本部

stop cheap intrigue

雪虫

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 5~12人
英雄
12人 / 0~12人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/03/03 16:14

掲示板

オープニング

●不審な依頼
「た、頼む、助けてくれ、古龍幇に殺される!」

 H.O.P.E.香港支部当てにそんな電話が入ったのは、現地時刻ですでに日もとっぷり暮れた頃だった。電話を受けたオペレーターは一先ず録音ボタンを押し、落ち着いて助けを求める電話に対応したのだという。
『私は郷翼不動産社長の張郷翼という者だが、香港にはびこる古龍幇というヴィランズ組織は知っているな……奴らに脅迫されているんだ! 善良な一般市民が品性の欠片もない悪徳マフィアに殺されようとしているのだぞ! 何人掛かりで襲ってくるかも分からない……金なら弾む! 早く何とかしろ!』
「……という依頼なのだが、調べてみた所この張郷翼という男、いささかキナ臭くてだな……狙った土地の住人を不当に追い出しているだとか、役人を金で買収してはした金で土地を買い叩いているだとか……また、古龍幇は確かにヴィランズ組織と目されているのだが……まあ、詳細は今は置いておく。君達の任務は郷翼不動産社長、張郷翼を古龍幇から護る事、同時に郷翼の内情を調査する事だ。依頼人がクロだった場合、汚れた金を受け取る訳にはいかないから報酬は通常通りとなるが……頼めるな?」

●不審な影
「あのshitなタヌキ親父、一体何処にコールしやがったんだ? ……ああん、ホープゥ? あの頭でっかちのいい子ちゃん集団かよ」
「なに? ビビってんの永平(ヨンピョウ)」
「誰にshitなクチ叩いてんだ花陣(ファ・チン)。俺は『黒兵』の大隊長だぜェ? H.O.P.E.のshitなエージェント共にルーズなんざしねえぜ、コラ」
 幻想蝶の中から聞こえてきた生意気そうな少年の声に、男は自分を親指で差しつつ電柱の上に立ち上がった。赤い瞳に派手な金髪、細身だが引き締まった上半身を惜しげもなく夜風に晒し、袖なしのパンクジャケットを肩の動きだけで羽織り直す。
「この香港の街は古龍幇のシマだぜ、コラ。それをあのshitなタヌキ親父が勝手に荒らし回ってやがんだ。幇のエネミーと女子供を泣かせるヤツは、この李永平(イ・ヨンピョウ)がフルパワーでブッ潰す! そして俺達のマイロード劉士文(リウ・シーウェン)に、ビックでスペシャルなビクトリーを捧げてやるぜ! それが俺のマイロード!」

解説

●目標
 張郷翼を古龍幇から護衛しつつ内情を調査する

●NPC情報
 張郷翼
 護衛の依頼をしてきたが……

 李永平
 郷翼を狙う、時折残念な英語を混ぜて喋る系不良。武器は剣・銃・拳と何でも使う
 
 花陣
 永平と契約する英雄。ドレッドノート。永平とは喧嘩友達っぽい関係

 ガイル・アードレッド&デランジェ・シンドラー
 回避適性/シャドウルーカ―。ガイルは嘘がつけない/デランジェは嘘をつける。共鳴時の外見はガイルだが主人格は交代可
・潜伏
 全身をライヴスで覆い見つかり難くする
・鷹の目
 本物の能力と同程度のライヴスの鷹を生成。鷹はダメージを受けると消滅
武器:ニ丁拳銃「パルファン」

●マップ情報
 大型スーパー
 郷翼が指定した護衛場所。それなりに広い。一階のみ。家族連れの一般人が多い

 B地区
 郷翼が買収中のスラム街。老若男女様々な人間がいる。エージェント達に警戒心を抱いている。暮らし向きは貧しい様子

 郷翼不動産
 二階建て

●PL情報
・郷翼は役人を買収しB地区の住民を強制収用し、はした金で土地を買い漁る計画を立てている
・B地区の住人の大半がすでに強制収用が決定して立ち退きを要求されている
・B地区の住人は永平と面識がある
・郷翼不動産の金庫の中に役人との契約書があるが、リンカーの護衛(ナイフと銃で戦うブレイブナイト)が三名会社内を巡回している
・永平は一般市民を襲わない。郷翼とPCだけにするために色々と仕掛けてくる
・永平はPC達を叩き潰す事で郷翼に脅迫がマジだということを「解らせよう」としているが、郷翼の不正の動かぬ証拠を発見し永平に見せると撤退する
・永平は幇の敵に対しては苛烈だが、女子供には優しい為、「怖い」と言われると内心凹む

●その他
・時刻は日中。土煙で外は埃っぽく霞んでいる
・申請があれば運転手付き車両を貸し出す
・必要物品があれば申請可。事前にネットやH.O.P.E.からある程度情報収集可(マスタリング対象)
・おやつ:月餅

