本部

化け猫騒動

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
5人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/05/20 20:47

掲示板

オープニング

●とある猫の話
 猫は鼠を食べるものである。
 古今東西、昔からそういう生き物なのである。そしてもうひとつ、猫は化けるものである――と、そうとも言われている。

 この街に一匹の猫がいた。
 珍しいことに、三毛猫の雄である。
 野良であるのにも関わらず、貫録のあるずっしりとした体躯はこの猫が狩りの名手であるということなのだろう。小さな生き物を狩るのも、人間から餌を貰うのもどちらも等しく猫にとっては狩りなのである。
 そんな猫は矢張りと言うべきか、鼠が好きだった。
 鼠が潜んでいる場所で待ち構えてぺろりと頂くのである。美味しいものは沢山あるけれど、鼠は鼠で別口なのである。
 ある日、猫は凶暴な鼠と行き会った。
 通常の鼠よりも大きな鼠である。もしもこれを見る者がいたら、すぐにアサシンラットだと気が付いただろう。しかし、猫にそれは知る由もない。

 猫の目から見ても鼠は異様に思えた。異様であり、異常であった。
 しかし、先日食べた鼠はこの鼠程凶暴ではなかったが何処となくこの鼠に似た空気を纏っていて、それが大層美味だったのである。実はその鼠は微弱にライヴスを溜めこんでおり、ほんの少しだけ従魔化が進んでいたのだ。それを口にした時、猫は何とも言えない癖になる味を知ってしまったのである。
 それからというもの、猫はここで鼠を狩る日々を送っている。
 何時もその美味な鼠と行き会うわけではないが、たまに口にできるととてつもなく幸福な想いになるのだ。そして、この目の前に居る鼠は間違いなくあの美味な鼠である。それも、これまで以上の美味でありそうであった。

 猫は舌舐めずりをした。
 獲物はずっとそこに留まっているわけではない。生きているのだから逃げるのだ。
 先日の思いがけない美味しい想いと、獲物が何処かに行ってしまうのではないかという危惧を抱かせ、それが猫の行動を決定づかせた。
 猫はアサシンラットへと突撃する。
 しかし、アサシンラットは従魔である。ひらりと猫を避けると、窮鼠猫を噛む――を体現するかのように猫へと襲い掛かった。
 猫の絶叫が響き渡る。
 だが、それで怯む猫ではなかった。目の前の餌を意地でも喰らってやるという想いだけが頭を占めていた。それこそ、痛みも恐怖も何も感じないくらいに。

 その激闘の末、猫はアサシンラットを丸呑みにしたのである。この頃にはこれまでに蓄えていた、溜まりに貯まったライヴスの影響で猫は従魔化していた。
 その姿は正に化け猫。
 普段よりも大きく、それこそ人間にも近い程にまで大きくなった猫である。それがアサシンラットを口にし、とろけるような笑みを浮かべた。
 にぃあ~ごと鳴き声が響く。
 猫は満足気な声を出すと、元の大きさへと戻った。だが、大きさが戻ったからといって、従魔でなくなったというわけではない。その事実は変わらないのである。

 それからというもの、猫は更に美味なものを求めて彷徨い始めた。時には街にひっそりと入り込んだ従魔であったり、人間の食糧であったりと様々である。
 そして遂には、人間の食糧を漁り始めたのだ。これまでは人間から分けてもらっていたが、自ら人間の家の門扉を開けて入り、荒らして回るようになったのである。
 これを目にした人間は初め己の目を疑ったが、これが現実であることを知ると大きな悲鳴を上げた。そして、「化け猫」がと皆一様に口にするのである。

 これが此度の化け猫騒動の発端である。
 幸いなことにまだ大きな怪我をした者はいない。しかし、家を壊され荒らされて、被害は既に重大である。
 このまま野放しにしておけないと、H.O.P.E.に一報が入った。

