本部

湯煙の向こうには

真名木風由

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/12/20 05:04

掲示板

オープニング

 『あなた』達は、任務の為に集められたエージェントである。
 緊急事態が発生している訳ではないようだが、職員の顔には緊張が走っていた。
「AONをご存知でしょうか」
「いえ。不勉強ですみません」
 職員の問いに剣崎高音(az0014)が申し訳なさそうに頭を下げる。
 いえ、と職員は彼女を制止した。
「知らない方が、世の中幸せなこともあるのです」
 何だろう、嫌な予感がしてきた。

 AON……Asia Nozoki Organization。
 アジア覗き機構。

「…………」
 エージェントの現在の表情は、実に表現し難い。
 何だ、そのふざけた組織は。
 というか、覗きは犯罪、何でアジア覗き機構とか名乗っちゃってるんだよ。
 職員はそういったまともな感情の色を見、「仰りたいことは解ります」と重々しく頷いた。
 H.O.P.E.が協力企業である回憶旅行社の助力を得て、調べ上げた内容を口にする。

 アジア圏で国を問わず活躍する、隠密偵察の男がいるらしい。
 忍びの末裔である彼は大変優秀な腕を持っており、どんな場所にも潜り込み、情報を入手してきたそうだ。
 が、隠密偵察の立場は実に危険で、情報入手と同時に雇った国家から切り捨てられることもある。
 彼は現場にしろ裏方にしろ危険を冒して潜入し、情報を得てくる彼らをそうしたことから守る為、機構を作ろうと考えた。

 ……まともだ。
 エージェントは職員の話を聞きながら、そんな感想を抱く。
 だが、職員の話は続いた。

 しかし、隠密偵察とは同時に機密を守ることも重要である。
 機構の名称をストレートにしては、機密を守ることも叶わないだろう。
 カモフラージュすべきだ。

 何か雲行きが怪しくなってきた。
 エージェントの嫌な予感が高まっていく。
 そして、高まった嫌な予感は、エージェントを裏切らなかった。

 本来の任務と掛け離れ、誰も相手にしないような、けれど、任務から離れ過ぎない名……そう、覗き。
 Asia Nozoki Organization(アジア覗き機構)、通称AONは、こうして誕生した。

「くだらないですね」
 途中から夜神十架(az0014hero001)の耳を塞いでいた高音が、バッサリ切った。
 高音からすれば、可愛い十架の耳になど入れさせたくないらしい。
「ですが、まだ続きもあります」
 職員は、寧ろこの先が問題と話を続けた。

 密偵が、ある任務最中に失敗をした。
 彼らはその密偵を守る為、汚名挽回の為、国家以外の依頼主からの仕事も請けるようになった。
 今は選んでいる場合ではないと仕事を問わなかった結果、カモフラージュの名に近づいていった。
 だって、選んでないからターゲットも……ね。

「そうしていく内に、ANOで派閥が生まれたようです」
 職員がエージェントの表情の移り変わりを見ながら、自分だって説明するの嫌だと表情に出し、言葉を続ける。
 ANOには、2つの派閥があるらしい。
 覗きをスポーツ(全てを懸ける部分が競技的らしい)として確立、隠密偵察の次代を育成すべきという覗きスポーツ振興派。
 覗きはあくまで任務である。洗練された技巧をあらゆる局面において行使し、目標を正確かつ精密に捕捉し、地位向上を狙っていくべきという覗き任務向上派。
 やることはどちらも同じらしいから、こちらにとってはどうでもいいことだが。
「彼らも隠密偵察の地位向上、かつての失敗の挽回の為に、国家も風呂も覗く訳です」
 国家はともかく風呂は覗くな。
 エージェントの心は示し合わせてないのに一致する。
「ちなみに、能力者の可能性は?」
「少なくともH.O.P.E.所属の方は確認出来ていません。また、国家を相手にすることもありますので、ヴィランズの可能性はありません。フリーの能力者が紛れているかどうかまでは調べ切れませんでしたが、創立者と彼と行動を共にするたった1人の弟子は能力者ではないことが判明していますね」
 イベント情報の提供や格安ツアーの企画をしてくれるだけでなく、現地の治安情報もしてくれる回憶旅行社としても、顧客の思い出の中に覗きがあってはならないと総力を挙げて調べたそうで、H.O.P.E.へいつも以上に協力的だったそうだ。
「……今回は、国家ですかそれとも」
「風呂の方です」
 察した高音の問いに、職員が申し訳ないと答えた。

 湯布院へ湯治に訪れているH.O.P.E.協力企業の会長夫人に付き添っている男女の双子の孫2人がモデルらしいのだが、両者のファンクラブの依頼でAONが覗きに動いているとH.O.P.E.は情報を掴んだ。
 何故掴めたかと言うと、協力企業の会長夫人を誘拐しようと目論むヴィランズが動いていたからで、それがなかったら、AONの動きは掴めなかった。
 その位、彼らは優秀なのだ。