リプレイ

●作戦懐疑
「何ともキナ臭ぇ話だな」
 依頼内容を反芻しつつ麻生 遊夜(aa0452)は首を捻った。傍らでユフォアリーヤ(aa0452hero001)も不機嫌そうに声を上げる。
「……ん、言い方がクレーマー」
「小心者がこっそこそ悪ぃコトしてんじゃねぇよ」
(本当に悪いこと、してるんでしょうか……違うといいん、ですけど)
 レティシア ブランシェ(aa0626hero001)が不愉快そうに眉を寄せ、ゼノビア オルコット(aa0626)がこそり心中で呟いた。ほんわかと優しい性格のゼノビアに、人の悪を疑うのは中々難しい所がある。
「まぁ依頼は依頼だ、最後まで守ってやらんとな。その後はどうなっても知らんがね」
「……ん、なら良い」
 遊夜は悪い顔をしながらユフォアリーヤの頭をぽんぽんあやし、ユフォアリーヤは頷きつつ尻尾をふりふり横に振った。そんな二人の世界から視線を外し、レティシアは端末の前に座る。
「しかし不動産会社経営で悪いヤツに狙われている、ねえ。土地関連で何かやらかしたんじゃないか? 怪しい動きがないか調べてみようぜ」
 レティシアはH.O.P.E.のパソコンを起動させ郷翼不動産、土地の売買、最近、で検索を押した。程なく出てきた結果に、秋原 仁希(aa2835)とグラディス(aa2835hero001)は見事な割り台詞を決めてみせる。
「なんというか」
「すっがすがしいまでの小悪党感!」
 評判、噂、実績、等々。白い話も黒い話も両方面からと思ったのだが、画面を二、三飛ばしただけでも黒い話のバーゲンセール。まるで三流映画の小悪党の設定のような書き込みに、海神 藍(aa2518)は顔をしかめる。
「気に入らない狸だな……矜持の欠片もない狸がやくざ者に殺されようと知った事ではないがね?」
「兄さん、任務中は護衛しないと。ね? ……任務中は」
 何処か老成した雰囲気に冷徹を混ぜ始める藍に、禮(aa2518hero001)はくりくりとした瞳を向けながら念のため釘を刺した。一方、グラディスは検索内容に腹を抱えて笑っている。
「典型的……すごく典型的な……」
「そこまで笑い転げる程なのか?」
「ついでに古龍幇とやらも……わーお。ほんっとどこの界にもあるんだーねー、こーういーう組織」
「黒の秩序か……黒の時点で受け入れ難いもんだがな」
 古龍幇の内容にまで笑い声を殺し震えるグラディスとは対照的に仁希の表情は苦々し気だ。構築の魔女(aa0281hero001)も辺是 落児(aa0281)と共に画面を覗きながら考察を口にする。
「古龍幇から脅迫を受けている、つまりはやめさせたい何かがあるという事ですよね。不動産屋と考えれば不当な地上げが第一候補でしょうか。土地の売買は公的な機関が介在する……つまり役人の目に必ず触れているはずです。各種書類は手続き上、手元にあった方が便利のはず。契約書等の書類を隠すなら不動産店が有力でしょうか。護衛を自身に関連深い場所に招かない……理由はありそうですね」
「私は依頼主の護衛をしたい。それと、今回はガイル君と共に行動したい。目が離せない、と言うのもあるが、忍びの末裔として彼の行く道に何かしら力になれたら、と思う」
 無月(aa1531)は腕を組み壁にもたれながら、群青の覆面の下で呟きガイル・アードレッド(az0011)に視線を向けた。件のNINJYAはいつの間にかユフォアリーヤに捕まり頭をなでなでされている。
「……ん、ござる、頑張ろうね」
「イ、イエスでござる……」
「俺も、調査班が証拠手に入れるまではデカい悪ガキのお守りと行こう」 
 ガイルを完全に子ども扱いしている相棒と、すっかり子供扱いされているガイルから視線を逸らし遊夜も方針を仲間に述べた。一方、ライロゥ=ワン(aa3138)と祖狼(aa3138hero001)はガイル……と壁に寄り掛かっている無月の事を凝視している。
「あれは噂のジャパニーズニンジャ……」
「女性ニンジャはクノイチというらしいな……」
「まさか本物が見れるとハ……」
 四川出身の雲豹のワイルドブラッドであるライロゥは、生い立ちゆえに外界の情報にやや疎い面がある。もちろん任務の事を忘れている訳ではないが、金色の瞳がニンジャから離れるまでもうしばらくかかりそうだ。
「あ、すいません、香港で美味しいって評判のお酒知りませんか」
 グラディスは出発する前に、通り掛かった職員にそんな事を尋ねてみた。何に使うかはまた後程。

