本部

魅惑の黒タイツ

紅玉

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
少なめ
相談期間
5日
完成日
2016/05/13 23:35

掲示板

オープニング

●魅惑の光沢
 タイツ、それは様々な厚さがあり女性の脚を魅せる。
 特殊な趣向の人にとっては至高の品だ。
「は? な、なんですって? もう一回言いなさいよ」
 撮影スタジオの中、女性のモデルが怒声を上げる。
「いえ、ですから急遽モデルはこの方になりましたので、貴女はお帰り下さい」
 と、ボディビルダーの様な体格に黒スーツを身に纏ってる男は、紳士に対応をする。しかし、女性は不満そうな目で男を見る。
「どうして? 私は脚のモデルとして……」
「やめなさい。……私は、マッチョ×黒タイツが撮りたいんだ」
 二人の横からカメラマンは流れるように脚を組む。
 ふと、女性はカメラマンの脚を見いるとカメラマンは黒タイツを履いていた。
「へっ……?」
 すっとんきょうな声を上げる。
「どうしましたか?」
 ティリア・マーティス(az0053)は驚いている女性の後ろから声をかける。
「へ、変態っ!」
 と、女性は叫ぶと踵を返して撮影スタジオから出ていった。
 すると、ティリアのスマートフォンから聞きなれた音楽が流れた。
(HOPEからのメール?)
 スマートフォンの画面に『HOPE』の文字が表示されていた。
「し、失礼します」
 ティリアは、カメラマンと紳士に一礼をし撮影スタジオから急いで出ようとしたが、いつの間にか目の前に紳士が立っていた。
「お嬢さん、生足も良いですが……黒タイツがお似合いですよ」
 紳士は笑顔で言う。その手には60デニール程の黒タイツ。
「え、な……何を!?」
 ティリアの悲痛な叫び声が撮影スタジオの外に響いた。

●噂
「昨日の夕方、とある撮影スタジオがプリセンサーが異変を感知したようだよ」
 と、圓 冥人(az0039)が集まったエージェント達に言う。
「愚神なのは間違いないんだけど……3つの撮影スタジオから感知した。最近、黒タイツを穿いたマッチョが怪しい黒タイツをばらまいているそうだよ」
 冥人はエージェント達の端末に資料を送った。
「何か企んでいるかもしれないから……被害者が出る前にその愚伸を倒してほしいよ」
 エージェント達は首を傾げた。
 おかしい、何かが足りない。と。
「あぁ、その撮影スタジオの1つにティリア姐がいる。ついでに助けて欲しい。宜しくね」

解説

●目的
愚神の討伐とティリアの救出

●敵
黒タイツを穿いたマッチョな愚神
撮影スタジオで黒タイツを配っている。
激しく黒タイツに執着している。

●場所
3ヶ所の撮影スタジオ
広々としており、撮影の機材があるが戦闘に支障は出ない程度の量

●人物
ティリア・マーティス(29)
とうとう、今月の22日に30になる。
皆さんが到着後、ちゃんとした指示があれば戦います。

圓 冥人
出番は無い。

●以下PL情報(PCは全く知らない情報)
・『●魅惑の光沢』はPL情報です。

・敵の詳細
愚神 デニール
デクリオ級、上は黒スーツで下は50デニールの黒タイツを穿いている。
素早さと物理攻撃が高め。
趣味、生足に黒タイツを穿かせる事。

従魔 偽デニール(9体)
ミーレス級、姿はデニールと似ているが素早いだけの見かけ倒し。
デニールとは違い、黒タイツを無理矢理頭に被せようとするただの変態。

リプレイ

●魅惑の?
「……ま、また変な愚神が現れたんですね……。これ以上被害が広がる前に何とかしませんと」
 廿小路 沙織(aa0017)は端末に送られた資料を見て顔をしかめた。
「タイツごしに太ももをすべすべなでなで……いい趣味してるじゃん、この愚神ってばさ♪」
 ヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)は口元を綻ばせぺろりと舌で唇を舐めた。
「これまた随分と素敵な……こほん。厄介な方が現れましたわね♪今後を考えると早めに倒しておきませんと」
 御手洗 光(aa0114)は沙織とヘルフトリスの生足を眺めながら言う。
 そんな光の服装は、デニムのミニスカートに上はオフショルダーのシャツは光の体にフィットし、ついその美しい曲線に視線を向けてしまう程だ。

