本部

羊が一匹…二匹…

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
4人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/05/26 19:59

掲示板

オープニング

●とある牧場にて
 放牧から戻ってきた羊たちの数を数え、羊舎の中に戻そうとした所で、はたと気が付いた。
 こんな羊がいただろうかと、男は首を傾げる。
 数は合っている。しかし、他の羊よりも一回り大きく角のある個体がいるのだ。それも一匹ではなく、数匹いるようである。
 男はその羊を「一匹…二匹…」と数えているところで、急激な睡魔に襲われてその場に倒れた。
 それは宛ら、眠れない時に羊を数えているようである。だが、だからといって急激に睡魔に襲われて倒れることなんてありえない。
 男が戻って来ないのを心配した同僚が眠っている男を発見し、揺さぶるが男は目を覚ますことなくぐっすりと眠っている。
 声をかけても叩いても眠っている男に同僚は溜息を吐くと、慌てて羊舎の外に散らばった羊たちを集めに奔走した。

 そして次の日、男は目を覚ました。
 目を覚ました男は何で眠っていたのか覚えていないようである。
 本日も男は羊を羊舎に戻す作業をしていた。そして、今度は羊の数が数匹少なくなっていることに気が付いた。そして、羊の個体こそ減っているものの、逆に角のある大きな個体が増えているのだ。とは言っても、数が減っているのだから差引ゼロというわけではない。
 男は大きな個体を数えていると、またしても数えている途中で意識が遠くなって眠ってしまった。
 男は再び同僚の男に発見された。同僚の男は「またかよ!」と大声で叫び、再び羊たちの為に走り回る破目になってしまった。

 そして次の日も前日同様であり、男はいよいよおかしいぞと思った。
 またしても総数が減っているのである。そして、別の個体が増えているのだ。
 だが、今回は昨日と一昨日の経験を活かして羊の総数のみを数えるに抑えた。そして連日の居眠り騒動から、同僚がやって来た所で、男は同僚の前でこのことを話し、別個体の数を数えている途中でまたしても倒れるのだった。

解説

●目的
→紛れている別個体の羊を殲滅すること

●補足
→別個体は従魔です。
 羊の中に紛れていますが、その能力は自身達を数えている人間を眠らせること。
 なので、数を数えなければ睡眠能力自体はどうにかなります。
→従魔が羊に混ざり、羊を食べているので羊の総数は減っています。
 そして、食べた羊の代わりに従魔がまた混ざり込んでいるので別個体が増えている、そんな絡繰りです。
 このままでは羊が食べ尽くされ、従魔がどんどん増えていくので別個体は全て殲滅しましょう。
→眠りの能力は別として、従魔は今は羊に扮装しているような状態。
 なので、戦闘となれば本性を現してきます。
 身体は大きく膨れ上がり、身体の中に隠してあった足を延ばして蹄で蹴ったり突進してきたりします。
 角も伸び、攻撃してきます。
 勿論羊を食べているだけあって肉食です。
 鋭い歯も持っているので、噛みつかれないように注意しましょう。

リプレイ

●牧場にて
 依頼主から話を聞き、羊と従魔の見分け方を教わった後、其々思い思いに羊を眺めてそれを確認していた。
 とはいっても、本当にあからさまなのである。ここで飼育されているのは、日本で一般的に飼育されている食肉がメインとした掛け合わせの羊の為角が無い。それなのに、メリノ種のようにくるんとした特徴的な角を持っている個体が数体紛れている。これはあからさまと言っても良い程にまで、明らかな違いであった。

 草を食んでいる羊たちを「おぉ、いる、いる」とばかりに額の辺りに手を当てて、赤城 龍哉(aa0090)は「差し詰め羊の皮を被った従魔ってなとこか」と称した。
 その的を射た表現に、『言い得て妙な感じですわ』とヴァルトラウテ(aa0090hero001)は同意する。
「まぁ、わざわざ寝てやる義理もねぇ。手早く行こうか」

「ん、羊が一匹、羊が二匹…Zzz」と羊を数え、エミル・ハイドレンジア(aa0425)はすやぁと眠りに立とうとするが、『エミルよ、それは本物の羊なのだが…?』とギール・ガングリフ(aa0425hero001)の冷静な指摘が入る。
 しかしエミルは聞いているのか聞いていないのか、「ん…、だいじょぶ…、だいじょぶ…すやぁ……」と再び船を漕ぎ始めた。

