本部

萌え萌え、キュン!

紅玉

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/02/29 19:52

掲示板

オープニング

●萌え!
 現代、メイドカフェが一つの文化として広まっていく中。
 メイドを見て喜ぶ人間を見た愚神は勘違いをした。
「メイドを襲えば、人間を恐怖に陥れる事が出来る!」
 と、思ったとある愚神は配下達に指示を出した。
「萌えの源であるメイドを襲え! さすれば人間は恐怖に陥るはず」
 玉座に座り脚を組んでいる愚神は、配下達に言った。
「メ、メメメメイド! せ、せせせ拙者の時代が来たでござる!」
 と、1体の愚神が拳を振り上げた。
「さぁ! 我が配下達よ。いざ、メイド狩りに出ようではないか!」
「おー!」
 愚神の言葉に従魔達は歓声を上げた。

「そこのメイドさん、拙者とランデブーせぬか?」
 と、お客を見送ってるメイドに愚神は声を掛けた。
「お店によ……きゃぁぁぁ!」
 振り向いたメイドは歓喜の声を上げた。
 そう、そこにはイケメンが立っていたからだ。
「は、はい! ランデブーでも何でもしますっ!」
 と、言ってメイドはあっさりと愚神について行ってしまった。
 しかし、メイドが案内された先には餓えた従魔達が待っていた。
「何でもするっていったじゃろ?」
 愚神は口元を吊り上げメイドを見つめた。
「え? で、でも……」
 従魔と愚神を交互に見るメイドは口籠る。
「ほら、早くするんじゃ」
 愚神はメイドの耳元で囁く。
 低く色気を帯びた声色にメイドは思わず首を縦に振った。

●消えるメイド
 H.O.P.E本部に集められたエージェント達。
「各地でメイドが拐われる事件が起きています。皆さんには拐われたメイド救出の依頼をお願いします」
 ティリアはいつものように依頼内容を読み上げる。
 しかし、何故メイド限定で拐われているのだろうか? とエージェント達は思った。
「そ、それが分かりません。しかし、拐われてるのは老若男女関係なく“メイド”がターゲットにされているようです」
 ティリアの言葉にエージェント達は耳を疑った。
 つまり、男のメイドでも可という事だ。
「被害報告が多いメイド喫茶で、皆さんには潜入してもらい愚神を誘き寄せていただきます」
 ティリアはエージェント達にチラシを渡した。
 【萌え、萌え、キュン! な様々なメイドにゃんがご主人様をお待ちしておりますにゃん♪】と、書かれていた。
「お店側には許可を得ています。それと、メイド服は各サイズご用意してくださっていますのでご安心を」
 説明を終えたティリアは、チラシに載っているメイド服を見つめていた。

