本部
水晶四重奏『希望』
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 6~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/22 09:00
- 完成予定
- 2015/10/31 09:00
掲示板
-
相談板
最終発言2015/10/22 01:00:41 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/22 00:39:31
オープニング
●占い師
ガラス細工で出来た皿の上にビーズ程小さな水晶を落とすと当たり前だが透明な音が鳴る。ビライアは聞き慣れた音の中に真実を探すのだ。全方位から聞こえる何気ない音も遮蔽し、水晶の音だけを聞く。彼女の両手の隙間から、大量の水晶が落ちていく。
「大丈夫、安心してもいいのです」
全ての水晶が落ちてから口を開いた。彼女の前に座る若いカップルの男がすぐに言葉を返した。
「長く付き合えるということ……ですか?」
「はい。間違いありません。必ず」
田の洗礼を抜けた所にある住宅地の、広い公園の真横にある木造建築のアパート二階にビライアは居る。先ほども若いカップルの将来を占った所で、幸せ風の表情を浮かべて帰る姿を見て、彼女もにっこりと目を細くしながら顔を傾けた。同居人である一歳年下の弟が客人と入れ替わるように帰ってきた。
「ただいま。――気持ち悪いなあ、何ニヤついてんだよ」
「ありがとうございますって言ってくれたの。もう、嬉しくなっちゃって」
「いつも言われてるだろ」
「慣れないの。あんた、分からない? 一人一人のありがとうは違うのよ。同じなのは言葉だけ」
弟のケビンは買ってきた食材を冷蔵庫に入れた後、すぐに自室に戻った。
アパート暮らしを支えているのはケビンだ。日本の高校を出た後、すぐに就職。エリートの会社員として迎えられ、それから三年経つが既に部下を何人も下に置いており、期待通りの優秀さを示している。仕事面は上出来で、金銭面も歳相応もしくはそれ以上。充実している人生だが、彼は恋愛面だけは疎かった。彼女が出来た事が一度もない。
だからたまに、からかってビライアが恋愛に関して占ってあげようかと言うが、ケビンは断固として占いから逃れている。
●最後の来訪
夜の七時。普段は、これから先お客が来る事はない。占いにくる客だ。ビライアは小道具をしまおうと立ち上がり、背伸びを挟んで小道具入れを箪笥の上から取ろうとした。
「すみませんー」
扉を三回ノックする音が聞こえてビライアはすぐに振り向いた。
「はい、今参ります」
油断している所訪ねてきた客は、またぞろ若い男性だ。ビライアは正座で地面に座った。
「実は、亡くなった親友の事について聞きたい事があるんです」
男は最初にそう切り出した。
「一ヶ月前、仲直りをしようと思って、僕が車を運転して旅行にいったんです。その時、車が交通事故にあって僕は生き残ったのですが、親友が死んでしまいました。その日から夢に出てくるようになったんです。謝れないのが悔しくて……。親友は私の事を許してくれているかどうか、教えてもらえませんか」
ビライアの良心は彼に一直線だった。話をしている時、彼は涙ぐんでいた。それを知られまいと顔を俯かせていたが、無駄な努力だった。
「分かりました。写真を見せていただいてもいいですか」
客の男は携帯から親友の画像を開き、ビライアに見せた。
ああ、なんて残酷なのだろう。とても良い人じゃないか。親友の画像は多分、旅行先で取られた物だ。仲直りできたのだろう、二人で仲良く写っている。ビライアは彼らの物語を脳内で作り上げた。あまりにも同情しそうになり、彼女も涙を堪えた。
「では、お待ちください」
いつもの儀式だ。皿の上にビーズを落とすだけ。だが、ビライアはいつも以上に熱心に音を聞いた。
――やがて終わると、ビライアは客人に目を合わせた。
「親友さんは一度もあなたの事を恨んではいません。なんだか、達観しているような……」
「本当ですか?!」
「はい。あなたと仲直りできてよかったと、言ってます。お二人ともとても仲が良かったのですね。心の不安はもう、解いて良いですよ」
「――ありがとうございます、ありがとうございます」
ビライアは斜め後ろで見守っていたケビンにウィンクをした。ありがとうの色々が彼に分かるだろうか。
客人は礼をいい終わり立ち上がると携帯電話を操作して、耳に当てた。予想外の行動だったがビライアは暖かな目を向けていた。誰になんという言葉を話すのだろう。ビライアは想像した。浮かんでくる言葉はどれも心優しい言葉ばかりだ。
驚くほど低い声で客人は言った。
「入ってきてくれ」
ビライアとケビンは二人して意味を考えた。一歩早くケビンが意味を理解したが、その時には扉が勝手に開いて中に人が入ってきた。
人が入ってきて、ビライアは最初混乱した。状況が一切掴めない。固まったまま、入ってきた人物を見ていた。信じられない気持ちで。
入ってきたのは客人の親友だった。
「あなたの占いは偽物です」
「え……? こ、これは」
ビライアは否定した。口を閉じる事を忘れている。
「嘘をついてまでお金が欲しかったのですね。明日の昼、またここに来ます。その時、あなた達はこの街から出なくてはならなくなる。では、また」
勝手に進んでいく物語を二人は声も出さずに見る事しかできなかった。一分でも時間を無駄にしてはならず、対策を立てなければならないとは分かっている。だが観客に成り下がってしまった彼女らに何ができるのだろうか?
