本部
広告塔の少女~魂燃やした歌~
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~12人
- 英雄
- 5人 / 0~12人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2018/09/09 19:00
- 完成予定
- 2018/09/18 19:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/09/09 18:23:04
オープニング
● 炎消ゆ
赤原光夜はスタジオに向かっていた。今日は自主練習がてらECCOに頼まれた曲のアレンジを行う予定だった。
耳にはイヤホン、そこから流れてくるのはECCOが紡いだメロディー。
相変らず甘っちょろい旋律だ。
そう思いながらもわくわくを抑えきれない赤原は歌詞を想像しながら鼻歌を歌い。
その扉を開いた。
その隙間からただよう錆臭さに気が付かずに。
「遅かったではないか」
そう告げたのは水晶の乙女。赤原は凍りついた。
リンカーではない赤原ですらその愚神の名前は知っていたから。
終末を奏でる者、ガデンツァ。
水晶の歌姫が赤原のスタジオで椅子に座りその訪れを待っていた。
「久方ぶりじゃなぁ、赤原よ」
「ガデンツァ……」
赤原は苦々しげな表情を見せた。
「最終勧告か? よく姿を現せたな、ここはH.O.P.E.の警備でガチガチなはずなんだが」
「グロリア社の警備も破ることができた我じゃぞ、ぞうさもない」
「そうか」
その時赤原は部屋の奥に横たわる何かを見る。足だ。その足を飾るのは先日メンバーが自慢していたプレミアものの……。
「てめぇ! 仲間にはてぇ出さねぇって話だろうが」
詰め寄ろうとする赤原。その赤原に指先を向けて歩みを止めさせる。
「どういうつもりだ?」
「軍門に下れ、お主の力を我が有効に活用してやろう」
しばしのにらみ合い。しかし先に口を開いたのはガデンツァの方だった。
「拒否権はない」
「ずいぶん余裕がないじゃねぇか、追い詰められたな?」
「…………」
「何のために俺の力を欲する?」
「無論世界を壊すため」
「お前、歌は好きか?」
「なに?」
「歌が好きかって聞いてんだよ。すきだろ? 謳いてぇんだろ?」
「…………歌こそわが正体。すきも嫌いも」
「じゃあ、お前は世界を滅ぼしたくないんだな?」
「なに?」
「うたってのはよ。心と心を繋ぐためにあるもんだ。逆に言えばそれしかできねぇ、いつだって何かを壊すのは人間かそれに類するなにかだぜ。歌であるお前に世界を壊せるわけがあるかよ」
「……御主の意見はよい、ただ黙って我に……」
「お前の魂に歌はあるかよ」
ガデンツァは押し問答に嫌気がさして、ピクリと目尻を揺らした。
「お前は何のために謳うんだよ」
「わらわの目的こそ世界を滅ぼすことよ、それ以外に……」
その時ガデンツァの言葉を赤原が鼻で笑った。
「はっ! お笑い草だな」
その時、赤原はふらつくように寄りかかり、デスクの上のキーボードに手をかけた。
「みてろよ」
そう赤原は天上のどこかをむいてキーボードのボタンを押した。
静かに何かが動き出す。
「お前は歌が嫌いなんだ、よくわかったぜ」
ガデンツァが目を見開く。
「だから自分のこともいつまでも好きになれねぇ、歌はお前自身だもんな、だったらお前はお前が嫌いなはずだ」
「だまれ」
ガデンツァは霞むような声で告げる。その視線はぐらつき、ガデンツァは椅子に手をついた。
「お前が自分の歌で、世界をとりてぇ、そう思うなら協力してやっても良かったさ。俺が協力したところで俺のダチがお前を止める。絶対にな」
「黙れ」
ガデンツァの瞳が燃え上がる。
赤原のダチ。それはガデンツァのよく知る人物たちだったから。
「だがな、御前には矜持が無い、信念が無い。世界の破壊? 笑わすぜ。お前が一番望んでねぇことを目標に掲げるんじゃねぇよ。ガキの使いじゃねぇんだ!」
「王のため、王にこの世界を献上するためじゃ! その目的のためならば」
「本性だしやがったな! 舐めんな! 俺のダチはな、みんな血反吐吐いて大切なもののために頑張ってんだ。王様だか何だかしらねぇがよ。誰かに言われて、不平たらたらで何かやったところでうまくいくわけねぇだろうが、このポンコツが」
ガデンツァは歯を食いしばり立ち上がる。赤原の喉元をすべらかな指で捕えてそして締め上げた。
「お主、遺言はあるかの?」
「友達に、一言」
「ほう?」
「……」
その時、スタジオに耳をふさぎたくなるような轟音が響いた。
次の瞬間赤原は全身から血をふきだしてそして。
「大したもんじゃねぇかよ、歌ってやつぁよ」
指を放したその体が地面に沈む。
「よい、人など取り込もうとした我が、愚かじゃった」
次の瞬間、悲鳴のような金切り声を鳴らして部屋中のガラスや機器を粉砕する。
地団太を踏んで空にとどけるように叫んだ。