解説

●目的
愚神と従魔の討伐。
メイドの救出。

●人物
ティリア・マーティス(29)
メイド服を着たそうに見ている。

圓 冥人
指示がなければ、メイド服を着て囮役をします。

弩 静華
メイド服を着るのに抵抗がある様子。

●敵
愚神 明斗(めいと)
デクリオ級。
黒髪に和服を着たイケメン。
攻撃力と素早さが高く、日本刀を持つ。

従魔 羊な執事(10体)
ミーレス級。
黒い燕尾服を着た羊。
防御力が高く、対象者に子守唄を歌い眠りへ誘う。

●場所
とあるメイドカフェ

リプレイ

●覚悟完了
「愚神も本当に何を考えているか分からないわね。ライヴスが欲しいだけなら、メイドに絞る必要もないでしょうに。そもそもメイド喫茶のメイドは本来のものとかけ離れている気がするのだけど……」
 水瀬 雨月(aa0801)は眉をひそめる。
 相手は愚神だ、人間の常識が通じない相手も居るのだから気持ちを考えるだけ時間のムダだ。
(そんな事よりも、今は依頼をこなさないとね)
 雨月は小さい首を横に振った。
「周辺の防犯カメラの映像と、目撃者の聞き込みねぇ。時間足りる?」
 と、蔵李・澄香(aa0010)は黒い瞳で英雄を見る。
「警察のお力を借りましょう。連続失踪事件です。調査済みでしょう」
 澄香の言葉を聞いてクラリス・ミカ(aa0010hero001)は答えた。
「蔵李様、クラリス様、こちらが警察から事前に頂いた調査資料ですわ」
 2人の会話を聞いていたティリアは一冊のファイルを差し出した。
「ありがとうございます」
 澄香は笑顔でファイルを受け取ると開いた。
 犯人像は”和服を着た黒髪のイケメン”と書かれていた。
「全てのメイドはこのイケメンに声を掛けられ……付いて行った、と」
 澄香は書類に素早く目を通す。
「話しかけられてついて行ってからの先がありませんわね」
 ミカは首を傾げた。
 そう、メイドに声を掛けて連れて行く姿は目撃されているが、拉致される場面は目撃者はナシ。
 しかも店の監視カメラでさえ写っていないのだ。
「もしかしたら”灯台もと暗し”かもしれないね」
 圓 冥人(az0039)は呟いた。
「何故、そう思うのでしょうか?」
 澄香は問う。
「行けば分かるよ」
 冥人は肩を竦めた。
「頼まれておりましたスマートフォンをお持ちしましたわ。貸出という事で壊さないようにお願いしますわ」
 ティリアはエージェント達にスマートフォンを配った。

 煌びやかな店内、聴いたことのないアニメソング、猫耳の形をしたカチューシャを付けたメイドが笑顔で”ご主人様”を迎える。
「エージェントの皆にゃん、いらっしゃいですにゃん」
 幼いメイドがエージェント達に声を掛けた。
 戸惑うエージェント達を見て幼いメイドは首を傾げた。
「とりあえず店内へどうぞにゃ」
 幼いメイドはエージェント達に向けて招き猫の様に手を動かした。
 店内に入るとお客もとい”ご主人様”に向かってメイドは、両手でハートを作りおまじないを言う。
「美味しくな~れ♪にゃんにゃん、キュン!」
 ”ご主人様”はそんなメイドを射る様に見つめている。
 心なしか鼻の下が伸びている気がした。
 そんな店内を歩き、幼いメイドに導かれた先には”スタッフルーム”と書かれたプレートが付いたドアの前。
「お入りくだにゃい♪」
 幼いメイドはドアを開け部屋に入るようにエージェント達言う。
「ごめんなさいねぇ、普通は女の子ばっかりだから一室しかないのよ」
 と、幼いメイドはため息を吐いた。
「あの、貴女はスタッフ……ですよね?」
 雨月は青い瞳で幼いメイドを見つめる。
「紹介が遅れて申し訳ありません。私、このメイド喫茶の店長です」
 店長はくるっと体を360度回転させ一礼した。
「まぁ、ずいぶんと……若いですわね」
 赤い目を見開き月影 せいら(aa2046)は驚きの声を上げた。
「今年で36になりますわ」
 店長はダンボールを押しながら答える。
「はい、各種サイズのメイド服です」
 ダンボールの中には様々なメイド服が入っていた。
 店長の計らいで部屋に仕切りを既に作っていた。