解説

●目的
→化け猫騒動の収拾

●補足
→猫の従魔は大きさを自由に変えられるので、普段は周囲の野良猫に混じって生活をしています。
 大きくなるのはその必要がある時だけです。
 なので、まずは猫を見つける所から始めなくてはなりません。
→猫なので武器は牙と爪ですが、戦いの最中でも身体の大きさを自在に変えてくる所が厄介です。
 攻撃を当てたつもりでも、身体を小さくして避けたりもするので、注意しましょう。

リプレイ

●いざ、情報収集へ
 今回の依頼を受け、顔合わせをした面々は集合場所を決め、一度情報収集へと繰り出した。


 依頼内容を聞き、「…食べ荒らす化け猫か……うちにも食い荒らす奴が居るからな…他人事じゃねェ気がするぜ…。いや、気のせいだぜ、気のせいだ」と自分に言い聞かせるように呟いた東海林聖(aa0203)であったが、ちらりと横に視線を向けて内心で「…まぁ、人の家に押し入って食うコトはねェだけマシだよな…」と思っていると、それを察したのか頬を膨らませながらLe..(aa0203hero001)は『…ねぇ、ヒジリー…なんか失礼なコト考えてない?』と訝し気な目を向けた。
 その横で、今回行動を共にする北条 ゆら(aa0651)とシド (aa0651hero001)は「化け猫かー……。猫好きとしては複雑な依頼だけど。でも、そのままにもしておけないよね」『従魔は従魔だ』と、坦々とした会話をしている。
「ですよねー」とわかりきた声を上げるゆらに、『普通の生き物が従魔化する事例は今後も増えそうだな。資料集めとしても意義があるかも知れん』と言うと、「ふむふむ……なるほどー。とにかく、私は猫さんをモフモフするのです」とゆらは大好きな猫に思いを馳せて別の目的にやる気満々な様に『……好きにしろ……』とシドは溜息を吐いた。

『……容赦なく食べるよ…?』と、猫も食べる気を見せるルゥに「それはやめろ! 絶対にだ」と聖は念押ししながら4人は調査を開始する。
 化け猫を見たと申告した住民の元へ赴き、ゆらは猫の特徴と食べられたものを確認する。そしてそれと同時に、聖は地図に被害があった家の場所を地図に書き込んで分布図を作成する。
 そして、それを元にして罠を設置する場所を検討していく。
 縄張りなどを考慮して見回しながら、途中でゆらが「猫さんをもモフモフしてきます」と野良猫にまっしぐらになり、それを『……おい』とシドが諌めるものの、それでも猫を離さずに撫でまわし続けるのはご愛嬌というものだろう。
 心底幸せそうなゆらの横で、猫をつつきながら『…ルゥのご飯…』と不穏な言葉を呟いたルゥに、「頼むから止めろよ」と聖は再び念押しするのであった。


 元ニートというある意味共通点もあることもあり、旧 式(aa0545)と鹿島 和馬(aa3414)は行動を共にすることにした。
『チェシャ猫の相手ならアタシがアリスだな』と楽しそうなドナ・ドナ(aa0545hero001)に、「アリスってチェシャ猫倒さねーだろ」と式は突っ込む。チェシャ猫はアリスの作中に置いて少し不思議なポジションにいるが、それでもアリスとは決して戦ったりはしない。
 しかしそれは違うとばかりにドナは首を振って、『実はあいつは赤の女王の手先なんだよ』と大真面目に言うものだから、式の「赤いのはてめーだろ」と突っ込みが冴えわたった。
 一方、和馬と俺氏(aa3414hero001)は別なことで盛り上がりを見せている。
『和馬氏、化け猫だってさ』と言う俺氏に、「ついにコイツ(またたびベルト)を使うときが来たな」と和馬は以前手に入れたベルトを装備済みである。このベルトは口にするのが少し恥ずかしい掛け声に呼応し、可愛らしいバックルからまたたびの匂いがする仕様だ。
『でも、本当に効果があるのかな?』という俺氏の疑問は尤もであるが、「試してみねぇとなんとも。仕様上はある……らしい」と装着した和馬もあまり自信が持てない代物である。
 その言葉に、『らしい、なんだ』と俺氏は曖昧さを感じ取り、和馬も「……おう」と頷く。

