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ショタ対策本部
最終発言2016/04/12 17:35:21 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/04/11 00:27:49
オープニング
●ウーティンへのご案内
人の多い観光地を襲撃する愚神たち。今のところ、後手になってしまっていることもあり、被害が甚大な箇所も多い。そのため、H.O.P.Eは少しでも被害を抑えるべく、君たちエージェントに見回りをお願いした。
君たちはティアラ・プリンシパル(az0002hero001)と既に共鳴している椿康広(az0002)と共に見回りをしていた。観光地の近くであるためか、既に警告があったのだろう。君たちが歩いている古い建物が立ち並ぶ住宅街には誰一人出歩いているものはいなかった。ただ、君たちが来た方向には危険があるとも知らずに広州を訪れている観光客たちがいる。そんなところに従魔が出れば、パニックは避けられないだろう。できることならば、こちら側に現れてくれと願うばかりだ。
「うーん、姐さんが蘭園に行ったから、僕はこっちかなって思ったけど、ここ、どこ?」
そんな声が君たちの許に届いたかと思うと空からふわりと二本の斧を背負ったカンフー服に身を包む少年が地面に降り立った。否、少々語弊がある。少年は君たちの前に降り立つもののその体は未だ浮遊しており、その周りにはふよふよと灯篭が舞っていた。「愚神」、「従魔」という言葉が脳裏に過り、君たちは対抗するべく、武器を握る。そして、康広は愚神に気づかれないようにH.O.P.Eへ『愚神、出現』と空いている手でスマホを操作した。
「あ、なんか、君たちいい感じに踊ってくれそう」
上から下まで君たちを観察した少年はふふふと笑いながらそう言うと斧を小さすぎる手に握る。
「まぁ、踊るとことしてはちょっと、小汚いけど。そこは我慢しなきゃね。勿論、君たちも」
どんな風に踊ってくれるかなとうきうきとする少年。そんな彼の周りをふよふよ飛んでいた灯篭はぴたりと空中で停止し、明らかに君たちを標的としていた。さらに彼らに遅れてすたっすたっとどこか孫悟空を彷彿とさせる出で立ちの猿も降ってくる。
「あぁ、お前たちは巣穴の餌を取ってきて。んで、このお兄さんたちと踊らせちゃおう」
そしたら、もっと踊ってくれるよねと最後は君たちに向かって無邪気な笑みを浮かべた。そして、灯篭と猿の半数は少年の命令を遂行するべく、建物への侵入を試み始めた。
●観覧席はこちら
ばったり出くわした愚神とエージェントたちの姿が映し出された映像。その遭遇場所に「面白くないなぁ」と呟く。しかし、その口に浮かんでいるのは笑み。
「でも、彼が持っているおもちゃはとっても面白いんだよね」
愚神の周りをふよふよと浮遊する従魔を見つめ、笑みを深めた。そして、トランプで遊び始める。
「さて、君たちはどんな面白い顔をしてくれるかな」
くつくつと笑うその声だけがその場に響いた。
解説
愚神及び従魔の討伐
【】内はPCが知ることのできない情報。
注意事項として持ち込めるのは装備アイテム以外でH.O.P.Eより貸し出しを受けているもの。または現地調達など何らかの場合、当初の任務で不自然ではない範囲のもの。
●場所
広州にある古い建物が並ぶ住宅街。観光地が近い。住民は出歩いていないだけで建物内にはいる。従魔の半数は建物に侵入しようとしている。
●ミィズー
デクリオ級愚神。常に浮遊状態。カンフー服の少年。
武器は身の丈以上ある二対の斧。
【全体的に高い数値。唯一命中率が低い。また、大きく斧を振り回すため、隙が大きい。
カイチュン:片方は振り下ろし、片方は振り上げる(左右も同様)。豪快に振り回すため、攻撃に勢いが付与される。射程1。
トウヂー:斧を投擲。斧は1ラウンド後にリターン。射程1~5。ただし、どこに向かって飛ぶかは不明。】
●タンロン×8
飾り灯篭型ミーレス級従魔。大きさは30cmほど。常に浮遊。4体はミィズーの傍を浮遊。
【物防が低いが回避、魔攻防は高い。ミィズーの周りにいる4体は彼の隙を埋める形で攻撃。
