本部

広告塔の少女~霊力なんてくだらねぇぜ~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2016/07/05 14:03

掲示板

オープニング

● 俺の歌を聞け!

 ある日グロリア社に騒がしい男が乗り込んできた。
「アンタが、西大寺か」
「ええ。私が西大寺だけど、あなた何者?」
 赤いジャケットにサングラス、茶色い頭は無造作で、しかし顔立ちは整っていて筋肉質。
 一昔の不良のような見た目に加え、声が金属質で高い。
 このような見た目や無礼な振る舞いは遙華が苦手(というか嫌い)とする人種であり、であった矢先ヘイトがMAXであるが。
 まぁ、遙華も多少大人になった。大人しくまずは名前をきくことにする。
「俺は赤原 光夜。職業歌手、よろしく」
「へぇ、その赤原さんが何の用?」
「お前らリンカーアイドルなんて色物が。ぽっとでて、色物人気で音楽業界を荒らすからこっちは迷惑してんだ。撤退しろ」
「は?」
 あ、遙華の表情がにこやかな拒絶から、イライラに変わった。
「いま、なんて?」
「だから、お前らが抱える、リンカーとか言うやつらが邪魔なんだよ。霊力なんてトンデモパワーで音楽の真の価値を貶められたら困るんだよ」
「霊力なんて使ってないわよ、音楽に霊力が使えるわけがないでしょ?」
「じゃあ、なんでぽっと出の奴らがあんなにテレビ出てるんだよ。納得がいかねぇ。こういう業界っていうのは徐々に階段を上ってくようにだな」
「あなた達がへたくそなだけじゃない、そこに本物のスターが現れた」
「あ?」
 次にイライラ顔になるのは光夜のほうだった。
「私たちは本物のコンテンツを提供しているという自信があるわ。それに人々が食いついたのは、彼女たちの実力だし、力を亡くしたメディアを物足りなく思っていた、ユーザーの不満の声、その裏返しじゃない?」
「言ったな? ブレイカーズソウル、赤原様をあんななよっちい奴らと比べたな?」
「周知の事実を教えてあげただけよ」
 そうグロリア社のエントランスで激しく火花かわす二人。
「ああ、良いぜ、やってやらぁ。だったら真っ向から勝負だ。日取りは一週間後。リンカーと一般歌手で歌勝負だ」
「受けて立ちましょう。負けたらそうね。グロリア社はこの業界から撤退してあげるわよ」
「だったら、俺たちが負けたら、俺が責任もってマイクを折るぜ」
「言ったわね?」
「男に二言はねぇ」
「じゃあ、後日細かいことを詰めましょう」


● 作戦会議

「全く……勝手なことして」
「ごめんなさい……」
「そもそも人が集まらなかったらどうするのよ」
「だって、私はみんなが頑張っているの知ってるから、それがポッと出なんて言われると、すっごく腹が立つのよ」
 ロクトは首を振った。
「まぁ、良いわ、七転び八起き。ただでは済まさないグロリア社、見せつけてあげましょう。しかも相手があの赤原さんならなおさら……」
「知ってるの?」
「あなた、勉強不足にもほどがあるわよ」
 赤原とはここ五年ほどでブレイクした歌手で、熱い曲や鼓舞する曲などに定評がある。
 最近力のある音楽家を集めてブレイカーズソウルを結成したが、その売れ行きはすさまじく、結成一周年で全国ツアー決定。
 しかも発売から一時間で完売になったのだから、実力は確かだろう。
「まぁこの国の準トップ歌手ってところかしらね。あと三年もしたらこの国を代表するレベルになっているかも」 
「ええ、どうしよう」
 一気に不安になる遙華。
「幸いにもこちらにはエンジェルスビット、クリスタルフォーンがあるし、いざとなればお金の力を使う」
「嫌よ、私がみんなの力を信用していないみたいじゃない……」
「残念だけど、企業ってそんなに綺麗にいられない者よ、まぁ、汚れ仕事は私がやるからあなたは企画と運営ね、任せたわよ」
 そう言うと早くもロクトは頭の中で計算を始めたようでパソコンの前に向き直る。
「企画もろもろは遙華にまかせるから、私はこれを機会に、より一層お金儲けできるように立ち回るわ」
「ただでは起きないってそう言うことなのね……」
 こうしてグロリア社広報部の存亡をかけた戦いが始まる。



● 相手チーム紹介



『赤原 光夜』
攻撃 ■□□□□ 防御
狡猾 □□□□■ 純粋
冒険 □□■□□ 恋愛
理性 □□□□■ 感情
自主 ■□□□□ 協調


 最近流行の歌手、言動が乱暴で男性的。
 バックバンドが三人 ギター ベース ドラム。
 合計四人でのアピールをしてくる。
 

熱源・バーニング! 感情 攻撃
 戦いの開幕を描いた歌。拳を突き上げ兵士を鼓舞し、悪しきを撃ち滅ぼす歌である。
 ロボットアニメの主人公のテーマであり、カラオケで人気である。

グランドライン  冒険 純粋
 目標に向かって渇望する人の苦悩と、それをあきらめてはいけないという思いが込められている。
 歌の最初で傷だらけの主人公が、最後には目的を達成し皆に笑いかけるところで終わっている。