「タイツをおしつけるへんたいまっちょ! あはは~バルトさんとおんなじですね~!」
 セレティア(aa1695)は隣にいる巨漢の英雄バルトロメイ(aa1695hero001)に視線を向けた。
 思い出すとお店で服を選ぶ時、セレティアの露出を嫌うバルトロメイはタイツやレギンス、マキシスカートを強要していたのだ。
「お前、前はもっと俺に従順だったよな? なんでそんな娘に……」
 バルトロメイは額に手を当てて大きくため息を吐いた。
「愚神の反応、それと最近目撃されてる黒タイツのマッチョ……ねぇリリィ、凄くイヤな予感がするんだけど?」
 と、都築 幸道(aa2350)は資料に目を通しながら眉をひそめる。
「そうねユキミチ、恐らく貴方の心配は正しいと思う。まあ端的に言えばヘンタイさんな訳で、更に言えばヘンタイの愚神なのでしょうね」
 リリィドール(aa2350hero001)は抑揚の無い声で言う。
「ですが、女性限定とも限りません」
 と、セレティアは琥珀の様に美しい金色の瞳でリリィドールを見やる。
「何故、そう言いきれるのでしょうか?」
「被害者に関して性別が書かれていないのです」
 リリィドールの問いにセレティアは答えた。
「……正直関わりたくないんだけど?」
 苦虫をかみつぶした様な顔で幸道はリリィドールを見る。
「いつどんな敵と戦う事になるかわからないんだから経験は大事よユキミチ。まあいざとなったら私が代わるから、ひとまず頑張りなさいな」
 と、リリィドールは口元を綻ばせた。

「よし、ミサトちゃん! 張り切って出撃じゃ!」
 嵐山(aa3710hero001)は満ち足りた様子で声を上げる。
「今日はずいぶんやる気じゃないですか、老師」
 新座 ミサト(aa3710)が濡羽色の髪を手の甲で撫でながら言う。
「ほほっ。わしはいつだってやる気満々じゃよ。けっして黒タイツに惹かれたとか、そんな理由からではないぞ?」
 白磁の鬚を撫でながら嵐山は笑顔でミサトを見る。

●タイツは穿くオシャレです!
 6人のエージェント達は三ヶ所の撮影スタジオへと向かった。
 ティリアがいるスタジオには、沙織、光、桜狐の三人。
 2番目に近い撮影スタジオにはセレティア。
 やや遠い撮影スタジオには幸道とミサトが向かった。