 六鬼 硲(aa1148)は牧場に着いたら、すぐにラウラ スミス(aa1148hero001)と共鳴を済ませていた。そして、その手には卵のパックが大量に入った袋をぶら下げている。
『生卵で何をするんです?』という尤もなラウラの質問には、「カラーボールの代わりに使うつもりです」とそのつもりで購入したのだ。
 それにしても三千円分の卵とは半端じゃない。凄い量が袋のなかに入っていた。

 骸 麟(aa1166)と宍影(aa1166hero001)は驚くほどいつも通りのテンションである。
「数えられると眠らせてしまう羊だと…!」『うむ、これは如何やらこの骸忍術への挑戦でござるな。骸飛羊幻術…真逆、従魔如きに真似されるとは』「…勝負しか無いな」『…そう、どちらが眠りの玉座を支配するか死を賭した戦いになりましょうぞ』
 熱いテンションのまま、聞いていると疑問に思うような会話を繰り広げていた。

「あー……確かにいるな、角のデカいのが」
 ツラナミ(aa1426)は何となしに羊を見て、そう呟いた。
 抑揚のない声と感情を悟らせない表情の為、怠そうだとか面倒くさそうに見えるかもしれないが、仕事に対しては真面目で真摯な程だ。
 その表情とは裏腹に、「さてやるか」と言葉を零してツラナミは腰を上げた。

 ぴしっと敬礼するものの、その外見からごっこ遊びと言うべきか、非常に可愛らしいことになっているのにも関わらず、「美空の英雄さんはお休みなので共鳴なしでできる事をやるのであります」と美空(aa4136)は軍人口調でそう言った。
 どことなく生真面目そうな感じがあるものの、それでも矢張り可愛らしいという言葉が先行してしまう美空に、周囲は温かい目を彼女に向けるのであった。

●行動開始
 硲は他のメンバーにライヴス通信機で連絡してもいいか確認し、了承を得た。
 その後、何か作戦があるかどうか顔を合わせていると、再び硲がセーフティガスの提案をする。
「セーフティガスは動物も眠らせますので、術で眠った羊は本物とみていいと思います。眠らずに動いている角の大きな羊が従魔とみて問題ないかと。これが私のできる従魔識別案です」
 この案には否定意見はないようで、採用される。
 確かに角の有無で従魔を見分けることは可能だが、だからといって本当に通常種に見える羊の中に従魔が混じっていないとは限らない。つまりは、そういうことである。
 話し合いで決まったことといえばそのくらいで、後は其々が上手く立ち回ることということで方針は決定した。


 戦闘前に羊とそうでないものを粗方仕分けたいと思っているエミルは、セーフティガスは両方に使うものとしても、明らかに従魔化しているものとそうでないものを分別することにした。
 従魔に気取られないように、カモフラージュがてらどちらも同じように構いつつ、「ん、羊は大事、大事。どんどん、しまっちゃおうねぇ……」と羊だけを別の場所に移そうと行動する。
「めぇめー、めーめー。ん、めぇ~…?」と無邪気に話しかけている様は裏を気取らせず、上手いこと誘導していく。
 その不思議な言語に、ギールは『…まさか、会話しているのだろうか……』と驚愕した。
「んめぇー、めぇめぇ、んめぇえー…」と、エミルと羊の声が楽しそうに響いた。


 そのすぐ横で、外見年齢がかなり近い美空も「ほーらもふもふさんはこちらであります」と一緒に誘導する。
 そこはもう、年齢相応に羊をもふもふしたいと考えているものの、仕事を全うしようと内心では誘惑と頑張って戦っているのである。しかし、傍でエミルが羊と楽しそうにしているのを見て、自分もと思って手を伸ばし、いや駄目だとばかりに首を振るということを繰り返していた。羊の誘惑を跳ね除けること――そっちの方が美空にとっては従魔よりも手ごわいのだった。


 仲間が準備に奔走しているのを眺めながら、ツラナミは「あー、予定やべえ……アレはサヤに回すとして、こっちはどうするか…」と、この依頼の後の個人仕事のことを内心でぼんやりと考えていた。
 そして内心というよりも根本にあるのは、「…必要のない労働はしない主義なんだよ。面倒くせぇ」というものである。しかし、ちみっ子達が羊を仕分けようとちまちま一生懸命している姿を見て、溜息を一つ落として「…まあ、適当に手伝うわ」とその輪に加わった。

●作戦開始
 仲間達が配置に着いたのを確認すると、硲はセーフティガスを作動させる。
 すると、程なくして効いてきたようで彼方此方で羊が丸まっている姿が見える。そのふわふわなフォルムは、無性に飛びつきたいというよりも飛び込みたい衝動を抱かせる姿であった。
 上手いことセーフティガスが機能したようで、立っているのは角の生えた個体――即ち従魔しかいない。普通の羊のように角が無く、中に紛れているものはいないようである。
 それを確認すると硲は通信機で「動いているのが従魔です」と連絡を入れた。


