本部

戦闘

ローマ帝国のサラブレッド ヴァンピーロ!

ふーもん

形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
参加費
1,300
参加人数
能力者
1人 / 4~8人
英雄
1人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/12/23 15:00
完成予定
2019/01/01 15:00

掲示板

オープニング


 イタリアの繁華街。その路地裏にあるとある地下のホール。
「……フン! そうか。やはりオーパーツは奴等の手に……分かった。後は俺が自力で何とかする」
 男は携帯電話の受話器を切り、気怠そうに黒い牛革のソファーに両肘を付き天井を仰ぐ。
「……あー。誰か強い酒を持って来てくれ。バーボンでも良い。とにかく強い酒をくれ」
 その男の名は通称『ヴァンピーロ』――イタリア語で吸血鬼を意味するが、本人曰く実名は無いと言う。
 男、『ヴァンピーロ』の気質はやる気が無いあるいは自堕落、だらしないと数え上げたらキリが無い。実名は無いと本人は主張しているがそれも嘘だろう。
 彼の性格からして単に忘れただけか……はたまた忘れたふりをしているのか? 誰も知らない所が却って不気味だ。
 男『ヴァンピーロ』は部下が持ってきたバーボンを呷った。
 そこでは、軽いダンスショーが行われていた。ミラーボールが天井の中央部に設置されていてその下で男と女達が軽やかなステップで楽しそうにはしゃいでいる。
 かつての日本で言えば、ディスコ。現代で言えばクラブ。広い地下室では様々な光が反射している。
 中二階にあたるロフトでその光景を見ていた『ヴァンピーロ』の一味。
 ――そう。彼等は『とある事件』に関与しているヴィランズであり、吸血鬼事『ヴァンピーロ』はその頭領なのだ。
 そんな時だった。
 いきなり地下ホールへと続く扉がドカンと豪快に蹴り上げられ、幾つもの錠前と鎖が外された。
 そう。ここは特別会員制の者達だけに与えられた神聖な場所。
 所謂秘密のVIP待遇――と言った所か。
「ヴィランズ『ヴァンピーロ』一味! こちらはH.O.P.E.東京海上支部の者だ! 訳あって貴様等の身柄を拘束する!」
 先程まで踊っていた若い男女達が悲鳴を上げて地下室の階段を駆け上がっていく。
 ――皆さま。お待ち下さい。ここからが本日最後のショーとなります――
「何だ?」H.O.P.E.職員は思わず怪訝な顔をしてAGWを構える手を緩めた。
 その声は先程までのダンスショーのバックミュージックに使われていたホールの四隅の天井に吊るされているスピーカーから流れてきた。
 もちろんイタリア語だ。そして、ピタリと逃げ惑っていた男女達の足が止まる。
 ――はてさて突然やって来たH.O.P.E.東京海上支部の職員様VS我らがイタリアのヴィランズ率いるローマ帝国領の血を引く男『ヴァンピーロ』一味……勝つのはどちらか!?――
 逃げ惑っていたまだ年若い男女達の顔が一斉にその注目の的となったヴィランズ『ヴァンピーロ』一味とH.O.P.E.職員達の方へぐるりと回った。
 その眼はとてもさっきまで楽しくダンスを踊っている者達の目とは思えない歪んだ感情で支配されていた。
 彼等は既に薬物を混入されていたのだ。食べ物や酒に。
 そして1歩、また1歩と少しずつ少しずつH.O.P.E.職員の元へと歩み寄ってくる。
「――な、何だ!? お前等は! 離せ! 自分達のしている事が分かっているのか!?」
 しかし薬をやらされている彼等にその声が届くはずもない。
 そもそもここは異国の地。かつてローマ帝国が栄えていた日本とは全く別の文化が根強く残っている。
 しかも日本語では話自体が通じない。
 そして、我らがH.O.P.E.職員が中二階に位置するロフトで未だ酒を呷り天井を見上げている『ヴァンピーロ』の前まで辿り着く前に――
 ――事態は終息を迎えていた。