●業衛
「護衛として派遣されて参りました橘由香里です。よろしくお願いします」
 橘 由香里(aa1855)は依頼人を見据え営業スマイルを浮かべてみせた。情報を聞く限り乗り気にはなれない依頼だが、神職に就く両親の期待を一身に背負う由香里の目的は、エージェントとして功績を立て親の期待に応える事……その事を、呪縛とも言える親の理想とそれに縛られるだけの自分に嫌気が差しているのも事実だが、現状由香里にはその生き方に準ずる事しか出来ずにいた。
「随分若いお嬢さんだな。そんなに金に困っているなら広告モデルでもやってみるか?」
 由香里の秘めた葛藤など露知らず、張郷翼は値踏みするような視線と右手を同時に由香里に向けてきた。思わず足が動いた由香里の前に、遊夜が身を割り込ませ口元を吊り上げる。
「俺たちが来たからには安心しとけ、怪我一つさせやしねぇさ」
 言いながらアクセサリーに偽装させ、腰に下げたレッド・フンガ・ムンガをこれみよがしにチラつかせる。目に掛かる大きな傷跡で凄むように笑む遊夜に、今度は郷翼が顔を引きつらせ誤魔化すように鼻を鳴らした。
「ふ、ふん! まあいい! だが、古龍幇相手に護衛がたった五人? うち三人が女子供……何かあったらただじゃすまんぞ」
 郷翼は吐き捨てると、ヨハン・リントヴルム(aa1933)やパトリツィア(aa1933hero001)、飯綱比売命(aa1855hero001)にも値踏みするような視線を向けた。それに対し、遊夜はにこりと、しかし有無を言わせぬ笑顔で依頼人へ釘を刺す。
「ああ、もちろん。がっちり周りを固めるから大人しくしといてくれよ? そうすればさっきも言った通り怪我一つさせやしねぇさ」

 一方、郷翼達から少し離れた所では、無月がジェネッサ・ルディス(aa1531hero001)、ガイル、デランジェ・シンドラー(az0011hero001)と共に郷翼の事を観察していた。彼女が最も警戒しているのは戦闘になった時に一般人が巻き添えになる事。その為、普段の忍び装束を脱ぎ捨て私服をまとい、郷翼から少し離れた所で一般人を装いながらつかず離れず監視する事を希望した。ちなみにガイルもそのままの格好ではあまりにも目立つので私服で行動するよう指示をした。「これが私服でござる!」というガイルを有無を言わさぬ視線で圧し、現在は黒装束の上にデニムジャケットを羽織るだけとさせている。
「ガイル君、忍びとは隠密活動が基本。ガイル君が一人前の『ニンジャ』になる為の修行だと思ってもらいたい。万が一戦闘になった時は一般人に紛れて彼らを避難させるぞ。場合によっては潜伏したまま伏兵として不意をつく。ガイル君には不満かもしれないが、己を貶め、穢しててでも使命を遂行するのが忍びだという事も知って欲しい。罪なき人達を護る事は私達の使命だからな。そうだろう? ガイル君」
「イ、イエスでござる」
 ガイルはサングラスを外した青い瞳で頷いた。他にも言いたい事はあったが、無月個人としてはガイルには純粋なままでいて欲しいという思いもあるため、あくまで諭す程度に留めた。
「まあ、少しは忍んで欲しいと思うが……」
 無月はぽつりと呟きながら、懐に忍ばせている苦無を指でそっと撫でた。ちなみにジェネッサにはオートマチックを持たせている。
 そして無月達からまた少し離れた所では、ユフォアリーヤと黒金 蛍丸(aa2951)、雛守 詩乃(aa2951hero001)が同じく一般人に紛れながら周囲に警戒を払っていた。こんな家族連れが多い所を護衛場所として指定している、依頼人が一般人を盾にしようとしているのは丸分かりだ。
「……ん、人混みからくる可能性、離れて囲うのは当然」
「ほ、蛍丸さま! 相手はヴィラン組織の一味ですよ!? 分かり合えるわけありません! 無茶が過ぎます! どうかお考え直し下さい!」
 呟くユフォアリーヤのすぐ横で、詩乃はすでにむせび泣く寸前だった。長い前髪に隠され表情の全ては見えないが、わたわたとした雰囲気と声から彼女の心情は一目瞭然。だが、それを理解した所で蛍丸とて譲れない。
「たとえ敵であったとしても、理由なき暴力を振るうような事はしたくはないです……何が正義で、何が悪なのか……簡単には僕には決められませんけど……す、少なくとも、今回の襲撃者は関係ない人を傷付けるような人ではない……そんな感じがしますから……」
「蛍丸さま……もし怪我をしたら大泣きしますよ!」
「わ、分かりました……気を付けます……」
 今度は蛍丸がわたわたと詩乃をなんとか宥めていた頃、郷翼から後方二十m離れた所で、祖父と孫を装った祖狼とライロゥがひそひそ顔を寄せ合っていた。
「護衛し甲斐がないな……ほうっておきたい」
「今のところはただの依頼人です……今のところはネ。あと古龍幇も気になるといえば気になりマス」
 二人の役目は背後からの襲撃に警戒を払う事。郷翼に直接付き、護衛と言質を取るのはベテランリンカーにお任せとした。ライロゥは買い物客を装いつつ襲撃者の姿を探し、本棚へ視線を止める。
「おぉ、あれは今月のリンカー特集……付録が豪華で買えなかったやつです」
「一応護衛中じゃから眼は離せんな……」
「なんでこんな時に……買って帰りたい……」
「ぬ、ライ、この服お主に合いそうじゃな」
「祖狼……僕は男なのですが?」
 明らかに女子用の服をライロゥに合わせつつ、祖狼の表情は心なしか嬉し気だった。祖狼の立場は一応ライロゥの従者であるが、心ではライロゥをまるで孫のように思っている。もっともそれをライロゥ本人には勘付かれないようにしているが。だが、こういう機会に本心が顔を覗かせるのは致し方ない。
「ん? ちょっと嫌な臭いがしますネ……」
「敵か?」
「分かりません……警戒度を上げましょウ……」