「つまり、AONから覗かれないようにしつつ、夫人と孫娘を守り、ヴィランズを確保するという任務ですね?」
「そうなります」
 職員の答えを聞いたエージェントの重い溜息が部屋の中に充満したのは言うまでもなかった。

解説

●目的
・夫人と孫2人を誘拐されたり覗かれたりしないよう頑張る
・AONとヴィランズを何とかする

●現地情報
・天気快晴、夕方から夜の時間帯
・純和風の赴きある旅館
・露天風呂があり、その周辺は木々に覆われ、暫く進むと崖という形で露天風呂を覗くには旅館経由か崖登りが必要

●敵情報(PL情報)
・AON
8人います。
誰か2名が対象を捕捉(覗き)する為に協力を行います。現在の配置状況は不明。
全員非能力者。
創立者と弟子はごく普通にいません。アジアのどこかで覗いてるでしょう。

・ヴィランズ
10人います。
各クラス1名は確実におり、ジャックポット、シャドウルーカー、バトルメディックが複数。
男女混成で旅館内に何食わぬ顔で潜伏しています。

●H.O.P.E.より指示
・夫人、孫の護衛の観点より彼らと共に客室待機する者の他、AON確保の為男湯女湯共に露天風呂の囮が必要。確保の為確実に誰か行うように。
・その間、迎撃班が確保。旅館の許可は得たので露天風呂周辺に待機可能。
※AONの能力非能力者の範囲で無駄に高い為情報管理に注意。
・エージェントの動きを知ってヴィランズはボロを出す可能性が高い為、彼らは動き出してから対応で問題ない。
・旅館には協力企業の会長夫人を始めとした一般人も多く宿泊している。致命傷になるような攻撃は厳禁。やり過ぎ注意。

●NPC情報
剣崎高音、夜神十架
指示ががなければ、凄く不本意な顔で囮します。

会長夫人、孫
基本客室待機、後に温泉を楽しみたいそうです。

●注意・補足事項
・覗きシナリオです。囮の方は立候補=覚悟完了と判断します。確保出来ないと本当に覗かれますが、年齢制限になるような直接的な描写はありません。
・囮は浴場にありそうなもの、仲間との団結と自分の知恵と勇気のみ武器と防具に出来ます。(アイテム装備適用しません)
・AONは非能力者である為彼ら相手に共鳴は禁止とさせていただきます。

リプレイ


「いい湯じゃったのぅ」
 浴衣姿のカグヤ・アトラクア(aa0535)が、マッサージチェアに身を沈ませている。
 如何にも温泉を楽しみにきたOLを装う彼女の手にはスマートフォン。
(今の所、ニュースなし、じゃ)
 旅館内に紛れている可能性もある為、カグヤは内部状況を確認しているのだ。
 風深 櫻子(aa1704)の提案でボイスチャットアプリでグループチャット状態、通話は控え、サイレンスモードにして連絡を取り合っていることなど見せない徹底振りだ。
 更に御手洗 光(aa0114)の提案で予め隠語や合言葉を決めてある為、何かの拍子に見られても自分達が誰かは分からない。
『うっかり喋り過ぎたら大変よ』
 表示される文字もぱっと見そうとは分からない。
 ちなみに、これは櫻子のもの。
 すぐさまシンシア リリエンソール(aa1704hero001)の反応が返ってくる。
『お前の宝くじなど外れる』
 勿論これは隠語。
 ラッキー覗きはするなという釘刺しが正解だ。
『大丈夫よ。私澄み切ってるもの!』
『濁り切っているな』
 綺麗なロリコンを主張する櫻子、夜神十架(az0014hero001)の耳に正確に入らなかった事実に安堵してるから、その点については同意しよう。
(高音も十架も色々犠牲になる必要はないのじゃ)
 カグヤは、十架と一緒の剣崎高音(az0014)へも気遣う言葉を呟いた。

 御神 恭也(aa0127)は、自動販売機近くの椅子に腰を下ろした。
 ここを通らなければ旅館内部から夫人と2人の孫がいる部屋へ行くことは出来ない。後は窓の警戒になる。
『余り目の付く場所で警戒していると、護衛対象者の息も詰まってしまうだろうからな』
『それに関しては異論ない』
 恭也の発言に応じるのは、シンシアだ。(危険性を考え、ボイスチャットで会話しているのだ)
 シンシアも出来れば客室待機と思っていたが、護衛間の意見調整の結果、こちらになったのだ。
「しかし、(不埒な)何かを感じない訳ではない」
 身の危険を感じた為護衛チームに来た恭也、分からないように呟く。
 シンシアはそれが分かるから、溜息をついた。
「その時は私が動く」
 不埒な何かが櫻子であると信じて疑わないシンシアは、一応櫻子にも現在の状況を伝え、小さく溜息を吐いた。