●レッツメイド体験!
「お~、ひらひら~♪」
 ニココ ツヴァイ(aa0216hero001)がスカートの裾を持ち上下に動かしながらスタッフルームで走りまわる。
 褐色の肌に銀のショートヘア、マニアもにっこり笑顔になるであろうと、店長は笑顔でニココを見た。
「こらニココ、スカートめくって走り回ったらアカン!」
 虎牙 紅代(aa0216)がニココを追うように仕切りの隙間から出てくる。
 黒のロングヘアに笑顔が眩しい紅代、これはこれで固定客が付きそうだ。
「……やっぱりうちが着ると怖いかね~……ま、ええわ気合入れて愚神をお出迎えするで!」
「2人とも似合っているよ」
 冥人は笑顔で言った。
「イケメンであっても所詮は愚神。惑わされたりなんてしないのだ」
 北条 ゆら(aa0651)は黒い髪を整いながら明るく言う。
「……なら、いいが、な……」
 そんなゆらを見てシド (aa0651hero001)は顔をしかめながら歯切れの悪い返答をする。
 シドにとってゆらは妹として大切にしている。
 依頼だといえども心配になる、それが兄であるシドは不安で胸元を握り締めた。
「というわけでシド。あなたもメイドになりなさーい」
 シリアスムードのシドに向かってゆらは陽気な声で言った。
「……おま……、それはないって言ったじゃない……か……」
 唐突な提案にシドは戸惑う。
「気のせいじゃないかな」
 ゆらは笑顔でシドにメイド服を押しつけた。
「いらっしゃい、こっちの世界へ」
 冥人がシドの肩をがしっと掴んだ。
「もー、どうにでもしてくれ……」
 観念したシドは仕切りの向こう側へ向かった。
「北条、良い出来になったよ」
 数分後、ゆらの目の前に完璧なメイドになったシドが現れた。
「似合う似合う。さすが美形さんだねえ」
 冥人によって奇麗にメイクされたシドを見てゆらは満足げに頷く。
 ウィッグを被って黒のロング、スカートの中にパニエが入っているので細く見える。
 そこら辺のメイドも裸足で逃げるレベルだ。

「メイド服なんて着るの初めてだよー……というかジャックちゃん狙い過ぎじゃない?」
 と、桃井 咲良(aa3355)は桃色の瞳で英雄を見る。
「キヒヒ♪サクラこそあざといにも程があんだろーが」
 黒のツインテールのジャック・ブギーマン(aa3355hero001)は口元を吊り上げ咲良を見た。
 咲良はクラシックメイド服に、頭に生えてる猫耳ぴこっと動かしお尻の尻尾はゆらゆらと揺れる。
 普段は縛っている髪を解いているので歩く度に靡く桃色の髪はまるで桜吹雪の様だ。
 そんな咲良に対し、ジャックはオフショルダー(肩の部分に布が無い)タイプのゴスロリメイド服を着ている。
「あ、うちはミニスカートでもパニエは着用を義務付けてるからね」
 慣れた手つきで店長はジャックにパニエを穿かせた。
「おう、店長ありがとうだぜ」
「誘拐といい、セクハラもあるからね」
 笑顔でお礼を言うジャックに対し店長の頬に悩ましい影が差す。
「そういえば、ミニスカートのメイド服にはパニエが付いていますわね」
 クラリスが翡翠の様な瞳で店長を見た。
「それがルール、てヤツだからね」
 冥人もメイド服を着て出てきた。
「で、でも、アナタ達はエージェントだから大丈夫ですわね!」
 ぱっと笑顔で答える店長。
(誘拐された方が心配なのでしょう……)
(店長様ですから、責任感が強いのですわ)
 澄香の言葉にクラリスは頷く。

「おー、これがメイドカフェですかー。初めてでテンション上がーる!」
 ゆらは店内を見回す。
 その後ろでシドは小さくなっている。
「そんなとこいたら接客できないじゃん」
 ゆらはシドの腕を持ち引っ張った。
「俺にかまうな……」
 力のない声でシドは言う。
「シドさんにはもっとはじけてほしいなあ……」
 ゆらは首を傾げ、シドの背中を見つめる。
「お前と一緒にするな……」
 と、言ってシドは大きなため息を吐く。
「ま、いっかー。愚神さん来たら、よろしくよー……て、英雄と能力者は離れられないじゃん」
 シドに手を振るゆらははっとした表情で言った。
「はいはい、シド。カウンター内で隠れてて良いから行こうなー」
 冥人はため息を吐き、シドの首根っこを掴みカウンターへと連れて行った。
「いらっしゃいませ。ご主人さまー」
 そんなシドを気にも留めずにゆらは笑顔で客を迎えに行った。
「あの……も、もえもえきゅん♪」
 頬を赤らめながらせいらは手でハートマークを作りおまじないを掛ける。
「癒されるぅ」
 常連客はせいらの様子を見て顔を綻ばせている。
「うわっ、変なとこさわんじゃねぇよ!!」
 GUREN(aa2046hero001)が怒鳴り声を上げる。
「いや、君の様なメイドがいるからホイホイ入ってしまったじゃないの~」
 男はGURENを舐めるように見つめる。
「冷やかしはお断りだ!」
「じゃ、君を注文し」
 男の言葉を遮るようにGURENはメニュー表をテーブルに叩きつけた。
「ご主人様ぁぁぁこちらのメニューからお選びくださいぃ」
 GURENは目を光らせながらドスの効いた声で言った。