「早くティリア様をお助けしませんと……! 皆さん、頑張っていきましょうね」
 沙織は撮影スタジオのドアに手を掛けた。
「うふふふふ。本当、最近は素敵な紳士が増えてきましたわね」
 隣に居る光は恍惚とした表情でドアを見つめてた。
(愚神をダシに目一杯愉しんじゃうよー)
 ヘルフトリスはくすりと笑った。
「はよ、開けるのじゃ」
 音無 桜狐(aa3177)は小さな手で沙織の服の裾を引っ張る。
「ティリア様、助けに来ましたわ!」
 沙織はノブを回しドアを開けた。
「……よく知らぬが、あれは被っても良いものなのじゃな……」
 桜狐はアパタイトの様な瞳を大きく見開いた。
 タイツを被ったカメラマンが、ティリアが穿いている黒タイツに頬すりをしていた。
「何だか面白い格好していますぅ♪」
 と、レイア・メサイア(aa0114hero001)は無邪気に言う。
「いやぁぁぁ……」
 ティリアの隣でトリスは海の様な青い瞳でカメラマンを睨む。
「沙織さん、桜狐様。先ずは相手の手の内を知りませんと♪」」
「ま、まずはティリア様達の安全を確保するためにも、また敵の手の内を知るにも、敵の意識を引き付けておかないといけませんね……」
 と、光と沙織はデニール達に視線を向ける。
「く、黒タイツって素晴らしい……ですわねー」
 沙織はちらっと黒のセミロングスカートから足を出す。
「沙織ったらー、もっとこう、大胆にやってかないと変態紳士様の目は釘付けにできないよっ!」
 ヘルフトリスは沙織のスカートの裾を掴み、ばっ!と上げるとチラリどころじゃない。パンツ丸出しになってしまった。
「っいぇ、と、そ、それは流石に恥ずかしすぎます……! ひ、光様達もそんなじっくり見ないでくださいぃぃ♪」
 沙織は茹でたタコの様に顔を赤らめ、甲高い悲鳴を上げながらスカートの前を押さえた。
「あぁ……♪い、いけませんわ、このような格好でぇっ♪」
 しかし、沙織の後ろ側は丸見えだ。その姿を光は満面の笑みで舐める様に全身を見る。
「そんなコト、したらいけませんよ褐色肌が美しいレディ」
 デニールは紳士に対応し、80デニールの黒タイツを沙織に素早く穿かせた。
(こ、この肌触りはっ!)
 脚にフィットし、体温を逃がさない構造で脚を艶やかに魅せる。
「き、気持良いですわぁぁぁ……」
「お気に召したようで嬉しいです」
 足に力が入らず倒れそうになる沙織をデニールは素早く椅子に座らせた。
「あぁ、沙織さんの黒タイツとても気持良いですわ」
 光は沙織の黒タイツに指を滑らせ、力を入れると指は柔らかい太ももに沈む。

「……とりあえず迷惑は迷惑じゃし早く倒してしまうべきかの……?」
 盛り上がっている2人を眺めながらセーラー服姿の桜狐は首を傾げた。
「……ぬぅ、足がスースーするのじゃ……」
 と、桜狐は己の足に視線を向けた。
「やっぱり丈が短すぎたかにゃ? サイズ、間違えたのは失敗だったにゃね」
 猫柳 千佳(aa3177hero001)は困惑した声色で言った。
「そんな可愛いレディにはこの黒タイツがお似合いです」
「にゃにゃ!? 変態さんにはかされるわけにはいかないにゃよ!」
 と、千佳が声を上げるより早くデニールは桜狐に80デニールの黒タイツを穿かせた。
「……ぬぁ!? 何か履かされたのじゃ……。……じゃが……この方が動きやすそうじゃの……?」
 桜狐は穿かされた黒タイツを撫でた。
「あら、桜狐さんもなかなか……」
 光は熱を帯びた瞳で桜狐の脚を見つめたまま近付く。
「ちょっ、光さん何をするにゃ!? あ、みゃー!?」
 桜狐と交代た千佳は悲鳴に近い声を上げる。
(私、ローブ姿で良かった)
 千佳の太ももに顔を埋める光を見てトリスは内心ほっとする。
「あぁ、肌触りも体温も最高ですわ」
「う、うにゃー……」
 頬を赤らめる千佳の太ももを掴み頬ずりする光。
 女の園と化している中、従魔と愚神に一般人であるカメラマンはその光景をただ茫然と見つめた。

●パンストVSタイツ
「ここに従魔が現れました。現在、撮影スタジオは誰か使っていますでしょうか?」
 と、セレティアは受付の男性に聞いた。
「え!? さっき、スーツを着た男性3名が入って行きましたよ! た、大変だ!」
 受付の男性は目を見開き慌てた様子で受話器を取った。
「落ち着いて下さい。多分、それが従魔だと思います」
 バルトロメイは男性を手首を掴んだ。
「ど、どうしたら……」
「そうだな、人を入れないようにしてくれれば良い」
 青ざめた表情の男性にバルトロメイは言う。
「わ、分かりました」
「行きましょう。バルトさん」
 受付の男性はセレティア達の背を見送った。