「えっと……モデルさん、なんですよね。雑誌で……見たことあって。写真も素敵ですが……実際に会うと……オーラ……あって、もっと……素敵、ですね」
「ありがとう。覚えていてくれて嬉しい」
「それだけに俺達も申し訳ないというか」
 面識がないエージェントもおり、レオンハルト(aa0405hero001)と別行動を既に後悔している卸 蘿蔔(aa0405)は、モデルをしている会長夫人の孫2人へ声をかける。
「ロロー……」
 辺是 落児(aa0281)が、改めて高音と十架へ挨拶をしている。
 彼は構築の魔女(aa0281hero001)とは以前の関係で意思疎通は行えるが、他のエージェントとは伝わらないことを考慮し、事前に用意出来る内容は構築の魔女よりノートパソコンに音声とテキストを準備して貰い、それを指し示しているが、挨拶ということで、そうとしか言えない言葉であってもそう話しかけているのだ。
「よろしく、ね……?」
「よろしくお願いします」
 怖がられるかと思ったが、十架は元々人見知りらしく、高音の後ろにいるものの、それ以上の様子はない。
 高音も丁寧に頭を下げ、彼が伝えたかった『久方振りですね、ご縁があるようで今回もよろしく』という言葉は明確ではないにせよ、空気で伝えられたようだ。
「ローーロロ」
 落児は構築の魔女のテキストを指し示す。
 そこには旅館内部の経路だけでなく、浴場とこの部屋の距離、浴場から急いで出てきた場合の推定時間といったデータ的なものが記されてあった。
 正体が分かってから、迎え撃つ形になるでしょうが数も多いようだから気をつけよう。
 ……ということを、落児は言いたいのである。
 誘拐が目的ならば相手に惑わされることがないよう注意したいのも彼の意図だが、恭也とシンシアが通路サイドで待機しているので、こちらが注意するのは窓になる。
「不審車両は今の所ないようですが、宿泊客に紛れている可能性もありますからね。十分注意しないと」
「ロー……」
 高音へ頷きで応じる落児。
(レオン、泣いてないといいな……)
 囮を強制されたレオンハルトは死んだ魚のような目をしていたが、泣いてないだろうか。
 蘿蔔はちょっと、心配。

 さて、その心配されたレオンハルトは、男湯にいた。
「少年ですら覚悟を決めているというのに……俺って奴はっ」
 悲壮な決意の先には、狼谷・優牙(aa0131)とクー・ナンナ(aa0535hero001)の姿。
 光と知己を得る優牙は、話の流れであれよあれよと囮役になったのだが。
「タオル着用がNGなんて……」
「マナーって大事だよね」
 嘆く優牙へクーが諭す。
 が、そのマナーを教えたのは佐藤 咲雪(aa0040)だ。
「温泉は良いものよな。ゆったり満喫するとしよう」
 この中で最も温泉を楽しみにした楓(aa0273hero001)は、その湯質にふふと笑う。
 団子に結い上げている為かその肌は上気し、艶を感じさせる佇まいだ。
「しかし、男湯も対象とは分からぬ。普通は女湯であろうに」
「依頼だからじゃない?」
「彼奴らの嗜好とは別次元の展開という訳か」
 楓の素朴な疑問にクーが答えると、皆AONが彼らへの依頼で動いていることを思い出す。
「我は老若男女誑かす傾国の狐。我が裸体なぞ平伏もの……とは言え、貴様ら我には及ばずとも意外と肌つや良いではないか。けあとやらをしているのか?」
「よく、寝る?」
 楓の問いにクー、即答。
「睡眠は確かに大事じゃな。貴様らは?」
「ぼ、僕は何も……」
「俺も何もって、そんなに見る必要あんのか!?」
「世間話の一環ぞ」
 囮の仕事は忘れていないと笑う楓は、優牙とレオンハルトへケアの大切さと衰え知らずの至上の柔から玉の肌を触るかと話を振る。
「さささ触っ」
「いやいやいや!」
 動揺する優牙とレオンハルトを他所に、クーはぼーっと外を眺めていた。眠い。


「楓、何か楽しそうでずるい」
 会津 灯影(aa0273)は、男湯の露天風呂近くの陰から不服そうに呟いた。
 と、アリス(aa0040hero001)が灯影の服の袖を引っ張る。
 任務中、会話で露見するという注意かと思いきや
「傾国の狐の妖かしの魅力……翻弄される男達……」
 違った。凄まじい方向で違った。
 アリスは所謂腐女子……中々目にすることがない男性の裸体を確認することが出来る絶好の機会、目に焼きつけて資料(何の)にしておかなければ。
 妄想ぎゅんぎゅん湧き出す勢い……これはいいネタだ!

