗黒でも使ってんじゃねぇだろうな」
「いや、俺たちはつかってねぇよ」
 そう姫野はマスクをドライバーで解体していく。使えそうな部品はいただいていく所存だ。
「さて、次は肩を……」
 リンカーの耳元で散る火花、こだまする絶叫のような甲高い音。
「うわああああああああ、やめてくれ、だれかああああああ」
 残念ながらミラージュコートをテントのように二枚分重ねてあるので、姿は見えない。そして声が届くほど近くに誰もいない。
 こうして全リンカーの無力化は完了した。


エピローグ
 戦闘終了後『辺是 落児(aa0281)』は壊れた街並みを見下ろしていた。
 彼の中に何か引っかかるものでもあるのだろうか。
 そんな彼の肩に構築の魔女が手を置く。
 さまざまな物議をかもした今回の任務だが、H.O.P.E.がアルター社に介入して調査を行うらしい。
そんな報告がなされた後、パワードスーツの中身の人達は救急車で運ばれていった。
「なーんかやった気がするんだけど、あんま覚えてねーんだよなー」
 そう笑いながらトラックに、同じように首をひねる龍哉そして聖。
 彼らはあの後、リンカーにトラウマを与えかねないほどに暴れまくったらしい。
 その言葉にLeは素知らぬ顔をしていた。
「ほれ、ぱくってきてやったぞ」
 そう姫乃は調査に駆り出されてきたロクトにパワードスーツの残骸を手渡した。
「盗んできちゃったの!」
 ロクトは驚きの声を上げる。
「この為のグロリアはミラージュコート提供じゃろ? わかっておるわかっておる」
「違うわ、私が暗黙のうちにあなた達を操っていたみたいな言い方やめて!」
「いやいや、裏があったとしたらしかるべき報いは受けさせないとだからなー、そのために調査は必要だろう」
 姫乃が言うと。
「非合法なことはやらなくていいわよ、少なくとも私以外」
 そうため息をついた。そんなロクトにカグヤがといかける。
「ところでロクト。やつら……。我々が使っていたアイテムについて事前に情報があったようじゃが、なぜかわかるかのう?」
「いえ。わからないわ……」
「暗黒という必殺技コマンドがばれていたのは、なぜじゃろうな」

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
  • グロリア社名誉社員
    防人 正護aa2336

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
    人間|15才|女性|生命
  • 守護の決意
    輝夜aa0175hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 義の拳客
    リィェン・ユーaa0208
    人間|22才|男性|攻撃
  • 義の拳姫
    イン・シェンaa0208hero001
    英雄|26才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避



  • グロリア社名誉社員
    防人 正護aa2336
    人間|20才|男性|回避
  • 家を護る狐
    古賀 菖蒲(旧姓:サキモリaa2336hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
前に戻る
ページトップへ戻る