「ここが、従魔がいる撮影スタジオ……」
 セレティアはドアノブに手を掛けた瞬間。
「可愛らしいレディ、お似合いです」
 上はスーツ、下は鍛え上げられた脚に黒タイツという姿の男が黒タイツをセレティアの頭に被せようとするが――……
「やめろ! コイツ可愛いところはもはや顔しか無いんだよ!」
 共鳴化し大人なセレティアの姿をしたバルトロメイは黒タイツを掴む。
「大人しく黒タイツを被るのでーす!」
 偽デニールはスーツの懐から黒タイツを取り出した。
 バルトロメイ1人に対し、偽デニールは3体。
 素早い反復横跳びでじりじりと近付いてくる。
「いかに素早いと言えど向かってくるなら迎え撃つまでだッ!」
 と、声を上げながらバルトロメイはアロンダイトを鞘から刀身を抜く。
「私達の”無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き”でこの魅惑の黒タイツを被りなさい」
「来いッ!」
 バルトロメイは両目を大きく開き、アロンダイトの切っ先を偽デニールに向って振り下した。
「ぐぁぁぁぁっ!」
 目の前に居た偽デニールは黒タイツを残して塵と化した。
「隙あり!」
「ぶッ!?」
 中はおっさんだが見た目は金髪美女の頭に黒タイツが被された。
「邪魔だ」
 バルトロメイは、不満げに鼻を鳴らしながら黒タイツを掴みビッと引きちぎった。
「くっ、効かないのですか……」
 偽デニールは涼しげな表情の金髪美女を苦虫を潰した様な表情で見る。
「見とれてると……痛い目にあうぜッ!」
 バルトロメイは口元を吊り上げ、偽デニールの股間に向かって足を振り上げた。
 撮影スタジオの外にまで偽デニールの悲痛な叫び声が響いた。

 幸道と一緒に撮影スタジオに来たミサトはドアを開けた。
「どうやら、ティリアさんはこのスタジオではなかったようですね」
 ミサトはスタジオ内をぐるりと見まわしたが、部屋の中央に居る上半身はスーツ、下半身は黒タイツを穿いた男が3人しか居なかった。
「ふうむ、残念じゃ。せっかくティリアお嬢ちゃんに黒タイツを穿いてもらおうと思っておったのにのう」
 嵐山は肩を落とし大きなため息を吐いた。
「どうやら情報通りの変態なようですね。老師、共鳴しましょう」
「待てぃ、ミサトちゃん! 共鳴してしまったら、せっかくのその黒ストを拝めなくなってしまうではないかっ!」
 ミサトの提案を聞いた嵐山は声を上げた。
「老師、よく考えてください」
 ミサトと嵐山は偽デニールの黒タイツ攻撃を回避や拳でいなしながら話す。
「こいつらはひとの個性を無視して黒タイツを強要してくる変態です」
 黒タイツを持っている偽デニールの手をミサトは叩く。
「凄い、思ってたより凄いヤだこれ……」
 幸道は涙目で声を震わせながらリリィドールの後ろに隠れた。
「いえ、私も耐性があるわけではないけど身の危険とあらば対応はするわ」
「お、お願い」
 リリィドールの後ろで幸道は首を縦に振る。
「……穿かされるならまだしも頭に被せられるのは屈辱だものね」
 と、リリィドールは頭目掛けて振り下ろされてくる黒タイツをアスピスで受け流す。
「人によっては、ニーソの似合うコもいれば、白のハイソックスが似合うコもいるでしょう。それらを無視してすべて黒タイツ。そのような傲慢が許されていいのでしょうか!?」
 ミサトは拳を握りしめながら熱く語る。
「むう……、たしかにな」
 嵐山はあごヒゲを撫でながら瞼を閉じる。
「老師、いまこそ、女性の個性を守るときです!」
 ミサトは腰に手を添え、すらりと美しいストッキングを穿いた脚を一歩前に出す。
「ようし、わかった。共鳴じゃ、ミサトちゃん」
 カッと瞼を開き、嵐山はミサトの脚を見ながら力強く頷く。
(毎回、共鳴するまでが疲れるわ……)
 と、ミサトは心の中でため息を吐きながら共鳴する。
「覚悟は出来ているんだろうな?」
 エメラルドグリーンの様な美しい瞳で偽デニールを蔑視し、虹の様な光沢の鞭を手にし床に振り下ろす。
 ピシィッと軽快な音がスタジオ内に響く。
「砕け散りなさいっ、従魔ども!」
 己の手足を動かすかの様に鞭を鮮やかに操るミサト。
 偽デニール達が黒タイツを手に近づこうと試みるが、全て鞭によってボロボロにされる。
「ぐ、ぐぅ……凄いレディですね」
 スーツの懐から黒タイツを出しながら偽デニール達は唸った。