 ア カ ン

 灯影、気づいてしまった。
 世の中色々な組織がある。国家はよく分からないが、風呂覗きは普通に変態、絶対捕まえなければ……そう思っていました。
 でも、身内も役得を狙ってたとは思ってませんでした。
 が、アリスはちゃんと仕事もしている。
 旅館内部等々は他のエージェントに任せ、アリスは特に露天風呂周辺を把握していた。
 アリスが言うには、覗きは基本的に隠れてやるもので堂々と乱入してくることはありえない。
 ならば、露天風呂側から見え難い覗きスポットを押さえればいい。
 そうした意見でアリスは男湯の絶好のスポットを割り出し、灯影と一緒にいるのだ。
 ピンポイントな割り出しという意味では功労者なので、恩恵はちょっと位あってもいいと思うよ☆

「やるね! ボクも負けないっ!」
「僕だって負けないよー!」
 伊邪那美(aa0127hero001)とプレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)が広い露天風呂をばしゃばしゃ泳いでいる。
 プレシアは最初優牙と男湯に入ろうとしたが、流石にそれはと止められ、見た目男の子のプレシアはどっちでも変わらないと思うのだけどと言いつつもこっちへ来て堪能していたりする。
(今の所、内部はいないようでしたが……)
 構築の魔女は彼女達を微笑ましく見守りながらも思考はフル回転。
 自然さを失わないよう配慮しながら、内部覗きがいないか警戒しているのだ。
 清掃スタッフだけでなく、各所の備品関係もそれとなく目を配ったが、今の所不審な所はない。
(ヴィランズが動かなければ露見しなかったなら、有能なんでしょうけど……意志を貫いたひとつの結果なのでしょうね)
 警戒し過ぎて、それが露見しても本末転倒である為、普通を装っているが、今の所事態が動いている様子はない。
(結果といえば……辺是、大丈夫かしらね……? 怖がられてないと良いのだけど)
 落児と言葉で意思疎通というのはほぼ困難だろう。
 その辺りは不安が残るが、高音辺りに調整して貰うしかない。
(崖側に身体を向けます?)
 構築の魔女は泳いでいない咲雪へ彼女にしか聞こえないよう耳打ちする。
 傍目からはお姉様が少女に何かを囁いているように見え、そちらの層の目の保養になる光景だ。
(……ん、盗撮じゃない……なら、別に……色々対策するの……めんどくさい)
 一応は声を潜めて返す咲雪は、人並みの羞恥心はある。
 が、対策するのが面倒ということから、特別な準備はしておらず、ごく普通に身体を洗い、掛け湯をして湯船に入っていた。
 タオルも纏われていない咲雪はゆったりとさせ、「やっぱり……ラク」と呟く。
 これ以上成長しても困るけしからん場所に対する感想だが、そちらで別に困っていない構築の魔女しか聞いてなかったので、特に睨まれることもない。
「そういえば、恭也からもっちりを教わったけど、どうだろう」
「もっちりー? 楽しそうだよねー!」
 伊邪那美が警戒し壁に仕掛けた鳥もち罠のことを隠語を使って、プレシアと話している。
 今の所合図はないようなので動いていないが、桶の裏側には石鹸水入りの水鉄砲も準備万端であった。
 そろそろ時が動くだろうけど、今は──
「今度は往復の競争しよー!」
「ボクも負けないから!」
 大義名分の名の下泳ごう。

「おーおー、女の子の珠のお肌が……。たまらんわぁ。十架ちゃんがいればパーフェクトだったんだけど」
 櫻子、趣味と実益を兼ねた釣り作戦なう。
 曰く、ガチ覗きと思われれば泳がせて芋蔓式ということらしいが、文字チャットの方でシンシアがガチギレ間近である。
 と、櫻子の後方では、骸 麟(aa1166)と宍影(aa1166hero001)がこそこそ話している。
「兄上がAONにいる。もしかしたら、ここにも……」
「それは本当でござるか?」
「オレの勘が告げている。恐らく、兄上はANOの理念に惹かれ、向上派に名を連ねている」
 麟が主張するには、生き別れの兄が抜け忍となり、ANOの覗き任務向上派へ名を連ねたというものだが、根拠あるソースはなく、全て想像の域である。
「ANOには様々な忍の一族も加わっていると聞くでござるから、可能性はない訳ではないでござろうが……」
「覚悟は出来ている。抜け忍と兄上と決着を着けるだけのこと」
 とは言え、H.O.P.E.からの指示は致命傷になる攻撃は厳禁。
 協力企業の会長夫人と孫2人だけでなく、一般人も多く宿泊していることからやり過ぎ注意とさえ出ている。
 麟は頭を悩ませるが、今は任務に励むしかない。

「……動きがあったようですわね」
 光がスマートフォンの文字チャットに目を落とし、微笑んだ。
 通報は、カグヤ。
 不審者が売店近くの椅子で自分と同じように周囲をそれとなく見て、スマートフォンで文字を打っていた為、売店へ入り、遠目からディスプレイを見たら、恐らく当たりの文面を確認したと言うのだ。
 凄く真面目に、凄まじくアレな任務を遂行しているらしいが、カグヤはこちらも任務と躊躇はしていない。
「ご大層な名前をつけようと、覗き行為は犯罪……ヴィランズも誘拐事件を引き起こそうとしている今、見過ごしてはおけませんわ」
 颯爽と旅館入りした光、最初は囮も考えていたが、櫻子同様役得はバッチリ得た。
「囮の皆様、ありがとうございます」
 とても良い物を眺めさせてもらいました。
 そう言いたげな光とは対称的なレイア・メサイア(aa0114hero001)は、後方を見る。
「レイアちゃん達が頑張らないといけないですねぇっ」
 温泉が羨ましかったレイア、後で入っていいということなら、気合入れて頑張るだけ。
 無邪気にもそういう結論に達したレイアは光の言うように、直接的な会話も不用意な接触もアリスが弾き出した絶好のポイントまで避け続け、正体露見阻止には細心の注意を払っていた。
 不自然ではない程度の接触や偶然を装った事故などでも情報収集を重ね、今がある。
 ポイントを押さえる形で配置してある為、ここでの迎撃になるのだ。
 光は覗き論理でポイントを割り出したアリスへの感謝を文字チャットで送りつつ、近づく戦いの足音を感じていた。