「お帰りなさいませ、お嬢様。こちら、わたくしからの心にございます。萌え萌え、キュン☆」
 クラリスは笑顔で”ご主人様”にノンアルコールの飲み物を出す。
「澄香ちゃん! ファンです!」
 目を輝かせながら女性はクラリスの隣にいる澄香の手を握り締めた。
「ありがとうございます」
 細々とアイドル活動をしている澄香。
 ファンの1人や2人いや、それ以上いてもおかしくはない。
「風の噂できちゃいました!」
「ありがとうございます。ご主人様、お席へ案内します」
 ファンの女性は澄香の眩しい笑顔で”ご主人様”と呼ばれて大興奮だ。

 外でビラを配る咲良の後ろでジャックはベンチに座っていた。
「ジャックちゃん、お願いだから真面目に仕事してね!」
 と、声を上げ咲良はジャックを立たせた。
「チッ……しゃーねーな」
 舌打ちをしながらジャックはベンチから立ち上がる。
「メイド喫茶にご主人様来てほしいにゃん♪」
 と、可愛く言いながら咲良は行き交う人達にビラを差し出す。
 行き交う人に紛れて愚神は慣れた足取りでメイド喫茶に入った。
(あの人、いえ人ではなくて愚神……!)
 雨月はお店に入ってきた男を見た。
 艶やかな黒髪に絵に描いたような奇麗な容姿、いわゆる”イケメン”だ。

「は~い、ご注文の品あがったで……あ、誰かレジ行ってあげてご主人様お帰りや!」
 厨房では紅代が奮闘していた。
「はーい」
 紅代の言葉を聞いてメイドがレジへ行く。
「おかえりやすご主人様」
 紅代はお店に入ってきた客にゆっくりと一礼をし微笑んだ。
「らっしゃい! ……じゃなかった、お帰りなさいだぞー!!」
 ニココは元気よく笑顔で言う。
 そんな仲間の姿をクラリスはカメラでばっちりと撮る。
「あ、クラリスさん後でデータ送って♪」
「もちろんですわ」
 紅代の言葉にクラリスは笑顔で答えた。
「アタイたちはご主人の帰りを待ってるぞ!」
 帰る”ご主人様”達に向けてニココは言う。
「……きてほしいぞ……」
 恥ずかしそうにもじもじしながらニココはぽつりと呟いた。
「あの娘、中々やるですわ……スカウトしたいですにゃ」
 店長はニココを見て目を光らせた。
『皆さん、愚神が囮に声をかけました』
 スマートフォンから雨月の声がした。

●めぇぇぇぇ!(訳:お世話するのは飽きた!)
「お主、見ない顔じゃのう……どうじゃ、拙者とランデブーしないじゃろうか」
 明斗は一人のメイドに声をかけた。
 そう、燃えるような赤い髪と瞳が美しいGURENに。
「し、仕方ねぇ、ついて行ってもいいぜ?」
 と、GURENは距離を置きながら答えた。
(ぎゃぁぁぁォォぅっ……!)
 心の中で悲痛な叫び声を上げながらGURENは明斗の後をついて行く。
「つ、連れて行って下さい、ご主人様!」
 明斗の手をせいらは背後から掴んだ。
「今日は大漁じゃのう」
 明斗は首を傾げた。
「まぁ、いいじゃろ」
 踵を返して明斗は歩きだした。