 四人は猫の縄張りや餌場を調べていく。
 主に飲食店を中心とし、街の人に化け猫の情報を尋ねて集めて餌場の情報を掴むと、式は鼠の存在も念頭に餌として食べていそうなもの確認する。その間和馬はライヴスゴーグルを掛けて周囲を確認し、そこにライヴスの反応が無いか調べる。
 結果、下水道の中で鼠の姿は確認できた。通路でちょろちょろとしているものからはライヴスの気配というよりも、微かな残り香のようなものが確認できた。
 これも合わせて和馬が写真に撮る。今回のこのチームは確りと調べ、情報を報告するのがメインである。
 このことから、「猫がライヴスの濃い場所を縄張りにしていた」又は「ライヴスを取り込んでいた」ということ、もしくはその両方だと想定できる。
 普通の鼠の従魔化に至らないものの、ライヴスを微弱に含んでいることから逆転の発想をし、「ライヴスの濃い場所に居た鼠がライヴスを纏っていて、それを食べた猫に段々とライヴスが蓄積されて従魔化に至った」と考えることもできそうだ。
 鼠は数匹餌として捕まえることにした。
 和馬のライヴスゴーグルで、その残り香を辿って行くと、奥にライヴスの歪みを発見した。矢張り、ライヴスの近くにいたことにより、鼠がライヴスを取り込み、それを食べたことによってライヴスが猫に蓄積したこと可能性が高い。
 歪みを前に、「いずれにせよ、これは本部に報告した方が良いな」という言葉が下水道の所為で不自然に大きく響いた。


 二組四人ずつで行動しているのだから、必然的に九字原 昂(aa0919)と流 雲(aa1555)&フローラ メイフィールド(aa1555hero001)組になるわけだが、昴は只今一人で調査中である。雲とは別行動だ。
 今回の件については、「泥棒猫、というより強盗猫かな。いずれにせよ、好奇心は猫をも殺すって事だけどね」と昴自身は思っている。
 猫の従魔といえば聞こえは可愛らしいが、やっていることは押し入り強盗と同義だからだ。

 昴は標的の猫を誘き出して討伐する為に、まずは事件があった場所を元に、当該地区内で猫が良く現れる地点を聞き込み等で調査をする。聞くのは主婦や学生等、情報のやり取りが多く、それぞれのコミュニティが形成されている相手が狙い目だ。
 そして、猫の目撃情報が比較的多い場所を三か所ほどに絞り込んだ。これは他の面々と情報を合わせるから、あくまでも目安ということになる。
 それと同時に、餌とケージを3つ準備した。二組ずつ分かれるのだから3つなのである。
 餌はキャットフードや、これまで被害に遭った時の食品を用意し、取り敢えず猫の好みそうなものを集めて準備万端である。


 雲は借りた8人乗りの車を運転しながら助手席に座るフローラに「元は普通の猫だよね? ……元に戻せる方法ってないのかな」と尋ねるが、フローラはそんな雲を気遣わし気に見て『その前に雲の優し過ぎる部分をなんとか出来ないかしら。雲が先に潰れちゃうわ』と思っていた。
 二人は依頼を受けた時、HOPEにこの手の従魔を生み出さないための対策を聞いていた。その時の様もフローラの心配心を煽っているのである。

 二人は情報収取というよりも、今回は裏方のようなものがメインである。先にメンバーが持っていた、地図と野良猫の分布図を人数分コピーして配布するなどだ。
 猫を捕まえるためのケージ3つ程用意するつもりだったが、それは昴が手配してくれるとのことで、他にも猫を捕まえる為に液体タイプと手持ちサイズの二種類のマタタビの用意など準備に余念がない。
 その他にも準備の為に奔走をし、いい時間になった頃にメンバーに連絡を取って、集合場所から遠くに離れているメンバーを拾いに車を走らせた。