「Shit! こんな所に逃げやがって……あのShit親父……」
『シットシットうるさいよ永平。おすわりおすわり』
「そっちじゃねえよ!」
 李永平は幻想蝶の中の花陣にツッコミを入れつつ歯噛みした。護衛のリンカー達をぶちのめし脅迫に使おうと思ったが、これでは一般人を巻き込みかねずうかつに手を出せはしない。
「ホリデーを楽しんでいるじじ孫もいる事だし、パンピーのノーマルホリデーを邪魔しちゃあいけねえよな……」
 ノーマルホリデーってなんだ、日常って意味か……と花陣は思ったが、面倒臭いのであえて突っ込まない事にした。

●調詐
 五々六(aa1568hero001)は薄汚れた街並みに奇妙な懐かしさを覚えつつ、私服姿でスラムの中を歩いていた。ヤのつく自由業の人にしか見えない姿も、住民たちにはむしろ馴染み深いに違いない。もっとも、その後ろに着いて歩く幼女を除けば、の話であるが。巨大なトラ猫のぬいぐるみに顔を埋めながら着いてくる獅子ヶ谷 七海(aa1568)に時折視線を投げながら、五々六は思索にふけっていた。
 裏社会に君臨する古龍幇ならば、人一人殺すくらい造作もない事のはず。にも係わらず「殺害」ではなく「脅迫」という形を取っているなら、殺さない理由、殺せない理由があるのだろう。立ち回り次第では脅迫者はH.O.P.E.と古龍幇とのコネクションにもなり得るかも知れないが……
「……まあ、そこまで働く義理もねえな」
 五々六自体は一エージェント、一英雄でしかない訳だし、どちらかと言うと「英雄」などガラでもない、と自認するような身分である。もっとも運命の悪戯か、今も昔も「英雄」などという肩書を付けられてはいるが……ともかく、愚神が絡んでいないのであればあまりやる気を見せない男である。
 その隣では藍が、こちらはイメージプロジェクターを使っていわゆるインテリヤのつく自由業の格好をしていた。
「……口調も変えた方がいいかな?」
『狙われるもんより狙うもんの方が強いんじゃ、ですね?』
「違……いや、禮? 一体どこで任侠映画を……?」
 現在は幻想蝶に待機中の禮の言葉に藍は思わず突っ込んだ。くりくりおめめの可憐な少女が、任侠映画を一人で見ながら口元に微笑を湛えている……ホラーである。藍はその想像を頭の中から追い払い、「穏やかだが険のある瞳」を演出しつつB地区内を見渡した。五々六と藍の目的は、古龍幇と友誼を結ぶ予定の日本のヤのつく自由業を装い住民から話を聞く事。そんな自由業コンビとはまた別の区画では、ノイル(aa3000hero001)と連れ立った玖渚 湊(aa3000)が視線をきょろきょろ彷徨わせていた。
「また海外の治安の悪い所か……財布しっかり持っとこう……」
「ミナトくん超ビビリだもんね」
「ビ、ビビってなんかない!」
 湊は口をへの字に曲げつつ紫の瞳を周囲に向けた。二人は今、スラムの住人が着ていそうなくすんだ色の服をイメージプロジェクターで装っている。設定は親のいない貧しい兄弟、似てないねと言われたら母親が違うと返す予定だ。
「想像以上に荒れた所だな……正しくザ・スラムって感じ……」
 湊は呟きつつ思った事感じた事をすぐさまメモに書き留めた。過書の病、ハイパーグラフィアを患う湊は、幼少期は夜中であっても衝動に苛まれ、壁や床に文字を書き連ねていた過去がある。家族からも異常と忌避の目を向けられていたこの病を、今は世界に起きた出来事を書き残すという使命に見出したいと考えている。住人達の暮らし振りを逐一メモしていた湊は、今にも崩れそうな屋台の下に誰かいる事に気が付いた。
「すいません、この辺りで俺達を雇ってくれそうな所ないですか」
 声を掛けられた女性は薄汚れた顔で湊とノイルに視線を向けた。二人をしげしげと眺めた後、自分の作業に目線を戻す。
「悪いけどここらに仕事はないよ。仕事どころかこのB地区丸ごとなくなるかもしれないんだから」
「どういう事です、それ」
「悪いけど構っている暇はないよ。こっちだって飢え死ぬか否かの瀬戸際なんだから」
