本部
存在しない子供たち
- 形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/17 22:00
- 完成予定
- 2018/08/26 22:00
掲示板
-
先へ進む為に【相談板】
最終発言2018/08/17 00:10:51 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/09/07 00:06:02
オープニング
●諦念の告白
イタリアのH.O.P.E.支部にて、集められたエージェントは職員の難しい顔へ視線を集中させた。
「あれから彼らにも事情を聞いてみたのですが……事態は思ったよりも深刻かもしれません」
まず、数日前にポルタ・パラッツォで万引きの現行犯で逮捕された少年たちについて触れた後、職員は『戸籍がなかった』少年たちから聞いた話をする。
「話によると、彼らは今まである教会に『監禁』されていたそうです」
いきなり飛び出した不穏な言葉に思わず顔がこわばるが、職員はそのまま続けた。
「その教会は一見すると普通の教会だそうですが、生後すぐに置き去りにされた捨て子やスラム暮らしで身よりのない子供を隠れて引き取っているようです。それだけなら慈善活動にも聞こえますが、役所に届け出ていない子供たちへの扱いは相当悪質みたいですね」
曰く、『懲罰』と称した殴る蹴るや言葉の暴力は当たり前で、食事も死なない程度にしか与えられない。外から常に監視されてトイレ以外の外出は許されず、まともな教育など受けたことがないらしい。
自分たちの名前でさえ、幼い頃にいた年上の孤児が偶然誓約できた英雄からもらったのだという。
「ただ、彼らが青空市にいたのは、以前いた孤児が作った抜け穴で教会を出入りしていたからだそうです。彼ら以外にも能力者に覚醒した子供たちだけが利用し、同じように窃盗で足りない食料をまかなっていたとか。特に体が弱い子たちのため、栄養のつくものを食べさせるためだと」
そこでふと、疑問の声が上がった。
それだけ酷い状態なのに、何故外の人間に助けを求めなかったのか?
「……『大人は信用できない』、とはっきり言われてしまいました。おそらく、今まで誰も彼らのSOSを真剣に捉えなかったのでしょう。こういうのは酷ですが、一般人からすれば少々現実離れした内容ですから」
ともすれば、ドラマや映画の世界で聞くような話だ。まして、それを主張するのは幼い子供。いくら真剣に訴えても、大人の気を引きたいための嘘と思われてもおかしくない。
「実際、今まで露見しなかったのも冗談だと思われてきたからでしょう。詳しいことはあまり話してくれませんでした。ですが、気になることを教えてくれました」
それは『孤児の数は常に増減している』こと。
「増やすのはまだしも、定期的に人数を減らす手段は限られています。……それが秘密裏に行われてるとすれば、いい想像はできません」
職員は明確な言葉にしなかったが、エージェントも言わんとしていることは察する。
すなわち――『人身売買』が行われている可能性があるのだ。
「もちろん、あくまで予想のため確証はありません。ですが事実なら、放置することはできません。よって、皆さんにはその教会の調査をお願いします。そうでなくとも、彼らの話と栄養欠乏状態から一度本格的に調べる必要はありそうですから」
内容がたとえ荒唐無稽でも、身分不詳でやせ細った子供の主張は調査の大義名分になる。
教会へ乗り込むことは、おそらく可能だ。
「しかし、証拠がない上にかなり醜聞の悪い名目になりますから、調査できる機会は1度だけくらいに思ってください。我々も情報収集はしていきますが、おそらく何かあるなら教会の中にあるはずです。あの子たちが世界や大人に絶望しないよう、力を尽くしましょう」
少年たちの協力が得られれば楽になるだろうが、彼らは口を閉ざしたまま。
ひとまず、エージェントたちは彼らを救うために今後の動きを話し合った。
●密談する悪童たち
(……話したのか、ティノ)
(う、うん)
とある夜、H.O.P.E.支部の施設内で寝泊まりするアドルフォたちは暗闇の中で静かに話し合っていた。
(マジか……下手したら俺たち、死ぬぞ?)