●罠を仕掛ける
 集合場所にメンバーとフローラを送り届け、自身は近くの駐車場に車を停めてきた雲も無事に合流した。
 各自が得た情報を照合し、そこから罠を設置する位置を考える。
 昴から他の組もケージを受け取り、仕掛けに繰り出した。


 罠を仕掛け、聖はライヴスゴーグルのぎりぎり範囲内まで離れた位置で身を隠した。
「…流石にこの辺は…従魔であっても野生生物って特徴は出そうか…」と言う聖に頷きつつも、ゆらは「従魔になってる猫なら、他の猫さんとは雰囲気とか違ってそうだけどなー」と目を凝らす。
 そのすぐ傍で「…ヒジリー、ルゥお腹空いた」と獲物を狙うかのような顔をするルゥに、『…いや、猫は食わねェ方が良いと思うぜ…!?』と聖は再三注意する。そして、持参してきた弁当を「まぁ、張り込むなら飯食うよな! つぅ訳で弁当作って来たぜ!! さぁ、食え」とメンバーに振る舞った。
 どんと取り出したそれに真っ先にルゥが手を伸ばし、ゆらも「あっ、有難うございます」と食べ始めた。
 しかし任務中だからと言うシドには、ここぞとばかりに聖は構いに行き、『…すまない』と食べさせることに成功した。
 傍から見れば、ここだけまるでピクニックのような姿のまま張り番を続けるのだった。


 罠を設置した後、式とドナ、和馬と俺氏は見張りつつも雑談をしていた。しかし罠には、和馬が持ってきたマグロに、水で溶いた睡眠薬を塗ったもの、更に先程入手した鼠も餌としていることもあって手抜かりはない。
『おい、テメエけっこう交友関係広いだろ? イケメン紹介しろよ』と和馬に絡むドナに、式がぼそりと「イケメンのロリコンってつけないと釣れねーと思うぜ?」と言うと、ドナは間髪入れずに式の頭を殴った。
 それを聞き、『イケメンの知り合いっていたっけ?』と俺氏は首を傾げ、「まぁいないこともないが、ロリコンの性的指向且つ性的嗜好を持つ奴がいるかどうかはわからないな」と和馬が応じる。
 すると、『おい、お前らも何言っているんだ!』と鋭い一撃がドナから繰り出された。


 餌に睡眠薬を仕込み、猫からあからさまにこちらの居場所が見えることのないように遮蔽物に身を隠し、雲とフローラ、昴はそっと周囲を伺う。
『猫、来るかな?』と言うフローラに、雲は少し複雑そうな表情で「そうだね」と頷いた。
 その様は矢張り猫が従魔化していることを気にしているようで、フローラは少しやきもきした。
 そんな二人に、「野良猫が生きる為にやったことだから仕方がないと言えばそうなのかもしれないけれど、人的被害が出た時の方が僕は恐ろしいかな」と昴は呟いた。それに雲は「そうだね。他の野良猫達も同じようにならないように、どうにかしないといけないよね」と頷いた。

●遭遇
 矢張り好みの餌に惹かれたのか、三毛猫が現れたのは式と和馬の元である。
 猫の大きさは普通である。何処からどう見ても普通の猫に見える。
 共鳴し、他のメンバーに和馬は連絡を入れるとその間に式がすぐ傍で盾を構えて何時での猫との戦闘から守れるように備える。
 猫は睡眠薬を塗ったマグロには目もくれずに鼠を食べている。美味そうに貪っている辺り、矢張りこちらが本命のようである。
 和馬が猫に近づくと、こちらに気が付いたようでフシャ―と毛を逆立てた。明らかに普通の人間とは違うことに気が付いたのだろう。目が爛々と煌めいている。
 和馬は何とも言えないが戦隊もののように妙に格好良いポーズをとると、「遍く猫を」『刹那の夢に』「『誘え――夢猫即祭!』」と俺氏と声を揃えて台詞を決め、発動条件を満たした。
 その瞬間、ベルトのバックルが回り、マタタビの香りが噴霧される。
 辺りにマタタビが香り、猫はそれに酔いしれ、巨大化した。そして、そのまま甘えるかのようにして暴れ回る。
 式は猫の前にハイカバーリングで受けた攻撃を盾で受け流し、その隙に和馬は回避する。
 急激に膨れ上がった巨体は加減など知らず、暴れ回る。