 女性はつれなく去っていったが、住人達が食べ物に困っているらしい、という情報は手に入った。湊は以前依頼を共にした藍へとすぐさま連絡を入れ、藍は五々六へと言伝てる。
「おい、そこのガキ共。菓子をやる。こっち来な」
 五々六は懐から紅茶入りクッキーやチョコレートを取り出すと、物陰に隠れていた子供達へと見せびらかした。ついでに携帯用酒甕も大人達へとちらつかせる。最初は警戒していた住民達も、食べ物や酒の誘惑には勝てなかったのかバラバラと集まってきた。
「あんたら一体何者だ? ここいらじゃあ見ない顔だが」
「近く古龍幇と友誼を結ぶ予定の者……とでも言えば十分か? 手土産に……何不動産だったか? まあいい、その狸を襲撃しようと思うんだが」
「あんたら、強制収用の話を知っているのか。それでここに?」
 藍の言葉に、酒甕に直接口をつけて飲んでいた男は顔を上げた。子供に板チョコや支給品の月餅、大人にはブランデー類を渡していた仁希とグラディスは、強制収容という言葉に住民達とつついていたあつあつおでんから視線を移す。
「……何しに来たんだっけ」
「お話を聞かせてもらうにはー、多少は信頼してもらったりお礼を先に渡さないとねー。基本基本……じゃなくて、ふむ、強制収用って『お役所』の仕事だよね。それはこっちの界でもそうでしょ」
「あぁ、そうなるな」
「じゃあ、ココのお役人様達は何を元にそのお仕事をしているの? お仕事の元がどこかにあるはずだよ」
「自分達は郷翼不動産の身辺調査をしているんだけど……協力してもらえないかな?」
 仁希は共におでんをつついていた老人に尋ねてみた。しかし老人は首を振る。
「郷翼と役人が手を組んでいるという噂はあるが、証拠はねえ。役に立てなくて済まないな」
「幇、あるいはそこに所属する独走した個人の目的は差し詰め、強制収容の撤回、地上げの阻止といったところか」
「いずれにしろ不動産に行く必要がありそうだな」
 五々六に返した藍は中継役の湊へ連絡を入れ、湊は護衛班にいるヨハンへとメールを送った。
「この後はどうしましょう」
「私達は不動産に行ってみる」
「自分達はここに残る。もしかしたら襲撃者さんがここに来るかもしれないし」
 湊の言葉に藍と五々六が不動産行きを、仁希が残留を告げてきた。
「俺はもう少し調べたい事があるので……仁希さん、グラディスさん、あとで落ち合う事にしましょう」
 湊はそう伝えると一度通信の電波を落とした。ここで郷翼の情報についてもう得る事はないだろうが、
「すいません、最近ここに来た者なんですが、ずっとここにいるんですか? ここら辺ってマフィアみたいな組織ってありますか?」
 湊は道に座り込んでいた老人にカマをかけるように尋ねてみた。湊が聞きたいのは古龍幇の情報。老人は湊の顔を見つめた後少し顔を俯かせる。
「この辺りは古龍幇の管轄だ……」
「古龍幇って、H.O.P.E.が危険組織という認定をしていた筈。エージェントに頼んでそんな組織は追い出してもらった方がいいのでは?」
「おいクソガキ! 知らねえくせに何抜かして……」
「やめろお前達。若いの、知らないだけかもしれんが滅多な事を言うでない。古龍幇はわしら貧しい者の味方だ。悪い事もしているかもしれないが、この前も李永平って若いのがわしらが出ていかんでも済むように何とかしてくれるって……」
「その李永平ってどういう人なんです?」
「すごく面白いお兄ちゃんだよ! この前お菓子くれたんだけど、『お顔が怖い』って言ったら影で落ち込んでるの見たの」
「その人、ここによく来るんですか?」
「最近は見とらんな。忙しいのかもしれないが」
「段々繋がってきたな」
「人名がみんな中華料理みたいだよね」
「なんだか変わってる人みたいだけど、そんなに悪い奴じゃなさそうなのかも……」
 空気はあえて読まない派のノイルの冗談を流しつつ、湊はもしかしたら役に立つかも、と新たな情報をメールにしたため仲間達へ送信した。