「ターゲットA、Bとは何のことかのぅ」
 速やかに近づいたカグヤがそう囁くと、女性が素早くカグヤから間合いを取った。
「気をつけて、ヴィランズが動いていた為にエージェントが誘引されていた」
「そこまで見抜けるとは中々じゃが……」
 カグヤは事前に用意していた釣り糸を足元目掛け放つ。
 サイドステップで女は避け、素早く従業員通路へ飛び込もうとするが、能力者と非能力者ではスペックが違う。
「事態が動くぞ」
 カグヤは女を気絶させ、エージェント達へ連絡を飛ばした。

 さて、その頃の男湯。
「暑くなってきたのですが……」
「何かあったのか?」
「凄く嫌な予感がして……」
 レオンに気遣われた優牙は一旦湯船から出たいものの、出難い様子。
 彼らは、アリスの情熱を察したのだろう。
「何か騒がしくなってきた……?」
 クーが眠い目を擦っている。
「我は別に覗かれて困ることなし」
 楓が灯影の方向をちらっと見た後、湯船から出、近くの岩へ腰掛ける。
 寧ろ歓迎、存分に覗けと言わんばかりの雰囲気が、灯影への合図でもある。
「その位立派な尻尾があれば隠せるよな」
「隠す必要もなかろう。自信がないのか?」
「そんなことはない」
 ざっぱあ。
 羨ましがったレオンハルト、楓にからかわれて、勢い良く湯船から立ち上がった。
 入る直前まで涙を流したレオンハルト、優牙とクーを守るという謎決心を経て、成長したらしい。
「自信があるならば問題ないだろう」
「そういう問題じゃない! 蘿蔔によれば、あそこも怪……」
 楓にツッコミしたレオンハルト、何かいる気配を察した!
「お、俺のことは幾らでも見て良い……だからこの子達は……ッ」
「確保班の援護した方が良くない?」
 レオンハルトの後ろでクーが眠そうな声でツッコミした。
「そうか、ならば……」
 レオンハルトが桶を投げる直前、その声が耳に届いた。
「ターゲット認識出来ず。ターゲットと裸体パターンが異なる裸体しかいない模様」
 裸体パターンって何。
 レオンハルトは泣きながら、桶を投げた。
 飛び退く気配の直後、「覗き駄目ゼッタイ」という灯影の声と共に物音がし、それから静かになった。
「どれ、戯れてやろうぞ」
 楓がひょいひょいそちらへ歩いていく。
「責任取ってね、という奴だな」
 取り押さえられている男の前に堂々と立つ楓。
「安心しろ。我は傾国の妖狐だぞ? 覗きより病みつ……いっだ!?」
 話の途中でアリスに取り押さえを替わって貰った灯影が楓の耳を思いっきり引っ張っていた。
 その間に優牙が脱衣所からバスタオル持って来ていて、楓の裸体へバスタオルを巻きつける。 
「耳を引っ張るな、不敬! それにたおるは不要だろう!」
「話をややこしくするな。傾国のお狐様マジで男女見境ないとは……」
「傾国だからこそ下々には見せてはいけないと思いますっ」
 灯影と優牙の言葉を受けた楓は優牙の言葉には「なるほど。価値あるものを隠すのもまた一興」と納得したようだが、灯影へは「我の価値を分かっていない」とご立腹。
「気を強く持って」
 裸体パターンという単語に衝撃を受けて泣くレオンハルトを、クーがそっと慰めた。