グァン:体の中央に光を集めての攻撃。装填が早い。射程1~5(直線)
ディンズーシュ:グァンの強化版。ただし、光を集めるのに1ラウンド必要。射程1~10(直線)
バオ:ミィズーの命令での自爆。範囲は自爆タンロンを中央に据え、四方に1。】
●ホンヂェア×8
猿型ミレース級従魔。大きさは1mほど。どことなく孫悟空を彷彿とさせる出で立ち。武器は棍。跳躍力が高い。
【防御が低く、物攻と回避が高い。ミィズーとタンロンを防御する形で攻撃してくる。
ウーダオ:踊るような攻撃。1~5回ほど連続する。射程1。】
●幻月
【どこかで見ているらしい。姿は見せない。】
●椿康広&ティアラ・プリンシパル
同行NPC。既に共鳴済み。指示がなければ、最低限の動きに。またステータス等はマイページとは異なる。
リプレイ
●舞蹈準備
椿康広(az0002)たちエージェントの前に姿を現した浮遊少年――ミィズーはふんふんと楽しそうに鼻歌を奏でる。
「ヒューッ。めんどくさそうなこって。こいつは見回りの給料に入ってんのかねえ?」
『下らない事考えてないで撃退するんだよーっ! ここどこだと思ってんのさあ!』
「わーってるってぇ。アレだろお? 周りの被害が少ないだけ臨時ボーナスみたいな?」
『ちょっと違うかな!?』
目の前にいる従魔と愚神の姿に帯刀 刑次(aa0055)がぼりぼりと頭を掻けば、彼と共鳴しているアストリア(aa0055hero001)が声を上げた。
そんな彼らの一方でミィズーや灯篭型従魔タンロンを指差し、幼い声が上がる。
「あかりういてる! ひともういてるー! あ、まいだおぼえてる! あれえっと、えっと……アレ!」
『ああそうだな愚神だな! まいだ、制御はあたしがやるから、お前はとにかくあたしが言ったとおりに投げるか分回すか光ればいい。いいな? パズルの仕方は覚えたろ?』
「うんー。おぼえてる……がんばるー!」
片目を赤く染め、額に角の生やした少女まいだ(aa0122)。そして、共鳴してる獅子道 黎焔(aa0122hero001)の言葉にグッと拳を握り、元気よくまいだは返事をする。
「うーん、数が多いね。ちょっと大変かも」
『しかし相手はこちらを侮っているようです』
「そうだねえ。さて、どれだけつけ込めるかな」
ミィズーのワクワクとした姿を観察し、慌てることなく、志賀谷 京子(aa0150)とアリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)分析をする。
「とりあえず、侵入を阻止しなくちゃね」
『あぁ、愚神は他の人に頼もう』
どこか異界を連想させるような瞳になった廿枝 詩(aa0299)は、ミィズーとタンロンたちを見つめ、冷静に自分の役割を見つめる。それに相棒の月(aa0299hero001)も同意した。また、彼は戦闘が激化する前にと告げれば、詩は秘薬を取り出し、それを口に含んだ。
「テメーに怨みはねえが、偶然この手の要請が被っちまった。だからコロス。ママの腹の中で遺伝子レベルから人生やり直してきな」
白衣をはためかせ氷斬 雹(aa0842)はニィッと笑みを浮かべた。しかし、その言葉が届かなかったのか、あるいは知らないのか、ミィズーの態度は変化しない。ただ、面白そうなのがいると認識する程度だった。
「踊るのは昔から苦手なんだよね。だから、今日の祭は早急にお開きとするよ」
わざわざミィズーの言葉に答えるように苦笑いを浮かべる九字原 昂(aa0919)。そんな彼の手には「早急に」を現実化するためにしっかりと孤月が握られている。
「廿枝は侵入を対応するみてぇだな。とりあえず、人質が取られねぇようにするのが先決か」
共鳴することにより、巨乳で筋肉質な美女になったセレティア(aa1695)。しかし、その体の主導権を持つのは彼女の相棒であるバルトロメイ(aa1695hero001)だ。そんな彼は周りにいるエージェントたちの様子とミィズーの言動を分析する。
「いやー、何かムズカしそうな会議しとるね雪刃(aa2574hero001)サン。俺にはちんぷんちんぷんだよ」
『かんぷん。まぁ私達あんまり実務経験ないですし、大まかな作戦は先輩方に任せれば良いかと』