 明斗は「執事カフェ」と書かれたお店にせいらとGURENを連れて入った。
(木を隠すには森って事ね)
 雨月は辺りを見回した。
 愚神が入って行ったお店の周りにも同じような喫茶店が立ち並んでいた。
「そこまでです!」
 お店のドアを開き澄香は声を上げた
「メイドのお持ち帰りはご遠慮して頂きます」
 クラリスも澄香に続いてお店に入る。
「魔法少女クラリスミカ! 貴方のハートをくらくら、あれ?」
 共鳴した瞬間、澄香は”魔法少女クラリスミカ”ではなく”メイド少女クラリスミカ”と呼ぶに相応しい姿になった。
「変えました」
「変えられるの!? じゃあマトモなのにしてよ!? 恥ずかしいんだよ!」
 クラリスの言葉に澄香は怒声を上げた。
「めぇぇ~ん」
 力が抜けるような羊の鳴き声を聞いてエージェント達は目を疑った。
 目の前にはメイドに膝枕をしてもらいリラックスしている執事の格好をした羊達。
「いやん、ご主人様。くすぐったいですぅ」
 エージェント達に気付かない羊達はメイドに抱き付く。
「お触り禁止だよ!」
 咲良は長いスカートを翻し、デレデレな羊に三鎖鞭を叩きつける。
「べぇっ!」
 お店の端まで吹き飛んだ羊に視線を向けたまま、咲良はメイドに手を差し出す。
「僕達H.O.P.E.の人だから安心してね! ほら、こっちこっち! ジャックちゃんも手伝って!」
「は、はい。ありがとうございます」
 微笑む咲良を見てメイドは手を取り微笑み返す。
「わーってるよ、メンドクセ―」
 ジャックは羊を蹴り飛ばし回る。
「邪魔です」
 ゆらは笑顔で羊を転がす。
「はーい、お穣さん方はお店の外に逃げようね~」
 珍しく仕事をしている冥人は、エージェント達が逃がすメイド達の護衛をする。
「なんにもできない羊さんではないのですか?」
 ゆらは上目遣いで羊を見る。
「めぇ?」
 羊は首を傾げた。
「めぇ!」
 羊は前足をぽんっと合わせた。
「~♪」
 羊の口からオペラ歌手もびっくりの透き通った歌声が出る。
「すごーい。眠らせたりできるんですかー」
 素早く耳栓をしたゆらは拍手をする。
「子守唄が耳障りや、散れ!!」
 と、紅代が声を上げる。
 雷光を身に纏いし斧、アステリオスを軽々と振るう。
 羊が四方に投げ飛ばされると共に床のタイルが剥げ粉塵が舞う。
「なんや、たいした事あらへんな」
 紅代は地面に転がる羊達を見る。
「めぇぇ!」
 羊達は一斉に立ち上がり三日月の瞳で紅代を睨む。
「物理は強くてもこっちはどう?」
 黒鉄色の杖、ヘカテーの杖を手にし雨月はライヴスの青い火炎を起こす。
「そろそろ夢も覚める頃合いよ。さよならにしましょう」
 ゆらゆらと雨月の手の中で揺れる青い火炎。
 ごうっと音を立てながら青い火炎は炸裂し羊達を包む。
「め、めぇぇぇぇ!」(訳:もっと、メイドといたかった!)
 悲痛な叫びと共に羊達は跡形もなくブルーフレアに焼き尽くされた。
(出番……なさそうね)
 雨月は幻想蝶の中で眠っているアムブロシア(aa0801hero001)に向かって呟いた。