 セーフティガスで羊が眠った所で、麟と宍影は羊の格好になって"幻術"を仕掛ける。
 骸飛羊幻術――とは言っても、羊の着ぐるみを着て対象の周りを飛び回って眠りを誘うという、幻術なのかと首を傾げてしまう術である。因みに、人間が相手には失笑を誘うという少しばかり周囲の目が気になることをここぞとばかりに堂々と披露している。
 足元に眠った羊が邪魔なので、従魔の餌――つまりは羊の振りをして群れの外に誘き出す。
『幻身発術! …ちょっと、眠った羊が邪魔でござるな…麟殿、フレッシュで生きの良い餌の振りをしてこ奴らを誘き出すでござるよ』
 この台詞、矢張り本気なのである。麟も「応!」と頷き、真剣そのものだ。天然なのか、真剣にやり取りするこの二人のやり取りに、突っ込みが一人くらい欲しくなる。
 こちらに気が付き、首を傾げつつもついてくる従魔に「よし! これで行けるぜ!」と内心で拳を握るものの、「飛羊出…」と言いかけた所で視界に入った姿に「ちょっと待て!」と声を上げた。
 他の仲間が従魔に向かっていく姿に「抜け駆けは…くそう! 宍影オレ達も後れを取るな!」と共鳴してすぐさま作戦を変更する。
 そしていの一番に、それこそ我先にと従魔に突っ込みジェミニストライクを発動する。
 分身の術とばかりに二人になると、攪乱することを目的に縦横無尽に走り回って引っ掻き回す。
 予め三人が従魔と羊を分けてくれていただけあって、非常にやりやすい。
「骸人遁術友釣! ほーら、美味しい餌だぞう!」と、縫止を使って動きを阻害している間に接近したり、相手の攻撃を誘っては避け、群れとして機能ができないように徹底的に邪魔するのだった。


 龍哉はセーフティガスに合わせ、従魔の群れに突入する。
 予め攻撃を仕掛ける場所を想定していた場所に入り込み、手近な個体から仕留めにかかる。
 漸く事態を把握したのか、羊の姿をかなぐり捨てた本性丸出しの姿で起こっている。
 何処に収納していたのか足は倍以上に伸び、くるんとした角は前方を向いて槍のように尖っている。足の分だけ大きくなっているのに、更に毛も逆立ち、唸り声を上げている様はもう到底羊には見えやしない。目は険しい光を纏い、裂けた口元からは鋭利な牙が覗いて唾液を垂らしているのだから尚更のことだ。寧ろ、よく羊に擬態できていたなといっそ感心できるレベルで別物である。
「ふん、それが本性か。だが、喰われてやる義理はねぇな」
 猛牛の突進のように、勢いをつけて巨体が襲い掛かる。しかし、それを龍哉は冷静にかわすと爆炎を纏った拳で殴りつけた。
「ジンギスカンもどきの一丁上がりってか」
 その様を見て、他の従魔達も龍哉に牙を剥く。
「さぁ、どんどん来やがれ!」と言いながら、自ら踏み込んで惹き付けると怒涛乱舞を繰り出す。そしてすぐさま一気呵成で巨体を浮かせるボディーブローを決める。
 他の個体も龍哉を囲み、襲い掛かろうとその鋭い角を更に尖らせる。
 しかし、「角が伸びるとか器用なもんだな。だが、来ると判ってりゃ幾らでも対応のしようはある」と迫る角を掴んで爆破したり、角を掴んで投げたり、逆にそれを利用してやる。
『従魔滅すべし。慈悲はありませんわ』と言った時のヴァルトラウテの顔が思い浮かび、龍哉は「何を読んだのか丸判りだな、おい」と苦笑した。