「んで俺たちは侵入阻止班になるんかな? ちゃんとやれっかなー」
『なりました。あんたの優柔不断さでぐだぐだじゃない』
いつ攻撃が飛んでくるかわからないため、愚神から顔をそらさず、話し合うエージェントたちの一方で共鳴し、雪刃の外見の佐々木 孝太郎(aa2574)は話を右から左に聞き流しながら、頭をぼりぼりと掻く。それに雪刃が「私の姿でそんなことしないでください!」と中で叫んだ。
●舞蹈開始
「あ、踊ってくれるのかな? 無理矢理踊ってもらうのもいっきょうかなって思ったけど、これはこれでやっぱりいいね♪」
武器を構え、真っ直ぐミィズーたちを見据える9対の目に彼は心底嬉しそうに声を上げる。
「そうなったら、やっぱりもう少し色々と欲しいよね」
だから、早く建物の中から人間を連れて来いと言葉に含ませるミィズー。それを受け取ったタンロンと猿型従魔ホンヂェアは一層、建物の攻撃を強めた。
「帯刀、九字原、椿と俺で愚神の方は引き受ける」
「わたしたちはこっちの従魔だね」
バルトロメイの言葉に京子が頷き、エージェントたちを気にすることなく建物を攻撃するタンロンたちに目をむける。
「えっと、まいだはー?」
『まいだは人の多い方だ。わかるか?』
「うん、あっちー」
動き始めたエージェントたちにまいだは首を傾げたが、黎焔の言葉に京子、詩たちの方へと合流した。
「あー、椿君だっけ? 俺らは射撃できる間はこれで牽制してっから、その間近接護衛してくれりゃいいよ」
「ただ、敵の動きはまだ分からねぇから様子を見つつだな」
「了解」
スナイパーライフルを準備しつつ、康広に声をかけた刑次にバルトロメイが付け加えれば、康広は確かにと頷く。
「とりあえず、愚神に近づくには目の前にいる猿をどうにかしないと辛いですね」
ミィズーの前に立ちふさがるホンヂェア四体に昂がそう告げれば、違いないと三人は頷いた。
「お兄さんたち、固まってないでさ、踊ってくれないと困るよ~」
きっかけをあげるとばかりにミィズーは己の武器である斧を振り投げた。斧は回転しながら、昂たちの方へと向かう。四人が防御もしくは回避体勢になるも、四人から反れ、建物を抉った。結果として四人にとってはなんでもない攻撃となったが、建物の傍で戦っていた詩たちにはとんでもない攻撃だった。
狙って攻撃したのかと思えば、「あれー?」と首を傾げているため、そうではないのだとわかる。しかし、丁度、彼が斧を飛ばしたことにより、彼まで一直線の道ができていた。
「流石に猿どもも避けるよな」
康広はそう呟く。いつ、命令を出したかは不明だが、避けるように最初から指示だしがされていたものかもしれない。「まぁ、どちらにしろ、チャンスだ」と前に進もうとした。
「椿!!」
バルトロメイのその言葉に康広が目を改めてミィズーに戻すとミィズーの前にはタンロンが出ており、その中央には光を溜め込んでいた。そこからは予想することは容易い。
細い光線が康広に向かって伸びてきた。それに反応が遅れつつも、避け切る。
「あはは、びっくりした~? ちゃんと避けてね。じゃないと、穴開いちゃうかも」
そうそう、そんな驚いた顔とってもいいと喜ぶミィズー。ミィズーが喜んでいる間にも他のタンロンが光線を昂に放つ。
「これはちょっと厄介ですね」
「体当たりだけしか能がないと思っていたが、これは先に灯篭を狙う方がいいかな?」
昂が避け、そう呟けば、同様にタンロンの攻撃を避けた刑次が建物に体当たりをするタンロンをみて、そう首を傾げる。
「いや、それにしても、猿が邪魔だ」
偶々、グァンの標的にならなかったバルトロメイはタンロンへの攻撃を試みていた。しかし、15式自動歩槍の銃弾は庇うようにして跳躍したホンヂェアの棍に阻まれる結果。それはミィズーを狙っても同様だった。
「猿はそういう性質ということか」
「猿を狙えば、灯篭からの光線。灯篭を狙えば、猿がガードする、か」
康広の言葉を聞いて、簡単に行動パターンを算出し、刑次は「めんどいねぇ」と溜息を零した。彼の中では「ちゃんとやって!」とアストリアが叫んでいる。
「いや、ちゃんとやるにはやるよ。ちょっくら、面倒なだけさ」