●昼下がりの駅前で
あなた達に依頼が下されたのは昼飯時を過ぎた当たりだった。突如招集をかけられたのだった。
「O市のK駅前広場にて邪英化した一人の女性が無差別に攻撃をしてるとのことです。すぐに対処にあたってください。その女性の情報は掴めておらず、邪英化した原因等も不明。場合によっては拘束する必要も出てくるかと思います。もし邪英化からの回復が望めないようならば……お願いします。そうならないためにも現場へ急行してください」
あなた達と時を同じくして駅前広場の騒動を知った一人の子供は、午後の授業を抜け出しすぐに現場に向かった。
解説
●目的
駅前の広場で邪英化し暴走したビライアを気絶させる。邪英化の原因を聞き出し、オペレーターに伝える。
●ビライア
占い師として商売をしていた。一回百円。
彼女が暴走した理由は以下の情報が関わってくるのではないかと予想できる。
・彼女の周辺地帯に占いが嘘であるという情報が広まった。
・駅前にビライアが訪れるという情報も広まり、占われた大多数の人々が集まり彼女を非難した。
かつてビライアは占い師に希望を与えてもらった事がある。彼女はそれを真似て、自分も人を幸せにしたく思い商売を始めた。
「未知の力というのは、存在しないからこそ人に幸せを与えるんです。証拠がなければ、占い結果を否定する事はできない。だから私は希望を頂いたし、皆にも与えたいの」
●訪ねてきた男
偽物の占い師を暴く集団。本部といった物は存在せず、正式名称もない。彼らの目的は占い師を暴く事だけにある。
●状況
あなた達がついた時、まだ死者は出ていない。邪英化からの回復も見込める。
ビライアは魔法で自分の周辺に人の拳程の大きさの水晶をいくつか浮かべ、属性魔法攻撃を仕掛ける。近づけば水晶が邪魔して、なかなか近づくのが難しい。水晶の数は四個。火、水、風、雷の攻撃が繰り出される。
●最後に登場した子供
名前は遠矢(とおや)と言い、苛められてる所をビライアに助けられビライアに恩義を感じている。あなた達が立ち向かおうとした時、この子供がこう言う。
「待ってくれ! その人を殺さないで!」
この子供がビライアを救うための鍵となるかもしれない。街の中で彼女を信用しているのはあなた達とこの子供だけだからだ。
●英雄
ビライアの英雄はケビン。元々一人っ子で寂しかった彼女だったが、弟役になるということで契約を結んだ。
●邪英化からの回復方法
邪英化から救うにはギリギリで倒す必要がある。あくまでも気絶程度。その後は病院で休み、意識を取り戻すまで最低五日かかる。
マスターより
エージェントの皆様、日々のお勤めお疲れ様です。
最終的にビライアを救う事ができるのはあなた達になります。解説では書ききれませんでしたのでここで補足しますが、戦闘が終わると邪英化してまで街を荒れさせた理由をビライアは語ります。
若干話が逸れますが、最近占い師の力に目覚めてきたような気がします。よくゲームなどで宝箱を開けるシチュエーションが来ると思いますが、大体アイテムが当たるんです。データとか取って言ってるわけじゃなく、気分でアイテム名を言ってるだけ。
後シナリオ却下の占いもよく当たります。
皆様の奮闘、お待ちしてます。
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/26 20:10
参加者
掲示板
-
相談板
最終発言2015/10/22 01:00:41 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/22 00:39:31