「わぶっ!」
 幸道の頭に黒タイツが被らされた。
「お似合いですよ、少年」
 にこっと偽デニールは微笑んだ。
「ユキミチちょっと代わって。あいつ跡形もなくかき消してくるから」
 と、幸道はリリィドールに意識を交代した。
「黒タイツは、こうやって使うモノではないです」
 すっと紅玉の様な瞳を細め偽デニールを睨む。
 被らされた黒タイツを無造作に取り、床に放り投げた。
「従魔の時点で紳士じゃない、ただの変態です!」
 リリィドールはブレイブソード切っ先を偽デニールに向ける。
「黒タイツこそ至高! 私は黒タイツを穿いたものには紳士です!」
「いいえ、それはアナタのよく分からない趣味の押し付けです!」
 と、熱く語る偽デニールの言葉を遮るようにリリィドールは声を上げた。
「小娘にはこの高度な趣向は分からないでしょう」
 偽デニールはくるっと体を回転させる。
「……っ!」
 リリィドールの脇腹に偽デニールの回し蹴りが入る。
「うーん、もう少し美しく……っ!」
 偽デニールの動作はゆっくりだが、蹴りは速くてリリィドールは盾で受けるしかなかった。
「もう、満足しただろう? さっさと消えてくれないか」
 カツッと靴の音を鳴らしながらミサトは偽デニールの背後に立つ。
「はっ!」
 偽デニールが振り向いた瞬間。ミサトは鞭で素早く連続で鍛えられた体に叩き込んだ。
「く、黒タイツは永久不滅だーっ!」
 両手に黒タイツを握りしめ頭上に掲げながら偽デニールは塵と化した。
 ぱさっ、と軽い音を立てて黒タイツは撮影スタジオの床に落ちた。

●黒タイツを破くとセクシーに見えるのは何故?
「助かった」
 一人で戦っていたバルトロメイは救援として来たミサトと幸道に会釈した。
「いえ、ティリアさんがいるスタジオに行く次いでですからね」
 ミサトは銀色の髪を手の甲で撫でる。
「僕の提案ですから……それよりも」
「A班から連絡がないですね」
 と、リリィドールは幸道の隣で首を傾げる。
 先ほどから連絡を取ろうとコールを鳴らすのだが、仲間が出る気配が無い。
「向こうは3人でティリアさんも居ます。大丈夫かと思いますが早く向かいましょう」
 セレティアは撮影スタジオのドアノブに手を掛けた。
「そうだな」
 バルトロメイは力強く頷いた。