コーリング・ゼロ  攻撃 冒険
 すべてを壊しつくして、ゼロからすべてをやり直そうという曲。反社会的であり、メッセージ性が強い。大人たちの勝手な理屈で間違って積み上げられたこの積み木を蹴り飛ばす。そんな歌詞である。


『ECCO』
攻撃 □□□□■ 防御
狡猾 □■□□□ 純粋
冒険 □□□■□ 恋愛
理性 □□■□□ 感情
自主 □□□■□ 協調


 神秘的、幻想的な歌姫。トップアーティストであり、CMやアニメの主題歌など、テーマや世界観を与えられてそれを引き立たせる詩がうまいと評判。
 得意なジャンルは泣ける曲。
 たった一人の歌姫。ただしピアノやチェロを弾きながら歌ったりするので。彼女一人で二人分のアピールになる。


hack 協調 冒険 
 君の思いが僕に力をくれるから、君が護りたかったこの世界をきっと守って見せるよ。がキャッチフレーズ 
 君の声が僕を変えて、そして世界は変わる、救われるという曲。

氷の鯨 感情 純粋
 高校生三人の友情、そして別たれてしまう道、がテーマ。
 死んでしまった『あなた』の死から立ち直れない『僕』と『私』がその死を受け入れ、一つ大人になる物語

ホープレスエンディング 狡猾 理性
 希望など無く、地獄に落ちていく主人公の憎しみと激情を描いた歌。叩きつけるような歌声と、鋭利で醜い言葉の羅列がECCOっぽくない、だけどスキと評判の曲。
 
『武衆 極』

攻撃 □□■□□ 防御
狡猾 □□□■□ 純粋
冒険 □□□□■ 恋愛
理性 □□□■□ 感情
自主 □□□■□ 強調

 五人一組のアイドルグループ、歌って踊れる奴らであり、舞台パフォーマンスもすごい。
 本格的な殺陣に加え、全員が舞台俳優なので、きらりと光る演出や表情変化など見逃せない。ライブパフォーマンスに定評のあるアイドルグループ。
 当然五人で判定を行ってくる。

BE TO BE 恋愛 自主
 攻撃的なラップと、息の合ったダンスが特徴のメンバー照会ナンバー、ライブの定番曲

ロストパレード 恋愛 防御 
 世界の破滅まで君を連れていく、というキャッチフレーズが特徴的。
 激しい曲調のラブソングである

解説

目標 多くの票を獲得し、リンカーチームを勝利に導く。


注意!

 このシナリオではアイドルルールを使用します

 場所はライブハウス、動員数120名
 観客をターゲットにして、より精神力を削ることができた方の勝ちです。
 勝負は基本的に三本勝負。
 ただしリンカー側のチームが三チームより増える場合、相手チームから再度別の曲で誰かが登場します。
 
 一度のステージで獲得できた票の数(削ることのできた精神力)の合計で勝敗が決まります。


『観客』
攻撃    ?     防御
狡猾 □□■□□ 純粋
冒険    ?    恋愛
理性    ?    感情
自主 □□■□□ 協調

?の部分はランダム。客は一回の勝負が終わるごとにランダムで変わるため、次の勝負では別の性格傾向の客が入っていることになる。
 西大寺チャンスで、一度だけ、客の性格傾向を指定できる。

 基本的にはお互いのチームから交互にステージに出て歌を謳う、相手の順番は固定で。
赤原→ECCO→武衆 極 の順番。そのあとはランダム。

 歌う曲については既存のもので構いません。現実にある曲は伏字になる場合があります。 

 さらに、ダンスや、マイクパフォーマンスでボーナスを得られるので、積極的に狙いましょう。

*追加ルール*
歌テーマ効果 
歌にはテーマを二つうつ設定することができる。テーマは各感情と一致し、相手の感情傾向に影響を与え、その感情の方向に引っ張ることができる。
もともと性格傾向が観客と完全一致だった場合は、与える精神ダメージが1D10増えます

例えば
《熱源・バーニング!》は 感情 攻撃だが、これを謳う場合。
お客さんの性格傾向が
攻撃 □□■□□ 防御
のとき。
攻撃 □■□□□ 防御
に変化する。
 
これは任意でPLがPCの曲にセッティング可能。

アイドルルールはこちらから確認できます
http://www.wtrpg0.com/rule/basic/9

リプレイ


 プロローグ

世界有数の大手プロダクション『クラゲプロ』その日本支部の前に紫色のスポーツカーが停車した。
 その助っ席の扉を開け、『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』は顔を出す、そのビル丸々一棟買い取った巨大事務所を見あげてため息をついた。
「あらあら、大きいわねぇ」
 そう『榊原・沙耶(aa1188)』が後部座席の扉をひらき『セバス=チャン(aa1420hero001)』の手を取った。
 これから四人は大人の戦いをしに行く、強い向かい風に目をそらすこともなく、クラリスは髪を抑え前を向いた。
「行きましょう、争いを続けている場合ではありません。」