●襲劇
 仲間達がそれぞれ任務をこなしていた頃、落児と構築の魔女はイメージプロジェクターで富裕層に変装し、顧客として郷翼不動産のソファーの上に座っていた。二人の目的は「騒動」の起こった際に安全な場所で待たせてもらうと偽り、警備員の動きから重要な区画を推測し侵入する事。仲間達の合図はまだ来ないので構築の魔女は受付に、H.O.P.E.の職員にしたのと同じ質問をぶつけてみる。
「不躾で申し訳ないのですが、この不動産会社が土地の権利者とトラブルを起こした事はありますか?」
「そんな事は一切ございません。わが社はホワイトクリーン良心的がモットーですから」
 演劇のように答える職員に、「簡単に答える訳ないですね」と構築の魔女は肩をすくめた。ちなみに落児はずっと無言を通しているが、普段から「ロ、……、-、!、?」の組み合わせでしか発語せず、相棒と以外は意志の疎通が行えないので然したる問題は存在しない。
 一方、構築の魔女の要請でH.O.P.E.と判断されないよう偽装した車両に乗っていたゼノビアとレティシアの元に、別の車に乗ってきた五々六達が到着した。五々六は「平穏」な不動産を目に映し、にやりと悪どい笑みを浮かべる。
「不正の証拠があるという確証は必要ねえ。敵対する謎の一マフィアでも装っておけば対外的にも問題ないだろう。どうせ他に当てもねえし、見つかればラッキーくらいで行くぜ」
「古龍幇も依頼人も五々六も、悪人ばっかだね、トラ」
「今さらだろ。さっさと共鳴するぞ」
 七海と共鳴した五々六は、イメージプロジェクターで全身を覆うフード付クロークへと変装した。見た目は少女、中身はヤのつく自由業な仲間の隣で、インテリヤのつく自由業も相棒と共鳴を果たし終える。
「さて、派手に仕掛けようか」
『オトシマエはつけてもらわないと』
「……えっと……まあいいか」
 藍は禮へのツッコミを一先ず置き、 内部の人間を誘い出すべくブルームフレアを炸裂させた。合わせて七海の姿を借りた五々六がチャイム代わりに速射砲をお見舞いする。
「挨拶は気に入ってもらえたか?」
「殺さねえ程度にしといてやるよ!」
 表に出てきた護衛に殴り込みを始めた自由業、もとい藍と五々六に隠れるように、レティシアと共鳴したゼノビアは社内へと侵入した。目的は証拠の捜索……警戒しながら先へと進み、階段に差し掛かった所で護衛の一人とばたりと出くわす。
「……!」
 十六歳の少女の外見に護衛が戸惑いを見せた隙に、ゼノビアは構えていたPride of foolsを敵の腹部に叩き込んだ。理想と矜持が込められた二梃拳銃も、殴るのに使えば鈍器である。ゼノビアは持ってきたロープで護衛を縛った後武器を奪い、手近にあった部屋の中へと放り込む。そのまま周囲に視線を巡らすゼノビアに、派手に暴れ回る藍の声が聞こえてくる。
「ヒトのシマを荒らしたんだ、覚悟は出来ているんだろう?」
 不敵に笑みつつ銀の魔弾を藍が敵へと放っていた頃、混乱に乗じた落児と構築の魔女は電力の遮断と通報機の破壊活動に勤しんでいた。警備システムで異常が通報される可能性を考慮し、外部への情報発信を遮断するためだ。破壊を終えた二人は続いて書類の探索に移り、やがて社長室らしき一際豪勢な感の部屋と、いかにもと言った感じの金庫を一つ発見した。
「金庫自体に仕掛けがあるのが怖いですが開錠出来ないなら破壊……するしかありませんかね」
「ちょっと待ってくれ。試してみたい事があるんだ」
 構築の魔女からの連絡に、ゼノビアと主人格を交代したレティシアが待ったをかけた。そして手に何故か大量の月餅を携え捕獲した護衛へ向き直る。
「さて、護衛をやるくらいだからあんたら口は堅いんだろうが、こう見えて俺、戦場育ちでな。結構えげつない方法で吐かせるのは慣れてるんだが……そうだな、月餅って口の中の水分全部持ってかれるよなー。あれずっと水飲まずに食ってたら俺気持ち悪くて死にそうなんだが、香港の人間ってあれどれくらい食えるんだ? 試していいか? 本場の人間なんだからそりゃもうたくさん食えるよな?」
「何遊んでやがる」
「遊んでねぇって! まだ黒ってハッキリ判明してねぇんだからぶん殴って吐かせるわけにもいかねぇだろ! 黒ってわかったらぽんぽんに膨らんだ腹でも蹴ってやればそのうち諸々吐くだろ。あれ相当キツいんだよな」
 自由業三人目である。五々六に言葉を返したレティシアはさらに護衛に笑顔で詰め寄る。
「素直に諸々の事情吐くか、ちょっと地獄見るか、どっちが良い?」
「金庫に仕掛けはついていない! 番号は分からん! 頼むから助けてくれ!」
 落児は金庫を破壊し、入っていた書類に目を通した。書類確保の連絡を受けた藍が転がっている護衛を見下ろす。
「……ああ、そうそう、再就職先でも探しておくんだな」
 藍はそれっぽくお悔やみを述べると、仲間達と共に車に乗って立ち去った。後には呆然自失の護衛達が残された。