(でも、あの人たち優しかったし、何とかしてくれるかもって、私は思う……)
ティノの頷きにイラーリが顔をしかめるが、アガタがフォローするように口を動かす。
(アガタの言いたいこと、わかるよ。私も、みんな助かって欲しいし)
(そうね……あの人たちが『アイツら』と繋がってたら、明日いるのは知らない大人の家だと思うけど)
さらにアガタに同意を示したソフィアだが、続くアロンザの言葉に全員が唇を引き結ぶ。
彼らは知っている。
あの教会を出た孤児仲間が、今どこで何をしているのかわからないことと、その意味を。
(……ま、話しちまったのは仕方ない。後はお互い、死なないことを神に祈ろうぜ?)
(何それ? 今まで神様に祈ったことなんてないでしょ? 愚神にでもすがるつもり?)
(これでみんな酷いことされたら、僕のせいだよね。ごめんね、う、ぅ……)
軽口を叩くアドルフォに鋭く指摘するアロンザを見て、ティノは自分の軽率を理解して涙する。
残りの5人は慰めるようにティノを囲むが、やはり彼らの間に声はない。
彼らが生活を送るうち、自然と身についた夜目と読唇術。
いずれも、『アイツら』に隠れて話すための技術である。
就寝時間で電灯が切れた真っ暗な室内を、身振りと口の動きだけで話していく。
H.O.P.E.の庇護下にあってさえ、いまだ彼らの悲観は色濃く残っていた。
解説
●目標
疑惑の教会調査
●登場
アドルフォ&ソフィア…回避適正の勝ち気な少年とシャドウルーカーの大人しい少女。驚異的な回避・逃走能力を有し、幼い孤児仲間のため窃盗をし続けた。
ティノ&アガタ…回避適正の気弱な少年とバトルメディックの優しい少女。窃盗には反対しつつ、仲間を助けようと鍛えたスキルセンスは高い。
アロンザ&イラーリ…回避適正の冷静な少女とカオティックブレイドの活発な少年。偶然手に入れたナイフAGWを利用し、窃盗の逃走援護を積極的に続けてきた。
●状況
イタリアのトリノにある某教会
見た目は普通の教会で、特別変わった活動なども行っていない
礼拝用のホールや修道士たちの居住空間、洋室や書庫など間取りも普通
数日前に逮捕し、交流の中で態度が若干軟化したティノの証言から人身売買拠点の疑惑が浮上
表向きに運営する小規模な孤児院とは別に、出自や身元が不明な子供たちを監禁する場所があるという
聞き出せた情報は以上で、監禁場所の詳細や子供の人数などは不明のまま
少年たちの『大人』に対する敵意や不信感は強く、いまだ完全に心を開ききっていない
(PL情報)
少年たちが情報を話さない要因
・複数の大人からの日常的な虐待の記憶(監禁・肉体的暴行・精神的暴行など)
・過去に里子へ出された監禁孤児は全員行方知れず→まともな身元引受人はいない?
以上の点から、PCたちが『今は優しくても後で酷いことをする大人』である可能性を捨てきっていない
マスターより
前回の鬼ごっことは一転、ものっそい物騒な展開に発展しております
事実であれば大問題ですが、現状は子供の証言のみが根拠となるため決定的な証拠がありません
少年たちもPCたちを完全には信用していないため、突っ込んだ情報は得られてない状況です
幸い、疑惑の教会については名前や所在地などを教えてくれたので、実態調査をお願いします
なお、少年たちの主張が事実であるならば『共鳴した能力者』を負傷させた人物もいそうです
少なくとも、少年たちが『大人』を嫌悪する過程で『能力者』も関わっていたのでしょう
念のため、戦闘の準備もした上で調査に臨んでください
リプレイ公開中 納品日時 2018/08/28 01:39
参加者
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先へ進む為に【相談板】
最終発言2018/08/17 00:10:51 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/09/07 00:06:02