第1章 

 グロリア社運営のライブハウス(名前募集中)は最近たてられたばかりの小さなライブハウスである。
 その小ささゆえに控室が二つしかない、そのため片方はリンカー側。片方は赤原用としてわけられているのだが。
 リンカー側控室はなぜか閑散としていて人気がない。
「あの、これは……」
 さっそく楽屋についた『新星 魅流沙(aa2842)』は戸惑いの声を上げる。
「あ、あなたが魅流沙ね。私が西大寺遙華、グロリア社で何度か見かけたことがあるわ」
「ああ、初めまして、これはご丁寧に」
 そう手早く挨拶を済ませると遙華は状況の説明に入る。
「みんなあっちの楽屋に遊びに行ってるのよ」
「あわあわあわ、遙華ちゃん」
 そんな二人に、お化粧を終えた『鈴宮 夕燈(aa1480)』が手をプラプラさせて遙華を呼んだ。
「メイク終ったけど、どないすればええんかな」
 そうねぇ、そう遙華が悩んでいる間に、挨拶をかわす夕燈と魅流沙。
「じゃあ、私たちもあっちの楽屋に行きましょう、私も物申したいことがあるし」
「ええ、なんか物騒やなぁ」
「何かあったんですか?」
 夕燈と魅流沙は二人そろって首をひねる。
 その二人の疑問に答えたのは『天城 稜(aa0314)』である。
「有名アイドルが僕達にアイドル活動をやめろって言って来たから、勝負する事になったんだってさ」
「にしてもあなた、お化粧すると本当に女の子にしか見えないわね」
 遙華が感心したように言った。ちなみにメイク担当は『リリア フォーゲル(aa0314hero001)』である。
「どんな人たちなん?」
「少し調べてみた所、因縁を着けて来た赤原さんは真面目な活動をしてる人です」
「私も知ってます、音楽番組によく出ていますよね」
 魅流沙が言う。
「だからこそ、あの因縁をつけて来る行動が解らないんだよね?」
「それについては私が調べておきましたから、稜はライブに集中してくださいね」
 そして三人は稜のメイク終了を待って隣の楽屋に突撃した。
 そこは人が飽和状態になり、とてつもなく騒がしかった。そんな中でもまず目に入ったのは。
「え! 世良さんの旦那さんなん! これはこれは初めまして、ECCOです、何度も杏奈さんにはお世話になってますぅ」
「あ、いえこちらこそ。そんなことより、そろそろクロードを返していただきたいんですが……」
 そう頭を下げ合っているECCOと『世良 霧人(aa3803)』である。ただ彼女の腕の中には座った目をした『クロード(aa3803hero001)』が抱きかかえられている。
「沙耶さんも、孤五郎もお久しぶりやな。今回は敵で残念やけど、たのしもうなぁ」
 沙耶、『雅・マルシア・丹菊(aa1730hero001)』と『五郎丸 孤五郎(aa1397)』とはPV撮影の仕事で仲良くなっていたようで会話が弾んでいるようだった。
「今度一緒にご飯行こうなぁ。それより杏奈さんに会えへんかったのが残念やわ」
 今回のこのライブバトルだが、ECCO的にはお客さんをあおるための過激なショーという認識のようで、彼女自身は他のリンカーたちと積極的に交流していた。
「あの……。ECCOさん」
 そうか細くつぶやいた『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』の声は誰にも届かず霧人の声にかき消される。
「妻は赤原さんの発言を聞いて、一緒にPV撮影した皆さんや今TVで活躍されている皆さんの事をバカにされたってすごく悔しがってて……。自分は別の依頼があるからって僕達が参加する事になったんです」
 本当にむちゃくちゃな妻である。そうため息をついて霧人は肩を落とした。
「せやったんか。ごめんな。うちも光夜君に言うたんやで。こんな下らんことやめぇやって」
「まぁ、それも大事だけど……」
 孤五郎は資料を叩いて言う。 
「私達は裏方でね。ECCOさんのほうでも何かやりたい演出がないか聞きに来たんだ」
「ライブは動画配信予定なのだけど、問題ないかしらぁ」
 沙耶が言う。
「うん、もうお話し来とるで。DVD化なんかもしたいんやなぁ?」
「会場だけの単発イベントにするには、あまりに勿体無いからねぇ。知名度の向上に利用しない手はない筈よぉ」
「ええなぁ、お金になる話はすきやで、うち」
 その時である。