●対義
 ヨハンは湊からの連絡に気付きメールの文面に視線を落とした。書かれていたのはB地区の状況、そして古龍幇の襲撃者について。背を向け端末を眺めているヨハンに気付いた郷翼が苛立だしげに声を上げる。
「おい、何をサボっている。善良な一般市民が殺されるかもしれないってのに」
「殺す? ないない。殺してしまったら犯人くんの目的はどうなるの? ところで依頼人さん、聞きたい事があるんだけど、依頼人さんはどうして脅迫されてるの?」
 ヨハンは文句をいなしながら青い瞳を郷翼に向けた。優男風の美青年だが、瞳に底知れぬ海のような異様な圧力がこもっている。ヨハンは、自分ではそれとは気付かぬままかつての「稼業」と同じ調子で郷翼へと詰め寄っていく。
「ところで、本当にここで護衛させるの? あんまり人的被害を出すと始末書じゃ済まないんだけどなあ……まあ、代わりに責任取ってくれるなら個人的には別に良いんだけどさあ」
「ふ、ふざけるな! 何で脅迫されているかなど俺が知るか! それに他の連中がどうなろうが、それは俺を狙う古龍幇と無能なH.O.P.E.の責任だろうが!」
『スーパーをご利用の皆様に連絡します。このスーパー内に凶悪なヴィランが侵入したとの通報がありました。危険ですので早急に避難して下さい』
 ヨハンの笑みに青筋が立ちかけた時、緊急アナウンスがスーパー内に鳴り響いた。人々が慌てて走り出し、郷翼とその護衛達の姿が露わになる。 
「居やがったなH.O.P.E.の護衛共。てめえらに恨みはねえがノックアウトさせてもらうぜ!」
 危険を察知した由香里は飯綱比売命と共鳴し、ミラージュシールドを構えて郷翼の前に立ちはだかった。シールドが銃弾を跳ね返し、襲撃者は舌打ちする。
「観念しろよShit親父、古龍幇のシマを荒そうなんざこの李永平が許さねえ!」
「なんと! 郷翼殿はヒールだったでござるか!?」
「デランジェ君、悪いけどチェンジしてもらえるかな」
 思いもよらぬ真実に驚愕するガイルの姿に、面倒の臭いを感じたジェネッサがデランジェに要望した。デランジェはガイルと共鳴し、ガイルの姿でジェネッサにウインクを決めてみせる。
「オッケーよんジェネッサちゃん。忍ばぬASSASSINデランジェちゃんにオマカセよん」
 別の意味で面倒の臭いがしたが、何も言わずジェネッサも無月と共鳴する事にした。やるべきは古龍幇の足止め。苦無を手に永平へ向かう無月達の後ろでは、蛍丸と由香里が双方から郷翼を説得していた。
「何をしている、早くあの悪党を倒してしまえ!」
「周りに無関係の人達がいるのに巻き込む訳にはいきません」
「安全は確保しますから私の影に隠れて下さい」
「黙れこの役立たず共! 早くあいつを殺……ぐがー」
 突然、郷翼がいびきをかきつつ床の上へと崩れ落ちた。セーフティガスを使った蛍丸が息を吐きつつ腕を下ろし、遊夜が視線を永平へ向ける。
「護衛の仕方までは指定されてねぇ、退かせさえすりゃ良いんだろ? 一応無月さんやライロゥさんに、現在別動隊が不正証拠を捜査・押収中と打診してくれるよう頼んでいるが……ま、俺達も行こうかね」
「調査中だあ? 信用ならねえな。女を傷付けたくはねえ、退きな!」
 内情を伝えた無月の言葉を一蹴し、永平は剣を振りかざした。無月が避けた所で共鳴したヨハンが死者の書を片手に広げる。
「え、英語ならお師匠様の方が……ですよねっお師匠様!」 
「考えてみれば相手はヴィラン、無用な戦いは避けたいところですが手加減する義理もありませんネ。この人数に襲撃なんてH.O.P.E.を舐めないでいただきたいデス、盛レ盛レ……幻想ノ花ヨ散レ!!」
 ヨハンの放った白い羽根のライヴスに続き、ライロゥの火艶呪符から出現したブルームフレアも宙を舞った。しかし永平は笑みを浮かべ、剣の一振りで光の群れを霧散させる。
「一般人を巻き込みたくないので……もう少しだけ僕と打ち合いをしてもらえませんか?」
「女子供は引っ込んでろ? ふふっ、古龍幇が地元で女子供相手にのされてしまう所を見せる訳にはいかないものね。でも、舐めていると大怪我では済まないんだから!」
 蛍丸がグラディウスを、由香里がトリアイナを携えて隙を逃さず肉薄した。しかし永平はそれも軽く打ち払い、追撃を加えようとした所で、
『……やーん、痛いのヤダ、怖い!』
「ぐうっ!」
 泣き顔のユフォアリーヤが二人の前に割って入り、永平の動きが止まった。ヨハンに届けられた湊の情報をさっそく活用してみたユフォアリーヤは、首を傾げながら永平の頭を撫でようとする。
『……喧嘩、しない?』
「おい、何頭触ろうとしてんだ、やめろ! つうかなんで女子供ばかり……」
「あ、来た」
 ヨハンは一言呟くと、仲間達から届けられた画像を永平へと見せた。眉を寄せ画面を眺める永平にヨハンは追い打ちのように言葉をかける。
「今回の件はきっちり表沙汰にして法の下に裁きを下すつもりだよ。依頼された以上此方には依頼人の身の安全を保障する責任があるけれど、依頼人の秘密まで守る義理はないからね。あんまりボヤボヤしてると仲間が来るよ? この人数相手に手こずるようじゃ帰った方が良いかもね」
「残念だけどこの男の身柄は渡せない。貴方達の私刑を認める訳にはいかないのよ。でも、汚職で有罪に出来る証拠は手に入ったから、こいつがこれ以上のさばる事はないわ。今回は事情が事情だから見逃すけれど、次に会ったら容赦はしないからね?」
