本部
赦されない懺悔と地下墓地迷宮の白骨
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/26 22:00
- 完成予定
- 2015/12/05 22:00
掲示板
-
偽聖職者と白骨の焙り出し研究所
最終発言2015/11/26 21:47:32 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/24 20:21:47
オープニング
●ゆるしの秘跡
花の都パリ。そこには、観光スポット以外にも、歴史的な建物が数多建ち並んでいる。
ここは、何世紀も前に建てられたと思しき石造りのとある教会。とはいえ、観光客など訪れない、町のどこにでもあるありふれた教会である。その教会の奥には、「ゆるしの秘跡」を行うための小部屋があった。「ゆるしの秘跡」、つまりは信者が懺悔をして神の許しを請うための場である。
教会の聖堂の中にあるが、他の人の目に触れないよう、小部屋として区切られ、告解を聞く聖職者のいる部屋と告解する信者の間も、お互い顔が見えないよう格子によって区切られている。
「どうぞ、お話しください。神はすべての神の子の罪をお赦しくださいますよ」
穏やかな声で、男性の聖職者は話しかける。
信者は、その声に促されたように罪を告白し始めた。
「実は、今付き合っている男性のことなのですが……。親友が好きだとわかっていたのにも関わらず、私から告白して恋人になってしまったのです。そのことが苦しくて……」
「大丈夫です、神の御前ではみな平等に神の子、赦しを請えば赦してくださいますよ」
「ああ、神よ。わたしの罪を取り去り、どうか洗い清めてください」
聖職者は答える。
「神は、あなたの罪を赦します。さあ、安心してお行きなさい。地下墓地(カタコンブ)へ」
「は?」
女性は一瞬戸惑った。
これまで、「ゆるしの秘跡」の後に、地下墓地へ行きなさいと指示されたことなどなかったからだ。それに、パリ市街の地下に600万体の白骨が安置される共同墓地があり博物館として公開もされていることは市民なら誰でも知っていることだが、その入り口はこの教会の近くではなかったはずだ。それとも、公開されていない地下墓地の入り口がこの教会近くにあるのだろうか。なにしろ、パリの地下には300kmに及ぶ地下通路があるのだから。
いずれにせよ、教会がそのように指示するなら、そうすべきなのだろう。
女性が告解室を出ると、足下まで届く長く黒いスータンを纏った聖職者が立っており、俯いたまま、女性に火の点いたロウソクを渡す。
「こちらへ」
先ほど告解を聞いてくれた聖職者より、少し高いトーンの声で女性に指示をする。
俯いたままの聖職者に導かれるように、女性は教会の外へ出た。聖職者の後に従って歩いてしばらくすると、小さな目立たない石造りの階段が女性の目に写る。今まで気付かなかっただけなのか、ここが地下墓地への入り口だった。
「どうぞ」
ここから先は一人で、ということだろう。女性は、地下墓地へと続く階段を降りて行った。
●赦さぬ白骨
薄暗い階段を降りて行くと、カビの臭いがツンと鼻を突く。もちろん、白骨なのだからカビの臭いだけではないだろう。
『止まれ! ここが死の帝国である』(Arrête! C'est ici l'empire de la Mort)という碑が、先に行くことを躊躇させる。しかし、これは聖職者に指示された「ゆるしの秘跡」の儀式なのだ。甘んじて受けねばなるまい。女性は、勇気を振り絞って狭い螺旋階段を一段ずつ降りて行った。メトロの階段よりも、はるか下まで降りただろう、というところで地面はようやく平らになる。ところどころに灯りはあるもののあまりの薄暗さに、女性は躓いてしまった。
「あっ!」
思わず掴まった壁はもろく、欠片が床に落ちた。壁を触った指先に違和感が走る。
「ほ……ね……?」
ロウソクで照らした先に落ちているのは骨片。そして、壁を埋めるのは無数の骸骨。
そう、ここは共同墓地なのだ。
女性の周囲の壁は、右も左もすべて骸骨で埋め尽くされている。
「ひっ」
一瞬、声を上げたが、ここは納骨堂。悲鳴を上げるのは無礼であると、女性は口を抑えた。
しかし。
女性は、今度は悲鳴をこらえることができなかった。
ガラガラと音を立てて壁から白骨が飛び出ると同時に、人体標本のように骨だけで人の形を作る。それが、女性の周りに5体はいるだろうか。
そして、女性の周りで白骨たちは騒ぎ出す。
「おまえはなんて汚い心の持ち主なんだ!」
「ひどいわ、私のことを裏切って親友面していたのね!」
彼と親友の声で、白骨は女性を責める。
他の白骨がさらに女性を叱責する。
「神は赦しても、愚神はお前の行いを赦さないだろう。お前は死刑だ!」
と。
女性はそのまま、そこで気を失った。