 エミルはライブスラスターを使いこなし、機動力で勝負をかける。
 従魔に囲まれないように縦横無尽に動き回り、その姿はまるで重さを感じさせない。エミルだけ無重力にいるような、舞っているかのようなかろやかさだ。
 ライブスターを使用しているとその勢いのあまり回避や、攻撃に移るのが困難であるが、そのハンデを無くす為にも動き回っているのである。
 従魔の数を数えてはいけないというものの、エミルは無意識に「…いち…にぃ…」と数え、その所為で急激に睡魔に襲われた。そしてその機動力のまま顔面から地面へ突っ込む。
 それでも尚気持ちよさそうに寝ているのだから、大丈夫なのかと心配になってしまう。そこにすかさず眠ってしまったひとように待機していた美空が「ほら起きるでありますよー、朝でありますよー」と、文字通り叩き起こす。
 しかし、まだ幸せそうな顔をして眠っているエミルに、美空は「手ごわいでありますな。起きないでありますよ」と驚きの声を上げた。
 そして落下の時のダメージも含め、エミルが墜落したことに驚いてやって来た硲がクリアレイとケアレイをかけると、エミルはぱちりと目を覚ました。
 エミルは何が起こったのか分からないのか、それとも寝ぼけているのか周囲を見回して「…んっ」と声を漏らした。
「寝ていたのでありますよ。大丈夫でありますか?」「顔から落ちましたけれど、大丈夫ですか?」と声をかけられ、再び「…んっ」と頷き「…大丈夫…」と言う。
 そして再び何事もなかったかのように戦闘に戻り、柵に近づく従魔に向かってストレートブロウをぶっ放す。
 先程寝たからなのか元気いっぱいのエミルは「幸福な、ジンギスカンを、妨げる不穏分子は、排除、排除……」ときりっと決めるが、ギールに『エミルよ、別にコレを片付けた所でジンギスカンにあり付ける訳では無いのだが……』と指摘され、驚愕に満ち溢れた声で「なん…、だと……」と呟いた。


 硲は仲間が動きやすいよう、通信機で従魔の位置を知らせる。
 従魔の大体の数を把握するのに数える必要がある場合は、一度スマホで映像撮影し、直接従魔を見ずに数を数えられるように映像から数を数える案を提案するなどもした。
 そして、万が一羊の中に従魔が紛れ込んでもぱっと見で解るようにマーキングも施す。
 ここで購入してきた大量の卵の出番だ。
 勢いよく投げ、従魔を卵の黄身まみれにする。まるでコントのようであるが、これでも大真面目なのである。これによって、従魔達が羊の中に潜りこんでも卵の黄身の色で識別しやすくなった。
『羊も庇いましょう。眠った羊は無防備です。眠る羊の位置や動きは私が報せます』と、そういうラウラに硲は頷く。
 硲はラウラ助言に従って禁軍装甲を掲げ仲間や羊を庇っていたが、時には攻めにも転じる。
 雷神の書を使った雷で、自身がマーキングしたことによって従魔のみを的確に攻撃もするのであった。


 羊と従魔を分けてあるとはいえ、それでも壁か何かで明確に分断しているわけではないのだから勿論羊に襲い掛かるものだっている。
 そんな従魔に向かってツラナミは縫止で動きを阻害する。
 そして羊と従魔の間に割って入ると、シルフィードで斬り伏せる。
 仲間が攻撃を受けているのを見て、ツラナミに攻撃対象を変えた他の従魔達は女郎蜘蛛で拘束する。
「…おうおう、いっぱいかかったものだ」と、ツラナミは坦々と言うと武器をライヴスガンセイバーに持ち替え、容赦なくぶっ放す。
 銃でありながらも斬撃を放つことのできる特殊な形状の銃が火を吹き、次々に従魔を仕留めていく。
 流石本職殺し屋という手早さで従魔を次々に仕留めていく。
 羊に向かう従魔を始末すると、今度はまた近くにいる従魔を適当に始末していく。
 攻撃を避けて側面に回り、反撃するという効率重視で戦うのであった。


 美空は境界の杖を従魔に向かって振り下ろした。とはいっても、それは決定打になることはない。
 しかし、顔面部、それも眼と眼の間といった非常に弱い部分を叩かれて余裕でいられる生物などいやしない。幾ら子供の力ではあるとはいえ、的確に突いた一撃であれば体勢を崩すのは間違いない。
 死角の位置から急に眉間に一撃を受け、従魔は唸り声を荒げた。悶絶というよりは驚愕の方が勝っているようであるが、美空の目論見通り従魔は暴れ狂った。
 しかし、我を忘れた姿は隙だらけであり、その隙を狙い燐はハングドマンを巧みに操って巨体を転ばせると、ジェミニストライクを使って「骸殺界門! 完成だぜ!」と止めを刺す。
 燐は美空に親指を立てえると、美空は瞬間的にぱっと敬礼した。そして美空は鼻息荒く杖を構える。
「さあて、いままで食い殺した羊さんたちの敵討ちタイムであります。おのおのがた油断めさるな、なのであります」