「わらわは! 違う、傀儡でもなくば、終末を導くもの、数多の世界をこの手で。こわし……そして。何のために、わらわは世界を滅ぼそうと」
廊下の向こうが騒がしい、ガデンツァは誰かがこちらに向かってくることを知った。
当然だろう。いきなり都心ど真ん中で霊力が増幅したのだH.O.P.E.が来るに決まっている。
「わらわは一人で戦う」
告げるとガデンツァは通気口を通って外へ。
「わらわは一人で」
そして皆は一部始終をこのテープで確認することになる。
それはガデンツァへの最後の切り札。希望の音~H.O.P.E.~を完成させようと発足した会議途中に起きた出来事だった。
● 希望を想像する。
前回TRVから持ち出された資料の解析作業がグロリア社で済んだ。
エリザの協力、そして以前からの資料の積み立てもあり。
グロリア社で科学的に旋律を合成することに成功する。
「これがガデンツァの歌に対する対抗策」
ガデンツァの歌、心を砕くという最終兵器に対してそれを無効化する手段を有したリンカーたち。
ただ、その歌を謳うには歌詞が無かった。
「歌詞が無いのはまずいわね」
遙華は語る。
「この歌はガデンツァの技術、心を震わせる技術を利用して。心をあり方を常に変質させることでガデンツァに心を破壊させないようにする詩。けれど、歌詞が無ければ人々に届かない」
これは二人で謳う歌。
お互い呼び合うように謳う歌。
希望の音~H.O.P.E.~その歓声のための歌詞会議に君たちは呼び出されている。
「今回は歌詞を双パートに分けてるの、Aメロ、Bメロはこんな感じ」
A
A この手は何を求めてる 夢に触れている
B 星のオーケストラ
AB 目指した確かなもの探して。さぁ走り出そう
A 君と絆結び 描く希望の物語
B 歌え 絆 繋ぐ 喜びの物語を
A 僕が 僕らしく
B 君が君らしく
A 君と絆信じ 選ぶ奇跡の言葉を
B 望め 絆 望み 約束の言葉
サビ……
「サビが思いつかないの、何なら二番もCメロも。みんなで考えてほしいの」
皆には今回キーワード集めを行ってほしい。
サビを作るのが難しいならキーワードを見つけに行ってもいい。
交友を結んだだれかや、いなくなってしまった人の想いを重ねて。
絶望を撃ち砕く希望を作ろう。
そう遙華が告げた時だった。
電話がなる、遙華は受話器を取った。
「赤原さんが……」
そう遙華は言葉を区切る。
解説
目標 今回は皆さんにガデンツァの歌を阻止するための歌を完成させる。
● 歌について。
ただ歌にはどんな思いを込めるかが重要です。
というのがこの歌の仕組みは、あらかじめリンカーたちの歌で聞く者の心を震わせて心の性質を変化させ、ガデンツァの歌の干渉を拒もうという理論です。
おそらくこのシナリオに参加される皆さんはこの歌を謳うのでしょう。
この歌を聴く人にはどんな思いを抱いてほしいですか。
先ずそれが重要です。
そして今回は皆さんに、ワードクリスタルというものが与えられます。
これは霊力を空にした霊石で、霊力を音波として記録する力があります。
これを手に、思いや歌詞を込めてほしい人のところに行ってほしいのです。
これまでの戦い多くのことがあったでしょう。
その振り返りのためにも、ガデンツァとの決着に必要だと思う人物の言葉や願いをきいてきてほしいのです。
そこから歌詞を作ります。
● 現場検証、彼の残した言葉。
君たちは音楽施設で異常な霊力が発されたことを即座に気が付いた。
事件発生から五分でチームが編成されその場に突入することができた。しかし。
時はすでに遅い。
あたりにはバンドメンバーと思われる青年たちが転がり、その中央には生贄のように立ち尽くす赤原光夜の姿。
君たちは彼に対してどうするだろうか。
君たちがこの部屋で何があったかを知るのは、起動していたPCの映像を見てからだ。
君たちはこのガデンツァと彼の状況を見てどう思うだろうか。そしてガデンツァにかき消されてしまった言葉とはなんだったのか。それを解き明かしてほしい。
彼は息をしていない。
その体もズタボロだったが心が砕かれる離魂病の症状が出ていた。
ただ、君たちが呼びかけるとまだ彼は反応する。
彼をこの世界に呼び戻すために必要なものはなんだろうか。きっと君たちはその答えをすでに知っている。
マスターより
皆さんこんにちは、今回は歌の完成のエピソードということでガデンツァ関連最後の依頼ですね。
このリプレイ完成を持って最終決戦までの全てのピースを消化したことになります。
最後のピースである歌。そして赤原の命を皆さんは救えるでしょうか。
それではよろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/09/18 15:43
参加者
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最終発言2018/09/09 18:23:04