●消える市民
パリ警視庁。とある警部は、捜査ファイルを前に腕組みをしたまま考え込んでいた。
今日の昼前に届いた捜索願を含めると、全部で5件。しかし、一人暮らしの世帯も多いことから、実際の被害者は5人ですまないだろう、と予想している。
5件の捜索願を提出した家族のうち、3家族は「『Q教会に行く』と行って外出してから家族が帰って来ない」と証言している。先日の白いワニ型の従魔の被害と言い、今回も何らかの愚神か従魔が絡んでいるのではないか。能力者である警部はそう睨んでいた。
しかし、愚神が絡んだ事件と断定できない段階で、パリ警視庁に詰めているすべての能力者の刑事をこの捜査だけに駆り出すことは、他の地区で事件が起きたときのリスクを考えると危険すぎる。
そう悩んでいたとき、警部の携帯電話が鳴った。スマートフォンの画面には、「Sara Aoyagi」の文字が表示されている。
「アロー」
通話ボタンをタップすると、いつも通りの色っぽい女性の声が聞こえてきた。H.O.P.E.のエージェントであるヴィクター・ライト (az0022)の英雄、青柳沙羅(az0022hero001)だ。
「地下墓地の件で悩んでいるのか?」
「な、なぜそれが!?」
「あたしは、占い師。何でもお見通しだって忘れたのか? フフフ」
「しかし……」
「悪いことは言わない、この捜査、甘く見ないでH.O.P.E.との共同捜査にすることだ。愚神退治に加え、迷いそうな地下墓地での白骨従魔との闘い、さらに被害者の救出。警視庁の能力者だけで対処できると本気で思っているのか? ただ、自殺したいなら止めはしないぞ、ククク」
沙羅との通話を終えた警部は、溜息を吐きながらH.O.P.E.へのナンバーをコールした。
解説
●目標
地下墓地捜索、白骨型従魔を殲滅。生存者保護。事件の黒幕と考えられる愚神も退治。
●登場
デクリオ級愚神 偽りの聖職者×2
信者の告解を聞き地下墓地へ行くことを指示する聖職者と地下墓地に案内する聖職者がいる。本物の聖職者が愚神と誓約したのか、本物の聖職者に成り代わったのか不明。聖書やロウソクしか手にしていないため、魔法攻撃の可能性が大。ただし、信者の前で見せている姿が真の姿とは限らない。
ミーレス級従魔 ガイコツ×5
パリの地下墓地に納骨された白骨を依り代とした従魔。女性が気を失ったところから察するに、精神的BSを与えて気絶させライヴスを奪うようだ。
被害者×10
地下に引き込まれて24時間以内なのは、昼前に捜索願が出された女性のみ。ライヴスを吸い尽くされていなければ生存している可能性がある。また、以前に行方不明になった中で、生存している被害者がいるなら奪還を。
●時間
午後。
●場所
教会の聖堂内部は、入り口から祭壇までの距離が約10m。身廊の左右に、木でできたベンチが配置されている。奥の方に告解室があり、聖職者たちが執務を行う部屋は、聖堂の裏(奥)。
パリ地下墓地の一部は博物館として公開されているが、今回捜索して欲しい地下墓地は一般人の立ち入りが禁止されている。地下墓地へ通じる複数の入り口のほとんどはレンガで塞がれているはずだが、今回はそれを愚神が開いたと予想される。
深さはメトロより深い地下30m。気温は1年通じて約12.7度、真夏でも14度までしか上がらない。公開されている地下墓地は約1.7km、通路の高さはおよそ1.5〜2mでその壁全面に白骨が埋まる。通路の高さは公開されている地下墓地を参考にできるだろう。
今回は教会近くの入り口から地下へ侵入し、その周囲3km四方内を捜索。灯りはところどころにしかなく暗い。また、通路はまっすぐではなく曲がり角も多数、脇道もあるようだ。
マスターより
こんにちは。前回の下水道のワニ型従魔に続き、今回は地下墓地でガイコツです。ただ、今回はダンジョン内だけではなく、教会にも敵がいるようですよ。フィクションの世界では、思いっきり悪者をコテンパンにして平和なパリの町を保ちたいものです。
NPCヴィクター・ライトと彼の英雄である青柳沙羅は、PCと共に戦闘に参加します。彼らに任せたい行動は、プレイングの中で指示してください。また、パリ市警との合同捜査になりますので、能力者警部にも任せたい行動があればプレイングで指示してください。よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2015/12/04 19:34
参加者
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偽聖職者と白骨の焙り出し研究所
最終発言2015/11/26 21:47:32 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/24 20:21:47