 が、戦いはまだ終わってはいない。

「覗く為の仕掛けもしないとは……」
 宍影は見誤ったと呟く。
「兄上を特定出来る術がない……」
 麟も焦りを隠し切れない。
 構造上覗く為の仕掛けをすると踏んでいたが、彼らは優秀な能力を無駄遣いしているだけあり、ライブ、鏡やカメラなどでなく、己の網膜での記憶を重んじ、潜入戦を仕掛けてきたからだ。
「怪しい奴などいなかったのに……」
 麟も宍影も他のエージェントとは独自路線で情報収集していたが、怪しい人物を見つけるにも向こうが周囲を伺うこちらを警戒していれば、見つかることはない。
 そうして麟は宍影と共に迎撃するエージェントと合流したのだが、独自路線であった為に不利な状況というのは否めない。
「お姉さまは可愛い子の味方なのよねぇ」
「任務なら、別に同性が見ることもありますわね」
 櫻子がAONの女を取り押さえる一方、光もそう言いながら、伊邪那美の水鉄砲を回避したAONの女の首筋に一撃叩き込んで気絶させる。
 数が確認出来ていない状況では関節技で落としている場合ではないと判断を切り替えた形だ。
「覗くのではなく、あくまでも合法的に犯罪にならない程度にしませんと」
「潜入しなかったのは、退路確保なのか仕事人のプライドなのかよく分からないわねぇ」
 光へ櫻子が軽く肩を竦める。
「わーい! 当たったー!」
 伊邪那美の無邪気な声が響く。
 鳥もち罠を看破したAONの男の注意が一瞬逸れた瞬間を伊邪那美は見逃さず、当てたのだ。まぁ、流石に急所とはいかなかったが、それでも嬉しいものだ。
「ふふ~ん、ボクの裸体を拝もうなんて那由多早いよ」
「ナユタって何?」
「すごーく沢山って意味かな」
 プレシアの疑問に伊邪那美が薄い胸をどやっと張る。
「へー、すごーくたーくさんなんだー。あれ、男湯もまだ騒がしいね」
「まだいるのかなー」
「沢山……いるなんて……面倒……」
 咲雪はアリスがいない為完全にやる気ゼロモード。
 普通に温泉を楽しんでいる状態だが、アリスがその分頑張っているので安心してほしい。
「そういえば、魔女君ーは?」
「あ、本当だ、いない!」
「先に……護衛班に……合流……」
 構築の魔女はAONが引っ掛かったならばとヴィランズが動く可能性を考えてすぐさま護衛に合流すべく動いたそうだ。
 咲雪はそれを教えるという大任を果たしたとばかりにのんびり。
 その時だ。
「わー!?」
「緊急事態なので失礼する。わらわを気にせず歓談するといい」
「いや、そういう問題じゃないだろ!?」
 男湯から優牙とレオンハルトの混乱しまくった声が聞こえてくる。
「エージェントならば良いじゃろ」
「スマホ出すな、スマホ!!」
「我は構わんぞ」
「煽るな! ポーズ取るな!」
 カグヤへ反論するレオンハルト、それに構わず楓が許可を出し、灯影が外からツッコミしているようだが、水音と共に「やっと静かになってまた寝られそうだったのに」という反論と、カグヤの「仕事じゃ」という言葉で共鳴の想像がつき、ヴィランズが動いたことに気づく。
「こちらは今、5人目確保完了って所……こちらはお任せください。共鳴がなければきついでしょう」
「お願いね。あ、6人目」
 光に応じた櫻子が麟と宍影が6人目を確保しているのを確認し、旅館へ戻る。
「悪い子にはぁ、お仕置きしないと駄目なんですぅ」
 気合十分のレイアが音もなく逃げようとしたAONへ気づき、素早く駆け寄ってタックル。
 やり過ぎ注意の観点からやる気漲る一撃で黙らせると、あちらではアリスが咲雪の分まで頑張って8人目を確保した。
 押収したスマートフォンより、AONは今回8人で動いていたと判明、彼らは全員逮捕される。
 尚、麟の兄はこの8人にはおらず、麟が問い詰めようとも彼らは麟の勘が当たっているかどうかさえも沈黙を守って教えようとはしなかった。


 構築の魔女が駆けつけた時には、通路では応戦が始まっていた。
 落児が護衛優先とした上でダメージは与えずとも押し戻す方法を構築の魔女準備のテキストで提案していた為、恭也とシンシアが通路の幅を活かした遅滞戦闘に入っている。
「援護します!」
「ありがとうございます」
 十架と共鳴した高音が怒涛乱舞で怯ませている間に構築の魔女は防衛ラインへ到達、落児と共鳴した。
「窓側の奇襲の可能性を考えて、蘿蔔さんが待機してくださってます」
「交代してきます。そこまで到達されたら危険です」
 落児が高音へ応じ、部屋へ飛び込むと、カグヤが到着したらしく、バックアタックに入ったようだ。
「チラリズムを理解せんとは……分かっておらんのじゃ!」
(『そういうものなのでしょうか?』 ロローーー……ロロロロ)
 カグヤのダメ出しに主導を務める構築の魔女が首を傾げると、落児から返答がある。
(『興味深い見解ですね』)
 何を持って興味深いと評したのかは、落児と意思疎通が可能な構築の魔女のみが知っている。