「ああ! てめぇ、クソメガネ、何でこんなとこにいやがる」

 そして突如楽屋に響き渡る怒声。そして遙華の声。
「今日があなたの命日って伝えに来たのよ!」
「おうおう、女ばっかり引き連れてよう、女々しいんだよかえれ!」
 その時ズイッと遙華の前に出る少女。
「初めましてだな!」
『『破壊神?』シリウス(aa2842hero001)』は腰に手を当て言い放つ。
「オレたちアーティストが立ち向かうのはいつだって観客さ。そこんとこ間違えるなよ。赤丘じゃなくて、赤森違う、あ、赤みっちゃん!」
「てめぇ! 仕事相手の名前くらい覚えてこい!」
「あわわわ、シリウス、挑発しないでください」
 相棒の静止を振り切ってシリウスは言葉を続ける。
「ちげぇよ、挑発じゃねぇよ、あと魅流沙お前にはまだ荷が重い、俺が一通りやるから」
「名前を覚える価値もないってことね」
 遙華が挑発を重ねる。
「お? 反省したって聞いたぞ、その割には態度が尊大じゃねぇか」
「あなたが謝るなら、私も頭を下げていいって言った。痛っ!」
 その後頭部に軽くチョップを食らわせたのは『蔵李・澄香(aa0010)』である。
「遙華、ちょっと落ち着きなよ」
 『小詩 いのり(aa1420)』にどうどうと引き離される遙華。
 そして代わりにとばかりに澄香が前に出る。
「モノクロプロダクション所属の蔵李 澄香です、お初にお目にかかります」
「お。おう、話は聞いてる」
「ご一緒出来て光栄です。宜しくお願いします!」
 輝くようなアイドルスマイルにたじろぐ光夜。
「ん? あ、おうよろしくな」
「遙華も、素敵な仕事をありがとう!」
「………………」
 なんだか納得いかない表情の遙華である。
「こら、遙華」
 いのりにも怒られる始末の遙華であった。
「赤原さん」
 そしてその背後から歩み寄る鋼鉄の乙女。彼女こそ新感覚メカヒロイン『黒鉄・霊(aa1397hero001)』である。
「音を楽しむから音楽なんです?」
「なに?」
「今日のステージは楽しめていますか?」
 そう黒鉄は後ろで騒いでいるECCOたちを見た。その様子は女子が数人参加してさらに姦しさを増している。
「ECCOさん! 今日は楽しいライブにしようね。僕たちも精一杯の思いをぶつけるよ」
 『アル(aa1730)』が言った、ちなみにECCOの腕の中には夕燈が捉えられている。
「ええな! そうそうこの子親近感沸くねんけど、持って帰ってええ?」
「助けてあぐやん!」
「えーっと、まずいかなぁ」

「私達を否定するための歌は楽しいんですか?」

 黒鉄の言葉に答えようとした瞬間、楽屋の扉が開け放たれうやむやになってしまう。
「やぁ、みんな準備はできているかな?」
 そう唐突に楽屋の扉をあけ放ったのは『アイリス(aa0124hero001)』である。
「一足先に会場を見てきたのだけど、超満員だね。しかも、入れ替え用の人が外で長蛇の列を作っているよ。これはすごいね」
 『イリス・レイバルド(aa0124)』はイミテーションウィングを高速でバタバタさせている、
「さてと、それでは新感覚バルムンク系アイドル爆誕の為に出でよバルムンク親衛隊」
「「お姉ちゃん、人が沢山いて怖い」」
 震えるバルムンク二本、それを抱きかかえるイリスである。
「平和利用のために歌を覚えさせたのは知ってるけどさー いいのそれ?」
 そんなイリスを抱え上げる澄香。
「うわ、バルムンク重たいな……」
「この子達に剣の道は似合わない。そういう事なのだろうさ」
 アイリスはそんなイリスを見あげながら言った。
「それにガデンツァの戦闘データを解析して持ち帰るという大事な役割もあるのだよ」
「攻撃軌道の予測……この子達の武器は切れ味じゃないからね」
「うん、そっちはボクも期待してるから……みんなで帰らないとね、お姉ちゃん」

「準備ができたわよ、さぁ、舞台へ」
 そうロクトが道を示し、全員が舞台へ上る。

「『勝て』という依頼である以上は勝ちに行きますが」
 黒鉄は言う
「重要なのは相手の人達にこちらが本気だと分かってもらう事です」
「つまり負けた方が音楽辞めるってのはおかしいと?」
 そう狐五郎はつぶやき。黒鉄を光さす場所に送り出した。