 そんな中、到着した昴は女郎蜘蛛ですかさず動きを鈍らせると、雲と一緒にハングドマンでその動きを阻害する。
 急造のコンビであるというのに、たいした連携である。
 猫が通れそうな穴を一か所だけわざと作ると、雲は守るべき誓いを発動した。
『こっちの方が美味いぞ?』
 そう言って猫の従魔の気を惹き付ける。

 そうこうしている間に聖とゆらも到着する。
 聖は塀の上で仁王立ちしており、「っし、標的のお出ましだな! 行くぜ、ルゥッ!」と共鳴するものの、『…うん、早く倒しておやつの時間…』と言うルゥに「まだ食うのかよ!?」と突っ込んだ。そして、「とぅっ!」と塀の上から飛び降りて着地する。その横に、ゆらは普通に歩いて並んだ。
 雲に注意が向いているのを良いことに、スキルを展開し、ダズルソードを文字通り電光石火の刺突で繰り出す。
「喰らいやがれ、千照流ーー絶翔ッ!」
 突然の奇襲に猫は驚き、その反動でか身体が通常サイズにまで縮んだ。それにより、掠る程度の回避へと成り代わった。
 この攻撃により、猫の標的が聖へと移行しようとするが、剣にマタタビを纏った雲が斬りかかる。そして、大きく口を開いたところで、「プレゼントだ。しっかり受け取れ」とマタタビを口の中にお見舞いした。
 これにはたまらず、猫は喉を鳴らす。
 そして上機嫌になった猫は更に酔っ払い、ふらふらになりながらもこちらを敵認識しているようで、ふしゃーと唸り声は上げている。
 そんな中、昴は猫に近づくと「文字通り、騙されてくれるかな」と手を叩いて猫だましをする。これには猫も一瞬目を白黒させ、その隙に追撃とばかりにゆらは幻影蝶を、和馬は縫止を使用して追い打ちとばかりに動きを徹底して妨害にかかる。
 動きが大幅に削がれた猫にブルームフレアを使うことで更に動きを制限する。今回は攻撃に使ったのではない。地面に向かって放ったのだ。それによって、炎の壁が出来、猫は身動きが取れなくなった。
 流石にこれは大きくなったから、小さくなったからといってどうこうできる問題ではない。野生の生き物は本能的に火を怖がる傾向があることから、これはかなり有効な攻撃手段であった。
「…デカイって話だけじゃねぇなら…」と、ダズルソードを腰溜めに構えた聖が炎の中に突っ込む。内心では、サイズを変えるにしても「核」がある…ハズ。ソコを狙い断つ―…」と考えを巡らせていた。
 猫の状態を見極めの眼で見抜くと、「奔れッ…!」と衝撃波を叩き付ける。そこから距離を詰めると疾風怒濤を繰り出す。
「コレでトドメだッ! 千照流、破斥!」
 決め台詞とともに、猫が避ける間もなく繰り出された連撃が襲った。

●戦闘終了
 猫を倒した後、ゆらはその猫を抱き上げた。
 見た目はもうすっかりと普通の猫である。
 彼女の提案によって供養しようと、穴を掘って埋め、またたびやら残った餌を供えた。これは他の猫が食べてしまうかもしれないが、それはそれで構わない。