 さて、カグヤが浴衣チラリキックでまずは後方にいたジャックポットを倒しにかかる。
 バックアタックで虚を衝かれていた彼らは、すぐさま立て直してきた。
「共鳴しているエージェントを優先させろ!」
「頭は悪くないようだな」
 恭也が分析しながらも手にしているのは、意外にも旅館から借りていたテーブルクロスだ。
 その道の人である恭也は時間を稼ぐ方法をちゃんと知っており、タオルに見せかけて折り畳んでいたそれを広げ、ダメージは与えずとも彼らの視界を纏めて遮る形で時間を稼いでいた。
 やはりその道の人であるシンシアもその視界が遮られた足元を逃さず、空のペットボトルを転がして体勢を崩すということで時間稼ぎの方針だ。
 彼らは共鳴しており、今の自分達では彼らへの有効打は厳しいと踏んでのことだ。
「とうちゃーく!」
「間に合いましたね」
 伊邪那美がプレシアと共鳴したらしい優牙の援護を受けて恭也へ駆けつけた。
 レオンハルトに脇を駆け抜けさせた後、即共鳴した恭也はすぐさま攻撃へ。
「さあ、反撃を開始させて貰おうか」
 登録されているエージェントの中でも地力が高いと言われる恭也が攻撃に転じれば、正直、彼らレベルで押さえられるものではない。
「遅い! 破廉恥なことを続行させていたのではあるまいな!」
 シンシアがやっと到着した櫻子へ柳眉を上げる。
「してないわよ。綺麗なロリコンだもの」
「信用ならん」
 そう言いながらも、櫻子とシンシアも共鳴。
 十分に人がいると判断し、櫻子も部屋へ取って返す。
「通路ですし、人目を気にした方が良さそうですわね」
 レイアと共鳴した光が優牙と連携して、バトルメディックの無力化を急務とする。
「ま、使うまでもない相手でもありそうだな」
 楓と共鳴している灯影は、楓主導、楓の言葉でタックルした優牙を狙おうとしたジャックポットをクリスタルファンで張り倒した。
 この時には恭也がドレッドノートとブレイブナイトを沈めており、優牙のタックルで身動き取れないバトルメディックを光が気絶させている。
「大して強くないから、こういう動きで誘拐を目論んでおったのじゃろうがな?」
 自身が相手にしていたジャックポット、宍影と共鳴した麟が攻撃していたバトルメディックを巻き込み、カグヤがセーフティガスで彼らを無力化。
「簡単に動きが露見するような連中だ、バックも大したことはないだろうな」
 恭也が会話をする余裕を見せつつ、ソフィスビショップも沈黙させた。

 一方、部屋も窓側からの襲撃を受けていた。
 が、夫人と孫達を安全確認が取れていたクローゼットの中へ蘿蔔が有事を考慮して側にいる落児と共に迅速に避難させ、櫻子と高音がシャドウルーカーであるヴィラン2人を対応した。
 櫻子と高音がシャドウルーカーを1人取り押さえに成功していると、取って返した恭也が逃げようとしたシャドウルーカーを確保に成功。
 情報と一致する10人全員確保となった。
「ご無事ですか?」
「ええ、無事よ。ありがとう」
「こ、こちらこそ、あり、がとうございます!」
 話している内にいつもに戻った蘿蔔は既に共鳴解除していたレオンハルトの後ろへ飛び込む。
 が、レオンハルトのテンションが低い。
「……私も泣いてるレオン、見たかったです」
「泣いてねえし!」
「本当に?」
「……それより、お前の方こそ大丈夫だったの?」
 微妙に目を逸らしたレオンハルト、蘿蔔も同じように微妙に目を逸らした。
「はい、余裕でした」


「もう、ここを覗こうとする女性陣もいまい」
 恭也は任務が終わった手足を伸ばしながら、安堵の呟きを漏らす。
 年寄り方向に偏っているが、彼だってお年頃の若者なのだ、覗かれたくない心理は当然としてある。
「……そうか、もしかしたら二重だったかもしれないということか」
「どうかしたのか?」
「聞かないであげてほしいな」
 恭也はレオンハルトの様子に首を傾げるが、真実を知る灯影はほろりと涙を拭う仕草。
「それより、貴様はもう少し鍛えたらどうだ。貧弱なのも考え物だぞ」
「こっちはやっとお待ちかねの温泉なのに、お前またって変な所触らないでくださいます!?」
「腹筋位減らないだろうが」
 灯影の反論を楓は尻尾でばしゃんと湯面を叩いて黙らせる。
「お風呂でももふもふ尻尾ってすげえ」
「しっとりな毛並みも悪くなかろう」
「お手入れしているんですか?」
 灯影へ得意げに笑う楓に優牙が質問してみる。
 光から温泉入り直しの提案を受けた優牙、共鳴解除を忘れかけ、慌てて解除して入浴している。
「我の尻尾は生まれた時から立派だが、けあもちゃんとしている」
「ケア……黄楊の櫛で梳かす位しか分からんな」
「ああ、黄楊の櫛は椿油で手入れもするし、良さそうだな」
 宍影が漏らした言葉に恭也が反応。
 黄楊の櫛が分からない面々へ説明しだす。
「ロロー……」
 クーの湯面ダイブを阻止する落児がレオンハルトへ宥めの言葉を掛ける。
 が、二重に見られた疑惑(そしてそれは正しい)のレオンハルトは、ちょっと白くなっていて、気づいていなかった。