第2章 
 
 OPセレモニーは赤原の曲と共に行われた。突き刺さるような音の群。そして魂を揺さぶるような光夜の歌声。

< こぶしを突き上げろ! もっと! 絶対! 行けるはずって、自分に念じろ!>

 そう、光夜は歌い上げ、そして観客に手を振った。
「お前ら、今日は俺の歌を聞きに来てくれてありがとうな! と言ってもこの後はECCOのどんよりした歌とか、糞餓鬼どもの学芸会みたいな歌がな」
 その発言に、舞台袖で青筋立てる遙華。
「あいつ……ロクト共鳴しましょう、苦無を持ってきて」
「ストップストップ!」
 霧人が共鳴姿で遙華を止める。
「僕、今から映像室に行きますけど、無茶はしないでくださいね、遙華さん」
「約束できかねるわ」
「ははは、意外と短気だね遙華さん」
 そうアイリスが肩を叩く。
「まぁ、私たちの歌でも聞いて落ちつき給えよ。あ、ジャムはいるかい?」
「……遠慮しておくわ」
「お姉ちゃん」
 そのイリスの声にいざなわれて、アイリスがステージへ、これで全員がそろった。
 すると彼女たちを知っている者も多く割れんばかりの歓声が会場を満たした。
 全員が配置につくと。演奏が開始される。
 ビット型のスピーカーが会場を飛び、そして幻影のような映像演出が場を満たす。
 まず響いたのはガラス質な神秘的な音。そして琴や水の音。
 民族音楽調の神話を謳った曲。
「これは。世界を守り消えていった水晶の歌姫。彼女の残した希望の音を歌い継ぐリンカーアイドル達」
 そうクラリスのナレーションが響き。
 会場は拳を突き上げるようなハイテンションから、飲まれたような静寂に包まれた。決して場が冷めたわけではない、むしろ我を忘れる美しさがアイドルたちにあったのだ。
 次いで、バックモニターに映し出されるアイドルの写真たち、そして曲調が一気にアップテンポな物に替わる。
「まず、トップバッターを飾るのは彼女、晴れやかな笑顔と、優しい眼差し、みんなが待っていた癒し系アイドル夕燈ちゃん!」
 歓声があがり、それに照れくさそうな笑みを浮かべる夕燈。
「頑張って考えたんやけど! 拙い感あるかもやけど、名前はまだないけど、歌います!」
「歌い継ぐのは、彼女ならではの優しい曲」
「きっと、きっとな、神様はな、みんなのこと大好きだったと思うねん、せやから。きっと雲になってみんなをずっと見守ってくれてると思うんよ」
 彼女が歌うのは、優しい気持ちが形を変えて、姿を変えて世界を巡る歌。
 水の神様は消え去ってしまったけど、空から世界を見つめる雲になり、いつでも寄り添ってくれている、そんな曲だった。
(あぐやん。みててな、うち歌いきって見せるからな)
 そう振り付けは視線運びまで完璧に、だがいつも以上に流れる汗には彼女の必死さがうかがえる。
 けれど、その柔らかい笑みが絶えることはない。
 背後のモニターに映るのは、彼女が腕を吹っ飛ばしたり、ステージ上でこけたりしてしまった、映像ばかりだけれど。
 ステージの彼女は一際輝く立派なアイドルだった。
(泣きそうやけど、でも)
 涙も流さない。そう謳い終えた彼女は目元をぬぐった。
 直後、その両隣に立つイリスとアイリス。
 二人は夕燈に手を差し出した。
「立ち上がれる強さがあるなら」
「どれだけ泣いてもいいのだよ?」
「だって」
「なぜなら」
「「それは、強さに替わるから」」
 そう輝きを帯びる黄金の姉妹。二人は夕燈の手を取り羽を羽ばたかせ、滑空しながらステージ―の前面へ。
 そして夕燈は一つ頭を下げてステージ袖にはけて行った。
《涙雨の音~Friend~》
 バックモニターに映し出される曲名。そしてクラリスのナレーション
「神秘的な音色と、輝けるような歌声を持つ姉妹アイドル。彼女たちの歌、それは悲しく、儚く、美しい、別れの歌」

「「ではない」」

 二人は謳う。 
 美しい別れを演出するからこそ。
――別れを美談に仕立ててあきらめる……それでいいのか。
――別れの辛さに涙を流す……それで納得できるのか。
 別れの悲しみを、涙の辛さを、理解できるからこそ。
 強くなろう。失わないために。
 強くあろう。誰にも涙させないように
 バックにルネの笑顔が映し出される。

「もう二度と、涙を流さないように」
「誰かが生きるところをあきらめる、そんな瞬間はもう沢山なんだ!」
 そう二人の叫びがこだまし、サビにはいる。
 青いライト演出と共に、スピード感のあるシンクロダンスを。
 二人は一瞬で共鳴し一つに、投げつけたバルムンクは会場の端に突き刺さり、複雑な音色のハーモニーを演出する。
そして上から降り注ぐ伴奏と、白い光線が相まって。会場には輝くような雨が降っているように見えた。
 しかし、その雨を切り割くように一筋の光、その閃光が舞台中央を照らすと。
 その光から生まれたようにアルが姿を現した。
《光の音~shine~》
 バックモニターに映し出されるのはPV撮影で使われた映像
 『僕』として涙をぬぐうアル。
「泣かないで」
 そう稜へ語りかける言葉。
――きみが笑顔でいる限り、ボクはきみの中で生き続ける
 そして『あなた』として悲しみを押し隠すアル。
――でもね、やっぱり……やっぱり、もっと生きたかったなぁ……っ
「演技派アイドル『アル』」
 クラリスのナレーションが響く。
「しかし、その実態は笑顔の絶えない女の子」
 明るくアップテンポなテクノサウンドが鳴り響き。
 イントロ部分でダンスを披露するアル。
「女神さまが救った世界に溢れる光の歌を!」
 雲の切れ間から差し込んだ光は世界を照らす。

「『それ』は火焔の揺らめき。己の内の情熱で突き進む
それは煌煌と輝くスポットライト。未来を変えるは他でもなく自分だ
それは蛍火のように淡く儚く。我が力は守るべきもののために」

 燃えるような赤い光、水底からわく蒼い光、空から降り注ぐ黄金の光。
 ライト演出を変えながらアルは体を揺らす。

「皆の心にある光がそれぞれの道標
絶望も必ず、キラキラした光(望み)に変えられる」
 そうアルの手元のに光が集まっていく。それを会場に放るとエンジェルスビット一つ一つがクリスタルのように輝いた。
「あなたの『光』は、なんですか?」