「わぁい、皆お揃いなのですぅ。レイアちゃんも欲しいのですぅ♪」
 レイアは茫然と立ち尽くしているデニールの元に駆け寄った。
「おぉ、麗しいレディ……貴女は黒タイツの素晴らしさに目覚めたのですね。よろしい、その美しい褐色肌に似合うのを」
 デニールはスーツの懐からキラキラと輝く黒タイツを取り出した。
「わくわく!」
「あぁ……!」
 ぴょんぴょんと小さく飛ぶレイアの脚にデニールは黒タイツを素早く穿かせた。
「とても似合ってるよ、小さな淑女」
「わーい! わーい! レイアちゃんも皆とお揃いなのですぅ♪」
 と、喜ぶレイア。
「助けに来たぞ!」
 バルトロメイがドアを開け撮影スタジオに入ると、視界に入ってきたのは千佳の太ももに顔を埋める光と、変態が少女に黒タイツを穿かせてる光景だった。
「うっ……!」
 そんな光景を見て幸道はふらふらと後退する。
「刺激が強かったみたいですね」
 リリィドールは共鳴をしてからスタジオ内を見回す。
「俺の女神に何してやがんだオラァ!」
 椅子に縛られ、黒タイツを穿かされているティリアを見てバルトロメイは怒声を上げた。
「ヒッ!」
 バルトロメイの顔を見たカメラマンは、手足をバタつかせながら撮影スタジオの隅へと逃げた。
「大丈夫ですか!?」
「え、えぇ。黒タイツを穿かされただけですわ」
 ティリアを縛っている縄をバルトロメイは引き千切った。
「その黒タイツは怪しいです!」
 と、言ってバルトロメイはティリアの黒タイツを破る。
「……ねぇ、それは流石に危なくないでしょうか?」
 トリスはバルトロメイの行動を見て顔をしかめた。
「トリスさんは大丈夫ですか?」
「え、えぇ……ローブ姿なので穿かされなかったです」
 セレティアの問いにトリスは微笑みながら答えた。

「はー、堪能しましたわ。レイア、さっさと片付けてしまいましょうね」
「はーい♪」
 光は共鳴しライオンハートの柄を握り締めた。
「ヘルフィ、私たちも」
「おーけー」
 沙織は共鳴姿になりコンユンクシオの剣先をデニールに向けた。
「どんな風であれ、害をなすのであればわしは片付けるのみじゃ」
 桜狐は腕にハンズ・オブ・グローリーをはめる。
「黒タイツあげますから、み、見逃してくださーい!」
「そんなの誘惑の内に入らないのう」
 と、桜狐は冷たく言うと拳状のライヴスをデニールに向けて打ち出す。
「のぉぉぉ!」
 回れ右をして逃げようとするデニールの前にバルトロメイが立ちはだかる。
「逃がさん」
「ひぃっ!」
 ふと、デニールはバルトロメイの足元を見ると大量の黒タイツが積まれていた。
「ま、まさか……」
「私は何もしてない。バルトロメイさんがあっという間に片付けただけだ」
 恐怖で震えるデニールをミサトは冷やかな瞳で見つめた。
「そ、そんな……」
「布教は諦めるのですね」
 リリィドールはSMGリアールの銃口をデニールに向けた。
「最後に言い残す事は無いか?」
 と、バルトロメイは問う。
「く、黒……ゴハッ!」
「言わせる暇などないけどな」
 バルトロメイがそう言うとアロンダイトの素早い攻撃をデニールの体を切り刻む。
「ハチの巣にしてあげます」
 リリィドールはトリガーを引き銃口から弾丸を連射する。
「黒タイツはいただきますわね」
 光は笑顔でライオンハートでデニールを切る。
「く、黒タイツは……永遠に……愛されるのでーすっ!」
 デニールは両腕を上げて万歳をしたまま塵と化した。