 今回用意した全ての罠などを回収した後、再び集合した時には既にゆらは猫を抱いてもふもふと堪能していた。それを見ていたルゥは物欲しそうに涎を垂らし、『…ルゥのご飯…』とどこかで聞いたようなフレーズの言葉をまた口にし、「だぁ、わかったから猫は止めろよ。後で別の物を食わせてやるから!」と聖に言われ、『…ご飯…』と目を輝かせた。
 そして何か決意したかのようにゆらは拳を握り、勢い込んで「今回みたいな事件が起こったのも、捨て猫とか、人間が引き起こしたことの結果だよね。よーし。ここにいる野良猫たち、全部うちで引き取る!」と宣言した。
 それには意外なことにシドも同意のようで、溜息を吐きつつも『……これ以上、うちに猫を増やすな。……と言いたいところだが、部屋を遊ばせているのも勿体無い。いいだろうさ』と頷く。
「おー、シドが理解あるー。去勢とか注射とか、里親とか……お金は貯金を切り崩して……。うん、なんとかなる! これから忙しくなるね」
 そんな風に笑顔で言うゆらに、シドはフッと息を零した。
 ゆらに頼まれ、聖やルゥ、和馬に俺氏も一緒になって野良猫を捕獲していく。
 聖は「おう、任せろ!」と快く頷き、ルゥも『…んっ…』と頷く。和馬は「また、こいつの出番か?」とまたたびベルトを指し、俺氏も『今回は大活躍だね』と楽しそうである。
 そして「良かったら僕も手伝うよ」と昴も名乗り出て、元々猫の処遇を気にしていた雲は「僕もやります」と頷き、『じゃあ、頑張ろうね』とフローラが、式は「まぁ、放っておけないか」と参加し、『待っていろよ、チェシャ猫』とドナも乗り気である。

 そして結局はメンバー全員で野良猫を集めた後、野良猫の搬送のこともあり、本部に報告に向かうという式と和馬達を除いたメンバーを雲が来るまで送っていく。

 四人はもう一度猫捜索の時に見つけたライヴスの歪みを確認し、そして本部に報告する。
 その際、和馬と俺氏が「化け猫以外にライヴス反応のあった猫や鼠がいたよな?」『鼠の方が反応強かった気がするよ。あれ、従魔かもね』「あー……今回の件に関係ありそうだな」『報告を上げて調べてもらおうよ』「おう、また同じ事が起きても笑えねぇしな」というやり取りをし、鼠を撮った写真も一緒に本部に提出した。
 この四人の元々の目的は戦闘がメインというよりは、状況を究明して報告というものだったからこれで達成である。また同じことを繰り返さないように……というのが、このメンバー共通の願いである。
 報告も終わり、『いやー、終わったな』と伸びをするドナの前で、式が「この四人で打ち上げでも行くか?」と提案すると『おぉ、行く!』とドナが真っ先に名乗りを上げた。勿論和馬も「このメンバーで? 良いね」と、気の置けない間柄だからこそ快く頷き、俺氏も『何処にするの?』と楽しげに袖をぱたぱたさせた。

 メンバーを送り届けた後、雲とフローラは再び街を訪れるとこの件が解決した旨と、予めHOPEで聞いていた対策を住民に伝え、これからまた何かあった場合の対処法を話す。
 そんな雲を見ながら、フローラは内心では『そこまで雲が面倒見る必要ないじゃない。ホントにもう……』と思いつつもその表情は随分と優しいものであった。


 街の野良猫はゆらがお持ち帰りしたことでいなくなり、ライヴスの歪みも本部に対処をお願いしたことで、今回の件は一先ず終了である。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • Run&斬
    東海林聖aa0203
  • 乱狼
    加賀谷 ゆらaa0651

重体一覧

参加者

  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 堕落せし者
    旧 式aa0545
    人間|24才|男性|防御
  • エージェント
    ドナ・ドナaa0545hero001
    英雄|22才|女性|ブレ
  • 乱狼
    加賀谷 ゆらaa0651
    人間|24才|女性|命中
  • 切れ者
    シド aa0651hero001
    英雄|25才|男性|ソフィ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避



  • 温かい手
    流 雲aa1555
    人間|19才|男性|回避
  • 雲といっしょ
    フローラ メイフィールドaa1555hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 初心者彼氏
    鹿島 和馬aa3414
    獣人|22才|男性|回避
  • 巡らす純白の策士
    俺氏aa3414hero001
    英雄|22才|男性|シャド
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