 ドラムの音が深く響き、アルは肩で息をする、曲の終わりと共に上がる歓声に酔いしれながら、アルは自分の役割を思い出した。

「さて、ここでボク達のステージを盛り上げてくれるみんなを紹介するよ!」
 そうアルは観客に手を振りながらステージ前面へ。
「まず、ギター&ベースはシリウスさん!」
 そうステージ中央に躍り出たシリウス、膝立ちで滑り込みながらギターをかき鳴らす。
「これ、ハープギターって珍しい楽器なんだよね?」
 ダブルネックギターの片方がハープ(ライアー)状になってるっている。
 市場にもあまり出回っていない楽器である。
「メドレーつっても表現の幅が広すぎるから、これが必要だったんだよ」
「扱いにくくてあんま流行らなかったマイナー楽器だな」
「ありがとう! そして演出を担当してくれてるのは、セバスさんをはじめとした、僕らのマネージャーさんたちだよ!」
 会場を輝くライトエフェクトが満たす。
「ビットの操作もお願いしてるんだ」
 その瞬間響いたのは水晶のベルをガラスのスティックで叩いたような音。
「あ、ボクもう行かないと、またあとでね」
 ゴーン、ゴーン。
 響く音は甲高く、胸を震わせる音になる。そして世界を照らすのは月光の光。
「戦場の歌姫と称されるアーティスト」
 クラリスのナレーションに合わせて、透き通った翼持ついのりが上から降りてくる。まるでガラスの階段を踏みしめるようにゆっくりと、
「ルネを歌い継ぐ者の一人。歌は祈りだと信じている。小詩いのり!」
 その旋律は優しく、傷ついたものを癒すように広がる。月光を奏でる音。Luna。
 その周囲を、妖精を模したエンジェルビットがとぶ。
 悲しげに細められた視線。その先にはデフォルメされたクラリスミカ。
 気が付けば周囲をピンク色の妖精も飛んでいる。
 そして彼女はライブハウス後方から飛来した。
「そして、みんなに笑顔を届ける魔法少女、澄香!」
 直後転調、明るく響くその歌声と共にステージに降り立ちいのりの頬をぬぐって見せる。
 太陽と月は手を取り、周り一つの星を照らす。
 旋律がかみ合い。歌詞が合わさり、別の意味をもたらす。
《ソラの音~Stella~》である。
「あなたは 消えてしまった でも  私は  歌い続ける」
「キミは  消えてしまった だから ボクは 歌い続ける」
 二人は手を繋ぎ、あいた手を翼のように左右へ広げる。
 そして飛び立つ幻想蝶。観客の視界いっぱいのライトエフェクトが散ると、ステージ上にはアイドルたちは一列に並んで立っていた。
「最後にありがとうを謳います『春風の音~Thanks~』」
 そして大喝采の中、メドレーは大成功を収める。舞台袖でそれを見ていた光夜にシリウスと夕燈が背中を合わせて言った。
「楽しくてうれしいんは一緒ちゃうん? ライバル意識でお互い切磋琢磨っちゅぅ感じになれるんはよかとおもうけど! そこは同じやと思うんやけどな~!」
「ただ、澄香やオレたちの歌の下にあるのは本物の経験だ。安い反骨心や若さだけの意地が相手なら負けることは絶対ない」
 それをみて光夜はにやりと笑った。
 