●嗚呼今年で……
「あ、このタイツ持って帰っても大丈夫、でしょうか……?」
 沙織は足元に落ちている黒タイツを手にする。
「……黒タイツ、戦利品として頂けますかしら?」
 と、光も黒タイツを手にして真剣な眼差しで見る。
「……普段使いにすればよいのではないかの……お主の……」
 桜狐は黒タイツを脱ぎ、千佳に差し出す。
「普段使いって、アレが持ってたものは全力で遠慮したいにゃよ。普通のものならまだしも……」
 千佳は眉間に皺をよせる。
「……大丈夫です。その黒タイツは普通のです」
 トリスはじっと黒タイツを見つめる。
「では、持ち帰りましょう」
 ぱっと明るい表情になった沙織は黒タイツを鞄にしまう。
「そういえば、カメラマンは?」
 ふと思い出したかのように幸道はスタジオ内を見回す。
「カメラマンならそこの隅で気絶していた」
 バルトロメイは目を回しているカメラマンの首根っこを掴んで引きずり出す。
「彼に関しては支部に連絡しておきましょう」
 セレティアはスマートフォンを慣れた手つきで操作した。

「あぁ、もう誕生日……」
 支部に報告を終えたティリアは頭を抱えた。
 カメラマンは撮影スタジオでの事は覚えてなく、詳しい話は支部がするとの事でティリアは事情聴取から解放された。
「に、しても……こんな時に会議室に呼び出しとは、何の用なのでしょうか?」
 不思議そうな表情でティリアは会議室のドアノブに手を掛ける。
(言わない方が幸せになりそう)
「ティリアさん、お誕生日おめでとうございます!」
 ドアを開けた瞬間、クラッカーの音が響き色鮮やかなリボンが宙に舞う。
「え、あ……」
 驚きで開いた口が塞がらないティリアの手をミサトは取り、会議室の椅子に座らせた。
「30……これはお祝いして良いのかしら?」
 リリィドールは眉をひそめる。
「何で?誕生日ならおめでたいじゃない」
 そんな英雄の表情を見て幸道は首を傾げた。
「まあ……色々あるのよ、女性にはね。覚えておくといいわユキミチ」
 と、言ってリリィドールは肩をすくめた。
「どうぞ、ティリアさんプレゼントです」
 バルトロメイは丁寧に包装されたプレゼントを差し出す。
「あら、ありがとうございますわ」
 プレゼントを受け取ったティリアは、微笑みながら包装を開けると……その中にはタイツが入っていた。
「てんどん……バルトさん、それはさすがにさむいです」
 タイツを見てセレティアは眉をひそめた。
「これはティリアさんの生脚を他の男に見せたくないだけで……決してそういうフェチでは!」
「ふふ、バルトロメイ様が頑張って選んだ気持ちは籠っていますわ。そういう意味ではないのは私には伝わっていますわ」
 慌てふためくバルトロメイの手をティリアはそっと掴む。
「やはり、黒タイツ、黒ストは頭にかぶるより、足じゃのう」
 仲間の脚を見ながら嵐山は満足そうに頷く。
「じゃ、皆さんでケーキ食べましょう」
 と、ミサトはケーキの箱を取り出した。
「まぁ、ケーキまで用意してくださったのですか?」
「用意したのは圓さんですけど……」
 ティリアの問いにセレティアは答えた。
「そ、それでも、嬉しいですわ」
 ティリアの目から大粒の涙がぽろぽろ流れる。
「改めて、ティリアさん。お誕生日おめでとうございます!」
 夕日に照らされる会議室に祝福の声が響いた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
  • ローズクロス・クイーン
    新座 ミサトaa3710

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • 褐色の色気
    ヘルフトリス・メーベルナッハaa0017hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
    レイア・メサイアaa0114hero001
    英雄|12才|女性|バト
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
  • 温かな希望
    都築 幸道aa2350
    機械|14才|男性|攻撃
  • 黒タイツロリ
    リリィドールaa2350hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • アステレオンレスキュー
    音無 桜狐aa3177
    獣人|14才|女性|回避
  • むしろ世界が私の服
    猫柳 千佳aa3177hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • ローズクロス・クイーン
    新座 ミサトaa3710
    人間|24才|女性|攻撃
  • 老練のオシリスキー
    嵐山aa3710hero001
    英雄|79才|男性|ドレ
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