 大分従魔も殲滅し、立っている従魔は残り僅かだ。エミルは孤立している敵には疾風怒濤をお見舞いしてボッコボコに、密集している敵には怒涛乱舞をブンブンと当て、「ん、なんか、楽しくなってきた、ね…、んふふ…v」と楽しげな声を上げ、ギールは『…………』と絶句した。

 その傍で戦っていた龍哉は、戦闘の余波で起きてしまった羊を拳の爆炎を空砲代わりにして上げることで遠ざけると、「さて、こいつで終いか」と最後の従魔に向き合う。
 そしてにっと笑むと「羊を狩るなら狼でってのも悪くねぇだろ」とオーガドライブを纏って「○ーンナッコー!」と技を繰り出し、決まったことで「OK!」と拳を突き上げた。

●戦闘終了
 一応全ての従魔は駆除したと思うものの、念の為にもう一度従魔の存在がないか見て回り、また後片付けを手伝う。

 重たい物を率先して運んでいる龍哉は「しかし、どっから紛れ込んだんだ、連中」とぼやくが、ヴァルトラウテは『海の底で鮫にまで取り憑くのですから、もう驚くに値しませんわ』と冷静に言う。

 エミルは手伝いというよりも食い気が勝ったようで、ポーカーフェイスはそのまま、しかし内心はかなり高揚してアツアツのジンギスカンうどんを啜る。そんな姿にギールは苦笑するものの、エミルの好きにさせて自身は力仕事へと回った。

 硲は共鳴を解き、卵は従魔にしか当てていないものの、従魔が動き回ったことによって羊に付着してしまった黄身をラウラとともに洗っていく。とはいっても、ほんの少し付着した程度なので、依頼主は気にしなくて良いと言ったものの、律儀に硲は詫びて丁寧に羊を洗う。

 麟は今回の自身の術が納得いくものであったようで、しきりにうんうん頷きながら「木を隠すなら森の中! 奴らもまさか逆用されるとは思わなかったよね?」と言うが、その横で、宍影は何を思ったのか『森は何処に有るのでござろうか?』と首を傾げた。

 ツラナミはだるそうにして手を抜きつつも、さぼっているようには見えないように適度に手伝いをしていく。しかし、内心ではもう次の仕事に頭は切り替わり、この後の予定を頭に巡らせていた。

 美空は仕事も終わり、漸く羊に抱きつくことができた。「もふもふであります」と至極幸せそうで、周囲からは微笑ましい気な視線が向けられていた。

 手伝いを終えた後、「そんなことまで有難うございます」と恐縮したように頭を下げられ、一同は依頼主の厚意によって振る舞われたジンギスカンに舌鼓を打った。

 矢張り労働の後の食事は嬉しいものがあり、「ご馳走になります」「有難うございます」と次々に頭を下げてお相伴に預かる。
 山のようにこんもりと用意された肉は次々に焼かれ、そして胃袋の中へと収まっていく。
 龍哉は「美味い」と肉ばかりを口にし、ヴァルトラウテに『落ち着いて食べてください。あと、野菜もバランス良く食べてください』と注意を受ける。
 硲とラウラはのんびりと「こちらが焼けていますよ」『こちらのも美味しそうですよ』と始終和やかである。
 麟と宍影は「これもまた修行である!」『何の、隙ありでござる!』と肉の争奪戦を繰り広げていた。
 ツラナミは仕事がなければここで一杯やるのになと考えつつ、あくまでもマイペースで箸を進めている。
 美空は「これ、凄く美味しいでありますよ」とエミルに勧め、エミルは「…んっ、美味しい。……もっと食べる」と食べ続け、ギールに『程々にしておくのだぞ』とまだ食べるのかとばかりにギールは溜息を吐いた。

 大きな被害も出すこともなく、今回の依頼はこれにて無事終了である。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
  • 天啓の医療者
    六鬼 硲aa1148

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 死を否定する者
    エミル・ハイドレンジアaa0425
    人間|10才|女性|攻撃
  • 殿軍の雄
    ギール・ガングリフaa0425hero001
    英雄|48才|男性|ドレ
  • 天啓の医療者
    六鬼 硲aa1148
    人間|18才|男性|生命
  • 羊狩り
    ラウラ スミスaa1148hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 捕獲せし者
    骸 麟aa1166
    人間|19才|女性|回避
  • 迷名マスター
    宍影aa1166hero001
    英雄|40才|男性|シャド
  • エージェント
    ツラナミaa1426
    機械|47才|男性|攻撃



  • 譲れぬ意志
    美空aa4136
    人間|10才|女性|防御



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