「はーい、出口はこっちです。ありがとうございました、お気をつけて」
 そんな霧人の会場誘導の声が妙にはっきりと聞こえた。


第3章 

 ECCOの氷の鯨とは別れを謳った曲だ。死んでしまった少女と、その死を悲しむ二人の少女、彼女たちが前を向けるようになるまでの物語。
 これは彼女が大切な友人を失った時に作った歌であり、ファンの中でも人気の曲だ。
 特にライブ限定で公開される映像が人気で、評価も高い。
 そして何を隠そう、そのPVに出ているリンカーたちが、今日の彼女の対戦相手である。
 そうしてECCOは謳い終えると、物言いたげな沙羅にマイクを渡す。
 そして沙羅は頷いた。
「ECCOさんのファンがいたら、もしかしたら私達が分かるかもしれません」
 会場の一部から興奮した声が上がった。
「今から歌う曲は、私達がECCOさんのPVに出演させて貰った時の曲です。
大切な人との突然の別れ。それは私達リンカーにとってとても身近なテーマでした。
会場のみんなの中にも、いるかもしれません。これからあるかもしれません。
 そんな時に、思い出して頂けると嬉しいです」
 ECCOは笑った。面白いと。期待を込めた眼差しを向ける。
「二番煎じか? それはうけへんで」
「それはどうかしらね」
 まずライトが落ち、次の瞬間ライトアップされたステージ中央には横たわる機械人形、黒鉄。
 彼女の周囲には埃っぽい部屋に差し込む明りのようなライトエフェクトがかかっていた。
 そして彼女はおもむろに起き上がるとギターをかき鳴らし、肩のアンプから錆びついた音を響かせた。 
 そして黒鉄はステージ前方に横たわる少女に歩みより、その彼女をを抱き起す、そして。雅が出力前回でクリスタルフォーンをかき鳴らす。
 響く音色と、バックには夕暮れに染まる学校の風景。
 アルはアイドル服ではなく、PVで使った衣装を身に纏っていた。
 そして。沙羅の歌声。
《もし空にこの思いが届くなら、あの子を返してはくれませんか》
 氷の鯨は展開していく、ただし曲調も歌詞も、もともとの物を踏襲してはいるが全くの別物。
 それは残された者『僕』と『私』の思いを謳ったものではなく。去りゆく者の心根を謳った歌。
 これはECCOの氷の鯨に対する、アンサーソングと言ってもいい歌詞だった。
 ECCOは目を見開く。
 そんな彼女に向けて沙羅は微笑んだ。
 鍵盤に指を走らせて、心の底から歌に思いを乗せて。
 あの時、泣いてくれたわよね。
 そう沙羅は目で問いかける。
 私たちのこと、嫌いじゃないわよね。
 そして物語は展開する。
 自分の死で『僕』と『私』の間に軋轢が生じ距離が離れていってそれがまた縮まって仲直りして。
その一部始終を見届けた『あなた』は心置きなく旅立てるようになる、次へ進めるようになる
 最後のサビではステージ中央のアルをカメラで写す。
 彼女の口元を、眉を、頬を、そしてアルが瞼を下ろすと涙が伝う。
 とめどなく滴るそれを、黒鉄がぬぐって。黒鉄はギターをかき鳴らす。
 その装甲は輝きを取り戻して。そして。
 
 《足を止めなければ大丈夫。ゆっくりゆっくり、歩いていこう》

 そう余韻を残して響くサウンド。
 しかし歌はここで終わらなかった。
 曲はまだ続いている、沙耶も黒鉄も演奏していないのに。
 犯人はECCOだった。彼女がギターを鳴らしながら登場し。観衆に言い放つ。
「ごめんな、みんな、あと五分くれんか」
 ここからは勝負ではないからと、ステージ上の三人にアイコンタクトだけで合図して、それに三人は答える。コーラスやハモリを入れ替えて。
 アルが前に出たり、黒鉄がステージから降りたり、やりたい放題であるが。
 みんな楽しそうだった。

「いや、目が覚めたわ。っていうかうちが光夜君に話を持ちかけられたときに、そんなくだらんことやめーやって言えばよかったんやな」

「ありがとうな、誰かにここまでうちの思いを大切にしてもらってるなんて
おもわへんかってん。うちもみんなの思い大切にするからなぁ」

 そう楽屋裏に戻ってきたECCOに霧人はドリンクを手渡す。
 お疲れ様、そんな爽やかな笑顔にありがとうと返す。

第4章 
 武衆の演目もそこそこに、このライブを締めくくるために稜が登場した。
「この歌を、全てのリンカー並びに英雄。そして……今日まで戦い倒れた尊き方々に捧げます」
 直後ドラムが鳴り響き、音が爆ぜるように会場に響いた。アイリッシュなアップテンポでキレのある曲調。
 彼自身が持つオリジナルの曲である。

《高らかに歌う 混迷の世に
 栄華に燃える 黎明の旋律を》
 
《遥か異界の 夢幻を  
 漂う光呼び覚ます》  
 
 直後、幻想蝶から光を舞い上げ登場したリリア。
 会場が歓声に飲まれる。

《人の願いの 一つを
 咲く花よ 愛を抱き剣となれ!》

 そしてリリアが胸に手を当てマイクを手に取る。二人の声が響き重なって。
 世界に響く音になる。

《集いたて 能力者達! 
 絆を交わすなら
 友よ行こう明日を歌い
 新たな地平へ》

 背後に投影されるのは稜の映像、日常的なシーンから。 
 翼で空を羽ばたく姿、バイクで砂漠を駆ける姿。そして
 『《白鷺》/《烏羽》』構え、魔王に立ち向かう、彼の姿。

《奏でよ勇士 少女の為に
 誓いの園に 世界の始まりを》

《残り僅かな 旅路よ
 幾重の時を駆け抜け
 愛の言葉を その身へ纏い
 蘇る宿命よ 今こそ有れ!》


『そして、ハッピーエンドを、返して貰いに来た!』

 テロップが大きく流れ、音の本流が会場を飲む。
 トランス状態の二人の声はビットを通じてすべての観客へ、その心へ。
 どんな困難にも負けない強さを謳うその曲を。
 叩きつけるように彼は歌い上げる。

《奮い立て 能力者達!
 捧げたその魂(こころ)を 
 空へ光を放ち
 我等の未来へ》
 
 稜は体力を使い果たしたようにくらりと体制を崩す、その肩を支えたのはいのりで。いつの間にかみんなが舞台上に集まってきていた。
 大歓声が割れんばかりに会場を揺らし、稜は一心に手を振り続けた。