「さぁ、髪を洗わせるがよい」
「お願いします」
「ありがとう……カグヤ」
 カグヤが高音と十架へ憧れていたからやってみたいと髪の毛を洗ってあげていた。
「身体はお姉さまに任せてね、十架ちゃんっ!」
 こくこく頷く十架へ声を掛けているのは、言うまでもなく櫻子。
 シンシアのコメカミの痙攣具合が半端ない。
「やはり貴様には介錯が必要なようだな。このロリコン! 今日という今日は破廉恥罪を断ってやる!」
「シンシアも……洗って貰う? それなら……お揃い、だわ……」
 十架がシンシアも羨ましいと思ったらしく、一緒に洗って貰おうと言い出す。
 断り切れなかったシンシアは介錯ではなく、何故か櫻子に身体を洗われることに。
「良い汗をかきましたよね~」
「ええ。刃傷沙汰にもなりませんでしたし、皆様守れましたものね」
 レイアへ光が微笑みを向ける。
 が、エロ魔神の称号は伊達ではない。
(混浴でないのが残念でしたね)
 勿論役得ゲットしているのだが、見ていない人だっているし。
 でも──
「はぁ、今日は良いものも見れましたし満足ですわ♪」
「わぁーい、広いお風呂なのですぅ♪気持ち良いのですぅ♪」
 行き着く所はどこだと光がほっとして言うと、レイアも嬉しそうに手足を伸ばす。
 その前を伊邪那美とプレシアが泳いで横切る。
「楽しそうですねぇ♪ レイアちゃんもやりますぅ♪」
 レイアも加わり、温泉をばしゃばしゃ泳ぐ。
 と、蘿蔔が咲雪や自分を見ていることに気づく。
(これから実りますわ)
 ムッツリスケベの光、そうとは見せぬ微笑を蘿蔔へ向けた。
 蘿蔔は途端に動揺し、ぺこぺこ頭を下げてくる。
(スタイルいいなぁって見ていたのがバレたっ)
 恥ずかしくて顔真っ赤の蘿蔔は光の内心なんて知らない。
 麟はそんな光景を見ながらも、確信を抱いた手がかりが白紙に戻り、(兄上はどこにいるのか)と溜息をついた。

「手配もスムーズに進んで良かったです」
 構築の魔女はAONの手配を請け負ったアリスへ礼を言った。
「あらゆる箇所の警戒は必要でしたから」
 アリスはそんな澄ました顔で言っているが、ここにはいない灯影が「……おっと、私としたことが……仕事、そう真面目に仕事しないといけないわね」という言葉をじゅるりという擬音と共に聞いている事実があったりする。
「辺是も怖がられずに済んだようでほっとしましたし」
 人見知り2名は勿論人見知りはされたが、他の人同様の人見知り具合だったらしく、構築の魔女としてはそこもほっとした。
「……手間……だった……」
「何もしてませんでしたよね?」
 自分と分かれていた為に囮専念の名目でのんびりしていた咲雪へアリスが呆れ顔をしたのは言うまでもない。

「おお~、良く判んないけどこの椅子は何か気持ちが良いね」
「マッサージチェアじゃ。気持ち良かろう。クーはこの通りもう寝ておる」
 伊邪那美がマッサージチェアを実感していると、カグヤが隣のクーを指し示す。
「重いと……肩凝る……」
 咲雪もマッサージチェアへ。
 年頃の恭也は若干コメントに困ったが、伊邪那美がフルーツ牛乳の次はアイスを食べていることに気づく。
「腹を壊さんのだろうか?」
「大丈夫じゃないでしょうか」
 恭也の呟きを拾った構築の魔女が微笑む。
 見ると、構築の魔女の隣の落児も牛乳を飲んでいる。
 が、その奥に見えるアリスが何か熱心にスマートフォンを打ち込んでいるのを見た恭也は訳もない寒気を感じたので牛乳を飲むのは止めた。

 湯煙の向こう……そこには多くの悲喜が見える。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 魅惑のパイスラ
    佐藤 咲雪aa0040
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535

重体一覧

参加者

  • 魅惑のパイスラ
    佐藤 咲雪aa0040
    機械|15才|女性|回避
  • 貴腐人
    アリスaa0040hero001
    英雄|18才|女性|シャド
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
    レイア・メサイアaa0114hero001
    英雄|12才|女性|バト
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • ショタっぱい
    狼谷・優牙aa0131
    人間|10才|男性|攻撃
  • 元気なモデル見習い
    プレシア・レイニーフォードaa0131hero001
    英雄|10才|男性|ジャ
  • 美食を捧げし主夫
    会津 灯影aa0273
    人間|24才|男性|回避
  • 極上もふもふ
    aa0273hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 捕獲せし者
    骸 麟aa1166
    人間|19才|女性|回避
  • 迷名マスター
    宍影aa1166hero001
    英雄|40才|男性|シャド
  • あたしがロリ少女だ!
    風深 櫻子aa1704
    人間|28才|女性|命中
  • メイド騎士
    シンシア リリエンソールaa1704hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
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