●メイドからご主人様へのお願い(物理)
「せ、拙者のメイド王国の野望がっ!」
 明斗は力無く地面に倒れ、震える声で叫んだ。
「ご主人様、一緒にやって下さい♪」
「はーい」
 せいらの言葉に明斗は素直に手を上げた。
「もえもえ♪きゅんきゅん♪らぶらぶ♪ふわふわり~ん♪」
 あざとくそして可愛く、せいらは普段出さない萌声を出しながらポーズをする。
「もえもえ♪きゅんきゅん♪らぶらぶ♪ふわふわり……ごぶぁ!」
 明斗の脇腹に激痛が走る。
「キヒヒヒ♪ご奉死しますDEATH!」
 ジャックの可愛い見た目に反して、手に持っている三鎖鞭が明斗の脇腹にめり込む。
「おら、残念イケメン!! うちが相手や……いや、ご奉仕や!!」
 明斗の後頭部にレッド・フンガ・ムンガが刺さる。
「愚神、喜べよ。可愛いメイド達の愛が詰まった奉仕だ」
 冥人が投合用ケーキを明斗に向かって投げた。
「怖い思いをしましたねー」
 ゆらは一般人のメイド達に店内の様子が見えないように立って優しく声を掛ける。

「メイド好きなんだろ? お望み通り、冥途に逝ってこいよ!」
 再びジャックは三鎖鞭を振るい、明斗の体に叩き込む。
「さぁ、贖罪のお時間です」
 ドスのきいた声で炎の様に赤い目、髪の共鳴姿のせいらはレッド・フンガ・ムンガの柄を握る。
 予めリンクコントロールでリンクレートを上げていたので、斧を纏うライブスの量が大きくなる。
「逝ってらっしゃいませ、ご主人様……!」
 せいらは全てのライヴスブローを明斗に叩きこんだ。
「萌は……」
 赤く、赤く染まっている体で立ち上がる明斗。
 エージェント達の攻撃で立ち上がれないハズなのに、立った愚神 明斗を見てエージェント達は目を丸くした。
「不滅じゃー! 萌え萌え、キュン!」
 と、言って明斗は灰と化した。
 シリアスしてたのに最後の台詞で台無しだ、とエージェント達は心の中で思った。
 お店の外からサイレンの音が近づいてくる。
「いつの間に」
「メイドの仕事は素早く確実にですわ」
 澄香の問いにクラリスはスマートフォン片手に答えた。
 こうしてメイド誘拐事件は無事に終わった。
 ただし、一部の者には心のキズを残して……

「今なら死ねる……」
 メイド姿のGURENは部屋の隅で後悔していた。
「あらあら、とってもきゅんきゅんしましたわよ」
 にこにこ笑顔のせいらはGURENに言うが、GURENは余計に落ち込んでいた。
 その隣にはシドも落ち込んでいる。
「ところでこのメイド服って貰ってもいいのかな?」
 と、咲良は猫耳を動かしながら店長に言う。
「気に入ったのかよ、変態だなオイ」
 咲良の隣でジャックは呆れた表情で見る。
「変態じゃないよ!?」
 ジャックの言葉に咲良は声を上げた。
「あーそんにゃのでいいにゃらあげるにゃ」
 店長は、咲良とジャックのやり取りを見て頬笑みながら言った。
 メイド、それは浪漫であり憧れである。
 しかし、フィクションのメイドは広まり過ぎたがそれを楽しむ者にとってはある意味文化なのかもしれない。
「せーの……」
 店長の掛け声で一部除いてポーズを取る。
「「萌え萌え、キュン!」」
 全員が言うのと同時にカメラのシャッターが下された。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • ヘルズ調理教官
    虎牙 紅代aa0216
    機械|20才|女性|攻撃
  • エージェント
    ニココ ツヴァイaa0216hero001
    英雄|12才|女性|ドレ
  • 乱狼
    加賀谷 ゆらaa0651
    人間|24才|女性|命中
  • 切れ者
    シド aa0651hero001
    英雄|25才|男性|ソフィ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • 非リアを滅す策謀メイド
    月影 せいらaa2046
    人間|16才|女性|攻撃
  • 紅蓮の矢
    GURENaa2046hero001
    英雄|21才|男性|ブレ
  • Allayer
    桃井 咲良aa3355
    獣人|16才|?|回避
  • TRICKorTRICK
    ジャック・ブギーマンaa3355hero001
    英雄|15才|?|シャド
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