 
エピローグ 

 背後のモニターに映し出された数値を見ると、十数票差でリンカーチームの勝利だった。
「こんなん、数え間違いがあったら覆るレベルじゃねぇか」
 そんな口論を続ける二人をよそに他のメンバーは楽しげである。
「みなさんすごかったです。今回はサポートしかできませんでした。今はまだ同じ舞台には立てない、けどいつか、絶対に追いついてみせます!」
 魅流沙が言う。続いて夕燈も澄香やいのりの手を取っていった。
「今回、やっとみんなとおんなじステージ立てた気がしたんよ、一体感? すっごいたのしかったわ」
「ようこそ。夕燈ちゃん」
「俺はみとめねぇ」
「認めなくても勝ちは勝ちよ」 
「じゃあ、もう引き分けでいいよ、そしたら二人もケンカをやめるのだろ?」
 孤五郎が言う。
「勝てと言われたから勝ちに行ったけど、大事なのは楽しむこと。そしてこのアンコールの価値じゃないか?」
 じつは、投票結果発表の最中から観衆のアンコールが絶えないのだ。
「赤原さん」
 アルが話しかける。
「ボクはさ、一度音の世界と切り離されたから。
 戻ってきた音に恩返ししたくて歌ってるだけ。
 それを偶然目に留めてもらった。 
 運も実力のうち…って、それは置いといて。
 赤原さん。
 今の状態で音楽やってて幸せ?
 初めて音に触れたときのワクワクドキドキ、覚えてる?」
「覚えてるよ、だからこそ! トンデモびっくりパワーで成り上がってきたお前たちにはなぁ」
「光夜君! 失礼、うちかてそろそろ怒るよ?」
 怒るECCOに、引きつった笑顔のアル。
「 『マイクを折る』って……そんなモンなのか、キミにとっての音楽は。
 もっと音を大切にしてよ! 折角聞こえるのに、声も出るのに!
思いを伝えられる素敵な手段を持ってるのに!!
歌を愛してるなら、相棒を折ることだけは絶対に許さないよ」
「ぬ、ぐううう」
「ほら、遙華もごめんなさいしましょうね?」
 そうクラリス肩を叩かれた遙華。
「え、うん、そうね私が短気だったわ。ごめんね、光夜」
「お前が、謝るなよ……」
 そう頭をかく、光夜。
「くそ、俺は認めたわけじゃねえんだぞ!」
「このままゲリラライブしたいなぁ」
「延長戦か! のった」
「近くにグロリア社文化ホールがあるわ。主要人数500人だけど、足りるかしら」
「準備の時間も合わせて告知すれば余裕ですね、チケットの価格設定で調整しましょう」
 セバスが金勘定を始める。
「そんな、カラオケ行くノリで、すごいなこの人たち」
 霧人は唖然と言った。
「それなら、杏奈を呼ばないと……」
 そう電話片手にどこかに消える。
「歌に命をかけ、消えた英雄の話…話は聞いたし、似たような経験はあるとはいえ……オレたちは張本人じゃないんだ。」
 そんな一行から外れてシリウスは澄香に言った。
「歌姫ルネの話、オレももっと知ってみたいな」
 すると澄香は頷いて、手招きをする。
 鞄から楽譜を取り出して、光夜含めたみんなに配った。
「何かを感じてくれたのなら、皆さんも歌いませんか? この音を」

「ルネメドレーをみんなで歌えるのとっても嬉しい
ルネさん聴こえてる?
 キミの歌はこんなに多くの人に歌い継がれるようになったよ」
 そういのりは空に届くように、そんな思いを言葉にする。

 そんな喧騒をよそに、端っこで汗を乾かしているイリス。
 彼女にアイリスが話しかけた。

「涙雨はまだ未完成だったけど、よかったのかい?」
「うん、時間はまだまだあるから」
「いつか、虹の音を完成させるための、第一歩だよ」
「虹の音(皆が仲良くなる為の懸け橋)か…なら、まずは遙華さんと光夜さんに仲直りしてもらわなくてはね」
「そ、そうだね」







結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 惑いの蒼
    天城 稜aa0314
    人間|20才|男性|防御
  • 癒やしの翠
    リリア フォーゲルaa0314hero001
    英雄|20才|女性|バト
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 汝、Arkの矛となり
    五郎丸 孤五郎aa1397
    機械|15才|?|攻撃
  • 残照を《謳う》 
    黒鉄・霊aa1397hero001
    英雄|15才|?|ドレ
  • トップアイドル!
    小詩 いのりaa1420
    機械|20才|女性|攻撃
  • モノプロ代表取締役
    セバス=チャンaa1420hero001
    英雄|55才|男性|バト
  • ~トワイライトツヴァイ~
    鈴宮 夕燈aa1480
    機械|18才|女性|生命



  • 銀光水晶の歌姫
    アルaa1730
    機械|13才|女性|命中
  • プロカメラマン
    雅・マルシア・丹菊aa1730hero001
    英雄|28才|?|シャド
  • 魅惑の踊り子
    新星 魅流沙aa2842
    人間|20才|女性|生命
  • 疾風迅雷
    『破壊神?』シリウスaa2842hero001
    英雄|21才|女性|ソフィ
  • 心優しき教師
    世良 霧人aa3803
    人間|30才|男性|防御
  • 献身のテンペランス
    クロードaa3803hero001
    英雄|6才|男性|ブレ
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