苦笑いを浮かべ、弁解をする刑次を他所に昂が康広へ相談を持ち掛けていた。それを聞いた、バルトロメイはそれが成功したら、一気に攻撃をかけていくと自分の行動を二人に伝える。昂と康広は頷き、康広は隙を作るため飛び込み、昂は女郎蜘蛛発動させた。
一方、建物側にいる従魔の相手をしているエージェントたち。
「家の中に閉じこもっていてね。絶対外に出ちゃダメ、顔を出すのもね」
「愚神がでたけど戦力あるから安心して、一応部屋の奥に入ってね」
京子と詩は声を張り上げ、建物の住人に向かって注意喚起を行う。また、彼女たちと反対の建物では雹がアサルトライフルを宙に撃っていた。
「出てくんじゃねぇよ。出てきたコロス」
「いやいや、殺しちゃダメだろ」
「こういっときゃ、嫌でも出てこねぇじゃん」
雹の脅しに思わず孝太郎がツッコめば、雹は呆れたとばかりに溜息を零した。
そして、中央で行われるタンロンのグァンを避け、攻撃を仕掛けるバルトロメイたちの姿に「こいつらもか」と見上げる。そこには体当たりをしていたはずのタンロンが、バルトロメイたちが対応しているのよりも遥かに大きな光の集合体を作りだしていた。
「チッ!! 一階に降りてきやがれ!」
すぐさま、それがどういうことか理解した雹が玄関を蹴り破るのではと思うくらい強く蹴りつつ、声を張り上げた。バタバタと家の中で人が動く音がする。次の瞬間、雹と孝太郎の上にガラガラとがれきが落ちてきた。
「おうち、ボロボロになっちゃった」
『まいだ、あれには危ないから近づくなよ』
「うん、わかった」
『それから、あのあかりに向かってブーメランを投げろ』
「うん、なげる!」
ディンズーシュにより、破壊された建物をみてまいだがそう言葉を零す。それに黎焔はまいだにわかるように一つ一つ伝えた。まいだは大きく頷くと、ディンズーシュを放ったタンロンへと
ヴァリアブル・ブーメラン を投げた。しかし、それはホンヂェアによって阻まれる。
「あっ」
「やっぱり、灯篭を守るのね」
『そこが隙と言えば隙だな』
まいだが声を上げた同時にホンヂェアとタンロンを矢が貫く。ホンヂェアに関しては動きを封じるため、足を狙ったこともあり、その場に崩れ落ちた。
「バイバーイ★」
雹の言葉が聞こえると同時に、崩れ落ちたホンヂェアの脳天をアサルトライフルの銃弾が貫いた。
「流石に一矢では効かないみたいね」
『ただ、こっちにいる猿はあと一体だ。守る余裕はないだろ』
丁度、佐々木さんが相手しているしなという月に詩は「それもそうね」と、グレートボウをタンロンへ照準を合わせる。数矢放てば、タンロンはフラフラとし始めた。
「もう終わりね」
そう言って、もう一矢を放とうとした瞬間、遠くの方で「ばーん」と楽しそうな声が聞こえた。
「何?」
『詩、今すぐ離れろ』
月の言葉に詩が反応するよりも早く彼女の近くにいたタンロンが爆発した。その爆風は近くでホンヂェアを倒していた孝太郎や雹も巻き込む。
「あははは、すごいすごい」
女郎蜘蛛により、ホンヂェアは動きを拘束され、タンロンの攻撃を防御しつつ、バルトロメイの疾風怒濤と刑次の怒涛乱舞が決まる。そして、守る盾がいなくなったミィズー。しかし、彼は残念がるどころか、建物へ行っていたタンロン一体を爆発させ、楽しんでいた。
「嗤いたいなら嗤えよ。お前にどう思われようが関係無ェ……お前は俺に劣る屑、それは真理だからな。負惜しみに聞こえるか? さぁ、どうだかねェ」
バルトロメイの声にミィズーは笑いを収めるも、その口元には笑みを携えたまま。
「屑ってお兄ちゃん達みたいな、餌のことを言うんでしょ。僕は違うよ」
姐さんがそう言ってたんだから、そうだよというミィズー。
「それより、お兄ちゃんたち踊ってくれないから、つまんない」
折角、いっぱいタンロン用意したのにところりと話を変えたミィズーは建物に向かわせていた残りのタンロンたちを回収する。
ただ、やはりと言うべきか、回収できたのはタンロン2体だけ。他は京子により、撃破されていた。
「玉のお肌を傷つけたくなかったんだけどね。それにしても、あっちの子分は踊り疲れちゃったみたいだけど、貴方は最後まで付き合ってくれるよね?」
逃がさないよと笑みを浮かべた京子に対し、ミィズーが浮かべた表情は「無」。そして、次に浮かべたのは笑み。