 ヨハンと由香里の言葉に永平は息を吐いた。共鳴を解き、エージェント達に背を向ける。
「今日は帰る。目的はてめえらとのバトルじゃねえしな。次会ったら俺だって容赦しねえぜShit共」
 そして永平は出ていった。同時に郷翼が目を覚ました。状況を把握し逃げようとする悪党の進路をライロゥとユフォアリーヤと遊夜が塞ぐ。
「首を噛まれたくなければ大人しくする事デス」
「……ん、依頼通り、ちゃんと守った、怪我もないよ?」
「これで依頼は完了だ。それじゃ、お縄につこうか」
「は、はい……」
「立ち退きが白紙に戻って……スラムの人達に笑顔が戻ると嬉しいですね……」
 ガクリと肩を落とす郷翼とは裏腹に蛍丸の表情は晴れやかだった。一方、ライロゥは祖狼に諭されながら憮然とした顔をしている。
「なんか釈然としないのデス。敵は皆滅するとかでは駄目なのでしょうカ?」
「身がもたん、効率よくだな。闘いを避ける戦いもあるという事だな」
「天の国ではただ神のみが人を裁く。だから僕も古龍幇を恨んじゃいけない、どこぞの童話の仕立て屋のように行き場をなくしたくはないもの。
 だけどさ、連中を許すのは、奪われた二十年の歳月を返してもらってからでも遅くないよね?」
 ヨハンはその面に影を宿しつつ呟いた。その瞳と表情から完全に過去が拭えるまで、今しばらくかかるのだろう。
「おー、いい感じに割れてる腹筋だーねー。かっこいー!」
「こっちじゃどうか知らないが……日本じゃけっこうな縁起もんなんだ」
「おーいしーよー? 今回はー敵対するつもりは無いってこーとだーよ。イケメンさん」
 何処かで聞いた声が二人分外から響き、程なくして仁希とグラディスが湊やノイルと現れた。物言いたげな仲間の視線に仁希が事情を説明する。
「襲撃者さんに会ったからお近付きにマグロを渡してみた。狸親父の代わりに貰っていってくれるって」
 一体どんな顔でマグロを担いで帰ったのか。いや、幻想蝶に入れれば済む話……幻想蝶の中の英雄は生臭い思いをしているだろう。
 それからしばらくして不動産調査組もスーパーへと現れた。ゼノビアは頬をいっぱいに膨らませ相棒の横でぷりぷりしている。
(楽しみに、してたのに……! レティシアの、ばか!)
 どうやらおやつの月餅をしょうもない脅しに使われてご立腹のようである。いけすかないコソコソした悪者をいじめられてご満悦のレティシアは、相棒をなだめるべく懐から月餅を差し出す。
「ちゃんと残しておいたって……そんな美味いか、これ?」
「……ん、おやつも大事」
 キラキラとした表情でおやつタイムに突入したゼノビアに、ユフォアリーヤも同意して月餅を取り出した。同じくジェネッサ、無月も、壁に寄り掛かりながら支給品を右手に持つ。
「食べる暇がなかったけれど」
「せっかくだから頂こう。うむ、これはなかなか」
「落ち着いたら帰ろうか。月餅を何種類か買いたいし」
 藍の言葉に皆が頷き、一息ついてから各々バスへと乗り込んだ。数日後、B地区の強制収容が撤回されたという情報がH.O.P.E.へともたらされた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • シャーウッドのスナイパー
    ゼノビア オルコットaa0626
    人間|19才|女性|命中
  • 妙策の兵
    レティシア ブランシェaa0626hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 夜を切り裂く月光
    無月aa1531
    人間|22才|女性|回避
  • 反抗する音色
    ジェネッサ・ルディスaa1531hero001
    英雄|25才|女性|シャド
  • エージェント
    獅子ヶ谷 七海aa1568
    人間|9才|女性|防御
  • エージェント
    五々六aa1568hero001
    英雄|42才|男性|ドレ
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 急所ハンター
    ヨハン・リントヴルムaa1933
    人間|24才|男性|命中
  • メイドの矜持
    パトリツィア・リントヴルムaa1933hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 日々を生き足掻く
    秋原 仁希aa2835
    人間|21才|男性|防御
  • 切り裂きレディ
    グラディスaa2835hero001
    英雄|20才|女性|バト
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 市井のジャーナリスト
    玖渚 湊aa3000
    人間|18才|男性|命中
  • ウマい、ウマすぎる……ッ
    ノイルaa3000hero001
    英雄|26才|男性|ジャ
  • 焔の弔い
    ライロゥ=ワンaa3138
    獣人|10才|男性|攻撃
  • 希望の調律者
    祖狼aa3138hero001
    英雄|71才|男性|ソフィ
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