 H.O.P.E.東京海上支部は予想外の混乱に陥っていた。
 今現在、緊急会議。ミーティングが開かれている。そこのディスプレイに映っているのは――1匹の魚。
 元来イタリアンマフィアやカモッラ等の組織がその敵対している組織である者を始末した際にプレゼントとして贈るのがその例の画面に映し出されている魚だった。
 つまり、『ヴァンピーロ』一味の元へ取り締まりに行ったリンカー達は既にこの世にいない。
 1匹の魚がそれを如実に物語っていた。
 彼等が欲しているのは今、ここにあるオーパーツ。厳密に言えばアフリカ合衆国のアレキサンドリア支部から秘密裏に輸送されてきた代物だ。
 それはこれ以上アフリカを混乱の渦中に陥れない為の苦肉の策だった。
「――それで? 『ヴァンピーロ』一味の要求は?」
「やはり今ここにあるオーパーツ以外に有り得ないですね」
「そうじゃなくてどうやって奴等からオーパーツを守ろうかって言う話だよ!」
 H.O.P.E.東京海上支部の緊急会議が徐々に険悪な雰囲気になっている最中、しかし話はまだ終わらなかった。
「彼等『ヴァンピーロ』一味なるヴィランズから送られてきたのは何も1匹の魚だけではありません。皆さまこれをご覧下さい」
 H.O.P.E.東京海上支部の職員達の視線が一斉にディスプレイに釘付けになる。
「――これは手紙?」
「そうです。更に拡大すると……」
 インテリ眼鏡を掛けた女性職員は手に持っていたタブレットを操作し、綴られている文章を目に見える形にした。
 そこに書かれているのはイタリア語ではなく――日本語だった。

 ――憎きクシュ王国の女王『ファナ』と王子『ミケル』に捧げる……。まだ我々が生まれる以前の遥か昔。アフリカ大陸のクシュ王国と紀元前1世紀にメロエに進軍したかつてのローマ帝国は今ここに復活すると。そしてその当時アフリカ全土を覆った『光』――オーパーツは必ず現代の我等が手中に収まる。H.O.P.E.よ! 今こそ決着を付ける時! 『名もなき戦争』を始めようではないか! サン=ピエトロ大聖堂で待つ――

「恐らく、我々の同胞にこれを書かせたのでしょう」
「そしてその後に始末された――か」
 こうして決戦の扉は開かれた。

解説

● 久々のバトル展開! しかもシリーズ物最後の決戦! 『ヴァンピーロ』一味との戦いは次の様になっています。

 ・サン=ピエトロ大聖堂には4つの区画があります↓
 『北』(大聖堂本棟)『北東』(システィナ礼拝堂)『南東』(ヴァチカン宮殿)『南』(サン=ピエトロ広場)
 ・まず『南』にあるサン=ピエトロ広場から入っていくのが常套手段です。けれど、当然ですが各地に罠が仕掛けられています。
 ・OPに出てきた『ヴァンピーロ』は人心術の達人です。強大なライヴスこそ持っていませんが、マインドコントロールでそれを補っています。
 ・『罠』の種類――A.予め薬を売り付けた一般人観光客(気絶や昏倒させる眠らせる事で対処)
          B.ヴァチカンの衛兵(赤青黄の衣装を着ていて槍も持っている)←事情をよく知っていないもしくは『ヴァンピーロ』に騙されている。説得は困難。
          C.施設のあちこちにスピーカーが配置されていて、一度気絶等させた薬物使用者達に戦いを喚起させる(バロック式の高い場所や絵画、彫像等に隠されている)
          D.一般人に扮した『ヴァンピーロ』の配下達(当然、ライヴスを駆使するので何らかの見極める対策が必要)
          E.サン=ピエトロ大聖堂の最奥に行っても『ヴァンピーロ』が大人しく待っている筈がありません(ただ、彼はかなりの物臭で近付くと酒と煙草の臭いに満ちています。それを頼りに探してみるのもアリです)
 ・世界文化遺産である大聖堂を破壊する事は許されません。出来るだけ慎重に事を運びましょう。
 ・因みに従魔、愚神の類は出てきません。
 ※(補足)前回の終わりに出てきた例の『あの人』とは『ヴァンピーロ』で間違いありません。

 まあ、ざっとこんな感じです。
 我こそは優秀なリンカーである! と自負する方、参加お待ちしております!

マスターより

冬に入りました。メッチャ寒いです。ふーもんです。宜しくお願いします。

参加受付中 プレイング締切日時 2018/12/23 15:00


参加にはSC1,300が必要です。

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