「僕は踊る必要ないの。踊るのはお兄ちゃんたちだよ。ところで、あっちでバオ喰らった人達、大丈夫かなぁ」
死んじゃったんじゃなーい? とにこにこというミィズー。ただ、そういって、そちらに誘導しようとしていることは見え見えだった。
「誰が、死んだってぇ? あれぐらいで死ぬわけねぇじゃん」
そこにアサルトライフルを担いだ雹の声が響く。爆発に巻き込まれただけあって、服はぼろぼろになり、所々煤汚れていた。しかし、近くにあった建物の陰に隠れたこともあり、大きなダメージにはならなかった。
「ほんと、エージェントを舐め過ぎよ」
「まいだ、がんばった」
「いやー、あれは参るね」
雹に続いて、詩、まいだ、孝太郎が各々呟く。どうやら、まいだが詩と孝太郎をライオットシールドで防御したおかげでダメージは少なくすんだようだ。
「残念だったな。もういっそのこと、ここでやられようぜ」
「べー、いやだもんね」
康広の言葉にあっかんべをしたミィズーはタンロンを二体引き連れ、残りをその場に残し、後ろへと後退する。それにまさかとミィズーを見れば、ニィと唇を釣り上げた。
「ばーん」
その言葉は起爆剤となり、残された四体のタンロンが次々と爆発する。それにいち早く気づいた詩たちが前線に出ていた、エージェントたちを後ろへと引いた。倒れ込むようになったこともあり、起点に近かったバルトロメイや刑次はダメージを負ってしまう。だが、それだけでとどまった。
「えっと、再見っていうんだっけ?」
煙の向こうから聞こえた言葉に雹は「逃がすかよ」と銃弾を放つ。またまいだは怪我の酷い刑次と京子にリジェネーションでを纏わせていく。また、最初の爆発に巻き込まれた雹、詩、孝太郎にも次々とケアレイを施した。その際に孝太郎は「服も回復すればいいのにな」とぼやいていた。また、バルトロメイも自身の持っていた高級お弁当をつまみ、回復をさせる。そして、全員で、ミィズーのいるであろう煙の先に走りこんだ。
「うぉっ」
「もう、折角回復してくれたのにまた怪我するじゃない」
「わわっ、なにかとんできたよ!?」
『斧だな。まいだ、気を付けろよ』
「うん」
煙の向こうから飛んできた斧に康広も京子も間一髪避ける。煙を切り裂く斧にまいだも声を上げた。それには黎焔がしっかりと注意をする。
「遊びで済ませる気はないよ。責任はとってもらうからね」
『その身でわたしたちの怒りを知りなさい!』
「死んだらおねーさんに会えるんじゃない?」
『死後の世界とか信じてない癖に』
京子にアリッサ、詩に月がそう言うと、爆発させる余裕なんて与えないとばかりに攻撃をする。
『まいだ、浮いてる人に向かって投げろ』
「うん、わかった」
追撃とばかりにまいだはブーメランを投げる。それにバルトロメイたちも続いた。
ただ、ミィズーも黙って受けるわけがない。戻ってきた斧で防御し、カイチュンを行った。しかし、元々地小さな体に大きな斧である。斧を振り回す彼は隙だらけだった。
結果、ボロボロになったミィズーは浮遊する力を失い、地面に伏した。そして、弱弱しい声で「ばーん」と言った後、ぱたりと事切れた。ただ、タンロンはミィズーが倒れる前に倒され、地面に転がっている。そのはずなのだが、ミィズーはそれに向かって、自爆の命令を出した。まさか、倒していてもと警戒をするものの、やはり死骸では発動することはなかった。
●舞蹈的結束
「パトロール再開だね」
「え?」
一先ずの危機を乗り越え、詩がそう言えば、隣に立っていた月が驚いたように彼女を見た。
「冗談よ。さっさと片づけをやって休みましょ」
そう言った詩に月は苦笑いを零し、同意すると家財道具の掘り出しをしている京子たちの手伝いに合流した。
ミィズーによる被害は建物にこそ、被害は出てしまったが、被害者こそ出なかったのが救いである。そして、その破壊された建物や攻撃によって若干崩れてしまった建物の修復をエージェントたちは手伝っていた。
「ほら、まいだ。これをあっちにな」
「うん」
小さな石を黎焔に渡され、まいだはそれを一生懸命他の石が集まっているところに運ぶ。それを見て、ティアラ・プリンシパル(az0002hero001)は「あら、偉いわね」とまいだを褒めていた。